非接触型生体検出システム及び方法
非接触型生体検出装置が記載される。前記装置は、処理装置と、前記処理装置に通信可能に接続されるユーザインターフェースと、前記処理装置に通信可能に接続されるディスプレイと、前記処理装置に通信可能に接続されるレーザドップラ振動計センサと、そして前記処理装置に通信可能に接続される赤外線カメラと、を含む。前記処理装置は、前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから送出される信号が、ターゲットによって反射されて前記装置に向かって戻されるときに、前記レーザドップラ振動計センサから受信する機械的運動データ、及び前記赤外線カメラからの熱分布データを利用して生体データを計算するようにプログラムされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は概して、救急対処事態に関するものであり、特に非接触型生体検出方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の種類の災害に救急に対処する場合、最初の対応者の行動は、被災者のところまで到達することができないことにより阻止される、又は最初の対応者は保護具にすっぽり包まれて、被災者と十分な接触を図ることができず、標準的な医療トリアージを行うことができない。ヒトの生存兆候を非接触で離れた位置から測定することができる解決策は現在存在しない。既存の解決策では、被災者との接触を図って、例えば被災者の首又は手首を触診して、脈拍数又は呼吸作用を測定する、及び/又は心拍を、耳を胸に押し当てて聞き取る必要がある。これまでの説明から分かるように、従来のトリアージ法は接触を必要とする。その結果、トリアージは、接近できないことにより接触が阻止される場合に、又は介在物(例えば、生体有害物質)が接触の邪魔になる場合に行うことができない。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様では、非接触型生体検出装置が提供される。前記装置は、処理装置、ユーザインターフェース、ディスプレイ、レーザドップラ振動計センサ、及び赤外線カメラを含み、これらの構成要素はすべて前記処理装置に通信可能に接続される。前記処理装置は、前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから送出される信号が、ターゲットによって反射されて前記検出装置に向かって戻されるときに、前記レーザドップラ振動計センサから受信する機械的運動データ、及び前記赤外線カメラからの熱分布データを利用して生体データを計算するようにプログラムされる。
【0004】
別の態様では、被検体に関連する生体パラメータを前記被検体に接触することなく検出する方法が提供される。前記方法は、検出装置から放出される複数の可視光レーザビームを前記被検体に誘導して照準機能を発揮するステップと、前記検出装置から送出されるレーザドップラ振動計センサからの信号を誘導して前記被検体に、前記可視光レーザビームの近傍で衝突させるステップと、前記可視光レーザビームの近傍の赤外線データを前記被検体から、前記検出装置に接続される赤外線カメラで受信するステップと、そして前記レーザドップラ振動計センサが検出する前記被検体に関連する機械的運動データ、及び前記赤外線カメラが検出する熱分布データを利用して、前記被検体に関連する生体データを計算するステップと、を含む。
【0005】
更に別の態様では、非接触型生体検出装置が提供される。前記検出装置は、各測距レーザが可視光レーザビームを放出するように構成される複数の測距レーザを備え、前記測距レーザの方向を、これらの可視光レーザビームが、前記検出装置から離れた箇所に収束するような方向に合わせることにより、これらのレーザビームが前記検出装置の照準をターゲットオブジェクトに合わせるように動作することができる。前記検出装置は更に、前記ターゲットオブジェクトに関連する機械的運動を検出するように構成されるレーザドップラ振動計センサと、前記ターゲットオブジェクトに関連する熱分布データを検出するように構成される赤外線カメラと、そして前記可視光レーザビームを含む前記ターゲットオブジェクトの画像を取得するように動作することができる可視光カメラと、を含む。前記処理装置は、前記ターゲットオブジェクトまでの距離を、可視光ビームの間の距離に基づいて導出するようにプログラムされ、そして更に、前記ターゲットまでの前記導出距離を使用して、前記レーザドップラ振動計センサ、前記赤外線カメラ、及び前記可視光カメラの焦点を前記ターゲットオブジェクトに合わせるように動作することができる。
【0006】
これまで説明してきた特徴、機能、及び利点は、種々の実施形態において個別に実現することができる、又は更に他の実施形態において組み合わせることができ、これらの実施形態に関する更なる詳細は、以下の説明及び図面を参照しながら理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、別の人物の生存兆候を測定する遠隔生体測定装置の1つの実施形態を使用する人物を描いている。
【図2】図2は、非接触型生体検出装置のブロック図である。
【図3】図3は、図2の非接触型生体検出装置の上面等角図である。
【図4】図4は、図2の非接触型生体検出装置の底面等角図である。
【図5】図5は、シャーシ内の組み立て後の非接触型生体検出装置の上面等角図である。
【図6】図6は、指向安定化システムのブロック図である。
【図7】図7は、図2の非接触型生体検出装置の動作を表わすフロー図である。
【図8】図8は、脈拍検出アルゴリズムのデータ前処理工程のフロー図である。
【図9】図9は、脈拍検出アルゴリズムのモデル校正工程のフロー図である。
【図10】図10は、脈拍検出アルゴリズムの初期検出/定量化工程のフロー図である。
【図11】図11は、脈拍検出アルゴリズムの後検出処理工程のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
記載の実施形態は、PPE(個人保護具)を着用する個人が使用することができる携帯可能な救急処置トリアージ機器を含むことにより、例えば重要な生理学的パラメータを離れた位置から評価して被災者状態を現地で評価し易くする。種々の実施形態では、機器は、レーザドップラ振動計センサを赤外線撮像装置と組み合わせて、ヒトの生体信号を接触することなく、かつユーザと測定されている生体信号を発する人物との間のスタンドオフ距離を保った状態で測定する。詳細に説明されるように、他の実施形態は、他の非接触生理学的測定方法及び機器を含む。図1は、1つの想定される使用状態におけるこのような機器を描いている。更に詳細には、図1は、救急事態に対処する最初の対応者10を描いている。このような救急事態の環境及び種類は、ほぼ無制限であるので、本開示を進めるために、本記述では、化学物質流出又は化学物質漏れの例を利用する。記載の機器の実施形態によって、事故被災者の身体的状態の評価が、離れた位置から、安全に、かつ正確に可能になって、最初の対応者への危険が最小化される。
【0009】
このような状況では、最初の対応者は普通、対応者が、救急事態によって容体が悪化している人物20と物理的な接触を図る際の邪魔になる或る種類の個人保護具(PPE)を着用している。救急事態は、最初の対応者10と人物との物理的な接触が、最初の対応者10にとって有害であるような性質の事態とすることができる。人物20に対するトリアージの必要性に対処するために、最初の対応者10は非接触型生体検出装置50を装着している。
【0010】
種々の実施形態の非接触型生体検出装置50によって、最初の対応者10は、人物20の生理学的パラメータを測定することができる。測定された生理学的パラメータは、最初の対応者10に人物20の身体的状態の指示値を、例えば機械的運動をレーザで、そして熱分布を赤外線カメラで測定することにより提供する。このような実施形態では、レーザは、呼吸及び心臓鼓動による人物20の皮膚の表面の機械的運動を測定することができる。図1に示すように、非接触型生体検出装置50の幾つかの実施形態は携帯可能な機器である。他のポータブル機器が想到される。
【0011】
図2は、非接触型生体検出装置50の1つの実施形態のブロック図である。装置50は、赤外線カメラ52、可視光カメラ54、及びレーザドップラ振動計センサ60を組み合わせている。携帯モードで動作するために、非接触型生体検出装置50は処理装置70を含み、この処理装置70は、ユーザ(最初の対応者10)の動きの影響を除去するように動作するプログラミングを行う。種々の距離に亘って動作するために、非接触型生体検出装置50は、処理装置70を光センサ構成用にプログラムしたオートフォーカス方法を用いる。図示の実施形態では、赤外線カメラ52に適用されるオートフォーカス装置80、可視光カメラ54に適用されるオートフォーカス装置82、及びレーザドップラ振動計センサ60に適用されるオートフォーカス装置84を設ける。オートフォーカス装置84の他に、レーザドップラ振動計センサ60は、波形発生装置100、ソレノイドドライブ102、及び音叉/ソレノイド104、レーザドライバ106、レーザ108、及び関連する光ファイバ110を含む。2軸微調整ステアリングミラー112を、非接触型生体検出装置50の実施形態に取り入れて、レーザドップラ振動計センサ60から放出され、かつレーザドップラ振動計センサ60が受信するレーザビームを安定させる。
