説明

非破壊検査装置

【課題】検査画面とメニュー操作画面との切り換えを容易に行うとともに、メニュー操作を容易に行うことができる非破壊検査装置を提供する。
【解決手段】非破壊検査装置1は、送信コイル22で形成された磁場を検出し、超音波探傷プローブ12の3次元位置の情報を検出する受信コイル24a〜24cと、所定の切り換え指示に基づいて、プローブ軌跡表示画面51と、メニュー操作画面61とを切り換えて表示部48に表示させるモード/設定処理部41と、受信コイル24a〜24cで検出された超音波探傷プローブ12の3次元位置の情報に基づいて、メニュー操作画面61における設定を変更するためのポインタ64の座標位置の情報を検出するポインタ画面座標計算部43とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検査装置に関し、特に、超音波探傷プローブの3次元位置を検出する磁気式の位置検出部を備えた非破壊検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属材料あるいは配管の溶接部等の非破壊検査を行うため、非破壊検査装置が用いられている。この非破壊検査装置の1つとして超音波探傷装置が用いられている。超音波探傷装置は、被検体である配管の溶接部等に超音波を送信し、反射した超音波を受信することで、被検体内部の傷等を検出する。
【0003】
近年、超音波探傷装置を用いた超音波探傷検査において、検査者が被検体に対して超音波探傷プローブを走査する際に、走査抜け(検査領域の抜け)が生じることが考えられるため、それを防ぐために、超音波探傷プローブの位置を特定する位置検出を行い、超音波探傷プローブの走査軌跡を記録しながら検査する方法が考えられている。
【0004】
しかしながら、超音波探傷プローブの走査軌跡を記録しながら検査している最中に、超音波探傷検査の検査条件を変更する場合、検査者は片方の手で超音波探傷プローブを走査し、もう片方の手で検査条件を変更するためのメニュー操作を行う必要があり、操作性が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、超音波探傷プローブにパーソナルコンピュータ用のマウス等で用いられる操作ボタン及び光学式の位置検出手段を設け、超音波探傷プローブの走査軌跡の表示あるいはメニュー操作を行う超音波探傷装置が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
特許文献1及び特許文献2に開示されている超音波探傷装置は、超音波探傷プローブに設けられた操作ボタン及び光学式の位置検出手段を用いているので、検査のための操作と検査画面のメニュー操作とを行うことが可能となり、検査者は両手を使わなくてよくなる、即ちメニュー操作を行うために必要があった片手を少なくとも使わなくてよくなるので操作性が向上する。
【0007】
また、超音波探傷プローブの正確な位置を検出できるように、超音波探傷プローブに磁気式の位置検出手段を設けた超音波探傷装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−194756号公報
【特許文献2】特開2006−317344号公報
【特許文献3】特開2006−337063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている超音波探傷装置は、メニュー操作を行っている際に、超音波探傷プローブを一度被検体から離してしまうと、操作位置情報の連続性が途切れてしまうので、メニュー操作後にメニュー操作移行前の位置からの検査を継続しようとしても、継続することができなくなる。そのため、別途定義した被検体上の原点まで超音波探傷プローブを移動し位置検出動作を最初から行う必要があり作業性が悪いという問題があった。
【0010】
また、これらの超音波探傷装置は、超音波探傷プローブを被検体から離さないように操作した場合であっても、意図せず離れたことに検査者が気付かないと、誤った位置情報で検査が継続されてしまい、検査の信頼性を損なうという問題があった。
【0011】
さらに、これらの超音波探傷装置は、特に検査者がメニュー操作に切り換えて使用する場合、超音波探傷プローブが被検体から離れないようにすると、被検体の形状によってはメニュー操作を実施する上で必要となる超音波探傷プローブの操作のストロークを得ることができないという問題があった。また、これらの超音波探傷装置は、検査時の超音波探傷プローブの向きによっては、無理な姿勢でメニュー操作を行うことが強いられるという問題があった。
【0012】
また、特許文献3に開示されている超音波探傷装置は、超音波探傷プローブの位置検出結果を用いて、どのように超音波探傷プローブの走査軌跡の表示する検査画面及びメニュー操作を行うためのメニュー操作画面を表示させるかという点については明示されていなかった。
