説明

非焼成含炭塊成鉱の製造方法

【課題】高炉用非焼成含炭塊成鉱に内装する炭材の粒径を変更することなく、還元後圧潰強度が良好であり、還元効率を向上させる高炉用非焼成含炭塊成鉱の製造方法を提供すること。
【解決手段】
本発明は微粉状酸化鉄と、微粉状炭材と、バインダーを有する原料に水分を添加して混合、造粒することにより、高炉用非焼成含炭塊成鉱を製造する方法であって、前記微粉状酸化鉄のうちのピソライト系鉄鉱石の割合が、前記原料の全質量に対し、18質量%以上、56質量%以下であることを特徴とする非焼成含炭塊成鉱の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鉱石を原料の一部として使用した場合による高炉用の非焼成含炭塊成鉱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製鉄所は、各種集塵装置等から回収される多種の含鉄、含炭ダストを配合し、セメント系の時効性バインダーを添加して混錬、成型して非焼成のペレットやブリケットを製造し、高炉原料として使用してきた。
【0003】
これらの高炉用非焼成含炭塊成鉱は、高炉内で、高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯におけるガス条件と温度条件下で反応を受け劣化するので、順調な高炉操業のためには、一定の熱間圧潰強度が必要である。
【0004】
また、これらの高炉用非焼成含炭塊成鉱は、内装するカーボンにより高炉内の還元反応を起こす結果、還元率が向上するため、高炉操業時の還元材比の低減のため、内装カーボンの増量が図られてきた。
【0005】
以上のことにより、高炉用非焼成含炭塊成鉱は、内装カーボン量が多く、かつ、熱間圧潰強度が高いものが望まれる。
【0006】
高炉操業における還元材比を低減させる方法として、「含酸化鉄原料とカーボン系炭材を配合しバインダーを加えて混錬、成型、養生してなるカーボン内装非焼成塊成鉱において、鉄鉱石類の被還元酸素を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量の80〜120質量%のカーボンを含有し、かつ常温での圧潰強度7850kN/m2 以上となるようにバインダーを選択して混錬、成型、養生してなることを特徴とする高炉用のカーボン内装非焼成塊成鉱。」の発明が提案されている(特許文献1)。
【0007】
この方法によれば、一般に還元ガスの温度とガス組成(ηCO=CO2/(CO+CO2))との関係から、酸化鉄の還元反応の進行が制約される高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯においても、900〜1100℃の温度領域で、非焼成塊成鉱中の酸化鉄は、内装するカーボンにより還元反応を起こす結果、還元率が向上するため、高炉操業時の還元材比の低減効果が期待できる。
【0008】
しかしながら、この方法では、非焼成塊成鉱に内装するC含有量は、酸化鉱を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量(以下、C当量ということもある)で120質量%以下(全カーボン含有量(T.C)は約15質量%以下に相当する)に制限され、これ以上C含有量を増加すると、非焼成塊成鉱の熱間圧潰強度が損なわれるという問題がある。
【0009】
又、高炉法やDR法(直接還元法)に使用される炭材内装非焼成ブリケットの還元後の強度の低下を目的に、「成型、乾燥後の空隙率を15〜25%であるとする炭材内装非焼成ブリケット」の提案がある(特許文献2)。
【0010】
この方法によれば、炭材内装非焼成ブリケットの高炉における還元時の強度低下を抑制できる効果がある程度期待できる。
【0011】
しかしながら、炭材内装非焼成ブリケットの成型、乾燥後の空隙率は、原料や炭材の性状、粒度により影響され、空隙率を15〜25%の範囲にコントロールするのは難しく、原料等の制約を受けるという問題がある。
【0012】
又、全鉄原料の粒度、微粉状炭材の配合割合を調整し、かつ、微粉状炭材のメジアン径を調整することにより、高炉用原料ペレットとして要求される50kg/cm2(4900kN/m2)以上の冷間強度を維持するとともに、高炉操業時の還元材比を大幅に低減できるだけの十分な炭素含有量を有し、還元後の圧潰強度7kg/cm2(690kN/m2)以上を有する、非焼成含炭ペレット製造方法が提案されている(特許文献3)。
【0013】
この方法によれば、全原料中の粒度を2mm以下とし、全原料中炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%となるように微粉状炭材の配合割合を調整し、炭材のメジアン径を100〜150μmとすることにより、還元後圧潰強度が良好であり、高い還元材比低減効果を有する非焼成含炭塊成鉱を製造することができる。
【0014】
