説明

非接触型ICカードシステム

【課題】表示素子を搭載した非接触型ICカードの非接触型ICカードシステムに関し、特にICカードリーダライタ側において、負荷変動を誤って負荷変調とみなすことによるエラー発生を無くし、通信速度を確保し、大きなアンテナ受信電力を確保する非接触型ICカードシステムを提供するものである。
【解決手段】非接触型ICカードと、該非接触型ICカードとデータの送受信を行うICカードリーダライタとを有する非接触型ICカードシステムであって、上記非接触型ICカードは表示素子を有し、上記ICカードリーダライタは、上記非接触型ICカードが前記表示素子にデータを表示する際、上記非接触型ICカードからの負荷変調信号の検出を不活性状態とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICカードシステムに関し、特に表示素子を搭載した非接触型ICカードのICカードシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、非接触型のICカードを使用したカードシステムが広く使用されている。また、表示素子が搭載された非接触型ICカードも使用され、表示素子としてコレステリック液晶を使用したICカードシステムも提案されている。このような非接触型ICカードシステムでは、データ通信の安定度と表示素子の駆動電力の低減を両立できる構成のシステムが要求されている。
【0003】
例えば、データ通信の安定度を改善する発明として、特許文献1は非接触式ICカードにおいて、受信信号のレベルを検知し、検知した受信信号のレベルに応じて共振回路のQ値を可変制御し、データ通信の安定化を図る発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−173862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の非接触型ICカードシステムでは、以下の問題がある。すなわち、非接触型ICカードからICカードリーダライタへの信号伝送は負荷変調により行われる。しかし、ICカードの全面を覆うような大面積の表示素子を搭載したICカードの場合、表示素子の駆動に伴って負荷変動が生じ、ICカードリーダライタ側において負荷変動が誤って負荷変調とみなされ、システムエラーの原因となる。
【0006】
また、ICカードの全面を覆うような大面積の表示素子では、ICカードに送信する表示データ量が多く、通信速度が低下する。
さらに、上記のような大面積の表示素子を駆動する場合、大きな消費電力を必要とする。このため、アンテナ受信電力が不足する。
【0007】
そこで、本発明は非接触型ICカードを使用したICカードシステムにおいて、ICカードリーダライタ側において、負荷変動を誤って負荷変調とみなすことによるシステムエラーの発生を回避し、通信速度と、大きなアンテナ受信電力を確保する非接触型ICカードシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、非接触型ICカードと、該非接触型ICカードとデータの送受信を行うICカードリーダライタとを有する非接触型ICカードシステムであって、上記非接触型ICカードは表示素子を有し、上記ICカードリーダライタは、上記非接触型ICカードが前記表示素子にデータを表示する際、上記非接触型ICカードからの負荷変調信号の検出を不活性状態とすることによって、非接触型ICカード側に負荷変動が生じた場合でもシステムエラーの発生を回避する。
【発明の効果】
【0009】
上記課題は本発明によれば、負荷変動を誤って負荷変調とみなすことによるシステムエラーの発生を回避し、高速通信を可能とし、大きなアンテナ受信電力を確保して大面積の表示素子の駆動を可能とする非接触型ICカードシステムを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の非接触型ICカードシステムに使用するICカードの回路ブロック図である。
【図2】ICカードリーダライタの回路ブロック図である。
【図3】実施形態1のアナログフロントエンドの回路ブロック図である。
【図4】実施形態1の共振状態切替回路の回路図である。
【図5】実施形態1の処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】実施形態1の処理動作を説明するタイムチャートである。
【図7】共振状態切替回路の他の回路図である。
【図8】実施形態2のアナログフロントエンドの回路ブロック図である。
【図9】実施形態2の共振状態切替回路の回路図である。
【図10】実施形態2の処理動作を説明するフローチャートである。
【図11】実施形態2の処理動作を説明するタイムチャートである。
【図12】共振状態切替回路の他の回路図である。
【図13】実施形態3のアナログフロントエンドの回路ブロック図である。
【図14】実施形態3の共振状態切替回路の回路図である。
【図15】実施形態3の処理動作を説明するフローチャートである。
【図16】実施形態3の処理動作を説明するタイムチャートである。
【図17】実施形態4の処理動作を説明するフローチャートである。
【図18】実施形態4の処理動作を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は本実施形態の非接触型ICカードシステムに使用するICカードの回路ブロック図であり、また図2はICカードリーダライタの回路ブロック図である。
【0012】
図2に示すように、ICカードリーダライタ1はコントロール部2、電波インターフェース3、及びループアンテナ4で構成され、コントロール部2にはICカードリーダライタ1にアプリケーションを供給するホスト機器5が接続されている。コントロール部2は信号インターフェース2a、マイクロプロセッサ2b、ゲートASIC(application specific integrated circuit)2c、メモリ2d、電源部2eで構成され、ホスト機器5によって指示されるアプリケーションに従って、マイクロプロセッサ2bはROM、RAMで構成されるメモリ2dから必要なデータを読み出し、送信データを作成し、ゲートASIC2cを介して電波インターフェース3に送る。
