説明

非水電解質二次電池

【課題】ニッケル成分を多く含むリチウム複合酸化物を用いる非水電解質二次電池において、サイクル特性を向上し、かつ、電池の安全性の低下を抑制する。
【解決手段】非水電解質二次電池は、正極と、負極と、非水電解質と、セパレータとを備える。正極は、ニッケル成分がコバルト成分より多く含まれるリチウム複合酸化物である。セパレータは、基材層と、該基材層の少なくとも一方の主面に形成された高分子樹脂層とを備える。高分子樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非水電解質二次電池に関する。詳しくは、ニッケル成分を多く含むリチウム複合酸化物を用いる非水電解質二次電池に電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラやノート型パソコンなどのポータブル機器の普及に伴い、小型高容量の二次電池に対する需要が高まっている。従来使用されている二次電池のほとんどはアルカリ電解液を用いたニッケル−カドミウム電池であったが、電池電圧が約1.2Vと低く、エネルギー密度の向上は困難であった。そのため、比重が0.534と固体の単体中最も軽いうえ、電位が極めて卑であり、単位重量当たりの電流容量も金属負極材料中最大であるリチウム金属を使用するリチウム二次電池が検討された。
【0003】
しかし、リチウム金属を負極に使用する二次電池では、充電時に負極の表面に樹枝状のリチウム(デンドライト)が析出し、充放電サイクルによってこれが成長する。このデンドライトの成長は、二次電池のサイクル特性を劣化させるばかりではなく、最悪の場合には正極と負極が接触しないように配置された隔膜(セパレータ)を突き破って、正極と電気的に短絡、発火して電池を破壊してしまう。そこで、例えば、特許文献1に示されているように、コークスなどの炭素質材料を負極とし、アルカリ金属イオンをドーピング、脱ドーピングすることにより充放電を繰り返す二次電池が提案された。これによって、上述したような充放電の繰り返しにおける負極の劣化問題を回避できることが分かった。
【0004】
一方、正極活物質としては高電位を示す活物質の探索、開発によって、電池電圧が4V前後を示すものが現れ、注目を浴びている。それらの活物質としては、アルカリ金属を含む遷移金属酸化物や遷移金属カルコゲンなどの無機化合物が知られている。なかでも、LiXCoO2(0<x≦1.0)、LiXNiO2(0<x≦1.0)などが、高電位、安定性、長寿命という点から最も有望である。このなかでも、ニッケル成分がコバルト成分より多く含まれる、LiNiO2に代表される正極(以下ハイニッケル正極と称する)はLixCoO2と比較して放電容量が高く、魅力的な正極材料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−90863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、LixNiO2の表面には不純物として正極原料の残渣であるLiOHなどの他、LiOHが空気中の炭酸ガスを吸って生成されるLi2CO3がLixCoO2より多く存在している。不純物のうちLiOHはアルカリ成分として、電解液の分解を促進しCO2およびCO3ガスを発生させる。Li2CO3は溶剤や電解液にはほとんど溶解しないが、充放電により分解してやはりCO2およびCO3ガスを発生させる。これらのガス成分は電池内部の圧力を高めて電池の膨れやサイクル寿命の悪化を招いてしまう。電池外装がSUS缶やアルミ缶によって高い強度を持つ場合には、ガス発生による内圧の上昇による破裂の危険性がある。また、外装がラミネートフィルムである場合には、容易に膨張して電極間距離が増加し、充放電しなくなる問題がある。
【0007】
すなわち、正極活物質としてニッケル成分を多く含む活物質はガス発生により電池特性を著しく悪化させるため、充放電によるサイクル寿命がLixCoO2より著しく劣る点が問題である。さらにガス発生すると電極間距離が広がることにより、充電・放電ともに行えなくなることや、電極位置が容易にずれてショートが起こり、電池の安全性に影響することも問題である。
【0008】
したがって、この発明の目的は、ニッケル成分を多く含むリチウム複合酸化物を用いる非水電解質二次電池において、サイクル特性を向上し、かつ、電池の安全性の低下を抑制することができる非水電解質二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、第1の発明は、
正極と、負極と、非水電解質と、セパレータとを備え、
正極は、下記の式(1)で表される平均組成を有するリチウム複合酸化物を含み、
セパレータは、基材層と、該基材層の少なくとも一方の主面に形成された高分子樹脂層とを備え、
高分子樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含んでいる非水電解質二次電池である。
LixCoyNiz1-y-zb-aa ・・・(1)
(式中、Mは、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、タングステン(W)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、およびアンチモン(Sb)から選ばれる1種以上の元素である。Xは、ハロゲン元素である。x、y、z、a、およびbはそれぞれ0.8<x≦1.2、0≦y≦1.0、0.5≦z≦1.0、0≦a≦1.0、1.8≦b≦2.2の範囲内の値である。ただしy<zとする。)
【0010】
第2の発明は、
正極と、負極と、非水電解質と、セパレータとを備え、
正極は、下記の式(1)で表される平均組成を有するリチウム複合酸化物を含み、
非水電解質は、電解液を含ませて高分子を膨潤させたものであり、
高分子は、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含んでいる非水電解質二次電池である。
LixCoyNiz1-y-zb-aa ・・・(1)
(式中、Mは、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、タングステン(W)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、およびアンチモン(Sb)から選ばれる1種以上の元素である。Xは、ハロゲン元素である。x、y、z、a、およびbはそれぞれ0.8<x≦1.2、0≦y≦1.0、0.5≦z≦1.0、0≦a≦1.0、1.8≦b≦2.2の範囲内の値である。ただしy<zとする。)
【0011】
