非平面燃料チャネルおよび酸素透過性膜を備える燃料脱酸素装置
【課題】液体燃料などの液体を脱気するための、小型で軽量の燃料システムが提供される。
【解決手段】流体システム10内で使用する装置14は、流体チャネル38内に流れ攪乱要素55を含む。流れ攪乱要素55は、通過流体から溶存ガスを除去するためのガス透過性表面66を有する。ガス透過性膜36がガス透過性表面66上に被覆されて、通過流体からガス除去チャネル40中への溶存ガス輸送を可能にする。多種多様な方法の任意のものを使用して、ガス透過性膜36を燃料攪乱要素55上に被覆することができる。
【解決手段】流体システム10内で使用する装置14は、流体チャネル38内に流れ攪乱要素55を含む。流れ攪乱要素55は、通過流体から溶存ガスを除去するためのガス透過性表面66を有する。ガス透過性膜36がガス透過性表面66上に被覆されて、通過流体からガス除去チャネル40中への溶存ガス輸送を可能にする。多種多様な方法の任意のものを使用して、ガス透過性膜36を燃料攪乱要素55上に被覆することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の脱ガス処理に関し、より詳細には、流体チャネル内の流れ攪乱要素(flow perturbation element)を通して、液体からガスを除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
液体燃料は、様々なシステム用の冷却剤として航空機などの乗り物に使用されることが多い。炭化水素液体燃料内に溶存酸素が存在することは、望ましくない副生成物を生成する酸化反応を酸素が支援するために、好ましくない可能性がある。液体燃料中に空気が溶存すると、結果として平衡飽和状態において約70ppmの酸素濃度を生じることになる。曝気された燃料が約300°Fから850°Fの間で加熱されると、溶存酸素は燃料のラジカル反応を開始し、その結果として一般に「コークス(coke)」または「コークス化(coking)」と呼ばれる、堆積物(deposit)を生じる。コークスは、燃料配管に対して害を及ぼすとともに、燃焼を阻害する可能性がある。そのような堆積物が形成されると、意図する熱交換機能または燃料の効率的な噴射のいずれかに関して、燃料システムの正常な機能を損なう可能性がある。
【0003】
液体燃料から酸素を除去するのに航空機において使用が可能な一例としての燃料安定化ユニット(Fuel Stabilization Unit)(FSU)は、酸素飽和燃料を受け取る平面燃料チャネルを含む。燃料チャネルは、液体燃料から酸素を除去するために、酸素透過性膜でライニングされている。酸素透過性膜を横断する酸素圧力勾配によって、液体燃料から酸素が引き出されて、酸素低減液体燃料が生成される。このFSUは有効ではあるが、それと同等またはそれを超える酸素除去を達成しながら、その寸法および重量をさらに低減することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、液体燃料などの液体を脱気するための、小型で軽量の燃料システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による一実施形態の燃料システムは、燃料チャネル内に流れ攪乱要素を含む。この流れ攪乱要素は、通過する燃料から溶存ガスを効率的に除去する成形されたガス透過性表面を含む。ガス透過性膜が、このガス透過性表面に被覆されており、これが溶存ガスを通過燃料からガス除去チャネル中に輸送することを可能にする。流れ攪乱要素上のガス透過性表面は、燃料チャネルを小型かつ効率的にすることのできる、「活性(active)」表面をもたらす。
【0006】
本発明による一実施形態の燃料システムは、軸線を画定する燃料通路を含む。第1のガス透過性膜が、第1の遠位(distal)区域と、第1の遠位区域よりも相対的に軸線に近い第1の近位(proximal)区域とを含む。第2の流れ攪乱要素が、第2のガス透過性膜と連通する第2のガス除去チャネルを含む。第2のガス透過性膜は、第2の遠位区域と、第2の遠位区域よりも相対的に軸線に近い、第2の近位区域とを含む。
【0007】
一実施形態の燃料システムは、内部に溶存ガスを有する燃料を受け取る燃料チャネルを含む。多孔質流れ攪乱要素が、燃料チャネルを通る非平面流路を画定する。ガス透過性膜が、燃料チャネルと流体連通している。多孔質流れ攪乱要素に隣接するガス除去チャネルが、ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通して、燃料から溶存ガスを受け取る。
【0008】
本発明による一実施形態の燃料システムは、内部に溶存ガスを有する燃料を受け取る、細長いチャネル壁の間の流路を有する、燃料チャネルを含む。多孔質流れ攪乱要素が、細長いチャネル壁の一方から、流路中に延びている。ガス透過性膜が燃料チャネルと連通している。多孔質流れ攪乱要素に隣接するガス除去チャネルが、ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通して、燃料から溶存ガスを受け取る。
【0009】
一実施形態の方法は、非平面燃料チャネル基板に隣接してガス透過性膜を被覆して、非平面燃料チャネル流れ攪乱要素をもたらすことを含む。
【0010】
上記の実施例は、限定を意図するものではない。追加の実施例を以下に説明する。
【0011】
本発明の様々な特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者には明白になるであろう。この詳細な説明に付随する図面は、以下に簡潔に説明し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、エネルギー変換装置(energy conversion device)(ECD)12用の燃料システム10の全体概略図を示し、これは脱酸素装置システム14を用いる一例を説明するものであり、限定を意図するものではない。この脱酸素装置システム14は、燃料タンクなどの貯蔵器(reservoir)16から、液体燃料(fuel)Fを受け取る。燃料Fは、通常は、ジェット燃料などの液体炭化水素である。ECD12は、多種多様な形態で存在することが可能であり、そのような形態において、燃料は、処理、燃焼、またはある形態のエネルギー放出に最終的に使用する前のある時点で、燃料中に大量の溶存酸素が存在する場合に自動酸化(autoxidation)反応およびコークス化を促進するのに十分な熱を取得する。
【0013】
ECD12の一形態は、航空機におけるような、ガスタービンエンジンである。通常、燃料は、航空機における1つまたは複数のサブシステム用の冷却剤としての役割も果たし、燃焼の直前に燃料噴射装置に配送されるときに加熱される。
【0014】
熱交換区域18は、燃料が熱交換関係において通過するシステムを表わす。ここで理解すべきことは、熱交換区域18を、ECD12に直接的に付随させることおよび/またはより大きなシステム10内の他の場所に分散させること、ができることである。熱交換システム18には、代替的または追加的に、システム全体に分散させた複数の熱交換器を含めてもよい。
【0015】
一般に理解されるように、貯蔵器16に貯蔵される燃料Fは、通常、溶存酸素を、場合によっては70ppmの飽和レベルで含有する。燃料ポンプ20は、貯蔵器16から燃料Fを引き出す。燃料ポンプ20は、燃料貯蔵器導管22および弁24を介して貯蔵器16と連通し、脱酸素装置システム14の燃料入口26に通じている。燃料ポンプ20がかける圧力は、燃料Fが脱酸素装置システム14および燃料システム10の他の部分を通って循環するのを補助する。燃料Fが脱酸素装置システム14を通るとき、酸素は、真空または掃引ガス(sweep gas)システム28中に選択的に除去される。掃引ガスSは、酸素を実質的に含まない任意のガスとすることができる。
【0016】
脱酸素済み燃料(deoxygenated fuel)Fdは、脱酸素システム14の燃料出口30から、脱酸素済み燃料導管32を介して、熱交換システム18およびECD12へと流れる。脱酸素済み燃料の一部は、再循環導管33によって表わされるように、脱酸素システム14および/または貯蔵器16のいずれかへと再循環させることができる。ここで理解すべきことは、図示した実施形態においては、特定の要素配置を開示したが、その他の配置においても本発明の効果があることである。
【0017】
図2A、2Bを参照すると、その基本動作を示すために簡略化した脱酸素装置システム14を概略的に示してある。脱酸素装置システム14は、酸素透過性膜36およびガス除去チャネル40を含む1つまたは複数の燃料チャネル38を含む。燃料チャネル38は、燃料入口26と燃料出口30との間に流通可能に接続されている。ここで理解すべきことは、チャネル38は、図示した簡略化配置とは異なる様々な形状および配置のものとしてもよいことである。
【0018】
酸素透過性膜36は、溶存酸素(およびその他のガス)が、空隙(void)または細孔(pore)などのオングストローム寸法の開口を通って拡散することを可能にするが、より大きな燃料分子は排除する。オングストローム寸法の開口に代替して、またはそれと一緒に、酸素透過性膜36には、溶解・拡散(solution−diffusion)機構を利用して、燃料を取り除きながら、酸素を溶解させて、膜を通して拡散させることもできる。
【0019】
デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Del.)のデュポン社(E.I.DuPont de Nemours)の登録商標「テフロン(Teflon) AF」で特定されることの多い、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(perfluoro−2,2−dimethyl−1,3−dioxole)(PDD)の非晶質コポリマーである、テフロン(Teflon)AFの系列、およびイタリア、ミラノのソルヴェイ・ソレキス社(Solvay Solexis)の登録商標であり、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール(2,2,4−trifluoro−5−trifluoromethoxy−1,3−dioxole)(TTD)のコポリマーである、ハイフロン AD(Hyflon AD)の系列は、燃料脱酸素処理用の酸素透過性膜として有効な結果を示すことがわかっている。テフロン(Teflon)AF2400および/またはテフロン(Teflon)AF1600材料は、溶解・拡散機構を使用すると考えられる。この説明があれば、当業者はその他の種類のフルオロポリマー、または酸素透過性膜としての特有の要件を満たすその他のポリマー材料を理解するであろう。
【0020】
燃料脱酸素装置システム14の入口26は、高酸素(oxygen−rich)燃料を受け取り、出口30は酸素低減(oxygen−depleted)燃料を排出する。真空ポート29は、燃料チャネル38内に酸素分圧勾配を生成するために、膜を通して燃料チャネル38と連通しており、それによって溶存酸素およびその他の溶存ガスを抽出する。
【0021】
燃料チャネル38の具体的な数量は、燃料の種類、燃料温度、エンジンからの質量流量要求などの、用途特有の要件によって決まる。さらに、異なる量の溶存酸素を含む異なる燃料は、所望の量の溶存酸素を除去するのに、異なる量の脱酸素処理を必要とする可能性がある。