【0013】
電波インターフェース3は変調器3a、水晶発振器3b、増幅器3c、3d、フィルタ3e、及び検波復調器3fで構成され、コントロール部2から送信されたデータを水晶発振器3bからの発振クロックに基づいて変調器3aによって変調し、増幅器3cで増幅し、ループアンテナ4からICカード側に送信する。一方、ICカードから送信された負荷変調信号はループアンテナ4、フィルタ3e、増幅器3dを介して検波復調器3fに入力し、データの復調が行われ、受信データとしてコントロール部2に送られる。
【0014】
一方、上記構成のICカードリーダライタ1との間でデータの送受信を行うICカードは、図1に示す回路構成であり、表示素子制御回路6、メモリ表示素子7、電力蓄積手段8、ICチップ9、及び温度計16で構成されている。
【0015】
ICチップ9はアナログフロントエンド10、コントロールマイクロプロセッサ11、変調器12、メモリ13、及び暗号処理部14で構成されている。アナログフロントエンド10はアンテナコイル15やキャパシタC1、後述する共振状態切替回路等を含む回路構成であり、コントロールマイクロプロセッサ11から出力される共振状態切替信号によって共振状態の切り替え処理が行われる。また、図1に示すコマンド22はコマンドデコーダであり、伝送クロック23は伝送クロックジェネレータである。
【0016】
コントロールマイクロプロセッサ11は上記共振状態切替信号や、ICカードリーダライタ1への送信データ等を作成し、またROM、RAM、EEPROMで構成されるメモリ13へのデータの書き込み、メモリ13からのデータの読み出し制御を行う。また、暗号処理部14とデータの送受信を行い、データの暗号化処理を行う。また、上記EEPROMには温度に対応した液晶素子の駆動周期の情報を記憶するテーブル13aが設けられている。
【0017】
電力蓄積手段8は、例えばコンデンサで構成され、後述するロジック電源が供給される。また、使用するコンデンサの容量は、例えば充電時の電圧を10Vとし、放電時の電圧を7Vとし、負荷を5V10mW×1.5秒とすると、1mF以上のコンデンサを使用する。この場合、例えばシート状の電気二重層コンデンサであれば、ICカードへの実装も可能である。
【0018】
また、メモリ表示素子7は、例えば室温でコレステリック相を示すコレステリック液晶を封入した液晶表示素子であり、表示素子制御回路6はメモリ表示素子7を駆動するためのドライバICや、ドライバICの駆動制御を行う制御回路等で構成されている。
【0019】
図3は、上記アナログフロントエンド10の回路ブロック図である。図3において、アナログフロントエンド10は、共振状態切替回路17、標準信号変復調回路18、高速信号復調回路19、ロジック電力受信回路20、及び大電力受信回路21で構成されている。
【0020】
標準信号変復調回路18には、上記変調器12、コマンド(デコーダ)22、伝送クロック(ジェネレータ)23も含み、ICカードリーダライタ1から供給されるコマンドのデコード処理や、受信データの復調処理、送信データの変調処理等を行う。
【0021】
また、高速信号復調回路19はICカードリーダライタ1からの受信データを高速復調する回路であり、例えば後述する表示データをICカードリーダライタ1から受信し、表示データを高速復調し、コントロールマイクロプロセッサ11に送信する。
【0022】
また、ロジック電力受信回路20は、後述する通常共振時、受信信号を整流レギュレータによって整流し、ロジック電源として前述の電力蓄積手段8に供給する。
さらに、大電力受信回路21は前述のメモリ表示素子7を駆動する際、表示素子制御回路6に高圧電源を供給する回路であり、例えばメモリ表示素子7がICカードの全面を覆うような大面積の表示素子である場合でも、表示素子の駆動に充分な電力供給を行う。
【0023】
上記標準信号変復調回路18、高速信号復調回路19、ロジック電力受信回路20、及び大電力受信回路21の回路切り替えは共振状態切替回路17によって行われる。
【0024】
図4は、上記共振状態切替回路17の回路図である。図4に示すように、共振状態切替回路17はアンテナコイル15、キャパシタC1、スイッチSW1、SW2、抵抗R1〜R3で構成されている。尚、アンテナコイル15については、前述の図1においてコイルのみをシンボルとして示したが、具体的には図4に示すようにコイルL1と内部抵抗R1で構成されている。尚、内部抵抗R1及び抵抗R2の抵抗値は低く、抵抗R3の抵抗値は高い。
【0025】
例えば、本例では内部抵抗R1は2.5Ωの抵抗値を使用し、抵抗R2は14.5Ωの抵抗値を使用し、抵抗R3は1KΩの抵抗値を使用する。
上記共振状態切替回路17は、上記スイッチSW1及びSW2を以下のように切り替えることによって、アンテナコイル15を非共振状態、又は通常共振状態、又は高Q共振状態に設定する。例えば、図4のテーブルに示すように、スイッチSW1がB端子側に切り替えられる時、アンテナコイル15には高抵抗R3のみが接続され、非共振状態に設定される。
【0026】
また、スイッチSW1がA端子側に切り替えられている場合、更にスイッチSW2がオフであれば、アンテナコイル15には抵抗R2とキャパシタC1が接続され、通常共振状態に設定される。さらに、スイッチSW2がオンであれば、アンテナコイル15には、キャパシタC1のみが接続され、高Q共振状態に設定される。
【0027】
