説明

非水電解液電池

【課題】 高温雰囲気での使用に適し、かつ低温特性が良好な非水電解液電池を提供する。
【解決手段】 非水電解液電池の構成にあたり、正極活物質として、高結晶性二酸化マンガンと非高結晶性二酸化マンガンとの二酸化マンガン混合物を用い、その二酸化マンガン混合物を正極活物質とする正極、負極および非水電解液を用いて非水電解液電池を構成する。上記2種の二酸化マンガンの混合割合としては、高結晶性二酸化マンガンが30〜90質量%で、非高結晶性二酸化マンガンが10〜70質量%が好ましく、また上記高結晶性二酸化マンガンの平均粒子径は20〜100μmが好ましく、非高結晶性二酸化マンガンの平均粒子径は40〜150μmが好ましい。そして、上記非水電解液電池の負極の活物質としてはリチウムまたはリチウム合金が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解液電池に関し、さらに詳しくは、高温雰囲気での使用に適し、かつ低温特性が良好な非水電解液電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、タイヤ内部の圧力センサーなどのように100℃を超す高温雰囲気で使用する機器の電源として使用できる電池が必要とされるようになってきた。そして、そのような用途には、一般にリチウム電池と称される非水電解液電池が有力な候補として挙げられている。
【0003】
このような用途の非水電解液電池としては、二酸化マンガンを正極活物質とし、負極にリチウムまたはリチウム合金を用いたリチウム電池が負荷特性や低温特性が優れていることから適しているとされ、この非水電解液電池では、正極活物質として平均粒子径が40〜150μmの二酸化マンガンを用いることによって、高容量化を図ることも提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−216975号公報
【0004】
しかしながら、この非水電解液電池では、長期間、高温で放置したり、高温で使用すると、電池内でガスが発生し、それによって電池が膨れ、使用機器を損傷させたり、電極材料と集電部分との接触が不充分になって電池性能が低下する可能性があった。
【0005】
また、上記のような圧力センサーを有するタイヤを搭載した車が寒冷地で使用される場合には、電池が低温雰囲気にさらされる可能性があるため、タイヤ内部の圧力センサーの電源として使用される電池は、低温特性が良好であることも必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み、高温雰囲気での使用に適し、かつ低温特性が良好な非水電解液電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、非水電解液電池を構成するにあたり、正極活物質として、高結晶性二酸化マンガンと非高結晶性二酸化マンガンとの二酸化マンガン混合物を用いることによって、上記課題を解決したものである。
【0008】
本発明において、上記二酸化マンガンの混合割合としては、高結晶性二酸化マンガンが30〜90質量%で、非高結晶性二酸化マンガンが10〜70質量%であることが好ましく、また、上記高結晶性二酸化マンガンの平均粒子径は20〜100μmであることが好ましく、非高結晶性二酸化マンガンの平均粒子径は40〜150μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高温雰囲気での使用に適し、かつ低温特性が良好な非水電解液電池を提供することができる。
【0010】
すなわち、本発明は、非高結晶性二酸化マンガンを用いることによって、高容量化と良好な低温特性を維持しつつ、高結晶性二酸化マンガンを用いることによって、100℃以上の高温雰囲気でもガスの発生を抑制し、ガスの発生に基づく電池性能の低下を抑制できるようにして、高温雰囲気での使用に適するようにし、かつ良好な低温特性を有する非水電解液電池を提供できるようにしたのである。
【0011】
本発明において、正極活物質として、高結晶性二酸化マンガンと非高結晶性二酸化マンガンとの二酸化マンガン混合物を用いることによって、高温雰囲気でのガス発生を抑制し、かつ低温での放電特性を良好にすることができる理由は、現在のところ必ずしも明確ではないが、上記高結晶性二酸化マンガンの構造水が少ないことが高温雰囲気でもガス発生を抑制し、また、上記非高結晶性二酸化マンガンの反応性が高いことが低温での放電特性を良好にさせるものと考えられる。
【0012】
なお、本発明において、高温とは、電池が通常に使用される温度領域内での高温を意味し、通常、120℃程度までの温度をいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、高結晶性二酸化マンガンとは、X線源にCu−Kα線を用いたときのX線回折における(110)面と(101)面の、(110)/(101)の半価幅比が0.9以上1.3以下であるもの、または、(110)面の強度をh(110)とし、(101)面の強度をh(101)としたときの、h(110)/h(101)の強度比が0.75以上1.5以下であるものをいう。
【0014】
本発明において用いる高結晶性二酸化マンガンの高結晶性を特定するための上記(110)/(101)の半価幅比が0.9以上1.3以下と、h(110)/h(101)の強度比が0.75以上1.5以下は、結晶性に関して、同一の領域にあることを示しており、本発明において高結晶性二酸化マンガンは、上記(110)/(101)の半価幅が0.9以上1.3以下、h(110)/h(101)の強度比が0.75以上1.5以下のいずれかを満足していればよく、もとより、両者を満足していてもよい。