【0022】
図3A、3B、3Cを参照すると、各燃料チャネル38は、流れ攪乱要素55を含む。流れ攪乱要素55は、燃料チャネル壁65と、流れ攪乱要素55の輪郭形状(profile)とを画定する、多孔質支持体42を含む。
【0023】
多孔質ポリエーテルイミドまたはその他の多孔質材料などの裏当て層(backing layer)74を、多孔質支持体42と酸素透過性膜36との間に配置してもよい。一例においては、裏当て層74は、厚さが約2milであるが、厚さは特定の設計要求に応じて変えることができる。
【0024】
裏当て層74は、既知の転相(phase inversion)法を使用して、多孔質支持体42上に堆積させることができる。さらに別の例においては、裏当て層74は、R.W.ベーカー、「膜の技術および用途」、第2版、ジョン・ワイリー社、第96〜103頁(R.W.Baker,“Membrane Technology and Applications”,Second Edition,John Wiley&Sons,Ltd.,p96−103)によって開示されている転相技法を使用して堆積させることができる。
【0025】
流れ攪乱要素55は、酸素が通過して引き込まれるガス透過性表面66(すなわち、「活性」表面)を含む。多孔質支持体42の細孔70(模式的に示す)は、酸素透過性膜36および多孔質裏当て層74のオングストローム寸法の開口とともに、ガス透過通路68(すなわち、細孔70の網状構造)を形成して、燃料チャネル38とガス除去チャネル40とを流体的に接続する。裏当て層74は、酸素透過性膜36と多孔質支持体42との間の酸素輸送のための架橋となる。言い換えると、裏当て層74の多孔性によって、酸素が酸素透過性膜36から多孔質支持体42まで移動するための通路がもたらされる。裏当て層74が必要となる場合があることの理由は、抵抗低減の目的では、多孔質支持体42内の細孔径(pore size)が、酸素透過性膜36を直接的に被覆するには大きすぎることがあるからである。細孔径が十分に小さく、同時に流れ抵抗がなお所望レベルにある場合には、酸素透過性膜36を、裏当て層74なしに直接、多孔質支持体42に被覆することができる。酸素透過性膜36は、ガス透過性表面66上に被覆されて、燃料が通路68中に流れ込むのを防止するとともに、溶存酸素を燃料チャネル38からガス透過性通路68中へ、そして次いでガス除去チャネル40中へと輸送することを可能にする。
【0026】
燃料チャネル38を通って流れる燃料は、酸素透過性膜36と接触している。真空ポート29を介しての真空によって、酸素透過性膜36を横断して酸素分圧差(すなわち、酸素濃度差)が生成され、これによって燃料中に溶解した酸素が、酸素透過性膜36、多孔質裏当て層74、および多孔質支持体42を通り、脱酸素装置システム14の外にガス除去チャネル40を通って移動させられる。代替的に、同じ酸素分圧差を、ガス除去チャネル40内の酸素を絶え間なく除去する、掃引ガスによって生成することができる。
【0027】
多孔質支持体42は、成形、鋳造、焼結またはその他の方法によって、例えば、多孔質ポリマー、金属発泡体(foam)、多孔質セラミック、セラミック発泡体、またはポリマー発泡体から既知の方法で製作される。ポリマー発泡体の一例としては、連続気泡(open cell)ポリウレタンがある。さらに別の例においては、多孔質支持体42は、大幅に劣化しないように液体燃料に対して耐性があり、比較的高い多孔度を有して均一な真空分布をもたらすとともに、大きな酸素分圧増大なしに効率的な酸素除去を可能にする。例によっては、多孔質支持体42およびガス除去チャネル40は1つの部品として組み合わせることができる。
【0028】
図示した例においては、流れ要素55は、精密な多次元流れ特性を燃料チャネル38にもたらすように一体化されている。言い換えると、流れ攪乱要素55は、燃料チャネル38(図2B)を通る燃料の流れの中に延びている。この説明によって、当業者は、その特有の要件に合致する流れ攪乱要素55の代替構成を理解するであろう。
【0029】
酸素透過性膜36および裏当て層74と組み合わせて、流れ攪乱要素55上にガス透過性表面66を使用することによって、「活性」流れ攪乱要素55なしの従来型平面状燃料チャネルと比較して、より高い酸素除去効率という利点が得られる。したがって、燃料脱酸素装置システム14を、同一性能に対してより小型にするか、または同一寸法でより多くの酸素を除去させることができる。
【0030】
一例においては、燃料チャネル38の構成は、酸素透過性膜36に対する酸素の接触を最大化して、燃料から除去される溶存酸素の量を増大させるように設計される。一例においては、このことは、酸素透過性膜36の表面積を増大させることによって達成される。別の例においては、このことは、活性のある酸素透過性膜36部分を、酸素濃度が比較的高い流れ領域に接触させることによって達成される。さらに別の例においては、このことは、燃料チャネル38を通る、混合および/または最適な燃料流れパターンをもたらすことによって達成される。一例において、燃料チャネル38は、酸素透過性膜36との所望の酸素接触をもたらすのに十分に小さく、かつ燃料流れを不必要に拘束しないように十分に大きい。
【0031】
流れ攪乱要素55は、高い表面対体積比による効率の向上、および膜36表面の近傍における流れの攪乱によって、脱酸素処理を強化し、したがって燃料の大部分(bulk)から直接、膜の表面への酸素輸送を強化する。したがって、脱酸素装置システム14の流れ攪乱要素55は、酸素と酸素透過性膜36との間の接触を増大させ、それによって溶存酸素の質量輸送を増大させる。
【0032】
各流れ攪乱要素55は、前方(forward)表面Fおよび後方(aft)表面Aを画定する。前方表面Fは、燃料の流れ方向とほぼ反対の方向に面し、後方表面Aは、燃料の流れ方向と同じ方向に面する。
【0033】
図示した例においては、前方表面Fは曲面区域50aおよび平面区域50bを含み、後方表面Aは、平面区域52を含む。平面区域50bおよび平面区域52は、第1の流れ攪乱要素厚さT1を画定し、曲面区域50aおよび平面区域52は、第2の流れ攪乱要素厚さT2を画定する。この例において、厚さT1は厚さT2よりも大きい。比較的厚い基底を有する流れ攪乱要素55を使用すると、多孔質支持体42の製造(例えば、射出成形)中に型から抜出すことが容易になる。
【0034】
図4A〜図4Dは、通過する燃料を導く様々な横断面輪郭形状、例えば長方形(図4A)、角を丸めた長方形(図4B)、三角形(図4C)、および多角形(図4D)など、を有する流れ攪乱要素55A、55B、55C、55Dの部分を示している。さらに別の例においては、流れ攪乱要素55A、55B、55C、55Dの隅部は、隅部に亘って円滑な酸素透過性膜36移行部を形成するために、丸みが付けられている。流れチャネルは、同種または同寸法の流れ攪乱要素55A、55B、55C、55Dを有する必要はない。この説明があれば、当業者は、異なる種類および寸法の流れ攪乱要素55A、55B、55C、55Dおよび異なる流れギャップ(gap)寸法を使用して性能を調整できることを理解するであろう。この説明があれば、当業者は流れ攪乱要素55のための他の好適な輪郭形状を理解するであろう。
【0035】
図5の実施形態に示すように、酸素透過性膜36は上部区域72などの流れ攪乱要素55の一部分上だけに、選択的に被覆される。これによって、流れ攪乱要素55の選択された表面、例えば比較的大量の燃料流束(flow flux)を受け取る表面からの酸素除去が可能となり、溶存酸素の質量輸送が増大する。燃料攪乱および溶存酸素の質量輸送に対して不利な位置にあるその他の表面は、酸素透過性膜36を含まず、燃料が多孔質支持体42およびガス除去チャネル40に浸透するのを防止する、シール表面57を含む。
【0036】
図6は、燃料チャネル38a、38b、38cを有する別の実施形態の横断面図を示す。燃料チャネル38a、38b、38cのそれぞれは、中心軸線Aを画定するとともに、それぞれの燃料チャネル38a、38b、38cを画定する流れ攪乱要素55を含む。燃料チャネル38a、38b、38cの流れ攪乱要素55は、ガス除去チャネル40と連通する、それぞれの酸素透過性膜36a、36b、36cを含み、上述したのと同様に、通過する液体燃料から溶存酸素を除去する。
【0037】
図示した例における流れ攪乱要素55は、それぞれの燃料チャネル38a、38b、38cにおける谷部区域76a、76b、76cおよび頂部区域78a、78b、78cを画定する。谷部区域76a、76b、76cは、頂部区域78a、78b、78cよりも、それぞれの中心軸線Aから遠くに位置している。
【0038】
図示した実施形態において、燃料チャネル38aの谷部区域76aは、燃料チャネルの38bの頂部区域78bに対応する。すなわち、谷部区域76aは、頂部区域78bと軸線Aに沿って軸線方向に位置合わせされている。燃料チャネル38bの谷部区域76bは、燃料チャネルの38cの頂部区域78cに対応する。言い換えると、各燃料チャネル38a、38b、38cは、それぞれの軸線Aに沿った面に対して対称である。
【0039】
流れ攪乱要素55は、谷部区域76a、76b、76cと頂部区域78a、78b、78cとの間に円滑な移行部を形成するために、隅部79を含む。これによって、酸素透過性膜36a、36b、36cにおける比較的鋭角の曲がり部をなくすという利点が得られる。一例において、隅部79は、約0.015インチなどの曲率半径に丸められる。
【0040】
図示した実施形態においては、構造部材80が、酸素透過性膜36a、36b、36cを支持するとともに、ガス除去チャネル40を画定している。図7における一例において、構造部材80は、ガスが内部を流れることのできる波形ワイヤメッシュ(corrugated wire mesh)82を含む。一例においては、ガスが内部を流れることのできる織物メッシュ(woven mesh)が使用される。
【0041】
任意選択で、裏当て層74(図3A)が、上述のように、各構造部材80と酸素透過性膜36a、36b、36cとの間に位置する。
【0042】
図8は図6に示すものと類似の実施形態を示すが、谷部区域76aが谷部区域76bに対応し、谷部区域76bが谷部区域76cに対応する。すなわち、谷部区域76a、76b、76cが、軸線Aに沿った軸線方向に沿って位置合わせされている。同様に、頂部区域78aは頂部区域78bに対応し、頂部区域78bは頂部区域78cに対応する。言い換えると、燃料チャネル38a、38b、38cは、積重ね配置されている。
【0043】
図9は、図6および図8に示すものと類似の実施形態を示すが、谷部区域76aは谷部区域76bから部分的にオフセットされており、谷部区域76bは、谷部区域76cから部分的にオフセットされている。同様に、頂部区域78aは頂部区域78bから部分的にオフセットされており、頂部区域78bは、頂部区域78cから部分的にオフセットされている。
【0044】