この発明では、LiNiO2に代表されるニッケル成分がコバルト成分より多く含まれるハイニッケル正極において、高分子樹脂層を形成したセパレータ、または高分子を電解液により膨潤させた電解質を用いる。この高分子樹脂層、または電解質の高分子は、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含有させる。これにより、電極−セパレータ間の接着力を高めてショートの発生を抑制することができる。また、上記接着力の改善により電極間増大による膨れも抑止することが可能であり、結果として電解液の漏洩を解消することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、この発明によれば、ニッケル成分を多く含むリチウム複合酸化物を用いる非水電解質二次電池において、サイクル特性を向上し、かつ、電池の安全性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態による非水電解質二次電池の一構成例を示す断面図である。
【図2】図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
【図3】この発明の第3の実施形態による非水電解質二次電池の一構成例を示す斜視図である。
【図4】図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
(1)第1の実施形態(円筒型電池の例)
(2)第2の実施形態(扁平型電池の第1の例)
(3)第3の実施形態(扁平型電池の第2の例)
【0015】
<1.第1の実施形態>
[電池の構成]
図1は、この発明の一実施形態による非水電解質二次電池の断面構造を表す断面図である。この非水電解質二次電池は、負極の容量が、電極反応物質であるリチウム(Li)の吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池である。この非水電解質二次電池はいわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、ニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、電解液が注入され、セパレータ23に含浸されている。また、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
【0016】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、封口ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられている。これにより、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0017】
巻回電極体20の中心には例えばセンターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0018】
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表す断面図である。以下、図2を参照しながら、二次電池を構成する正極21、負極22、セパレータ23、および電解液について順次説明する。
【0019】
(正極)
正極21は、例えば、一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料の1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
【0020】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質としては、ニッケル成分がコバルト成分より多く含まれているリチウム複合酸化物を用いることが好ましい。リチウム複合酸化物としては、例えば、下記の式(1)で表される平均組成を有するリチウム複合酸化物を用いることができる。
LixCoyNiz1-y-zb-aa ・・・(1)
(式中、Mは、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、タングステン(W)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、およびアンチモン(Sb)から選ばれる1種以上の元素である。Xは、ハロゲン元素である。x、y、z、a、およびbはそれぞれ0.8<x≦1.2、0≦y≦1.0、0.5≦z≦1.0、0≦a≦1.0、1.8≦b≦2.2の範囲内の値である。ただしy<zとする。)
【0021】
正極活物質が、リチウム複合酸化物以外に不純物として炭酸塩および重炭酸塩を含む場合には、これらの炭酸塩および重炭酸塩の合計の濃度は、日本工業規格JIS-R-9101で示された方法による分析で、0.3%以下であることが好ましい。炭酸塩および重炭酸塩の合計の濃度を0.3%以下に設定することで、ガス発生を抑制することができるからである。ここで、リチウム複合酸化物と、炭酸塩および重炭酸塩との合計の濃度を100%としている。
【0022】
(負極)
負極22は、例えば、正極21と同様に、一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。負極集電体22Aは、例えば、銅(Cu)箔などの金属箔により構成されている。負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて導電剤および結着剤を含んでいてもよい。
【0023】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化炭素などの炭素材料が挙げられる。炭素材料には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、また、平均粒子径の異なる2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素を構成元素として含む材料が挙げられる。具体的には、リチウムと合金を形成可能な金属元素の単体、合金、あるいは化合物、またはリチウムと合金を形成可能な半金属元素の単体、合金、あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
【0025】
このような金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。中でも、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素が好ましく、特に好ましいのはケイ素(Si)あるいはスズ(Sn)である。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)はリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
【0026】
ケイ素(Si)の合金としては、例えば、ケイ素(Si)以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズ(Sn)の合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0027】
ケイ素(Si)の化合物あるいはスズ(Sn)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0028】
(セパレータ)
