説明

非破壊検査装備

【課題】乾燥状態の構造物だけでなく水中の環境または作業者が近付きにくい環境に構築された構造物を相手に真空漏洩探傷によって欠陥を検出する。
【解決手段】欠陥可否探知対象構造物を相手に配置されて、上下方向のレールを具備したフレーム10と、前記フレームのレールで昇降されて、前記構造物に固定された状態で内部に真空が形成されることができる真空ボックス20と、前記フレームの上部に設置されて前記真空ボックスを昇降させるホイストと、前記フレームと前記真空ボックスを前記構造物を相手に固定させる固定手段30と、前記真空ボックスの内部に真空を形成する真空ポンプと、前記真空ボックス内部の真空度を感知して前記構造物の欠陥可否を判断する欠陥感知部70と、前記各構成要素らを制御することができる制御手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検査装備に係り、特に乾燥状態の構造物だけでなく水中の環境または作業者が近付きにくい環境に構築された構造物を相手に真空漏洩探傷によって欠陥を検出する非破壊検査装備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に地上に構築された建物を含めた構造物は、乾燥した状態にあるから構造物の欠陥可否を検査する時、放射線透過検査や超音波探傷検査などのような通常的な非破壊検査方法を使っても何の障害なしに作業を遂行することができる。
【0003】
一方、構造物外部で欠陥可否を確認しにくい水中の環境では従来の非破壊検査方法を適用するのが非常に困難であるため、潜り要員を動員して肉眼検査を遂行するようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、微細な欠陥の場合には、作業者の肉眼で直接確認しにくく、水中の環境や使用後核燃料貯蔵所のような放射線汚染区域などでは、作業者が直接近付くのが非常に制限的なため、構造物の欠陥を探知するのがとても難しいのが実情である。
【0005】
本発明は、前述したような従来の実情に鑑みてなされたもので、作業者の接近が困難な環境に構築された構造物に対しても容易に欠陥可否検査作業を遂行することができる非破壊検査装備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る非破壊検査装備は、欠陥可否を探知する対象となる構造物を相手に配置されて、上下方向のレールを具備したフレームと、前記フレームのレールにて昇降され、前記構造物に固定された状態で内部に真空を形成することができる真空ボックスと、前記フレームの上部に設置されて前記真空ボックスを昇降させるホイストと、前記フレームと前記真空ボックスを前記構造物を相手に固定させる固定手段と、前記真空ボックスの内部に真空を形成する真空ポンプと、前記真空ボックス内部の真空度を感知して、前記構造物の欠陥可否を判断する欠陥感知部と、前記各構成要素を制御することができる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、前記真空ボックスが水中の環境に投入される場合に、真空ボックス内部の水を取り除くための排水ポンプを更に具備することができる。
【0008】
また、前記フレーム上での前記真空ボックスの位置を作業者が確認するようにディスプレイする位置指示手段を更に具備することができる。
【0009】
なお、前記固定手段は、前記構造物を相手に前記フレームを固定または離脱させる第1シリンダ装置と、前記構造物を相手に前記真空ボックスを固定または離脱させる第2シリンダ装置と、前記第1シリンダ装置と第2シリンダ装置に流体圧を提供する流体ユニットと、を備えることができる。
【0010】
また、前記制御手段の制御によって、前記構造物を相手に前記真空ボックスを左右回転させる回転作動手段を更に具備することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、作業者の接近が困難な環境に構築された構造物に対しても容易かつ安全に欠陥可否検査作業を遂行することができるので、構造物の健全性を確保するところに大きく寄与できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施の形態による非破壊検査装備の設置状態を示した側面図である。
【図2】図2は図1の非破壊検査装備に対する背面図である。