【0012】
別の実施形態では、追加のセンサを、測距レーザ120、ジャイロスコープ130、及び検出アンプ/ADC140(アナログ−デジタルコンバータ)を含む非接触型生体検出装置50に組み込む。微調整ステアリングミラー112を利用して、測距レーザ120から放出され、かつ測距レーザ120が受信するレーザビームを安定させる。測距レーザ120は可視光レーザ誘導ビームを供給し、これらの可視光レーザ誘導ビームがユーザに、装置50のセンサが指している位置を通知する。例えば、可視光レーザビームが人物20(図1に示す)に衝突する場合、ユーザ10は、他のセンサ(例えば、可視光カメラ54、IRカメラ52、及びレーザドップラ振動計センサ60)も人物20を指していることを認識する。特定の実施形態では、ジャイロスコープ130はMEMSジャイロスコープである。
【0013】
種々の実施形態では、可視光カメラ54は、プラットフォーム運動検出に利用され、そして処理装置70(処理装置で実行されるアルゴリズムと一緒に)は、可視光カメラ54からの情報を使用して、ユーザの動きの影響を、他のセンサから受信する読み取り値から除去する。同様に、ジャイロスコープ130を利用して、ユーザ10に関連する手の動きの影響を除去する。種々の実施形態では、そして以下の節に記載されるように、非接触型生体検出装置50に組み込まれる機能部は、直線運動検出器、ディスプレイ、コントロールボタン、内蔵コンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び関連するファームウェア形態のモーション推定アルゴリズム、ミラーコントロール、及びセンサインターフェースを含む。
【0014】
非接触型生体検出装置50は更に、バッテリ/電源サブシステム150、ユーザインターフェース160、及びユーザディスプレイ170を含む。バッテリ/電源サブシステム150は、電源を装置50の他の構成要素に供給する。ユーザインターフェース160は、処理装置70に通信可能に接続されて、処理装置に格納されるプログラムでユーザ入力に応答することができる。ユーザディスプレイ170は、処理装置70に通信可能に接続されて、本明細書において記載されるセンサからの情報を、最初の対応者10に提示することができる。
【0015】
本明細書において詳細に説明されるように、装置50は、離れた位置での使用を可能にし、そして更に、個人保護具を着用している個人による使用を可能にし、この個人保護具は、直接接触法によるトリアージの邪魔になる。装置50は、約5フィート〜約40フィートの範囲の位置にあって接触することなく、機械的運動を測定し、そして温度分布を測定する。種々のセンサからの信号を処理装置70が処理して、脈拍数を抽出し、呼吸数を測定し、そしてヒトの皮膚の温度分布マップを生成する。これらの測定値は、緊張ベルト、EKG(心電図)プローブ、及び温度プローブのような他の接触法による身体的状態の測定値で校正された通りの身体的状態を示唆している。
【0016】
次に、図3を参照するに、非接触型生体検出装置50の上面等角図が描かれている。図2に関連して説明した構成要素を図3に、同じ参照番号を使用して図示している。更に、図3は、測距レーザ120に接続される2つの可視光レーザドライバ200及び202を示している。光スプリッター210によって、レーザドップラ振動計センサ60の中のオートフォーカス装置84から到来する或る波長の光を、微調整ステアリングミラー112を通過させることができる。図示の実施形態では、オートフォーカス装置80(図3には示さず)、82、及び84に付設されるレンズ220及び222はそれぞれ、該当するレンズ220,222を移動させてフォーカス機能を実現するリニヤトランスレータ(linear translator)224,226を含む。
【0017】
図4は、非接触型生体検出装置50の底面等角図であり、上に説明したIRカメラ52、バッテリ/電源サブシステム150、及びプリント回路基板250を示しており、これらのプリント回路基板250は、処理装置70(図4には示さず)だけでなく、ユーザインターフェース160及びディスプレイ170のサポート回路を搭載している。種々の実施形態では、図2に示すように、オートフォーカス機能がIRカメラ52に付与される。図を分かり易くするために、オートフォーカス機能は図4に示していないが、実際には、このような機能は、図3に示す82及び84と同様であり、そして種々の実施形態において、リニヤトランスレータを利用する。
【0018】
図5は、組み立て後の非接触型生体検出装置50の上面等角図であり、この非接触型生体検出装置50はシャーシ300を含み、このシャーシ300が更に、シャーシ300の隅角部に取り付けられる複数の衝撃及び振動吸収バンパー310を含む。図5に更に図示されているのは、ディスプレイ170、及びシャーシのハンドル330及び332に取り付けられるボタン320及び322である。ボタン320及び322は、ユーザインターフェース160の少なくとも一部を構成する。測距レーザ120の窓部340及び342だけでなく、赤外線カメラ52及び可視光カメラ54の窓部350及び360を示している。
【0019】
上に説明したように、上に記載したシステムは、生体信号を離れた位置から測定するように動作することができ、そして最初の市民対応者及び最初の軍関係対応者の遠隔トリアージ装置(standoff triage device)として少なくとも部分的に機能するように考案されている。このような機能を実現するために、測距レーザ120からの可視光を可視光カメラ54が利用することによりデータを供給し、このデータを処理装置70が利用することにより、オートフォーカス値を計算して、赤外線カメラ52及びレーザドップラ振動計センサ60を動作させることができる。詳細には、可視光カメラ54は、測距レーザ120からの2つのレーザビームを観測し、これらのレーザビームが衝突位置(例えば、人物20との衝突位置(図1に示す))でどの位離れているかを測定する。衝突位置におけるこれらのレーザビームの間の距離を処理装置70が利用して、衝突位置までの距離を求めることにより、赤外線カメラ52、可視光カメラ54、及びレーザドップラ振動計センサ60に搭載されるオートフォーカス機能を制御する。
【0020】
レーザドップラ振動計センサ60の動作に関して、センサは、検出器/アンプ/ADC140が検出する反射信号を検出することにより動作し、この検出器/アンプ/ADC140が、検出したこれらの信号を処理装置70に渡し、この処理装置70は、これらの受信信号を速度に変換するようにプログラムされ、これらの速度が次に、トリアージアルゴリズムに渡される。種々の実施形態では、レーザドップラ振動計センサ60は、約800Hzのデータレート、16ビットの周波数分解能(100kHzで約1Hzの周波数分解能)、14ビットの信号対雑音分解能(106で10の信号対雑音分解能)、直径が約1インチのミラーサイズ、λ/4のミラー平面度を有し、そして金コーティングされる。レーザドップラ振動計センサ60のフォーカス段の分解能は、1つの実施形態では、3mmで3.4ミクロンの距離分解能であり(0.2レイリー距離)、そして測距分解能は、5フィートで0.04インチの距離分解能であり、そして40フィートで2インチの距離分解能である(0.1レイリー距離)。
【0021】
この技術分野の当業者であれば理解することができることであるが、非接触型生体検出装置50は、幾つかの操作モードでプログラムされ、これらの操作モードは、ユーザインターフェース160を介して作動し、そして処理装置70によって実行され、この処理装置70は、非接触型生体検出装置50の動作に利用される命令を格納するメモリにアクセスする、又はメモリを含む。種々の実施形態では、スリープモードを搭載し、このスリープモードが作動して、バッテリ電力を、ディスプレイ70をオフにし、種々のレーザをオフにし、そして処理装置70を低電力モードにすることにより節約する。サーチモードでは、ディスプレイ70をオンにし、これらのレーザをオンにし、IRカメラ52から供給される長波長赤外線(long−wavelength infrared:LWIR)画像の表示をディスプレイ70で行ない、そしてジャイロスコープ130及び可視光カメラ54によってレーザドップラ振動計センサ60に対して行うことができるビーム安定化を無効にし、そしてニュートラル位置に固定する。
【0022】