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ23は、フィルム状を有する基材層27と、この基材層27の少なくとも一方の主面に形成された高分子樹脂層28とを備える。なお、図2では、基材層27の両主面に高分子樹脂層28を形成した例が示されている。
【0029】
基材層27は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする微多孔性フィルムであることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能だからである。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンおよびポリプロピレンを単独で用いる、または混合したものを用いることが好ましい。
【0030】
高分子樹脂層28は、下記式(2)で表されるポリフッ化ビニリデン(PVdF)、下記式(3)で表されるポリビニルホルマール、下記式(4)で表されるポリアクリル酸エステル、および下記式(5)で表されるメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含んでいる。これらの樹脂の少なくとも1種を高分子樹脂層28が含んでいることで、正極21とセパレータ23との間、および/または負極22とセパレータ23との間の接着力を向上することができる。すなわち、ショートなどの発生を抑制することができる。
【0031】
【化1】

【0032】
【化2】

【0033】
【化3】

【0034】
【化4】

【0035】
高分子樹脂層28は、例えば、直径1μm以下の骨格が三次元網目状に連結した構造を有する樹脂を含んでいる。直径1μm以下の骨格が三次元網目状に連結した構造は、SEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)により観察することで確認することができる。高分子樹脂層28は、直径1μm以下の骨格が三次元網目状に連結した構造を有するので、電解液の含浸性に優れ、また、この構造は、空隙率を大きく取ることができるので、イオン透過性に優れたものである。
【0036】
高分子樹脂層28の表面開孔率は30%〜80%の範囲内にするのが好ましい。表面開
孔率が小さすぎるとイオン伝導性を阻害してしまうからであり、大きすぎると、樹脂が付
与する機能が十分ではなくなるからである。
【0037】
ここで、表面開孔率は、SEMにより観察を行い、例えば、以下に説明するようにして、算出するものとする。SEMを用いて観察したSEM像において、表面から骨格の直径1μm分の深さまでを骨格占有面積とする。画像処理により抽出した領域Rを骨格占有面積として算出する。表面開孔率は、SEM像の全体の面積から骨格占有面積を引いた値を、SEM像の全体の面積で割ることにより算出する。すなわち、「表面開孔率(%)」={(「全体の面積」−「骨格占有面積」)/「全体の面積」}×100(%)によって求めることができる。
【0038】
高分子樹脂層28は、無機物を主成分とする微粒子を含んでいることが好ましい。このような微粒子を含むことで、セパレータ23の耐酸化性を向上し、電池特性の劣化を抑制できるからである。微粒子に含まれる無機物としては、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)、およびチタニア(TiO2)の少なくとも1種を用いることが好ましい。微粒子の平均粒径は、1nm〜3μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が1nm未満であると、セラミックスの結晶性が乏しいため添加する効果が得られず、平均粒径が3μmを超えると、十分に分散されないからである。
【0039】
(電解液)
電解質である電解液は、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。溶媒としては、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの環状の炭酸エステルを用いることができ、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの一方、特に両方を混合して用いることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。
【0040】
また、溶媒としては、これらの環状の炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
【0041】
さらにまた、溶媒としては、2,4−ジフルオロアニソールあるいは炭酸ビニレンを含むこと好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を向上させることができ、また、炭酸ビニレンはサイクル特性を向上させることができるからである。よって、これらを混合して用いれば、放電容量およびサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0042】
これらの他にも、溶媒としては、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチルなどが挙げられる。
【0043】
なお、これらの非水溶媒の少なくとも一部の水素をフッ素で置換した化合物は、組み合わせる電極の種類によっては、電極反応の可逆性を向上させることができる場合があるので、好ましい場合もある。
【0044】
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C654、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、ジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウム、リチウムビスオキサレートボレート、あるいはLiBrなどが挙げられる。中でも、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0045】
[電池の製造方法]
上述の構成を有する非水電解質二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0046】
(正極の作製工程)
まず、例えば、上述した正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を形成する。
【0047】
(負極の作製工程)
まず、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
【0048】
(セパレータの作製工程)
まず、マトリックス樹脂、および溶媒からなるスラリーを作製する。また、必要に応じて、無機物を主成分とする微粒子をスラリーに添加するようにしてもよい。ここで、マトリックス樹脂は、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種である。次に、作製したスラリーを基材層27上に塗布し、マトリックス樹脂の貧溶媒且つ上記溶媒の親溶媒浴中を通過させて相分離させ、その後、乾燥させる。これにより、セパレータ23が得られる。