【図3】図3は図1の非破壊検査装備を構成する真空ボックスと、これを作動させる各構成要素と、制御手段とを示したブロック図である。
【図4a】図4aは本発明を構成する真空ボックスの実施の形態を示した図面である。
【図4b】図4bは本発明を構成する真空ボックスの実施の形態を示した図面である。
【図4c】図4cは本発明を構成する真空ボックスの実施の形態を示した図面である。
【図5】図5は本発明で回転作動手段が装着された真空ボックスを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付された図面に基づいて詳しく説明する。
【0014】
なお、以下の実施の形態は、この技術分野で通常の知識を有する者が、本発明を充分に理解できるように提供されるものであり、本発明は、さまざまな他の形態に変形されることができる。また、本発明の範囲は、次に記述される実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態による非破壊検査装備の設置状態を示した側面図であり、図2は、図1の非破壊検査装備に対する背面図である。また、図3は、図1の非破壊検査装備を構成する真空ボックスと、これを作動させる各構成要素と、制御手段とを示したブロック図である。
【0016】
図1ないし図3に示したところのように、本実施の形態による非破壊検査装備は、欠陥可否を探知する対象となる構造物S1を相手に配置されたフレーム10上で真空ボックス20を昇降させて、構造物S1の欠陥を探知する。
【0017】
先に、本発明は、地上に構築された構造物を対象にして、欠陥可否を探知する場合にも使用できるが、水中の環境または放射線汚染区域のように、作業者が直接近付きにくい場所に構築された構造物を対象にして、欠陥可否を探知する場合に特に有用である。本実施の形態では、水中に構築された構造物の欠陥可否を探知するところに適用される場合を仮定して説明する。
【0018】
前記フレーム10は、その左右側に上下方向に長く形成されたレール11が具備された構造を有しており、フレーム10の上端部には、起重機(図示されない)のフックをかけるためのホルディング部12が具備されている。また、フレーム10の下端部には、構造物S1周辺の固定物S2に固定されるための固定端13が具備されている。そして、フレーム10自体とレール11の変形を防止するため、フレーム10のレール11の間には、等間隔で鋼板材質の補強バー14が設置されている。このようなフレーム10は、水中に構築された構造物S1の外壁と並ぶようにして、起重機を利用して垂直方向に架設される。
【0019】
構造物S1を相手に配置されたフレーム10が、自重や外力によって流動されないように、フレーム10を固定する固定手段30が具備されている。この固定手段30は、シリンダ装置31と、シリンダ装置31に流体圧を提供する通常的な流体ユニット(図示されない)で構成されている。
【0020】
前記シリンダ装置31は、後述する真空ボックス20側に設置される第2シリンダ装置33と区別するため、第1シリンダ装置31と称する。本実施の形態において、第1シリンダ装置31と第2シリンダ装置33は、空圧シリンダで構成され、流体ユニット32は、4-ウェイ弁(4-way valve)のような弁を具備した通常的なエアユニットで構成される。これによって、フレーム10が、構造物S1を相手に配置された状態で、第1シリンダ装置31のピストン31aが、シリンダ31bから繰り出されながら構造物S1の外壁に密着されるとともに、フレーム10下端部の固定端13が、構造物S1の周辺に位置した固定物S2に密着されることにより、フレーム10の下端部が流動されないで構造物S1に固定される。
【0021】
前記真空ボックス20は、フレーム20のレール11にて昇降作動する。このため、真空ボックス20の背面部には、レール11上で滑走するホイール21らが具備されている。また、フレーム10の上部には、真空ボックス20とワイヤ41で連結されて、真空ボックス20を昇降させるホイスト40が設置されている。真空ボックス20の構造は、欠陥を探知しようとする構造物S1の表面形象によって多様に具現されることができる。すなわち、図4aと図4bと図4cは、それぞれ平面部位、ぺこりと折曲された壁面角部位、ふくらんで折曲された壁面角部位に相応しい形象の構造でなされた例を示しており、構造物S1の欠陥探知部位の形象によって適切な形象とすることで、フレーム10に互換設置される。このような真空ボックス20は、上述したように、固定手段30を構成する第2シリンダ装置33によってフレーム10と連結されており、構造物S1の欠陥を探知する時、流体ユニットから提供される流体圧によって第2シリンダ装置33が作動して、構造物S1の壁面に付着した状態で固定される。特に、真空ボックス20が構造物S1の壁面に固定された時、真空ボックス20内部の真空度が一定に維持されるように、構造物S1と接触する真空ボックス20の該当面は、ゴムのようなシーリング部材22でシーリング処理になっている。
