説明

非水電解液二次電池

【課題】正極電極と負極電極との位置ずれが生じない特性が優れた非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】正極電極と負極電極をセパレーターを介して積層した電極積層体400と、電極の積層面に平行に電極積層体400の両外面のそれぞれを覆う第一の外面セパレーター310Aと、第二の外面セパレーター310Bとを備え、第一の外面セパレーター310Aと第二の外面セパレーター310Bが相互に結合して一体化した非水電解液二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液二次電池に関し、正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層した積層型の非水電解液二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層したリチウムイオン電池等の積層型非水電解液二次電池は、正極、負極の面積を大きくしたり、積層する正極電極、負極電極の枚数を増加することによって単位電池当たりの容量を大きくすることが容易であるので、充放電容量が大きな電池として好適である。
正極電極と負極電極との間にセパレーターを配置した電極積層体は、正極電極と負極電極とが位置ずれを起こさないようにするために、電極積層体の両面の複数個所を粘着テープで固定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の非水電解液二次電池の電極積層体の一例を図4Aにおいて、正極引出タブ110,負極引出タブ210を電極積層体400の対向する辺から互いに反対方向に取り出した電極積層体10の最外層は、いずれも負極電極が配置されている。電極積層体の長手方向の対向する辺のそれぞれ二個所が粘着テープ20で固定されている。
また、図4Bで示す電極積層体の同一辺から正極引出タブ110と負極引出タブ210取り出した電極積層体400の場合には、それぞれの対向する辺の中間が粘着テープ20で固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−204706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の例で説明したのように電池積層体を固定する粘着テープは、粘着テープの基材の厚みに粘着層の厚みを加えた厚さを有している。更に、粘着テープは、非水電解液二次電池の体積を増加させるのみではなく、非水電解液二次電池内部に、非水電解液二次電池の必須の構成材料以外の化学物質を導入するという問題があった。
また、電極積層体には、部分的に粘着テープが貼着されているので、電池の充放電を繰り返すうちに、電池電極が膨張をすると、粘着テープが貼着された部分は、電解液が通過しないとともに、周囲に比べて部分的に押圧する作用が作用するために、粘着テープが貼着されている部分は、他の部分とは変形が生じることとなり、電池の特性にも悪影響を及ぼす可能性もあった。
本発明は、このような粘着テープを用いなくても、あるいは用いる粘着テープを最小限に抑えても、正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層した電極積層体を構成する各電極の位置ずれが生じることがなく、長期間にわたり安定した作動が可能な電池を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層した電極積層体と、前記電極の積層面に平行に前記電極積層体の両外面のそれぞれを覆う第一の外面セパレーターと、第二の外面セパレーターとを備え、前記第一の外面セパレーターと第二の外面セパレーターが相互に結合して一体化した非水電解液二次電池である。
前記第一の外面セパレーターと、第二の外面セパレーターとの前記結合が熱融着によって一体化したものである前記の非水電解液二次電池である。
前記電極積層体の正極電極と負極電極との間に配置したセパレーターの少なくとも一枚の積層体から外側へ延びた部分が、前記第一の外面セパレーター、または前記第二の外面セパレーターのいずれかと結合したものである前記の非水電解液二次電池である。
また、本発明は、正極引出端子が一体に形成された正極電極と、負極引出端子が一体に形成された負極電極とをセパレーターを介して積層した電極積層体と、前記正極引出端子の一部および前記負極引出端子の一部を除いて前記電極の積層面に平行な前記電極積層体の両外面のそれぞれを覆う第一の外面セパレーターと、第二の外面セパレーターとを備え、前記第一の外面セパレーターと第二の外面セパレーターが、前記正極引出端子または前記負極引出端子の少なくともいずれか一方と隣接する位置において相互に結合して一体化した非水電解液二次電池である。
また、リチウムイオン二次電池である前記の非水電解液二次電池である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の非水電解液二次電池は、正極電極と負極電極をセパレーターを介して積層した電極積層体の両外面のそれぞれを覆う第一の外面セパレーターと、第二の外面セパレーターとを備え、前記外面セパレーターを相互に結合して一体化したものであるので、正極電極と負極電極とのずれを防止し、前記正極電極、前記負極電極が膨張した場合にも、前記電極積層体の両外面を外面セパレーターが均一に押圧することができ、微多孔性であるので電池特性に悪影響を及ぼすことはなく、充放電特性が優れた電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の非水電解液二次電池の電極積層体を説明する図である。図1Aは、両端部から正極タブ、負極タブを取り出した電極積層体を説明する平面図であり、図1Bは、図1Aの側面図である。
