説明

非接触通信端末

【課題】電磁波を媒介として無線通信媒体を読取可能な非接触通信端末において、読取対象物までの距離が適切であるか否かを使用者が視覚的に把握することができる構成を提供する。
【解決手段】 非接触通信端末1には、アンテナ23から電磁波が出力される所定方向にマーカ光を照射するマーカ光照射部40が設けられている。このマーカ光照射部40は、アンテナ23からマーカ光照射対象までの所定方向の距離が所定距離未満のときに第1の表示態様で表示し、所定距離を超えるときには第2の表示態様で表示するように構成されている。そして、無線リーダ部20は、アンテナ23から前記所定方向において前記所定距離未満にある無線タグ50を読取可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、無線タグを無線通信によって読取可能な非接触通信端末が広く提供されており、この種の非接触通信端末では、端末本体に設けられたアンテナから所定方向に電波を送信し、その電波の送信先に位置する無線タグからの応答を受信することで無線タグの読み取り、或いは書き込みを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−202492公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記非接触通信端末は、読み取りの媒介となる電波が視覚的に把握できるものではないため、端末が読取対象物に対して適切な位置関係にあるか否かを使用者に把握させる方法が問題となる。このような問題に関連する技術としては、例えば特許文献1のようなものがあり、この特許文献1では、非接触通信端末の最適通信方向に可視光を照射する技術が開示されている。この方法を用いると、非接触通信端末の最適通信方向に読取対象物が存在する場合に当該読取対象物に所定パターンが表示されるため、使用者はこの所定パターンを視覚的に把握することで端末の向きが適切な向きであることを知ることができる。
【0005】
しかしながら、非接触通信端末が読取対象物に対して適切な位置関係にあるか否かは、端末の向きだけでなく、読取対象物までの距離も問題となり、従来の非接触通信端末では、読取対象物までの距離が適切であるか否かを視覚的に把握することが難しかった。従って、読み取りを確実に行うために端末を読取対象物に必要以上に近づけてしまったり、或いは、端末を読取対象物から離しすぎて読取不良になってしまったりすることがあり、操作性、作業性を損なう懸念があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、電磁波を媒介として無線通信媒体を読取可能な非接触通信端末において、読取対象物までの距離が適切であるか否かを使用者が視覚的に把握することができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、電磁波を送受信するアンテナと、前記アンテナにて送受信される前記電磁波を媒介として無線通信媒体を読み取る無線読取手段と、を備えた非接触通信端末であって、前記アンテナから前記電磁波が出力される所定方向にマーカ光を照射するマーカ光照射手段が設けられ、前記マーカ光照射手段が、前記アンテナからマーカ光照射対象までの前記所定方向の距離が所定距離未満のときに前記マーカ光照射対象において第1の表示態様で表示し、前記所定距離を超えるときには前記マーカ光照射対象において前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で表示するように構成されており、前記無線読取手段が、少なくとも前記アンテナから前記所定方向において前記所定距離未満にある前記無線通信媒体を読取可能とされていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の非接触通信端末において、前記マーカ光照射手段が、第1マーカ光を照射する第1マーカ光照射手段と、前記第1マーカ光とは異なる表示態様の第2マーカ光を照射する第2マーカ光照射手段と、を備えており、前記アンテナから前記マーカ光照射対象までの前記所定方向の距離が前記所定距離未満の場合と前記所定距離を超える場合とで、前記マーカ光照射対象における前記第1マーカ光の表示と前記第2マーカ光の表示との並びが逆になることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の非接触通信端末において、前記マーカ光照射手段が、前記マーカ光照射対象が前記アンテナから前記所定方向において前記所定距離離れた位置に配置される場合に、前記マーカ光照射対象において前記第1マーカ光の照射位置と前記第2マーカ光の照射位置とを少なくとも部分的に重ねるように表示することを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の非接触通信端末において、前記第1マーカ光照射手段が、第1の色の前記第1マーカ光を照射し、前記第2マーカ光照射手段が、前記第1の色とは異なる第2の色の前記第2マーカ光を照射することを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の非接触通信端末において、前記マーカ光照射手段は、前記マーカ光照射対象が前記アンテナから前記所定方向において前記所定距離離れた位置に配置される場合に、前記マーカ光照射対象において前記第1マーカ光の照射位置と前記第2マーカ光の照射位置とを少なくとも部分的に重ねるように表示し、且つその重なる位置を前記第1の色と前記第2の色とを重ねた第3の色で表示することを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の非接触通信端末において、前記第1マーカ光照射手段は、前記第1マーカ光を線状に照射し、前記第2マーカ光照射手段は、前記第2マーカ光を前記第1マーカ光に沿って線状に照射することを