【0013】
そこで、本発明は、検査画面とメニュー操作画面との切り換えを容易に行うとともに、メニュー操作を容易に行うことができる非破壊検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様によれば、被検体に対する検査を行う探傷プローブを有する非破壊検査装置であって、送信コイルで形成された磁場を検出し、前記探傷プローブの3次元位置の情報を検出する磁気式の位置検出部と、所定の切り換え指示に基づいて、前記被検体の検査の検査情報を表示するための検査画面と、前記非破壊検査装置の設定を変更するための設定変更画面とを切り換えて表示部に表示させる切り換え部と、前記位置検出部で検出された前記探傷プローブの3次元位置の情報に基づいて、前記設定変更画面における前記設定を変更するための設定変更手段の座標位置の情報を検出する第1の座標位置検出部と、を有することを特徴とする非破壊検査装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の非破壊検査装置によれば、検査画面とメニュー操作画面との切り換えを容易に行うとともに、メニュー操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る非破壊検査装置の構成を示す構成図である。
【図2】非破壊検査装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】表示部に表示されるプローブ軌跡表示画面の例を示す図である。
【図4】表示部に表示されるメニュー操作画面の例を示す図である。
【図5】プローブ軌跡表示画面及びメニュー操作画面を切り換える処理の例を説明するためのフローチャートである。
【図6】プローブ軌跡表示画面及びメニュー操作画面の切り換えの例について説明するための図である。
【図7】ポインタ位置検出平面の割り当ての例について説明するための図である。
【図8】設定数値を切り換える超音波探傷プローブの操作例について説明するための図である。
【図9】切り換えエリアを有するプローブ軌跡表示画面及びメニュー操作画面の例を説明するための図である。
【図10】スクロールエリアを有するプローブ軌跡表示画面の例を説明するための図である。
【図11】プローブ軌跡表示画面をスクロールする処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
【0018】
まず、図1に基づき、第1の実施の形態に係る非破壊検査装置の構成について説明する。
【0019】
図1は、第1の実施の形態に係る非破壊検査装置の構成を示す構成図である。
【0020】
図1に示すように、非破壊検査装置1は、例えば、検査対象となる配管2の溶接部3の超音波探傷検査を行うための装置である。非破壊検査装置1は、連設リング11と、超音波探傷プローブ12と、超音波探傷装置13と、コントローラ14と、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)15とを有して構成されている。
【0021】
コントローラ14は、信号ケーブル16、17及び18を介して、それぞれ連設リング11、超音波探傷プローブ12及びパソコン15と接続されている。また、超音波探傷装置13は、信号ケーブル19及び20を介して、それぞれ超音波探傷プローブ12及びパソコン15と接続されている。
【0022】
連設リング11は、検査対象となる配管2の溶接部3に沿って設置される。連設リング11は、それぞれに送信コイル22を備える複数の送信コイルユニット21を有する。複数の送信コイルユニット21は、それぞれ連結部材23を介して連結されている。
【0023】
複数の送信コイルユニット21は、コントローラ14の制御によって、複数の送信コイルユニット21のうちから一つの送信コイルユニット21が選択され、選択された送信コイルユニット21が備える一つの送信コイル22から交流磁界が発生する。
【0024】
超音波探傷プローブ12は、検査対象となる配管2の溶接部3に超音波の送信及び溶接部3からの超音波の受信を行うことにより、超音波探傷検査を行う。超音波探傷プローブ12は、この超音波探傷検査結果を信号ケーブル19を介して超音波探傷装置13に送信する。
【0025】
また、超音波探傷プローブ12には、受信コイルユニット24と、ボタン25とが設けられている。
【0026】
受信コイルユニット24は、後述する図2に示すように、X、Y、Zの3方向の交流磁場を検出する受信コイル24a、24b及び24cを有している。3つの受信コイル24a、24b及び24cのそれぞれは、隣接する2つの送信コイル22から発生した交流磁界によって生じた交流磁場を検出し、交流磁場の検出結果を信号ケーブル17を介してコントローラ14に送信する。
【0027】
