説明

非接触通信媒体読み取り装置、および非接触通信媒体読み取り方法

【課題】複数の規格の非接触型ICカードおよびRFIDタグとすばやく通信を開始できるRFID読み取り装置、およびRFID読み取り方法を提供する。
【解決手段】複数の周波数帯の電波を放射および捕捉するアンテナ部13と、RFIDタグ2の複数の周波数帯の搬送波をアンテナ部13を介して送出し、搬送波を送出したときにアンテナ部13で捕捉した電波の強度またはパターンを検知する検知信号送受信部121と、検知した電波の強度またはパターンに基づいて、RFIDタグ2の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定する判定部111と、判定部111で判定したRFIDタグ2の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適合する送信信号を生成してアンテナ部13を介して送信し、また、アンテナ部13を介して受信した信号を送信信号の通信規格に合わせて復号する規格送受信部122a〜122nと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信媒体読み取り装置、および非接触通信媒体読み取り方法に関する。より詳しくは、変復調方式や符号化方式、周波数が異なる非接触型ICカードおよびRFID(Radio Frequency Identification)タグの読み取りが行える読み取り装置、およびRFIDタグなどの読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触型ICカードおよびRFIDタグの利用が普及しつつある。RFIDタグは、バーコードを代替するものとして、特に物流の分野において期待を集めており、近い将来において広く普及することが予想されている。
【0003】
現在、電池を内蔵しないタイプのRFIDタグに用いる周波数帯域として、13.56MHz帯、860〜960MHzのUHF帯、2.45GHz帯が決められている。それぞれの周波数帯域で、変復調方式、符号化方式が異なる非接触型ICカードおよびRFIDタグが製造されている。これらの国際規格として、ISO14443、ISO15693、ISO18000−4、ISO18000−6等が制定されている。
【0004】
これら複数の規格の非接触型ICカードおよびRFIDタグと通信を行う読み取り装置として、例えば「非接触型ICカード用リーダライタ」(特許文献3参照)や、「RFID通信システムおよび無線通信装置」(特許文献4参照)がある。
【0005】
複数の異なる方式のICカード等を読み取るリーダライタの技術が、特許文献2および5に記載されている。特許文献2の技術は、複数の変復調方式に対応し、異なる方式のポーリング信号を順次送信して、応答した方式で読み取る。特許文献5の技術は、ICカードから送信されるプロトコルタイプを有する情報に基づき、および/または、当該ICカード用リーダライタに接続されるホストコンピュータからの切り換え命令に基づき、ICカードに対応するプロトコルに切り換える。
【0006】
その他、カードを複数枚重ねた時でも所定の通信距離を得るための非接触通信媒体の技術が特許文献1に記載されている。また、特許文献6には、送信パワーレベルを最大化することなく、多数タグ読み取り能力を強化し、受動タグ読み取り範囲を増加するRFIDリーダー電力供給方法が記載されている。
【特許文献1】国際公開第01/59951号パンフレット
【特許文献2】特開2002−342724号公報
【特許文献3】特開2003−22421号公報
【特許文献4】特開2006−157593号公報
【特許文献5】特開平04−42383号公報
【特許文献6】特表2005−535968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の規格の非接触型ICカードおよびRFIDタグと通信を行う読み取り装置は、異なるプロトコルを同時に読み書きしようとすると電波が干渉するため、各規格の信号を順番に送信し、応答のあった信号が通信を行おうとする非接触ICカードおよびRFIDタグの規格であると判断している。しかし、いつ、どの規格の非接触型ICカードおよびRFIDタグがかざされるかわからない場合には、該当する規格を実行するまでに時間がかかるという問題があった。
【0008】
また、特に、特許文献4に記載の規格毎の処理を実行するソフトウェアを入れ替える事により、複数の規格の非接触型ICカードおよびRFIDタグと通信を行うようなソフトウェア型非接触通信媒体読み取り装置の場合、各規格のソフトウェア(以下、プロトコルプログラムと呼ぶ)を格納するメモリには制限があり、多数のプロトコルプログラムを格納しておくことが難しいものがある。上記のような通信プロトコルを順番に実行する方法では、RFIDタグから応答が返ってくるまでプロトコルプログラムをダウンロードして入れ替えて実行するという処理を行う必要があるため、RFIDタグと通信を行うまでに非常に時間がかかるという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、複数の規格の非接触型ICカードおよびRFIDタグと通信を行う際、すばやく通信が開始できる非接触通信媒体読み取り装置を提供することを目的とする。
また、ソフトウェア型非接触通信媒体読み取り装置で、多数のプロトコルプログラムを格納しておくことが難しい場合でも、複数の規格の非接触型ICカードおよびRFIDタグとすばやく通信を開始できる非接触通信媒体読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点に係る非接触通信媒体読み取り装置は、
複数の周波数帯の電波を放射および捕捉するアンテナと、
非接触通信媒体の複数の周波数帯の搬送波を前記アンテナを介して送出する搬送波送出手段と、
前記搬送波送出手段で搬送波を送出したときに、前記アンテナで捕捉した電波の強度またはパターンを検知する検知手段と、
前記検知手段で検知した電波の強度またはパターンに基づいて、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定する判定手段と、
