非接触式データキャリア装置
【課題】対象物の接触面を傷つけることなく、対象物への取り付けおよび対象物からの取り外しを容易に行うことができる非接触式データキャリア装置の提供を目的とする。
【解決手段】被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部11と、この吸盤部11上に設けられた挟持部12と、この挟持部12内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルとこのアンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレット13とを具備する。
【解決手段】被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部11と、この吸盤部11上に設けられた挟持部12と、この挟持部12内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルとこのアンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレット13とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で情報の交信を行う非接触式データキャリアを容易に取り付けおよび取り外し可能な非接触式データキャリア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非接触式データキャリアは、例えば、基板と、この基板上に所定の周波数帯で交信可能なアンテナコイルと、このアンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを備える非接触式データキャリアインレットに接着層を備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の非接触式データキャリアは、この接着層を介して対象物に接着されて利用されていた。
【特許文献1】特開2005−310054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、従来の非接触式データキャリアは、接着層を介して対象物に接着されていたため、非接触式データキャリアを対象物から取り外す際、対象物に接着層が残存したり、対象物の接着面に傷を残してしまうなどの問題があった。また、非接触式データキャリアを対象物から取り外す際、非接触式データキャリア自体が壊れてしまうこともあった。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、対象物の接触面を傷つけることなく、対象物への取り付けおよび対象物からの取り外しを容易に行うことができる非接触式データキャリア装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る非接触式データキャリア装置は、被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、前記吸盤部上または前記吸盤部内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットとを具備することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る非接触式データキャリア装置は、被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、前記吸盤部上に設けられた肉厚部と、前記肉厚部に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットとを具備することを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明に係る非接触式データキャリア装置は、被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、前記吸盤部上または前記吸盤部内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと、前記非接触式データキャリアインレットよりも前記吸盤部の内壁面側の前記吸盤部内に、前記非接触式データキャリアインレットに対向して配置された磁性体部材とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る非接触式データキャリア装置は、被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、前記吸盤部上に設けられた肉厚部と、前記肉厚部に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと、前記非接触式データキャリアインレットよりも前記吸盤部側の前記肉厚部内に、前記非接触式データキャリアインレットに対向して配置された磁性体部材とを具備することを特徴とする。
【0009】
これらの非接触式データキャリア装置によれば、吸盤部を備えることで、非接触式データキャリア装置の被吸着物への装着および離脱を容易に行うことができる。また、非接触式データキャリア装置の装着および離脱が可能であるので、同一の非接触式データキャリア装置を繰り返し利用することができる。ここで、上記した肉厚部に配置されとは、肉厚部の上部、側面部、内部に配置されることを意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の非接触式データキャリア装置によれば、対象物の接触面を傷つけることなく、対象物への取り付けおよび対象物からの取り外しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1Aは、本発明に係る第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10の断面を模式的に示す図である。また、図1Bは、図1Aに示した非接触式データキャリア装置10の上方からの平面図である。
【0013】
図1Aおよび図1Bに示すように、非接触式データキャリア装置10は、吸盤部11と、挟持部12と、非接触式データキャリアインレット13とから主に構成されている。
【0014】
吸盤部11は、その断面が円弧状または円錐台状などの形状を有し、その内部には空隙を有している。吸盤部11は、いわゆる吸盤であり、被吸着物に着脱自在に吸着するものである。この吸盤部11は、吸着する被吸着物の面に押し付けられることで、その被吸着物の面と吸盤部11の内壁面との間の空気が無くなり、大気圧で吸盤部11が被吸着物の面に押し付けられことで、被吸着物の面に吸着する。
【0015】
また、吸盤部11は、熱可塑性樹脂などで形成され、熱可塑性樹脂の中でも、いわゆる汎用樹脂に分類される、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)などで形成される。また、吸盤部11は、ゴムなどの軟質材料で形成されてもく、具体的には、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、クロブレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリルニトル・ブタジエンゴム、エマストラなどが挙げられる。なお、吸盤部11を形成する材料は、これらに限られるものではなく、吸盤を形成する材料として公知な材料を用いることができる。
【0016】
挟持部12は、肉厚部として機能し、例えば、吸盤部11を被吸着物の面に押圧する場合や、非接触式データキャリア装置10を取り外す場合などに挟持される部分であり、吸盤部11上に形成される。また、挟持部12は、吸盤部11の凸部中央の外側、すなわち吸盤部11の内壁の中央面11aの外側に形成されることが好ましい。また、挟持部12は、吸盤部11と一体的に形成されてもよく、または、吸盤部11と別個に形成され、その後吸盤部11と接合されてもよい。また、挟持部12は、上記した吸盤部11と同一の材料で形成される。
【0017】
非接触式データキャリアインレット13は、電気絶縁性の基板と、その基板上に形成されたアンテナコイルと、このアンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設して構成される。非接触式データキャリアインレット13は、多層から構成されるタイプのものであっても、単層から構成されるタイプのものであってもよい。
【0018】
ここで、多層からなる非接触式データキャリアインレット13の構成の一例を図2および図3を参照して説明する。なお、多層からなる非接触式データキャリアインレット13の構成は、この構成に限られるものではなく、公知な多層からなる非接触式データキャリアインレットであってもよい。また、単層からなる非接触式データキャリアインレット13としては、公知な単層からなる非接触式データキャリアインレットを用いることができる。
【0019】
図2は、多層からなる非接触式データキャリアインレット13の構成を簡略化して模式的に示した分解斜視図である。図3は、図2に示した多層からなる非接触式データキャリアインレット13の断面を模式的に示した図である。なお、図2では、各配線層の接続関係を明記するため、実際よりも巻回数を少なくして簡略化して示している。実際のアンテナパターンの渦巻きの巻回数は、必要とされるインダクタンス値や設計にもよるが、例えば9回程度とされている。
【0020】
図2に示すように、非接触式データキャリアインレット13は、略正方形の絶縁基板の一方の主面に渦巻状のアンテナパターンを含めた配線層が形成された4つの単位アンテナ基板210、220、230、240が絶縁層を介して積層され一体化された4層配線板を有している。
【0021】
図2および図3に示すように、各配線層は、第1配線層から順に、渦巻状のアンテナパターン212、222、232、242を具備している。各アンテナパターン212、222、232、242は、1つの内側端212a、222a、232a、242aと、1つの外側端212b、222b、232b、242bを備えている。内側端212a、222a、232a、242aには、それぞれ、1つの内側接続端子213、223、233、243が接続されている。外側端212b、222b、232b、242bには、それぞれ、1つの外側接続端子214、224、234、244が接続されている。内側接続端子213、223、233、243は、アンテナパターンの渦巻きの内側に設けられ、互いに層間接続される配線層の内側端子どうしが同じ位置に重なるように構成されている。各内側接続端子213、223、233、243には、複数あるスルーホール205a、205bのうちの1つのみが導通するようにされている。外側接続端子214、224、234、244は、アンテナ基板の四隅の1つに設けられ、互いに層間接続される配線層の外側端子どうしが同じ位置になるように構成されている。各外側接続端子214、224、234、244には、複数あるスルーホール206a、206bのうちの1つのみが導通するようにされている。
【0022】
また、各配線層の四隅の内の2つには、スルーホールが設けられていない略直角二等辺三角形状の配線領域219a、219b、229a、229b、239a、239b、249a、249bが形成されている。これらは、渦巻き状のアンテナパターンと一体化されているが、アンテナの構成要素としては必須の構成ではないダミーパターンである。
【0023】