ボタン25は、後述するメニュー操作画面とプローブ軌跡表示画面とを切り換えるためのボタンであり、このボタン25が押下されると、その切り換え指示としての操作信号が信号ケーブル17、コントローラ14及び信号ケーブル18を介してパソコンに送信される。
【0028】
超音波探傷装置13は、超音波探傷プローブ12から送信された超音波探傷検査結果を表示する表示部26を有している。また、超音波探傷装置13は、超音波探傷プローブ12から送信された超音波探傷検査結果を、信号ケーブル20を介してパソコン15に送信する。
【0029】
コントローラ14は、超音波探傷プローブ12の受信コイルユニット24からの交流磁場の検出結果に基づいて、超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きを計算し、計算した超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きの情報を信号ケーブル18を介してパソコン15に送信する。
【0030】
パソコン15は、超音波探傷装置13からの超音波探傷検査結果及びコントローラ14からの超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きの情報に応じて、メニュー操作画面及びプローブ軌跡表示画面を生成する。また、パソコン15は、ボタン25の操作に応じて、メニュー操作画面及びプローブ軌跡表示画面の切り換えを行う。
【0031】
図2は、非破壊検査装置の詳細構成を示すブロック図である。
【0032】
コントローラ14は、位置計算部31と、2つの送信アンプ32a及び32bと、マルチプレクサ33と、3つの受信アンプ34a、34b及び34cと、3つの検波回路35a、35b及び35cとを有して構成されている。
【0033】
パソコン15は、モード/設定処理部41と、入力部42と、ポインタ画面座標計算部43と、メニュー画像処理部44と、プローブ画面座標計算部45と、検査画像処理部46と、画面合成部47と、表示部48とを有して構成されている。
【0034】
位置計算部31は、隣接する2つの送信コイル22に印加する交流信号を送信アンプ32a及び32bに出力する。
【0035】
送信アンプ32a及び32bは、位置計算部31からの交流信号を増幅し、マルチプレクサ33に出力する。
【0036】
マルチプレクサ33は、複数の送信コイル22から隣接する2つの送信コイル22を選択し、送信アンプ32a及び32bからの交流信号を選択した隣接する2つの送信コイル22に出力する。
【0037】
隣接する2つの送信コイル22は、入力された交流信号に応じた交流磁場を生成する。
【0038】
受信コイル24a〜24cは、それぞれ隣接する2つの送信コイル22で生成された交流磁場を検出し、検出した際に生じる交流信号を受信コイル24a〜24cに出力する。これらの受信コイル24a〜24cは、隣接する2つの送信コイル22で形成された磁場を検出し、超音波探傷プローブの3次元位置の情報を検出する磁気式の位置検出部を構成する。
【0039】
受信アンプ34a〜34cは、それぞれ受信コイル24a〜24cからの交流信号を増幅し、検波回路35a〜35cに出力する。
【0040】
検波回路35a〜35cは、それぞれ受信アンプ34a〜34cで増幅された交流信号を検波し、振幅情報を得て、位置計算部31に出力する。
【0041】
位置計算部31は、検波回路35a〜35cからの振幅情報に基づいて、超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きを計算し、計算した超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きの情報をパソコン15のポインタ画面座標計算部43、プローブ画面座標計算部45及び検査画像処理部46に出力する。
【0042】
モード/設定処理部41は、超音波探傷プローブ12に設けられたボタン25が押下されたことを示す操作信号が入力されると、画面合成部47に切り換え制御信号を出力する。このモード/設定処理部41は、所定の切り換え指示としての操作信号に基づいて、プローブ軌跡表示画面と、メニュー操作画面とを切り換えて表示部48に表示させる切り換え部を構成する。
【0043】
また、モード/設定処理部41は、操作信号が入力されると、超音波探傷プローブ12の底面の平面方向を検知し、ポインタ位置検出平面を決定する。なお、ポインタ位置検出平面は平面に限定されることなく、例えば、配管2の表面上のように曲面であってもよい。
【0044】
また、モード/設定処理部41は、メニュー操作画面の設定数値等の変更が指示されると、変更された設定数値等の情報をメニュー画像処理部44に出力する。このような設定値の変更が指示された場合、モード/設定処理部41は、設定値を変更させるための設定値通信信号を、信号ケーブル20を介して超音波探傷装置13に送信する。この設定数値等の変更は、超音波探傷プローブ12に設けられたボタン25あるいは超音波探傷プローブ12に設けられた図示しない操作ボタンを用いて行われる。なお、設定数値等の変更は、入力部42を用いて変更できるようにしてもよい。