前記判定手段で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適合する送信信号を生成して前記アンテナを介して送信し、また、前記アンテナを介して受信した信号を前記送信信号の通信規格に合わせて復号する送受信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記判定手段は、前記検知手段で検知した電波の強度またはパターンを所定のしきい値またはパターンと比較して、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定する。
【0012】
または、前記判定手段は、前記搬送波送出手段で送出した複数の搬送波に対応して、前記検知手段で検知した複数の電波の強度またはパターンを相互に比較することによって、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定してもよい。
【0013】
好ましくは、前記非接触通信媒体と通信を行う通信プロトコルプログラムを記憶する記憶手段を備え、
前記送受信手段は、前記記憶手段が記憶している前記通信プロトコルプログラムの中から、前記判定手段で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムを選択して実行し、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適合する送信信号を生成して前記アンテナを介して送信し、また、前記アンテナを介して受信した信号を前記送信信号の通信規格に合わせて復号する。
【0014】
さらに、前記非接触通信媒体と通信を行う通信プロトコルプログラムを格納するサーバから、前記通信プロトコルプログラムを取得する通信手段と、
前記記憶手段に、前記判定手段で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムが記憶されていない場合に、前記サーバから前記通信手段を介して、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムをダウンロードして、前記記憶手段に記憶するダウンロード手段と、
を備えてもよい。
【0015】
本発明の第2の観点に係る非接触通信媒体読み取り方法は、
非接触通信媒体の周波数帯の搬送波を送出する搬送波送出工程と、
前記搬送波送出工程で搬送波を送出したときに、捕捉した電波の強度またはパターンを検知する検知工程と、
前記検知工程で検知した電波の強度またはパターンに基づいて、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定する判定工程と、
前記判定工程で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適合する送信信号を生成して送信し、また、受信した信号を前記送信信号の通信規格に合わせて復号する送受信工程と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記判定工程は、前記検知工程で検知した電波の強度またはパターンを所定のしきい値またはパターンと比較して、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定する。
【0017】
または、前記判定工程は、前記搬送波送出工程で送出した複数の搬送波に対応して、前記検知工程で検知した複数の電波の強度またはパターンを相互に比較することによって、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定する。
【0018】
さらに、当該非接触通信媒体読み取り装置に、前記判定工程で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムが記憶されていない場合に、前記非接触通信媒体と通信を行う通信プロトコルプログラムを格納するサーバから、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムを取得する、ダウンロード工程を備えてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の規格の非接触通信媒体を対象とする非接触通信媒体読み取り装置において、各規格の通信手順を順番に実行して、非接触通信媒体が応答する規格を見つける方法より早く、非接触通信媒体との通信を開始することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
非接触通信媒体には、非接触型ICカードまたはRFID(Radio Frequency
Identification)タグがある。実施の形態では、RFIDタグで代表して説明する。本発明は、非接触型ICカードにも適用することができる。なお、RFID読み取り装置を例として本発明の実施の形態を説明するが、本発明は非接触通信媒体のリーダライタ装置にも適用できる。
【0021】
RFIDタグは、その属する規格で用いる周波数帯域のアンテナを内蔵していて、特定の周波数帯域の電波または電磁波に対し共振して、その外の周波数帯域の電波を受けたときより強い反射波を返す。本発明ではこの共振現象を利用し、RFID読み取り装置が、RFIDタグの周波数帯域の搬送波を送信したときにRFIDタグが返す反射波を受信し、その反射波の強さをみることでRFIDタグの周波数帯域を判定する。すなわち、反射波によってどの周波数帯域の搬送波に対して共振したかがわかり、RFIDタグの周波数帯域が推定できる。
【0022】
反射波の強度によってRFIDタグの周波数帯域を判定するには、反射波の強度を所定のしきい値と比較して、それより大きい場合にその周波数帯域であると判断できる。あるいは、RFIDタグの周波数帯域の搬送波を送信し、複数の搬送波に対してRFIDタグが返す反射波の相対強度およびパターンもしくはタイミング等により、どの周波数帯域のRFIDタグ、または、どの規格のRFIDタグ、あるいは、どの種類のRFIDタグがかざされた可能性があるかを判定する。