しかしながら、この方法では、全原料中の粒度を2mm以下とし、炭材のメジアン径を100〜150μmとしなければならず、原料と炭材の両面からの制約があり、又、早強セメントを10質量%以上添加することとなると、この非焼成含炭塊成鉱を高炉にて使用する量を増加させた場合、高炉に投入されるスラグ量も増加する問題がある。また、早強セメントは400〜500℃で脱水反応(吸熱反応)が進行するため、セメント10質量%を添加した含炭塊成鉱の過剰使用は高炉内の温度を低下させ、高炉内装入物の昇温遅れ、還元遅れが生じる問題がある
【0015】
したがって、高炉用非焼成含炭塊成鉱に内装する炭材の粒径を変更することなく、還元後圧潰強度が良好であり、還元効率を向上させることができる技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2003−342646号公報
【特許文献2】特開昭62−290833号公報
【特許文献3】特開2008−95177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
高炉用非焼成含炭塊成鉱は、還元効率を向上させるために、内装カーボン量を多くし、かつ、高炉操業に悪影響を与えないために熱間圧潰強度が高いものが望まれる。
これらを満たすためには、全原料中の粒度を2mm以下とし、炭材のメジアン径を100〜150μmとし、かつ、早強セメントを10質量%以上添加することが求められる。しかし原料と炭材の条件に制約があることや、強度面では、所定以上の冷間圧潰強度を持たせるために添加した水硬性バインダーが、高炉内では分解してしまい、熱間圧潰強度の維持の役に立たないことや、水硬性バインダーは高炉内の脱水反応(吸熱反応)により、過剰な使用は高炉内の温度を低下させ、高炉内装入物の昇温遅れ、還元遅れが生じるという課題がある。
【0018】
本発明は、高炉用非焼成含炭塊成鉱に内装する炭材の粒径を変更することなく、熱間圧潰強度が良好であり、還元効率を向上させる高炉用非焼成含炭塊成鉱の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、高炉用の非焼成含炭塊成鉱に配合する鉄含有鉱石の銘柄と、その配合割合をコントロールすることで熱間圧潰強度が良好、かつ、焼結鉱の還元効率が向上することを見出した。
【0020】
本発明は、この知見に基づいて上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
【0021】
(1)微粉状酸化鉄と、微粉状炭材と、バインダーを有する原料に水分を添加して混合、造粒することにより、高炉用非焼成含炭塊成鉱を製造する方法であって、
前記微粉状酸化鉄のうちのピソライト系鉄鉱石の割合が、前記原料の全質量に対し、18質量%以上、56質量%以下であることを特徴とする非焼成含炭塊成鉱の製造方法。
(2)微粉状酸化鉄と、微粉状炭材と、バインダーを有する原料に水分を添加して混合、造粒することにより、高炉用非焼成含炭塊成鉱を製造する方法であって、
前記微粉状酸化鉄の粒径は、125μm以下が40質量%を越え、
125μm以下のピソライト系鉄鉱石の割合が、前記原料の全質量に対し、16質量%以上、51質量%以下であることを特徴とする非焼成含炭塊成鉱の製造方法。
(3)前記高炉用非焼成含炭塊成鉱が、前記原料の全質量に対し、10質量%以上の前記微粉状炭材を有する非焼成含炭ペレット及び非焼成含炭ブリケットのいずれかであることを特徴とする前記(1)又は前記(2)に記載の非焼成含炭塊成鉱の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、高炉用の非焼成含炭塊成鉱に内装する炭材の粒径を変更することなく、熱間圧潰強度が良好であり、還元効率を向上する高炉用非焼成含炭塊成鉱の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】高炉用の非焼成含炭塊成鉱の反応後の試料断面を示す図。(A)はピソライト系鉱石の場合、(B)はピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄の場合である。
【図2】高炉用の非焼成含炭塊成鉱の熱間圧潰強度の測定装置を示す図。
【図3】高炉用の非焼成含炭塊成鉱の熱間圧潰強度の測定条件を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
非焼成含炭塊成鉱は、高炉内では、高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯におけるガス条件と温度条件下で反応を受け劣化するが、順調な高炉操業のためには、一定の熱間圧潰強度の維持が必要である。反応後の熱間圧潰強度としては、非焼成含炭ペレット(直径約10〜15mm)では、700kN/m以上が好ましく、非焼成含炭ブリケット(約20〜25cc)では、100N/サンプル以上が好ましい。