レーザドップラ振動計センサ60の1つの実施形態のビーム安定性は約1センチメートルである。40フィートの位置では、この安定性は、約0.047度又は約820マイクロラジアンであると解釈される。ユーザ手振れは約20Hzを最大周波数として安定化され、これは、制御ループ帯域幅が約2倍である、又は40Hzであることを意味し、そしてコントローラの更新周期が10倍である、又は400Hzであることを意味する。レーザドップラ振動計センサ60のビーム指向精度は約1〜1.5センチメートルである。
【0023】
図6は、装置50の指向安定化システム及びアルゴリズムのブロック図400である。ジャイロスコープ130は、2軸角速度検出を行ない、これらの2軸角速度は、装置50に対するユーザ操作に関連付けられる。処理装置70内の速度フィルタ402及び積分器404は、検出速度を、高周波数プラットフォーム指向角度誤差の推定値に変換する。並行して、可視光カメラ54からの検出画像406、及び保存基準画像408に、画像センサ処理アルゴリズム410を施して、プラットフォームの低周波数角運動、及び2−DOF(depth of field:被写界深度)方向のプラットフォームの並進運動に起因する指向誤差を求める。位置制御アルゴリズム412は、ステアリングミラー角度を求めて、このような運動を補正し、そして打ち消す。速度フィルタリングアルゴリズム402及び積分器アルゴリズム404の出力を、位置制御アルゴリズム412の出力と組み合わせ、そしてデータとしてステアリングミラー制御機能部420に供給し、このステアリングミラー制御機能部420が、レーザドップラ振動計センサ60に接続されるミラー430の位置決めを継続的に調整して、安定化レーザビームを供給する。ジャイロスコープ130の検出値、及びジャイロスコープ130からの出力を利用して、プラットフォームのより高い周波数の回転運動を打ち消す。同時に、カメラ要素運動推定アルゴリズムは、プラットフォームの直流から中間周波数の回転運動、及びプラットフォームの並進運動を補正する。測距レーザ120からの非安定化ガイドビームは、オペレータを支援して、ステアリングミラーを可動範囲限界に収まるように保持し易くする。
【0024】
非接触型生体検出装置50の動作を更に詳細に説明するために、図7は、非接触型生体検出装置50が被検体に関連する生体パラメータを検出する動作を記述したフロー図450を示している。最初に、ユーザは、検出装置50から放出される複数の可視光レーザビームを被検体に誘導して(ステップ452)照準合わせを行う。ユーザ入力によって、又はユーザによるプログラミングによって、信号がレーザドップラ振動計センサ60から出力されるようにする(ステップ454)。従って、検出装置50のレーザドップラ振動計センサ60から送出される信号は、被検体に可視光レーザビームの近傍で衝突する。赤外線データを被検体から、検出装置50に接続される赤外線カメラ52が受信し(ステップ456)、この場合、赤外線データは、可視光レーザビームの近傍で得られる。レーザドップラ振動計センサで検出される被検体に関連する機械的運動データ、及び赤外線カメラで検出される熱分布データを利用して(ステップ458)、被検体に関連する生体データを算出する。
【0025】
使用状態では、ユーザ10は装置50の照準を人物20に、可視光測距レーザ120からのガイドビームを使用して合わせ、これらのガイドビームは、非安定化デュアルガイドビームであり、そして赤外線カメラ54及びレーザドップラ振動計センサ60の測定位置は、これらのガイドビームの間を中心としている。1つの実施形態では、ユーザ10は、ガイドビームが所望の測定位置の近傍に位置するときに「lock(ロック)」ボタンを押下する。初期ロック位置は、所望位置から数インチ離すことができ、そしてユーザ10は、微調整コントロールを利用して、ロック位置を初期位置から所望位置に移動させることができる。別の構成として、ユーザ10はロックボタンを、初期ロック位置が所望の測定位置に十分近接するまで、繰り返し押下する。ユーザ10は、高速ステアリングミラー112の可動範囲が短く制限されているので、非安定化ガイドビームを測定対象領域の近傍に、所定期間に亘って測定している間に保持することができる。
【0026】
オートフォーカスモードでは、ターゲットまでの距離を、可視光測距レーザ120から供給されるビームを利用して測定し、焦点を設定し、レーザドップラ振動計センサ60のビーム安定化を有効にし、そして最終LWIR画像を取得する。更に、患者識別子をインクリメントする。第1取得モードでは、レーザドップラ振動計センサ60からの信号を取得し、そして表示し、信号の取得が、人物20の脈拍又は生存の他の兆候を検出しようとする最初の試みである。第2取得モードでは、レーザドップラ振動計センサ60からの信号の取得及び表示を継続し、そして呼吸作用を検出しようとする試みだけでなく、脈拍数の処理及び表示を開始する。第3取得モードでは、レーザドップラ振動計センサ60からの信号の取得及び表示を継続し、そして呼吸数を処理し、そして表示しようとする試みが行なわれる。分析モードでは、レーザドップラ振動計センサ60からの信号に対応するビーム安定化を無効にするとともに、処理装置は、収集データを分析し続けて、診断結果を提示する。診断モードを使用して、生データを捕捉し、そして保存して、トラブルを解決する。ボタン320及び322のうちの1つ以上のボタンはオン/オフスイッチとして、そして上に説明した操作モードの間で切り替えるための、又は分析されている身体部分(例えば、頸動脈、胸部、他の部位)を選択するためのスイッチとして使用される。種々の実施形態では、LEDを搭載して、どのモードで装置50が動作しているかについての通知を行うことができる。
【0027】
本明細書において記載されるように、装置50を利用してトリアージ機能を果たし、このトリアージ機能は、インシデント又は事故の現場において最初の対応者が通常使用する。トリアージ機能を細かく分割して、階層的な分析を時間軸に沿って行うことができる。詳細には、最初の3〜5秒を利用して初期の生存兆候を検出し、この時点では、機械的運動を経過時間に対して表示し、IRカメラ52が絶対温度の色分けマップとして供給する画像を表示し、そして脈拍を検出するだけでなく、信頼度及び/又は信号品質を通知する。10〜20秒の時点では、機械的呼吸運動を検出するとともに、脈拍数を処理し、そして表示し、この時点では、信頼度及び/又は信号品質を通知する。30〜60秒の時点では、脈拍数を処理し、そして表示し、脈拍強度を評価し、そして可能な場合に、診断結果を提示する、及び/又は患者健康状態の量的指標(すなわち、0=死亡...100=健康)を供給し、この時点では更に、信頼度及び/又は信号品質を通知する。
【0028】
図8は、脈拍検出アルゴリズムのデータ前処理工程のフロー図500である。速度信号をレーザドップラ振動計センサ60が読み取り(ステップ502)、読み取り値を処理装置70で、検出器/アンプ140を利用してサンプリングし、そしてスペックル除去して、心音チャネル510、最大速度ピーク検出チャネル512、ランドマーク検出/測定チャネル514、アーチファクト自動検出チャネル516、及び呼吸チャネル518を含む新規出力チャネルを生成する(ステップ506)。これらのチャネルに種々のフィルタをかけ、そして他の処理を施し、そして結果をファイルに書き込む(ステップ520)。
【0029】
図9は、脈拍検出アルゴリズムのモデル校正工程のフロー図550である。1つの実施形態では、前処理ファイルからの15秒間のデータ(図7を参照)を読み取り(ステップ552)、そして最尤心拍数を、例えば汎用モデルを使用して特定し(ステップ554)、これらの汎用モデルから、個人化モデルを生成する(ステップ556)。これらのモデルは、1つの実施形態では、心音モデル560、最大速度ピーク検出モデル562、ランドマーク検出/測定モデル564、及びアーチファクト自動検出モデル566を含む。ランドマーク検出/測定モデル564に関しては、現在のより高い周波数の測定モデルと前の15秒間の入力から得られるモデルとの相関値が基準値を上回る(ステップ570)場合、連続するモデルを平均化し(ステップ572)、そして保存する。基準値を上回ることがない(ステップ570)場合、別の15秒間のデータを読み取り(ステップ552)、そしてプロセスを進める。
【0030】
