説明

非接触型ICカード

【課題】RFモジュール間の干渉の発生がなく、かつ、規格外データの受信に基づくICカードモジュールにおけるエラーの発生をなくして、搬送波の周波数が異なる複数の非接触型カード機能を1枚のカードに収めることを可能にした非接触型ICカードを提供する。
【解決手段】RFモジュールとして、複数のカード処理回路が用いるそれぞれの搬送波が送受信可能な1つのRFモジュール(共通無線回路)10を搭載するとともに、受信搬送波の周波数を検知して、この検知した搬送波の周波数に基づき、複数のICカードモジュール(カード処理回路)30−1、30−2のうちの1つのICカードモジュールを選択的に起動する選択起動制御部20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードに関し、特に、通信に使用する搬送波の周波数が異なる複数種類の非接触型カード機能を1枚のカードに収めることを可能にした非接触型ICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、非接触型ICカードが種々の産業分野で利用されるようになっているが、この非接触型ICカードとしては、13.56MHzの搬送波を使用する電子マネー系のICカード、125KHzの搬送波を使用するRFIDカード、4.48GHzの搬送波を使用するデータ通信用カード、5.8GHzの搬送波を使用するETCカード等が知られている。
【0003】
ところで、この種の非接触型ICカードは、各規格で使用するRFモジュール(無線回路)とカード処理を行うICカードモジュール(カード処理回路)とが一対一の関係で搭載されている。
【0004】
このような構成の非接触型ICカードは、カードの種類毎にその構成が異なるので、使用する非接触型ICカードの種類が増えると、一人で何枚もの非接触型ICカードを所持することが必要になり、この非接触型ICカードの種類は年々増加している。
【0005】
そこで、1枚の非接触型ICカードに、それぞれの通信に使用する搬送周波数が異なる複数の非接触型ICカード機能を持たせようとすると、1枚のカードに各規格で使用するRFモジュールとICカードモジュールとの対を複数搭載する必要がある。
【0006】
このように、1枚のカードにRFモジュールとICカードモジュールとの対を複数を搭載して、1枚のカードに複数の非接触型ICカード機能を持たせようとした非接触型ICカードとしては、特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−287128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載された非接触型ICカードにおいては、1枚のカードにRFモジュールとICカードモジュールとの対を複数搭載しているので、各RFモジュール間の干渉の発生および不要なICカードモジュールへの電力供給のためのエラーが発生する。
【0009】
図5は、1枚のカードにアンテナRFモジュールとICカードモジュールとの複数の対を搭載した非接触型ICカードの従来構成を示したものである。図5に示した非接触型ICカードにおいては、RFモジュール510とICカードモジュール530−1の第1の対、RFモジュール520とICカードモジュール530−2の第2の対が搭載されている。
【0010】
RFモジュール510は、ICカードモジュール530−1の使用する周波数の搬送波の送受信を行うもので、受信した搬送波の電磁誘導により電力を発生する電源回路511を有している。また、RFモジュール520は、ICカードモジュール530−2の使用する周波数の搬送波の送受信を行うもので、受信した搬送波の電磁誘導により電力を発生する電源回路521を有している。
【0011】
ICカードモジュール530−1は、RFモジュール510と送受信する搬送波の変調を利用して図示しない対応するカードリーダライタとの間の通信処理を行う。また、ICカードモジュール530−2は、RFモジュール520と送受信する搬送波の変調を利用して図示しない対応するカードリーダライタとの間の通信処理を行う。
【0012】
このような構成により、この非接触型ICカードは、ICカードモジュール530−1による第1の非接触型ICカード機能と、ICカードモジュール530−2による第2の非接触型ICカード機能とを1枚のカードで実現することができる。
【0013】
しかし、この非接触型ICカードは、RFモジュール510とRFモジュール520の2つのRFモジュールを搭載しているため、RFモジュール510とRFモジュール520との間で干渉が発生する虞がある。
【0014】
また、この非接触型ICカードは、たとえば、ICカードモジュール530−1を用いた非接触型カード機能に対応したカードリーダライタにかざされた場合、RFモジュール510は、カードリーダライタからの搬送波を検知して、電源回路511で生成された電力をICカードモジュール530−1に供給するとともに、受信データをICカードモジュール530−1に送信するが、このときRFモジュール520も同時に動作して、電源回路521から電力をICカードモジュール530−2に供給するとともに、受信データをICカードモジュール530−2に送信することになる。
【0015】