【0023】
これにより、判定した周波数帯域、もしくは判定した規格に対応する規格の通信手順のみを実行して、近接する(読み取り可能な距離にある)RFIDタグを読み取ることができる。関連する技術では、各規格の通信手順を順番に実行してRFIDタグが応答する規格を見つける方法が行われているのに対して、本発明ではそれより早く、RFIDタグとの通信を開始できる。
【0024】
また、プログラムを実行することによってRFIDタグとの通信を行うソフトウェア型RFID読み取り装置の場合、判定手段が判定した周波数帯域、もしくは規格に該当するプロトコルプログラムを、RFID読み取り装置にダウンロードして実行することによって、複数のRFIDタグの種類に対応できる。RFID読み取り装置のメモリに制限があって、同時に記憶できる通信プロトコルプログラムの数に限りがあっても、判定した周波数帯域、もしくは規格に該当するプロトコルプログラムのみを、RFID読み取り装置にダウンロードすればよいので、複数の規格のRFIDタグを対象としながらも、各規格の通信手順を順番に実行するより早くRFIDタグとの通信を開始できる。
【0025】
また、本発明では、RFIDタグの規格を判定するときに、RFIDタグの周波数帯域の搬送波を、所定の範囲(例えば電波法で許可されている各周波数帯域の範囲等)でスイープ、あるいはホッピング等で変化させながら送出し、搬送波に対してRFIDタグが返す反射波の変化により、どの規格のRFIDタグ、あるいは、どの種類のRFIDタグがかざされた可能性があるかを判定することを特徴とする。
これにより、判定したRFIDタグの規格に対応するプロトコルプログラムを実行することができるため、さらに早くRFIDタグとの通信を開始できる。
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明によるRFID読み取り装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すRFID読み取り装置1は、アンテナ部13と、送受信部12と、制御部11とから構成される。アンテナ部13は、パッチアンテナやループアンテナ等で実現され、RFIDタグの各周波数帯域の電波および電磁波を送受信する。
【0028】
送受信部12は、送信信号を生成して符号化し、変調、増幅等を行ってアンテナ部13から送信する。また、アンテナ部13から受信する受信信号を増幅して復調し、符号化した情報の復号等の処理を行う。送受信部12は、AD/DA変換回路や増幅回路、フィルタ回路、変調・復調回路、符号化・復号回路等を備える。制御部11は、MPU(Micro Processor Unit)等を備え、送受信部12を制御する。
【0029】
送受信部12は、検知信号送受信部121と、RFIDタグ2の各規格に適合する通信を行う規格送受信部122a〜122nを備える。検知信号送受信部121は、RFIDタグ2の周波数帯域の搬送波をアンテナ部13を介して送出する。そして、送出した搬送波に対してRFIDタグ2が返す電波を、アンテナ部13を介して捕捉して、その強度を数値化(例えば電流値等に変換)して制御部11へ送る。
【0030】
規格送受信部122a〜122nはそれぞれ、RFIDタグ2の各規格a〜nに沿った変復調、符号化・復号処理、通信プロトコルを実行し、RFIDタグ2との通信処理を行う。規格送受信部122aは、規格a用の送受信を行う。規格送受信部122nは、規格n用の送受信を行う。
【0031】
制御部11は、判定部111およびRFIDタグ通信部112を備える。判定部111は、検知信号送受信部121へRFIDタグ2の各周波数帯域の搬送波を送信するよう指令を送り、また、検知信号送受信部121からRFIDタグ2が返す電波を数値化した値を受け、予め設定しておいた判定パラメタを用いて、どの周波数帯域のRFIDタグ2がかざされた可能性があるか、もしくは、どの規格のRFIDタグ2がかざされた可能性があるかを判定する。
【0032】
RFIDタグ通信部112は、判定部111で判定したRFIDタグ2の周波数帯域の規格(a〜nの1つ)に適合する規格送受信部122a〜122nを選択し、選択した規格送受信部122a〜122nを動作させる。
【0033】
アンテナ部13は、RFIDタグ2へ電波を送信する送信アンテナと、RFIDタグ2からの電波を受信する受信アンテナを別に備えていてもよい。また、複数の周波数帯域で送信および受信可能な周波数共用アンテナを用いても、周波数帯域毎のアンテナを複数備えていてもよい。
【0034】
送受信部12の検知信号送受信部121、規格a用の規格送受信部122a〜規格n用の規格送受信部122nは、1つの回路に組み込まれていても、別の回路になっていてもよい。
【0035】
判定部111の判定パラメタは、RFIDタグ2の周波数帯域の所定の周波数の搬送波に対するRFIDタグ2の反射波の強度を数値化した値と比較する、閾値とすることができる。または、時間に対する強度のパターンとすることもできる。あるいは、例えば、RFIDタグ2の周波数帯域の所定の範囲(例えば、電波法で決められた範囲)内で、周波数をスイープまたはホッピング等により変化させた搬送波に対して、RFIDタグ2が返す反射波の変化パターンやピーク値の周波数等を設定することができる。本実施の形態では、RFIDタグ2の反射波を電流値に変換した値に対する閾値を設定し、RFIDタグ2の周波数帯を判定する場合について説明する。
【0036】
なお、電波法で決められた周波数帯域の範囲とは、例えばISO/IEC18000−4(2.45GHz)の特定小電力無線局(FHSS)では2400〜2483.5MHzであり、ISO/IEC18000−6(UHF帯)の特定小電力無線局の場合では952〜955MHzである。
【0037】
次に、本実施の形態1のRFID読み取り装置1の動作について図2を参照して説明する。図2は、本実施の形態1に係るRFID読み取り装置1により、RFIDタグ2のユニークID(UID)を読み取る動作の一例を示すフローチャートである。
【0038】