【0025】
本発明は、非焼成含炭塊成鉱の製造に要する鉄含有原料の配合に特徴がある。すなわち、微粉状酸化鉄に、熱間圧潰強度の発現に寄与するものと、寄与しないものとがあることを発見し、還元率と熱間圧潰強度が共に良好な非焼成塊成鉱を得るのに必要な両者の配合比率を特定した。各原料の種類と使用比率、及びその設定根拠については後述する。
ここに、微粉状酸化鉄及び微粉状炭材において、ともに微粉状としているのは、ペレタイジングまたはブリケッティングにより成型が可能な粒度であって、例えば2mm以下を意味する。特に、微粉状酸化鉄の粒径は、粒径1mm以上の比率が5%未満であることが好ましく、炭材原料に比べてその配合比率が多いことから成型性に重要な影響を及ぼし、その比率が5%を超えると円滑に造粒を行えなくなることに由来する。
かかる配合に調整した微粉状酸化鉄、微粉状炭材及びバインダーを配合して配合原料とし、それに水分を添加して混合、造粒、養生することにより、所期の目的を達成する高炉用非焼成含炭塊成鉱が製造できる。ここに、前混合、造粒、養生する造粒設備は、特に限定する必要はなく、配合原料の混錬、加水、造粒、製品篩の機能を有するものであればよく、混錬機、造粒機などは、特に限定されるものではない。
【0026】
本発明に掛る高炉用非焼成含炭塊成鉱には、例えば、非焼成含炭ペレット、非焼成含炭ブリケット等がある。ペレットとしては、例えば、ディスクペレタイザーにより球状に成型するものがあり、ブリケットとしては、くぼみの型を備え相対する一対の成型ロールで成型する左右対称のピロー型ブリケットやアーモンド形ブリケットがあるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
〔ピソライト系鉄鉱石〕
熱間圧潰強度の発現に寄与する酸化鉄は、ローブリバー鉱石やヤンディー鉱石などのピソライト系鉄鉱石とする。図1に高炉用の非焼成含炭塊成鉱の反応後の試料断面を示す。(A)はピソライト系鉱石の場合、(B)はピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄の場合である。図1で、白色部分は金属鉄、暗灰色部分は炭材を示す。
この強度発現機構は、図1に示す還元後の非焼成含炭塊成鉱の観察から、次のように推察される。
図1(A)のピソライト系鉱石(図はローブリバー鉱石で例示)の場合は、加重をかけて、反応温度を上昇させたとしても、鉱石の粒子形状を維持し、粒子形状を保った金属鉄が生成する。この場合、金属鉄同士が強固に結合したメタルネットワークを作り熱間圧潰強度が上昇する。
図1(B)のピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄(図はブラジル産PFで例示)の場合は、反応温度の上昇過程において、荷重を掛けることで破壊が起こり、酸化鉄の粒子径が微細になる。粒子径が微細になることで炭材との接触面積が広くなり、反応が効率良く起こるために還元効率(焼結鉱の還元率)が上昇する。しかし粒子が全て微細であると、図1(B)に示すように金属鉄同士のメタルネットワークを形成せずに、熱間圧潰強度は著しく低下する。つまり熱間圧潰強度と還元効率の両者を高めるためには、両者の適切な配合が重要である。
【0028】
〔ピソライト系鉄鉱石の使用量〕
ピソライト系鉄鉱石の使用比率は、原料の全重量に対し、18質量%以上56質量%以下含有する事を特徴としている。
【0029】
本発明は、ピソライト系鉄鉱石を原料の全重量に対し、18質量%以上含有させることで、還元過程で生成する鉄のネットワーク化を促進することによって、非焼成含炭塊成鉱の熱間圧潰強度を向上させる事を特徴としている。また前記ピソライト系鉄鉱石を原料の全重量に対し、56質量%以下としているのはピソライト系鉱石に含有する結晶水の影響で高炉内が低温化し、還元効率が低下することを防ぐためである。
上記の使用量の条件は、前記効果を十分に得るためのものである。その根拠は実施例で後述する。
【0030】
〔ピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄の種類〕
前記ピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄としては、鉄鉱石、スケールを所定の粒度に粉砕したもの、製鉄プロセスにおいて多量に発生するダストを集塵機などで回収した含鉄ダストやスラッジ等の使用ができる。鉄鉱石では、ペレットフィードを用いることがより好ましく、それによって、粉砕の手間を省くことができる。含鉄ダストやスラッジは1mm以上がほとんどなく、粒径250μm以下が全体の80%以上を占めるので、直接使用可能である。
【0031】
〔微粉状酸化鉄の粒径〕
