説明

非接触充電器、電子機器及び非接触充電システム

【課題】使い勝手が良く、電力消費抑制、安全対策も考慮した非接触充電システムおよび当該システムに用いられる電子機器、非接触充電器、電子機器用の電池パックを提供する。
【解決手段】電子機器である携帯電話100と、携帯電話100を非接触方式で充電する非接触充電器200とから非接触充電システムが構成される。携帯電話100が、充電完了を示す満充電コマンドを送信し、当該満充電コマンドの受信とともに、非接触充電器200は携帯電話100への充電を行なわない充電停止状態に移行する。非接触充電器200は、充電停止状態下において、携帯電話100が充電可能な状態で非接触充電器200に載置されているか否かを確認する負荷確認信号を生成し、送出する。さらに非接触充電器200は、充電停止状態下において、携帯電話100が再充電を要求しているか否かを確認する充電再起動確認コマンドを更に生成し、送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触充電器及び電子機器に関し、特に、充電器から供給される電力を電子機器に充電する非接触充電システムにおける電子機器、非接触充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯型の電子機器には、その電源を確保するために、通常、繰り返し充放電が可能な二次電池が用いられている。そして、二次電池への充電するシステムとして、電子機器と非接触状態で二次電池を充電することのできる非接触充電システムが考案されている。
【0003】
このような非接触充電システムは、電動シェーバ等といった、充電端子の露出を避けることが望ましい機器を中心に普及しているが、今後、携帯電話のような機器にも普及していくことが予想される。例えば、特許文献1,2には、非接触充電システムが採用された携帯電話が記載されている。
【0004】
また、二次電池や、充電を受ける電子機器に異常が生じたときや、これらの負荷が正規のものでない場合、過電流や発熱を生ずるおそれがある。そこで、負荷が正規なものか否か判定する非接触充電システムが必要となる。例えば、特許文献3には、二次側の負荷(充電対象)変化による一次側(充電側)の電圧の位相、振幅値の変化を検出し、負荷が正規なものであるか否かを判定する電力伝送装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−143181号公報
【特許文献2】特開2006−115562号公報
【特許文献3】特開2006−230032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、このような非接触充電システムに対し、充電が完了したら非接触充電器の電力消費をできる限り抑えるとともに、安全対策のため熱の発生も抑えたいという要求が高まっている。更に、一旦充電が終了したのち、そのまま放置して電子機器の電池電圧が低下した場合には再度充電を再開させることが望ましい。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、使い勝手が良く、電力消費抑制、安全対策も考慮した非接触充電器及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様である非接触充電器は、二次電池を電源として用いる電子機器を非接触方式で充電する非接触充電器であって、前記電子機器から充電が完了している旨を示す満充電コマンドを受信する送受信部を備え、当該非接触充電器は、前記満充電コマンドの受信とともに、前記電子機器への充電を行なわない充電停止状態に移行し、前記送受信部は、更に充電停止状態下において、前記電子機器が再充電が可能な状態で前記非接触充電器に載置されているか否かを確認する負荷確認信号を間歓的に送信し、前記送受信部は、更に充電停止状態下において、前記電子機器が再充電が必要か否かを確認する充電再起動確認コマンドを間歓的に送信し、前記送受信部が、前記充電再起動確認コマンドから独立して、前記負荷確認信号を送信可能であり、前記充電再起動確認コマンドを送信する時間間隔は、前記負荷確認信号を送信する時間間隔より大きい。
【0009】
本発明の一態様である非接触充電器は、例えば、前記負荷確認信号により、前記電子機器が載置されている旨が確認された場合、前記制御部は当該非接触充電器を充電停止状態に維持し、前記負荷確認信号により、前記電子機器が載置されていない旨が確認された場合、前記制御部は当該非接触充電器を、電源が投入された直後の初期状態に移行させる
【0010】
本発明の一態様である非接触充電器において、例えば、前記送受信部は、前記電子機器を再充電する電力を送信するコイルを備え、前記非接触充電器は、前記負荷確認信号及び前記充電再起動確認コマンドを電力に重畳し、当該電力を変調する変調部を更に備える。
【0011】
本発明の一態様である非接触充電器において、例えば、前記送受信部は、前記電子機器を再充電する電力を送信するコイルを備え、前記非接触充電器は、当該コイルに発生する電流の位相変化により、前記電子機器が載置されている旨を判定する。
【0012】
本発明の一態様である非接触充電器において、例えば、前記送受信部は、前記電子機器を再充電する電力を送信するコイルを備える。
【0013】
本発明の一態様である電子機器は、例えば、本発明の一態様である非接触充電器によって充電可能な二次電池を電源として用いる。
【0014】
本発明の一態様である電子機器は、例えば、前記二次電池の充電完了に対応して前記電子機器の充電を行わない充電停止状態へ、前記非接触充電器を移行させる満充電コマンドを生成する制御部と、前記非接触充電器へ前記満充電コマンドを送信する送受信部と、を更に備え、前記電子機器の送受信部が、前記電子機器が前記充電停止状態中に再充電を要求したか否かを確認する充電再起動確認コマンドを前記非接触充電器から受信したとき、前記制御部は、前記二次電池が再充電を要求したか否かを確認し、再充電が要求されたとき、前記制御部は再充電要求を示す再充電コマンドを生成し、前記電子機器の送受信部は、前記非接触充電器へ前記再充電コマンドを送信する。
【0015】
本発明の一態様である電子機器において、例えば、前記送受信部は、前記非接触充電器から前記二次電池を充電する電力を受信するコイルを備え、前記電子機器は、前記満充電コマンド及び前記再充電コマンドを前記電子機器によって生成された電流に重畳し、当該電流を変調する。
【0016】
本発明の一態様である電子機器において、例えば、前記変調部は、データ順序の違いによって、前記満充電コマンド及び前記再充電コマンドを区別する。
【0017】