まず、RFID読み取り装置1の判定部111が処理を開始し、検知信号送受信部121に対し、周波数帯域N(NはRFIDタグ2の周波数帯域のいずれかで、例えば、13.56MHz、UHF帯、2.45GHz等である)の搬送波を送信する指令を送る(ステップS11)。指令を受けた検知信号送受信部121は、アンテナ部13を介して周波数帯域Nの搬送波を送信する(ステップS11)。
【0039】
送出する搬送波は、RFIDタグ2の周波数帯域Nの所定の範囲(例えば電波法で決められた範囲)内で、周波数をスイープまたはホッピング等により変化させてもよい。本実施の形態では、周波数帯域Nの所定の周波数の搬送波を送信する場合について説明する。
【0040】
RFIDタグ2は、受けた搬送波の周波数に応じて、RFIDタグ2の回路によって決まる強さで、搬送波に対する反射波を返す(ステップR1)。
【0041】
RFID読み取り装置1の検知信号送受信部121は、RFIDタグ2からの反射波を受信して数値化(例えば電流値等に変換)し、判定部111に渡す(ステップS12)。
【0042】
判定部111は、反射波を数値化した値が、設定している閾値に達しない場合は(ステップS13;NO)、周波数帯域を変えて(ステップS14)、ステップS11〜S12の処理を繰り返し行う。周波数帯域を実行する順序は、周波数が低い順番でも、高い順番でも、前回RFIDタグ2が反応した順番でも、過去にRFIDタグ2が反応した回数が多い順番でも、ランダムでもよい。
【0043】
受信した電波の強度(例えば電流値)が、判定部111で設定している閾値に達した場合(ステップS13;YES)、RFIDタグ2は、送信した搬送波の周波数帯域Nの規格であると判定する(ステップS15)。
【0044】
本実施の形態では、RFIDタグ2の周波数帯域の搬送波を1つずつ送信しているが、複数の周波数帯域の搬送波を同時に送信して、受信した電波の周波数帯域ごとの強度(周波数成分)によってRFIDタグ2の規格を判定してもよい。
【0045】
RFIDタグ通信部112は、判定部111が判定した周波数帯域の規格kを選択し(ステップS20)、規格k用の規格送受信部122kへ、RFIDタグ2と通信するためのプロトコルに則った信号を送る。ここで、規格送受信部122kは図1の規格送受信部122a〜122nのいずれかである。規格送受信部122kは、アンテナ部13を介して信号を送信する(ステップS24)。
【0046】
RFIDタグ2は、プロトコルに則った規定の信号に対して(ステップR2;YES)、UID情報を含んだ信号を返す(ステップR3)。規定の信号でなければ(ステップR2;NO)、UIDを送信しない。
【0047】
RFID読み取り装置1の規格k用の規格送受信部122kは、RFIDタグ2から返ってくる信号を受信し、規格kのプロトコルに則って、復調および符号の復号を行い、UIDを取得する(ステップS25)。UIDが取得できた場合は(ステップS26:YES)、一連の処理を終了する。
【0048】
返ってくる信号がない、もしくは信号に含まれるUIDが正しくない場合(ステップS26;NO)、ステップS15で判定した周波数帯に、まだ実行していない規格が存在する場合(ステップS27;YES)、その規格を規格kとして(ステップS28)、ステップS24〜S26の処理を実行する。
【0049】
ステップS15で判定した周波数帯域の全ての規格を実行して、UIDが取得できない場合(ステップS27;NO)、予め指定した回数までステップS20〜S27を繰り返す。繰り返し回数が予め指定した回数に達してもUIDを取得できない場合(ステップS29;YES)、一連の処理を終了し、改めてRFID読み取り処理を行う。
【0050】
以上のように、本実施の形態によれば、RFIDタグ2の周波数帯域の搬送波を送出し、搬送波に対してRFIDタグ2が返す反射波の強さにより、どの周波数帯域、もしくは、どの規格のRFIDタグ2がかざされた可能性があるかを判定することが可能となり、判定した周波数帯域に対応する規格の通信手順のみを実行することができる。その結果、複数の規格のRFIDタグ2を対象とするRFID読み取り装置において、各規格の通信手順を順番に実行し、RFIDタグ2が反応する規格を見つける方法より早く、RFIDタグ2との通信を開始することが可能である。したがって、RFIDタグ2の読み取りを速く行うことができる。
【0051】
(実施の形態2)
次に、RFID読み取り装置1の判定部が、送出する搬送波の周波数ごとのRFIDタグ2からの反射波の強さで、かざされたRFIDタグ2の周波数帯域、もしくは、RFIDタグ2の規格の判定を行うのではなく、複数の周波数帯域に対するRFIDタグ2からの反射波の強さの形(パターン)で、かざされたRFIDタグ2の周波数帯域、もしくはRFIDタグ2の規格、あるいは、RFIDの種類を判定する場合のRFID読み取り装置の一例を説明する。
【0052】
本実施の形態2に係るRFID読み取り装置1の構成は、実施の形態1と同様であるが、判定部111が複数の周波数帯域に対してRFIDタグ2が返す電波を電流値に変換した値を受け、予め設定しておいた判定パラメタを用いて、どの周波数帯域のRFIDタグ2がかざされた可能性があるか、もしくは、どの規格のRFIDタグ2がかざされた可能性があるか、あるいは、どの種類のRFIDタグ2がかざされた可能性があるかを判定する点が異なる。
【0053】
判定パラメタには、各周波数帯域の搬送波に対する反射波の大きさの相対値や、各周波数帯域の所定の範囲(例えば、電波法で決められた範囲)内で、周波数をスイープまたはホッピング等により変化させた搬送波に対して、RFIDタグ2が返す反射波の変化パターンやピーク値の周波数等を設定してもよい。
【0054】
次に、本実施の形態の動作について図3を参照して説明する。図3は、実施の形態2によるRFID読み取り装置1によりRFIDタグ2のユニークID(UID)を読み取る動作の一例を示すフローチャートである。なお、図3には、図2と同じ処理には同じ番号を付している。以下、実施の形態1の処理と異なる部分のみ説明する。
【0055】
まず、RFID読み取り装置1の判定部111が、検知信号送受信部121に対し、搬送波を送信する指令を送る(ステップS11)。指令を受けた検知信号送受信部121は、アンテナ部13を介して周波数帯域N(例えば、13.56MHz、UHF帯、2.45GHz等)の搬送波を送信する(ステップS11)。