上記の例において、酸素透過性膜36は、裏当て層74、支持構造80またはその他の基板に隣接して被覆されている。酸素透過性膜36を製作する一例においては、裏当て層74ありまたはなしで、酸素透過性膜36が平坦形態または予成形(pre−shaped)形態で予め製作され、次いで支持構造80またはその他の基板の形状に形成される。別の例においては、酸素透過性膜36は、裏当て層74、支持構造80またはその他の基板に隣接してその位置(in situ)で被覆される。支持構造80またはその他の基板内での細孔径が十分に小さく、同時に流れ抵抗がなお適切レベルにある場合には、酸素透過性膜36を、裏当て層74なしに直接、多孔質支持体42に被覆することができる。流れチャネルは、流れ攪乱要素55の種類または寸法と同じでなければならないことはない。この説明があれば、当業者は、異なる種類および寸法の流れ攪乱要素55を使用して性能を調整できることを理解するであろう。
【0045】
酸素透過性膜は、例えば、吹付け塗り(spray coating)、電気噴霧被覆(electro−spray coating)(例えば、スプレーを所望の領域に導くのに電界を使用する)、はけ塗り(brush coating)、溶液キャスト被覆(solution cast coating)、蒸着被覆(vapor deposition coating)、プラズマ被覆(plasma coating)または無溶剤蒸気被覆(solventless vapor coating)によって形成される。これらの方法は、事前製作によるガス透過性膜36の形成にも適用可能であり、またこれらの方法は、ガス透過性膜36のその位置での形成にも適用可能であると考えられる。
【0046】
一事前製作例においては、酸素透過性膜36は、既知の方法で予め製作されて、支持構造80上に成形され、これによってガスが、支持構造80の内部または他の基板中に流れることが可能となる。真空または圧力を使用して、裏当て層74ありまたはなしで、予め製作された酸素透過性膜36を、支持構造80またはその他の基板の非平面形状に一致させる。任意選択として、熱を用いて酸素透過性膜36を、支持構造80またはその他の基板の非平面形状に成形する。さらに別の例においては、裏当て層74(図3A)は、酸素透過性膜を成形する前に、支持構造80またはその他の基板に隣接して配置される。
【0047】
その位置での形成の一例においては、酸素透過性膜36は、裏当て層74、支持構造80またはその他の基板に隣接して形成される。これによって酸素透過性膜36を支持構造80またはその他の基板の形状に一致させることに関連する追加のステップが除外される。
【0048】
その位置での被覆法の一例としては、無溶剤蒸気被覆がある。無溶剤蒸気被覆においては、非晶質フルオロポリマー形成のためのモノマーなどの所望の量の前駆材料が蒸発される。蒸発したモノマーは、流れ攪乱要素55上に堆積されてグリーン被覆(green coating)を形成する。「グリーン」という用語は、一般に完全には発達していない被覆を意味する。ここでのグリーン被覆は、モノマーがまだ重合していないので、まだ完全には発達していない。
【0049】
次いで、多孔質支持体42およびグリーン被覆は、不活性雰囲気中で選択された温度で加熱されて、グリーン被覆が重合しそれによって酸素透過性膜36が形成される。この選択される温度は、一般にポリテトラフルオロエチレンとして知られる、選択されるポリマーの種類によって決まる。開示される蒸着プロセスは、図3Bなどにおけるような多孔質支持体42の非平面形状上、または裏当て層74ありまたはなしの状態の図6などにおけるような支持構造80上に均一で薄い膜をもたらす。一例において、無溶剤蒸気被覆装置は、非平面形状上に約100nmから2μmの厚さを有する均一で薄い膜をもたらすと考えられる。
【0050】
代替的には、プラズマ被覆法を使用して、酸素透過性膜36を非平面表面上に被覆する。プラズマ被覆は、モノマー類などの前駆材料をプラズマ発生装置に導入することを伴う。プラズマ発生装置内で生成されたプラズマは、モノマーに電子を衝突させる。その結果、電子とモノマー断片(fragment)との衝突は、モノマーを活性化させる。活性化された断片は、非平面形状上に被覆され、重合して酸素透過性膜36を形成する。蒸着プロセスと同様に、プラズマ被覆は、非平面形状上に約100nmから2μmの厚さを有する均一で薄い膜をもたらすと考えられる。
【0051】
蒸気被覆またはプラズマ被覆の代わりに、平面状膜を形成するのに溶液キャスト(solution casting)が使用されており、これは、非平面表面上に酸素透過性膜36を製作することに適用可能であると考えられる。溶液キャストの一例においては、前駆材料が溶液中で溶剤と混合される。多孔質支持体42の透過性表面66(図3B)が、その溶液内に浸漬される。次いで、溶液および多孔質支持体42が加熱されて、溶液溶剤を除去するとともに前駆材料を重合させて酸素透過性膜36が形成される。任意選択として、図6に示す支持体裏当て層74が、溶液キャストプロセスの前に多孔質支持体42上に堆積されて、酸素透過性膜36の形成のための型板(template)としての役割を果たす。
【0052】
別の例においては、酸素透過性膜36の被覆は、シャランパニ(Sharangpani)とシン(Singh)(Rev.Sci.Instrum.68(3),March 1997)によって記載されているように、化学蒸着(chemical vapor deposition)(CVD)によって達成される。さらに別の例においては、酸素透過性膜36の被覆は、ブランシェット(Blanchet)(Appl.Phys.Lett.62(5),1 February 1993)によって記載されているように、レーザアブレーションによって達成される。
【0053】
前述の説明は、その中の限定によって規定されるのではなく、例示的なものである。上記の教示に照らせば、本発明の多数の修正形態および変形形態が可能である。当業者であれば、いくつかの修正形態は本発明の範囲に入るものであることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲内において、本発明を、具体的に説明した以外の方法で実施することができることを理解されたい。この理由で、添付の特許請求の範囲を検討することによって、本発明の真の範囲と内容を特定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】エネルギー変換装置(ECD)および付随する燃料システムの全体概略図である。
【図2A】図1の燃料システムにおいて使用される、燃料脱酸素装置システムの一実施形態を示す図である。
【図2B】図2Aの例示燃料脱酸素装置システムの動作を示す、簡略断面図である。
【図3A】流れ攪乱要素の一実施形態の斜視図である。
【図3B】図3Aの流れ攪乱要素の断面図である。
【図3C】前方および後方表面を図解する、図3Aの流れ攪乱要素を示す図である。
【図4A】長方形流れ攪乱要素の一実施形態を示す図である。
【図4B】角を丸めた長方形攪乱要素の一実施形態を示す図である。
【図4C】三角形流れ攪乱要素の一実施形態を示す図である。
【図4D】多角形流れ意攪乱要素の一実施形態を示す図である。
【図5】流れ攪乱要素の選択された区域上に酸素透過性膜を有する一実施形態を示す図である。
【図6】燃料チャネル谷部区域および頂部区域を示す、対称燃料チャネル配置の一実施形態を示す図である。
【図7】メッシュ支持構造の一実施形態を示す図である。
【図8】積重ね燃料チャネル配置の一実施形態を示す図である。
【図9】オフセット燃料チャネル配置の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10…燃料システム
14…脱酸素装置システム
26…燃料入口
28…真空または掃引ガスシステム
29…真空ポート
30…燃料出口
36…ガス透過性膜
36a、36b、36c…酸素透過性膜
38…燃料チャネル
40…ガス除去チャネル
42…多孔質支持体
55…流れ攪乱要素
66…ガス透過性表面
74…裏当て層
76a、76b、76c…谷部区域
78a、78b、78c…頂部区域
80…構造部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の脱ガス処理に関し、より詳細には、流体チャネル内の流れ攪乱要素(flow perturbation element)を通して、液体からガスを除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
液体燃料は、様々なシステム用の冷却剤として航空機などの乗り物に使用されることが多い。炭化水素液体燃料内に溶存酸素が存在することは、望ましくない副生成物を生成する酸化反応を酸素が支援するために、好ましくない可能性がある。液体燃料中に空気が溶存すると、結果として平衡飽和状態において約70ppmの酸素濃度を生じることになる。曝気された燃料が約300°Fから850°Fの間で加熱されると、溶存酸素は燃料のラジカル反応を開始し、その結果として一般に「コークス(coke)」または「コークス化(coking)」と呼ばれる、堆積物(deposit)を生じる。コークスは、燃料配管に対して害を及ぼすとともに、燃焼を阻害する可能性がある。そのような堆積物が形成されると、意図する熱交換機能または燃料の効率的な噴射のいずれかに関して、燃料システムの正常な機能を損なう可能性がある。
【0003】
液体燃料から酸素を除去するのに航空機において使用が可能な一例としての燃料安定化ユニット(Fuel Stabilization Unit)(FSU)は、酸素飽和燃料を受け取る平面燃料チャネルを含む。燃料チャネルは、液体燃料から酸素を除去するために、酸素透過性膜でライニングされている。酸素透過性膜を横断する酸素圧力勾配によって、液体燃料から酸素が引き出されて、酸素低減液体燃料が生成される。このFSUは有効ではあるが、それと同等またはそれを超える酸素除去を達成しながら、その寸法および重量をさらに低減することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、液体燃料などの液体を脱気するための、小型で軽量の燃料システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による一実施形態の燃料システムは、燃料チャネル内に流れ攪乱要素を含む。この流れ攪乱要素は、通過する燃料から溶存ガスを効率的に除去する成形されたガス透過性表面を含む。ガス透過性膜が、このガス透過性表面に被覆されており、これが溶存ガスを通過燃料からガス除去チャネル中に輸送することを可能にする。流れ攪乱要素上のガス透過性表面は、燃料チャネルを小型かつ効率的にすることのできる、「活性(active)」表面をもたらす。
【0006】
本発明による一実施形態の燃料システムは、軸線を画定する燃料通路を含む。第1のガス透過性膜が、第1の遠位(distal)区域と、第1の遠位区域よりも相対的に軸線に近い第1の近位(proximal)区域とを含む。第2の流れ攪乱要素が、第2のガス透過性膜と連通する第2のガス除去チャネルを含む。第2のガス透過性膜は、第2の遠位区域と、第2の遠位区域よりも相対的に軸線に近い、第2の近位区域とを含む。
【0007】
一実施形態の燃料システムは、内部に溶存ガスを有する燃料を受け取る燃料チャネルを含む。多孔質流れ攪乱要素が、燃料チャネルを通る非平面流路を画定する。ガス透過性膜が、燃料チャネルと流体連通している。多孔質流れ攪乱要素に隣接するガス除去チャネルが、ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通して、燃料から溶存ガスを受け取る。