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の非接触通信端末において、前記アンテナを保持するケースが設けられ、前記アンテナが前記ケースの所定壁面に沿って設けられており、前記マーカ光照射手段が、前記アンテナの周囲に隣接して配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、アンテナから電磁波が出力される所定方向にマーカ光を照射するマーカ光照射手段が設けられ、このマーカ光照射手段は、アンテナからマーカ光照射対象までの所定方向の距離が所定距離未満のときにマーカ光照射対象において第1の表示態様で表示し、所定距離を超えるときにはマーカ光照射対象において第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で表示するように構成されている。そして、無線読取手段は、少なくともアンテナから前記所定方向において前記所定距離未満にある無線通信媒体を読取可能とされている。このようにすると、読取対象物が読取可能な距離にあるときに使用者がその状態を明瞭且つ簡易な方法で確実に把握することができるため、非接触通信端末を読取対象物に対して適正な位置に迅速に配置しやすくなり、ひいては作業性良く良好に読み取りを行うことができる。
【0015】
請求項2の発明では、第1マーカ光を照射する第1マーカ光照射手段と、この第1マーカ光とは異なる表示態様の第2マーカ光を照射する第2マーカ光照射手段とが設けられており、アンテナからマーカ光照射対象までの所定方向の距離が所定距離未満の場合と所定距離を超える場合とで、マーカ光照射対象における第1マーカ光の表示と第2マーカ光の表示との並びが逆になるように構成されている。このようにすると、読取対象物が所定距離未満にあるときと所定距離を超える場合とで表示態様を切り替えうる構成を、2種類の照射手段を用いて簡易に実現できる。また、第1の表示態様のときと第2の表示態様のときとで第1マーカ光の表示と第2マーカ光の表示の並びが逆になるように構成されているため、両表示態様の差異がより分かりやすくなる。
【0016】
請求項3の発明では、マーカ光照射対象がアンテナから所定方向において所定距離離れた位置に配置される場合に、マーカ光照射手段は、当該マーカ光照射対象において第1マーカ光の照射位置と第2マーカ光の照射位置とを少なくとも部分的に重ねるように表示している。このようにすると、読取対象物が所定距離となったときにその状態をマーカ光同士の重なりによって視覚的に認識できるようになり、このように表示態様が切り替わる基準位置を明瞭に表示し得る構成を簡易な方法で実現できる。
【0017】
請求項4の発明は、第1マーカ光照射手段が第1の色の第1マーカ光を照射し、第2マーカ光照射手段が第1の色とは異なる第2の色の第2マーカ光を照射している。このようにすると、第1の表示態様と第2の表示態様とで表示色の並びが逆になるため、各表示態様をより明確に区別しやすくなり、表示態様を誤認識しにくくなる。
【0018】
請求項5の発明は、マーカ光照射対象がアンテナから所定方向において所定距離離れた位置に配置される場合に、当該マーカ光照射対象において第1マーカ光の照射位置と第2マーカ光の照射位置とを少なくとも部分的に重ねるように表示し、且つその重なる位置を第1の色と第2の色とを重ねた第3の色で表示している。このようにすると、読取対象物が所定距離となったときに特徴的な第3の色が表れるため、読み取りの際に表示態様が切り替わる基準位置をより一層分かりやすく印象的に表現できる。
【0019】
請求項6の発明は、第1マーカ光照射手段は、第1マーカ光を線状に照射し、第2マーカ光照射手段は、第2マーカ光を第1マーカ光に沿って線状に照射している。このようにすると、読取対象物上に明瞭なラインを表示することができ、マーカ表示を認識しやすくすることができる。更に、このような明瞭なラインの並びを変更して第1の表示態様と第2の表示態様とを切り替えるようにすると、両表示態様の違いがより分かりやすくなる。
【0020】
請求項7の発明は、アンテナを保持するケースが設けられ、アンテナがケースの所定壁面に沿って設けられており、マーカ光照射手段が、アンテナの周囲に隣接して配置されている。このようにすると、アンテナの周囲のスペースを利用してマーカ光照射手段を効率的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(A)は、第1実施形態に係る非接触通信端末を概略的に例示する側面図であり、図1(B)は、その非接触通信端末の正面図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る非接触通信端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る非接触通信端末によって読み取られる無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【図4】図4(A)は、図1の非接触通信端末から照射されるマーカ光と所定距離との関係を説明する説明図である。図4(B)は、第1マーカ光及び第2マーカ光の照射の向きを説明する説明図である。
【図5】図5(A)は、読取対象物がアンテナから所定距離未満の位置にあるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図であり、図5(B)は、読取対象物が所定距離付近にあるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図であり、図5(C)は,読取対象物が所定距離を超えるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る非接触通信端末を概略的に例示する正面図である。