【0056】
送出する搬送波は、RFIDタグ2の周波数帯域Nの所定の範囲(例えば電波法で決められた範囲)内で、周波数をスイープまたはホッピング等により変化させてもよいが、本実施の形態では、周波数帯域Nの所定の周波数の搬送波を送信する場合について説明する。
【0057】
RFIDタグ2は、受けた搬送波の周波数に応じて、RFIDタグ2の回路によって決まる強さで、搬送波に対する反射波を返す(ステップR1)。RFID読み取り装置1の検知信号送受信部121は、RFIDタグ2からの反射波を捕捉して数値化(例えば、電流値等)し、判定部111に渡す(ステップS12)。
【0058】
このようなRFIDタグ2の検出処理を、判定部111で設定しているRFIDタグ2の周波数帯域全てに対して行う。すなわち、設定している残りの周波数帯域がある場合(ステップS16;YES)、その残りの周波数帯域の1つを選択して(ステップS17)、ステップS11、ステップS12を繰り返す。
【0059】
周波数帯域を実行する順序は、周波数が低い順番でも、高い順番でも、前回RFIDタグ2が反応した順番でも、過去にRFIDタグ2が反応した回数が多い順番でも、ランダムでもよい。また、本実施の形態ではRFIDタグ2の周波数帯域の搬送波を一つずつ送信する例を示すが、複数の周波数帯域の搬送波を同時に送信してもよい。
【0060】
設定しているすべての周波数帯域について、検出処理を終了すると(ステップS16;NO)、判定部111は、設定しているRFIDタグ2の周波数帯域全てに対する反射波を数値化した値から、予め設定している判定パラメタにより、かざされたRFIDタグ2の周波数帯域、もしくは、RFIDタグ2の規格、あるいは、RFIDタグ2の種類を判定する(ステップS18)。本実施の形態では、RFIDタグ2の周波数帯域を判定する場合について説明する。
【0061】
RFIDタグ2の周波数帯域が判定できない場合(ステップS19;NO)、周波数帯域の搬送波の送信(ステップS11)から繰り返す。RFIDタグ2の周波数帯域が判定できた場合(ステップS19;YES)、ステップS20以降の処理は、実施の形態1と同様である。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、RFIDタグ2の複数の周波数帯域の搬送波に対するRFIDタグ2の反射波の強さの形(パターン)から、かざされたRFIDタグ2の周波数帯域、もしくは、RFIDタグ2の規格、あるいは、RFIDタグ2の種類を判定するため、判定精度が高まる。
【0063】
RFID読み取り装置1とRFIDタグ2の距離と方向がほぼ一定である場合には、実施の形態1のように、周波数ごとの反射波の強さを閾値と比較して判定しても、必要な精度が確保できるであろう。RFID読み取り装置1とRFIDタグ2との距離または方向が変化する場合には、周波数ごとの反射波の強さ(の絶対値)では、正確に判定できない可能性がある。
【0064】
実施の形態2の方法では、いわば、複数の周波数に対する反射波のピーク値で正規化することになるので、RFID読み取り装置1とRFIDタグ2との距離または方向が変化しても、判定精度を維持できる。複数の規格のRFIDタグ2を対象とする読み取り装置において、周波数帯域の判定精度が高まると、対応する規格の通信手順を実行する際の間違いが減少するため、より早くRFIDタグ2との通信を開始することが可能である。
【0065】
(実施の形態3)
実施の形態3は、RFID読み取り装置が規格毎に送受信部を備えるのではなく、送受信部の回路が各規格に共通であって、ソフトウェアの変更により通信機能の変更が可能である、ソフトウェア型RFID読み取り装置の場合である。
【0066】
図4は、実施の形態3に係るRFID読み取り装置の構成例を示すブロック図である。図4に示すRFID読み取り装置1は、実施の形態1または2のRFID読み取り装置の構成に加え、記憶部14を備える。記憶部14は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、判定処理プログラム141と、各規格に対応する通信プロトコルプログラム142a〜142nを記憶する。
【0067】
判定処理プログラム141は、制御部11で動作して、RFIDタグ2の周波数帯域と各規格の対応と、判定部111の判定処理を行う。通信プロトコルプログラム142a〜142nは、制御部11の通信プロトコル実行部113で動作して、送受信部12にRFIDタグ2の各規格に沿った変復調、符号化・復号処理、通信プロトコルを実行させ、RFIDタグ2との通信処理を行う。
【0068】
送受信部12は、制御部11の判定部111、または通信プロトコル実行部113の指令によって、検知信号送受信部121、または、各規格に対応する規格送受信部122a〜122nとして動作する。
【0069】
制御部11は、CPUや再構成可能な回路であるFPGAやDSP等で実現され、上述のとおり、記憶部14が記憶している判定処理プログラム141や、通信プロトコルプログラム142a〜142nを実行し、送受信部12と信号をやりとりする。
【0070】
判定部111は、記憶部14が記憶している判定処理プログラム141を実行し、送受信部12へRFIDタグ2の周波数帯域の搬送波を送信するよう指令を送り、また、送受信部12からRFIDタグ2が返す電波を数値化した値を受ける。そして、判定処理プログラム141に含まれる判定パラメタを用いて、かざされたRFIDタグ2の周波数帯域、もしくはRFIDタグ2の規格、あるいはRFIDタグ2の種類を判定する。
【0071】
通信プロトコル実行部113は、記憶部14が記憶している通信プロトコルプログラム142a〜142nの中から、判定部111で判定した規格に対応する通信プロトコルプログラムを実行する。通信プロトコル実行部113は、通信プロトコルプログラムを実行することによって、規格に合わせた変調、符号化処理、通信プロトコルを行い、送信信号を送受信部12に渡す。また、送受信部12から渡された受信信号を、規格に合わせた復調、復号処理、通信プロトコルによりRFIDタグ2から送られた情報を取得する。