【0008】
本発明による一実施形態の燃料システムは、内部に溶存ガスを有する燃料を受け取る、細長いチャネル壁の間の流路を有する、燃料チャネルを含む。多孔質流れ攪乱要素が、細長いチャネル壁の一方から、流路中に延びている。ガス透過性膜が燃料チャネルと連通している。多孔質流れ攪乱要素に隣接するガス除去チャネルが、ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通して、燃料から溶存ガスを受け取る。
【0009】
一実施形態の方法は、非平面燃料チャネル基板に隣接してガス透過性膜を被覆して、非平面燃料チャネル流れ攪乱要素をもたらすことを含む。
【0010】
上記の実施例は、限定を意図するものではない。追加の実施例を以下に説明する。
【0011】
本発明の様々な特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者には明白になるであろう。この詳細な説明に付随する図面は、以下に簡潔に説明し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、エネルギー変換装置(energy conversion device)(ECD)12用の燃料システム10の全体概略図を示し、これは脱酸素装置システム14を用いる一例を説明するものであり、限定を意図するものではない。この脱酸素装置システム14は、燃料タンクなどの貯蔵器(reservoir)16から、液体燃料(fuel)Fを受け取る。燃料Fは、通常は、ジェット燃料などの液体炭化水素である。ECD12は、多種多様な形態で存在することが可能であり、そのような形態において、燃料は、処理、燃焼、またはある形態のエネルギー放出に最終的に使用する前のある時点で、燃料中に大量の溶存酸素が存在する場合に自動酸化(autoxidation)反応およびコークス化を促進するのに十分な熱を取得する。
【0013】
ECD12の一形態は、航空機におけるような、ガスタービンエンジンである。通常、燃料は、航空機における1つまたは複数のサブシステム用の冷却剤としての役割も果たし、燃焼の直前に燃料噴射装置に配送されるときに加熱される。
【0014】
熱交換区域18は、燃料が熱交換関係において通過するシステムを表わす。ここで理解すべきことは、熱交換区域18を、ECD12に直接的に付随させることおよび/またはより大きなシステム10内の他の場所に分散させること、ができることである。熱交換システム18には、代替的または追加的に、システム全体に分散させた複数の熱交換器を含めてもよい。
【0015】
一般に理解されるように、貯蔵器16に貯蔵される燃料Fは、通常、溶存酸素を、場合によっては70ppmの飽和レベルで含有する。燃料ポンプ20は、貯蔵器16から燃料Fを引き出す。燃料ポンプ20は、燃料貯蔵器導管22および弁24を介して貯蔵器16と連通し、脱酸素装置システム14の燃料入口26に通じている。燃料ポンプ20がかける圧力は、燃料Fが脱酸素装置システム14および燃料システム10の他の部分を通って循環するのを補助する。燃料Fが脱酸素装置システム14を通るとき、酸素は、真空または掃引ガス(sweep gas)システム28中に選択的に除去される。掃引ガスSは、酸素を実質的に含まない任意のガスとすることができる。
【0016】
脱酸素済み燃料(deoxygenated fuel)Fdは、脱酸素システム14の燃料出口30から、脱酸素済み燃料導管32を介して、熱交換システム18およびECD12へと流れる。脱酸素済み燃料の一部は、再循環導管33によって表わされるように、脱酸素システム14および/または貯蔵器16のいずれかへと再循環させることができる。ここで理解すべきことは、図示した実施形態においては、特定の要素配置を開示したが、その他の配置においても本発明の効果があることである。
【0017】
図2A、2Bを参照すると、その基本動作を示すために簡略化した脱酸素装置システム14を概略的に示してある。脱酸素装置システム14は、酸素透過性膜36およびガス除去チャネル40を含む1つまたは複数の燃料チャネル38を含む。燃料チャネル38は、燃料入口26と燃料出口30との間に流通可能に接続されている。ここで理解すべきことは、チャネル38は、図示した簡略化配置とは異なる様々な形状および配置のものとしてもよいことである。
【0018】
酸素透過性膜36は、溶存酸素(およびその他のガス)が、空隙(void)または細孔(pore)などのオングストローム寸法の開口を通って拡散することを可能にするが、より大きな燃料分子は排除する。オングストローム寸法の開口に代替して、またはそれと一緒に、酸素透過性膜36には、溶解・拡散(solution−diffusion)機構を利用して、燃料を取り除きながら、酸素を溶解させて、膜を通して拡散させることもできる。
【0019】
デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Del.)のデュポン社(E.I.DuPont de Nemours)の登録商標「テフロン(Teflon) AF」で特定されることの多い、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(perfluoro−2,2−dimethyl−1,3−dioxole)(PDD)の非晶質コポリマーである、テフロン(Teflon)AFの系列、およびイタリア、ミラノのソルヴェイ・ソレキス社(Solvay Solexis)の登録商標であり、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール(2,2,4−trifluoro−5−trifluoromethoxy−1,3−dioxole)(TTD)のコポリマーである、ハイフロン AD(Hyflon AD)の系列は、燃料脱酸素処理用の酸素透過性膜として有効な結果を示すことがわかっている。テフロン(Teflon)AF2400および/またはテフロン(Teflon)AF1600材料は、溶解・拡散機構を使用すると考えられる。この説明があれば、当業者はその他の種類のフルオロポリマー、または酸素透過性膜としての特有の要件を満たすその他のポリマー材料を理解するであろう。
【0020】
燃料脱酸素装置システム14の入口26は、高酸素(oxygen−rich)燃料を受け取り、出口30は酸素低減(oxygen−depleted)燃料を排出する。真空ポート29は、燃料チャネル38内に酸素分圧勾配を生成するために、膜を通して燃料チャネル38と連通しており、それによって溶存酸素およびその他の溶存ガスを抽出する。
【0021】
燃料チャネル38の具体的な数量は、燃料の種類、燃料温度、エンジンからの質量流量要求などの、用途特有の要件によって決まる。さらに、異なる量の溶存酸素を含む異なる燃料は、所望の量の溶存酸素を除去するのに、異なる量の脱酸素処理を必要とする可能性がある。
【0022】
図3A、3B、3Cを参照すると、各燃料チャネル38は、流れ攪乱要素55を含む。流れ攪乱要素55は、燃料チャネル壁65と、流れ攪乱要素55の輪郭形状(profile)とを画定する、多孔質支持体42を含む。
【0023】
多孔質ポリエーテルイミドまたはその他の多孔質材料などの裏当て層(backing layer)74を、多孔質支持体42と酸素透過性膜36との間に配置してもよい。一例においては、裏当て層74は、厚さが約2milであるが、厚さは特定の設計要求に応じて変えることができる。
【0024】
裏当て層74は、既知の転相(phase inversion)法を使用して、多孔質支持体42上に堆積させることができる。さらに別の例においては、裏当て層74は、R.W.ベーカー、「膜の技術および用途」、第2版、ジョン・ワイリー社、第96〜103頁(R.W.Baker,“Membrane Technology and Applications”,Second Edition,John Wiley&Sons,Ltd.,p96−103)によって開示されている転相技法を使用して堆積させることができる。
【0025】
流れ攪乱要素55は、酸素が通過して引き込まれるガス透過性表面66(すなわち、「活性」表面)を含む。多孔質支持体42の細孔70(模式的に示す)は、酸素透過性膜36および多孔質裏当て層74のオングストローム寸法の開口とともに、ガス透過通路68(すなわち、細孔70の網状構造)を形成して、燃料チャネル38とガス除去チャネル40とを流体的に接続する。裏当て層74は、酸素透過性膜36と多孔質支持体42との間の酸素輸送のための架橋となる。言い換えると、裏当て層74の多孔性によって、酸素が酸素透過性膜36から多孔質支持体42まで移動するための通路がもたらされる。裏当て層74が必要となる場合があることの理由は、抵抗低減の目的では、多孔質支持体42内の細孔径(pore size)が、酸素透過性膜36を直接的に被覆するには大きすぎることがあるからである。細孔径が十分に小さく、同時に流れ抵抗がなお所望レベルにある場合には、酸素透過性膜36を、裏当て層74なしに直接、多孔質支持体42に被覆することができる。酸素透過性膜36は、ガス透過性表面66上に被覆されて、燃料が通路68中に流れ込むのを防止するとともに、溶存酸素を燃料チャネル38からガス透過性通路68中へ、そして次いでガス除去チャネル40中へと輸送することを可能にする。
【0026】
燃料チャネル38を通って流れる燃料は、酸素透過性膜36と接触している。真空ポート29を介しての真空によって、酸素透過性膜36を横断して酸素分圧差(すなわち、酸素濃度差)が生成され、これによって燃料中に溶解した酸素が、酸素透過性膜36、多孔質裏当て層74、および多孔質支持体42を通り、脱酸素装置システム14の外にガス除去チャネル40を通って移動させられる。代替的に、同じ酸素分圧差を、ガス除去チャネル40内の酸素を絶え間なく除去する、掃引ガスによって生成することができる。
【0027】
多孔質支持体42は、成形、鋳造、焼結またはその他の方法によって、例えば、多孔質ポリマー、金属発泡体(foam)、多孔質セラミック、セラミック発泡体、またはポリマー発泡体から既知の方法で製作される。ポリマー発泡体の一例としては、連続気泡(open cell)ポリウレタンがある。さらに別の例においては、多孔質支持体42は、大幅に劣化しないように液体燃料に対して耐性があり、比較的高い多孔度を有して均一な真空分布をもたらすとともに、大きな酸素分圧増大なしに効率的な酸素除去を可能にする。例によっては、多孔質支持体42およびガス除去チャネル40は1つの部品として組み合わせることができる。
【0028】
図示した例においては、流れ要素55は、精密な多次元流れ特性を燃料チャネル38にもたらすように一体化されている。言い換えると、流れ攪乱要素55は、燃料チャネル38(図2B)を通る燃料の流れの中に延びている。この説明によって、当業者は、その特有の要件に合致する流れ攪乱要素55の代替構成を理解するであろう。
【0029】
酸素透過性膜36および裏当て層74と組み合わせて、流れ攪乱要素55上にガス透過性表面66を使用することによって、「活性」流れ攪乱要素55なしの従来型平面状燃料チャネルと比較して、より高い酸素除去効率という利点が得られる。したがって、燃料脱酸素装置システム14を、同一性能に対してより小型にするか、または同一寸法でより多くの酸素を除去させることができる。