【0049】
このような方法では、急激な貧溶媒誘起相分離現象により高分子樹脂層28が形成され、高分子樹脂層28は、樹脂による骨格が微細な三次元網目状に連結した構造を有する。すなわち、樹脂を溶解した溶液を、樹脂に対して貧溶媒であり、且つ樹脂を溶解させる溶媒に対しては親溶媒である溶媒に、接触させることで溶媒交換が起こる。これにより、スピノーダル分解を伴う急激な(速度の速い)相分離が生じ、樹脂が独特の三次元網目構造を有するようになる。
【0050】
なお、従来のセパレータの作製で一般的に用いられる湿式法(相分離法)では、樹脂と溶剤とを混合し、加熱して溶解した溶液を、シート化する。その後、冷却することにより、樹脂が固体として析出する温度誘起の相分離現象を起こして、開口部の元(溶剤が存在する部分)を形成する。次に、延伸してから、溶剤を別の溶剤で抽出除去することにより、多孔構造を形成する。一方、この発明の一実施形態に用いるセパレータ23の高分子樹脂層28は、湿式法で利用されている温度誘起の相分離現象ではなく、貧溶媒による、スピノーダル分解を伴う急激な貧溶媒誘起相分離現象を利用することによって、独特の多孔構造を形成している。さらに、この構造によって、優れた電解液の良含浸性およびイオン導電性を実現可能としている。
【0051】
(組み立て工程)
次に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けるとともに、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。次に、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回する。次に、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接するとともに、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12、13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1および図2に示した非水電解質二次電池が作製される。
【0052】
この非水電解質二次電池では、充電を行うと、例えば正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
【0053】
以上説明したように、この発明の一実施形態では、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含む高分子樹脂層28を基材層27の少なくとも一方の主面に形成している。これにより、正極21とセパレータ23との間、および/または負極22とセパレータ23との間の接着力を向上することができる。したがって、ショートなどの発生を抑制し、安全性を向上することができる。特に、ニッケル成分を多く含む正極活物質を正極21に用いた場合に、安全性向上の効果が顕著に現れる。
【0054】
また、無機物を主成分とする微粒子を高分子樹脂層28に担持させた場合には、セパレータ23の耐酸化性を向上し、電池特性の劣化を抑制することができる。
【0055】
<2.第2の実施形態>
[電池の構成]
図3は、この発明の第3の実施形態による非水電解質二次電池の一構成例を示す斜視図である。この二次電池は、いわゆるラミネートフィルム型といわれるものであり、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものである。
【0056】
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、またはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0057】
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着または接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0058】
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0059】
図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面構造を示す断面図である。巻回電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
【0060】
正極33は、正極集電体33Aの片面または両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面または両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有している。負極活物質層34Bと正極活物質層33Bとが対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、上述した第1の実施形態における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
【0061】
電解質層36は、電解液と、この電解液により膨潤される高分子とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。また、ゲル状の電解質は、電解液を保持しているために、全固体状のものに比べて活物質との接触性およびイオン伝導性に優れている。高分子としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含んでいる。また、上記電解質層36に対して、例えば、ポリエチレンオキサイドもしくはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物などをさらに含ませるようにしてもよい。
【0062】
[電池の製造方法]
上述した構成を有する非水電解質二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0063】
まず、正極33および負極34のそれぞれに、電解液と、高分子と、溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。その後、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接などにより取り付ける。次に、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
【0064】
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、正極33および負極34を作製し、これらの正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付ける。次に、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。次に、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。次に、電解液と、高分子の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