図10は、脈拍検出アルゴリズムの初期検出/定量化工程のフロー図600である。最初に、1つの実施形態では、25秒間のデータを、前のエポックと3秒間重なるように前処理信号ファイル(図7を参照)から読み込む(ステップ602)。「候補」心拍数を、心音入力チャネルと心音モデルとの相互相関を利用して、例えばチャネル及びモデルの両方が20Hzにダウンサンプリングされるときに特定する(ステップ604)。適切な最大速度ピーク及び抽出エポックを、最大速度ピークの振幅が予測値に収まる場合に特定する(ステップ606)。次に、最大速度検出モデルとの相関値が基準値を上回る場合、抽出エポックを「検出心拍数(detected beats)」と表記する(ステップ608)。より低い周波数のランドマーク検出エポック、及びより高い周波数のランドマーク検出エポックを抽出し(ステップ610)、そして一心拍周期内のランドマーク(より高い周波数の信号、及びより低い周波数の信号に含まれる)を検出し(ステップ612)、そして定量化する。モデルを動的に更新し(ステップ614)、そして低周波数及び高周波数「ノイズ」基準を上回るエポックポイントを特定する(ステップ616)。入力ファイルの終点に達する(ステップ618)場合、すべての検出値及び測定値を出力ファイルに書き込む(ステップ620)。そうではない場合には、別の25秒間のデータを読み取る(ステップ602)。
【0031】
図11は、脈拍検出アルゴリズムの後検出処理工程のフロー図650である。最初に、心拍間隔(Inter−Beat−Interval:IBI)分布を算出し(ステップ652)、そして誤検出(IBIが短過ぎる)及び検出漏れ(IBIが長過ぎる)をモデル化する(ステップ654)。誤検出を含む連続エポックを抽出し(ステップ656)、そしてより高い周波数の測定モデルとの相関を利用して、誤検出された心拍数を除外する。心拍数検出漏れエポックを繰り返し抽出し(ステップ658)、そしてより高い周波数の測定モデルとの相互相関を利用して検出漏れ心拍数を追加する。新たな心拍数が全く検出されない場合に、又は繰り返し数が最大繰り返し基準値を上回る場合に停止する。すべての検出値及び指標ランドマークについての平均応答値を算出し(ステップ660)、そしてアンサンブル平均応答値(アンサンブルサイズ=3、遅延=1)を算出する(ステップ662)。ランドマークを測定し、そして出力ファイルを更新する(ステップ664)。
【0032】
異なる有利な実施形態に関する記載を提示して、例示及び説明を行なってきたが、記載を網羅的に行なおうとしているのではない、又は記載を開示される構成の実施形態に限定しようとしているのではない。多くの変形及び変更が存在することは、この技術分野の当業者には明らかであろう。更に、異なる有利な実施形態は、他の有利な実施形態とは異なる利点を提供することができる。選択される実施形態又は実施形態は、これらの実施形態の原理、実際の用途を最も良く説明するために、そしてこの技術分野の他の当業者が、想定される特定の使用に適合するように種々の変更が加えられる種々の実施形態の開示内容を理解することができるように選択され、そして記載されている。
【0033】
この記載の説明では、種々の例を使用して、最良の形態を含む種々の実施形態を開示して、この技術分野の当業者であれば必ず、これらの実施形態を実施することができるようにしており、すべてのデバイス又はシステムを作製し、そして使用し、そして本明細書に組み込まれるすべての方法を実行することができる。特許可能な範囲は、請求項によって規定され、そしてこの技術分野の当業者であれば想到し得る他の例を含むことができる。このような他の例は、これらの請求項の範囲に、これらの請求項が、これらの請求項の文言とは異ならない構成要素を有する場合に、又はこれらの請求項が、これらの請求項の文言と殆ど変らない等価な構成要素を含む場合に包含されるものである。
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は概して、救急対処事態に関するものであり、特に非接触型生体検出方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の種類の災害に救急に対処する場合、最初の対応者の行動は、被災者のところまで到達することができないことにより阻止される、又は最初の対応者は保護具にすっぽり包まれて、被災者と十分な接触を図ることができず、標準的な医療トリアージを行うことができない。ヒトの生存兆候を非接触で離れた位置から測定することができる解決策は現在存在しない。既存の解決策では、被災者との接触を図って、例えば被災者の首又は手首を触診して、脈拍数又は呼吸作用を測定する、及び/又は心拍を、耳を胸に押し当てて聞き取る必要がある。これまでの説明から分かるように、従来のトリアージ法は接触を必要とする。その結果、トリアージは、接近できないことにより接触が阻止される場合に、又は介在物(例えば、生体有害物質)が接触の邪魔になる場合に行うことができない。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様では、非接触型生体検出装置が提供される。前記装置は、処理装置、ユーザインターフェース、ディスプレイ、レーザドップラ振動計センサ、及び赤外線カメラを含み、これらの構成要素はすべて前記処理装置に通信可能に接続される。前記処理装置は、前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから送出される信号が、ターゲットによって反射されて前記検出装置に向かって戻されるときに、前記レーザドップラ振動計センサから受信する機械的運動データ、及び前記赤外線カメラからの熱分布データを利用して生体データを計算するようにプログラムされる。
【0004】
別の態様では、被検体に関連する生体パラメータを前記被検体に接触することなく検出する方法が提供される。前記方法は、検出装置から放出される複数の可視光レーザビームを前記被検体に誘導して照準機能を発揮するステップと、前記検出装置から送出されるレーザドップラ振動計センサからの信号を誘導して前記被検体に、前記可視光レーザビームの近傍で衝突させるステップと、前記可視光レーザビームの近傍の赤外線データを前記被検体から、前記検出装置に接続される赤外線カメラで受信するステップと、そして前記レーザドップラ振動計センサが検出する前記被検体に関連する機械的運動データ、及び前記赤外線カメラが検出する熱分布データを利用して、前記被検体に関連する生体データを計算するステップと、を含む。
【0005】
更に別の態様では、非接触型生体検出装置が提供される。前記検出装置は、各測距レーザが可視光レーザビームを放出するように構成される複数の測距レーザを備え、前記測距レーザの方向を、これらの可視光レーザビームが、前記検出装置から離れた箇所に収束するような方向に合わせることにより、これらのレーザビームが前記検出装置の照準をターゲットオブジェクトに合わせるように動作することができる。前記検出装置は更に、前記ターゲットオブジェクトに関連する機械的運動を検出するように構成されるレーザドップラ振動計センサと、前記ターゲットオブジェクトに関連する熱分布データを検出するように構成される赤外線カメラと、そして前記可視光レーザビームを含む前記ターゲットオブジェクトの画像を取得するように動作することができる可視光カメラと、を含む。前記処理装置は、前記ターゲットオブジェクトまでの距離を、可視光ビームの間の距離に基づいて導出するようにプログラムされ、そして更に、前記ターゲットまでの前記導出距離を使用して、前記レーザドップラ振動計センサ、前記赤外線カメラ、及び前記可視光カメラの焦点を前記ターゲットオブジェクトに合わせるように動作することができる。
【0006】
これまで説明してきた特徴、機能、及び利点は、種々の実施形態において個別に実現することができる、又は更に他の実施形態において組み合わせることができ、これらの実施形態に関する更なる詳細は、以下の説明及び図面を参照しながら理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、別の人物の生存兆候を測定する遠隔生体測定装置の1つの実施形態を使用する人物を描いている。
【図2】図2は、非接触型生体検出装置のブロック図である。
【図3】図3は、図2の非接触型生体検出装置の上面等角図である。
【図4】図4は、図2の非接触型生体検出装置の底面等角図である。
【図5】図5は、シャーシ内の組み立て後の非接触型生体検出装置の上面等角図である。
【図6】図6は、指向安定化システムのブロック図である。
【図7】図7は、図2の非接触型生体検出装置の動作を表わすフロー図である。
【図8】図8は、脈拍検出アルゴリズムのデータ前処理工程のフロー図である。
【図9】図9は、脈拍検出アルゴリズムのモデル校正工程のフロー図である。
【図10】図10は、脈拍検出アルゴリズムの初期検出/定量化工程のフロー図である。
【図11】図11は、脈拍検出アルゴリズムの後検出処理工程のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