図2に示すように、第1配線層のアンテナパターン212と第2配線層のアンテナパターン222とは、その渦巻きの外側端において、外側接続端子214、224と導通したスルーホール206bを介して接続されている。第2配線層のアンテナパターン222と第3配線層のアンテナパターン232とは、その渦巻きの内側端において、内側接続端子223、233と導通したスルーホール205aを介して接続されている。第3配線層のアンテナパターン232と第4配線層のアンテナパターン242とは、その渦巻きの外側端において、外側接続端子234、244と導通したスルーホール206aを介して接続されている。第4配線層のアンテナパターン242と第1配線層のアンテナパターン212とは、その渦巻きの内側端において、内側接続端子243とチップ接続端子216bに接続された配線212cと導通したスルーホール205bを介して接続されている。
【0024】
上記したように、各アンテナパターン212、222、232、242は、これらの接続端子および層間接続導体を介して、電気的に直列接続され、第1配線層(最上層)に両端子を有する1つのアンテナコイルを構成している。このように構成されたアンテナコイルの一端は、第1配線層の内側接続端子213(チップ接続端子216aと兼用)であり、他端は、第1配線層の内側のスルーホール205bに配線212cを介して接続されたチップ接続端子216bである。
【0025】
なお、上記した非接触式データキャリアインレット13の渦巻き状のアンテナパターン212、222、232、242は、アンテナコイルの一端から各アンテナパターンの接続関係に沿って辿ったときに、渦巻きの旋回方向が同じ向き(例えば、時計回りなら時計回り、反時計回りなら反時計回り)になるように形成されている。すなわち、一定の方向の磁界を受けたときに発生する電流を打ち消しあわない向きで、各アンテナパターンが形成されている。
【0026】
ICチップ201は、チップ搭載パッド215および内側のスルーホール205a、205bの上に、接着剤を用いてを固定され、ワイヤボンディングにより、ICチップ201の電極端子203a、203bは、低背ワイヤ204a、204bを介してチップ接続端子216a、216bにそれぞれ接続されている。また、ICチップ201やICチップ201の電極端子203a、203bなどは封止樹脂207で封止されている。
【0027】
ここで、ICチップ201は、図示を省略した読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ロジック回路、演算装置(CPU)から主に構成されている。CPUでは、ROMやRAMに格納されたプログラムやデータなどを用いてリーダライタとの通信制御や応答処理など各種の演算処理を実行する。また、ROMには、非接触式データキャリアインレット13の製造時に、個々の非接触式データキャリアインレット13に固有に付与された識別情報であるタグ識別コードが記憶され、このタグ識別コードは書き換え不能となっている。ICチップ201には、電源バックアップ不要で、かつ書き換え可能な不揮発性メモリや無線交信のためのRF回路の他、コンデンサなども搭載されている。ICチップ201には、市場で入手可能なものを用途に合わせて適宜用いることができる。
【0028】
図1Aおよび図1Bに示すように、上記した非接触式データキャリアインレット13は、吸盤部11の開口面11bとほぼ水平となるように挟持部12内に一体的に収容され、さらに、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向する非接触式データキャリアインレット13のアンテナコイル面との距離(中央面11aが水平部を有さない場合には、中央面11aとアンテナコイル面との距離が最小になる距離)が2mm以上となるように配置されることが好ましい。多層からなる非接触式データキャリアインレット13が収容される場合においても、非接触式データキャリアインレット13は、吸盤部11の内壁の中央面11aに隣接するアンテナコイル面までの距離が2mm以上となるように配置される。また、中央面11aとアンテナコイル面との距離を2mm以上とすることで、非接触式データキャリア装置10を吸着する被吸着物が金属で構成されていても、情報の通信が阻害されること無く、リーダライタとの交信をすることができる。
【0029】
なお、ここでは、非接触式データキャリアインレット13が、吸盤部11の開口面11bとほぼ水平となるように挟持部12内に一体的に収容される一例を示したが、水平に配置することを限定するものではなく、開口面11bに対して、非接触式データキャリアインレット13を斜めに傾けて配置したり、垂直に配置したりすることも可能である。また、非接触式データキャリアインレット13は、吸盤部11の内部に配置される以外にも、例えば、吸盤部11の上部、側面部に、吸盤部11の開口面11bに対して、ほぼ水平に配置したり、斜めに傾けて配置したり、垂直に配置したりすることも可能である。
【0030】
なお、開口面11bに対して、非接触式データキャリアインレット13を垂直に配置する場合や、斜めに傾けて配置する場合においても、中央面11aとそれに最短距離に位置するアンテナコイルまでの距離を、上記した2mm以上とすることが好ましい。
【0031】
ここで、中央面11aとアンテナコイル面との距離を2mm以上とするのは、この距離が2mmより短い場合には、リーダライタとの好適な通信距離が得られないからである。一方、この距離は、2mm以上であれば、リーダライタとの好適な通信距離が得られるが、非接触式データキャリア装置10の実用上のサイズを考慮すると、例えば50mm程度を上限値とするのが好ましいが、この値は用途に対応して適宜変更することが可能である。
【0032】
なお、上記した、中央面11aとアンテナコイル面との距離を2mm以上とするのが好ましいのは、アンテナサイズ(アンテナコイルの最外周のアンテナパターンの縦および横の長さ)が4.75mm×4.75mmの場合であり、5mm×5mmの場合には、中央面11aとアンテナコイル面との距離は1mm以上であれば、非接触式データキャリア装置10を吸着する被吸着物が金属で構成されていても、情報の通信が阻害されること無く、リーダライタとの交信ができる。言い換えると、非接触式データキャリア装置10に使用されるアンテナコイルのサイズにより、中央面11aとアンテナコイル面との好適な距離は変化するが、この距離を2mm以上とすることで、本発明の非接触式データキャリア装置10に使用される非接触式データキャリアインレット13のすべてのアンテナサイズに対して、非接触式データキャリア装置10を吸着する被吸着物が金属で構成されていても、情報の通信が阻害されること無く、リーダライタとの交信をすることができる。
【0033】
また、図4に、被吸着物15に吸着した状態の非接触式データキャリア装置10の断面を模式的に示す図である。
【0034】
図4に示すように、吸盤部11を被吸着物15に押し付け、その被吸着物15の面と吸盤部11の内壁面との間の空気が無くなり、大気圧で吸盤部11が被吸着物15の面に押し付けられ、非接触式データキャリア装置10は被吸着物15に吸着している。
【0035】
上記した第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10によれば、吸盤部11を備えることで、非接触式データキャリア装置10の被吸着物への装着および離脱を容易に行うことができる。また、非接触式データキャリア装置10を離脱後の被吸着物においては、接着層が残存したり、被吸着物の接着面に傷が残るなどの問題は生じない。さらに、非接触式データキャリア装置10の装着および離脱が可能であるので、同一の非接触式データキャリア装置10を繰り返し利用することができるので経済的である。
【0036】
また、吸盤部11の内壁の中央面11aとアンテナコイル面との距離を1mm以上とすることで、金属面に吸着させて利用することも可能となり、広い用途範囲を得ることができる。さらに、非接触式データキャリアインレット13を内蔵することが可能であるので、例えば、非常に小さな非接触式データキャリアインレット13の装着なども安定して行うことができる。
【0037】
なお、本発明に係る非接触式データキャリア装置10は、例えば、製品などの管理を行うために、単体としてその製品に吸着させて使用してもよい。また、従来の吸盤を備える各製品の吸盤の代わりに非接触式データキャリア装置10を用い、吸盤としての機能を維持しなから、製品などの管理を行うようにしてもよい。
【0038】
また、上記した非接触式データキャリア装置10では、非接触式データキャリアインレット13を挟持部12内に収容した一例を示したが、非接触式データキャリアインレット13を挟持部12上に設置してもよい。さらに、吸盤部11が所定の厚さを有して構成される場合には、挟持部12を設けずに、非接触式データキャリアインレット13を、吸盤部11内の中央面11a付近に収容する構成や、吸盤部11上の中央面11aに対向する位置に設置する構成としてもよい。ここで、挟持部12または吸盤部11上に非接触式データキャリアインレット13を設置する際には、挟持部12または吸盤部11上に非接触式データキャリアインレット13が固定されれば、特に固定方法は限定されるのもではないが、例えば、接着剤などを介して固定することができる。
【0039】
ここで、上記した第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10の一部の構成を変えた非接触式データキャリア装置10Aについて、図5Aおよび図5Bを参照して説明する。なお、吸盤部11の内壁の中央面11aに隣接するアンテナコイル面までの距離は、非接触式データキャリア装置10の場合と同じに構成されている。
【0040】
図5Aは、非接触式データキャリア装置10Aの断面を模式的に示す図である。また、図5Bは、図5Aに示した非接触式データキャリア装置10Aの上方からの平面図である。
【0041】
図5Aおよび図5Bに示すように、非接触式データキャリア装置10Aは、吸盤部11と、挟持部20と、非接触式データキャリアインレット13とから主に構成されている。
【0042】
吸盤部11および非接触式データキャリアインレット13は、第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10におけるそれぞれと同一の構成を有している。
【0043】
また、挟持部20は、肉厚部として機能し、例えば、吸盤部11を被吸着物の面に押圧する場合や、非接触式データキャリア装置10Aを取り外す場合などに挟持される部分であり、吸盤部11上に形成される。また、挟持部20は、吸盤部11の凸部中央の外側、すなわち吸盤部11の内壁の中央面11aの外側に形成されることが好ましい。また、挟持部20は、吸盤部11と一体的に形成されてもよく、または、吸盤部11と別個に形成され、その後吸盤部11と接合されてもよい。また、挟持部20は、上記した吸盤部11と同一の材料で形成される。また、この非接触式データキャリア装置10Aにおいては、挟持部20の側壁には、インレット挿入口21が形成され、このインレット挿入口21から挟持部20内に吸盤部11の開口面11bとほぼ水平な方向に、非接触式データキャリアインレット13を挿入して設置することができる。また、挟持部20内に挿入された非接触式データキャリアインレット13をインレット挿入口21から取り出すことも可能である。
【0044】
この非接触式データキャリア装置10Aによれば、上記した非接触式データキャリア装置10と同様の効果を得ることができるとともに、非接触式データキャリアインレット13を着脱可能に設置することができるので、例えば、共振周波数などが異なる様々な仕様の非接触式データキャリアインレット13を任意に装着することができる。これによって、非接触式データキャリア装置10Aの用途範囲を広げることができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図6Aは、本発明に係る第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置30の断面を模式的に示す図である。また、図6Bは、図6Aに示した非接触式データキャリア装置30の上方からの平面図である。なお、第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10と同一の構成には同一の符号を付して、重複する説明を簡略または省略する。