本発明の一態様である非接触充電システムは、例えば、電子機器と、当該電子機器を非接触方式で充電する非接触充電器とから構成される非接触充電システムであって、前記電子機器は、前記電子機器の充電完了を示す満充電コマンドを送信し、前記非接触充電器は、当該満充電コマンドの受信とともに、前記電子機器への充電を行なわない充電停止状態に移行し、前記非接触充電器は、(1)前記充電停止状態下において、前記電子機器が充電可能な状態で前記非接触充電器に載置されているか否かを確認する負荷確認信号を間歓的に生成するとともに、(2)当該負荷確認信号を送信し、さらに前記非接触充電器は、(1)前記充電停止状態下において、前記電子機器が再充電を要求するか否かを確認する充電再起動確認コマンドを生成するとともに、(2)前記負荷確認信号から独立した充電再起動確認コマンドを送信し、前記非接触充電器は、前記電子機器が前記充電再起動確認コマンドに対応して再充電を要求する旨を示す再充電コマンドを受信したときは電力伝達状態へ移行し、前記充電再起動確認コマンドに対応して当該再充電コマンドを受信しないときは充電停止状態を維持し、前記充電再起動確認コマンドを生成する時間間隔は、前記負荷確認信号を生成する時間間隔より大きい。
【0018】
本発明の一態様である非接触充電器は、例えば、負荷確認信号変調波または充電再起動確認コマンド変調波を用いて、搬送波を変調する変調部と、前記電子機器が再充電可能な状態で前記非接触充電器上に載置されているか否かを確認する前記負荷確認信号を、充電停止状態下で間歓的に生成する制御部と、を更に備える。
【0019】
本発明の一態様である非接触充電器において、例えば、前記送受信部が、前記充電再起動確認コマンド変調波から独立して、前記負荷確認信号変調波を送信し、前記充電再起動確認コマンド変調波を送信する時間間隔は、前記負荷確認信号変調波を送信する時間間隔より大きい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、非接触充電システムにおいて、充電完了後、非接触充電器の電力消費を抑制することができ、また、充電完了時に熱の発生を抑えるなど安全対策も盛り込むことが可能となる。さらには、二次電池の電圧低下時において、自発的に再充電を行なうようにしたため、非接触充電システムの使用性をより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る非接触充電システムの概要を説明するブロック図
【図2】信号送信の原理を説明する説明図
【図3】第1の実施形態に係る非接触充電器の状態遷移図
【図4】第1の実施形態に係る携帯電話の状態遷移図
【図5】第1の実施形態に係る非接触充電システムにおける非接触充電器および携帯電話間の信号のやり取りを示すシーケンス図
【図6】第1の実施形態に係る非接触充電器の各モードにおける動作タイミングチャートを示す図
【図7】本発明の第2の実施形態に係る非接触充電システムの概要を説明するブロック図
【図8】第2の実施形態に係る非接触充電器の状態遷移図
【図9】第2の実施形態に係る携帯電話の状態遷移図
【図10】第2の実施形態に係る非接触充電システムにおける非接触充電器および携帯電話間の信号のやり取りを示すシーケンス図
【図11】第2の実施形態に係る非接触充電器の充電停止モードにおける動作を示すフローチャート図
【図12】第2の実施形態に係る携帯電話の充電再起動確認時における動作を示すフローチャート図
【図13】第2の実施形態に係る非接触充電器の各モードにおける動作タイミングチャートを示す図
【図14】本発明の第3の実施形態に係る非接触充電システムの概要を説明するブロック図
【図15】図14の非接触充電システムの変形例を説明するブロック図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電池パック、電子機器、非接触充電器及び非接触充電システムについて説明する。以下の実施形態では、電子機器の一例として、携帯電話について説明する。しかしながら、本発明に係る電子機器は、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)等、充電によって繰り返し利用できる二次電池を電源とする種々の電子機器を含むものである。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る非接触充電システムの概要を説明するブロック図である。図1に示すように、本実施形態の非接触充電システムは、携帯電話100と、非接触充電器200と、ACアダプタ300とから構成されている。携帯電話100は、非接触充電器200と非接触の状態で、電力の供給を受けて後述するその電池セル(二次電池)160に充電することができる。「非接触」とは、携帯電話100と非接触充電器200が、その金属端子を介して直接電気的に導通しない状態で、両者の間で電力(電波)、信号等がやり取り可能であることをいう。
【0024】
携帯電話100は、主制御部110と、報知部ドライバ回路120と、報知部130と、充電回路140と、保護回路150と、電池セル160と、非接触充電回路170とを備える。主制御部110は携帯電話100の全体動作の制御をつかさどるもので、所定のプログラムによって動作する種々の演算処理回路から構成され、充電回路140における状態を監視すると共に、報知部ドライバ回路120を制御する。
【0025】
充電回路140は、非接触充電回路170から電力が入力され、保護回路150を介して電池セル160に対する充電を制御する。さらに充電回路140は、電池セル160への充電状態等を主制御部110に通知する。
【0026】
保護回路150は、充電回路140から受けた電力を、電池セル160に供給して充電する。また、保護回路150は温度検出器や過電流検出器を有して電池セル160への充電状態を監視し、高温や過電流を検出して異常が発生したと判定した場合に、電池セル160への充電を停止し、電池セル160を保護する。なお、異常検出したときの異常検出信号は、充電回路140を介して主制御部110へ出力されると共に、報知部130よりユーザへ通知される。
【0027】
電池セル160は、保護回路150を介して充電され、繰り返し充放電が可能となる二次電池の一例として機能する。
【0028】
報知部ドライバ回路120は、主制御部110の制御の下、報知部130を駆動する回路である。報知部130は、報知部ドライバ回路120の駆動信号により、ユーザに対し所定の報知信号を通知する部分であり、ブザー、バイブレータ、LED(Light Emitting Diode)などの発光部などより構成される。
【0029】
非接触充電回路170は、図1に示すように、制御部171と、認証部172と、変調部173と、復調部174と、切替回路175と、整流回路176と、コイル177とを有し、携帯電話100の非接触充電の作用を担う主要部分である。非接触充電回路170は、一つのモジュールとして携帯電話100の本体から簡易に取り外し可能に構成しうる。