【0022】
前記それぞれの真空ボックス20は、その内部が空いており、構造物S1の表面に付着固定された状態で内部に真空が形成される。このために、真空ボックス20が、水中の構造物S1に向けてフレーム10のレール11にて昇降しながら投入された時に真空ボックス20の内部に流入した水を排出して取り除くための排水ポンプ50が具備される。また、排水ポンプ50によって真空ボックス20内部の水が全て除去されるやいなや、真空雰囲気が形成されるようにするための真空ポンプ60が共に具備される。なお、本発明の非破壊検査装備が、地上の乾燥した環境に構築された構造物を相手に適用される場合には、前記排水ポンプ50は不必要になる。
【0023】
真空ボックス20の内部が真空の状態で、この真空ボックス20が付着した構造物S1の壁面に例えば割れ目のような欠陥が存在する場合、真空ボックス20内部の真空度に変化が生ずるようになる。このような真空度の変化を感知して、構造物S1の欠陥可否を判断するように真空ゲージ(図示されない)を具備した欠陥感知部70が本発明の構成要素で用意されている。
【0024】
真空ボックス20がフレーム10上で上昇する時、欠陥を探知しようとする構造物S1の目標位置に真空ボックス20が置かれることを、作業者が肉眼で確認できるように、真空ボックス20の位置を表示する位置指示手段80を具備することができる。
【0025】
この位置指示手段80は、フレーム10の所定位置に設置される通常的なカメラと、このカメラによって撮影された映像の送信を受けてディスプレイするモニタなどで構成することができる。
【0026】
また、真空ボックス20が、フレーム10の正面から構造物S1を相手に対角線方向(正面でθ角度程度)で左右回転して、構造物S1の欠陥探知壁面に密着できるようにするための回転作動手段90を具備することができる。
【0027】
この回転作動手段90は、図5に図示された例のように、真空ボックス20側に設置された第2シリンダ装置33の末端部とフレーム10の間に結合されるヒンジ軸91と、このヒンジ軸91を回転させるモータ92で構成することができ、モータ92は、真空ボックス20とともにフレーム10にて昇降されるパネル93上に固定される。
【0028】
一方、前記したところのように、構造物S1の欠陥可否を探知するために真空ボックス20をフレーム10上で昇降、固定、回転作動させるとともに、真空ボックス20の内部に真空状態を形成する各構成要素、すなわち、ホイスト40、固定手段30、真空ポンプ60、排水ポンプ50、位置指示手段80、回転作動手段90などを作業者が制御するように、制御手段100が具備される。
【0029】
以上の構成において、前記各構成要素の間に具備される通常的な配管、電線及び弁などは、図面で図示しないで省略した。
【0030】
次に、以上のように構成された実施の形態に基づいて、本発明による非破壊検査装備の設置と作動について説明する。
【0031】
まず、水中に構築された構造物S1の欠陥可否探知部位を相手にフレーム10を設置するため、フレーム10上端部に具備されたホルディング部12に起重機のフックをかけて、構造物S1の前にフレーム10を位置させる。
【0032】
そして、フレーム10の下端部に具備された固定端13を構造物S1の周辺の固定物S2に接近させた状態で、固定手段30の第1シリンダ装置31を作動させると、第1シリンダ装置31のピストン31aが、シリンダ31bから繰り出されて、構造物S1の壁面に密着されるとともに、固定端13が固定物S2に密着され、これにより、フレーム10の下端部が構造物S1と固定物S2の間で支持されて、フレーム10が流動されないで固定される。
【0033】