【0046】
図6Aおよび図6Bに示すように、非接触式データキャリア装置30は、吸盤部11と、挟持部40と、非接触式データキャリアインレット13と、磁性体部材41から主に構成されている。
【0047】
挟持部40は、肉厚部として機能し、例えば、吸盤部11を被吸着物の面に押圧する場合や、非接触式データキャリア装置30を取り外す場合などに挟持される部分であり、吸盤部11上に形成される。また、挟持部40は、吸盤部11の凸部中央の外側、すなわち吸盤部11の内壁の中央面11aの外側に形成されることが好ましい。また、挟持部40は、吸盤部11と一体的に形成されてもよく、または、吸盤部11と別個に形成され、その後吸盤部11と接合されてもよい。また、挟持部40は、前述した吸盤部11と同一の材料で形成される。
【0048】
磁性体部材41は、例えば、透磁率の高い磁性体で構成された板状部材であり、磁性体として、具体的には、Mn−Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、六方晶系フェライトなどを用いることが好適である。
【0049】
また、磁性体部材41は、挟持部40内に一体的に収容されることから、板状部材に限らず、上記したフェライトなどの磁性粉末と樹脂バインダを混合したペーストによって形成された磁性体層で構成されてもよい。この樹脂バインダとしては、熱可塑性樹脂を主体とし、必要により磁性粉末と樹脂との親和力を向上させるシラン系、チタネート系、アルミ系などのカップリング剤、樹脂の流動性を高めるフタル酸系、スルホン酸系、リン酸系、エポキシ系などの可塑剤、混合物の流動性を高めるステアリン酸、ステアリン酸塩、脂肪酸アミド、ワックス類などの滑剤及び充填物の酸化を防止するヒーンダードフェノル系、硫黄系、リン系などの酸化防止剤を適宜添加したものが好適である。また、磁性体部材41は、上記したフェライトなどの磁性粉末と樹脂バインダを混合したペーストを基台上に塗布し、プレスして乾燥して形成された磁性体シートで構成してもよい。
【0050】
挟持部40内には、吸盤部11の内壁の中央面11a側から磁性体部材41、非接触式データキャリアインレット13の順に、それぞれが吸盤部11の開口面11bとほぼ水平となるように一体的に収容されている。また、それぞれ対向する、磁性体部材41の一方の面41aと、この一方の面41aに対向する非接触式データキャリアインレット13のアンテナコイル面との距離が1mm以上となるように配置されている。なお、多層からなる非接触式データキャリアインレット13が収容される場合においても、磁性体部材41の一方の面41aと、この一方の面41aに隣接するアンテナコイル面までの距離が1mm以上となるように配置される。このように、非接触式データキャリアインレット13よりも吸盤部11の内壁の中央面11a側に磁性体部材41を配置し、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を1mm以上とすることで、非接触式データキャリア装置30を吸着する被吸着物が金属で構成されていても、情報の通信が阻害されること無く、リーダライタとの交信ができる。
【0051】
ここで、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を1mm以上とするのは、この距離が1mmより短い場合には、リーダライタとの好適な通信距離が得られないからである。一方、この距離は、1mm以上であれば、リーダライタとの好適な通信距離が得られるが、非接触式データキャリア装置30の実用上のサイズを考慮すると、例えば50mm程度を上限値とするのが好ましいが、この値は用途に対応して適宜変更することが可能である。
【0052】
ここで、上記した非接触式データキャリア装置30は、金属に吸着させて使用する金属吸着用の非接触式データキャリア装置として、非接触式データキャリアインレット13の共振回路(共振周波数)を設計したものではない。そのため、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離が「0」、すなわち、磁性体部材41に、直接非接触式データキャリアインレット13を取り付けて非接触式データキャリア装置30を構成し、それを金属面に取り付けて使用する場合には、共振周波数を13.56MHz付近に設定することが難しい。そこで、非接触式データキャリア装置30は、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離が1mm以上となるように構成し、共振周波数を13.56MHz付近に設定している。
【0053】
一方、非接触式データキャリアインレット13の共振周波数を、磁性体部材41を備えることを前提に設計することも可能であり、この場合には、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を限りなく「0」に近づけることも可能である。例えば、アンテナサイズが5mm×5mmの非接触式データキャリアインレット13と、厚さが0.5mmの磁性体部材41とを使用する場合、非接触式データキャリアインレット13自体の共振周波数を13.56MHz付近より高めに設定(15.5MHz)すれば、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を「0」としても、この非接触式データキャリア装置を金属面に吸着させて使用する際には、共振周波数を13.56MHz付近に設定することが可能となる。なお、磁性体部材41の0.5mm以上とする場合は、非接触式データキャリアインレット13自体の共振周波数を15.5MHzより高く設定すれば、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を「0」としても、この非接触式データキャリア装置を金属面に吸着させて使用する際には、共振周波数を13.56MHz付近に設定することが可能となる。
【0054】
なお、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向する磁性体部材41の他方の面41bとの距離は、特に限定されるものではなく、非接触式データキャリア装置30のコンパクト化の観点から、中央面11aが破れることなく挟持部40内に磁性体部材41を収容できる程度に小さくすることが好ましい。
【0055】
上記した第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置30によれば、吸盤部11を備えることで、非接触式データキャリア装置30の被吸着物への装着および離脱を容易に行うことができる。また、非接触式データキャリア装置30を離脱後の被吸着物においては、接着層が残存したり、被吸着物の接着面に傷が残るなどの問題は生じない。さらに、非接触式データキャリア装置30の装着および離脱が可能であるので、同一の非接触式データキャリア装置30を繰り返し利用することができるので経済的である。
【0056】
また、磁性体部材41を設けることで、磁性体部材41を設けない場合よりも、吸盤部11の内壁の中央面11aと、アンテナコイル面との距離を小さくすることができるので、磁性体部材41を薄く形成し、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向する磁性体部材41の他方の面41bとの距離を小さくすることで、非接触式データキャリア装置30のコンパクト化を図ることが可能となる。また、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を1mm以上とすることで、金属面に吸着させて利用することも可能となり、広い用途範囲を得ることができる。さらに、非接触式データキャリアインレット13を内蔵することが可能であるので、例えば、非常に小さな非接触式データキャリアインレット13の装着なども安定して行うことができる。
【0057】
なお、本発明に係る非接触式データキャリア装置30は、非接触式データキャリア装置10と同様に、例えば、製品などの管理を行うために、単体としてその製品に吸着させて使用してもよい。また、従来の吸盤を備える各製品の吸盤の代わりに非接触式データキャリア装置30を用い、吸盤としての機能を維持しなから、製品などの管理を行うようにしてもよい。
【0058】
また、上記した非接触式データキャリア装置30では、非接触式データキャリアインレット13を挟持部40内に収容した一例を示したが、非接触式データキャリアインレット13を挟持部40上に設置してもよい。さらに、吸盤部11が所定の厚さを有して構成される場合には、挟持部40を設けずに、非接触式データキャリアインレット13および磁性体部材41を、吸盤部11内の中央面11a付近に収容する構成や、非接触式データキャリアインレット13を吸盤部11上の中央面11aに対向する位置に設置し、磁性体部材41を吸盤部11内の非接触式データキャリアインレット13に対向する位置に収容する構成としてもよい。ここで、挟持部40または吸盤部11上に非接触式データキャリアインレット13を設置する際には、挟持部40または吸盤部11上に非接触式データキャリアインレット13が固定されれば、特に固定方法は限定されるのもではないが、例えば、接着剤などを介して固定することができる。
【0059】
ここで、上記した第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置30の一部の構成を変えた非接触式データキャリア装置30Aについて、図7Aおよび図7Bを参照して説明する。なお、磁性体部材41の一方の面41aと、この一方の面41aに対向する非接触式データキャリアインレット13のアンテナコイル面との距離や、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向する磁性体部材41の他方の面41bとの距離は、非接触式データキャリア装置30の場合と同じに構成される。
【0060】
図7Aは、非接触式データキャリア装置30Aの断面を模式的に示す図である。また、図7Bは、図7Aに示した非接触式データキャリア装置30Aの上方からの平面図である。
【0061】
図7Aおよび図7Bに示すように、非接触式データキャリア装置30Aは、吸盤部11と、挟持部50と、非接触式データキャリアインレット13と、磁性体部材41とから主に構成されている。
【0062】
吸盤部11および非接触式データキャリアインレット13は、第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置30におけるそれぞれと同一の構成を有している。
【0063】
また、挟持部50は、肉厚部として機能し、例えば、吸盤部11を被吸着物の面に押圧する場合や、非接触式データキャリア装置30Aを取り外す場合などに挟持される部分であり、吸盤部11上に形成される。また、挟持部50は、吸盤部11の凸部中央の外側、すなわち吸盤部11の内壁の中央面11aの外側に形成されることが好ましい。また、挟持部50は、吸盤部11と一体的に形成されてもよく、または、吸盤部11と別個に形成され、その後吸盤部11と接合されてもよい。また、挟持部50は、上記した吸盤部11と同一の材料で形成される。
【0064】
また、この非接触式データキャリア装置30Aにおいては、挟持部50の側壁には、インレット挿入口51、およびこのインレット挿入口51よりも吸盤部11側に磁性体部材挿入口52が形成されている。このインレット挿入口51から挟持部50内に、吸盤部11の開口面11bとほぼ水平な方向に非接触式データキャリアインレット13を挿入して設置することができる。また、磁性体部材挿入口52から挟持部50内に、吸盤部11の開口面11bとほぼ水平な方向に磁性体部材41を挿入して設置することができる。また、挟持部50内に挿入された非接触式データキャリアインレット13や磁性体部材41を、それぞれインレット挿入口51や磁性体部材挿入口52から取り出すことも可能である。また、インレット挿入口51および磁性体部材挿入口52は、一つの同一の挿入口としてもよい。