【0030】
コイル177は、非接触充電器200に備えられたコイル280との間で電磁結合して電力の供給を受ける二次コイルとして機能し、供給された交流電力を整流回路176および復調部174に出力する。また、コイル177は、コイル280との間で電磁結合してコマンドを送信する。
【0031】
整流回路176は、コイル177から出力された交流電力を、直流電力に変換し、切替回路175と変調部173に出力する。切替回路175は、整流回路176から出力された直流電力を充電回路140に出力するか(オン)否か(オフ)を切り替える。この切替は後述するように制御部171の指示に従って行なわれる。
【0032】
復調部174は、非接触充電器200のコイル280から交流電力の供給を受けたコイル177から当該交流電力を受け取る。後述するように、この交流電力の交流波は、デジタル信号を搬送する搬送波(キャリア)として機能しており、復調部174は、当該デジタル信号を抽出、復号し、認証部172に出力する。
【0033】
認証部172は、制御部171からの指示に従ってコイル177を介して非接触充電器200と通信を行い、非接触充電器200からの供給された電力に含まれるデジタル信号に対応したコマンドを判別、認証する。そして、認証した結果を制御部171に通知する。
【0034】
制御部171は、主制御部110と同様、所定のプログラムによって動作する種々の演算処理回路から構成され、非接触充電回路170の動作を制御するとともに、後述する種々のコマンドを生成する。制御部171は、認証部172おいて得られた、非接触充電器200から送信された種々のコマンドに対応した認証結果の解析、充電回路140から電池セル160の充電が完了した旨を示す満充電ステータスの受領、切替回路175のオン・オフ制御など、非接触充電回路170の動作に関連した種々の制御を行なう。
【0035】
変調部173は、認証部172の認証信号に基づき、制御部171が生成した所定のコマンドに対応したデジタル信号を、後述する負荷変調により非接触充電器200のコイル280に送信する。
【0036】
非接触充電器200は、報知部210と、報知部ドライバ回路220と、制御部230と、変調部240と、認証部250と、復調部260と、コイルドライバ回路270と、コイル280とを備える。非接触充電器200は、卓上充電台、レストラン等飲食店のテーブル、公園等のベンチ、鉄道等の乗り物座席の手すり、自動車等のセンターコンソール、エスカレータ等の手すり等に組み込まれた組み込み型充電器など種々の形を有し、一般的には樹脂の筐体に回路が内蔵され、形成される。非接触充電器200は、交流電源10からACアダプタ300を介して電力の供給を受け、当該非接触充電器200の上に携帯電話100が載置されることにより、携帯電話100の充電が可能となる。
【0037】
報知部210、報知部ドライバ回路220の機能は、携帯電話100の報知部130、報知部ドライバ回路120と同等である。制御部230は、非接触充電器200の全体動作の制御をつかさどるもので、所定のプログラムによって動作する種々の演算処理回路から構成される。制御部230は後述する種々のコマンドを生成する。
【0038】
変調部240は、制御部230によって生成された種々のコマンドに対応したデジタル信号を、搬送波に重畳し、変調する。コイルドライバ回路270は、変調された搬送波を送出するため、コイル280を駆動する。
【0039】
コイル280は、携帯電話100に備えられたコイル177との間で電磁結合して電力を送出する一次コイルとして機能する。この場合、コイル280は上述したコイルドライバ回路270からの交流波をコイル177に送出する。また、コイル280は、コイル177との間で電磁結合し、復調部260を介して、認識部250にコマンドを出力する。即ち、コイル280は、電力、後述する種々のコマンド、信号を送受信する送受信部として機能する。
【0040】
復調部260は、携帯電話100のコイル177から信号の供給を受け、当該信号に基づいて交流電流を発生させるコイル280から当該交流電流を受け取る。後述するように、この交流電流の交流波は、デジタル信号を搬送する搬送波(キャリア)として機能しており、復調部260は、当該デジタル信号を抽出、復号し、認証部250に出力する。
【0041】
認証部250は、復調部260で得られたデジタル信号に対応したコマンドを判別、認証する。そして、認証した結果を制御部230に通知する。
【0042】
ACアダプタ300は、交流電源10に接続され、交流電力を直流電力に変換し、電源ケーブル310を介してコイルドライバ回路270に出力する。なお本図では、ACアダプタ300は非接触充電器300とは別の筐体に設けられているが、ACアダプタ300を一つの回路として、非接触充電器200内部に設けてもよい。
【0043】
本実施形態の非接触充電システムにおいて、電力は以下の経路に従って、非接触充電器200から携帯電話100に供給される。
【0044】
交流電源10→ACアダプタ300→電源ケーブル310→コイルドライバ回路270→コイル280→コイル177→整流回路176→切替回路175→充電回路140→保護回路150→電池セル160
【0045】
一方、本実施形態の非接触充電システムにおいて、携帯電話100と非接触充電器200の間では、後述するように種々のコマンドのやり取りがデジタル信号でなされる。このようなコマンドの一つとして、例えば携帯電話100の電池セル160の充電が完了したことを示す満充電コマンドは、以下の経路に従って、携帯電話100から非接触充電器200に伝達される。
【0046】
充電回路140→制御部171→認証部172→変調部173→整流回路176→コイル177→コイル280→復調部260→認証部250→制御部230
【0047】
このように、本実施形態の非接触充電システムにおいては、電力およびコマンドは共通の伝達路である、整流回路176、コイル177、コイル280を介して伝達されている。そして、本実施形態では、伝送される交流電力の交流波を搬送波とし、当該搬送波にデジタル信号によるコマンドが重畳され、伝達される。尚、本実施形態では、電力は非接触充電器200から携帯電話100に伝達されるが、携帯電話100から非接触充電器200へ電力は伝達されない。
【0048】
図2は、特許文献3にも開示されているが、非接触充電器200が、その上に物体が載置されているのか、また、その上に載置された物体が携帯電話100なのか否かを判別する方法、すなわち、被充電側の状態を判定する方法を示す。後述するように、判定時、非接触充電器200の制御部230は、負荷の有無を確認する負荷確認信号を生成し、変調部240による変調を経て、コイル280から交流電力が送出される。図2(a)はこのとき、コイル280に発生する電圧(正弦波波形)を示す。一般的に非接触充電器200上に何ら物体が載置されていない状態、すなわち無負荷状態のとき、図2(b)に示すように、コイル280に発生する交流電流の位相は略π/2(略90度)遅れることとなる。