この場合、ICカードモジュール530−2では、規格外のデータを受信することになるので、処理不能になってエラーが発生する。
【0016】
そこで、本発明は、RFモジュール間の干渉の発生がなく、かつ、規格外データの受信に基づくICカードモジュールにおけるエラーの発生をなくして、搬送波の周波数が異なる複数の非接触型カード機能を1枚のカードに収めることを可能にした非接触型ICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、リーダライタから搬送される搬送波の電磁誘導により発生される電力で駆動され、前記搬送波の変調により前記リーダライタとの間で通信を行う非接触型ICカードであって、前記通信に用いる搬送波の周波数がそれぞれ異なる複数のカード処理回路と、前記複数のカード処理回路が用いるそれぞれの搬送波が送受信可能な共通無線回路と、前記共通無線回路で受信した前記リーダライタからの搬送波の周波数を検出する周波数検出手段と、前記周波数検出手段により検出した周波数に基づき前記複数のカード処理回路の中の該周波数の搬送波を用いる1つのカード処理回路を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された1つのカード処理回路を選択的に起動する選択起動制御手段とを具備する。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記周波数検出手段は、前記共通無線回路で受信した前記リーダライタからの搬送波をアナログデジタル変換してパルス信号を出力するアナログデジタル変換回路と、前記搬送波の振幅が安定した場合に、オンになって前記アナログデジタル変換回路から出力されるパルス信号を通過させるスイッチ回路と、前記スイッチ回路のオンにより所定のサンプリング時間の計時を開始するサンプリングタイマと、前記サンプリングタイマの計時時間の間、前記スイッチ回路を通過した前記アナログデジタル変換回路から出力されるパルス信号のパルスをカウントするパルスカウンタとを具備し、前記特定手段は、前記複数のカード処理回路が用いるそれぞれの搬送波のサンプリングカウントデータを予め記憶する記憶手段と、前記パルスカウンタのカウントデータと前記記憶手段に記憶されたサンプリングカウントデータとを比較することにより前記1つのカード処理回路を特定する比較手段とを具備する。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記選択起動制御手段は、前記特定手段により特定された1つのカード処理回路に対して選択的に電力を供給するとともに、該1つのカード処理回路に対して前記共通無線回路で受信した受信データを選択的に供給する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、
(1)搬送波の周波数が異なる複数種類の非接触型カード機能を1枚のカードに収めることができるので、用途別に複数種類の非接触型ICカードを携帯する必要がなくなる
(2)RFモジュールとして、複数のカード処理回路が用いるそれぞれの搬送波が送受信可能な1つの共通無線回路を用いているため、RFモジュール間の干渉の発生が生じず、また、RFモジュールの実装スペースを小さくすることができる
(3)特定手段により特定された1つのカード処理回路を選択的に起動するようにしているので、規格外データの受信による処理不能に基づくエラーの発生を防止でき、また起動するカード処理回路は、1つだけなので、省電力化が図れる
等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明に係わる非接触型ICカードの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した非接触型ICカードの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示した非接触型ICカードの動作を説明する波形図である。
【図4】図4は、図2に示した非接触型ICカードの処理を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、従来の非接触型ICカードの概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明に係わる非接触型ICカードの他の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係わる非接触型ICカードの概略構成を示すブロック図である。
【0024】
本発明に係わる非接触型ICカードにおいては、RFモジュールとして、複数のカード処理回路が用いるそれぞれの搬送波が送受信可能な1つのRFモジュール(共通無線回路)10が搭載されるとともに、受信搬送波の周波数に対応して複数のICカードモジュール(カード処理回路)30−1、30−2のうちの1つのICカードモジュールを選択的に起動する選択起動制御部20が設けられる。
【0025】
RFモジュール10は、図示しないカードリーダライタからの搬送波を受信して、この搬送波の電磁誘導により電力を発生する電源回路11を有する。また、このRFモジュール10は、ASK変調等により変調された搬送波を対応するカードリーダライタとの間で送受信する。
【0026】