また、前述の標準信号変復調回路18とロジック電力受信回路20は、図4に示す共振状態切替回路17のa位置に接続され、高速信号復調回路19は共振状態切替回路17のb位置に接続され、大電力受信回路21は共振状態切替回路17のc位置に接続される。したがって、例えば共振状態切替回路17が非共振状態に設定される時、高速信号復調回路19が駆動する構成であり、共振状態切替回路17が通常共振状態に設定される時、標準信号変復調回路18とロジック電力受信回路20が駆動する構成であり、共振状態切替回路17が高Q共振状態に設定される時、大電力受信回路21が駆動する構成である。
【0028】
以上の構成において、図5は本例の処理動作を説明するフローチャートであり、図6は本例の処理動作を説明するタイムチャートである。先ず、ICカードがICカードリーダライタ1から充分離れた位置にある場合、アンテナコイル15はオフ状態であり、アンテナコイル15に誘起される電圧は0Vである。
【0029】
この状態において、ICカードがICカードリーダライタ1に近づくと、アンテナコイル15は初期値の通常共振状態になり、アンテナコイル15には数V未満の低い電圧が誘起される。
【0030】
その後、ICカードがICカードリーダライタ1に近づくと、ICカードリーダライタ1からの送信信号の受信レベルが上昇し、アンテナコイル15に誘起される電圧も上昇する。そして、ICカードがICカードリーダライタ1の通信可能距離内に入ると、アンテナコイル15は通常共振状態のままであるが、アンテナコイル15には数V乃至十数Vの電圧が誘起され、ICカードの初期設定処理が行われ、活性状態となる(ステップ(以下、Sで示す)1)。例えば、初期設定処理としてICカードの認証処理や、ICカードのリセット処理等が行われる。また、タイミング信号の送受信や、ロジック電力受信回路20を駆動し、電力蓄積手段8への電力蓄積が行われる(図6に示す最初の通常共振状態)。
【0031】
次に、ホスト機器5が表示処理の要求を行ったか判断する(S2)。ここで、ホスト機器5からの要求が表示処理の要求でなければ(S2がNO)、対応する要求された処理を実行する(S3)。ホスト機器5は表示処理の要求以外に、データの受信要求等の他の要求も行っており、ホスト機器5からの要求が表示処理の要求でなければ、ホスト機器5によって指示された対応する処理を行う。
【0032】
一方、ホスト機器5からの要求が表示処理の要求であれば(S2がYES)、以後メモリ表示素子7にICカードリーダライタ1から送信される表示データの表示を行う処理に移行する。
【0033】
先ず、ICカードはメモリ表示素子7の駆動周期をICカードリーダライタ1に通知する(S4)。この処理は、メモリ表示素子7が前述のようにコレステリック液晶で構成され、温度によって液晶素子の駆動周期が変化することから、ICカード側からICカードリーダライタ1に対して温度に対応した表示素子の駆動周期を通知する。例えば、ICカードの環境温度が高ければメモリ表示素子7の駆動周期は短く、ICカードの環境温度が低ければメモリ表示素子7の駆動周期は長い。
【0034】
具体的には、前述の温度計16がICカードの環境温度を検出し、この検出温度の情報をコントロールマイクロプロセッサ11に通知する。コントロールマイクロプロセッサ11は、メモリ13のEEPROMに設定されたテーブル13aを参照し、検出温度に対応する駆動周期の情報を取得し、取得した駆動周期の情報をICカードリーダライタ1に通知する。
【0035】
尚、ICカードリーダライタ1側で温度を検出し、メモリ表示素子7の駆動周期を算出することも可能であるが、ICカード側において温度検出を行い、表示素子の駆動周期をICカードリーダライタ1に通知する方が精度のよい制御が期待できる。
【0036】
次に、ICカードリーダライタ1は、以後送信する表示データの通信タイミング、及び表示素子の駆動タイミングをICカードに通知する(S5)。表示データの通信タイミングの設定は、前述のマイクロプロセッサ2bが行い、通信開始時刻とICカードに送信する表示データのバイト数から通信終了時刻を計算する。例えば、通信開始時刻が決まると、ICカードリーダライタ1からICカードへの転送速度とバイト数の情報から通信終了時刻を計算し、通信開始時刻と通信終了時刻の情報をRAM(メモリ2d)に記憶すると共にICカードに通知する。尚、上記表示データの通信開始時刻は、ホスト機器5からの表示データの送信要求があった後、マイクロプロセッサ2bが行う送信準備処理の時間を確保した時刻である。
【0037】
また、表示素子の駆動タイミングは、表示素子の駆動開始時刻とICカードからの上記駆動周期の情報によって計算する。例えば、表示素子の駆動開始時刻をICカードからの表示データの受信完了時とし、この駆動開始時刻と表示素子の駆動周期に基づいて表示素子の駆動終了時刻を計算する。この駆動開始時刻と駆動終了時刻の情報もRAM(メモリ2d)に記憶すると共にICカードに通知する。
【0038】
次に、ICカードリーダライタ1は表示素子の駆動終了時刻まで前述の検波復調器3fにおける負荷変調信号の復調処理を不活性化する(S6)。この処理は、マイクロプロセッサ2bがRAM(メモリ2d)に記憶した表示素子の駆動終了時刻の情報を読み出し、検波復調器3fの負荷変調信号の復調処理を不活性化させるものである。
この処理によって、以後ICカードリーダライタ1ではICカードからの負荷変調信号を復調することがなく、例えばメモリ表示素子7の表示処理の際、ICカードに負荷変動が生じ、負荷変動が負荷変調信号として誤って検出されることを回避する。
【0039】
次に、ICカードリーダライタ1はアンテナコイル15を非共振状態に切り替えるよう指示する(S7)。この指示は前述のアナログフロントエンド10に介してコントロールマイクロプロセッサ11に入力し、コントロールマイクロプロセッサ11はこの指示に従って共振状態切替信号を出力する。共振状態切替回路17は、この共振状態切替信号に従って図4に示すスイッチSW1をB端子側に切り替え、アンテナコイルを非共振状態に設定する。
【0040】