【図7】図7(A)は、第2実施形態に係る非接触通信端末を用いた場合において読取対象物がアンテナから所定距離未満の位置にあるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図であり、図7(B)は、読取対象物が所定距離付近にあるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図であり、図7(C)は,読取対象物が所定距離を超えるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図である。
【図8】図8は、マーカ光の方向調整手段を概略的に説明する説明図であり、図8(A)は、マーカ光が第1方向に照射されるときの様子を説明する説明図であり、図8(B)はマーカ光の向きが変更されて第2方向に照射されるときの様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下、本発明の非接触通信端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(全体構成)
まず、図1、図2を参照して本実施形態に係る非接触通信端末1の全体構成について説明する。なお、図1(A)は、第1実施形態に係る非接触通信端末を概略的に例示する側面図であり、図1(B)は、その非接触通信端末の正面図である。なお、図1(B)では、把持部を省略して示している。また、図2は、第1実施形態に係る非接触通信端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【0023】
図1、図2に示す非接触通信端末1は、例えばユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯端末として構成されており、商品などに付された無線タグやICカードなどの非接触通信媒体を読み取る無線リーダとしての機能を有している。
【0024】
図2に示すように、非接触通信端末1は、全体的制御を司る制御回路10を備えており、この制御回路10に、無線リーダ部20、マーカ光照射部40、メモリ11、キー操作部12、表示部13、外部インターフェース14、バッテリ15、電源部16などが接続されている。
【0025】
制御回路10は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ11とともに情報処理装置として機能している。メモリ11は、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの公知の半導体メモリなどによって構成されており、各種情報を記憶可能に構成されている。また、キー操作部12は、複数のキーによって構成され、使用者のキー操作に応じて制御回路10に対して操作信号を与える構成をなしており、制御回路10は、キー操作部12から操作信号を受けたとき、その操作信号に応じた動作を行うように構成されている。表示部13は、液晶表示器、LEDなどによって構成されており、各種表示を行うように機能している。外部インターフェース14は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信を行うためのインターフェースとして構成されており、制御回路10と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、非接触通信端末1には、電源となるバッテリ15や電源部16が設けられており、これらによって制御回路10や各種電気部品に電力が供給されている。
【0026】
また、図2に示すように、制御回路10には、無線リーダ部20及びマーカ光照射部40がそれぞれ接続されている。
無線リーダ部20は、制御回路10と協働して無線タグ50との間で電磁波による通信を行ない、無線タグ50に記憶されるデータの読取り、或いは無線タグ50へのデータの書込みを行なうように機能する。本実施形態では、無線リーダ部20及び制御回路10が「無線読取手段」の一例に相当しており、アンテナ23にて送受信される電磁波を媒介として無線タグ50(無線通信媒体)を読み取るように機能している。
【0027】
無線リーダ部20は、例えば公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図2に示すように、送信回路21、受信回路22、アンテナ23などを有している。
送信回路21は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から例えば周波数953MHzのキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御回路10に接続されており、当該制御回路10より出力される送信データを符号化して変調部に出力する構成をなしている。
【0028】
変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力されるものであり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。また、増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路(図示略)を介してアンテナ23に出力している。このようにしてアンテナ23に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ23より外部に放射される。
【0029】
一方、アンテナ23によって受信された電波信号は、整合回路(図示略)を介して受信回路22に入力される。この受信回路22は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ23を介して受信された信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御回路10に出力している。
【0030】