【0065】
電解質用組成物を注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子とすることによりゲル状の電解質層36を形成し、図3および図4に示した二次電池を組み立てる。
【0066】
この第2の実施形態による非水電解質二次電池の作用および効果は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0067】
<3.第3の実施形態>
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。以下では、上述の第2の実施形態と対応する部分には、同一の符号を付して説明する。
【0068】
第3の実施形態は、セパレータ35上に高分子を塗布し、電池の組立後に、電解液を注液して高分子を膨潤させる点において、第2の実施形態と異なっている。
【0069】
第3の実施形態による非水電解質二次電池は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、マトリックス樹脂、および溶媒からなるスラリーを作製する。ここで、マトリックス樹脂は、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種である。次に、作製したスラリーを、微多孔性フィルムなどである基材層27上に塗布し、マトリックス樹脂の貧溶媒且つ上記溶媒の親溶媒浴中を通過させて相分離させ、その後、乾燥させる。これにより、基材層上に高分子樹脂層が形成され、セパレータ35が得られる。次に、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回電極体30を形成する。次に、例えば、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に巻回電極体30に収納する。次に、熱融着させていない一辺から、溶媒を外装部材40内に注入し、高分子樹脂層の高分子を電解液により膨潤させた後、外装部材40の開口部を熱融着して密封する。これにより、非水電解質二次電池が得られる。
【0070】
この第3の実施形態による非水電解質二次電池の作用および効果は、上述した第1の実施形態と同様である。
【実施例】
【0071】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0072】
以下の実施例および比較例において、無機微粒子の平均粒径は、HORIBA製の動的散乱式粒径分布測定装置(LB-550)により測定したものである。
【0073】
(実施例1)
正極は以下のようにして作製した。まず、平均組成がLi0.98Co0.15Ni0.80Al0.052.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が14μmの複合酸化物粒子を準備した。次に、この複合酸化物粒子に対して、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を2質量%、グラファイトを1質量%添加し、N−メチル−2ピロリドン(NMP)にて1時間よく混練して正極合剤スラリーとした。次に、この正極合剤スラリーをAl箔の両面に薄く塗布し、乾燥させた後、所定の寸法にカットし、さらに100℃以上で真空乾燥を行い、正極を得た。
【0074】
負極は以下のようにして作製した。まず、負極活物質として黒鉛97質量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3質量%とを均質に混合してN−メチル−2ピロリドン(NMP)を添加し負極合剤スラリーとした。次に、この負極合剤スラリーを銅箔の両面に均一に塗布、乾燥させた後、所定の寸法にカットして、さらに100℃以上で真空乾燥を行い、負極を得た。
【0075】
電解液は以下のようにして作製した。エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート/4−フルオロエチレンカーボネート=39/60/1の割合(質量比)で混合した溶媒86質量%に、六フッ化リン酸リチウム14質量%を混合して作製した。
【0076】
セパレータは、以下のようにして作製した。まず、ポリフッ化ビニリデン(平均分子量150000)にN−メチル−2ピロリドンを質量比10:90の割合で加え、十分に溶解させた。これにより、N−メチル−2ピロリドン90質量%に対してポリフッ化ビリデンが10質量%溶解されたスラリーを作製した。次に、作製したスラリーを卓上コーターにて、基材層としての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜の両面に2μm塗布した。次に、塗布膜を水浴で相分離させた後、熱風にて乾燥し、厚さ4μmのPVdF微多孔層を有する微多孔膜を得た。
【0077】
上述のようにして得られた正極と負極とをセパレータを介して積層して巻き取り、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋に収容した。次に、この袋に電解液を2g注液後、袋を熱融着してラミネート型電池を得た。なお、この電池の定格容量は1000mAhとした。
【0078】
(実施例2)
平均組成Li0.98Co0.15Ni0.80Mn0.052.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が14μmの複合酸化物粒子である正極活物質を用いる以外は、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の定格容量は970mAhとした。
【0079】
(実施例3)
セパレータは、以下のようにして作製した。まず、ポリビニルホルマールにN−メチル−2ピロリドンを質量比10:90の割合で加え、十分に溶解させた。これにより、N−メチル−2ピロリドン90質量%に対してポリビニルホルマールが10質量%溶解されたスラリーを作製した。次に、作製したスラリーを卓上コーターにて、基材層としての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜の両面に2μm塗布した。次に、塗布膜を水浴で相分離させた後、熱風にて乾燥し、厚さ4μmのポリビニルホルマール微多孔層を有する微多孔膜を得た。
これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の定格容量は1000mAhとした。
【0080】
(実施例4)
セパレータは、以下のようにして作製した。まず、ポリアクリル酸エステルにN−メチル−2ピロリドンを質量比10:90の割合で加え、十分に溶解させた。これにより、N−メチル−2ピロリドン90質量%に対してポリアクリル酸エステルが10質量%溶解されたスラリーを作製した。次に、作製したスラリーを卓上コーターにて、基材層のとしての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜の両面に2μm塗布した。次に、塗布膜を水浴で相分離させた後、熱風にて乾燥し、厚さ4μmのポリアクリル酸エステル微多孔層を有する微多孔膜を得た。
これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の定格容量は1000mAhとした。
【0081】
(実施例5)
セパレータは、以下のようにして作製した。まず、メタクリル酸メチルにN−メチル−2ピロリドンを質量比10:90の割合で加え、十分に溶解させた。これにより、N−メチル−2ピロリドン90質量%に対してメタクリル酸メチルが10質量%溶解されたスラリーを作製した。次に、作製したスラリーを卓上コーターにて、基材層としての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜上に2μm塗布した。次に、塗布膜を水浴で相分離させた後、熱風にて乾燥し、厚さ4μmのメタクリル酸メチル微多孔層を有する微多孔膜を得た。
これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の定格容量は1000mAhとした。
【0082】
(実施例6)
高分子樹脂層にAl23(アルミナ)を含むセパレータを以下のようにして作製した。まず、ポリフッ化ビリデン(平均分子量150000)にN−メチル−2ピロリドンを質量比10:90の割合で加え、十分に溶解させた。これにより、N−メチル−2ピロリドン90質量%に対してポリフッ化ビリデンが10質量%溶解されたスラリーを作製した。次に、作製したスラリーに対して、Al23(アルミナ)微粉末をPVdF量に対し2倍量となるように添加し、良く攪拌し塗布スラリーを作製した。Al23(アルミナ)微粉末としては、平均粒径が250nmのものを用いた。
【0083】
次に、作製したスラリーを卓上コーターにて、基材層としての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜の両面に2μm塗布した。次に、塗布膜を水浴で相分離させた後、熱風にて乾燥し、アルミナを担持した厚さ4μmのPVdF微多孔層を有する微多孔膜を得た。
これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0084】
(実施例7)
平均組成Li0.98Co0.15Ni0.80Mn0.052.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が14μmの複合酸化物粒子である正極活物質を用いる以外は、実施例6と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の定格容量は970mAhとした。
【0085】
(実施例8)
高分子樹脂層にAl23(アルミナ)を含むセパレータを以下のようにして作製した。まず、ポリビニルホルマールにN−メチル−2ピロリドンを質量比10:90の割合で加え、十分に溶解させた。これにより、N−メチル−2ピロリドン90質量%に対してポリビニルホルマールが10質量%溶解されたスラリーを作製した。次に、作製したスラリーに対して、Al23(アルミナ)微粉末をポリビニルホルマールの量に対し2倍量となるように添加し、良く攪拌し塗布スラリーを作製した。Al23(アルミナ)微粉末としては、平均粒径が250nmのものを用いた。
【0086】
次に、作製したスラリーを卓上コーターにて、基材層としての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜の両面に2μm塗布した。次に、塗布膜を水浴で相分離させた後、熱風にて乾燥し、アルミナを担持した厚さ4μmのポリビニルホルマール微多孔層を有する微多孔膜を得た。
これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0087】
(実施例9)
高分子樹脂層にAl23(アルミナ)を含むセパレータを以下のようにして作製した。まず、ポリアクリル酸エステルにN−メチル−2ピロリドンを質量比10:90の割合で加え、十分に溶解させた。これにより、N−メチル−2ピロリドン90質量%に対してポリアクリル酸エステルが10質量%溶解されたスラリーを作製した。次に、作製したスラリーに対して、Al23(アルミナ)微粉末をポリアクリル酸エステルの量に対し2倍量となるように添加し、良く攪拌し塗布スラリーを作製した。Al23(アルミナ)微粉末としては、平均粒径が250nmのものを用いた。
【0088】
次に、作製したスラリーを卓上コーターにて、基材層としての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜の両面に2μm塗布した。次に、塗布膜を水浴で相分離させた後、熱風にて乾燥し、アルミナを担持した厚さ4μmのポリアクリル酸エステル微多孔層を有する微多孔膜を得た。
これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0089】
(実施例10)
高分子樹脂層にAl23(アルミナ)を含むセパレータを以下のようにして作製した。まず、メタクリル酸メチルにN−メチル−2ピロリドンを質量比10:90の割合で加え、十分に溶解させた。これにより、N−メチル−2ピロリドン90質量%に対してメタクリル酸メチルが10質量%溶解されたスラリーを作製した。次に、作製したスラリーに対して、Al23(アルミナ)微粉末をメタクリル酸メチルの量に対し2倍量となるように添加し、良く攪拌し塗布スラリーを作製した。Al23(アルミナ)微粉末としては、平均粒径が250nmのものを用いた。
【0090】
次に、作製したスラリーを卓上コーターにて、基材層としての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜の両面に2μm塗布した。次に、塗布膜を水浴で相分離させた後、熱風にて乾燥し、アルミナを担持した厚さ4μmのメタクリル酸メチル微多孔層を有する微多孔膜を得た。
これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0091】
(実施例11)
無機微粒子として、SiO2(シリカ)を用いる以外は、実施例6と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0092】
(実施例12)
無機微粒子として、SiO2(シリカ)を用いる以外は、実施例7と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0093】
(実施例13)
無機微粒子として、SiO2(シリカ)を用いる以外は、実施例8と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0094】
(実施例14)
無機微粒子として、SiO2(シリカ)を用いる以外は、実施例9と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0095】