記載の実施形態は、PPE(個人保護具)を着用する個人が使用することができる携帯可能な救急処置トリアージ機器を含むことにより、例えば重要な生理学的パラメータを離れた位置から評価して被災者状態を現地で評価し易くする。種々の実施形態では、機器は、レーザドップラ振動計センサを赤外線撮像装置と組み合わせて、ヒトの生体信号を接触することなく、かつユーザと測定されている生体信号を発する人物との間のスタンドオフ距離を保った状態で測定する。詳細に説明されるように、他の実施形態は、他の非接触生理学的測定方法及び機器を含む。図1は、1つの想定される使用状態におけるこのような機器を描いている。更に詳細には、図1は、救急事態に対処する最初の対応者10を描いている。このような救急事態の環境及び種類は、ほぼ無制限であるので、本開示を進めるために、本記述では、化学物質流出又は化学物質漏れの例を利用する。記載の機器の実施形態によって、事故被災者の身体的状態の評価が、離れた位置から、安全に、かつ正確に可能になって、最初の対応者への危険が最小化される。
【0009】
このような状況では、最初の対応者は普通、対応者が、救急事態によって容体が悪化している人物20と物理的な接触を図る際の邪魔になる或る種類の個人保護具(PPE)を着用している。救急事態は、最初の対応者10と人物との物理的な接触が、最初の対応者10にとって有害であるような性質の事態とすることができる。人物20に対するトリアージの必要性に対処するために、最初の対応者10は非接触型生体検出装置50を装着している。
【0010】
種々の実施形態の非接触型生体検出装置50によって、最初の対応者10は、人物20の生理学的パラメータを測定することができる。測定された生理学的パラメータは、最初の対応者10に人物20の身体的状態の指示値を、例えば機械的運動をレーザで、そして熱分布を赤外線カメラで測定することにより提供する。このような実施形態では、レーザは、呼吸及び心臓鼓動による人物20の皮膚の表面の機械的運動を測定することができる。図1に示すように、非接触型生体検出装置50の幾つかの実施形態は携帯可能な機器である。他のポータブル機器が想到される。
【0011】
図2は、非接触型生体検出装置50の1つの実施形態のブロック図である。装置50は、赤外線カメラ52、可視光カメラ54、及びレーザドップラ振動計センサ60を組み合わせている。携帯モードで動作するために、非接触型生体検出装置50は処理装置70を含み、この処理装置70は、ユーザ(最初の対応者10)の動きの影響を除去するように動作するプログラミングを行う。種々の距離に亘って動作するために、非接触型生体検出装置50は、処理装置70を光センサ構成用にプログラムしたオートフォーカス方法を用いる。図示の実施形態では、赤外線カメラ52に適用されるオートフォーカス装置80、可視光カメラ54に適用されるオートフォーカス装置82、及びレーザドップラ振動計センサ60に適用されるオートフォーカス装置84を設ける。オートフォーカス装置84の他に、レーザドップラ振動計センサ60は、波形発生装置100、ソレノイドドライブ102、及び音叉/ソレノイド104、レーザドライバ106、レーザ108、及び関連する光ファイバ110を含む。2軸微調整ステアリングミラー112を、非接触型生体検出装置50の実施形態に取り入れて、レーザドップラ振動計センサ60から放出され、かつレーザドップラ振動計センサ60が受信するレーザビームを安定させる。
【0012】
別の実施形態では、追加のセンサを、測距レーザ120、ジャイロスコープ130、及び検出アンプ/ADC140(アナログ−デジタルコンバータ)を含む非接触型生体検出装置50に組み込む。微調整ステアリングミラー112を利用して、測距レーザ120から放出され、かつ測距レーザ120が受信するレーザビームを安定させる。測距レーザ120は可視光レーザ誘導ビームを供給し、これらの可視光レーザ誘導ビームがユーザに、装置50のセンサが指している位置を通知する。例えば、可視光レーザビームが人物20(図1に示す)に衝突する場合、ユーザ10は、他のセンサ(例えば、可視光カメラ54、IRカメラ52、及びレーザドップラ振動計センサ60)も人物20を指していることを認識する。特定の実施形態では、ジャイロスコープ130はMEMSジャイロスコープである。
【0013】
種々の実施形態では、可視光カメラ54は、プラットフォーム運動検出に利用され、そして処理装置70(処理装置で実行されるアルゴリズムと一緒に)は、可視光カメラ54からの情報を使用して、ユーザの動きの影響を、他のセンサから受信する読み取り値から除去する。同様に、ジャイロスコープ130を利用して、ユーザ10に関連する手の動きの影響を除去する。種々の実施形態では、そして以下の節に記載されるように、非接触型生体検出装置50に組み込まれる機能部は、直線運動検出器、ディスプレイ、コントロールボタン、内蔵コンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び関連するファームウェア形態のモーション推定アルゴリズム、ミラーコントロール、及びセンサインターフェースを含む。
【0014】
非接触型生体検出装置50は更に、バッテリ/電源サブシステム150、ユーザインターフェース160、及びユーザディスプレイ170を含む。バッテリ/電源サブシステム150は、電源を装置50の他の構成要素に供給する。ユーザインターフェース160は、処理装置70に通信可能に接続されて、処理装置に格納されるプログラムでユーザ入力に応答することができる。ユーザディスプレイ170は、処理装置70に通信可能に接続されて、本明細書において記載されるセンサからの情報を、最初の対応者10に提示することができる。
【0015】
本明細書において詳細に説明されるように、装置50は、離れた位置での使用を可能にし、そして更に、個人保護具を着用している個人による使用を可能にし、この個人保護具は、直接接触法によるトリアージの邪魔になる。装置50は、約5フィート〜約40フィートの範囲の位置にあって接触することなく、機械的運動を測定し、そして温度分布を測定する。種々のセンサからの信号を処理装置70が処理して、脈拍数を抽出し、呼吸数を測定し、そしてヒトの皮膚の温度分布マップを生成する。これらの測定値は、緊張ベルト、EKG(心電図)プローブ、及び温度プローブのような他の接触法による身体的状態の測定値で校正された通りの身体的状態を示唆している。
【0016】
次に、図3を参照するに、非接触型生体検出装置50の上面等角図が描かれている。図2に関連して説明した構成要素を図3に、同じ参照番号を使用して図示している。更に、図3は、測距レーザ120に接続される2つの可視光レーザドライバ200及び202を示している。光スプリッター210によって、レーザドップラ振動計センサ60の中のオートフォーカス装置84から到来する或る波長の光を、微調整ステアリングミラー112を通過させることができる。図示の実施形態では、オートフォーカス装置80(図3には示さず)、82、及び84に付設されるレンズ220及び222はそれぞれ、該当するレンズ220,222を移動させてフォーカス機能を実現するリニヤトランスレータ(linear translator)224,226を含む。
【0017】
図4は、非接触型生体検出装置50の底面等角図であり、上に説明したIRカメラ52、バッテリ/電源サブシステム150、及びプリント回路基板250を示しており、これらのプリント回路基板250は、処理装置70(図4には示さず)だけでなく、ユーザインターフェース160及びディスプレイ170のサポート回路を搭載している。種々の実施形態では、図2に示すように、オートフォーカス機能がIRカメラ52に付与される。図を分かり易くするために、オートフォーカス機能は図4に示していないが、実際には、このような機能は、図3に示す82及び84と同様であり、そして種々の実施形態において、リニヤトランスレータを利用する。
【0018】
図5は、組み立て後の非接触型生体検出装置50の上面等角図であり、この非接触型生体検出装置50はシャーシ300を含み、このシャーシ300が更に、シャーシ300の隅角部に取り付けられる複数の衝撃及び振動吸収バンパー310を含む。図5に更に図示されているのは、ディスプレイ170、及びシャーシのハンドル330及び332に取り付けられるボタン320及び322である。ボタン320及び322は、ユーザインターフェース160の少なくとも一部を構成する。測距レーザ120の窓部340及び342だけでなく、赤外線カメラ52及び可視光カメラ54の窓部350及び360を示している。
【0019】
上に説明したように、上に記載したシステムは、生体信号を離れた位置から測定するように動作することができ、そして最初の市民対応者及び最初の軍関係対応者の遠隔トリアージ装置(standoff triage device)として少なくとも部分的に機能するように考案されている。このような機能を実現するために、測距レーザ120からの可視光を可視光カメラ54が利用することによりデータを供給し、このデータを処理装置70が利用することにより、オートフォーカス値を計算して、赤外線カメラ52及びレーザドップラ振動計センサ60を動作させることができる。詳細には、可視光カメラ54は、測距レーザ120からの2つのレーザビームを観測し、これらのレーザビームが衝突位置(例えば、人物20との衝突位置(図1に示す))でどの位離れているかを測定する。衝突位置におけるこれらのレーザビームの間の距離を処理装置70が利用して、衝突位置までの距離を求めることにより、赤外線カメラ52、可視光カメラ54、及びレーザドップラ振動計センサ60に搭載されるオートフォーカス機能を制御する。