【0065】
なお、ここでは、磁性体部材41を着脱可能に設置できるように構成することから、磁性体部材41は、透磁率の高い磁性体で構成された板状部材で構成されることが好ましい。この板状部材を構成する磁性体は、上記した非接触式データキャリア装置30において、磁性体部材41を板状部材で構成される場合の材料と同じである。
【0066】
この非接触式データキャリア装置30Aによれば、上記した非接触式データキャリア装置10と同様の効果を得ることができるとともに、非接触式データキャリアインレット13および磁性体部材41を着脱可能に設置することができるので、例えば、共振周波数などが異なる様々な仕様の非接触式データキャリアインレット13や、材料の異なる磁性体部材41などを任意に装着することができる。これによって、非接触式データキャリア装置30Aの用途範囲を広げることができる。
【0067】
次に、実施例1で、吸盤部11と、挟持部12と、非接触式データキャリアインレット13とから構成される非接触式データキャリア装置10において、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向するアンテナコイル面との距離を2mm以上とすることが好適な理由を説明する。また、実施例2で、吸盤部11と、挟持部40と、非接触式データキャリアインレット13と、磁性体部材41から構成される非接触式データキャリア装置30において、磁性体部材41の一方の面41aと、この一方の面41aに対向する非接触式データキャリアインレット13のアンテナコイル面との距離が1mm以上とすることが好適な理由を説明する。
【0068】
(実施例1)
金属板上に、板状スペーサの積層枚数を調整することで、その厚さを変えることができるスペーサ部を介して非接触式データキャリアインレットを設置した。この板状スペーサは、ポリプロピレン(PP)で形成され、その1枚の厚さは1mmである。また、非接触式データキャリアインレットは、アンテナサイズ(アンテナコイルの最外周のアンテナパターンの縦および横の長さ)が4.75mm×4.75mm、5mm×5mmのものを用いた。
【0069】
板状スペーサの積層枚数を調整することで、金属板表面と、この金属板表面に対向する非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離(金属面とアンテナコイル面間の距離)を変えて、通信距離の測定を実施した。ここで、通信距離の測定は、非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面と、それに対向した上方位置において、リーダライタ(タカヤ製;出力10mW)の位置を変えて実施した。なお、ここでの通信距離とは、リーダライタとそれに対向する非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離である。
【0070】
図8は、通信距離の測定結果を示す。図8に示すように、アンテナサイズが4.75mm×4.75mm、5mm×5mmの双方の場合において、金属面とアンテナコイル面間の距離が2mm以上で、10mm以上の通信距離が得られた。また、アンテナサイズが5mm×5mmの場合には、金属面とアンテナコイル面間の距離が1mm以上で、5mm以上の通信距離が得られた。
【0071】
この測定結果から、非接触式データキャリア装置を金属面に吸着させる場合にでも、金属面とアンテナコイル面間の距離を2mm以上とすることで、リーダライタとの好適な通信距離が得られることがわかった。また、アンテナサイズが5mm×5mmの場合には、金属面とアンテナコイル面間の距離が1mmで、すでにリーダライタとの好適な通信距離が得られることがわかった。
【0072】
(実施例2)
磁性体からなる厚さが0.5、0.7、1mmの磁性板をそれぞれ用意し、金属板上に、各磁性体板を設置し、さらに各磁性板上に、板状スペーサの積層枚数を調整することで、その厚さを変えることができるスペーサ部を介して非接触式データキャリアインレットを設置した。この板状スペーサは、ポリプロピレン(PP)で形成され、その1枚の厚さは1mmである。また、非接触式データキャリアインレットは、アンテナサイズ(アンテナコイルの最外周のアンテナパターンの縦および横の長さ)が4.75mm×4.75mm、5mm×5mmのものを用いた。
【0073】
ここで、アンテナサイズが4.75mm×4.75mmの非接触式データキャリアインレットを使用した場合であって、磁性板の厚さが0.5mmのものを仕様1と、磁性板の厚さが0.7mmのものを仕様2と、磁性板の厚さが1mmのものを仕様3と示す。また、アンテナサイズが5mm×5mmの非接触式データキャリアインレットを使用した場合であって、磁性板の厚さが0.5mmのものを仕様4と、磁性板の厚さが0.7mmのものを仕様5と、磁性板の厚さが1mmのものを仕様6と示す。
【0074】
板状スペーサの積層枚数を調整することで、磁性板表面と、この磁性板表面に対向する非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離(磁性体面とアンテナコイル面間の距離)を変えて、通信距離の測定を実施した。ここで、通信距離の測定方法および通信距離の定義は、実施例1の場合と同じである。
【0075】
図9は、通信距離の測定結果を示す。図9に示すように、すべての仕様(仕様1〜仕様6)において、磁性体面とアンテナコイル面間の距離が1mm以上で、10mm以上の通信距離が得られた。また、アンテナサイズが4.75mm×4.75mmである仕様1〜仕様3の場合には、磁性体面とアンテナコイル面間の距離が1mmで、20mm程度の通信距離が得られた。
【0076】
この測定結果から、非接触式データキャリア装置を金属面に吸着させる場合にでも、所定の厚さの磁性体(磁性板)を設置し、磁性体面とアンテナコイル面間の距離を1mm以上とすることで、リーダライタとの好適な通信距離が得られることがわかった。
【0077】
以上、本発明を第1および第2の実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】本発明に係る第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図1B】図1Aに示した非接触式データキャリア装置の上方からの平面図。
【図2】多層からなる非接触式データキャリアインレットの構成を簡略化して模式的に示した分解斜視図。
【図3】図2に示した多層からなる非接触式データキャリアインレットの断面を模式的に示した図。
【図4】被吸着物に吸着した状態の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図5A】第1の実施の形態に係る他の構成の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図5B】図5Aに示した非接触式データキャリア装置の上方からの平面図。
【図6A】本発明に係る第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図6B】図6Aに示した非接触式データキャリア装置の上方からの平面図。
【図7A】第2の実施の形態に係る他の構成の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図7B】図7Aに示した非接触式データキャリア装置の上方からの平面図。
【図8】実施例1における通信距離の測定結果を示す図。
【図9】実施例2における通信距離の測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0079】
10…非接触式データキャリア装置、11…吸盤部、11a…中央面、12…挟持部、13…非接触式データキャリアインレット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で情報の交信を行う非接触式データキャリアを容易に取り付けおよび取り外し可能な非接触式データキャリア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非接触式データキャリアは、例えば、基板と、この基板上に所定の周波数帯で交信可能なアンテナコイルと、このアンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを備える非接触式データキャリアインレットに接着層を備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の非接触式データキャリアは、この接着層を介して対象物に接着されて利用されていた。
【特許文献1】特開2005−310054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したように、従来の非接触式データキャリアは、接着層を介して対象物に接着されていたため、非接触式データキャリアを対象物から取り外す際、対象物に接着層が残存したり、対象物の接着面に傷を残してしまうなどの問題があった。また、非接触式データキャリアを対象物から取り外す際、非接触式データキャリア自体が壊れてしまうこともあった。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、対象物の接触面を傷つけることなく、対象物への取り付けおよび対象物からの取り外しを容易に行うことができる非接触式データキャリア装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る非接触式データキャリア装置は、被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、前記吸盤部上または前記吸盤部内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットとを具備することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る非接触式データキャリア装置は、被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、前記吸盤部上に設けられた肉厚部と、前記肉厚部に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットとを具備することを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明に係る非接触式データキャリア装置は、被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、前記吸盤部上または前記吸盤部内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと、前記非接触式データキャリアインレットよりも前記吸盤部の内壁面側の前記吸盤部内に、前記非接触式データキャリアインレットに対向して配置された磁性体部材とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る非接触式データキャリア装置は、被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、前記吸盤部上に設けられた肉厚部と、前記肉厚部に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと、前記非接触式データキャリアインレットよりも前記吸盤部側の前記肉厚部内に、前記非接触式データキャリアインレットに対向して配置された磁性体部材とを具備することを特徴とする。
【0009】