次に、非接触通信端末1によって読み取られる無線タグについて説明する。図3は、第1実施形態に係る非接触通信端末によって読み取られる無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
無線タグ50は、「無線通信媒」の一例に相当するものであり、ハードウェア的には公知のRFIDタグとして構成され、図3に示すように、アンテナ51,電源回路52,復調回路53,制御回路54,メモリ55,変調回路56などによって構成されている。
【0031】
電源回路52は、アンテナ51を介して受信した非接触通信端末1からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路54をはじめとする各構成要素に供給しているまた、復調回路53は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路54に出力している。また、メモリ55は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムやRFIDタグ50を識別するためのタグ識別情報(タグID)、RFIDタグ50の用途に応じてユーザが設定したデータ(商品データ、物流データ等)などが記憶されている。また、制御回路54は、メモリ55から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路56に出力する構成をなしており、変調回路56は、キャリア信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ51から反射波として送信するように構成されている。
【0032】
(特徴的構成)
次に、本実施形態に係る非接触通信端末1の特徴的構成について説明する。
図4(A)は、図1の非接触通信端末から照射されるマーカ光と所定距離との関係を説明する説明図である。図4(B)は、第1マーカ光及び第2マーカ光の照射の向きを説明する説明図である。図5(A)は、読取対象物がアンテナから所定距離未満の位置にあるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図であり、図5(B)は、読取対象物が所定距離付近にあるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図であり、図5(C)は,読取対象物が所定距離を超えるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図である。図6は、マーカ光の方向調整手段を概略的に説明する説明図であり、図6(A)は、マーカ光の第1方向に照射されるときの様子を説明する説明図であり、図6(B)はマーカ光の向きが変更されて第2方向に照射されるときの様子を説明する説明図である。
【0033】
なお、本実施形態では、非接触通信端末1の所定方向を前後方向としており、この前後方向をX軸方向として示している。また、この前後方向に対して直交する所定の上下方向(高さ方向)をY軸方向としており、これら前後方向及び上下方向に直交する幅方向(左右方向)をZ軸方向として示している。
【0034】
非接触通信端末1では、アンテナ23として例えば指向性アンテナが用いられ、少なくとも前方向(所定方向)に対して強く電波を出力する構成をなしている。更に、図1、図2、図4に示すように、アンテナ23から電波が強く出力される前方向(所定方向)に対してマーカ光を照射するマーカ光照射部40が設けられている。このマーカ光照射部40は、「マーカ光照射手段」の一例に相当するものであり、図1、図2に示すように、第1マーカ光MK1を照射する第1マーカ光照射部41と、この第1マーカ光MK1とは異なる表示態様の第2マーカ光MK2を照射する第2マーカ光照射部42によって構成されている。
【0035】
第1マーカ光照射部41は、「第1マーカ光照射手段」の一例に相当するものであり、図1(B)に示すように、幅方向に並ぶ2つの赤色LED41a,41bによって構成され、これら赤色LED41a,41bのいずれも前方側に向けてマーカ光MK1(LED光)を照射する構成をなしている。本実施形態では、図4(B)に示すように、2つの赤色LED41a,41bのいずれも、XZ平面に対して所定角度θだけ傾斜した下向きの方向であって且つXY平面に対して所定角度傾斜した内向き(前壁部2aの幅方向中央側向き)方向の照射光(マーカ光MK1)を出射している。なお、図4(B)では、非接触通信端末1を所定の側方から見た場合の一方の第1マーカ光照射部41(赤色LED41b)の照射の様子を示しているが、他方の第1マーカ光照射部41(赤色LED41a)も同様であり、図4(B)では図示はされていないが、他方の第1マーカ光照射部41(赤色LED41a)もXZ平面に対して所定角度θだけ傾斜した下向きの方向であって且つXY平面に対して所定角度傾斜した内向き(前壁部2aの幅方向中央側向き)方向の照射光(マーカ光)を出射している。
【0036】
第2マーカ光照射部42は、「第2マーカ光照射手段」の一例に相当するものであり、図1(B)に示すように、幅方向に並ぶ2つの緑色LED42a,42bによって構成され、これら緑色LED42a,42bのいずれも前方側に向けてマーカ光MK2(LED光)を照射する構成をなしている。本実施形態では、図4(B)に示すように、2つの緑色LED42a,42bのいずれも、XZ平面に対して所定角度θだけ傾斜した上向きの方向であって且つXY平面に対して所定角度傾斜した内向き(前壁部2aの幅方向中央側向き)方向の照射光(マーカ光MK2)を出射している。なお、図4(B)では、非接触通信端末1を所定の側方から見た場合の一方の第2マーカ光照射部42(緑色LED42b)の照射の様子を示しているが、他方の第2マーカ光照射部42(緑色LED42a)も同様であり、図4(B)では図示はされていないが、他方の第2マーカ光照射部42(緑色LED42a)もXZ平面に対して所定角度θだけ傾斜した上向きの方向であって且つXY平面に対して所定角度傾斜した内向き(前壁部2aの幅方向中央側向き)方向の照射光(マーカ光)を出射している。