この処理によって、ICカードは図6に示す非共振状態に設定され、図3に示す高速信号復調回路19が駆動し、表示データの通信開始を待つ(S8がNO)。この表示データの通信開始は前述の処理(S5)によって設定されており、予め設定された通信開始時刻になると(S8がYES)、ICカードリーダライタ1は表示データをICカードに送信する(S9)。この時、アンテナは非共振状態に設定されており、表示データは高速にICカードに送信される。尚、アンテナの非共振状態においては、例えば共振時の1/10ほどの受信電圧となるが、搬送波に含まれる受信可能な信号の周波数幅が広がり、表示データの高速受信が可能となる。
【0041】
次に、ICカードリーダライタ1はアンテナを高Q送信状態に切り替えるように指示する(S10)。この指示も、前述と同様、アナログフロントエンド10に入力し、コマンド解析が行われた後、コントロールマイクロプロセッサ11に入力する。この指示に従ってコントロールマイクロプロセッサ11は共振状態切替信号を出力し、図4に示すスイッチSW1をA端子側に切り替え、更にスイッチSW2をオン側に切り替えてアンテナを高Q共振状態に設定する。
【0042】
上記処理によって、ICカードは高Q共振状態に設定され(図6に示す高Q共振状態)、図3に示す大電力受信回路21が駆動し、表示素子の駆動開始時刻になるのを待つ(S11がNO)。
【0043】
この表示素子の駆動開始時刻も前述の処理(S5)によって設定されており、予め設定された駆動開始時刻になると(S11がYES)、ICカードリーダライタ1は無変換搬送波をICカードに送信する(S12)。この時、上記のようにICカード側のアンテナは高Q共振状態に設定されており、効率よく無変換搬送波を受信し、例えば30V程度の高電圧を表示素子制御回路6に供給する。
【0044】
表示素子制御回路6は供給された電源によって、メモリ表示素子7を駆動し、コントロールマイクロプロセッサ11から送信された表示データをメモリ表示素子7に表示する。この時、メモリ表示素子7が大画面の表示素子であって、負荷変動が生じたとしても、前述のように検波復調器3fは負荷変調信号の復調処理を不活性化しており、メモリ表示素子7の表示処理によるICカード側の負荷変動がICカードリーダライタ1に悪影響を及ぼすことはない。
【0045】
次に、メモリ表示素子7の駆動終了時刻に達したか判断し(S13)、駆動終了時刻に達すると(S13がYES)、ICカードリーダライタ1はアンテナを通常共振状態に切り替える指示を行う(S14)。ICカードリーダライタ1は前述のように、メモリ表示素子7の駆動終了時刻を設定しており、予め設定した時刻に達すると上記通常共振状態への切り替え指示を行う。
【0046】
したがって、以後ICカードは通常共振状態に設定され(図6に示す後の通常共振状態)、新たなホスト機器5からの要求を待つ(S2)。
以上のように処理することによって、ICカードリーダライタ1から送信された表示データをメモリ表示素子7に表示することができる。特に、本実施形態によれば、メモリ表示素子7への表示処理を行う際、検波復調器3fは負荷変調信号の復調処理を不活性化しており、ICカードに負荷変動が発生したとしてもICカードリーダライタ1に悪影響を及ぼすことはない。
【0047】
また、前述のように表示データの送信は非共振状態で行うため、高速に通信処理を行うことができ、ICカード全面を覆うような大面積の表示素子に対するデータ量の多い表示データであっても充分高速に送信することができる。
【0048】
さらに、メモリ表示素子7に表示データを表示する際、高Q共振状態で非変調搬送波を送信するため、ICカード側で充分な電力を確保することができ、例えICカード全面を覆うような大面積の表示素子の表示であっても、受信電力が不足することはない。
【0049】
尚、上記実施形態1の説明では、図4に示す構成の共振状態切替回路17を使用したが、上記回路に限るわけではなく、例えば図7に示す共振状態切替回路30を使用する構成としてもよい。図7に示す回路は、アンテナコイル15に対してキャパシタC1が並列に接続されており、アンテナコイル15とキャパシタC1間に抵抗R2とスイッチSW1、抵抗R3とスイッチSW2の並列回路が直列に接続されている構成である。また、上記抵抗R2は低抵抗であり、抵抗R3は高抵抗であり、抵抗R1〜R3の抵抗値の大小関係は前述と同様である。
【0050】
上記構成の共振状態切替回路によっても、図4に示すように、スイッチSW1、SW2を共にオフに設定することによって非共振状態に設定でき、スイッチSW1をオフ、スイッチSW2をオンに設定することによって通常共振状態に設定でき、スイッチSW1、SW2を共にオンに設定することによって高Q共振状態に設定できる。
【0051】
尚、図7に示す共振状態切替回路30の場合、前述の標準信号変復調回路18は、図7に示す共振状態切替回路30のd位置に接続され、高速信号復調回路19は共振状態切替回路30のe位置に接続され、大電力受信回路21は共振状態切替回路17のf位置に接続される。
【0052】
また、上記実施形態で説明したアンテナコイル15のコイルL1のインダクタンスを2μH、キャパシタC1の容量を68.88pFとした場合、非共振周波数(fo)はfo=1/{2*π*√(L1*C1)}=13.56MHz となる。
【0053】
また、前述のように内部抵抗R1の抵抗値は2.5Ωであり、高Q共振状態時のQは、高Q=2*π*f0*L1/R1 = 68.2 となる。
また、抵抗R2の抵抗値は14.5Ωであり、通常共振状態の時のQは、
Q = 2*π*f0*L1/(R1+R2) = 10.0 となる。
【0054】
さらに、抵抗R3の抵抗値は1kΩであり、非共振状態でのアンテナコイル端子電圧(無負荷時)を典型値の1Vとすると、通常共振状態での電圧(無負荷時)は10.0V、高Q共振状態での電圧(無負荷時)は68.2Vとなる。
【0055】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。