これらの非接触式データキャリア装置によれば、吸盤部を備えることで、非接触式データキャリア装置の被吸着物への装着および離脱を容易に行うことができる。また、非接触式データキャリア装置の装着および離脱が可能であるので、同一の非接触式データキャリア装置を繰り返し利用することができる。ここで、上記した肉厚部に配置されとは、肉厚部の上部、側面部、内部に配置されることを意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の非接触式データキャリア装置によれば、対象物の接触面を傷つけることなく、対象物への取り付けおよび対象物からの取り外しを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1Aは、本発明に係る第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10の断面を模式的に示す図である。また、図1Bは、図1Aに示した非接触式データキャリア装置10の上方からの平面図である。
【0013】
図1Aおよび図1Bに示すように、非接触式データキャリア装置10は、吸盤部11と、挟持部12と、非接触式データキャリアインレット13とから主に構成されている。
【0014】
吸盤部11は、その断面が円弧状または円錐台状などの形状を有し、その内部には空隙を有している。吸盤部11は、いわゆる吸盤であり、被吸着物に着脱自在に吸着するものである。この吸盤部11は、吸着する被吸着物の面に押し付けられることで、その被吸着物の面と吸盤部11の内壁面との間の空気が無くなり、大気圧で吸盤部11が被吸着物の面に押し付けられことで、被吸着物の面に吸着する。
【0015】
また、吸盤部11は、熱可塑性樹脂などで形成され、熱可塑性樹脂の中でも、いわゆる汎用樹脂に分類される、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)などで形成される。また、吸盤部11は、ゴムなどの軟質材料で形成されてもく、具体的には、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、クロブレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリルニトル・ブタジエンゴム、エマストラなどが挙げられる。なお、吸盤部11を形成する材料は、これらに限られるものではなく、吸盤を形成する材料として公知な材料を用いることができる。
【0016】
挟持部12は、肉厚部として機能し、例えば、吸盤部11を被吸着物の面に押圧する場合や、非接触式データキャリア装置10を取り外す場合などに挟持される部分であり、吸盤部11上に形成される。また、挟持部12は、吸盤部11の凸部中央の外側、すなわち吸盤部11の内壁の中央面11aの外側に形成されることが好ましい。また、挟持部12は、吸盤部11と一体的に形成されてもよく、または、吸盤部11と別個に形成され、その後吸盤部11と接合されてもよい。また、挟持部12は、上記した吸盤部11と同一の材料で形成される。
【0017】
非接触式データキャリアインレット13は、電気絶縁性の基板と、その基板上に形成されたアンテナコイルと、このアンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設して構成される。非接触式データキャリアインレット13は、多層から構成されるタイプのものであっても、単層から構成されるタイプのものであってもよい。
【0018】
ここで、多層からなる非接触式データキャリアインレット13の構成の一例を図2および図3を参照して説明する。なお、多層からなる非接触式データキャリアインレット13の構成は、この構成に限られるものではなく、公知な多層からなる非接触式データキャリアインレットであってもよい。また、単層からなる非接触式データキャリアインレット13としては、公知な単層からなる非接触式データキャリアインレットを用いることができる。
【0019】
図2は、多層からなる非接触式データキャリアインレット13の構成を簡略化して模式的に示した分解斜視図である。図3は、図2に示した多層からなる非接触式データキャリアインレット13の断面を模式的に示した図である。なお、図2では、各配線層の接続関係を明記するため、実際よりも巻回数を少なくして簡略化して示している。実際のアンテナパターンの渦巻きの巻回数は、必要とされるインダクタンス値や設計にもよるが、例えば9回程度とされている。
【0020】
図2に示すように、非接触式データキャリアインレット13は、略正方形の絶縁基板の一方の主面に渦巻状のアンテナパターンを含めた配線層が形成された4つの単位アンテナ基板210、220、230、240が絶縁層を介して積層され一体化された4層配線板を有している。
【0021】
図2および図3に示すように、各配線層は、第1配線層から順に、渦巻状のアンテナパターン212、222、232、242を具備している。各アンテナパターン212、222、232、242は、1つの内側端212a、222a、232a、242aと、1つの外側端212b、222b、232b、242bを備えている。内側端212a、222a、232a、242aには、それぞれ、1つの内側接続端子213、223、233、243が接続されている。外側端212b、222b、232b、242bには、それぞれ、1つの外側接続端子214、224、234、244が接続されている。内側接続端子213、223、233、243は、アンテナパターンの渦巻きの内側に設けられ、互いに層間接続される配線層の内側端子どうしが同じ位置に重なるように構成されている。各内側接続端子213、223、233、243には、複数あるスルーホール205a、205bのうちの1つのみが導通するようにされている。外側接続端子214、224、234、244は、アンテナ基板の四隅の1つに設けられ、互いに層間接続される配線層の外側端子どうしが同じ位置になるように構成されている。各外側接続端子214、224、234、244には、複数あるスルーホール206a、206bのうちの1つのみが導通するようにされている。
【0022】
また、各配線層の四隅の内の2つには、スルーホールが設けられていない略直角二等辺三角形状の配線領域219a、219b、229a、229b、239a、239b、249a、249bが形成されている。これらは、渦巻き状のアンテナパターンと一体化されているが、アンテナの構成要素としては必須の構成ではないダミーパターンである。
【0023】
図2に示すように、第1配線層のアンテナパターン212と第2配線層のアンテナパターン222とは、その渦巻きの外側端において、外側接続端子214、224と導通したスルーホール206bを介して接続されている。第2配線層のアンテナパターン222と第3配線層のアンテナパターン232とは、その渦巻きの内側端において、内側接続端子223、233と導通したスルーホール205aを介して接続されている。第3配線層のアンテナパターン232と第4配線層のアンテナパターン242とは、その渦巻きの外側端において、外側接続端子234、244と導通したスルーホール206aを介して接続されている。第4配線層のアンテナパターン242と第1配線層のアンテナパターン212とは、その渦巻きの内側端において、内側接続端子243とチップ接続端子216bに接続された配線212cと導通したスルーホール205bを介して接続されている。
【0024】
上記したように、各アンテナパターン212、222、232、242は、これらの接続端子および層間接続導体を介して、電気的に直列接続され、第1配線層(最上層)に両端子を有する1つのアンテナコイルを構成している。このように構成されたアンテナコイルの一端は、第1配線層の内側接続端子213(チップ接続端子216aと兼用)であり、他端は、第1配線層の内側のスルーホール205bに配線212cを介して接続されたチップ接続端子216bである。
【0025】
なお、上記した非接触式データキャリアインレット13の渦巻き状のアンテナパターン212、222、232、242は、アンテナコイルの一端から各アンテナパターンの接続関係に沿って辿ったときに、渦巻きの旋回方向が同じ向き(例えば、時計回りなら時計回り、反時計回りなら反時計回り)になるように形成されている。すなわち、一定の方向の磁界を受けたときに発生する電流を打ち消しあわない向きで、各アンテナパターンが形成されている。
【0026】
ICチップ201は、チップ搭載パッド215および内側のスルーホール205a、205bの上に、接着剤を用いてを固定され、ワイヤボンディングにより、ICチップ201の電極端子203a、203bは、低背ワイヤ204a、204bを介してチップ接続端子216a、216bにそれぞれ接続されている。また、ICチップ201やICチップ201の電極端子203a、203bなどは封止樹脂207で封止されている。
【0027】
ここで、ICチップ201は、図示を省略した読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ロジック回路、演算装置(CPU)から主に構成されている。CPUでは、ROMやRAMに格納されたプログラムやデータなどを用いてリーダライタとの通信制御や応答処理など各種の演算処理を実行する。また、ROMには、非接触式データキャリアインレット13の製造時に、個々の非接触式データキャリアインレット13に固有に付与された識別情報であるタグ識別コードが記憶され、このタグ識別コードは書き換え不能となっている。ICチップ201には、電源バックアップ不要で、かつ書き換え可能な不揮発性メモリや無線交信のためのRF回路の他、コンデンサなども搭載されている。ICチップ201には、市場で入手可能なものを用途に合わせて適宜用いることができる。
【0028】
図1Aおよび図1Bに示すように、上記した非接触式データキャリアインレット13は、吸盤部11の開口面11bとほぼ水平となるように挟持部12内に一体的に収容され、さらに、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向する非接触式データキャリアインレット13のアンテナコイル面との距離(中央面11aが水平部を有さない場合には、中央面11aとアンテナコイル面との距離が最小になる距離)が2mm以上となるように配置されることが好ましい。多層からなる非接触式データキャリアインレット13が収容される場合においても、非接触式データキャリアインレット13は、吸盤部11の内壁の中央面11aに隣接するアンテナコイル面までの距離が2mm以上となるように配置される。また、中央面11aとアンテナコイル面との距離を2mm以上とすることで、非接触式データキャリア装置10を吸着する被吸着物が金属で構成されていても、情報の通信が阻害されること無く、リーダライタとの交信をすることができる。
【0029】
なお、ここでは、非接触式データキャリアインレット13が、吸盤部11の開口面11bとほぼ水平となるように挟持部12内に一体的に収容される一例を示したが、水平に配置することを限定するものではなく、開口面11bに対して、非接触式データキャリアインレット13を斜めに傾けて配置したり、垂直に配置したりすることも可能である。また、非接触式データキャリアインレット13は、吸盤部11の内部に配置される以外にも、例えば、吸盤部11の上部、側面部に、吸盤部11の開口面11bに対して、ほぼ水平に配置したり、斜めに傾けて配置したり、垂直に配置したりすることも可能である。
【0030】
なお、開口面11bに対して、非接触式データキャリアインレット13を垂直に配置する場合や、斜めに傾けて配置する場合においても、中央面11aとそれに最短距離に位置するアンテナコイルまでの距離を、上記した2mm以上とすることが好ましい。
【0031】
ここで、中央面11aとアンテナコイル面との距離を2mm以上とするのは、この距離が2mmより短い場合には、リーダライタとの好適な通信距離が得られないからである。一方、この距離は、2mm以上であれば、リーダライタとの好適な通信距離が得られるが、非接触式データキャリア装置10の実用上のサイズを考慮すると、例えば50mm程度を上限値とするのが好ましいが、この値は用途に対応して適宜変更することが可能である。