【図2】図2は、図1C、図1Dで説明した,正極引出タブと負極引出タブが同方向に取り出された電極積層体に用いた外面セパレーターの配置方法を説明する図である。
【図3】図3は、本発明のフィルム状外装材で封口した非水電解液二次電池の一実施形態を説明する図である。図3Aは、正面図を示し、図3Bは、図3AのA−A’の位置における断面図であって電池電極の積層方向を拡大した図を示す。
【図4】図4は、従来の非水電解液二次電池の電極積層体の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、リチウムイオン二次電池を例に挙げて本発明を説明する。
図1は、本発明の非水電解液二次電池の電極積層体を説明する図である。図1Aは、両端部から正極タブ、負極タブを取り出した電極積層体を説明する平面図であり、図1Bは、図1Aの側面図である。
また、図1Cは、一方の端部から、正極タブ、負極タブを取り出した電極積層体を説明する平面図であり、図1Dは図1Cの側面図である。
図1Aで示す電極積層体400は、電極積層体400の両面を覆う大きさの第一の外面セパレーター310Aと、第二の外面セパレーター310Bが両面に配置されており、外面セパレーター310は電極積層体400の外側の部分において4個所の結合部312を形成して相互に結合して、電極積層体400面を両面から覆っている。両面に配置する外面セパレーター310A、310Bは、以上のように個別の外面セパレーターではなく、一枚の部材を折り曲げて両面を覆ったものであってもよい。
【0010】
また、図1C示す電極積層体400についても、電極積層体400を覆う大きさの外面セパレーター310が電極積層体400の両面を覆っている。図1Bで示す例では、一枚の外面セパレーター310を、正極引出タブ110、負極引出タブ210を取り出した辺とは反対側の辺において折り曲げて電極積層体400の第一の面と第二の面の両面を覆い、電極積層体400の外側の2個所に設けた結合部312において両面の外面セパレーター310が結合される。
【0011】
図1C、図1Dにおいて示した例のように電極積層体400の両面を一枚の外面セパレーターで覆う例に限らず、個別の第一の外面セパレーターと第二の外面セパレーターによって両面を覆った後に結合部を設けて両者を結合したものであっても良いが、両面を一枚の外面セパレーターで覆うことによって、両面の外面セパレーターの結合部312の個所を少なくすることができる。
いずれの場合にも、第一の外面セパレーターと第二の外面セパレーターの結合部312は、熱融着によって形成することが好ましい。また、本発明の外面セパレーターは、電極積層体の作製に用いたものと同様の材料を用いることができる。また、外面セパレーターには厚みが10〜40μmのものを用いることが好ましい。
【0012】
図2は、図1C、図1Dで説明した,正極引出タブと負極引出タブが同方向に取り出された電極積層体に用いた外面セパレーターの配置方法を説明する図である。
外面セパレーター310は一枚の部材から形成されており、電極積層体400の両面を覆う大きさであって、中央部に電極積層体400の厚みに相当する厚みしろ315を有している。厚みしろ部分で折り曲げることによって電極積層体400の両面を覆うことができる。
【0013】
本発明で用いる正極電極としては、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電体上に、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物等と、カーボンブラック等の導電性材料、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤等をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし、このスラリー状の正極合剤を正極集電体上に間欠的に両面に塗布し、乾燥後、ローラープレス機等によって圧縮して成型を行った正極電極基材を製造した後に、所定の大きさに切断することによって製造することができる。
【0014】
また、負極電極としては、帯状の銅箔の負極集電体上に、リチウムイオンを吸蔵、放出する炭素材料、カーボンブラック等の導電性材料、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤等をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし、このスラリー状の負極合剤を負極集電体上に間欠的に両面に塗布し、乾燥後、ローラープレス機等によって圧縮して成型を行って負極電極基材を製造した後に正極電極と同様の方法で負極電極を作製することができる。
【0015】
図3は、本発明のフィルム状外装材で封口した非水電解液二次電池の一実施形態を説明する図である。図3Aは、正面図を示し、図3Bは、図3AのA−A’の位置における断面図であって電池電極の積層方向を拡大した図を示す。