【0037】
上述した第1マーカ光照射部42(赤色LED41a,41b)及び第2マーカ光照射部(緑色LED42a,42b)は、図1(B)に示すように、いずれもアンテナ23の周囲に隣接して配置されている。本実施形態では、ケース2の前方側において当該ケース2の前壁部2aの壁面(所定壁面)に沿って保持される形態でアンテナ23が配置されており、マーカ光照射部40(赤色LED41a,41b、緑色LED42a,42b)はこのように配置されるアンテナ23の周囲において前壁部2aの周縁部に隣接して配置されている。具体的には、赤色LED41a,41bがアンテナ23よりも上方位置において前壁部2aの上側角部付近にそれぞれ配置されており、緑色LED42a,42bは、アンテナ23よりも下方位置において前壁部2aの下側角部付近にそれぞれ配置されている。
【0038】
このように配置されるマーカ光照射部40は、図4の位置P1のようにアンテナ23からマーカ光照射対象までの前後方向(所定方向)の距離が所定距離L1未満のときには、図5(A)のように、マーカ光照射対象において第1の表示態様で表示するようになっており、図4の位置P3のようにアンテナ23からマーカ光照射対象までの前後方向の距離が所定距離L1を超えるときには、図5(C)のように、マーカ光照射対象において第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で表示するように構成されている。具体的には、アンテナ23からマーカ光照射対象までの前後方向の距離が所定距離L1未満の場合と所定距離L1を超える場合とで、マーカ光照射対象における第1マーカ光MK1の表示と第2マーカ光MK2の表示の並びが逆になるように構成されている。
【0039】
図5では、無線タグ50を有する読取対象物Rがマーカ光照射対象であるときの表示例を示しており、図4の位置P1のように、アンテナ23から読取対象物Rまでの前後方向(所定方向)の距離が所定距離L1未満のときには、図5(A)のように、読取対象物R上において、第1マーカ光照射部41による表示MK11、MK12が上方位置となり、第2マーカ光照射部42による表示MK21、MK22が下方位置となるように上下に並ぶようになっている(第1の表示態様)。この場合、上側に赤色の表示MK11、MK12が対をなして表れ、下側に緑色の表示MK21、MK22が対をなして表れるようになっており、上方から赤、緑の順に並ぶこととなる。
【0040】
一方、この位置P1から距離が大きくなるにつれて、図5(A)の矢印に示すように、各マーカ光による表示MK11、12、21、22が変化するようになっている。具体的いは、上方の表示MK11、12が下方側且つ中央側に移動し、下方の表示MK21、MK22が上方側かつ中央側に移動するようになっている。そして、読取対象物Rの位置がアンテナ23から所定距離L1離れた位置に近づくと、図5(B)のように、この読取対象物R上において第1マーカ光MK1の照射位置と第2マーカ光MK2の照射位置とが部分的に重なるように表示がなされる。図5(B)では、読取対象物Rが図4(A)に示す位置P2のときの表示例を示しており、位置P2は、所定距離L1よりややアンテナ23側の位置であるため、第1マーカ光照射部41による表示MK11、MK12が上方位置となり、第2マーカ光照射部42による表示MK21、MK22が下方位置となるように上下に並び、表示MK11と表示MK21とが部分的に重なり、表示MK12と表示MK22とが部分的に重なるように表示がなされる。
【0041】
このように、本実施形態では、アンテナ23から前方向(所定方向)に所定距離L1離れた位置付近(例えば図4(A)の位置P2や位置P4など)に読取対象物Rが配置される場合、読取対象物R上において第1マーカ光MK1の照射位置と第2マーカ光MK2の照射位置とが部分的に重なるように表示がなされる。また、アンテナ23から前方向(所定方向)に所定距離L1離れた位置(図4(A)の位置P5)に読取対象物Rが配置される場合には、第1マーカ光MK1の照射位置と第2マーカ光MK2の照射位置とがほぼ一致するようになっている。具体的には、4つの表示MK11、12、21、22の位置がほぼ一致するように表示がなされる。
【0042】
また、上記のように読取対象物R上において第1マーカ光MK1の照射位置と第2マーカ光MK2の照射位置とが重なるように表示されるときには、その重なる位置が第1マーカ光照射部41の表示色である赤色(第1の色)と第2マーカ光照射部42の表示色である緑色(第2の色)とを重ねた黄色又は黄色に近い色(第3の色)で表示されるようになっている。例えば、図5(B)の場合には、表示MK11と表示MK21とが重なる領域の表示MK31が黄色で表示され、表示MK12と表示MK22とが重なる領域の表示MK32が黄色で表示されるようになっている。
【0043】
また、図4の位置P3のように、アンテナ23から読取対象物Rまでの前後方向(所定方向)の距離が所定距離L1を超えるときには、図5(C)のように、読取対象物R上において、第1マーカ光照射部41による表示MK11、MK12が下方位置となり、第2マーカ光照射部42による表示MK21、MK22が上方位置となるように上下に並ぶようになっている(第2の表示態様)。この場合、上側に緑色の表示MK21、MK22が対をなして表れ、下側に赤色の表示MK11、MK12が対をなして表れるようになっており、上方から緑、赤の順に並ぶこととなる。
【0044】
このように構成される非接触通信端末1では、無線リーダ部20による無線通信が、アンテナ23の前方側において少なくとも所定距離L1以内で行うことができるようになっている。即ち、無線リーダ部による電波出力は、アンテナ23の前方側における少なくとも所定距離L1未満のエリアでは、電波強度が所定閾値(具体的には無線タグ50との無線通信が可能となる所定レベルの閾値)V1以上に保たれるようになっている。従って、マーカ光照射部40による表示が上述の第1の表示態様のときには無線タグ50と良好に通信を行うことができるようになる。