【0049】
そして、非接触充電器200上に携帯電話100が載置された状態、すなわち正規負荷状態のとき、図2(c1),(c2)のように、コイル280に発生する交流電流の位相は、所定量のA、A+α進むことが予めわかっている。そこで、このような電流位相の変化に基づき、非接触充電器200は携帯電話100が載置されたか否かを検知することができる。
【0050】
また、携帯電話100が載置された状態として、図2(c1),(c2)の二つの電流位相のずれを示した。これは、携帯電話100側において変調負荷を変動させ負荷変調し、このような変動に基づきコイル280で観察される交流電流の位相のずれにも差を設けることにより、携帯電話100から非接触充電器200に送信するデジタル信号を変化させる方法を示す。本例においては、携帯電話100の基本負荷の場合において、位相のずれがAの場合はデジタル信号の“0”に対応し(概念図(d1)参照)、携帯電話100において基本負荷に所定の負荷Rを更に加えた場合、位相のずれがA+αとなり(概念図(d2)参照)、この場合はデジタル信号の“1”に対応するよう設定されている。そして、このように変調負荷を時系列的に変動させることにより、種々の“0”、“1”信号の組合せを生成することが可能となり、送信するデジタル信号列を複数種生成することができ、種々のコマンドを送信することが可能となる(後述する満充電コマンド、再充電コマンドなど)。これは、いわゆるPSK(位相偏移変調;Phase Shift Keying)の考え方の利用である。
【0051】
また、携帯電話100ではない、いわゆる異物負荷が非接触充電器200上に載置されると、例えば、図2(e)に示すように、コイル280の交流電流の位相はBずれることとなり、これをもとに、非接触充電器200は、載置された物が携帯電話100ではないことを判別することができる。
【0052】
また、非接触充電器200から携帯電話100にコマンドを送信する際には、FSK(周波数偏移変調;Frequency Shift Keying)を用いて、複数種のコマンド(後述する負荷確認信号、充電再起動確認コマンドなど)を送信することができ、携帯電話100において、復調部174が当該コマンドを復調する。
【0053】
ただし、上述した変調方式は例示であり、負荷の有無の把握、コマンドの判別を可能とするものであるならば、特にその方式は限定されない。
【0054】
次に、本実施形態の非接触充電システムの動作について説明する。図3は、本実施形態に係る非接触充電器200の状態の遷移を示す状態遷移図である。まず、ACアダプタ300の電源が投入され、非接触充電器200の電源がオンとなると(S0)、制御部230は、非接触充電器200を初期状態としてのスタンバイモードに移行させる(S1)。このとき、制御部230は、図2の方式に基づき、負荷有無の確認を行なう。すなわち、制御部230は、負荷の有無を確認する負荷確認信号を生成し、変調部240による変調を経て、コイル280から交流電力が送出される。そして、図2(b)のように、電流位相に基づき負荷無しと判別された場合(T1)、制御部230は、非接触充電器200をスタンバイモードに維持する。
【0055】
一方、図2(c1),(c2),(d)のように、電流位相に基づき負荷有りと判別された場合(T2)、制御部230は、非接触充電器200を認証モードに移行させる(S2)。このとき、制御部230は相手方に認証を求める認証要求コマンドを生成し、変調部240による変調を経て、コイル280から送出される。これに対する負荷からのデジタル信号が復調部260により復調されると、認証部250は復調されたデジタル信号を認証判定し、携帯電話100の認証IDが得られるか否かを判定する。認証IDが得られない、すなわち、この認証に何らかのエラーが生じたとき(T3)、制御部230は、非接触充電器200をエラーモードに移行させる(S3)。このとき、制御部230は、図2の方式に基づき、再び負荷有無の確認を行なうが、負荷無しと判別した場合に(T4)、非接触充電器200を再びスタンバイモードに移行させる(S1)。また、負荷有りと判断した場合に(T15)、エラーモードを維持する(S3)。
【0056】
認証モード(S2)において、認証部250が携帯電話100を認証すると(T5)、制御部230は、非接触充電器200を伝送モード(充電中)に移行させる(S4)。携帯電話100からのデジタル信号が復調部260により復調されると、認証部250は復調されたデジタル信号を認証判定し、当該信号が携帯電話100の電池セル160の充電完了を示す満充電コマンドであるか否かを判別する。さらに、認証部250は、図2の方式に基づき、正規負荷/異物負荷判別、負荷確認をも行なう。これらの判別に基づき、制御部230は、以下の様に非接触充電器200のモードを移行させる。
【0057】
すなわち、負荷無しと判別されたとき(T6)、制御部230は、非接触充電器200を再びスタンバイモードに移行させる(S1)。また、異物負荷有り(T7)、または不正規負荷と判別されたとき(T8)、制御部230は、非接触充電器200をエラーモードに移行させる(S3)。また、満充電コマンド無し、異物負荷無し、正規負荷有りと判別されたとき(T9)、未だ充電中のため、制御部230は、非接触充電器200を伝送モードに維持する(S4)。
【0058】
伝送モード(S4)において、認証部250が満充電コマンドを判別すると(T10)、充電完了のため、制御部230は、非接触充電器200を充電停止状態としての充電完了モードに移行させる(S5)。制御部230は、図2の方式に基づき、負荷有りを確認した場合(T12)、未だ負荷が載置されているため、制御部230は、非接触充電器200を充電完了モードに維持する(T12)。一方、制御部230は、負荷無しを確認した場合(T11)、負荷が既に取り外されているため、制御部230は、非接触充電器200を再びスタンバイモードに移行させる(S1)。
【0059】
図4は、本実施形態に係る携帯電話100の状態の遷移を示す状態遷移図である。まず、非接触充電器200から電力が供給されず、非接触充電回路170の電源はオフとなり初期状態になる(S21)。
【0060】
続いて、図3のS4の伝送モードで非接触充電器200からコイル177に交流電力が供給されると(T22)、非接触充電回路170が起動する(S22)。そして、制御部171は、認証要求コマンドが何ら得られないときは、非接触充電回路170の起動時の状態を維持する(T23)。一方、認証要求コマンドが得られたときは(T24)、制御部171は、携帯電話100(非接触充電回路170)を認証モードに移行させる(S23)。そして、制御部171は、認証部172の認証結果に基づき、非接触充電器200の認証を行なう。