【0030】
一例においては、燃料チャネル38の構成は、酸素透過性膜36に対する酸素の接触を最大化して、燃料から除去される溶存酸素の量を増大させるように設計される。一例においては、このことは、酸素透過性膜36の表面積を増大させることによって達成される。別の例においては、このことは、活性のある酸素透過性膜36部分を、酸素濃度が比較的高い流れ領域に接触させることによって達成される。さらに別の例においては、このことは、燃料チャネル38を通る、混合および/または最適な燃料流れパターンをもたらすことによって達成される。一例において、燃料チャネル38は、酸素透過性膜36との所望の酸素接触をもたらすのに十分に小さく、かつ燃料流れを不必要に拘束しないように十分に大きい。
【0031】
流れ攪乱要素55は、高い表面対体積比による効率の向上、および膜36表面の近傍における流れの攪乱によって、脱酸素処理を強化し、したがって燃料の大部分(bulk)から直接、膜の表面への酸素輸送を強化する。したがって、脱酸素装置システム14の流れ攪乱要素55は、酸素と酸素透過性膜36との間の接触を増大させ、それによって溶存酸素の質量輸送を増大させる。
【0032】
各流れ攪乱要素55は、前方(forward)表面Fおよび後方(aft)表面Aを画定する。前方表面Fは、燃料の流れ方向とほぼ反対の方向に面し、後方表面Aは、燃料の流れ方向と同じ方向に面する。
【0033】
図示した例においては、前方表面Fは曲面区域50aおよび平面区域50bを含み、後方表面Aは、平面区域52を含む。平面区域50bおよび平面区域52は、第1の流れ攪乱要素厚さT1を画定し、曲面区域50aおよび平面区域52は、第2の流れ攪乱要素厚さT2を画定する。この例において、厚さT1は厚さT2よりも大きい。比較的厚い基底を有する流れ攪乱要素55を使用すると、多孔質支持体42の製造(例えば、射出成形)中に型から抜出すことが容易になる。
【0034】
図4A〜図4Dは、通過する燃料を導く様々な横断面輪郭形状、例えば長方形(図4A)、角を丸めた長方形(図4B)、三角形(図4C)、および多角形(図4D)など、を有する流れ攪乱要素55A、55B、55C、55Dの部分を示している。さらに別の例においては、流れ攪乱要素55A、55B、55C、55Dの隅部は、隅部に亘って円滑な酸素透過性膜36移行部を形成するために、丸みが付けられている。流れチャネルは、同種または同寸法の流れ攪乱要素55A、55B、55C、55Dを有する必要はない。この説明があれば、当業者は、異なる種類および寸法の流れ攪乱要素55A、55B、55C、55Dおよび異なる流れギャップ(gap)寸法を使用して性能を調整できることを理解するであろう。この説明があれば、当業者は流れ攪乱要素55のための他の好適な輪郭形状を理解するであろう。
【0035】
図5の実施形態に示すように、酸素透過性膜36は上部区域72などの流れ攪乱要素55の一部分上だけに、選択的に被覆される。これによって、流れ攪乱要素55の選択された表面、例えば比較的大量の燃料流束(flow flux)を受け取る表面からの酸素除去が可能となり、溶存酸素の質量輸送が増大する。燃料攪乱および溶存酸素の質量輸送に対して不利な位置にあるその他の表面は、酸素透過性膜36を含まず、燃料が多孔質支持体42およびガス除去チャネル40に浸透するのを防止する、シール表面57を含む。
【0036】
図6は、燃料チャネル38a、38b、38cを有する別の実施形態の横断面図を示す。燃料チャネル38a、38b、38cのそれぞれは、中心軸線Aを画定するとともに、それぞれの燃料チャネル38a、38b、38cを画定する流れ攪乱要素55を含む。燃料チャネル38a、38b、38cの流れ攪乱要素55は、ガス除去チャネル40と連通する、それぞれの酸素透過性膜36a、36b、36cを含み、上述したのと同様に、通過する液体燃料から溶存酸素を除去する。
【0037】
図示した例における流れ攪乱要素55は、それぞれの燃料チャネル38a、38b、38cにおける谷部区域76a、76b、76cおよび頂部区域78a、78b、78cを画定する。谷部区域76a、76b、76cは、頂部区域78a、78b、78cよりも、それぞれの中心軸線Aから遠くに位置している。
【0038】
図示した実施形態において、燃料チャネル38aの谷部区域76aは、燃料チャネルの38bの頂部区域78bに対応する。すなわち、谷部区域76aは、頂部区域78bと軸線Aに沿って軸線方向に位置合わせされている。燃料チャネル38bの谷部区域76bは、燃料チャネルの38cの頂部区域78cに対応する。言い換えると、各燃料チャネル38a、38b、38cは、それぞれの軸線Aに沿った面に対して対称である。
【0039】
流れ攪乱要素55は、谷部区域76a、76b、76cと頂部区域78a、78b、78cとの間に円滑な移行部を形成するために、隅部79を含む。これによって、酸素透過性膜36a、36b、36cにおける比較的鋭角の曲がり部をなくすという利点が得られる。一例において、隅部79は、約0.015インチなどの曲率半径に丸められる。
【0040】
図示した実施形態においては、構造部材80が、酸素透過性膜36a、36b、36cを支持するとともに、ガス除去チャネル40を画定している。図7における一例において、構造部材80は、ガスが内部を流れることのできる波形ワイヤメッシュ(corrugated wire mesh)82を含む。一例においては、ガスが内部を流れることのできる織物メッシュ(woven mesh)が使用される。
【0041】
任意選択で、裏当て層74(図3A)が、上述のように、各構造部材80と酸素透過性膜36a、36b、36cとの間に位置する。
【0042】
図8は図6に示すものと類似の実施形態を示すが、谷部区域76aが谷部区域76bに対応し、谷部区域76bが谷部区域76cに対応する。すなわち、谷部区域76a、76b、76cが、軸線Aに沿った軸線方向に沿って位置合わせされている。同様に、頂部区域78aは頂部区域78bに対応し、頂部区域78bは頂部区域78cに対応する。言い換えると、燃料チャネル38a、38b、38cは、積重ね配置されている。
【0043】
図9は、図6および図8に示すものと類似の実施形態を示すが、谷部区域76aは谷部区域76bから部分的にオフセットされており、谷部区域76bは、谷部区域76cから部分的にオフセットされている。同様に、頂部区域78aは頂部区域78bから部分的にオフセットされており、頂部区域78bは、頂部区域78cから部分的にオフセットされている。
【0044】
上記の例において、酸素透過性膜36は、裏当て層74、支持構造80またはその他の基板に隣接して被覆されている。酸素透過性膜36を製作する一例においては、裏当て層74ありまたはなしで、酸素透過性膜36が平坦形態または予成形(pre−shaped)形態で予め製作され、次いで支持構造80またはその他の基板の形状に形成される。別の例においては、酸素透過性膜36は、裏当て層74、支持構造80またはその他の基板に隣接してその位置(in situ)で被覆される。支持構造80またはその他の基板内での細孔径が十分に小さく、同時に流れ抵抗がなお適切レベルにある場合には、酸素透過性膜36を、裏当て層74なしに直接、多孔質支持体42に被覆することができる。流れチャネルは、流れ攪乱要素55の種類または寸法と同じでなければならないことはない。この説明があれば、当業者は、異なる種類および寸法の流れ攪乱要素55を使用して性能を調整できることを理解するであろう。
【0045】
酸素透過性膜は、例えば、吹付け塗り(spray coating)、電気噴霧被覆(electro−spray coating)(例えば、スプレーを所望の領域に導くのに電界を使用する)、はけ塗り(brush coating)、溶液キャスト被覆(solution cast coating)、蒸着被覆(vapor deposition coating)、プラズマ被覆(plasma coating)または無溶剤蒸気被覆(solventless vapor coating)によって形成される。これらの方法は、事前製作によるガス透過性膜36の形成にも適用可能であり、またこれらの方法は、ガス透過性膜36のその位置での形成にも適用可能であると考えられる。
【0046】
一事前製作例においては、酸素透過性膜36は、既知の方法で予め製作されて、支持構造80上に成形され、これによってガスが、支持構造80の内部または他の基板中に流れることが可能となる。真空または圧力を使用して、裏当て層74ありまたはなしで、予め製作された酸素透過性膜36を、支持構造80またはその他の基板の非平面形状に一致させる。任意選択として、熱を用いて酸素透過性膜36を、支持構造80またはその他の基板の非平面形状に成形する。さらに別の例においては、裏当て層74(図3A)は、酸素透過性膜を成形する前に、支持構造80またはその他の基板に隣接して配置される。
【0047】
その位置での形成の一例においては、酸素透過性膜36は、裏当て層74、支持構造80またはその他の基板に隣接して形成される。これによって酸素透過性膜36を支持構造80またはその他の基板の形状に一致させることに関連する追加のステップが除外される。
【0048】
その位置での被覆法の一例としては、無溶剤蒸気被覆がある。無溶剤蒸気被覆においては、非晶質フルオロポリマー形成のためのモノマーなどの所望の量の前駆材料が蒸発される。蒸発したモノマーは、流れ攪乱要素55上に堆積されてグリーン被覆(green coating)を形成する。「グリーン」という用語は、一般に完全には発達していない被覆を意味する。ここでのグリーン被覆は、モノマーがまだ重合していないので、まだ完全には発達していない。
【0049】
次いで、多孔質支持体42およびグリーン被覆は、不活性雰囲気中で選択された温度で加熱されて、グリーン被覆が重合しそれによって酸素透過性膜36が形成される。この選択される温度は、一般にポリテトラフルオロエチレンとして知られる、選択されるポリマーの種類によって決まる。開示される蒸着プロセスは、図3Bなどにおけるような多孔質支持体42の非平面形状上、または裏当て層74ありまたはなしの状態の図6などにおけるような支持構造80上に均一で薄い膜をもたらす。一例において、無溶剤蒸気被覆装置は、非平面形状上に約100nmから2μmの厚さを有する均一で薄い膜をもたらすと考えられる。
【0050】
代替的には、プラズマ被覆法を使用して、酸素透過性膜36を非平面表面上に被覆する。プラズマ被覆は、モノマー類などの前駆材料をプラズマ発生装置に導入することを伴う。プラズマ発生装置内で生成されたプラズマは、モノマーに電子を衝突させる。その結果、電子とモノマー断片(fragment)との衝突は、モノマーを活性化させる。活性化された断片は、非平面形状上に被覆され、重合して酸素透過性膜36を形成する。蒸着プロセスと同様に、プラズマ被覆は、非平面形状上に約100nmから2μmの厚さを有する均一で薄い膜をもたらすと考えられる。
【0051】
蒸気被覆またはプラズマ被覆の代わりに、平面状膜を形成するのに溶液キャスト(solution casting)が使用されており、これは、非平面表面上に酸素透過性膜36を製作することに適用可能であると考えられる。溶液キャストの一例においては、前駆材料が溶液中で溶剤と混合される。多孔質支持体42の透過性表面66(図3B)が、その溶液内に浸漬される。次いで、溶液および多孔質支持体42が加熱されて、溶液溶剤を除去するとともに前駆材料を重合させて酸素透過性膜36が形成される。任意選択として、図6に示す支持体裏当て層74が、溶液キャストプロセスの前に多孔質支持体42上に堆積されて、酸素透過性膜36の形成のための型板(template)としての役割を果たす。