【0015】
本発明において、上記高結晶性二酸化マンガンは、正極活物質となる二酸化マンガン混合物中において30〜90質量%を占めることが好ましい。すなわち、高結晶性二酸化マンガンを正極活物質を構成する二酸化マンガン混合物中において30質量%以上にすることによって、高温雰囲気でのガス発生を抑制する効果を充分に発現させることができるようになり、90質量%以下にすることによって、高容量化と良好な低温特性とを適切に保つことができる。
【0016】
そして、この高結晶性二酸化マンガンは、その平均粒子径が20〜100μmであることが好ましい。すなわち、平均粒子径が20μm以上の高結晶性二酸化マンガンを用いることによって、成形時の歩留りを良好に保つことができ、また、平均粒子径100μm以下の高結晶性二酸化マンガンを用いることによって、低温での放電特性の低下を抑制することができる。
【0017】
なお、本発明において、平均粒子径は、マイクロトラック粒度分布計(Honewell社製、9320−X100)を用いてレーザー光の散乱により粒子個数nおよび各粒子の直径dを測定し、それらに基づいて算出したものである。
【0018】
上記高結晶性二酸化マンガンとで正極活物質の二酸化マンガン混合物を構成する非高結晶性二酸化マンガンにおける非高結晶性とは、前記高結晶性二酸化マンガンにおける高結晶性に対する言葉であって、結晶化度が通常の範囲内にあるものという意味であり、通常、X線源にCu−Kα線を用いたときのX線回折における(110)面と(101)面の、(110)/(101)の半価幅比が1.3より大きく、2.5以下であるもの、または、(110)面の強度をh(110)とし、(101)面の強度をh(101)としたときの、h(110)/h(101)の強度比が0.75より小さいものをいう。
【0019】
この非高結晶性二酸化マンガンは、正極活物質を構成する二酸化マンガン混合物中において、10〜70質量%を占めていることが好ましい。すなわち、非高結晶性二酸化マンガンを、正極活物質を構成する二酸化マンガン混合物中において、10質量%以上にすることによって、高容量化の達成と良好な低温特性の保持をしやすくし、70質量%以下にすることによって、高結晶性二酸化マンガンによる高温雰囲気でのガス発生の抑制効果が損なわれないようにすることができる。
【0020】
そして、上記非高結晶性二酸化マンガンは、平均粒子径が40〜150μmの範囲内にあることが好ましい。すなわち、平均粒子径が40μm以上の非高結晶性二酸化マンガンを用いることによって、電解液を浸透させやすくして、高容量化の達成と良好な低温特性の保持をしやすくさせ、また、平均粒子径が150μm以下の非高結晶性二酸化マンガンを用いることによって、電解液との接触面積の低下を抑制して、高容量化の達成と良好な低温特性の保持をしやすくしている。
【0021】
上記二酸化マンガン混合物を正極活物質として用いて正極を作製するにあたっては、通常、その正極活物質に加えて、導電助剤およびバインダーが用いられる。上記導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、鱗片状黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、繊維状炭素などが用いられ、バインダーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンラバーなどが用いられている。
【0022】
そして、正極の作製にあたっては、例えば、正極活物質と導電助剤とバインダーとを混合して調製した正極合剤を加圧成形することが行われる。ただし、正極の作製方法は、上記例示の方法のみに限られることなく、他の方法によってもよい。
【0023】
負極の活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−ビスマス、リチウム−インジウム、リチウム−ガリウム、リチウム−インジウム−ガリウムなどのリチウム合金が用いられる。負極は上記金属リチウムまたはリチウムのみで構成してもよいし、また、金属リチウムまたはリチウム合金を金属箔、金属網などからなる集電体に圧着して負極としてもよい。
【0024】
非水電解液は、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステルや、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム(ジエチルグリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、メトキシエトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテルより選ばれる1種の溶媒または2種以上の混合溶媒に電解質を溶解させたものが用いられる。特に炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの沸点が120℃以上の環状炭酸エステルが好ましく、また、エーテルとしては1,2−ジエトキシエタン、ジグライムなどの沸点が120℃以上のものが好ましい。
【0025】