【0061】
認証が不成功のとき、コイル280からの電力供給が途絶えるため電源がオフし(T25)、非接触充電回路170は電源オフ状態になる(S21)。一方、認証が成功したとき(T26)、制御部171は、携帯電話100(非接触充電回路170)を充電モードに移行させる(S24)。そして、制御部171は、充電回路140から満充電ステータスが得られるか否か確認する。満充電ステータスが得られないとき(T27)、未だ充電が完了していないため、制御部171は、携帯電話100を充電モードに維持する(S27)。また、携帯電話100が非接触充電器200から外されるなどして、コイル177への電力供給が停止したときは、非接触充電回路170の電源はオフになり(T28)、電源オフ状態に再び移行する(S21)。
【0062】
充電回路140から満充電ステータスが得られると(T29)、充電が完了したため、制御部171は、認証部172、変調部173、整流回路176、コイル177を介して充電完了通知、すなわち満充電コマンドを非接触充電回路200に送信する(S25)。当該コマンドを送出後、コイル280からの電力供給が途絶えるために、非接触充電回路170はオフになり(T30)、電源オフ状態に再び移行する(S21)。
【0063】
図5は、本実施形態における非接触充電器200と、携帯電話100の間の信号(認証ID、コマンド)のやりとりを説明するシーケンス図である。スタンバイモード(図3;S1)においては、所定時間間隔をおいて、非接触充電器200から携帯電話100に負荷確認信号が送出される。携帯電話100が非接触充電器200に載置されると、図2の方式に基づき、非接触充電器200は、携帯電話100を検知する。
【0064】
認証モード(図3;S2)においては、非接触充電器200から携帯電話100に認証要求コードが送出されるとともに、その返答信号として携帯電話100から非接触充電器200に認証IDが送出される。伝送モード(図3;S4)の間においては、携帯電話100から非接触充電器200に、所定時間間隔をおいて、正規の負荷であることを示す正規負荷コマンドが送出されるとともに、非接触充電器200から携帯電話100に電力伝送が継続される。そして、携帯電話100の充電が完了すると、満充電コマンドが携帯電話100から非接触充電器200に送出され、電力伝送が停止される。
【0065】
充電完了モード(図4;S5)においては、所定時間間隔をおいて、非接触充電器200から携帯電話100に負荷確認信号が送出される。そして、例えば携帯電話100が非接触充電器200から取り外されると、図2の方式に基づき、非接触充電器200は、携帯電話100がないことを検知し、再びスタンバイモードに移行する。尚、図5では、エラーモード(図3;S3)は記載されていない。
【0066】
図6は非接触充電器200の動作タイミングをイメージ的にHまたはLで示している図である。Hの期間は充電器200が動作中(負荷確認信号の転送と負荷確認、認証動作、電力伝送動作のいずれかの動作)であることを表し、Lの期間は信号転送や電力伝送の動作を停止していることを表している。(a)スタンバイモード、(b)認証モード、(c)伝送モード、(d)充電完了モード、(e)エラーモードそれぞれのモード下において、非接触充電器200から携帯電話100への信号転送は、上述したように例えば、FSK(周波数偏移変調)によって、変調部240により変調され、コイルドライバ回路270、コイル280を介して、負荷に向けて送出される。
【0067】
図6(a)のスタンバイモードでは、非接触充電器200は、所定間隔の負荷確認信号で負荷の有無を確認し、負荷無しの場合は当該モードを維持し、負荷検出後、認証モードに移行する。待機電力削減のため、動作の間隔T1は比較的大きく設定されている。また、負荷有無の確認のみを行なうため、動作時間の幅Taは比較的小さい。
【0068】
図6(b)の認証モードでは、動作の間隔T2はT1より小さく設定されているが、T2<T1に限定されるものではない。また、図5でも示したように、本モードでは非接触充電器200が認証要求コマンドを発した後、携帯電話100からの認証IDの返信を要し、当該返信が得られるまでの所定時間の間、動作状態を継続するため、動作時間の幅Tbは比較的大きく、本例ではTa<Tbとなっている。
【0069】
図6(c)の伝送モードでは、非接触充電器200は動作状態を維持する。図6(d)の充電完了モードでは、非接触充電器200は、所定間隔の負荷確認信号で負荷の有無を確認し、負荷有りの場合は当該モードを維持し、負荷無しを検出後、スタンバイモードに移行する。待機電力削減のため、動作の間隔T3は比較的大きく設定され、本例ではT3=T1である。また、負荷有無の確認のみを行なうため、動作時間の幅Tcは比較的小さく、本例ではTc=Taである。
【0070】
図6(e)のエラーモードでは、非接触充電器200は、所定間隔の負荷確認信号で負荷の有無を確認し、負荷有りの場合はモードを維持し、負荷無しを検出後、スタンバイモードに移行する。待機電力削減のため、動作の間隔T4は比較的大きく設定され、本例ではT4=T3=T1である。また、負荷有無の確認のみを行なうため、動作時間の幅Tdは比較的小さく、本例ではTd=Tc=Taである。
【0071】
本例では、T1=T3=T4であり、Ta=Tc=Tdであるため、スタンバイ/充電完了/エラーの各モードの動作タイミングは全く同一であるが、あくまで異なる判別作用を行い、移行先のモードも異なるため、モードを共用することはできない。特に、充電完了モードとエラーモードを区別しておくことで、充電完了とエラーの状態の報知を分けて行なうことが可能となる(例えばブザー音を変えるなど)。
【0072】
本発明の第1の実施形態によれば、充電停止状態である充電完了モードにおいて、間歇的に負荷確認信号を生成し、送信している。従って、従来のものと同様な使い勝手を保持したまま、充電完了後、非接触充電器の電力消費を抑制することができ、また、充電完了時に熱の発生を抑えるなど安全対策も考慮した非接触充電システム、このようなシステム
に適用される非接触充電器、電子機器が提供される。
【0073】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態に係る非接触充電システムの概要を説明するブロック図である。図7に示すように、本実施形態では、非接触充電回路170に電圧検出回路178、判定回路179が追加されている点が第1の実施形態と異なる。電圧検出回路178は保護回路150に接続され、判定回路179は電圧検出回路178と制御部171間に接続されている。
【0074】