【0020】
レーザドップラ振動計センサ60の動作に関して、センサは、検出器/アンプ/ADC140が検出する反射信号を検出することにより動作し、この検出器/アンプ/ADC140が、検出したこれらの信号を処理装置70に渡し、この処理装置70は、これらの受信信号を速度に変換するようにプログラムされ、これらの速度が次に、トリアージアルゴリズムに渡される。種々の実施形態では、レーザドップラ振動計センサ60は、約800Hzのデータレート、16ビットの周波数分解能(100kHzで約1Hzの周波数分解能)、14ビットの信号対雑音分解能(106で10の信号対雑音分解能)、直径が約1インチのミラーサイズ、λ/4のミラー平面度を有し、そして金コーティングされる。レーザドップラ振動計センサ60のフォーカス段の分解能は、1つの実施形態では、3mmで3.4ミクロンの距離分解能であり(0.2レイリー距離)、そして測距分解能は、5フィートで0.04インチの距離分解能であり、そして40フィートで2インチの距離分解能である(0.1レイリー距離)。
【0021】
この技術分野の当業者であれば理解することができることであるが、非接触型生体検出装置50は、幾つかの操作モードでプログラムされ、これらの操作モードは、ユーザインターフェース160を介して作動し、そして処理装置70によって実行され、この処理装置70は、非接触型生体検出装置50の動作に利用される命令を格納するメモリにアクセスする、又はメモリを含む。種々の実施形態では、スリープモードを搭載し、このスリープモードが作動して、バッテリ電力を、ディスプレイ70をオフにし、種々のレーザをオフにし、そして処理装置70を低電力モードにすることにより節約する。サーチモードでは、ディスプレイ70をオンにし、これらのレーザをオンにし、IRカメラ52から供給される長波長赤外線(long−wavelength infrared:LWIR)画像の表示をディスプレイ70で行ない、そしてジャイロスコープ130及び可視光カメラ54によってレーザドップラ振動計センサ60に対して行うことができるビーム安定化を無効にし、そしてニュートラル位置に固定する。
【0022】
レーザドップラ振動計センサ60の1つの実施形態のビーム安定性は約1センチメートルである。40フィートの位置では、この安定性は、約0.047度又は約820マイクロラジアンであると解釈される。ユーザ手振れは約20Hzを最大周波数として安定化され、これは、制御ループ帯域幅が約2倍である、又は40Hzであることを意味し、そしてコントローラの更新周期が10倍である、又は400Hzであることを意味する。レーザドップラ振動計センサ60のビーム指向精度は約1〜1.5センチメートルである。
【0023】
図6は、装置50の指向安定化システム及びアルゴリズムのブロック図400である。ジャイロスコープ130は、2軸角速度検出を行ない、これらの2軸角速度は、装置50に対するユーザ操作に関連付けられる。処理装置70内の速度フィルタ402及び積分器404は、検出速度を、高周波数プラットフォーム指向角度誤差の推定値に変換する。並行して、可視光カメラ54からの検出画像406、及び保存基準画像408に、画像センサ処理アルゴリズム410を施して、プラットフォームの低周波数角運動、及び2−DOF(depth of field:被写界深度)方向のプラットフォームの並進運動に起因する指向誤差を求める。位置制御アルゴリズム412は、ステアリングミラー角度を求めて、このような運動を補正し、そして打ち消す。速度フィルタリングアルゴリズム402及び積分器アルゴリズム404の出力を、位置制御アルゴリズム412の出力と組み合わせ、そしてデータとしてステアリングミラー制御機能部420に供給し、このステアリングミラー制御機能部420が、レーザドップラ振動計センサ60に接続されるミラー430の位置決めを継続的に調整して、安定化レーザビームを供給する。ジャイロスコープ130の検出値、及びジャイロスコープ130からの出力を利用して、プラットフォームのより高い周波数の回転運動を打ち消す。同時に、カメラ要素運動推定アルゴリズムは、プラットフォームの直流から中間周波数の回転運動、及びプラットフォームの並進運動を補正する。測距レーザ120からの非安定化ガイドビームは、オペレータを支援して、ステアリングミラーを可動範囲限界に収まるように保持し易くする。
【0024】
非接触型生体検出装置50の動作を更に詳細に説明するために、図7は、非接触型生体検出装置50が被検体に関連する生体パラメータを検出する動作を記述したフロー図450を示している。最初に、ユーザは、検出装置50から放出される複数の可視光レーザビームを被検体に誘導して(ステップ452)照準合わせを行う。ユーザ入力によって、又はユーザによるプログラミングによって、信号がレーザドップラ振動計センサ60から出力されるようにする(ステップ454)。従って、検出装置50のレーザドップラ振動計センサ60から送出される信号は、被検体に可視光レーザビームの近傍で衝突する。赤外線データを被検体から、検出装置50に接続される赤外線カメラ52が受信し(ステップ456)、この場合、赤外線データは、可視光レーザビームの近傍で得られる。レーザドップラ振動計センサで検出される被検体に関連する機械的運動データ、及び赤外線カメラで検出される熱分布データを利用して(ステップ458)、被検体に関連する生体データを算出する。
【0025】
使用状態では、ユーザ10は装置50の照準を人物20に、可視光測距レーザ120からのガイドビームを使用して合わせ、これらのガイドビームは、非安定化デュアルガイドビームであり、そして赤外線カメラ54及びレーザドップラ振動計センサ60の測定位置は、これらのガイドビームの間を中心としている。1つの実施形態では、ユーザ10は、ガイドビームが所望の測定位置の近傍に位置するときに「lock(ロック)」ボタンを押下する。初期ロック位置は、所望位置から数インチ離すことができ、そしてユーザ10は、微調整コントロールを利用して、ロック位置を初期位置から所望位置に移動させることができる。別の構成として、ユーザ10はロックボタンを、初期ロック位置が所望の測定位置に十分近接するまで、繰り返し押下する。ユーザ10は、高速ステアリングミラー112の可動範囲が短く制限されているので、非安定化ガイドビームを測定対象領域の近傍に、所定期間に亘って測定している間に保持することができる。
【0026】
オートフォーカスモードでは、ターゲットまでの距離を、可視光測距レーザ120から供給されるビームを利用して測定し、焦点を設定し、レーザドップラ振動計センサ60のビーム安定化を有効にし、そして最終LWIR画像を取得する。更に、患者識別子をインクリメントする。第1取得モードでは、レーザドップラ振動計センサ60からの信号を取得し、そして表示し、信号の取得が、人物20の脈拍又は生存の他の兆候を検出しようとする最初の試みである。第2取得モードでは、レーザドップラ振動計センサ60からの信号の取得及び表示を継続し、そして呼吸作用を検出しようとする試みだけでなく、脈拍数の処理及び表示を開始する。第3取得モードでは、レーザドップラ振動計センサ60からの信号の取得及び表示を継続し、そして呼吸数を処理し、そして表示しようとする試みが行なわれる。分析モードでは、レーザドップラ振動計センサ60からの信号に対応するビーム安定化を無効にするとともに、処理装置は、収集データを分析し続けて、診断結果を提示する。診断モードを使用して、生データを捕捉し、そして保存して、トラブルを解決する。ボタン320及び322のうちの1つ以上のボタンはオン/オフスイッチとして、そして上に説明した操作モードの間で切り替えるための、又は分析されている身体部分(例えば、頸動脈、胸部、他の部位)を選択するためのスイッチとして使用される。種々の実施形態では、LEDを搭載して、どのモードで装置50が動作しているかについての通知を行うことができる。
【0027】
本明細書において記載されるように、装置50を利用してトリアージ機能を果たし、このトリアージ機能は、インシデント又は事故の現場において最初の対応者が通常使用する。トリアージ機能を細かく分割して、階層的な分析を時間軸に沿って行うことができる。詳細には、最初の3〜5秒を利用して初期の生存兆候を検出し、この時点では、機械的運動を経過時間に対して表示し、IRカメラ52が絶対温度の色分けマップとして供給する画像を表示し、そして脈拍を検出するだけでなく、信頼度及び/又は信号品質を通知する。10〜20秒の時点では、機械的呼吸運動を検出するとともに、脈拍数を処理し、そして表示し、この時点では、信頼度及び/又は信号品質を通知する。30〜60秒の時点では、脈拍数を処理し、そして表示し、脈拍強度を評価し、そして可能な場合に、診断結果を提示する、及び/又は患者健康状態の量的指標(すなわち、0=死亡...100=健康)を供給し、この時点では更に、信頼度及び/又は信号品質を通知する。