電解質としては、例えば、LiBF、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiN(CSOなどが挙げられる。そして、この非水電解液には、それ自身からのガスの発生を抑制するために、環状スルトン誘導体および酸無水物より選ばれる少なくとも1種を添加しておくことが好ましい。
【0026】
上記環状スルトン誘導体としては、例えば、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどが挙げられ、それらのうちの少なくとも1種を用いればよい。
【0027】
この環状スルトン誘導体の添加量としては、それ自身(すなわち、添加する環状スルトン誘導体)も含めた全非水電解液(以下、非水電解液を簡略化して「電解液」と表現する場合がある)中で0.5〜5質量%とすることが好ましい。
【0028】
また、酸無水物としては、例えば、無水メリト酸、無水マロン酸、無水マレイン酸、無水酪酸、無水プロピオン酸、無水プルビン酸、無水フタロン酸、無水フタル酸、無水ピロメリト酸、無水乳酸、無水ナフタル酸、無水トルイル酸、無水チオ安息香酸、無水ジフェン酸、無水シトラコン酸、無水ジグリコールアミド酸、無水酢酸、無水琥珀酸、無水桂皮酸、無水グルタル酸、無水グルタコン酸、無水吉草酸、無水イタコン酸、無水イソ酪酸、無水イソ吉草酸、無水安息香酸などが挙げられ、それらのうちの少なくとも1種を用いればよい。
【0029】
酸無水物の添加量も、環状スルトン誘導体と同様に、それ自身(すなわち、添加する酸無水物)も含めた全電解液中で0.5〜5質量%とすることが好ましい。また、良好な放電特性を得るためには、酸無水物の全電解液中での添加量も3質量%以下とすることが好ましい。
【0030】
セパレータとしては、微孔性樹脂フィルム、樹脂不織布のいずれも用いることができる。その材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィンのほか、耐熱用として、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが挙げられる。また、上記材質の微孔性樹脂フィルムと樹脂不織布とを複数積層するか、あるいは微孔性樹脂フィルム同士や樹脂不織布同士を複数積層することによって構成される複層構造のセパレータを用いることにより、高温環境下で使用する場合の信頼性を高めることができる。
【0031】
本発明の非水電解液電池は、上記正極、負極、非水電解液、セパレータなどを主要構成要素とし、それらを金属缶やラミネートフィルムなどからなる電池容器内に収容し、その電池容器を密閉することによって構成される。パッキングを用いて金属缶などの封止を行う場合、そのパッキングの材質としては、例えば、ポリプロピレン、ナイロンのほか、耐熱用には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂製のものを用いることができる。
【実施例】
【0032】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
実施例1
以下に示すようにして、正極の作製と非水電解液の調製を行い、それらと負極などを用いて非水電解液電池を作製した。まず、正極の作製にあたっては、高結晶性の二酸化マンガンとして、X線源にCu−Kα線を用いたときのX線回折における(110)面と(101)面の、(110)/(101)の半価幅比が1.1で、(110)面の強度をh(110)とし、(101)面の強度をh(101)としたときの、h(110)/h(101)の強度比が1.1で平均粒子径が27μmの二酸化マンガンを用い、非高結晶性の二酸化マンガンとして、上記(110)/(101)の半価幅比が2.1で、h(110)/h(101)の強度比が0.4で平均粒子径が55μmの二酸化マンガンを用い、導電助剤として人造黒鉛を用い、バインダーとしてテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体を用い、それらを混合して、上記高結晶性で平均粒子径が27μmの二酸化マンガンが64.2質量%、非高結晶性で平均粒子径が55μmの二酸化マンガンが27.5質量%、人造黒鉛が7.6質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体が0.7質量%となるように正極合剤を調製した。
【0034】
上記正極合剤をステンレス鋼製の環状台座を配置した金型に充填し、加圧成形して周縁部に環状台座が配置した正極を作製した。この正極における正極合剤の加圧成形体で構成される部分の寸法は直径が19mmであり、厚さが3mmであった。
【0035】
非水電解液としては、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの体積比1:1の混合溶媒にLiClOを0.5mol/l溶解させたものに、1,3−プロパンスルトンおよび無水フタル酸を、非水電解液中での含有量がそれぞれ0.5質量%となるように添加したものを用いた。負極は厚さ1.00mmのリチウム板と厚さ6μmのアルミニウム箔とを積層して直径19mmに打ち抜いたものを負極缶に収容し、電池組立後に非水電解液の存在下で電気化学的に合金化させたリチウム−アルミニウム合金で構成した。
【0036】
そして、セパレータとしては微孔性ポリプロピレンフィルムとポリプロピレン不織布との積層体を用い、パッキングにはポリフェニレンサルファイド製のものを用い、それらと前記の正極と非水電解液とを用いて、図1に示す構造で厚さ5mm、直径24mmのコイン形非水電解液電池を作製した。