本実施形態では、第1の実施形態に対し、充電完了後、再度携帯電話100の充電が必要になった場合、再充電を開始する機能を付与している。充電が完了し、携帯電話100を非接触充電器200に置きっ放しにしておくと、電池セル160電圧が低下することがあるが、このような場合においても、本実施形態の非接触充電システムは自動的に再充電を開始し、使用性を向上させることにしている。すなわち、携帯電話100の制御部171が満充電ステータスを受領し(図9;T29)、充電が完了した後、充電再起動確認コマンドの際に、電圧検出回路178が、保護回路150を介して電池セル160の電圧を検出する。そして、電圧検出回路178によって検出された電圧が所定以下の値にまで下がると、判定回路179が制御部171に対し、当該電圧が所定以下の値にまで下がった旨を示す電圧降下ステータスを送信する。そして、制御部171は、認証部172、変調部173、整流回路176、コイル177を介して再充電を要求する再充電コマンドを非接触充電器200に送信する。すなわち、再充電コマンドは、以下の経路に従って、携帯電話100から非接触充電器200に伝達される。
【0075】
保護回路150→電圧検出回路178→判定回路179→制御部171→認証部172→変調部173→整流回路176→コイル177→コイル280→復調部260→認証部250→制御部230
【0076】
図8は、本実施形態に係る非接触充電器200の状態の遷移を示す状態遷移図である。S1〜S4の各モードおよびT1〜T11、T15の遷移ステップは、図3に示した第1の実施形態の状態遷移図と共通である。本実施形態においては、第1の実施形態におけるT10の後の充電完了モード(S5)、遷移ステップT12に代えて、新たに充電停止モード(S6)、遷移ステップT13,T14を用意している。
【0077】
充電停止モード(S6)では、非接触充電器200は負荷の有無確認と充電再起動の確認を行う。伝送モード(S4)において、認証部250が満充電コマンドを判別すると(T10)、充電完了のため、制御部230は、非接触充電器200を充電停止モードに移行させる(S6)。制御部230は、負荷確認信号と、再充電を必要とするか否かを携帯電話に確認するための充電再起動確認コマンドを送出する。当該コマンドに対する返答に基づき、制御部230は負荷有りを確認するとともに、上述した再充電コマンドを携帯電話100から受領しない場合(T13)、まだ負荷が載置されているが充電を必要としないため、制御部230は、非接触充電器200を充電停止モードに維持する(S6)。一方、制御部230は、負荷無しを確認した場合(T11)、負荷が既に取り外されているため、制御部230は、非接触充電器200を再びスタンバイモードに移行させる(S1)。一方、携帯電話100からコイル280、復調部260、認証部250を介して再充電コマンドを受領すると(T14)、制御部230は非接触充電器200を伝送モード(S4)に移行させ、携帯電話100の充電が再開する。
【0078】
尚、充電停止モード(S6)においては、負荷確認のタイミング(負荷確認信号の送出)と、充電再起動確認のタイミング(充電再起動確認コマンドの送出)をずらし(図13(d)参照)、これらの確認をおこなっていないときは、制御部230は非接触充電器200の動作を停止することにしている。従って、非接触充電器200の発熱、温度上昇を防止し、安全性を確保するとともに、充電停止時の充電器側の待機電力を削減することができる。
【0079】
図9は、本実施形態に係る携帯電話100の状態の遷移を示す状態遷移図である。S21〜S25の各状態およびT21〜T30の遷移ステップは、図4に示した第1の実施形態の状態遷移図と共通である。本実施形態においては、第1の実施形態におけるS22の後に、再充電判定(S26)、充電再開(S27)、遷移ステップT31〜T34およびT35を新たに用意している。
【0080】
非接触充電回路170の起動後(S22)、認証要求コマンドおよび充電再起動確認コマンドが無い場合(T35)、非接触充電回路170の起動状態を維持する(S22)。充電再起動確認コマンドが有りの場合(T31)、電圧検出回路178が、電池セル160の電池電圧検出し、判定回路179が再充電の必要性を判定する(S26)。判定回路179が再充電は必要ないと判定すると、コイル280からの電力供給がいずれ無くなるために非接触充電回路170がオフして(T32)、初期の電源オフ状態に戻る(S21)。一方、判定回路179が、再充電が必要であると判定すると(T33)、この判定を受けた制御部171は、充電再開を要求する旨を示す再充電コマンドを送信開始し(S27)、当該コマンドが、認証部172、変調部173、整流回路176、コイル177を介して非接触充電器200に送信され(T34)、携帯電話100は充電モードに遷移する(S24)。
【0081】
図10は、本実施形態における非接触充電器200と、携帯電話100の間の信号(認証ID、コマンド)のやりとりを説明するシーケンス図である。スタンバイモード(S1)、認証モード(S2)、伝送モード(S4)は図5のものと共通である。そして、本実施形態では、図5の充電完了モード(S5)に代えて、充電停止モード(図10;S6)が設けられている。
【0082】
充電停止モード(S6)においては、所定時間間隔をおいて、非接触充電器200から携帯電話100に負荷確認信号が送出されるとともに、異なる所定時間間隔をおいて、充電再起動確認コマンドが送出される。そして、携帯電話100の電池セル160の電圧が所定の電圧に降下した後、充電再起動確認コマンドを受信すると、携帯電話100は再充電コマンドを送信する。非接触充電器200は再充電コマンドに基づき、再び伝送モード(S4)に移行する。尚、図10では、エラーモード(図3、図8;S3)は記載されていない。
【0083】
図11は、本実施形態に係る非接触充電器200の充電停止モードにおける動作を示すフローチャート図である。本実施形態では、T5が負荷確認タイミングの周期であり、T6が充電再起動確認のタイミングの周期である(図13参照)。尚、本動作例では、T5は0.1s(秒)、T6は100sに設定されている。
【0084】
まず、制御部230が、非接触充電器200に設けられたT5、T6をカウントする図示せぬタイマー(T5タイマーおよびT6タイマー)によるカウントのリセットを行い、T5=0、T6=0をタイマーに設定する(ステップS101)。そして、制御部230の所定のトリガ信号によりタイマーがカウントを開始し、T5、T6のカウントを開始する(ステップS102)。
【0085】
そして、T5が0.1sを経過したことをT5タイマーが検知すると(ステップS103;YES)、非接触充電器200は、上述した手順に従って負荷の有無を確認する(ステップS104)。そして、負荷の存在が確認されると(ステップS105;YES)、制御部230の所定のトリガ信号によりT5タイマーはT5のカウントをリセットし、再度カウントを開始し(ステップS106)、ステップS103に戻る。一方、ステップS105で負荷の存在が確認されない場合(ステップS105;NO)、非接触充電器200は、上述した手順に従ってスタンバイモードへ移行し(ステップS107)、充電停止モードが終了する。