続いて、ホイスト40を作動させて、真空ボックス20を構造物S1の欠陥可否探知部位に向けてフレーム10のレール11にて下降させる。この時、真空ボックス20が正確な位置に置かれることを位置指示手段80を通じて確認をする。そして、真空ボックス20が構造物S1の欠陥探知部位に位置したら、固定手段30の第2シリンダ装置33を作動させて、真空ボックス20が構造物S1の壁面に密着されるようにする。真空ボックス20を構造物S1の壁面に密着させることが必要な場合は、真空ボックス20の第2シリンダ装置33とフレーム10の間に設置された回転作動手段90を作動させて、真空ボックス20の左右角度を調節する。
【0034】
真空ボックス20は、フレーム10のレールにて移動している途中、構造物S1の壁面に密着される過程で、その内部に水中の水を含むようになるので、排水ポンプ50を作動させて、真空ボックス20内部の水を全て排出させる。そして、真空ボックス20内部の水が全て排出されるやいなや、真空ポンプ60を作動させることで、真空ボックス20の内部に真空が形成されるようにする。
【0035】
一定時間が経過した後、欠陥感知部70の真空ケージを通じて真空ボックス20内部の真空度を測定し、真空度の変化が観察されれば、構造物S1に欠陥が存在することと判断される。
【0036】
以後、また真空ボックス20をフレーム10のレール11で昇降作動させながら、上記のような過程を繰り返して、構造物S1の欠陥を探知する。
【0037】
以上説明したように、本発明による非破壊検査装備は、地上の乾燥した環境に構築された構造物だけではなく、水中環境や放射線汚染区域のように、作業者が直接近付きにくい場所に構築された構造物に対しても、作業上の難しさや危険を排除して、該当の構造物の欠陥可否を探知することができる。
【0038】
以上では、本発明を好ましい実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるのではなく、発明の技術的思想の範囲内でこの技術分野で通常の知識を有する者によって、さまざまな変形が可能である。
【符号の説明】
【0039】
10…フレーム、11…レール、12…ホルディング部、13…固定端、20…真空ボックス、21…ホイール、22…シーリング部材、30…固定手段、31…第1シリンダ装置、32…流体ユニット、33…第2シリンダ装置、40…ホイスト、50…排水ポンプ、60…真空ポンプ、70…欠陥感知部、80…位置指示手段、90…回転作動手段、100…制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥可否を探知する対象となる構造物を相手に配置されて、上下方向のレールを具備したフレームと、
前記フレームのレールで昇降されて、前記構造物に固定された状態で内部に真空を形成することができる真空ボックスと、
前記フレームの上部に設置されて前記真空ボックスを昇降させるホイストと、
前記フレームと前記真空ボックスを前記構造物を相手に固定させる固定手段と、
前記真空ボックスの内部に真空を形成する真空ポンプと、
前記真空ボックス内部の真空度を感知して、前記構造物の欠陥可否を判断する欠陥感知部と、
前記各構成要素を制御することができる制御手段と、
を備えたことを特徴とする非破壊検査装備。
【請求項2】
前記真空ボックスが水中環境に投入される場合に、前記制御手段の制御によって、前記真空ボックス内部の水を取り除く排水ポンプが更に具備されたことを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装備。
【請求項3】
前記制御手段の制御によって、前記真空ボックスの位置を作業者が確認するようにディスプレイする位置指示手段が更に具備されたことを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装備。
【請求項4】
前記固定手段は、
前記構造物を相手に前記フレームを固定または離脱させる第1シリンダ装置と、
前記構造物を相手に前記真空ボックスを固定または離脱させる第2シリンダ装置と、
前記第1シリンダ装置と第2シリンダ装置に流体圧を提供する流体ユニットと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装備。
【請求項5】
前記制御手段の制御によって、前記構造物を相手に前記真空ボックスを左右回転させる回転駆動手段が更に具備されたことを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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