(実施例15)
無機微粒子として、SiO2(シリカ)を用いる以外は、実施例10と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0096】
(実施例16)
無機微粒子として、TiO2(チタニア)を用いる以外は、実施例6と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0097】
(実施例17)
無機微粒子として、TiO2(チタニア)を用いる以外は、実施例7と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0098】
(実施例18)
無機微粒子として、TiO2(チタニア)を用いる以外は、実施例8と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0099】
(実施例19)
無機微粒子として、TiO2(チタニア)を用いる以外は、実施例9と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0100】
(実施例20)
無機微粒子として、TiO2(チタニア)を用いる以外は、実施例10と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0101】
(実施例21)
基材層としての厚さ9μmのポリエチレン(PE)製微多孔膜の両面にスラリーを10μmずつ塗布し、アルミナを担持した厚さ4μmのPVdF微多孔層を作製する以外は、実施例6と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0102】
(比較例1)
セパレータとして、厚さを7μmの微多孔性ポリエチレンフィルム単層からなるものを用いる以外は、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。
【0103】
(比較例2)
正極活物質として、平均組成Li1.02Co0.15Ni0.80Mn0.052.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が14μmの複合酸化物粒子を用いた。また、セパレータとして、厚さを9μmの微多孔性ポリエチレンフィルム単層からなるものを用いた。これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は1000mAhとした。
【0104】
(比較例3)
正極活物質として、平均組成Li1.02Co0.98Al0.01Mg0.012.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が12μmの複合酸化物粒子を用いた。また、セパレータとして、厚さを9μmの微多孔性ポリエチレンフィルム単層からなるものを用いた。これ以外のことは、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は970mAhとした。
【0105】
(比較例4)
平均組成Li1.02Co0.98Al0.01Mg0.012.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が12μmの複合酸化物粒子を用いる以外は、実施例1と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は970mAhである。
【0106】
(比較例5)
平均組成Li1.02Co0.98Al0.01Mg0.012.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が12μmの複合酸化物粒子を用いる以外は、実施例3と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は970mAhである。
【0107】
(比較例6)
平均組成Li1.02Co0.98Al0.01Mg0.012.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が12μmの複合酸化物粒子を用いる以外は、実施例4と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は970mAhである。
【0108】
(比較例7)
平均組成Li1.02Co0.98Al0.01Mg0.012.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が12μmの複合酸化物粒子を用いる以外は、実施例5と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は970mAhである。
【0109】
(比較例8)
平均組成Li1.02Co0.98Al0.01Mg0.012.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が12μmの複合酸化物粒子を用いる以外は、実施例6と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は970mAhである。
【0110】
(比較例9)
平均組成Li1.02Co0.98Al0.01Mg0.012.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が12μmの複合酸化物粒子を用いる以外は、実施例11と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は970mAhである。
【0111】
(比較例10)
平均組成Li1.02Co0.98Al0.01Mg0.012.1であり、レーザー散乱法により測定した平均粒子径が12μmの複合酸化物粒子を用いる以外は、実施例16と同様にしてラミネート型電池を得た。なお、この電池の容量は970mAhである。
【0112】
上述のようにして得られたラミネート型電池に対して、以下の評価を行った。
(サイクル試験)
電池を23℃環境下1Cで4.2Vを上限として3時間充電した後、1Cで2.5Vまでの放電を500回繰り返した。次に、1サイクル目の放電容量および500サイクル目の放電容量を用いて、以下の式から500サイクル後の容量維持率を求めた。なお、「1C」とは、電池の定格容量を1時間で定電流放電させる電流値のことである。
サイクル特性[%]
=(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
【0113】
(保存試験)
23℃環境下1Cで4.2Vを上限として3時間充電した後、85℃環境下で12時間保存した。そして、85℃環境下で12時間保存前後の電池の厚み変化を求めた。
保存後のセルは23℃環境下に12時間静置した後、23℃環境下にて2.5V、0.2Cで放電して残存容量を測定し、続けて1Cで4.20V充電−0.2Cで2.5V放電を行って回復容量を測定した。
【0114】
(フロート試験)