【0072】
アンテナ部13は、RFIDタグ2へ電波を送信する送信アンテナと、電波を受信する受信アンテナを別に備えていてもよい。また、複数の周波数帯域で送信および受信可能な周波数共用アンテナを用いても、周波数帯域毎のアンテナを複数備えていてもよい。
【0073】
判定パラメタは、RFIDタグ2の周波数帯域の所定の周波数の搬送波に対するRFIDタグ2の反射波の強度を数値化した値と比較する、閾値とすることができる。または、時間に対する強度のパターンとすることもできる。あるいは、各周波数帯域の搬送波に対する反射波の大きさの相対値、またはRFIDタグ2の周波数帯域の所定の範囲(例えば、電波法で決められた範囲)内で、周波数をスイープまたはホッピング等により変化させた搬送波に対するRFIDタグ2が返す反射波の変化パターンやピーク値の周波数等を設定することができる。本実施の形態では、RFIDタグ2の反射波を電流値に変換した値に対する閾値を設定し、RFIDタグ2の周波数帯を判定する場合について説明する。
【0074】
図5は、実施の形態3に係るRFID読み取り装置1により、RFIDタグ2のユニークID(UID)を読み取る動作の一例を示すフローチャートである。なお、図5では、図3と同じ処理には同じ番号を付している。
【0075】
まず、RFID読み取り装置1の判定部111が判定処理プログラム141を実行し、搬送波を送信する指令を送受信部12へ送る(ステップS11)。指令を受けた送受信部12は、アンテナ部13を介して周波数帯域N(例えば、13.56MHz、UHF帯、2.45GHz等)の搬送波を送信する(ステップS11)。
【0076】
送出する搬送波は、RFIDタグ2の周波数帯域Nの所定の範囲(例えば電波法で決められた範囲)内で、周波数をスイープまたはホッピング等により変化させてもよい。本実施の形態では、周波数帯域Nの所定の周波数の搬送波を送信する場合について説明する。
【0077】
RFIDタグ2は、受けた搬送波の周波数に応じて、RFIDタグ2の回路によって決まる強さで、搬送波に対する反射波を返す(ステップR1)。RFID読み取り装置1の検知信号送受信部121は、RFIDタグ2からの反射波を捕捉して数値化(例えば、電流値等)し、判定部111に渡す(ステップS12)。
【0078】
以降、ステップS19までの処理は、実施の形態2と同様である。図5の一点鎖線で囲まれた範囲の動作は、判定処理プログラム141による処理である。
【0079】
RFIDタグ2の周波数帯域が判定できた場合(ステップS19;YES)、制御部11は判定部111が判定した周波数帯域の規格kを選択する(ステップS20)。通信プロトコル実行部113は、規格k用の通信プロトコルプログラム142kを実行する。通信プロトコル実行部113は、規格kに則った通信プロトコル、符号化処理、変調を行って、送信信号を生成し、送受信部12へ渡す。送受信部12は、渡されたプロトコルに則った送信信号を、アンテナ部13を介して送信する(ステップS24)。
【0080】
RFIDタグ2は、通信プロトコルに則った規定の信号に対して(ステップR2;YES)、UID情報を含んだ信号を返す(ステップR3)。規定の信号でなければ(ステップR2;NO)、UIDを送信しない。
【0081】
RFID読み取り装置1の送受信部12は、RFIDタグ2から返ってくる信号を受信し、規格kのプロトコルに則って、復調および符号の復号を行い、UIDを取得する(ステップS25)。ステップS24およびS25の動作は、実施の形態1と同様であるが、通信プロトコルプログラムを実行することによって行われる。
【0082】
UIDが取得できた場合は(ステップS26:YES)、一連の処理を終了する。返ってくる信号がない、もしくは信号に含まれるUIDが正しくない場合(ステップS26;NO)、ステップS15で判定した周波数帯に、まだ実行していない規格が存在する場合(ステップS27;YES)、その規格を規格kとして(ステップS28)、ステップS24〜S26の処理を実行する。
【0083】
ステップS18で判定した周波数帯域の全ての規格を実行して、UIDが取得できない場合(ステップS27;NO)、予め指定した回数までステップS20〜S27を繰り返す。繰り返し回数が予め指定した回数に達してもUIDを取得できない場合(ステップS29;YES)、一連の処理を終了し、改めてRFID読み取り処理を行う。
【0084】
以上説明したとおり、本実施の形態3によれば、複数の規格のRFIDタグ2を対象とするソフトウェア型RFID読み取り装置において、RFIDタグ2の周波数帯域の搬送波を送信し、搬送波に対してRFIDタグ2が返す反射波の強さにより、どの周波数帯域、もしくは、どの規格、あるいはどの種類のRFIDタグ2がかざされた可能性があるかを判定することが可能となり、判定した周波数帯域に対応する規格の通信手順のみを実行することができるため、従来の各規格の通信手順を順番に実行し、RFIDタグ2が反応する規格を見つける方法より早くRFIDタグ2との通信を開始することが可能である。
【0085】
(実施の形態4)
次に、ソフトウェアの変更により通信機能の変更が可能であるソフトウェア型RFID読み取り装置において、メモリ容量に制限がある場合の一例を説明する。
【0086】
図6は、本発明によるRFID読み取り装置の構成例を示すブロック図である。図6に示すRFID読み取り装置1は、実施の形態3と同様であるが、RFID読み取り装置1の記憶部14の記憶容量は限られている。また、通信部15を備える。図6には、図4と同等のものに同じ番号を付している。
【0087】
記憶部14は、実施の形態3のように、RFIDタグ2との通信処理を行う可能性のある全ての規格用の通信プロトコルプログラムを予め記憶しているのではなく、限られた規格n用通信プロトコルプログラム142のみ記憶しており、必要があれば別の規格n’用の通信プロトコルプログラム142n’に書き換える。図6には規格n用通信プロトコルプログラム142は一つしか記載していないが、複数の通信プロトコルプログラムが記憶されている場合もある。
【0088】