本発明者等は、微粉状酸化鉄としてピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄を使用する場合、粒径125μm以下の含有割合が40質量%以上になると、熱間圧潰強度が発現しないことを確認している。これに対し、本発明においては、ピソライト系鉄鉱石を用いる場合は、微粉状酸化鉄の粒径が粒径125μm以下の含有割合で40質量%を超えても、熱間圧潰強度が発現することを新たに見出した。
【0032】
〔微粉状炭材の種類と使用量〕
前記微粉状炭材としては、所定粒度に粉砕した粉コークス、粉石灰、及びコークスダスト並びに粉コークスを含有する高炉一次灰などの粉状の固形炭材などがある。
従来技術では、炭材粒度は、100〜150μmが必要であったが(段落「0014」「0017」)、本願発明では、−250μm程度でよく、炭材の粒径を小さくすることなく、冷間圧還元後圧潰強度が良好であり、還元効率を向上する高炉用非焼成含炭塊成鉱の製造方法を提供することができる。
微粉状炭材の配合量は、原料全質量に対し、10質量%以上が好ましく、これによって含炭塊成鉱中の酸化鉄を含炭塊成鉱中に内在する炭材のみで概ね還元でき、その結果迅速に還元できる。更に成型後の冷間強度を維持できるならば、15質量%以上がより好ましく、18質量%以上が特に好ましい。これは、含炭塊成鉱中の酸化鉄を還元してもなお余剰の炭素分のガス化により、高炉内にて、非焼成ペレット以外の鉄原料(例えば焼結鉱)の還元を促進し、省エネルギー化・低CO化が期待できる。残留する炭素分がその近傍存在する焼結鉱の還元を促進するためである。
【0033】
従来から、ペレット中の酸化鉄を還元するのに必要な理論上の炭素量に対する炭素含有量の比を「炭素等量」と定義し、炭素による酸化鉄の還元度の目安としている。従来は、高炉用原料として要求される熱間圧潰強度を維持するためには、炭素含有量を15質量%(炭素等量1.2に相当)に制限せざるを得なかった(特許文献1参照)。しかし、本発明では、前記鉄含有原料に15質量%以上の微粉炭材を添加することもできる。
【0034】
〔バインダー〕
前記バインダーとしては、原料中に含有する水分や添加水分との水和反応により硬化することにより造粒物の冷間圧潰強度を高める機能を有するバインダーがあり、水硬性バインダーとしては、高炉水砕スラグを主成分とする微粉末とアルカリ刺激剤からなる時効性バインダーや、ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント等がある。また酸化鉄原料を分散させ密充填にすることで冷間強度を上げる有機分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)や水分と反応することでゲル化し原料間の空隙に入り込み、乾燥によって硬化することで冷間強度を上げるα化コーンスターチなどの有機バインダーがあるが、これらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これに限られるものではない。
【0036】
原料は、ピソライト系鉄鉱石として、−0.25mmに分級したローブリバー鉱石(RR)を用い、ピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄として−0.15mmのペレットフィード(PF)を用い、微粉状炭材としては−0.25mmに粉砕・分級した粉コークスを用いた。ピソライト系鉄鉱石とピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄と微粉状炭材にバインダーを添加し、混錬後、ディスクペレタイザーにより、ペレット(平均粒径13mm)を造粒した。それらの配合比率を表1に示す。
【表1】

【0037】
実施例1乃至実施例3は、本発明例であって、ピソライト系鉄鉱石の配合比率を原料の全重量に対し、56質量%、37質量%、及び18質量%に調整した。これに対してピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄の配合比率を、それぞれ、18質量%、37質量%、及び56質量%に調整した。
比較例では、ピソライト系鉄鉱石の配合比率は、本発明の規定の範囲を超えたものである74質量%のものと、ピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄の配合比率が74質量%のものとした。
【0038】
−0.25mmのRRには、−0.125mmが91.4%含まれている。したがって、表1で、−0.25mmのRRの配合割合が56質量%は、−0.125mmの配合割合は、51質量%(56×0.914)である。同様に、−0.25mmのRRの配合割合が37質量%、18質量%の場合は、−0.125mmの配合割合は、それぞれ、34質量%(37×0.914)、16質量%(18×0.914)である。