図8は、本発明の実施形態2を説明するアナログフロントエンドの回路図である。尚、本実施形態2においても、図1に示す構成のICカードを使用し、図2に示す構成のICカードリーダライタを使用する。以下、具体的に説明する。
【0056】
本例で使用するアナログフロントエンド25の回路構成は、前述のアナログフロントエンド10の回路構成と基本的に同様であるが、高電圧発生回路21´が使用される。また、図9は共振状態切替回路26の構成であり、前述の図4の共振状態切替回路17と比較してスイッチSW2が削除された回路構成である。
【0057】
したがって、スイッチSW1のみの切り替え制御であり、スイッチSW1を切り替えることによって、アンテナコイル15を非共振状態、又は通常共振状態の何れかの状態に設定することができる。すなわち、図9に示すように、スイッチSW1をB端子側に切り替えることによってアンテナコイル15を非共振状態に設定し、スイッチSW1をA端子側に切り替えることによって、通常共振状態に設定する。
【0058】
また、前述の標準信号変復調回路18とロジック電力受信回路20は、図9に示す共振状態切替回路26のg位置に接続され、高速信号復調回路19は共振状態切替回路26のh位置に接続される。したがって、共振状態切替回路26が非共振状態に設定される時、高速信号復調回路19は駆動する構成であり、共振状態切替回路26が通常共振状態に設定される時、標準信号変復調回路18とロジック電力受信回路20が駆動する構成である。
【0059】
以上の構成において、図10は本例の処理動作を説明するフローチャートであり、図11は本例の処理動作を説明するタイムチャートである。先ず、ICカードがICカードリーダライタ1から離れた位置にある時ICカードの電源はオフ状態であり、ICカードをICカードリーダライタ1に近づけると、前述と同様ICカードは活性化され、通常共振状態となり、認証処理等の初期設定処理が行われる((ステップ(以下、STで示す)1)、図11に示す最初の通常共振状態)。
【0060】
次に、ホスト機器4が表示処理の要求を行ったか判断し(ST2)、ホスト機器4からの要求が表示処理の要求でなければ(ST2がNO)、要求された処理を実行する(ST3)。
【0061】
一方、ホスト機器4からの要求が表示処理の要求であれば(ST2がYES)、以後メモリ表示素子7にICカードリーダライタ1から送信される表示データの表示を行う処理に移行する。
【0062】
先ず、前述と同様、ICカードはメモリ表示素子7の駆動周期をICカードリーダライタ1に通知し(ST4)、次にICカードリーダライタ1は、以後送信する表示データの通信タイミング、及び表示素子の駆動タイミングをICカードに通知する(ST5)。尚、表示データの通信タイミング及び表示素子の駆動タイミングの計算方法は前述の通りであり、表示データの通信開始時刻と通信終了時刻の情報、及び表示素子の駆動開始時刻と駆動終了時刻の情報はRAM(メモリ2d)に記憶される。
【0063】
次に、ICカードリーダライタ1は表示素子の駆動終了時刻まで前述の検波復調器3fにおける負荷変調信号の復調処理を不活性化し(ST6)、前述と同様、メモリ表示素子7の表示処理によるICカード側の負荷変動の影響を回避する。
【0064】
次に、ICカードリーダライタ1はアンテナを非共振状態に切り替えるように指示し(ST7)、コントロールマイクロプロセッサ11は共振状態切替信号をアナログフロントエンド10に出力し、図9に示すスイッチSW1をB端子側に切り替える。
【0065】
この処理によって、ICカードは非共振状態に設定され(図11に示す非共振状態)、図8に示す高速信号復調回路19を駆動し、表示データの通信開始を待つ(ST8がNO)。
【0066】
前述と同様、この表示データの通信開始時刻は前述の処理(ST5)によって設定されており、表示データの通信開始時刻になると(ST8がYES)、ICカードリーダライタ1は表示データをICカードに送信し(ST9)、送信データを高速でICカードに送信する。
【0067】
次に、ICカードリーダライタ1はアンテナコイル15を通常共振状態に切り替えるように指示し(ST10)。この指示に従って、コントロールマイクロプロセッサ11から共振状態切替信号が出力され、スイッチSW1をA端子側に切り替え、ICカードを通常共振状態とする。
【0068】
上記処理によって、ICカードは通常共振状態に設定され(図11に示す通常共振状態)、図8に示すロジック電力受信回路20が駆動し、表示素子の駆動開始時刻を待つ(ST11がNO)。
【0069】
この表示素子の駆動開始時刻も前述の処理(ST5)によって設定されており、予め設定された駆動開始時刻になると(ST11がYES)、ICカードリーダライタ1は無変換搬送波をICカードに送信し(S12)、メモリ表示素子7を駆動するための高圧電源を生成させる。
【0070】
表示素子制御回路6はメモリ表示素子7を駆動し、コントロールマイクロプロセッサ11から送信された表示データをメモリ表示素子7に表示する。この時、負荷変動が生じたとしても、前述のように検波復調器3fは負荷変調信号の復調処理を不活性化しており、ICカード側の負荷変動がICカードリーダライタ1に悪影響を及ぼすことはない。
【0071】
その後、メモリ表示素子7の駆動終了時刻に達したか判断し(ST13)、駆動終了時刻に達すると(ST13がYES)、上記表示処理を終了し、新たなホスト機器5からの要求を待つ(ST2)。
【0072】
以上のように処理することによって、本実施形態によっても、メモリ表示素子7への表示処理を行う際、検波復調器3fは負荷変調信号の復調処理を不活性化しており、ICカードに負荷変動が発生したとしてもICカードリーダライタ1にシステムエラーを生じさせることはない。
【0073】
また、前述のように表示データの送信は非共振状態で行うため、高速に通信処理を行うことができ、データ量の多い表示データであっても充分に送信することができる。したがって、本例の非接触型ICカードシステムは表示データの通信時間を短くしたい場合有効である。
【0074】