ここで、RFモジュール10は、ICカードモジュール30−1、30−2のそれぞれで用いる搬送波の送受信を行うので、ICカードモジュール30−1、30−2のそれぞれで用いる搬送波の周波数の送受信が可能な広帯域なRFモジュールから構成される。
【0027】
選択起動制御部20は、RFモジュール10の電源回路11から電力の供給を受けて駆動される。また、選択起動制御部20は、RFモジュール10で受信した搬送波の周波数に対応して、該当周波数を用いる1つのICカードモジュールをICカードモジュール30−1、30−2の中から特定する。
【0028】
そして、選択起動制御部20は、特定した1つのICカードモジュールを選択的に起動し、この起動したICカードモジュールに対してのみ電力供給および受信データの送信を行う。
【0029】
選択起動制御部20による1つのICカードモジュールの選択起動は、選択起動制御部20から出力されるチップセレクト信号CS1、CS2により行われる。たとえば、受信した搬送波の周波数が、ICカードモジュール30−1、30−2のなかのICカードモジュール30−1で使用する搬送波の周波数に該当した場合は、ICカードモジュール30−1に送信するチップセレクト信号CS1をONにし、ICカードモジュール30−2に送信するチップセレクト信号CS2をOFFにする。これによりICカードモジュール30−1に対しては電力供給および受信データの送信が行われるが、ICカードモジュール30−2に対しては電力供給が行われず、また受信データの送信も行われない。
【0030】
このように、本発明の非接触型ICカードによれば、RFモジュールとして、複数のICカードモジュール30−1、30−2が用いるそれぞれの搬送波が送受信可能な1つのRFモジュール10が用いられているため、RFモジュール間の干渉の発生がなく、また、選択起動制御部20により特定された1つのICカードモジュール、たとえばICカードモジュール30−1が選択的に起動されるので、他のICカードモジュール30−2での規格外データの受信による処理不能に基づくエラーも発生しない。
【0031】
図2は、図1に示した非接触型ICカードの詳細構成を示すブロック図である。
【0032】
図2において、図1に示した選択起動制御部20は、水晶発振子21、A/D変換回路22、スイッチ回路23、パルスカウンタ24、サンプリングタイマ25、受信回路26、メモリ27、サンプリングカウントデータテーブル28、CPU29を含む部分が対応する。また、図1に示した非接触型ICカードにおいては、2つのICカードモジュール30−1、30−2を搭載した場合を示しているが、図2に示す非接触型ICカードにおいては、4つのICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4を搭載した場合を示している。他の部分は図1に示した非接触型ICカードと同様であり、図2においては、図1と共通する部分には、説明の便宜上図1で用いた符号と同一の符号を付する。
【0033】
図2に示す非接触型ICカードにおいては、パルスカウンタ24で、サンプリングタイマ25で計時する一定期間、たとえば1msのサンプリング期間内における搬送波の波数(振幅数)をカウントし、このカウント値に基づき4つのICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4の中から該当する周波数の搬送波を用いるICカードモジュールを特定して、この特定したICカードモジュールを選択的に起動する。
【0034】
RFモジュール10は、搬送波を受信すると、電源回路11でこの搬送波の電磁誘導により電力を発生する。この電源回路11で発生された電力は、この非接触型ICカードの各部に供給されるとともに、CPU29を駆動するためのクロック信号を生成する水晶発振子21を駆動する。
【0035】
RFモジュール10で受信した搬送波は、A/D変換回路22に出力され、ここで、搬送波の波数をカウントするためのパルス信号に変換される。
【0036】
電力回路11は、RFモジュール10で受信した搬送波の振幅が安定すると、電力検知信号を出力する。この電力検知信号は、A/D変換回路22から出力されるパルス信号を開閉するスイッチ回路22に加えられる。スイッチ回路22は、この電力検知信号により開(ON)となって、A/D変換回路22から出力されるパルス信号を通過させ、パルスカウンタ24に加えられる。
【0037】
また、スイッチ回路22が開になると、このスイッチ回路22の出力により、一定のサンプリング期間を計時するサンプリングタイマ25を起動する。
【0038】
パルスカウンタ24は、CPU29の制御のもとで、サンプリングタイマ25で計時するサンプリング期間内にA/D変換回路22から出力されるパルス信号のパルス数をカウントする。
【0039】
サンプリングカウントデータテーブル28には、各ICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4で用いる搬送波の周波数、すなわち、一定のサンプリング期間内の波数の計数データに対応するサンプリングカウントデータがそれぞれ記憶されている。
【0040】