【0052】
別の例においては、酸素透過性膜36の被覆は、シャランパニ(Sharangpani)とシン(Singh)(Rev.Sci.Instrum.68(3),March 1997)によって記載されているように、化学蒸着(chemical vapor deposition)(CVD)によって達成される。さらに別の例においては、酸素透過性膜36の被覆は、ブランシェット(Blanchet)(Appl.Phys.Lett.62(5),1 February 1993)によって記載されているように、レーザアブレーションによって達成される。
【0053】
前述の説明は、その中の限定によって規定されるのではなく、例示的なものである。上記の教示に照らせば、本発明の多数の修正形態および変形形態が可能である。当業者であれば、いくつかの修正形態は本発明の範囲に入るものであることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲内において、本発明を、具体的に説明した以外の方法で実施することができることを理解されたい。この理由で、添付の特許請求の範囲を検討することによって、本発明の真の範囲と内容を特定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】エネルギー変換装置(ECD)および付随する燃料システムの全体概略図である。
【図2A】図1の燃料システムにおいて使用される、燃料脱酸素装置システムの一実施形態を示す図である。
【図2B】図2Aの例示燃料脱酸素装置システムの動作を示す、簡略断面図である。
【図3A】流れ攪乱要素の一実施形態の斜視図である。
【図3B】図3Aの流れ攪乱要素の断面図である。
【図3C】前方および後方表面を図解する、図3Aの流れ攪乱要素を示す図である。
【図4A】長方形流れ攪乱要素の一実施形態を示す図である。
【図4B】角を丸めた長方形攪乱要素の一実施形態を示す図である。
【図4C】三角形流れ攪乱要素の一実施形態を示す図である。
【図4D】多角形流れ意攪乱要素の一実施形態を示す図である。
【図5】流れ攪乱要素の選択された区域上に酸素透過性膜を有する一実施形態を示す図である。
【図6】燃料チャネル谷部区域および頂部区域を示す、対称燃料チャネル配置の一実施形態を示す図である。
【図7】メッシュ支持構造の一実施形態を示す図である。
【図8】積重ね燃料チャネル配置の一実施形態を示す図である。
【図9】オフセット燃料チャネル配置の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10…燃料システム
14…脱酸素装置システム
26…燃料入口
28…真空または掃引ガスシステム
29…真空ポート
30…燃料出口
36…ガス透過性膜
36a、36b、36c…酸素透過性膜
38…燃料チャネル
40…ガス除去チャネル
42…多孔質支持体
55…流れ攪乱要素
66…ガス透過性表面
74…裏当て層
76a、76b、76c…谷部区域
78a、78b、78c…頂部区域
80…構造部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶存ガスを有する流体を受け取る流体チャネルと、
前記流体チャネル内にあり、前記溶存ガスの少なくとも一部が通過するガス透過性表面を有する、流れ攪乱要素と、
を備えることを特徴とする、流体システム内で使用する装置。
【請求項2】
前記流れ攪乱要素は、該流れ攪乱要素を通って延びているガス透過通路を画定することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ガス透過性表面はガス透過性膜を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記ガス透過性膜と前記ガス透過性表面との間に裏当て層を含むことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記流れ攪乱要素は多孔質材料を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記多孔質材料は、多孔質ポリマー、金属発泡体、多孔質セラミック、セラミック発泡体およびプラスチック発泡体のうちの少なくとも1つから選択される材料であることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記多孔質材料は、前記多孔質材料を通るガス透過通路を画定する細孔を含むことを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記流れ攪乱要素は、前記流体チャネルを通る流体の流れ方向に対して横断方向の平面状表面と、前記平面状表面に隣接する曲面状表面と、を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記流体チャネルは、細長いチャネル壁間の流体通路を備えており、前記流れ攪乱要素は、前記細長いチャネル壁の一方から流体通路中に横断方向に延びていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
軸線を画定する燃料通路と、
第1の遠位区域と、該第1の遠位区域よりも前記軸線に相対的に近い第1の近位区域と、を有する第1のガス透過性膜と連通する第1のガス除去チャネルを備える第1の流れ攪乱要素と、
第2の遠位区域と、該第2の遠位区域よりも前記軸線に相対的に近い第2の近位区域と、を有する第2のガス透過性膜と連通する第2のガス除去チャネルを備える第2の流れ攪乱要素と、
を含むことを特徴とする、流体システム内で使用する装置。
【請求項11】
前記第1の近位区域および前記第1の遠位区域はそれぞれ、前記軸線に対して軸線方向で、前記第2の近位区域および前記第2の遠位区域と位置合わせされていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記第1の近位区域および前記第1の遠位区域はそれぞれ、前記軸線に対して軸線方向で、前記第2の遠位区域および前記第2の近位区域と位置合わせされていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記第1の近位区域および前記第1の遠位区域はそれぞれ、前記軸線に対して軸線方向で、前記第2の遠位区域および前記第2の近位区域からオフセットされていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項14】
前記第1のガス透過性膜および前記第2のガス透過性膜は、前記燃料通路に向かう方向に面し、前記第1の流れ攪乱要素および前記第2の流れ攪乱要素のそれぞれは、隣接する燃料通路に向かう反対方向に面する第3のガス透過性膜を備えることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記第1の流れ攪乱要素および前記第2の流れ攪乱要素のそれぞれは、前記第3のガス透過性膜と、前記それぞれの第1のガス透過性膜および第2のガス透過性膜との間にガス除去チャネルを画定するメッシュ構造部材を備えることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記ガス除去チャネルは、前記燃料通路と前記ガス除去チャネルとの間に濃度差をもたらす動作が可能であることを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記第1の遠位区域、前記第1の近位区域、前記第2の遠位区域および前記第2の近位区域は、前記軸線に対して横断方向に延びていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項18】
内部に溶存ガスを有する燃料を受け取る燃料チャネルと、
前記燃料チャネルを通る非平面流路を画定する多孔質流れ攪乱要素と、
前記燃料チャネルと連通するガス透過性膜と、
前記多孔質流れ攪乱要素に隣接し、前記ガス透過性膜および前記多孔質流れ攪乱要素を通る燃料から溶存ガスを受け取る、ガス除去チャネルと、
を備えることを特徴とする、流体システム内で使用する装置。
【請求項19】
前記ガス透過性膜と前記多孔質流れ攪乱要素とに隣接する多孔質裏当て層をさらに備えることを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記多孔質裏当て層は、前記ガス透過性膜と前記多孔質流れ攪乱要素との間にあることを特徴とする請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記多孔質裏当て層は多孔質材料を含むことを特徴とする請求項19記載の装置。
【請求項22】
前記多孔質材料はポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記ガス除去チャネルは、前記ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通る燃料から前記ガス除去チャネル中に溶存ガスを抽出するように、前記燃料チャネルに対してガス分圧差を有することを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項24】
前記ガス除去チャネルは、前記ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通る燃料から前記ガス除去チャネル中に溶存ガスを抽出するように、前記燃料チャネルに対してガス濃度差を有することを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項25】
前記ガス透過性膜および流れ攪乱要素を通って延びて前記燃料チャネルと前記ガス除去チャネルとを流体接続するガス通路をさらに備えることを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項26】
前記ガス通路は、前記ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素によって画定される細孔の網状構造を備えることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記多孔質流れ攪乱要素は、前記燃料チャネルを通る非平面流路を画定する複数の多孔質流れ攪乱要素のうちの1つであることを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項28】
前記複数の多孔質流れ攪乱要素は相互接続されていることを特徴とする請求項27記載の装置。
【請求項29】
高酸素燃料から溶存ガスを除去して酸素低減燃料を生成する請求項18記載の前記装置を含む燃料脱酸素装置と、該燃料脱酸素装置より下流にあり前記酸素低減燃料を受け取る熱交換器と、を有することを特徴とする燃料システム。
【請求項30】
前記燃料脱酸素装置と連通する燃料貯蔵器をさらに含むことを特徴とする請求項29記載のシステム。
【請求項31】