【0032】
なお、上記した、中央面11aとアンテナコイル面との距離を2mm以上とするのが好ましいのは、アンテナサイズ(アンテナコイルの最外周のアンテナパターンの縦および横の長さ)が4.75mm×4.75mmの場合であり、5mm×5mmの場合には、中央面11aとアンテナコイル面との距離は1mm以上であれば、非接触式データキャリア装置10を吸着する被吸着物が金属で構成されていても、情報の通信が阻害されること無く、リーダライタとの交信ができる。言い換えると、非接触式データキャリア装置10に使用されるアンテナコイルのサイズにより、中央面11aとアンテナコイル面との好適な距離は変化するが、この距離を2mm以上とすることで、本発明の非接触式データキャリア装置10に使用される非接触式データキャリアインレット13のすべてのアンテナサイズに対して、非接触式データキャリア装置10を吸着する被吸着物が金属で構成されていても、情報の通信が阻害されること無く、リーダライタとの交信をすることができる。
【0033】
また、図4に、被吸着物15に吸着した状態の非接触式データキャリア装置10の断面を模式的に示す図である。
【0034】
図4に示すように、吸盤部11を被吸着物15に押し付け、その被吸着物15の面と吸盤部11の内壁面との間の空気が無くなり、大気圧で吸盤部11が被吸着物15の面に押し付けられ、非接触式データキャリア装置10は被吸着物15に吸着している。
【0035】
上記した第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10によれば、吸盤部11を備えることで、非接触式データキャリア装置10の被吸着物への装着および離脱を容易に行うことができる。また、非接触式データキャリア装置10を離脱後の被吸着物においては、接着層が残存したり、被吸着物の接着面に傷が残るなどの問題は生じない。さらに、非接触式データキャリア装置10の装着および離脱が可能であるので、同一の非接触式データキャリア装置10を繰り返し利用することができるので経済的である。
【0036】
また、吸盤部11の内壁の中央面11aとアンテナコイル面との距離を1mm以上とすることで、金属面に吸着させて利用することも可能となり、広い用途範囲を得ることができる。さらに、非接触式データキャリアインレット13を内蔵することが可能であるので、例えば、非常に小さな非接触式データキャリアインレット13の装着なども安定して行うことができる。
【0037】
なお、本発明に係る非接触式データキャリア装置10は、例えば、製品などの管理を行うために、単体としてその製品に吸着させて使用してもよい。また、従来の吸盤を備える各製品の吸盤の代わりに非接触式データキャリア装置10を用い、吸盤としての機能を維持しなから、製品などの管理を行うようにしてもよい。
【0038】
また、上記した非接触式データキャリア装置10では、非接触式データキャリアインレット13を挟持部12内に収容した一例を示したが、非接触式データキャリアインレット13を挟持部12上に設置してもよい。さらに、吸盤部11が所定の厚さを有して構成される場合には、挟持部12を設けずに、非接触式データキャリアインレット13を、吸盤部11内の中央面11a付近に収容する構成や、吸盤部11上の中央面11aに対向する位置に設置する構成としてもよい。ここで、挟持部12または吸盤部11上に非接触式データキャリアインレット13を設置する際には、挟持部12または吸盤部11上に非接触式データキャリアインレット13が固定されれば、特に固定方法は限定されるのもではないが、例えば、接着剤などを介して固定することができる。
【0039】
ここで、上記した第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10の一部の構成を変えた非接触式データキャリア装置10Aについて、図5Aおよび図5Bを参照して説明する。なお、吸盤部11の内壁の中央面11aに隣接するアンテナコイル面までの距離は、非接触式データキャリア装置10の場合と同じに構成されている。
【0040】
図5Aは、非接触式データキャリア装置10Aの断面を模式的に示す図である。また、図5Bは、図5Aに示した非接触式データキャリア装置10Aの上方からの平面図である。
【0041】
図5Aおよび図5Bに示すように、非接触式データキャリア装置10Aは、吸盤部11と、挟持部20と、非接触式データキャリアインレット13とから主に構成されている。
【0042】
吸盤部11および非接触式データキャリアインレット13は、第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10におけるそれぞれと同一の構成を有している。
【0043】
また、挟持部20は、肉厚部として機能し、例えば、吸盤部11を被吸着物の面に押圧する場合や、非接触式データキャリア装置10Aを取り外す場合などに挟持される部分であり、吸盤部11上に形成される。また、挟持部20は、吸盤部11の凸部中央の外側、すなわち吸盤部11の内壁の中央面11aの外側に形成されることが好ましい。また、挟持部20は、吸盤部11と一体的に形成されてもよく、または、吸盤部11と別個に形成され、その後吸盤部11と接合されてもよい。また、挟持部20は、上記した吸盤部11と同一の材料で形成される。また、この非接触式データキャリア装置10Aにおいては、挟持部20の側壁には、インレット挿入口21が形成され、このインレット挿入口21から挟持部20内に吸盤部11の開口面11bとほぼ水平な方向に、非接触式データキャリアインレット13を挿入して設置することができる。また、挟持部20内に挿入された非接触式データキャリアインレット13をインレット挿入口21から取り出すことも可能である。
【0044】
この非接触式データキャリア装置10Aによれば、上記した非接触式データキャリア装置10と同様の効果を得ることができるとともに、非接触式データキャリアインレット13を着脱可能に設置することができるので、例えば、共振周波数などが異なる様々な仕様の非接触式データキャリアインレット13を任意に装着することができる。これによって、非接触式データキャリア装置10Aの用途範囲を広げることができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図6Aは、本発明に係る第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置30の断面を模式的に示す図である。また、図6Bは、図6Aに示した非接触式データキャリア装置30の上方からの平面図である。なお、第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置10と同一の構成には同一の符号を付して、重複する説明を簡略または省略する。
【0046】
図6Aおよび図6Bに示すように、非接触式データキャリア装置30は、吸盤部11と、挟持部40と、非接触式データキャリアインレット13と、磁性体部材41から主に構成されている。
【0047】
挟持部40は、肉厚部として機能し、例えば、吸盤部11を被吸着物の面に押圧する場合や、非接触式データキャリア装置30を取り外す場合などに挟持される部分であり、吸盤部11上に形成される。また、挟持部40は、吸盤部11の凸部中央の外側、すなわち吸盤部11の内壁の中央面11aの外側に形成されることが好ましい。また、挟持部40は、吸盤部11と一体的に形成されてもよく、または、吸盤部11と別個に形成され、その後吸盤部11と接合されてもよい。また、挟持部40は、前述した吸盤部11と同一の材料で形成される。
【0048】
磁性体部材41は、例えば、透磁率の高い磁性体で構成された板状部材であり、磁性体として、具体的には、Mn−Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、六方晶系フェライトなどを用いることが好適である。
【0049】
また、磁性体部材41は、挟持部40内に一体的に収容されることから、板状部材に限らず、上記したフェライトなどの磁性粉末と樹脂バインダを混合したペーストによって形成された磁性体層で構成されてもよい。この樹脂バインダとしては、熱可塑性樹脂を主体とし、必要により磁性粉末と樹脂との親和力を向上させるシラン系、チタネート系、アルミ系などのカップリング剤、樹脂の流動性を高めるフタル酸系、スルホン酸系、リン酸系、エポキシ系などの可塑剤、混合物の流動性を高めるステアリン酸、ステアリン酸塩、脂肪酸アミド、ワックス類などの滑剤及び充填物の酸化を防止するヒーンダードフェノル系、硫黄系、リン系などの酸化防止剤を適宜添加したものが好適である。また、磁性体部材41は、上記したフェライトなどの磁性粉末と樹脂バインダを混合したペーストを基台上に塗布し、プレスして乾燥して形成された磁性体シートで構成してもよい。
【0050】
挟持部40内には、吸盤部11の内壁の中央面11a側から磁性体部材41、非接触式データキャリアインレット13の順に、それぞれが吸盤部11の開口面11bとほぼ水平となるように一体的に収容されている。また、それぞれ対向する、磁性体部材41の一方の面41aと、この一方の面41aに対向する非接触式データキャリアインレット13のアンテナコイル面との距離が1mm以上となるように配置されている。なお、多層からなる非接触式データキャリアインレット13が収容される場合においても、磁性体部材41の一方の面41aと、この一方の面41aに隣接するアンテナコイル面までの距離が1mm以上となるように配置される。このように、非接触式データキャリアインレット13よりも吸盤部11の内壁の中央面11a側に磁性体部材41を配置し、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を1mm以上とすることで、非接触式データキャリア装置30を吸着する被吸着物が金属で構成されていても、情報の通信が阻害されること無く、リーダライタとの交信ができる。
【0051】
ここで、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を1mm以上とするのは、この距離が1mmより短い場合には、リーダライタとの好適な通信距離が得られないからである。一方、この距離は、1mm以上であれば、リーダライタとの好適な通信距離が得られるが、非接触式データキャリア装置30の実用上のサイズを考慮すると、例えば50mm程度を上限値とするのが好ましいが、この値は用途に対応して適宜変更することが可能である。
【0052】
ここで、上記した非接触式データキャリア装置30は、金属に吸着させて使用する金属吸着用の非接触式データキャリア装置として、非接触式データキャリアインレット13の共振回路(共振周波数)を設計したものではない。そのため、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離が「0」、すなわち、磁性体部材41に、直接非接触式データキャリアインレット13を取り付けて非接触式データキャリア装置30を構成し、それを金属面に取り付けて使用する場合には、共振周波数を13.56MHz付近に設定することが難しい。そこで、非接触式データキャリア装置30は、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離が1mm以上となるように構成し、共振周波数を13.56MHz付近に設定している。
【0053】