【0086】
また、ステップS103で、T5が0.1sを経過したことをT5タイマーが検知しない場合(ステップS103;NO)、T6タイマーによるT6のカウントが100sを超えたか否かが判定される(ステップS108)。T6が100sを経過したことをT6タイマーが検知しない場合(ステップS108;NO)、再びステップS103に戻り、それ以降の手順が実行される。一方、T6が100sを経過したことをT6タイマーが検知すると(ステップS108;YES)、非接触充電器200は、充電再起動確認コマンドを携帯電話100に送信し、携帯電話100からの返信を待つ(ステップS109)。
【0087】
そして携帯電話100からの返信に再充電コマンドが存在する場合(ステップS110;YES)、非接触充電器200は、上述した手順に従って伝送モードへ移行し(ステップS111)、充電停止モードが終了する。一方、ステップS110において、携帯電話100からの返信に再充電コマンドが存在しない場合(ステップS110;NO)、制御部230の所定のトリガ信号によりT6タイマーはT6のカウントをリセットし、再度カウントを開始し(ステップS112)、ステップS103に戻る。
【0088】
図12は、本実施形態に係る携帯電話100の充電再起動確認時における動作を示すフローチャート図である。ここでは、電圧検出回路178によって検出される、電池セル160の再充電が必要となる限界電圧としての再充電開始電圧は3.9Vに設定されている。
【0089】
まず、非接触充電器200のコイル280からの電力供給により、コイル177に起電力が発生する(ステップS201)。そして、この起電力を整流回路176が整流し、非接触充電回路170の電源電圧を生成する(ステップS202)。電源電圧の生成に伴い、制御部171、電圧検出回路178、判定回路179、認証部173、復調部174が起動する(ステップS203)。
【0090】
復調部174、認証部173の認証判定結果より、制御部171は、受信した交流電力の交流波に充電再起動確認コマンドが含まれていることを確認し(ステップS204)、電圧検出回路178が電池セル160の電圧を検出する(ステップS205)。さらに判定回路179が検出された電池電圧を判定する(ステップS206)。
【0091】
上記判定結果が3.9V以下の場合(ステップS207;YES)、判定回路179は制御部171に再充電をする旨の通知を行い(ステップS208)、これを受けた制御部171は、認証部172、変調部173を介して、再充電コマンドを送出する(ステップS209)。これを受け、非接触充電器200は、伝送モードに移行する(ステップS210)。
【0092】
一方、ステップS207において、判定回路179の判定結果が3.9Vより大きい場合(ステップS207;NO)、判定回路179は制御部171に再充電をしない旨の通知を行う(ステップS211)。非接触充電器200のコイル280からの電力供給が途絶えるため、コイル177の起電力が低下し、非接触充電回路170の電源がオフになる(ステップS212)。
【0093】
図13は非接触充電器200の動作タイミングをイメージ的にHまたはLで示している図である。Hの期間は充電器200が動作中(負荷確認信号転送と負荷確認、認証動作、電力伝送動作、充電再起動確認動作のいずれかの動作)であることを表し、Lの期間は信号転送や電力伝送の動作を停止していることを表している。(a)スタンバイモード、(b)認証モード、(c)伝送モード、(e)エラーモードは、図6と共通である。本実施形態では、図6(d)の充電完了モードに代わり、(d)充電停止モード設けられている。
【0094】
図13(d)の充電停止モードにおいては、充電再起動確認コマンドの動作の間隔T6は、負荷確認信号の動作の間隔T5(=T1=T4)より大きく設定されている。従って、スタンバイモードとほぼ同等の待機電力でありながら、充電再起動確認を行い、再充電を行なうことを可能にしている。負荷確認信号の動作時間の幅Teは、他の動作時間Ta,Tc,Tdと等しく設定されている。また、図10の(S6)でも示したように、本モードでは、非接触充電器200が充電再起動確認コマンドを発した後、携帯電話100から再充電コマンドが得られるか否かの判別を要し、当該判別が完了するまで動作状態を継続するため、動作時間の幅Tfは比較的大きく、本例ではTa<Tb<Tfとなっている。
【0095】
以下、動作の間隔、動作時間の幅に関する具体例を挙げるが、特にこのような数値に限定されるものではない。
【0096】
T1,T4,T5:0.1s(秒)
T6:100s
Ta,Tc,Td:0.01s
Tf:0.05s
【0097】
また、非接触充電器200の動作時の消費電力が1Wで、動作停止時の消費電力が0.01Wの場合、時間平均では、スタンバイモード時の消費電力は0.1090W、充電停止モード時の消費電力は0.1094Wとなることがわかり、充電停止モードを採用しても、単なるスタンバイモードとほぼ同等の電力消費に抑えることができることがわかった。
【0098】
本発明の第2の実施形態によれば、充電停止状態である充電停止モードにおいて、間歇的に負荷確認信号、再起動確認コマンドを生成し、送信している。従って、第1の実施形態の効果に加え、自動的に再充電を可能とし、より使用性を向上させた非接触充電システム、このシステムに適用される非接触充電器、電子機器が提供される。
【0099】
(第3の実施形態)
図14は本発明の第3の実施形態に係る非接触充電システムの概要を説明するブロック図である。図14に示すように、本実施形態では、第2の実施形態の非接触充電システムにおける携帯電話100において、コイル177、保護回路150、電池セル160を含む電池パック400が独立して設けられている。電池パック400は携帯電話100の他の部分である本体から取り外し可能に構成されており、独立して取引可能に構成されている。
【0100】
図15は図14の非接触充電システムの変形例である。図15に示すように、本実施形態では、第2の実施形態の非接触充電システムにおける携帯電話100において、非接触充電回路170全体、保護回路150、電池セル160を含む電池パック400が独立して設けられている。本例の電池パック400は、本発明の主要部分を含むとともに、携帯電話100の他の部分である本体から取り外し可能に構成されており、独立して取引可能に構成されている。
【0101】