また、制御部11は、実施の形態3の構成に加えて、ダウンロード処理部114を備える。ダウンロード処理部114は、通信部15を介して通信プロトコルプログラム142をダウンロードして、記憶部14に記憶する。
【0089】
通信部15は、無線送受信機、無線モデム又は網終端装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェース又はLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。通信部15は、外部のサーバ等(図示せず)と通信を行い、通信プロトコルプログラム142を取得する。
【0090】
次に、本実施の形態の動作について図7を参照して説明する。図7は、実施の形態4に係るRFID読み取り装置1によりRFIDタグのユニークID(UID)を読み取る動作の一例を示すフローチャートである。図7では、RFIDタグ2の処理を省略しているが、RFIDタグ2の動作は図2、図3、図5と同様である。また、図5の一点鎖線で囲んだ処理S1と、二点鎖線で囲んだ処理S2をそれぞれまとめて、ステップS1およびステップS2で表している。なお、図7には、図5と同じ処理には同じ番号を付している。以下、実施の形態3の処理と異なる部分のみ説明する。
【0091】
ステップS20で、通信プロトコル実行部113が判定部111で判定した周波数帯域の規格kを決定すると、通信プロトコル実行部113は、規格k用の通信プロトコルプログラム142kが記憶部14に記憶されているかを調べる(ステップS21)。通信プロトコルプログラム142kが記憶されていれば(ステップS21;YES)、規格k用通信プロトコルプログラム142kを実行する(ステップS2)。その後は実施の形態3の処理と同様である。
【0092】
規格k用の通信プロトコルプログラム142kが記憶部14に記憶されていなければ(ステップS21;NO)、ダウンロード処理部114が、通信部15を介して通信プロトコルプログラムを格納しているサーバに、規格k用の通信プロトコルプログラム142kを要求する(ステップS22)。サーバは、ダウンロード処理部114からの要求を受信し(ステップT1)、要求された規格k用の通信プロトコルプログラム142kを送信する(ステップT2)。
【0093】
ダウンロード処理部114は、規格k用の通信プロトコルプログラム142kを、通信部15を介して受信して記憶部14に格納する(ステップS23)。通信プロトコル実行部113は、規格k用通信プロトコルプログラム142kを実行する(ステップS2)。その後は実施の形態3の処理と同様である。
【0094】
以上のように、本実施の形態によれば、メモリ容量に制限があるソフトウェア型RFID読み取り装置において、RFIDタグ2の周波数帯域の搬送波を送信し、搬送波に対してRFIDタグ2が返す反射波の強さにより、どの周波数帯域、もしくは、どの規格、あるいは、どの種類のRFIDタグ2がかざされた可能性があるかを判定するので、該当する通信プロトコルプログラムをただちにRFID読み取り装置にダウンロードし、実行することができる。したがって、各規格の通信手順を順番にダウンロードして実行し、RFIDタグ2が反応する規格を見つける方法より早く、RFIDタグ2との通信を開始することが可能である。その結果、RFIDタグ2の読み取りを速く行うことができる。
【0095】
本発明による第1の効果は、複数の規格のRFIDタグ2を対象とするRFID読み取り装置において、各規格の通信手順を順番に実行してRFIDタグ2が反応する規格を見つける方法より早く、RFIDタグ2との通信を開始することが可能である。その理由は、RFIDタグ2の周波数帯域の搬送波を送信し、各搬送波に対してRFIDタグ2が返す反射波の強さおよびパターンにより、かざされたRFIDタグ2の周波数帯域、もしくは、RFIDタグ2の規格、あるいは、RFIDタグ2の種類を判定することが可能となり、判定した周波数帯域、もしくは規格、種類に対応する通信手順のみを実行することができるためである。
【0096】
本発明による第2の効果は、ソフトウェア型RFID読み取り装置の場合、RFID読み取り装置のメモリに制限があっても、複数の規格のRFIDタグ2を対象としながら、従来方法より早くRFIDタグ2との通信を開始することが可能である。その理由は、判定した周波数帯域およびRFIDタグ2の規格に該当するプロトコルプログラムのみを、RFID読み取り装置にダウンロードし、実行することができるためである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、複数の規格のRFIDタグ2を対象とするサービス、例えば、コンビニエンスストアの電子マネー処理端末や、複数の企業が入居しているビルの入り口のセキュリティシステム、複数種類の商品を扱うSCMシステムや盗難監視システムなどの用途に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施の形態1に係るRFID読み取り装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るRFIDタグのUIDを読み取る動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2に係るRFIDタグのUIDを読み取る動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態3に係るRFID読み取り装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】実施の形態3に係るRFIDタグのUIDを読み取る動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態4に係るRFID読み取り装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】実施の形態4に係るRFIDタグのUIDを読み取る動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1 RFID読み取り装置
2 RFIDタグ
11 制御部
12 送受信部
13 アンテナ部
14 記憶部
15 通信部
111 判定部