【0028】
図8は、脈拍検出アルゴリズムのデータ前処理工程のフロー図500である。速度信号をレーザドップラ振動計センサ60が読み取り(ステップ502)、読み取り値を処理装置70で、検出器/アンプ140を利用してサンプリングし、そしてスペックル除去して、心音チャネル510、最大速度ピーク検出チャネル512、ランドマーク検出/測定チャネル514、アーチファクト自動検出チャネル516、及び呼吸チャネル518を含む新規出力チャネルを生成する(ステップ506)。これらのチャネルに種々のフィルタをかけ、そして他の処理を施し、そして結果をファイルに書き込む(ステップ520)。
【0029】
図9は、脈拍検出アルゴリズムのモデル校正工程のフロー図550である。1つの実施形態では、前処理ファイルからの15秒間のデータ(図7を参照)を読み取り(ステップ552)、そして最尤心拍数を、例えば汎用モデルを使用して特定し(ステップ554)、これらの汎用モデルから、個人化モデルを生成する(ステップ556)。これらのモデルは、1つの実施形態では、心音モデル560、最大速度ピーク検出モデル562、ランドマーク検出/測定モデル564、及びアーチファクト自動検出モデル566を含む。ランドマーク検出/測定モデル564に関しては、現在のより高い周波数の測定モデルと前の15秒間の入力から得られるモデルとの相関値が基準値を上回る(ステップ570)場合、連続するモデルを平均化し(ステップ572)、そして保存する。基準値を上回ることがない(ステップ570)場合、別の15秒間のデータを読み取り(ステップ552)、そしてプロセスを進める。
【0030】
図10は、脈拍検出アルゴリズムの初期検出/定量化工程のフロー図600である。最初に、1つの実施形態では、25秒間のデータを、前のエポックと3秒間重なるように前処理信号ファイル(図7を参照)から読み込む(ステップ602)。「候補」心拍数を、心音入力チャネルと心音モデルとの相互相関を利用して、例えばチャネル及びモデルの両方が20Hzにダウンサンプリングされるときに特定する(ステップ604)。適切な最大速度ピーク及び抽出エポックを、最大速度ピークの振幅が予測値に収まる場合に特定する(ステップ606)。次に、最大速度検出モデルとの相関値が基準値を上回る場合、抽出エポックを「検出心拍数(detected beats)」と表記する(ステップ608)。より低い周波数のランドマーク検出エポック、及びより高い周波数のランドマーク検出エポックを抽出し(ステップ610)、そして一心拍周期内のランドマーク(より高い周波数の信号、及びより低い周波数の信号に含まれる)を検出し(ステップ612)、そして定量化する。モデルを動的に更新し(ステップ614)、そして低周波数及び高周波数「ノイズ」基準を上回るエポックポイントを特定する(ステップ616)。入力ファイルの終点に達する(ステップ618)場合、すべての検出値及び測定値を出力ファイルに書き込む(ステップ620)。そうではない場合には、別の25秒間のデータを読み取る(ステップ602)。
【0031】
図11は、脈拍検出アルゴリズムの後検出処理工程のフロー図650である。最初に、心拍間隔(Inter−Beat−Interval:IBI)分布を算出し(ステップ652)、そして誤検出(IBIが短過ぎる)及び検出漏れ(IBIが長過ぎる)をモデル化する(ステップ654)。誤検出を含む連続エポックを抽出し(ステップ656)、そしてより高い周波数の測定モデルとの相関を利用して、誤検出された心拍数を除外する。心拍数検出漏れエポックを繰り返し抽出し(ステップ658)、そしてより高い周波数の測定モデルとの相互相関を利用して検出漏れ心拍数を追加する。新たな心拍数が全く検出されない場合に、又は繰り返し数が最大繰り返し基準値を上回る場合に停止する。すべての検出値及び指標ランドマークについての平均応答値を算出し(ステップ660)、そしてアンサンブル平均応答値(アンサンブルサイズ=3、遅延=1)を算出する(ステップ662)。ランドマークを測定し、そして出力ファイルを更新する(ステップ664)。
【0032】
異なる有利な実施形態に関する記載を提示して、例示及び説明を行なってきたが、記載を網羅的に行なおうとしているのではない、又は記載を開示される構成の実施形態に限定しようとしているのではない。多くの変形及び変更が存在することは、この技術分野の当業者には明らかであろう。更に、異なる有利な実施形態は、他の有利な実施形態とは異なる利点を提供することができる。選択される実施形態又は実施形態は、これらの実施形態の原理、実際の用途を最も良く説明するために、そしてこの技術分野の他の当業者が、想定される特定の使用に適合するように種々の変更が加えられる種々の実施形態の開示内容を理解することができるように選択され、そして記載されている。
【0033】
この記載の説明では、種々の例を使用して、最良の形態を含む種々の実施形態を開示して、この技術分野の当業者であれば必ず、これらの実施形態を実施することができるようにしており、すべてのデバイス又はシステムを作製し、そして使用し、そして本明細書に組み込まれるすべての方法を実行することができる。特許可能な範囲は、請求項によって規定され、そしてこの技術分野の当業者であれば想到し得る他の例を含むことができる。このような他の例は、これらの請求項の範囲に、これらの請求項が、これらの請求項の文言とは異ならない構成要素を有する場合に、又はこれらの請求項が、これらの請求項の文言と殆ど変らない等価な構成要素を含む場合に包含されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と、
前記処理装置に通信可能に接続されるユーザインターフェースと、
前記処理装置に通信可能に接続されるディスプレイと、
前記処理装置に通信可能に接続されるレーザドップラ振動計センサと、
前記処理装置に通信可能に接続される赤外線カメラと、を備え、前記処理装置は、前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから送出される信号が、ターゲットによって反射されて前記装置に向かって戻されるときに、前記レーザドップラ振動計センサから受信する機械的運動データ、及び前記赤外線カメラからの熱分布データを利用して生体データを計算するようにプログラムされる、
非接触型生体検出装置。
【請求項2】
更に、複数の測距レーザを備え、各測距レーザは、可視光ビームを放出して、前記検出装置の照準合わせ装置として使用される、請求項1に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項3】
更に、前記処理装置に通信可能に接続される可視光カメラを備え、前記処理装置は、前記可視光カメラから受信するデータを利用し、データを利用する際に前記測距レーザからのビームを追尾して、前記検出装置のユーザに関連する手の動きの影響を前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから受信する前記データから除去するようにプログラムされる、請求項2に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項4】
更に、前記処理装置に通信可能に接続される少なくとも1つのジャイロスコープを備え、前記処理装置は、前記ジャイロスコープから受信するデータを利用することにより、前記検出装置のユーザに関連する手の動きの影響を前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから受信する前記データから除去する、請求項1に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項5】
前記ジャイロスコープは、ピッチレートと、そして前記検出装置のユーザハンドリングに関連付けられるヨーレートと、を出力するように構成され、前記処理装置はアルゴリズムでプログラムされ、アルゴリズムは、検出角速度データを使用して高周波数指向角度誤差を推定し、そして前記処理装置は、前記レーザドップラ振動計センサに関連するミラーの位置決めを継続的に調整することにより、前記検出装置のユーザに関連する手の動きの影響を除去するようにプログラムされる、請求項4に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項6】
更に、
各測距レーザが可視光ビームを放出して、前記検出装置の照準合わせ装置として使用されるように構成される複数の測距レーザと、