【0045】
第1の座標位置検出部であるポインタ画面座標計算部43は、位置計算部31からの超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きの情報から、メニュー操作画面におけるポインタの座標位置を計算し、計算したポインタの座標位置の情報をメニュー画像処理部44に出力する。
【0046】
メニュー画像処理部44は、ポインタ画面座標計算部43からのポインタの座標位置の情報とモード/設定処理部41からの設定数値等の情報とに基づいて、メニュー操作画面を生成し、画面合成部47に出力する。
【0047】
第2の座標位置検出部であるプローブ画面座標計算部45は、位置計算部31からの超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きの情報から、プローブ軌跡表示画面における超音波探傷プローブ12の座標位置を計算し、計算した超音波探傷プローブ12の座標位置の情報を検査画像処理部46に出力する。
【0048】
検査画像処理部46は、プローブ画面座標計算部45からの超音波探傷プローブ12の座標位置の情報と超音波探傷装置13からの検査画像と基づいて、プローブ軌跡表示画面を生成し、画面合成部47に出力する。
【0049】
画面合成部47は、メニュー画像処理部44からのメニュー操作画面と検査画像処理部46からのプローブ軌跡表示画面とを合成する。そして、画面合成部47は、上述したモード/設定処理部41からの切り換え制御信号に基づいて、メニュー操作画面とプローブ軌跡表示画面とのいずれか一方を有効にし、表示部48に出力する。
【0050】
表示部48は、画面合成部47によって有効となったメニュー操作画面またはプローブ軌跡表示画面を表示する。なお、画面合成部47は、メニュー操作画面とプローブ軌跡表示画面との両方を表示部48に表示させ、切り換え制御信号に基づいて、有効となったいずれか一方の画面のみ操作を行えるようにしてもよい。
【0051】
図3は、表示部に表示されるプローブ軌跡表示画面の例を示す図である。
【0052】
プローブ軌跡表示画面51は、超音波探傷検査の検査情報を表示するための検査画面であり、超音波探傷プローブ12の位置と、超音波探傷プローブ12のプローブ軌跡52が表示される。プローブ軌跡表示画面51には、検査者が超音波探傷プローブ12を走査すると、走査結果に応じてプローブ軌跡表示画面51における超音波探傷プローブ12の位置が変化するとともに、超音波探傷プローブ12の軌跡が表示される。
【0053】
図4は、表示部に表示されるメニュー操作画面の例を示す図である。
【0054】
メニュー操作画面61は、非破壊検査装置1の設定を変更するための設定変更画面であり、複数、ここでは6つのパラメータA〜Fを有する。各パラメータA〜Fは、同様の構成のため、代表してパラメータAについて説明する。パラメータAは、設定数値あるいは文字データが表示される表示エリア62と、アップボタン63a及びダウンボタン63bを備える操作エリア63とを有する。また、メニュー操作画面61は、ポインタ64と、戻るボタン65と有する。このポインタ64は、メニュー操作画面61で非破壊検査装置1の設定を変更するための設定変更手段を構成する。
【0055】
検査者は、超音波探傷プローブ12を操作してポインタ64を操作エリア63まで移動させ、アップボタン63aまたはダウンボタン63bを操作することにより、表示エリア62に表示されているパラメータAの設定数値等を変更する。また、検査者は、超音波探傷プローブ12を操作することにより、ポインタ64を戻るボタン65の領域まで移動させ、決定することで、プローブ軌跡表示画面51に戻ることができる。なお、検査者が超音波探傷プローブ12に設けられたボタン25を押下することにより、プローブ軌跡表示画面51に戻るようにしてもよい。
【0056】
ここで、プローブ軌跡表示画面及びメニュー操作画面を切り換える処理について説明する。この切り換え処理は、モード/設定処理部41によって実行される。
【0057】
図5は、プローブ軌跡表示画面及びメニュー操作画面を切り換える処理の例を説明するためのフローチャートである。
【0058】