【0045】
また、本実施形態では、図1(B)のように、赤色LED41aがアンテナ23よりも幅方向一方側に配置され、赤色LED41bがアンテナ23よりも幅方向他方側に配置されており、幅方向において赤色LED41a、41bの間の位置にアンテナ23が配置されている。また、緑色LED42aがアンテナ23よりも幅方向一方側に配置され、緑色LED42bがアンテナ23よりも幅方向他方側に配置されており、幅方向において緑色LED42a、42bの間の位置にアンテナ23が配置されている。更に、赤色LED41a、41b及び緑色LED42a、42bのいずれもXY平面(幅方向と直交する仮想平面)に対して所定角度傾斜した内向きにマーカ光を照射している。また、赤色LED41a、41bはXZ平面(水平面)に対してθ傾斜した下向きにマーカ光を照射し、緑色LED42a、42bはXZ平面(水平面)に対してθ傾斜した上向きにマーカ光を照射している。そして、読取対象物Rが距離L1の位置にあるときにこれら表示MK11、12、21、22が重なるようになっている。この構成では、アンテナ23の正面位置は、上下方向において表示MK11、12の対と表示MK21、22の対との間の位置であり、左右方向において、表示MK11、12の間の位置及び表示MK21、22の間の位置となっている(これら表示MK11、12、21、22が重なる場合には、その重なる位置となっている)。そして、アンテナ23は、前方向に強い電波を放射する前方側の指向性を有しているため、表示MK11、12、MK21、22を角部とする領域AR2付近に無線タグ50を配置することでより良好に読み取りを行うことができる。
【0046】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態に係る非接触通信端末1では、アンテナ23から電磁波が出力される前方向(所定方向)にマーカ光を照射するマーカ光照射部40が設けられている。そして、このマーカ光照射部40は、アンテナ23からマーカ光照射対象までの前後方向(所定方向)の距離が所定距離L1未満のときにマーカ光照射対象において第1の表示態様で表示し、所定距離L1を超えるときにはマーカ光照射対象において第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で表示するように構成されている。そして、無線読取手段は、少なくともアンテナ23から前方向(所定方向)において所定距離L1未満にある無線タグ50(無線通信媒体)を読取可能とされている。このようにすると、読取対象物が読取可能な距離にあるときに使用者がその状態を明瞭且つ簡易な方法で確実に把握することができるため、非接触通信端末1を読取対象物に対して適正な位置に迅速に配置しやすくなり、ひいては作業性良く良好に読み取りを行うことができる。
【0047】
また、本実施形態では、第1マーカ光MK1を照射する第1マーカ光照射部41と、第1マーカ光MK1とは異なる表示態様の第2マーカ光MK2を照射する第2マーカ光照射部42とが設けられており、アンテナ23からマーカ光照射対象までの所定方向の距離が所定距離L1未満の場合と所定距離L1を超える場合とで、マーカ光照射対象における第1マーカ光MK1の表示(MK11、MK12)と第2マーカ光MK2の表示(MK21、MK22)との並びが逆になるように構成されている。このようにすると、読取対象物が所定距離L1未満にあるときと所定距離L1を超える場合とで表示態様を切り替えうる構成を、2種類の照射手段を用いて簡易に実現できる。また、第1の表示態様のときと第2の表示態様のときとで第1マーカ光MK1の表示(MK11、MK12)と第2マーカ光MK1の表示(MK21、MK22)の並びが逆になるように構成されているため、両表示態様の差異がより分かりやすくなる。
【0048】
また、本実施形態では、マーカ光照射対象がアンテナ23から前後方向(所定方向)において所定距離L1離れた位置に配置される場合に、当該マーカ光照射対象において第1マーカ光MK1の照射位置と第2マーカ光MK2の照射位置とが少なくとも部分的に重なるように表示している。このようにすると、読取対象物が所定距離L1となったときにその状態をマーカ光同士の重なりによって視覚的に認識できるようになり、表示態様が切り替わる基準位置を明瞭に表示し得る構成を簡易な方法で実現できる。
【0049】
また、本実施形態では、第1マーカ光照射部41が赤色(第1の色)の第1マーカ光MK1を照射し、第2マーカ光照射部42が赤色(第1の色)とは異なる緑色(第2の色)の第2マーカ光MK2を照射している。このようにすると、第1の表示態様と第2の表示態様とで表示色の並びが逆になるため、各表示態様をより明確に区別しやすくなり、表示態様を誤認識しにくくなる。
【0050】
また、本実施形態では、マーカ光照射対象がアンテナ23から前後方向(所定方向)において所定距離L1離れた位置に配置される場合に、当該マーカ光照射対象において第1マーカ光MK1の照射位置と第2マーカ光MK2の照射位置とが少なくとも部分的に重なるように表示しており、且つその重なる位置を、赤色(第1の色)と緑色(第2の色)とを重ねた黄色(第3の色)で表示している。このようにすると、読取対象物が所定距離L1となったときに特徴的な黄色(第3の色)が表れるため、読み取りの際に表示態様が切り替わる基準位置をより一層分かりやすく印象的に表現できる。
【0051】