前記処理装置に通信可能に接続される可視光カメラと、を備え、前記レーザドップラ振動計センサ、前記赤外線カメラ、及び前記可視光カメラは、オートフォーカス機能に関連するレンズを備え、前記処理装置は前記オートフォーカス機能でプログラムされ、オートフォーカス機能は、前記測距レーザからの可視光ビームを使用して測定されるターゲットまでの距離を利用する、請求項1に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項7】
被検体に関連する生体パラメータを前記被検体に接触することなく検出する方法であって、前記方法は、
検出装置から放出される複数の可視光レーザビームを被検体に誘導して照準機能を発揮するステップと、
検出装置から送出されるレーザドップラ振動計センサからの信号を誘導して被検体に、可視光レーザビームの近傍で衝突させるステップと、
可視光レーザビームの近傍の赤外線データを被検体から、検出装置に接続される赤外線カメラで受信するステップと、
前記被検体に関連し、かつ前記レーザドップラ振動計センサが検出する機械的運動データ、及び赤外線カメラが検出する熱分布データを利用して、前記被検体に関連する生体データを計算するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
更に、
被検体の位置における可視光レーザビームの間の距離を導出するステップと、
導出距離を使用して、被検体と検出装置との間の距離を導出するステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
更に、被検体からの導出距離を使用して、レーザドップラ振動計センサ、赤外線カメラ、及び可視光カメラの焦点を合わせるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
更に、微調整ステアリングミラーを使用して、レーザドップラ振動計センサ、及び可視光レーザビームの放出源である測距レーザのうちの少なくとも一方から放出され、かつ一方が受信するレーザビームを安定化させるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
更に、検出装置内のジャイロスコープからのデータを利用して、検出装置のより高い周波数の回転運動の影響を機械的運動データ及び熱分布データから除去するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
更に、可視光カメラからのデータを利用して、検出装置の動きの影響を機械的運動データ及び熱分布データから除去するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項1】
処理装置と、
前記処理装置に通信可能に接続されるユーザインターフェースと、
前記処理装置に通信可能に接続されるディスプレイと、
前記処理装置に通信可能に接続されるレーザドップラ振動計センサと、
前記処理装置に通信可能に接続される赤外線カメラと、を備え、前記処理装置は、前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから送出される信号が、ターゲットによって反射されて前記装置に向かって戻されるときに、前記レーザドップラ振動計センサから受信する機械的運動データ、及び前記赤外線カメラからの熱分布データを利用して生体データを計算するようにプログラムされる、
非接触型生体検出装置。
【請求項2】
更に、複数の測距レーザを備え、各測距レーザは、可視光ビームを放出して、前記検出装置の照準合わせ装置として使用される、請求項1に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項3】
更に、前記処理装置に通信可能に接続される可視光カメラを備え、前記処理装置は、前記可視光カメラから受信するデータを利用し、データを利用する際に前記測距レーザからのビームを追尾して、前記検出装置のユーザに関連する手の動きの影響を前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから受信する前記データから除去するようにプログラムされる、請求項2に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項4】
更に、前記処理装置に通信可能に接続される少なくとも1つのジャイロスコープを備え、前記処理装置は、前記ジャイロスコープから受信するデータを利用することにより、前記検出装置のユーザに関連する手の動きの影響を前記レーザドップラ振動計センサ及び前記赤外線カメラから受信する前記データから除去する、請求項1に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項5】
前記ジャイロスコープは、ピッチレートと、そして前記検出装置のユーザハンドリングに関連付けられるヨーレートと、を出力するように構成され、前記処理装置はアルゴリズムでプログラムされ、アルゴリズムは、検出角速度データを使用して高周波数指向角度誤差を推定し、そして前記処理装置は、前記レーザドップラ振動計センサに関連するミラーの位置決めを継続的に調整することにより、前記検出装置のユーザに関連する手の動きの影響を除去するようにプログラムされる、請求項4に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項6】
更に、
各測距レーザが可視光ビームを放出して、前記検出装置の照準合わせ装置として使用されるように構成される複数の測距レーザと、
前記処理装置に通信可能に接続される可視光カメラと、を備え、前記レーザドップラ振動計センサ、前記赤外線カメラ、及び前記可視光カメラは、オートフォーカス機能に関連するレンズを備え、前記処理装置は前記オートフォーカス機能でプログラムされ、オートフォーカス機能は、前記測距レーザからの可視光ビームを使用して測定されるターゲットまでの距離を利用する、請求項1に記載の非接触型生体検出装置。
【請求項7】
被検体に関連する生体パラメータを前記被検体に接触することなく検出する方法であって、前記方法は、
検出装置から放出される複数の可視光レーザビームを被検体に誘導して照準機能を発揮するステップと、
検出装置から送出されるレーザドップラ振動計センサからの信号を誘導して被検体に、可視光レーザビームの近傍で衝突させるステップと、
可視光レーザビームの近傍の赤外線データを被検体から、検出装置に接続される赤外線カメラで受信するステップと、
前記被検体に関連し、かつ前記レーザドップラ振動計センサが検出する機械的運動データ、及び赤外線カメラが検出する熱分布データを利用して、前記被検体に関連する生体データを計算するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
更に、
被検体の位置における可視光レーザビームの間の距離を導出するステップと、
導出距離を使用して、被検体と検出装置との間の距離を導出するステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
更に、被検体からの導出距離を使用して、レーザドップラ振動計センサ、赤外線カメラ、及び可視光カメラの焦点を合わせるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
更に、微調整ステアリングミラーを使用して、レーザドップラ振動計センサ、及び可視光レーザビームの放出源である測距レーザのうちの少なくとも一方から放出され、かつ一方が受信するレーザビームを安定化させるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
更に、検出装置内のジャイロスコープからのデータを利用して、検出装置のより高い周波数の回転運動の影響を機械的運動データ及び熱分布データから除去するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
更に、可視光カメラからのデータを利用して、検出装置の動きの影響を機械的運動データ及び熱分布データから除去するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−518663(P2013−518663A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551958(P2012−551958)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049594
【国際公開番号】WO2011/096957
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/049594
【国際公開番号】WO2011/096957
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
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