一方、非接触式データキャリアインレット13の共振周波数を、磁性体部材41を備えることを前提に設計することも可能であり、この場合には、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を限りなく「0」に近づけることも可能である。例えば、アンテナサイズが5mm×5mmの非接触式データキャリアインレット13と、厚さが0.5mmの磁性体部材41とを使用する場合、非接触式データキャリアインレット13自体の共振周波数を13.56MHz付近より高めに設定(15.5MHz)すれば、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を「0」としても、この非接触式データキャリア装置を金属面に吸着させて使用する際には、共振周波数を13.56MHz付近に設定することが可能となる。なお、磁性体部材41の0.5mm以上とする場合は、非接触式データキャリアインレット13自体の共振周波数を15.5MHzより高く設定すれば、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を「0」としても、この非接触式データキャリア装置を金属面に吸着させて使用する際には、共振周波数を13.56MHz付近に設定することが可能となる。
【0054】
なお、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向する磁性体部材41の他方の面41bとの距離は、特に限定されるものではなく、非接触式データキャリア装置30のコンパクト化の観点から、中央面11aが破れることなく挟持部40内に磁性体部材41を収容できる程度に小さくすることが好ましい。
【0055】
上記した第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置30によれば、吸盤部11を備えることで、非接触式データキャリア装置30の被吸着物への装着および離脱を容易に行うことができる。また、非接触式データキャリア装置30を離脱後の被吸着物においては、接着層が残存したり、被吸着物の接着面に傷が残るなどの問題は生じない。さらに、非接触式データキャリア装置30の装着および離脱が可能であるので、同一の非接触式データキャリア装置30を繰り返し利用することができるので経済的である。
【0056】
また、磁性体部材41を設けることで、磁性体部材41を設けない場合よりも、吸盤部11の内壁の中央面11aと、アンテナコイル面との距離を小さくすることができるので、磁性体部材41を薄く形成し、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向する磁性体部材41の他方の面41bとの距離を小さくすることで、非接触式データキャリア装置30のコンパクト化を図ることが可能となる。また、磁性体部材41の一方の面41aとアンテナコイル面との距離を1mm以上とすることで、金属面に吸着させて利用することも可能となり、広い用途範囲を得ることができる。さらに、非接触式データキャリアインレット13を内蔵することが可能であるので、例えば、非常に小さな非接触式データキャリアインレット13の装着なども安定して行うことができる。
【0057】
なお、本発明に係る非接触式データキャリア装置30は、非接触式データキャリア装置10と同様に、例えば、製品などの管理を行うために、単体としてその製品に吸着させて使用してもよい。また、従来の吸盤を備える各製品の吸盤の代わりに非接触式データキャリア装置30を用い、吸盤としての機能を維持しなから、製品などの管理を行うようにしてもよい。
【0058】
また、上記した非接触式データキャリア装置30では、非接触式データキャリアインレット13を挟持部40内に収容した一例を示したが、非接触式データキャリアインレット13を挟持部40上に設置してもよい。さらに、吸盤部11が所定の厚さを有して構成される場合には、挟持部40を設けずに、非接触式データキャリアインレット13および磁性体部材41を、吸盤部11内の中央面11a付近に収容する構成や、非接触式データキャリアインレット13を吸盤部11上の中央面11aに対向する位置に設置し、磁性体部材41を吸盤部11内の非接触式データキャリアインレット13に対向する位置に収容する構成としてもよい。ここで、挟持部40または吸盤部11上に非接触式データキャリアインレット13を設置する際には、挟持部40または吸盤部11上に非接触式データキャリアインレット13が固定されれば、特に固定方法は限定されるのもではないが、例えば、接着剤などを介して固定することができる。
【0059】
ここで、上記した第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置30の一部の構成を変えた非接触式データキャリア装置30Aについて、図7Aおよび図7Bを参照して説明する。なお、磁性体部材41の一方の面41aと、この一方の面41aに対向する非接触式データキャリアインレット13のアンテナコイル面との距離や、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向する磁性体部材41の他方の面41bとの距離は、非接触式データキャリア装置30の場合と同じに構成される。
【0060】
図7Aは、非接触式データキャリア装置30Aの断面を模式的に示す図である。また、図7Bは、図7Aに示した非接触式データキャリア装置30Aの上方からの平面図である。
【0061】
図7Aおよび図7Bに示すように、非接触式データキャリア装置30Aは、吸盤部11と、挟持部50と、非接触式データキャリアインレット13と、磁性体部材41とから主に構成されている。
【0062】
吸盤部11および非接触式データキャリアインレット13は、第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置30におけるそれぞれと同一の構成を有している。
【0063】
また、挟持部50は、肉厚部として機能し、例えば、吸盤部11を被吸着物の面に押圧する場合や、非接触式データキャリア装置30Aを取り外す場合などに挟持される部分であり、吸盤部11上に形成される。また、挟持部50は、吸盤部11の凸部中央の外側、すなわち吸盤部11の内壁の中央面11aの外側に形成されることが好ましい。また、挟持部50は、吸盤部11と一体的に形成されてもよく、または、吸盤部11と別個に形成され、その後吸盤部11と接合されてもよい。また、挟持部50は、上記した吸盤部11と同一の材料で形成される。
【0064】
また、この非接触式データキャリア装置30Aにおいては、挟持部50の側壁には、インレット挿入口51、およびこのインレット挿入口51よりも吸盤部11側に磁性体部材挿入口52が形成されている。このインレット挿入口51から挟持部50内に、吸盤部11の開口面11bとほぼ水平な方向に非接触式データキャリアインレット13を挿入して設置することができる。また、磁性体部材挿入口52から挟持部50内に、吸盤部11の開口面11bとほぼ水平な方向に磁性体部材41を挿入して設置することができる。また、挟持部50内に挿入された非接触式データキャリアインレット13や磁性体部材41を、それぞれインレット挿入口51や磁性体部材挿入口52から取り出すことも可能である。また、インレット挿入口51および磁性体部材挿入口52は、一つの同一の挿入口としてもよい。
【0065】
なお、ここでは、磁性体部材41を着脱可能に設置できるように構成することから、磁性体部材41は、透磁率の高い磁性体で構成された板状部材で構成されることが好ましい。この板状部材を構成する磁性体は、上記した非接触式データキャリア装置30において、磁性体部材41を板状部材で構成される場合の材料と同じである。
【0066】
この非接触式データキャリア装置30Aによれば、上記した非接触式データキャリア装置10と同様の効果を得ることができるとともに、非接触式データキャリアインレット13および磁性体部材41を着脱可能に設置することができるので、例えば、共振周波数などが異なる様々な仕様の非接触式データキャリアインレット13や、材料の異なる磁性体部材41などを任意に装着することができる。これによって、非接触式データキャリア装置30Aの用途範囲を広げることができる。
【0067】
次に、実施例1で、吸盤部11と、挟持部12と、非接触式データキャリアインレット13とから構成される非接触式データキャリア装置10において、吸盤部11の内壁の中央面11aと、この中央面11aに対向するアンテナコイル面との距離を2mm以上とすることが好適な理由を説明する。また、実施例2で、吸盤部11と、挟持部40と、非接触式データキャリアインレット13と、磁性体部材41から構成される非接触式データキャリア装置30において、磁性体部材41の一方の面41aと、この一方の面41aに対向する非接触式データキャリアインレット13のアンテナコイル面との距離が1mm以上とすることが好適な理由を説明する。
【0068】
(実施例1)
金属板上に、板状スペーサの積層枚数を調整することで、その厚さを変えることができるスペーサ部を介して非接触式データキャリアインレットを設置した。この板状スペーサは、ポリプロピレン(PP)で形成され、その1枚の厚さは1mmである。また、非接触式データキャリアインレットは、アンテナサイズ(アンテナコイルの最外周のアンテナパターンの縦および横の長さ)が4.75mm×4.75mm、5mm×5mmのものを用いた。
【0069】
板状スペーサの積層枚数を調整することで、金属板表面と、この金属板表面に対向する非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離(金属面とアンテナコイル面間の距離)を変えて、通信距離の測定を実施した。ここで、通信距離の測定は、非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面と、それに対向した上方位置において、リーダライタ(タカヤ製;出力10mW)の位置を変えて実施した。なお、ここでの通信距離とは、リーダライタとそれに対向する非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離である。
【0070】
図8は、通信距離の測定結果を示す。図8に示すように、アンテナサイズが4.75mm×4.75mm、5mm×5mmの双方の場合において、金属面とアンテナコイル面間の距離が2mm以上で、10mm以上の通信距離が得られた。また、アンテナサイズが5mm×5mmの場合には、金属面とアンテナコイル面間の距離が1mm以上で、5mm以上の通信距離が得られた。
【0071】
この測定結果から、非接触式データキャリア装置を金属面に吸着させる場合にでも、金属面とアンテナコイル面間の距離を2mm以上とすることで、リーダライタとの好適な通信距離が得られることがわかった。また、アンテナサイズが5mm×5mmの場合には、金属面とアンテナコイル面間の距離が1mmで、すでにリーダライタとの好適な通信距離が得られることがわかった。
【0072】
(実施例2)
磁性体からなる厚さが0.5、0.7、1mmの磁性板をそれぞれ用意し、金属板上に、各磁性体板を設置し、さらに各磁性板上に、板状スペーサの積層枚数を調整することで、その厚さを変えることができるスペーサ部を介して非接触式データキャリアインレットを設置した。この板状スペーサは、ポリプロピレン(PP)で形成され、その1枚の厚さは1mmである。また、非接触式データキャリアインレットは、アンテナサイズ(アンテナコイルの最外周のアンテナパターンの縦および横の長さ)が4.75mm×4.75mm、5mm×5mmのものを用いた。
【0073】
ここで、アンテナサイズが4.75mm×4.75mmの非接触式データキャリアインレットを使用した場合であって、磁性板の厚さが0.5mmのものを仕様1と、磁性板の厚さが0.7mmのものを仕様2と、磁性板の厚さが1mmのものを仕様3と示す。また、アンテナサイズが5mm×5mmの非接触式データキャリアインレットを使用した場合であって、磁性板の厚さが0.5mmのものを仕様4と、磁性板の厚さが0.7mmのものを仕様5と、磁性板の厚さが1mmのものを仕様6と示す。
【0074】
板状スペーサの積層枚数を調整することで、磁性板表面と、この磁性板表面に対向する非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離(磁性体面とアンテナコイル面間の距離)を変えて、通信距離の測定を実施した。ここで、通信距離の測定方法および通信距離の定義は、実施例1の場合と同じである。