本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の電池パック、電子機器、非接触充電器及び非接触充電システムは、使い勝手が良く、電力消費抑制、安全対策も考慮したものであり、携帯電話等の種々の電子機器の充電に有用である。
【符号の説明】
【0103】
10 交流電源
100 携帯電話
110 主制御部
120 報知部ドライバ回路
130 報知部
140 充電回路
150 保護回路
160 電池セル
170 非接触充電回路
171 制御部
172 認証部
173 変調部
174 復調部
175 切替回路
176 整流回路
177 コイル
178 電圧検出回路
179 判定回路
200 非接触充電器
210 報知部
220 報知部ドライバ回路
230 制御部
240 変調部
250 認証部
260 復調部
270 コイルドライバ回路
280 コイル
300 ACアダプタ
310 電源ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を電源として用いる電子機器を非接触方式で充電する非接触充電器であって、
前記電子機器から充電が完了している旨を示す満充電コマンドを受信する送受信部を備え、
当該非接触充電器は、前記満充電コマンドの受信とともに、前記電子機器への充電を行なわない充電停止状態に前記非接触充電器を移行し、
前記送受信部は、充電停止状態下において、前記電子機器が再充電が可能な状態で前記非接触充電器に載置されているか否かを確認する負荷確認信号を送信し、
前記送受信部は、更に充電停止状態下において、前記電子機器が再充電が必要か否かを確認する充電再起動確認コマンドを間歓的に送信し、
前記送受信部が、前記充電再起動確認コマンドから独立して、前記負荷確認信号を送信可能であり、
前記充電再起動確認コマンドを送信する時間間隔は、前記負荷確認信号を送信する時間間隔より大きい、非接触充電器。
【請求項2】
請求項1記載の非接触充電器であって、
前記負荷確認信号により、前記電子機器が載置されている旨が確認された場合、前記制御部は当該非接触充電器を充電停止状態に維持し、
前記負荷確認信号により、前記電子機器が載置されていない旨が確認された場合、前記制御部は当該非接触充電器を、電源が投入された直後の初期状態に移行させる非接触充電器。
【請求項3】
請求項1記載の非接触充電器であって、
前記送受信部は、前記電子機器を再充電する電力を送信するコイルを備え、前記非接触充電器は、前記負荷確認信号及び前記充電再起動確認コマンドを電力に重畳し、当該電力を変調する変調部を更に備える非接触充電器。
【請求項4】
請求項1記載の非接触充電器であって、
前記送受信部は、前記電子機器を再充電する電力を送信するコイルを備え、前記非接触充電器は、当該コイルに発生する電流の位相変化により、前記電子機器が載置されている旨を判定する非接触充電器。
【請求項5】
請求項1記載の非接触充電器であって、
前記送受信部は、前記電子機器を再充電する電力を送信するコイルを備える非接触充電器。
【請求項6】
請求項1記載の非接触充電器によって充電可能な二次電池を電源として用いる電子機器。
【請求項7】
請求項6記載の電子機器であって、
当該電子機器は更に、
前記二次電池の充電完了に対応して前記電子機器の充電が行わない充電停止状態へ、前記非接触充電器を移行させる満充電コマンドを生成する制御部と、
前記非接触充電器へ前記満充電コマンドを送信する送受信部と、を備え、
前記電子機器の送受信部が、前記電子機器が前記充電停止状態中に再充電を要求したか否かを確認する充電再起動確認コマンドを前記非接触充電器から受信したとき、前記制御部は、前記二次電池が再充電を要求したか否かを確認し。
再充電が要求されたとき、前記制御部は再充電要求を示す再充電コマンドを生成し、前記電子機器の送受信部は、前記非接触充電器へ前記再充電コマンドを送信する、電子機器。
【請求項8】
請求項6記載の電子機器であって、
前記送受信部は、前記非接触充電器から前記二次電池を充電する電力を受信するコイルを備え、
前記電子機器は、前記満充電コマンド及び前記再充電コマンドを前記電子機器によって生成された電流に重畳し、当該電流を変調する電子機器。
【請求項9】
請求項8記載の電子機器であって、
前記変調部は、データ順序の違いによって、前記満充電コマンド及び前記再充電コマンドを区別する電子機器。
【請求項10】
電子機器と、当該電子機器を非接触方式で充電する非接触充電器とから構成される非接触充電システムであって、
前記電子機器は、前記電子機器の充電完了を示す満充電コマンドを送信し、
前記非接触充電器は、当該満充電コマンドの受信とともに、前記電子機器への充電を行なわない充電停止状態に移行し、
前記非接触充電器は、(1)充電停止状態において、前記電子機器が充電可能な状態で前記非接触充電器に載置されているか否かを確認する負荷確認信号を間歓的に生成するとともに、(2)当該負荷確認信号を送信し、
さらに前記非接触充電器は、(1)前記充電停止状態において、前記電子機器が再充電を要求するか否かを確認する充電再起動確認コマンドを生成するとともに、(2)前記負荷確認信号から独立した充電再起動確認コマンドを送信し、
前記非接触充電器は、前記電子機器が前記充電再起動確認コマンドに対応して再充電を要求する旨を示す再充電コマンドを受信したときは電力伝達状態へ移行し、前記充電再起動確認コマンドに対応して当該再充電コマンドを受信しないときは充電停止状態を維持し、
前記充電再起動確認コマンドを送信する時間間隔は、前記負荷確認信号を送信する時間間隔より大きい、非接触充電システム。
【請求項11】
請求項1記載の非接触充電器であって、
当該非接触充電器は更に、
負荷確認信号変調波または充電再起動確認コマンド変調波を用いて、搬送波を変調する変調部と、
前記電子機器が再充電可能な状態で前記非接触充電器上に載置されているか否かを確認する前記負荷確認信号を、充電停止状態で間歓的に生成する制御部と、
を備える非接触充電器。
【請求項12】
請求項11記載の非接触充電器であって、
前記送受信部が、前記充電再起動確認コマンド変調波から独立して、前記負荷確認信号変調波を送信し、
前記充電再起動確認コマンド変調波を送信する時間間隔は、前記負荷確認信号変調波を送信する時間間隔より大きい、非接触充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−70610(P2013−70610A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257712(P2012−257712)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2011−284067(P2011−284067)の分割
【原出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】