非水電解液二次電池1は、正極電極100と負極電極200が袋状セパレーター300を介して積層された積層体400を形成しており、積層体400から同一方向に取り出された複数の正極引出タブ110と接合した正極タブ115、および複数の負極引出タブ210と接合した負極タブ215が取り出されている。
正極タブ115と負極タブ215は、それぞれフィルム状外装材500の封口部510から取り出される。
また、第一の外面セパレーター310Aと第二の外面セパレーター310Bの結合部312Aは、フィルム状外装材と電極積層体400との空間に形成されている。
【0016】
また,上記したいずれの実施態様の場合にも、正極電極と負極電極との間に配置したセパレーターを電極積層体の外部へ引出して、前記の第一の外面セパレーター、あるいは第二の外面セパレーターの少なくともいずれか一方と結合しても良い。このように、電極積層体から引き出したセパレーターを前記の第一の外面セパレーター、あるいは第二の外面セパレーターと結合することによって、電池電極、セパレーターのずれを防止する効果をより高めることができる。
【0017】
また、フィルム状外装材には、アルミニウム箔の外面側にはナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の強度、および耐熱性を有する部材を、内面側には、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱融着特性が良好な材料をそれぞれ積層したものを用いることができる。
積層型二次電池の外装材には、上記したようなフィルム状外装材に限らず、凹部を形成した合成樹脂の成形体、金属製の外装容器等を用いたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の非水電解液二次電池は、電極積層体の両外面のそれぞれを覆う第一の外面セパレーターと、第二の外面セパレーターとを備え、前記外面セパレーターを相互に結合して一体化したものであるので、正極電極と負極電極とのずれを防止し、前記正極電極、前記負極電極が膨張した場合にも、前記電極積層体の両外面を外面セパレーターが均一に押圧することができ、また外面セパレーターは微多孔性のセパレーターであるので電池特性に悪影響を及ぼすことはなく、充放電特性が優れた電池を提供することができる。
【符号の説明】
【0019】
1・・・非水電解液二次電池、100・・・正極電極、200・・・負極電極、110・・・正極引出タブ、115・・・正極タブ、210・・・負極引出タブ、215・・・負極タブ、300・・・袋状セパレーター、310・・・外面セパレーター、310A・・・第一の外面外面セパレーター、310B・・・第二の外面セパレーター310B、312・・・結合部、312A・・・結合部、315・・・厚みしろ、400・・・電極積層体、500・・・フィルム状外装材、510・・・封口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層した電極積層体と、前記電極の積層面に平行に前記電極積層体の両外面のそれぞれを覆う第一の外面セパレーターと、第二の外面セパレーターとを備え、前記第一の外面セパレーターと第二の外面セパレーターが相互に結合して一体化したものであることを特徴とする非水電解液二次電池。
【請求項2】
前記第一の外面セパレーターと、前記第二の外面セパレーターとの前記結合が熱融着によって一体化したものであることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
【請求項3】
前記電極積層体の正極電極と負極電極との間に配置したセパレーターの少なくとも一枚の積層体から外側へ延びた部分が、前記第一の外面セパレーター、または前記第二の外面セパレーターの少なくともいずれか一方と結合したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
【請求項4】
正極引出端子が一体に形成された正極電極と、負極引出端子が一体に形成された負極電極とをセパレーターを介して積層した電極積層体と、前記正極引出端子の一部および前記負極引出端子の一部を除いて前記電極の積層面に平行な前記電極積層体の両外面のそれぞれを覆う第一の外面セパレーターと、第二の外面セパレーターとを備え、前記第一の外面セパレーターと第二の外面セパレーターが、前記正極引出端子または前記負極引出端子の少なくともいずれか一方と隣接する位置において相互に結合して一体化したことを特徴とする非水電解液二次電池。
【請求項5】
電池がリチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の非水電解液二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−51130(P2013−51130A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188591(P2011−188591)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(310010081)NECエナジーデバイス株式会社 (112)
【Fターム(参考)】