CPU29は、パルスカウンタ24のカウントデータとサンプリングカウントデータテーブル28に予め記憶されているサンプリングカウントデータとを比較して、RFモジュール10で受信した搬送波の周波数が、4つのICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4の中のどのICカードモジュールが用いる搬送波の周波数に該当するかを調べて、そのICカードモジュールを特定する。
【0041】
そして、ICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4にそれぞれ対応するチップセレクト信号CS1、CS2、CS3、CS4のうち、上記特定された1つのICカードモジュールに対応するチップセレクト信号のみをONにし、その他のチップセレクト信号をOFFにする。
【0042】
また、RFモジュール10は、受信した搬送波に基づき受信データを受信回路26に出力する。受信回路26は、この受信データをメモリ27に記憶するとともに、CPU29に送信する。
【0043】
CPU29は、受信した受信データをICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4にシリアル通信で送信する。
【0044】
ここで、ICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4のうちのCPU29で特定した1つのICカードモジュールに対応するチップセレクト信号のみがONになっているので、CPU29から送信された受信データは、このチップセレクト信号がONになっている1つのICカードモジュールで受信され、また、このチップセレクト信号がONになっている1つのICカードモジュールに対してRFモジュール10の電源回路11から電力が加えられることになり、これにより、このチップセレクト信号がONになっている1つのICカードモジュールのみが選択的に起動されることになる。
【0045】
この選択的に起動された1つのICカードモジュールからの送信データは、RFモジュール10に出力され、RFモジュール10は、この送信データを該当する搬送波の変調により図示しないカードリーダライタに送信する。
【0046】
なお、ICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4内のカード処理は、それぞれの機能に応じて異なり、また、このICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4の構成は周知の構成を用いることができるので、その詳細説明は省略する。
【0047】
図3は、図2に示した非接触型ICカードの動作を説明する波形図である。図3においては、RFモジュール10が受信する搬送波として、図3(A)、(C)、(E)に示す3種類の搬送波が示されている。図2に示した非接触型ICカードにおいて、パルスカウンタ24は、サンプリングタイマ25で計時する一定のサンプリング期間内における搬送波の波数(振幅数)をカウントする。
【0048】
たとえば、RFモジュール10が受信する搬送波が図3(A)のようであると、パルスカウンタ24は「16」をカウントし、RFモジュール10が受信する搬送波が図3(C)のようであると、パルスカウンタ24は「32」をカウントし、RFモジュール10が受信する搬送波が図3(E)のようであると、パルスカウンタ24は「64」をカウントする。そして、このカウントデータに基づき該当するICカードモジュールを特定する。
【0049】
また、図3(B)は、RFモジュール10が受信する搬送波が図3(A)のようである場合の該当するICカードモジュールで用いるASK変調成分を示し、図3(D)は、RFモジュール10が受信する搬送波が図3(C)のようである場合の該当するICカードモジュールで用いるASK変調成分を示し、図3(F)は、RFモジュール10が受信する搬送波が図3(E)のようである場合の該当するICカードモジュールで用いるASK変調成分を示す。
【0050】
図4は、図2に示した非接触型ICカードの処理を説明するフローチャートである。
【0051】
この処理が開始され、RFモジュール10が搬送波を受信すると(ステップ401)、水晶発振子21を駆動し、次に、この受信した搬送波の振幅が安定したかを調べる(ステップ402)。ここで、搬送波の振幅が安定していないと判断されると(ステップ402でNO)、ステップ402に戻り、受信した搬送波の振幅が安定するのを待つ。
【0052】
ステップ402で、受信した搬送波の振幅が安定したと判断されると(ステップ402でYES)、スイッチ回路23をONにし(ステップ403)、サンプリングタイマ25を起動する(ステップ404)。そして、パルスカウンタ24でA/D変換回路22から出力されるパルス信号のパルス数をカウントを開始する(ステップ405)。
【0053】
次に、カウント終了か、すなわち、サンプリングタイマ25で計時するサンプリング期間終了かを調べ(ステップ406)、カウント終了でないとステップ406に戻り、カウント終了を待つが、ステップ406でカウント終了と判断されると(ステップ406でYES)、パルスカウンタ24のカウントデータとサンプリングカウントデータテーブル28のサンプリングカウントデータとを比較し(ステップ407)、4つのICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4の用いる搬送波の周波数の中で該当する周波数は存在するかを調べる(ステップ408)。