尚、上記実施形態2の説明では、図9に示す構成の共振状態切替回路26を使用したが、上記回路に限るわけではなく、例えば図12に示す回路を使用する構成としてもよい。図12に示す共振状態切替回路24は、アンテナコイル15に対してキャパシタC1が並列に接続されており、アンテナコイル15とキャパシタC1間に抵抗R3とスイッチSW2の並列回路が直列に接続される構成である。また、内部抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3の抵抗値の大小関係は前述と同様である。
【0075】
尚、図12に示す共振状態切替回路24の場合、前述の標準信号変復調回路18とロジック電力受信回路20は、図12に示す共振状態切替回路24のi位置に接続され、高速信号復調回路19は共振状態切替回路24のj位置に接続される。
【0076】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について説明する。
図13は、本発明の実施形態3を説明するアナログフロントエンドの回路図である。尚、本実施形態3においても、図1に示す構成のICカードを使用し、図2に示す構成のICカードリーダライタ1を使用する。以下、具体的に説明する。
【0077】
本例で使用するアナログフロントエンド28の回路構成は、前述のアナログフロントエンド10の回路構成と異なり、高速信号復調回路19を使用しない構成である。また、図14は共振状態切替回路29の構成であり、前述の図4の共振状態切替回路17と比較してスイッチSW1と抵抗R3が削除された構成である。
【0078】
したがって、スイッチSW2のみの切り替え制御であり、スイッチSW2を切り替えることによって、アンテナコイル15を通常共振状態、又は高Q共振状態の何れかの状態に設定する。すなわち、図14に示すように、スイッチSW2をオフに切り替えることによってアンテナコイル15を通常共振状態に設定し、スイッチSW2をオンに切り替えられることによって、高Q共振状態に設定する。
【0079】
以上の構成において、図15は本例の処理動作を説明するフローチャートであり、図16は本例の処理動作を説明するタイムチャートである。先ず、ICカードがICカードリーダライタ1から離れた位置にある時ICカードの電源はオフ状態であり、ICカードをICカードリーダライタ1に近づけると、前述と同様ICカードリーダライタ1からの信号によってICカードは活性化され、通常共振状態となり、認証処理等の初期設定処理が行われる((ステップ(以下、STEPで示す)1)、図16に示す最初の通常共振状態)。
【0080】
次に、ホスト機器4が表示処理の要求を行ったか判断し(STEP2)、ホスト機器4からの要求が表示処理の要求でなければ(STEP2がNO)、要求された処理を実行する(STEP3)。
【0081】
一方、ホスト機器4からの要求が表示処理の要求であれば(STEP2がYES)、以後メモリ表示素子7にICカードリーダライタ1から送信される表示データの表示を行う処理に移行する。
【0082】
先ず、ICカードリーダライタ1は表示データをICカードに送信する(STEP4)。一方、ICカード側では、メモリ表示素子7の駆動周期をICカードリーダライタ1に通知する(STEP5)。
【0083】
次に、ICカードリーダライタ1は表示素子の駆動タイミングをICカードに通知する(STEP6)。この表示素子の駆動タイミングの計算は前述の通りである。また、表示素子の駆動開始時刻と駆動終了時刻の情報はRAM(メモリ2d)に記憶されると共に、ICカードに通知される。
【0084】
次に、ICカードリーダライタ1は表示素子の駆動終了時刻まで前述の検波復調器3fにおける負荷変調信号の復調処理を不活性化し(STEP7)、前述と同様、メモリ表示素子7の表示処理によるICカード側の負荷変動の影響を回避する。その後、ICカードリーダライタ1は表示データをICカード側に送信する。
【0085】
次に、ICカードリーダライタ1はアンテナを高Q共振状態に切り替えるように指示し(STEP8)、この指示に従ってICカードは高Q共振状態に設定され(図16に示す高Q共振状態)、表示素子の駆動開始時刻を待つ(STEP9がNO)。
【0086】
この表示素子の駆動開始時刻は前述の処理(STEP5)によって設定されており、予め設定された駆動開始時刻になると(STEP9がYES)、ICカードリーダライタ1は無変換搬送波をICカードに送信する(STEP10)。この時、上記のようにICカード側のアンテナは高Q共振状態に設定されており、効率よく無変調搬送波を受信し、例えば30V程度の高電圧を表示素子制御回路6に供給する。
【0087】
表示素子制御回路6は供給された電源によって、メモリ表示素子7を駆動し、コントロールマイクロプロセッサ11から送信された表示データをメモリ表示素子7に表示する。この時、メモリ表示素子7が大画面の表示素子であって、負荷変動が生じたとしても、前述のように検波復調器3fは負荷変調信号の復調処理を不活性化しており、ICカードリーダライタ1に悪影響を及ぼすことはない。
【0088】
次に、メモリ表示素子7の駆動終了時刻に達したか判断し(STEP11)、駆動終了時刻に達すると(STEP11がYES)、ICカードリーダライタ1はアンテナを通常共振状態に切り替える指示を行う(STEP12)。この指示に従って、以後ICカードは通常共振状態に設定され(図16に示す後の通常共振状態)、新たなホスト機器5からの要求を待つ(STEP2)。
【0089】
以上のように処理することによって、本実施形態によっても、メモリ表示素子7への表示処理を行う際、検波復調器3fは負荷変調信号の復調処理を不活性化しており、ICカードに負荷変動が発生したとしてもICカードリーダライタ1にシステムエラーを生じさせることはない。
【0090】
また、メモリ表示素子7に表示データを表示する際、高Q共振状態で非変調搬送波を送信するため、ICカード側で充分な電力を確保することができ、例えICカード全面を覆うような大面積の表示素子の表示であっても、受信電力が不足することはない。