又、−0.15mmのPFには、−0.125mmが83%含まれている。したがって、表1で、−0.15mmのPFの配合割合が56質量%は、−0.125mmの配合割合は、46質量%(56×0.83)である。同様に、−0.15mmのPFの配合割合が37質量%、18質量%の場合は、−0.125mmの配合割合は、それぞれ、31質量%(37×0.83)、15質量%(18×0.83)である。
以上のことより、実施例1では、−0.125mmの微粉状酸化鉄は、66質量%(51+15)であり、40質量%を超える。同様に実施例2では、−0.125mmの微粉状酸化鉄は、65質量%(34+31)であり、実施例3では、−0.125mmの微粉状酸化鉄は、62質量%(16+46)でああり、それぞれ40質量%を超える。
【0039】
各実施例及び比較例の原料を、ディスクペレタイザーを用いて水分8〜11質量%でペレットに造粒し、製品を14日自然養生した。養生後、直径10〜15mmの製品を篩出し、その製品の反応後の熱間圧潰強度及び製造した含炭塊成鉱を使用した場合による、焼結鉱還元率を測定した。
【0040】
圧潰強度の測定は、JIS M8718「鉄鉱石ペレット圧潰強度試験方法」に準じて、試料1個に対して、規定の加圧速度で圧縮荷重をかけることにより、破壊した時の荷重値を測定した。
【0041】
熱間圧潰強度は、高炉内の還元反応を荷重化で模擬できる還元試験装置を用い、高炉シャフト部の熱保存帯と還元反応平衡帯における還元ガス組成(CO;36%、CO;14%、N;50%)及び温度(900〜1200℃)とほぼ同じ条件で還元試験を実施し、反応後の非焼成含炭塊成鉱を前記圧潰強度の測定方法により測定した。
高炉内の還元反応を荷重化で模擬できる還元試験装置の詳細を図2に示す。反応内管1(Φ73mm)と反応外管2の間に所定の反応性ガスを入口3から流入し、反応管底より、反応管内に導入する。反応管の下部にアルミナボール5を敷き詰め、その上に焼結鉱450gと非焼成含炭ペレット50gから成る試料6を充填する。試料は加熱装置7により加熱され、試料温度は、熱電対8により測定する。反応後のガスは反応後ガス出口4のより反応内管1から、外部に排出される。図3に還元試験時の測定条件を示す。ガス組成と温度は、高炉のシャフト部における条件を模したものである。反応終了後に窒素冷却してから試料を取り出して圧潰強度測定試料とした。
【0042】
還元後の焼結鉱の還元率の測定は、前記還元試験を実施後、焼結鉱の化学分析を行い、分析結果から算出した。
【0043】
実施例1乃至実施例3で分かるように、ピソライト系鉄鉱石の比率が減少するほど反応後圧潰強度が低下し、比較例2では、熱間圧潰強度が所要の700kN/mを下回った。またピソライト系鉄鉱石以外の酸化鉄の比率が増加するほど、焼結鉱の還元率が上昇し、比較例1においては、焼結鉱の還元率が著しく低下した。以上、本発明を実施した場合には、比較例と比較して熱間圧潰強度及び還元効率ともに優れた含炭塊成鉱が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0044】
高炉用非焼成含炭塊成鉱に内装する炭材の粒径を変更することなく、熱間圧潰強度が良好であり、還元効率を向上させる高炉用非焼成含炭塊成鉱の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…反応内管、2…反応外管、3…反応性ガス入口、4…反応後ガス出口、5…アルミナボール、6…試料、7…加熱装置、8…熱電対。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉状酸化鉄と、微粉状炭材と、バインダーを有する原料に水分を添加して混合、造粒することにより、高炉用非焼成含炭塊成鉱を製造する方法であって、
前記微粉状酸化鉄のうちのピソライト系鉄鉱石の割合が、前記原料の全質量に対し、18質量%以上、56質量%以下であることを特徴とする非焼成含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項2】
微粉状酸化鉄と、微粉状炭材と、バインダーを有する原料に水分を添加して混合、造粒することにより、高炉用非焼成含炭塊成鉱を製造する方法であって、
前記微粉状酸化鉄の粒径は、125μm以下が40質量%を越え、
125μm以下のピソライト系鉄鉱石の割合が、前記原料の全質量に対し、16質量%以上、51質量%以下であることを特徴とする非焼成含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項3】
前記高炉用非焼成含炭塊成鉱が、前記原料の全質量に対し、10質量%以上の前記微粉状炭材を有する非焼成含炭ペレット及び非焼成含炭ブリケットのいずれかであることを特徴とする前記請求項1又は請求項2に記載の非焼成含炭塊成鉱の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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