前記燃料貯蔵器と前記燃料脱酸素装置との間に連通するポンプをさらに含むことを特徴とする請求項30記載のシステム。
【請求項32】
前記熱交換器と前記燃料貯蔵器とを接続する戻り導管と、前記燃料貯蔵器をバイパスして前記熱交換器と前記燃料脱酸素装置とを流体接続する再循環導管と、をさらに含むことを特徴とする請求項31記載のシステム。
【請求項33】
前記ガス除去チャネルと連通する真空源をさらに含むことを特徴とする請求項32記載のシステム。
【請求項34】
前記ガス除去チャネルと連通する掃引ガス源をさらに含むことを特徴とする請求項32記載のシステム。
【請求項35】
内部に溶存ガスを有する燃料を受け取る、細長いチャネル壁間の流路を備える燃料チャネルと、
前記細長いチャネル壁の一方から前記流路中に延びている多孔質流れ攪乱要素と、
前記燃料チャネルと連通するガス透過性膜と、
前記多孔質流れ攪乱要素に隣接し、前記ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通る燃料から溶存ガスを受け取る、ガス除去チャネルと、
を備えることを特徴とする、流体システム内で使用する装置。
【請求項36】
前記多孔質流れ攪乱要素は、前記細長いチャネル壁の一方に対して横向きの前方表面と、前記細長いチャネル壁の一方に対して横向きの後方表面と、を含むことを特徴とする請求項35記載の装置。
【請求項37】
前記前方表面は、曲面部分と、前記曲面部分に隣接する平面部分と、を備えることを特徴とする請求項36記載の装置。
【請求項38】
前記後方表面は平面状であることを特徴とする請求項37記載の装置。
【請求項39】
前記曲面部分は、第1の厚さの基底区域と、第2の厚さの先端区域とを調和させる丸みをつけた表面であり、前記第2の厚さは前記第1の厚さより小さいことを特徴とする請求項37記載の装置。
【請求項40】
前記前方表面は段付き表面を含むことを特徴とする請求項36記載の装置。
【請求項41】
(a)流体チャネルを通して溶存ガスを含む流体を伝達させるステップと、
(b)前記流体チャネルと、前記流体チャネル内の流れ攪乱要素内部のガス透過通路との間でガス濃度差を生成させるステップと、
(c)前記流体チャネル内の前記流れ攪乱要素内部の前記ガス透過通路を少なくとも部分的に通して、前記流体からガスを引き出すステップと、
を含むことを特徴とする、液体からガスを除去する方法。
【請求項42】
前記ガス透過通路からガス除去チャネル中に前記ガスを伝達するステップ(c)を含むことを特徴とする請求項41記載の方法。
【請求項43】
ステップ(b)は、前記流れ攪乱要素を画定する多孔質基板材料を通して前記ガス透過通路を設けることを含むことを特徴とする請求項41記載の方法。
【請求項44】
(a)非平面燃料チャネル基板を選択するステップと、
(b)非平面燃料チャネル流れ攪乱要素を生成するように、前記非平面燃料チャネル基板に隣接してガス透過性膜を被覆するステップと、
を含むことを特徴とする、流体システム内で使用する装置の製造方法。
【請求項45】
ステップ(a)は、多孔質ポリマー、金属発泡体、多孔質セラミック、セラミック発泡体、プラスチック発泡体およびメッシュのうちの少なくとも1つから前記非平面燃料チャネル基板を選択することを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項46】
ステップ(b)は、前記非平面燃料チャネル基板に隣接して前記ガス透過性膜を配置する前に、前記ガス透過性膜を予め作製することを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項47】
ステップ(b)は、前記非平面燃料チャネル基板に隣接して前記ガス透過性膜を配置する前に、前記ガス透過性膜を裏当て層上で予め作製することを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項48】
ステップ(b)は、真空形成および圧力形成から選択される方法を使用して、前記ガス透過性膜を前記非平面燃料チャネル基板の形状に一致させることを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項49】
ステップ(b)は前記ガス透過性膜を加熱することを含むことを特徴とする請求項48記載の方法。
【請求項50】
ステップ(b)は、前記ガス透過性膜を前駆材料からその位置で形成することを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項51】
ステップ(b)は、吹付け塗り、電気噴霧被覆、はけ塗り、溶液キャスト、蒸着およびプラズマ被覆から選択される方法を使用して、前記ガス透過性膜をその位置で形成することを含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項52】
(a)燃料脱酸素装置燃料チャネルの非平面ガス透過性表面上に被覆前駆材料を堆積させるステップと、
(b)前記被覆前駆材料から前記非平面ガス透過性表面上にガス透過性膜を形成するステップと、
を含むことを特徴とする、流体システム内で使用する装置のガス透過性膜の製造方法。
【請求項53】
ステップ(a)は、第1のモノマーおよび第2のモノマーを蒸発させることを含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項54】
ステップ(a)は、蒸発した第1のモノマーおよび蒸発した第2のモノマーを前記ガス透過性表面上に堆積させることを含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記被覆前駆材料を重合させるように、ステップ(b)の後に前記被覆前駆材料を加熱するステップ(c)を含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項56】
前記被覆前駆材料の重合を開始させるように、前記被覆前駆材料をプラズマで活性化するステップ(c)を含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項57】
ステップ(a)は、前記被覆前駆材料を含む溶液中に、前記ガス透過性表面を浸漬することを含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項58】
前記溶液中の溶剤を除去するとともに前記被覆前駆材料を重合させるように、前記被覆前駆材料を加熱するステップ(c)を含むことを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
ステップ(a)の前記ガス透過性表面は、前記燃料脱酸素装置燃料チャネル内の流れ攪乱要素上に位置することを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項60】
ステップ(a)の前記ガス透過性表面は非平面状であることを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項61】
ステップ(a)の前に、前記ガス透過性表面上に支持層を堆積させるステップ(c)を含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項1】
溶存ガスを有する流体を受け取る流体チャネルと、
前記流体チャネル内にあり、前記溶存ガスの少なくとも一部が通過するガス透過性表面を有する、流れ攪乱要素と、
を備えることを特徴とする、流体システム内で使用する装置。
【請求項2】
前記流れ攪乱要素は、該流れ攪乱要素を通って延びているガス透過通路を画定することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ガス透過性表面はガス透過性膜を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記ガス透過性膜と前記ガス透過性表面との間に裏当て層を含むことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記流れ攪乱要素は多孔質材料を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記多孔質材料は、多孔質ポリマー、金属発泡体、多孔質セラミック、セラミック発泡体およびプラスチック発泡体のうちの少なくとも1つから選択される材料であることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記多孔質材料は、前記多孔質材料を通るガス透過通路を画定する細孔を含むことを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記流れ攪乱要素は、前記流体チャネルを通る流体の流れ方向に対して横断方向の平面状表面と、前記平面状表面に隣接する曲面状表面と、を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記流体チャネルは、細長いチャネル壁間の流体通路を備えており、前記流れ攪乱要素は、前記細長いチャネル壁の一方から流体通路中に横断方向に延びていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
軸線を画定する燃料通路と、
第1の遠位区域と、該第1の遠位区域よりも前記軸線に相対的に近い第1の近位区域と、を有する第1のガス透過性膜と連通する第1のガス除去チャネルを備える第1の流れ攪乱要素と、
第2の遠位区域と、該第2の遠位区域よりも前記軸線に相対的に近い第2の近位区域と、を有する第2のガス透過性膜と連通する第2のガス除去チャネルを備える第2の流れ攪乱要素と、
を含むことを特徴とする、流体システム内で使用する装置。
【請求項11】
前記第1の近位区域および前記第1の遠位区域はそれぞれ、前記軸線に対して軸線方向で、前記第2の近位区域および前記第2の遠位区域と位置合わせされていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記第1の近位区域および前記第1の遠位区域はそれぞれ、前記軸線に対して軸線方向で、前記第2の遠位区域および前記第2の近位区域と位置合わせされていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記第1の近位区域および前記第1の遠位区域はそれぞれ、前記軸線に対して軸線方向で、前記第2の遠位区域および前記第2の近位区域からオフセットされていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項14】
前記第1のガス透過性膜および前記第2のガス透過性膜は、前記燃料通路に向かう方向に面し、前記第1の流れ攪乱要素および前記第2の流れ攪乱要素のそれぞれは、隣接する燃料通路に向かう反対方向に面する第3のガス透過性膜を備えることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記第1の流れ攪乱要素および前記第2の流れ攪乱要素のそれぞれは、前記第3のガス透過性膜と、前記それぞれの第1のガス透過性膜および第2のガス透過性膜との間にガス除去チャネルを画定するメッシュ構造部材を備えることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記ガス除去チャネルは、前記燃料通路と前記ガス除去チャネルとの間に濃度差をもたらす動作が可能であることを特徴とする請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記第1の遠位区域、前記第1の近位区域、前記第2の遠位区域および前記第2の近位区域は、前記軸線に対して横断方向に延びていることを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項18】