【0091】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4について説明する。尚、本実施形態4においても、図1に示す構成のICカードを使用し、図2に示す構成のICカードリーダライタ1を使用する。以下、具体的に説明する。
【0092】
図17は本例の処理動作を説明するフローチャートであり、図18は本例の処理動作を説明するタイムチャートである。
先ず、ICカードがICカードリーダライタ1から離れた位置にある時ICカードの電源はオフ状態であり、ICカードをICカードリーダライタ1に近づけると、前述と同様ICカードリーダライタ1からの信号によってICカードは活性化され、通常共振状態となり、認証処理等の初期設定処理が行われる(ステップ(以下、Wで示す)1)。尚、本例の処理は、全て通常共振状態で行われる。
【0093】
次に、ホスト機器4が表示処理の要求を行ったか判断し(W2)、ホスト機器4からの要求が表示処理の要求でなければ(W2がNO)、要求された処理を実行する(W3)。
一方、ホスト機器4からの要求が表示処理の要求であれば(W2がYES)、以後メモリ表示素子7にICカードリーダライタ1から送信される表示データの表示を行う処理に移行する。
【0094】
先ず、ICカードリーダライタ1は表示データをICカードに送信する(W4)。また、ICカードはメモリ表示素子7の駆動周期をICカードリーダライタ1に通知する(W5)。
【0095】
次に、ICカードリーダライタ1は表示素子の駆動タイミングをICカードに通知する(W6)。この表示素子の駆動タイミングの通知は、前述のように駆動開始時刻と駆動終了時刻を通知するものである。
【0096】
次に、ICカードリーダライタ1は表示素子の駆動終了時刻まで前述の検波復調器3fにおける負荷変調信号の復調処理を不活性化し(W7)、前述と同様、メモリ表示素子7の表示処理によるICカード側の負荷変動の影響を回避する。そして、ICカードリーダライタ1は表示データをICカードに送信する。
【0097】
次に、表示素子の駆動開始時刻を待ち(W8がNO)、この表示素子の駆動開始時刻は前述の処理(W6)によって設定されており、予め設定された駆動開始時刻になると(W8がYES)、ICカードリーダライタ1は無変換搬送波をICカードに送信し(W9)、メモリ表示素子7を駆動するための高圧電源を生成させる。
【0098】
表示素子制御回路6は供給された電源によって、メモリ表示素子7を駆動し、コントロールマイクロプロセッサ11から送信された表示データをメモリ表示素子7に表示する。そして、メモリ表示素子7の駆動終了時刻に達したか判断し(W10)、駆動終了時刻に達すると(W10がYES)、上記表示処理を終了し、新たなホスト機器5からの要求を待つ(W2)。
【0099】
以上のように処理することによって、本実施形態によっても、メモリ表示素子7への表示処理を行う際、検波復調器3fは負荷変調信号の復調処理を不活性化しており、ICカード側に例え負荷変動が発生してもICカードリーダライタ1にシステムエラーを生じさせることはない。
【0100】
以上の各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
非接触型ICカードと、該非接触型ICカードとデータの送受信を行うICカードリーダライタとを有する非接触型ICカードシステムであって、
前記非接触型ICカードは表示素子を有し、
前記ICカードリーダライタは、前記非接触型ICカードが前記表示素子にデータを表示する際、前記非接触型ICカードからの負荷変調信号の検出を不活性状態とする
ことを特徴とする非接触型ICカードシステム。
(付記2)
前記ICカードは、前記ICカードのアンテナコイルの共振状態を切り替える切替手段を有し、該切替手段は前記アンテナコイルを通常共振状態に切り替えることを特徴とする付記1記載の非接触型ICカードシステム。
(付記3)
前記切替手段は、前記通常共振状態に加え、非共振状態に切り替え、該非共振状態において前記ICカードリーダライタとの間で高速通信を行うことを特徴とする付記2記載の非接触型ICカードシステム。
(付記4)
前記切替手段は、前記通常共振状態に加え、通常共振状態よりQの高い共振状態に切り替え、該共振状態において前記ICカードリーダライタから大電力を受信し、該大電力を使用して前記表示素子を駆動することを特徴とする付記2記載の非接触型ICカードシステム。
(付記5)
前記ICカードリーダライタに設けられた検波復調器が、前記負荷変調信号の検出を不活性状態にすることを特徴とする付記1記載の非接触型ICカードシステム。
(付記6)
前記ICカードリーダライタは前記負荷変調信号を非動作状態に制御する前、前記ICカードから前記表示素子の駆動周期情報を収集し、前記ICカードリーダライタから前記ICカードに送信する表示データの送信タイミング、及び前記表示素子の駆動タイミングを前記ICカードに通知することを特徴とする付記1、又は2記載の非接触型ICカードシステム。
(付記7)
前記非接触型ICカードが前記Qの高い共振状態に設定された場合、前記ICカードは無変調搬送波を前記ICカードに送信することを特徴とする付記4記載の非接触型ICカードシステム。
(付記8)
前記非接触型ICカードは前記通常共振状態において、電力を蓄積する電力蓄積手段を有することを特徴とする付記2記載の非接触型ICカードシステム。
(付記9)
前記電力蓄積手段は、コンデンサであることを特徴とする付記8記載の非接触型ICカードシステム。
(付記10)
前記切替手段は、
前記アンテナコイルに並列に接続された共振用コンデンサと、
該共振用コンデンサと前記アンテナコイルとの接続、非接続を切り替える第1の切替手段と、
前記アンテナコイルと直列に接続される第2の抵抗と、
前記アンテナコイルと並列に接続される第3の抵抗と、