また、本実施形態では、アンテナ23を保持するケース2が設けられ、アンテナ23がケース2の前壁部2aの壁面(所定壁面)に沿って設けられており、マーカ光照射部40が、アンテナ23の周囲に隣接して配置されている。このようにすると、アンテナ23の周囲のスペースを利用してマーカ光照射部40を効率的に配置することができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る非接触通信端末を概略的に例示する正面図である。なお、図6では、把持部は省略して示している。また、図7(A)は、第2実施形態に係る非接触通信端末を用いた場合において読取対象物がアンテナから所定距離未満の位置にあるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図であり、図7(B)は、読取対象物が所定距離付近にあるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図であり、図7(C)は,読取対象物が所定距離を超えるときのマーカ光の表示態様を説明する説明図である。
【0053】
本実施形態に係る非接触通信端末200は、マーカ光表示部240の構成のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。よって異なる部分について重点的に説明することとし、第1実施形態と同様の部分については第1実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施形態に係る非接触通信端末200でも、第1実施形態と同様のアンテナ23(指向性アンテナ)が用いられ、少なくとも前方向(所定方向)に対して強く電波を出力する構成をなしている。更に、アンテナ23から電磁波が出力される前方向(所定方向にマーカ光を照射するマーカ光照射部240が設けられている。
【0055】
マーカ光照射部240は、第1マーカ光を照射する第1マーカ光照射部241と、1マーカ光とは異なる表示態様の第2マーカ光を照射する第2マーカ光照射部242とを備えている。このうち、第1マーカ光照射部241は、幅方向に沿って長手状に構成されており、赤色(第1の色)の第1マーカ光を線状に照射するように構成されている。また、第2マーカ光照射部42は、幅方向に沿って長手状に構成されており、緑色(第2の色)の第2マーカ光を線状に照射する構成をなしている。
【0056】
図7では、読取対象物Rがマーカ光照射対象とされるときの表示例を示しており、図7(A)に示すように、アンテナ23からマーカ光照射対象までの前後方向(所定方向)の距離が所定距離L1未満の場合には、第1マーカ光照射部241からの第1マーカ光MK1による赤色の表示MK4が上方に表示され、第2マーカ光照射部242からの第2マーカ光MK2による緑色の表示MK5が下方に表示されるようになっており、いずれの表示も横方向(幅方向)に延びるようになっている。なお、図7(A)は、読取対象物Rが図4(A)のP1の位置にあるときの表示の様子を示している。
【0057】
第1実施形態では、2つの赤色LED41a、41bと2つの緑色LED42a、42bの間が分断されているのに対して、第2実施形態では、このように分断されずに各マーカ光照射部が横方向(幅方向)に連続的に設けられている点のみが異なっており、本実施形態での第1マーカ光MK1の照射方向(XZ平面とのなす角度)と、第2マーカ光MK2の照射方向(XZ平面とのなす角度)は図4(A)(B)同様である。よって、本実施形態では、図4の符号を参照して説明している。
【0058】
また、図7(B)に示すように、アンテナ23から読取対象物Rまでの前後方向(所定方向)の距離が所定距離L1付近の場合には、読取対象物Rにおいて第1マーカ光MK1の照射位置(表示MK4)と第2マーカ光MK2の照射位置(表示MK5)とが部分的に重なるように表示され、且つその重なる領域MK6が第1マーカ光MK1による表示色(第1の色である赤色)と第2マーカ光MK2による表示色(第2の色である緑色)とを重ねた黄色(第3の色)で表示されるようになっている。なお、図7(B)は、読取対象物Rが図4(A)のP2の位置にあるときの表示の様子を示している。また、アンテナ23から前方向(所定方向)に所定距離L1離れた位置(図4(A)の位置P5)に読取対象物Rが配置される場合には、第1マーカ光MK1の照射位置(表示4)と第2マーカ光MK2の照射位置(表示5)とがほぼ一致するようになっている。この場合、表示MK4の位置と表示MK5の位置とがほぼ一致ように表示がなされる。
【0059】
また、図7(C)に示すように、アンテナ23からマーカ光照射対象までの前後方向(所定方向)の距離が所定距離L1を超える場合には、第1マーカ光照射部241からの第1マーカ光MK1による赤色の表示MK4が下方に表示され、第2マーカ光照射部242からの第2マーカ光MK2による緑色の表示MK5が上方に表示されるようになっており、いずれの表示も横方向(幅方向)に延びるようになっている。なお、図7(C)は、読取対象物Rが図4(A)のP3の位置にあるときの表示の様子を示している。
【0060】
このように本実施形態でも、アンテナ23からマーカ光照射対象までの前後方向(所定方向)の距離が所定距離L1未満の場合と所定距離L1を超える場合とで、マーカ光照射対象における第1マーカ光MK1の表示(MK4)と第2マーカ光MK2の表示(MK5)の並びが逆になるように構成されている。従って、読取対象物Rが所定距離L1未満にあるときと所定距離L1を超える場合とで表示態様を切り替えうる構成を、2種類の照射手段を用いて簡易に実現できる。更に、本実施形態では、第1マーカ光照射部241が、第1マーカ光MK1を線状に照射し、第2マーカ光照射部242が、第2マーカ光MK2を第1マーカ光MK1に沿って線状に照射している。このようにすると、読取対象物R上に明瞭なラインを表示することができ、マーカ表示MK4、MK5がより認識しやすくなる。更に、このような明瞭なラインの並びを変更して第1の表示態様と第2の表示態様とを切り替えているため、両表示態様の違いがより分かりやすくなる。
【0061】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