内部に溶存ガスを有する燃料を受け取る燃料チャネルと、
前記燃料チャネルを通る非平面流路を画定する多孔質流れ攪乱要素と、
前記燃料チャネルと連通するガス透過性膜と、
前記多孔質流れ攪乱要素に隣接し、前記ガス透過性膜および前記多孔質流れ攪乱要素を通る燃料から溶存ガスを受け取る、ガス除去チャネルと、
を備えることを特徴とする、流体システム内で使用する装置。
【請求項19】
前記ガス透過性膜と前記多孔質流れ攪乱要素とに隣接する多孔質裏当て層をさらに備えることを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記多孔質裏当て層は、前記ガス透過性膜と前記多孔質流れ攪乱要素との間にあることを特徴とする請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記多孔質裏当て層は多孔質材料を含むことを特徴とする請求項19記載の装置。
【請求項22】
前記多孔質材料はポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記ガス除去チャネルは、前記ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通る燃料から前記ガス除去チャネル中に溶存ガスを抽出するように、前記燃料チャネルに対してガス分圧差を有することを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項24】
前記ガス除去チャネルは、前記ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通る燃料から前記ガス除去チャネル中に溶存ガスを抽出するように、前記燃料チャネルに対してガス濃度差を有することを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項25】
前記ガス透過性膜および流れ攪乱要素を通って延びて前記燃料チャネルと前記ガス除去チャネルとを流体接続するガス通路をさらに備えることを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項26】
前記ガス通路は、前記ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素によって画定される細孔の網状構造を備えることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項27】
前記多孔質流れ攪乱要素は、前記燃料チャネルを通る非平面流路を画定する複数の多孔質流れ攪乱要素のうちの1つであることを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項28】
前記複数の多孔質流れ攪乱要素は相互接続されていることを特徴とする請求項27記載の装置。
【請求項29】
高酸素燃料から溶存ガスを除去して酸素低減燃料を生成する請求項18記載の前記装置を含む燃料脱酸素装置と、該燃料脱酸素装置より下流にあり前記酸素低減燃料を受け取る熱交換器と、を有することを特徴とする燃料システム。
【請求項30】
前記燃料脱酸素装置と連通する燃料貯蔵器をさらに含むことを特徴とする請求項29記載のシステム。
【請求項31】
前記燃料貯蔵器と前記燃料脱酸素装置との間に連通するポンプをさらに含むことを特徴とする請求項30記載のシステム。
【請求項32】
前記熱交換器と前記燃料貯蔵器とを接続する戻り導管と、前記燃料貯蔵器をバイパスして前記熱交換器と前記燃料脱酸素装置とを流体接続する再循環導管と、をさらに含むことを特徴とする請求項31記載のシステム。
【請求項33】
前記ガス除去チャネルと連通する真空源をさらに含むことを特徴とする請求項32記載のシステム。
【請求項34】
前記ガス除去チャネルと連通する掃引ガス源をさらに含むことを特徴とする請求項32記載のシステム。
【請求項35】
内部に溶存ガスを有する燃料を受け取る、細長いチャネル壁間の流路を備える燃料チャネルと、
前記細長いチャネル壁の一方から前記流路中に延びている多孔質流れ攪乱要素と、
前記燃料チャネルと連通するガス透過性膜と、
前記多孔質流れ攪乱要素に隣接し、前記ガス透過性膜および多孔質流れ攪乱要素を通る燃料から溶存ガスを受け取る、ガス除去チャネルと、
を備えることを特徴とする、流体システム内で使用する装置。
【請求項36】
前記多孔質流れ攪乱要素は、前記細長いチャネル壁の一方に対して横向きの前方表面と、前記細長いチャネル壁の一方に対して横向きの後方表面と、を含むことを特徴とする請求項35記載の装置。
【請求項37】
前記前方表面は、曲面部分と、前記曲面部分に隣接する平面部分と、を備えることを特徴とする請求項36記載の装置。
【請求項38】
前記後方表面は平面状であることを特徴とする請求項37記載の装置。
【請求項39】
前記曲面部分は、第1の厚さの基底区域と、第2の厚さの先端区域とを調和させる丸みをつけた表面であり、前記第2の厚さは前記第1の厚さより小さいことを特徴とする請求項37記載の装置。
【請求項40】
前記前方表面は段付き表面を含むことを特徴とする請求項36記載の装置。
【請求項41】
(a)流体チャネルを通して溶存ガスを含む流体を伝達させるステップと、
(b)前記流体チャネルと、前記流体チャネル内の流れ攪乱要素内部のガス透過通路との間でガス濃度差を生成させるステップと、
(c)前記流体チャネル内の前記流れ攪乱要素内部の前記ガス透過通路を少なくとも部分的に通して、前記流体からガスを引き出すステップと、
を含むことを特徴とする、液体からガスを除去する方法。
【請求項42】
前記ガス透過通路からガス除去チャネル中に前記ガスを伝達するステップ(c)を含むことを特徴とする請求項41記載の方法。
【請求項43】
ステップ(b)は、前記流れ攪乱要素を画定する多孔質基板材料を通して前記ガス透過通路を設けることを含むことを特徴とする請求項41記載の方法。
【請求項44】
(a)非平面燃料チャネル基板を選択するステップと、
(b)非平面燃料チャネル流れ攪乱要素を生成するように、前記非平面燃料チャネル基板に隣接してガス透過性膜を被覆するステップと、
を含むことを特徴とする、流体システム内で使用する装置の製造方法。
【請求項45】
ステップ(a)は、多孔質ポリマー、金属発泡体、多孔質セラミック、セラミック発泡体、プラスチック発泡体およびメッシュのうちの少なくとも1つから前記非平面燃料チャネル基板を選択することを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項46】
ステップ(b)は、前記非平面燃料チャネル基板に隣接して前記ガス透過性膜を配置する前に、前記ガス透過性膜を予め作製することを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項47】
ステップ(b)は、前記非平面燃料チャネル基板に隣接して前記ガス透過性膜を配置する前に、前記ガス透過性膜を裏当て層上で予め作製することを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項48】
ステップ(b)は、真空形成および圧力形成から選択される方法を使用して、前記ガス透過性膜を前記非平面燃料チャネル基板の形状に一致させることを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項49】
ステップ(b)は前記ガス透過性膜を加熱することを含むことを特徴とする請求項48記載の方法。
【請求項50】
ステップ(b)は、前記ガス透過性膜を前駆材料からその位置で形成することを含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項51】
ステップ(b)は、吹付け塗り、電気噴霧被覆、はけ塗り、溶液キャスト、蒸着およびプラズマ被覆から選択される方法を使用して、前記ガス透過性膜をその位置で形成することを含むことを特徴とする請求項50記載の方法。
【請求項52】
(a)燃料脱酸素装置燃料チャネルの非平面ガス透過性表面上に被覆前駆材料を堆積させるステップと、
(b)前記被覆前駆材料から前記非平面ガス透過性表面上にガス透過性膜を形成するステップと、
を含むことを特徴とする、流体システム内で使用する装置のガス透過性膜の製造方法。
【請求項53】
ステップ(a)は、第1のモノマーおよび第2のモノマーを蒸発させることを含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項54】
ステップ(a)は、蒸発した第1のモノマーおよび蒸発した第2のモノマーを前記ガス透過性表面上に堆積させることを含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記被覆前駆材料を重合させるように、ステップ(b)の後に前記被覆前駆材料を加熱するステップ(c)を含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項56】
前記被覆前駆材料の重合を開始させるように、前記被覆前駆材料をプラズマで活性化するステップ(c)を含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項57】
ステップ(a)は、前記被覆前駆材料を含む溶液中に、前記ガス透過性表面を浸漬することを含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項58】
前記溶液中の溶剤を除去するとともに前記被覆前駆材料を重合させるように、前記被覆前駆材料を加熱するステップ(c)を含むことを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
ステップ(a)の前記ガス透過性表面は、前記燃料脱酸素装置燃料チャネル内の流れ攪乱要素上に位置することを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項60】
ステップ(a)の前記ガス透過性表面は非平面状であることを特徴とする請求項52記載の方法。
【請求項61】
ステップ(a)の前に、前記ガス透過性表面上に支持層を堆積させるステップ(c)を含むことを特徴とする請求項52記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−190550(P2007−190550A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8966(P2007−8966)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】
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