満充電状態における23℃環境下で開回路電圧が4.2V以上となるように充電を行い、高温過充電状態における充電電流値の変動を調べた。以下、この充電電流値変動をフロート特性と称する。フロート特性は、60℃に維持した高温槽内で500hの定電流定電圧方式により行った。具体的には、10mAで定電流充電を開始した後、それぞれ端子間電圧が所定電圧まで上昇した時点で定電圧充電へ切り替えた。定電圧充電後の電流が立ち上がる時間を測定し、フロート限界時間とした。
【0115】
実施例1〜20および比較例1〜11の電池の構成、および評価結果を表1、表2に示す。
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
表1および表2から以下のことがわかる。
実施例1〜5、比較例1〜2:ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、またはメタクリル酸メチルを含む高分子樹脂層を基材層上に形成することで、セル厚みの変化量を抑制することができる。したがって、電極間距離が広がることを抑え、電池の安全性の低下を抑制することができる。
実施例1〜5、比較例1〜2:ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、またはメタクリル酸メチルを含む高分子樹脂層を基材層上に形成することで、サイクル特性を向上することができる。
実施例1〜20:アルミナ、シリカ、またはチタニアを高分子樹脂層に含ませることで、フロート特性を大幅に向上することができる。
実施例1〜5、比較例4〜7:ニッケル成分をコバルト成分より多く含む正極活物質を用いた場合に、コバルト系の正極活物質を用いた場合に比べて、セル厚みの変化量を抑制する効果が顕著に現れる。
実施例1〜5、比較例4〜7:ニッケル成分をコバルト成分より多く含む正極活物質を用いた場合にも、コバルト系の正極活物質を用いた場合と同等のサイクル特性を得ることができる。
【0118】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0119】
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、形状、および数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、形状、および数値を用いてもよい。
【0120】
また、上述の実施形態では、電解液およびゲル状の電解質を用いる電池に対してこの発明を適用する例について説明したが、高分子化合物に電解質塩を溶解させた全固体状の高分子電解質に対してもこの発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
11 電池缶
12、13 絶縁板
14 電池蓋
15 安全弁機構
15A ディスク板
16 熱感抵抗素子
17 ガスケット
20、30 巻回電極体
21、33 正極
21A、33A 正極集電体
21B、33B 正極活物質層
22、34 負極
22A、34A 負極集電体
22B、34B 負極活物質層
23、35 セパレータ
24 センターピン
25、31 正極リード
26、32 負極リード
27 基材層
28 高分子樹脂層
36 電解質層
37 保護テープ
40 外装部材
41 密着フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、非水電解質と、セパレータとを備え、
上記正極は、下記の式(1)で表される平均組成を有するリチウム複合酸化物を含み、
上記セパレータは、基材層と、該基材層の少なくとも一方の主面に形成された高分子樹脂層とを備え、
上記高分子樹脂層は、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含んでいる非水電解質二次電池。
LixCoyNiz1-y-zb-aa ・・・(1)
(式中、Mは、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、タングステン(W)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、およびアンチモン(Sb)から選ばれる1種以上の元素である。Xは、ハロゲン元素である。x、y、z、a、およびbはそれぞれ0.8<x≦1.2、0≦y≦1.0、0.5≦z≦1.0、0≦a≦1.0、1.8≦b≦2.2の範囲内の値である。ただしy<zとする。)
【請求項2】
上記高分子樹脂層は、無機物を主成分とする微粒子を含んでいる請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
上記無機物は、アルミナ、シリカ、およびチタニアの少なくとも1種である請求項2記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
上記微粒子の平均粒径は、1nm以上3μm以下の範囲内である請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
上記正極は、炭酸塩および重炭酸塩を含み、
上記炭酸塩および上記重炭酸塩の合計の濃度は、0.3%以下である請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項6】
上記正極と、上記負極と、上記非水電解質と、上記セパレータとを収容する外装部材をさらに備え、
上記外装部材がラミネートフィルムからなる容器である請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項7】
正極と、負極と、非水電解質と、セパレータとを備え、
上記正極は、下記の式(1)で表される平均組成を有するリチウム複合酸化物を含み、
上記非水電解質は、電解液を含ませて高分子を膨潤させたものであり、
上記高分子は、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルホルマール、ポリアクリル酸エステル、およびメタクリル酸メチルの少なくとも1種を含んでいる非水電解質二次電池。
LixCoyNiz1-y-zb-aa ・・・(1)
(式中、Mは、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、タングステン(W)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、およびアンチモン(Sb)から選ばれる1種以上の元素である。Xは、ハロゲン元素である。x、y、z、a、およびbはそれぞれ0.8<x≦1.2、0≦y≦1.0、0.5≦z≦1.0、0≦a≦1.0、1.8≦b≦2.2の範囲内の値である。ただしy<zとする。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−192200(P2010−192200A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33959(P2009−33959)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】