上記実施形態では、第1マーカ光MK1と第2マーカ光MK2の色を異ならせることで表示態様を変更していたが、第1マーカ光MK1による表示の形状(第1形状)と第2マーカ光MK2による表示の形状(第2形状)とを異ならせるようにしてもよい。或いは、第1マーカ光MK1の照射の強さ(第1輝度)と第2マーカ光MK2の照射の強さ(第2輝度)とを異ならせるようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態では、マーカ光照射対象がアンテナ23から所定距離L1未満にある場合と所定距離L1を超える場合とでマーカ表示の上下の並びが異なるように構成されていたが、所定距離L1未満の場合と所定距離L1を超える場合とで左右の並びが異なるように構成されていてもよい。例えば、図1(B)や図6に示す前面部の構成を90度回転させた横向きの構成などを用いてもよい。
【0064】
上記実施形態では特に説明していなかったが、第1マーカ光照射部による第1マーカ光MK1の照射方向と、第2マーカ光照射部による第2マーカ光の照射方向とをそれぞれ微調整できる構成としてもよい。図8(A)(B)にはこのような微調整を可能とする一例を示しており、第1実施形態で用いた赤色LED41a(図1(B)等)の部分を微調整可能とした構成を示している。図8(A)に示す例では、赤色LED41及びこれを保持する保持部(基板等)を部分的にゴム等からなる球状体45で包み込み、この球状体45をケース2に形成された穴2bに嵌合させている。球状体45は、自然状態のときの大きさが、穴2bのサイズよりもやや大きくなるように構成されており、通常時は球状体45と穴2bとの間の摩擦力によって位置保持されるようになっている。一方、この摩擦力に抗して球状体45及び赤色LED41aを変位させると、例えば図8(B)のように赤色LED41aの角度を変更することができ、マーカ光MK1の方向を微調整することができる。なお、ここでは赤色LED41aの部分の構成を代表例として示したが、赤色LED41b、緑色LED42a、42bの部分も同様の構成できる。
【符号の説明】
【0065】
1…非接触通信端末
2…ケース
10…制御回路(無線読取手段)
20…無線リーダ部(無線読取手段)
23…アンテナ
40,240…マーカ光照射部(マーカ光照射手段)
41,241…第1マーカ光照射部(第1マーカ光照射手段)
42,242…第2マーカ光照射部(第2マーカ光照射手段
50…無線タグ(無線通信媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を送受信するアンテナと、
前記アンテナにて送受信される前記電磁波を媒介として無線通信媒体を読み取る無線読取手段と、
を備えた非接触通信端末であって、
前記アンテナから前記電磁波が出力される所定方向にマーカ光を照射するマーカ光照射手段を備え、
前記マーカ光照射手段は、前記アンテナからマーカ光照射対象までの前記所定方向の距離が所定距離未満のときに前記マーカ光照射対象において第1の表示態様で表示し、前記所定距離を超えるときには前記マーカ光照射対象において前記第1の表示態様とは異なる第2の表示態様で表示するように構成されており、
前記無線読取手段は、少なくとも前記アンテナから前記所定方向において前記所定距離未満にある前記無線通信媒体を読取可能とされていることを特徴とする非接触通信端末。
【請求項2】
前記マーカ光照射手段は、
第1マーカ光を照射する第1マーカ光照射手段と、
前記第1マーカ光とは異なる表示態様の第2マーカ光を照射する第2マーカ光照射手段と、
を備え、
前記アンテナから前記マーカ光照射対象までの前記所定方向の距離が前記所定距離未満の場合と前記所定距離を超える場合とで、前記マーカ光照射対象における前記第1マーカ光の表示と前記第2マーカ光の表示との並びが逆になることを特徴とする請求項1に記載の非接触通信端末。
【請求項3】
前記マーカ光照射手段は、前記マーカ光照射対象が前記アンテナから前記所定方向において前記所定距離離れた位置に配置される場合に、前記マーカ光照射対象において前記第1マーカ光の照射位置と前記第2マーカ光の照射位置とを少なくとも部分的に重ねるように表示することを特徴とする請求項2に記載の非接触通信端末。
【請求項4】
前記第1マーカ光照射手段は、第1の色の前記第1マーカ光を照射し、
前記第2マーカ光照射手段は、前記第1の色とは異なる第2の色の前記第2マーカ光を照射することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の非接触通信端末。
【請求項5】
前記マーカ光照射手段は、前記マーカ光照射対象が前記アンテナから前記所定方向において前記所定距離離れた位置に配置される場合に、前記マーカ光照射対象において前記第1マーカ光の照射位置と前記第2マーカ光の照射位置とを少なくとも部分的に重ねるように表示し、且つその重なる位置を前記第1の色と前記第2の色とを重ねた第3の色で表示することを特徴とする請求項4に記載の非接触通信端末。
【請求項6】
前記第1マーカ光照射手段は、前記第1マーカ光を線状に照射し、
前記第2マーカ光照射手段は、前記第2マーカ光を前記第1マーカ光に沿って線状に照射することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の非接触通信端末。
【請求項7】
前記アンテナを保持するケースを備え、
前記アンテナは前記ケースの所定壁面に沿って設けられており、
前記マーカ光照射手段は、前記アンテナの周囲に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の非接触通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−203907(P2011−203907A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69340(P2010−69340)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】