【0075】
図9は、通信距離の測定結果を示す。図9に示すように、すべての仕様(仕様1〜仕様6)において、磁性体面とアンテナコイル面間の距離が1mm以上で、10mm以上の通信距離が得られた。また、アンテナサイズが4.75mm×4.75mmである仕様1〜仕様3の場合には、磁性体面とアンテナコイル面間の距離が1mmで、20mm程度の通信距離が得られた。
【0076】
この測定結果から、非接触式データキャリア装置を金属面に吸着させる場合にでも、所定の厚さの磁性体(磁性板)を設置し、磁性体面とアンテナコイル面間の距離を1mm以上とすることで、リーダライタとの好適な通信距離が得られることがわかった。
【0077】
以上、本発明を第1および第2の実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】本発明に係る第1の実施の形態の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図1B】図1Aに示した非接触式データキャリア装置の上方からの平面図。
【図2】多層からなる非接触式データキャリアインレットの構成を簡略化して模式的に示した分解斜視図。
【図3】図2に示した多層からなる非接触式データキャリアインレットの断面を模式的に示した図。
【図4】被吸着物に吸着した状態の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図5A】第1の実施の形態に係る他の構成の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図5B】図5Aに示した非接触式データキャリア装置の上方からの平面図。
【図6A】本発明に係る第2の実施の形態の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図6B】図6Aに示した非接触式データキャリア装置の上方からの平面図。
【図7A】第2の実施の形態に係る他の構成の非接触式データキャリア装置の断面を模式的に示す図。
【図7B】図7Aに示した非接触式データキャリア装置の上方からの平面図。
【図8】実施例1における通信距離の測定結果を示す図。
【図9】実施例2における通信距離の測定結果を示す図。
【符号の説明】
【0079】
10…非接触式データキャリア装置、11…吸盤部、11a…中央面、12…挟持部、13…非接触式データキャリアインレット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、
前記吸盤部上または前記吸盤部内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと
を具備することを特徴とする非接触式データキャリア装置。
【請求項2】
被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、
前記吸盤部上に設けられた肉厚部と、
前記肉厚部に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと
を具備することを特徴とする非接触式データキャリア装置。
【請求項3】
前記非接触式データキャリアインレットが前記肉厚部内に設置される場合において、前記非接触式データキャリアインレットが、前記肉厚部内に一体形成されていることを特徴とする請求項2記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項4】
前記非接触式データキャリアインレットが前記肉厚部内に設置される場合において、前記非接触式データキャリアインレットが、前記肉厚部に設けられたインレット挿入部に挿入されて前記肉厚部内に設置されていることを特徴とする請求項2記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項5】
前記吸盤部の内壁面と、該内壁面に対向する前記非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離が2mm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項6】
被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、
前記吸盤部上または前記吸盤部内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと、
前記非接触式データキャリアインレットよりも前記吸盤部の内壁面側の前記吸盤部内に、前記非接触式データキャリアインレットに対向して配置された磁性体部材と
を具備することを特徴とする非接触式データキャリア装置。
【請求項7】
被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、
前記吸盤部上に設けられた肉厚部と、
前記肉厚部に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと、
前記非接触式データキャリアインレットよりも前記吸盤部側の前記肉厚部内に、前記非接触式データキャリアインレットに対向して配置された磁性体部材と
を具備することを特徴とする非接触式データキャリア装置。
【請求項8】
前記非接触式データキャリアインレットが前記肉厚部内に設置される場合において、前記非接触式データキャリアインレットおよび前記磁性体部材が、前記肉厚部内に一体形成されていることを特徴とする請求項7記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項9】
前記非接触式データキャリアインレットが前記肉厚部内に設置される場合において、前記非接触式データキャリアインレットが、前記肉厚部に設けられたインレット挿入部に挿入され、前記磁性体部材が、前記肉厚部に設けられた磁性体部材挿入部に挿入されて、前記肉厚部内に設置されていることを特徴とする請求項7記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項10】
それぞれ対向する、前記磁性体部材の一方の面と、前記非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離が1mm以上であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項11】
前記吸盤部が樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1および6記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項12】
前記吸盤部および前記肉厚部が樹脂で形成されていることを特徴とする請求項2乃至5、請求項7乃至10のいずれか1項記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項1】
被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、
前記吸盤部上または前記吸盤部内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと
を具備することを特徴とする非接触式データキャリア装置。
【請求項2】
被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、
前記吸盤部上に設けられた肉厚部と、
前記肉厚部に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと
を具備することを特徴とする非接触式データキャリア装置。
【請求項3】
前記非接触式データキャリアインレットが前記肉厚部内に設置される場合において、前記非接触式データキャリアインレットが、前記肉厚部内に一体形成されていることを特徴とする請求項2記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項4】
前記非接触式データキャリアインレットが前記肉厚部内に設置される場合において、前記非接触式データキャリアインレットが、前記肉厚部に設けられたインレット挿入部に挿入されて前記肉厚部内に設置されていることを特徴とする請求項2記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項5】
前記吸盤部の内壁面と、該内壁面に対向する前記非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離が2mm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項6】
被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、
前記吸盤部上または前記吸盤部内に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと、
前記非接触式データキャリアインレットよりも前記吸盤部の内壁面側の前記吸盤部内に、前記非接触式データキャリアインレットに対向して配置された磁性体部材と
を具備することを特徴とする非接触式データキャリア装置。
【請求項7】
被吸着物に着脱自在に吸着可能な吸盤部と、
前記吸盤部上に設けられた肉厚部と、
前記肉厚部に設置され、電気絶縁性の基板上にアンテナコイルと前記アンテナコイルを介して情報の送受信を行うICチップとを配設してなる非接触式データキャリアインレットと、
前記非接触式データキャリアインレットよりも前記吸盤部側の前記肉厚部内に、前記非接触式データキャリアインレットに対向して配置された磁性体部材と
を具備することを特徴とする非接触式データキャリア装置。
【請求項8】
前記非接触式データキャリアインレットが前記肉厚部内に設置される場合において、前記非接触式データキャリアインレットおよび前記磁性体部材が、前記肉厚部内に一体形成されていることを特徴とする請求項7記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項9】
前記非接触式データキャリアインレットが前記肉厚部内に設置される場合において、前記非接触式データキャリアインレットが、前記肉厚部に設けられたインレット挿入部に挿入され、前記磁性体部材が、前記肉厚部に設けられた磁性体部材挿入部に挿入されて、前記肉厚部内に設置されていることを特徴とする請求項7記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項10】
それぞれ対向する、前記磁性体部材の一方の面と、前記非接触式データキャリアインレットのアンテナコイル面との距離が1mm以上であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項11】
前記吸盤部が樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1および6記載の非接触式データキャリア装置。
【請求項12】
前記吸盤部および前記肉厚部が樹脂で形成されていることを特徴とする請求項2乃至5、請求項7乃至10のいずれか1項記載の非接触式データキャリア装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−156908(P2007−156908A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352366(P2005−352366)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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