【0037】
ここで、図1に示す電池について説明すると、正極1はその周縁部にステンレス鋼製の環状台座1aが配設され、ステンレス鋼製の正極缶4内に収容され、その上にセパレータ3を介して負極2が配置され、この負極2側にはセパレータ3中の微孔性ポリプロピレンフィルムが配置している。負極2は前記のように電解液の存在下で電気化学的に合金化させたリチウム−アルミニウム合金で構成され、ステンレス鋼製の負極缶5の内面に圧着されている。そして、その電池内部には非水電解液が0.5ml注入され、正極缶4の開口部は、正極缶4の開口端部の内方への締め付けにより、負極缶5の周縁部に配設したポリフェニレンサルファイド製で環状のパッキング6を押圧して負極缶5の周縁部と正極缶4の開口端部の内周面とに圧接させて封口されている。
【0038】
比較例1
高結晶性の二酸化マンガンを用いず、X線源にCu−Kα線を用いたときのX線回折における(110)面と(101)面の、(110)/(101)の半価幅比が2.1で、(110)面の強度をh(110)とし、(101)面の強度をh(101)としたときの、h(110)/h(101)の強度比が0.4で平均粒子径が55μmの非高結晶性二酸化マンガンのみを正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解液電池を作製した。
【0039】
比較例2
高結晶性の二酸化マンガンを用いず、上記(110)/(101)の半価幅比が2.1で、h(110)/h(101)の強度比が0.4で平均粒子径が27μmの非高結晶性二酸化マンガンのみを正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解液電池を作製した。
【0040】
比較例3
非高結晶性の二酸化マンガンを用いず、実施例1で用いたものと同様の高結晶性二酸化マンガンのみを正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様に非水電解液電池を作製した。
【0041】
上記実施例1および比較例1〜3の電池における正極活物質の高結晶性二酸化マンガンと非高結晶性二酸化マンガンの平均粒子径およびそれらの2種の二酸化マンガンの混合割合を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
そして、上記実施例1および比較例1〜3の電池について125℃で貯蔵したときの貯蔵時間の増加に伴う電池膨れの変化を調べた結果を表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
表2に示すように、実施例1の電池は、非高結晶性の二酸化マンガンのみを正極活物質として用いた比較例1〜2の電池に比べて、貯蔵に伴う電池膨れが小さく、特に貯蔵時間が長くなると、その差が顕著になり、実施例1の電池が125℃という高温雰囲気でも貯蔵に伴うガス発生を抑制することができ、高温雰囲気での使用に適することを示していた。
【0046】
また、上記実施例1および比較例1〜3の電池について−10℃、0.7mAhの条件下で放電させ、放電深度の増加に伴う閉路電圧の変化を調べた。その結果を表3に示す。なお、閉路電圧は100Ωで5秒間放電という条件下で測定した。
【0047】
【表3】

【0048】
表3に示すように、実施例1の電池は、高結晶性の二酸化マンガンのみを正極活物質として用いた比較例3の電池に比べて、いずれの放電深度においても、閉路電圧が高く、低温での放電特性が良好であることを示していた。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る非水電解液電池の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 正極
1a 環状台座
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 パッキング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高結晶性二酸化マンガンと非高結晶性二酸化マンガンとの二酸化マンガン混合物を正極活物質とする正極、負極および非水電解液を有することを特徴とする非水電解液電池。
【請求項2】
二酸化マンガン混合物が、高結晶性二酸化マンガン30〜90質量%と非高結晶性二酸化マンガン10〜70質量%との混合物であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液電池。
【請求項3】
高結晶性二酸化マンガンの平均粒子径が20〜100μmで、非高結晶性二酸化マンガンの平均粒子径が40〜150μmであることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解液電池。
【請求項4】
負極の活物質がリチウムまたはリチウム合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液電池。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−79883(P2006−79883A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260838(P2004−260838)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】