【0054】
ここで、該当する周波数が存在しないと判断されると(ステップ408でNO)、ステップ401に戻るが、該当する周波数が存在すると判断されると(ステップ408でYES)、該当する周波数の搬送波を用いるICカードモジュールに対応するチップセレクト信号のみをONにして、このICカードモジュールを選択的に起動し(ステップ409)、この起動されたICカードモジュールを用いた通信を開始する(ステップ410)。
【0055】
そして、この起動されたICカードモジュールを用いた通信が終了したかを調べ(ステップ411)、通信が終了していない場合は(ステップ411でNO)、ステップ411に戻り、通信の終了を待つが、ステップ411で、通信が終了したと判断されると(ステップ411でYES)、水晶発振子21の発振を停止して、この非接触型ICカードの処理を終了する。
【0056】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記実施例及び図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0057】
たとえば、図2に示す非接触型ICカードにおいては、受信回路26で受信した受信データを直接CPU29に加え、CPU29から受信データをICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4にシリアル通信で送信するように構成したが、図6に示すように、チップセレクト信号CS1またはCS2またはCS3またはCS4のいずれかがONになるときONになるチップセレクト信号CS5によりCPU29によって駆動されるドライブ回路290を設け、受信回路26で受信した受信データをこのドライブ回路290を介してICカードモジュール30−1、30−2、30−3、30−4にシリアル通信で送信するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10、510、520 RFモジュール(共通無線回路)
11、511、521 電源回路
20 選択起動制御部
21 水晶発振子
22 A/D変換回路
23 スイッチ回路
24 パルスカウンタ
25 サンプリングタイマ
26 受信回路
27 メモリ
28 サンプリングカウントデータテーブル
29 CPU
30−1、30−2、30−3、30−4、530−1、530−2 ICカードモジュール(カード処理回路)
290 ドライブ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダライタから搬送される搬送波の電磁誘導により発生される電力で駆動され、前記搬送波の変調により前記リーダライタとの間で通信を行う非接触型ICカードであって、
前記通信に用いる搬送波の周波数がそれぞれ異なる複数のカード処理回路と、
前記複数のカード処理回路が用いるそれぞれの搬送波が送受信可能な共通無線回路と、
前記共通無線回路で受信した前記リーダライタからの搬送波の周波数を検出する周波数検出手段と、
前記周波数検出手段により検出した周波数に基づき前記複数のカード処理回路の中の該周波数の搬送波を用いる1つのカード処理回路を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された1つのカード処理回路を選択的に起動する選択起動制御手段と
を具備する非接触型ICカード。
【請求項2】
前記周波数検出手段は、
前記共通無線回路で受信した前記リーダライタからの搬送波をアナログデジタル変換してパルス信号を出力するアナログデジタル変換回路と、
前記搬送波の振幅が安定した場合に、オンになって前記アナログデジタル変換回路から出力されるパルス信号を通過させるスイッチ回路と、
前記スイッチ回路のオンにより所定のサンプリング時間の計時を開始するサンプリングタイマと、
前記サンプリングタイマの計時時間の間、前記スイッチ回路を通過した前記アナログデジタル変換回路から出力されるパルス信号のパルスをカウントするパルスカウンタと
を具備し、
前記特定手段は、
前記複数のカード処理回路が用いるそれぞれの搬送波のサンプリングカウントデータを予め記憶する記憶手段と、
前記パルスカウンタのカウントデータと前記記憶手段に記憶されたサンプリングカウントデータとを比較することにより前記1つのカード処理回路を特定する比較手段と
を具備する請求項1記載の非接触型ICカード。
【請求項3】
前記選択起動制御手段は、
前記特定手段により特定された1つのカード処理回路に対して選択的に電力を供給するとともに、該1つのカード処理回路に対して前記共通無線回路で受信した受信データを選択的に供給する請求項1または2記載の非接触型ICカード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−68931(P2012−68931A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213737(P2010−213737)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】