112 RFIDタグ通信部
113 通信プロトコル実行部
121 検知信号送受信部
122a、122n 規格送受信部
141 判定処理プログラム
142 通信プロトコルプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数帯の電波を放射および捕捉するアンテナと、
非接触通信媒体の複数の周波数帯の搬送波を前記アンテナを介して送出する搬送波送出手段と、
前記搬送波送出手段で搬送波を送出したときに、前記アンテナで捕捉した電波の強度またはパターンを検知する検知手段と、
前記検知手段で検知した電波の強度またはパターンに基づいて、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定する判定手段と、
前記判定手段で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適合する送信信号を生成して前記アンテナを介して送信し、また、前記アンテナを介して受信した信号を前記送信信号の通信規格に合わせて復号する送受信手段と、
を備えることを特徴とする非接触通信媒体読み取り装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記検知手段で検知した電波の強度またはパターンを所定のしきい値またはパターンと比較して、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定することを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読み取り装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記搬送波送出手段で送出した複数の搬送波に対応して、前記検知手段で検知した複数の電波の強度またはパターンを相互に比較することによって、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定することを特徴とする請求項1に記載の非接触通信媒体読み取り装置。
【請求項4】
前記非接触通信媒体と通信を行う通信プロトコルプログラムを記憶する記憶手段を備え、
前記送受信手段は、前記記憶手段が記憶している前記通信プロトコルプログラムの中から、前記判定手段で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムを選択して実行し、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適合する送信信号を生成して前記アンテナを介して送信し、また、前記アンテナを介して受信した信号を前記送信信号の通信規格に合わせて復号する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非接触通信媒体読み取り装置。
【請求項5】
前記非接触通信媒体と通信を行う通信プロトコルプログラムを格納するサーバから、前記通信プロトコルプログラムを取得する通信手段と、
前記記憶手段に、前記判定手段で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムが記憶されていない場合に、前記サーバから前記通信手段を介して、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムをダウンロードして、前記記憶手段に記憶するダウンロード手段と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の非接触通信媒体読み取り装置。
【請求項6】
非接触通信媒体の周波数帯の搬送波を送出する搬送波送出工程と、
前記搬送波送出工程で搬送波を送出したときに、捕捉した電波の強度またはパターンを検知する検知工程と、
前記検知工程で検知した電波の強度またはパターンに基づいて、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定する判定工程と、
前記判定工程で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適合する送信信号を生成して送信し、また、受信した信号を前記送信信号の通信規格に合わせて復号する送受信工程と、
を備えることを特徴とする非接触通信媒体読み取り方法。
【請求項7】
前記判定工程は、前記検知工程で検知した電波の強度またはパターンを所定のしきい値またはパターンと比較して、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定することを特徴とする請求項6に記載の非接触通信媒体読み取り方法。
【請求項8】
前記判定工程は、前記搬送波送出工程で送出した複数の搬送波に対応して、前記検知工程で検知した複数の電波の強度またはパターンを相互に比較することによって、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類を判定することを特徴とする請求項6に記載の非接触通信媒体読み取り方法。
【請求項9】
当該非接触通信媒体読み取り装置に、前記判定工程で判定した前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムが記憶されていない場合に、前記非接触通信媒体と通信を行う通信プロトコルプログラムを格納するサーバから、前記非接触通信媒体の周波数帯域または通信規格もしくは種類に適応する通信プロトコルプログラムを取得する、ダウンロード工程を備えることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の非接触通信媒体読み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−86984(P2009−86984A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255311(P2007−255311)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】