前記第2の抵抗に並列に接続された第2の切替手段と、を有し、
前記アンテナコイルの内部抵抗である第1の抵抗と前記第2、第3の抵抗との抵抗値の関係は、第1の抵抗の抵抗値<第2の抵抗の抵抗値<<第3の抵抗の抵抗値であり、
前記非共振状態では、前記アンテナコイルは前記第1の切替手段を介して前記第3の抵抗にのみ接続され、
前記通常共振状態では、前記アンテナコイルは前記第1の切替手段を介して前記第2の抵抗に接続され、
前記Qの高い共振状態では、前記アンテナコイルは前記第1の切替手段を介して前記共振用コンデンサに直結される
ことを特徴とする付記2記載の非接触型ICカードシステム。
(付記11)
前記切替手段は、
前記アンテナコイルに並列に接続された共振用コンデンサと、
前記アンテナコイルと前記共振用コンデンサ間に直列に接続された第2、第3の抵抗と、
前記第2の抵抗を短絡又は開放状態に切り替える第1の切替手段と、
前記第3の抵抗を短絡又は開放状態に切り替える第2の切替手段と、
前記アンテナコイルの内部抵抗である第1の抵抗と前記第2、第3の抵抗との抵抗値の関係は、第1の抵抗の抵抗値<第2の抵抗の抵抗値<<第3の抵抗の抵抗値であり、
前記非共振状態では、前記第1、第2の切替手段は共に開放状態に設定され、
前記通常共振状態では、前記第1の切替手段は開放状態に設定され、前記第2の切替手段は短絡状態に設定され、
前記Qの高い共振状態では、前記第1、第2の切替手段は共に短絡状態に設定される
ことを特徴とする付記2記載の非接触型ICカードシステム。
(付記12)
表示素子を有する非接触型ICカードとデータの送受信を行うICカードリーダライタであって、
前記非接触型ICカードが前記表示素子にデータを表示する際、前記非接触型ICカードからの負荷変調信号の検出を不活性状態とする
ことを特徴とするICカードリーダライタ。
(付記13)
非接触型ICカードと、該非接触型ICカードとデータの送受信を行うICカードリーダライタとを有する非接触型ICカードシステムの制御方法において、
前記非接触型ICカードは表示素子を有し、前記ICカードリーダライタは、前記非接触型ICカードが前記表示素子にデータを表示する際、前記非接触型ICカードからの負荷変調信号の検出を不活性状態とする
ことを特徴とする制御方法。
【符号の説明】
【0101】
1 ICカードリーダライタ
2 コントロール部
2a 信号インターフェース
2b マイクロプロセッサ
2c ゲートASIC
2d メモリ
2e 電源部
3 電波インターフェース
3a 変調器
3b 水晶発振器
3c、3d 増幅器
3e フィルタ
3f 検波復調器
4 アンテナ
5 ホスト機器
6 表示素子制御回路
7 メモリ表示素子
8 電力蓄積手段
9 ICチップ
10 アナログフロントエンド
11 コントロールマイクロプロセッサ
12 変調器
13 メモリ
13a テーブル
14 暗号処理部
15 アンテナコイル
16 温度計
17 共振状態切替回路
18 標準信号変調回路
19 高速信号復調回路
20 ロジック電力受信回路
21 大電力受信回路
24 共振状態切替回路
25 アナログフロントエンド
26 共振状態切替回路
28 アナログフロントエンド
29 共振状態切替回路
30 共振状態切替回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICカードと、該非接触型ICカードとデータの送受信を行うICカードリーダライタとを有する非接触型ICカードシステムであって、
前記非接触型ICカードは表示素子を有し、
前記ICカードリーダライタは、前記非接触型ICカードが前記表示素子にデータを表示する際、前記非接触型ICカードからの負荷変調信号の検出を不活性状態とする
ことを特徴とする非接触型ICカードシステム。
【請求項2】
前記非接触型ICカードは、該非接触型ICカードのアンテナコイルの共振状態を切り替える切替手段を有し、前記切替手段は前記アンテナコイルを通常共振状態に切り替えることを特徴とする請求項1記載の非接触型ICカードシステム。
【請求項3】
前記切替手段は、前記共振状態を通常共振状態に加え、非共振状態に切り替え、該非共振状態において前記ICカードリーダライタとの間で高速通信を行うことを特徴とする請求項2記載の非接触型ICカードシステム。
【請求項4】
前記切替手段は、前記共振状態を通常共振状態に加え、通常共振状態よりQの高い共振状態に切り替え、該共振状態において前記ICカードリーダライタから大電力を受信し、該大電力を使用して前記表示素子を駆動することを特徴とする請求項2記載の非接触型ICカードシステム。
【請求項5】
前記ICカードリーダライタに設けられた検波復調器が、前記負荷変調信号の検出を不活性状態にすることを特徴とする請求項1記載の非接触型ICカードシステム。
【請求項6】
表示素子を有する非接触型ICカードとデータの送受信を行うICカードリーダライタであって、
前記非接触型ICカードが前記表示素子にデータを表示する際、前記非接触型ICカードからの負荷変調信号の検出を不活性状態とする
ことを特徴とするICカードリーダライタ。
【請求項7】
非接触型ICカードと、該非接触型ICカードとデータの送受信を行うICカードリーダライタとを有する非接触型ICカードシステムの制御方法において、
前記非接触型ICカードは表示素子を有し、前記ICカードリーダライタは、前記非接触型ICカードが前記表示素子にデータを表示する際、前記非接触型ICカードからの負荷変調信号の検出を不活性状態とする
ことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−128724(P2011−128724A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284410(P2009−284410)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】