まず、切り換え指示があったか否かが検出される(ステップS1)。切り換え指示がなかった場合、NOとなり、ステップS1に戻り同様の処理を繰り返す。一方、切り換え指示があった場合、YESとなり、超音波出力が停止される(ステップS2)。次に、超音波探傷プローブ12の底面の平面方向が検知され(ステップS3)、位置検出平面が決定される(ステップS4)。次に、超音波探傷プローブ12の操作があった否かが検知される(ステップS5)。超音波探傷プローブ12の操作がなかった場合、NOとなり、ステップS5に戻り同様の処理を繰り返す。一方、超音波探傷プローブ12の操作があった場合、YESとなり、操作結果がメニュー画像処理部44に出力される(ステップS6)。次に、超音波探傷検査に戻る指示があったか否かが検出される(ステップS7)。超音波探傷検査に戻る指示がない場合、NOとなり、ステップS5に戻り同様の処理を繰り返す。一方、超音波探傷検査に戻る指示があった場合、YESとなり、超音波出力が開始され(ステップS8)、処理を終了する。
【0059】
以上のように、非破壊検査装置1は、超音波探傷プローブに設けられたボタン25からの切り換え指示である操作信号に応じて、プローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61との切り換えを行うようにした。また、非破壊検査装置1は、磁気式の位置検出部である受信コイル24a〜24cで検出された超音波探傷プローブ12の3次元位置を検出し、この検出結果に応じてメニュー操作画面61のポインタ64の操作を行うようにした。この結果、検査者は、超音波探傷プローブ12の操作により、プローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61との切り換え及びメニュー操作画面61におけるメニュー操作を行うことができる。
【0060】
よって、本実施の形態の非破壊検査装置によれば、検査画面とメニュー操作画面との切り換えを容易に行うとともに、メニュー操作を容易に行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態の非破壊検査装置1は、磁気式の位置検出部である受信コイル24a〜24cにより超音波探傷プローブ12の3次元位置を検出するため、超音波探傷検査を再開する際に、超音波探傷プローブ12の正確な位置が検出できるため、超音波探傷検査の中断時と再開時とで超音波探傷プローブ12の検出位置がずれることがなくなる。
(第2の実施の形態)
【0062】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、超音波探傷プローブ12に設けられたボタン25を用いずに、プローブ軌跡表示画面51及びメニュー操作画面61の切り換えを行う非破壊検査装置について説明する。
【0063】
本実施の形態の非破壊検査装置1aは、図2の非破壊検査装置1の構成からボタン25を削除した構成になっている。そのため、ボタン25からの操作信号もモード/設定処理部41に入力されない。
【0064】
非破壊検査装置1aは、この操作信号に代わり、位置計算部31からの超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きの情報がモード/設定処理部41に入力される。モード/設定処理部41は、この超音波探傷プローブ12の3次元位置の情報に応じて、プローブ軌跡表示画面51及びメニュー操作画面61の切り換えを制御する。即ち、超音波探傷プローブ12の3次元位置の情報がプローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61とを切り換える切り換え指示となる。
【0065】
図6は、プローブ軌跡表示画面及びメニュー操作画面の切り換えの例について説明するための図である。
【0066】
モード/設定処理部41は、超音波探傷プローブ12の3次元位置の情報に基づいて、超音波探傷プローブ12が被検体の配管2から所定の閾値高さ以上まで持ち上げられたことを検出すると、プローブ軌跡表示画面51からメニュー操作画面61に切り換えるための切り換え制御信号を画面合成部47に出力する。また、モード/設定処理部41は、超音波探傷プローブ12の3次元位置の情報に基づいて、超音波探傷プローブ12が上記所定の閾値高さ未満まで下げられたことを検出すると、メニュー操作画面61からプローブ軌跡表示画面51に切り換えるための切り換え制御信号を画面合成部47に出力する。
【0067】
図7は、ポインタ位置検出平面の割り当ての例について説明するための図である。
【0068】
プローブ軌跡表示画面51には、被検体上のプローブ軌跡検出平面71上の超音波探傷プローブ12の座標位置に応じて、超音波探傷プローブ12が表示される。なお、プローブ軌跡検出平面71は、例えば、配管2のように曲面であってもよい。
【0069】
プローブ軌跡表示画面51からメニュー操作画面61に切り換えられると、モード/設定処理部41によって、ポインタ位置検出平面72が検出される。ポインタ位置検出平面72の原点座標O’は、メニュー操作画面61に切り換わった際の超音波探傷プローブ12の座標位置を用いる。メニュー操作画面61には、ポインタ位置検出平面72上の超音波探傷プローブ12の座標に応じて、ポインタ64が表示される。なお、超音波探傷プローブ12の3次元位置の情報に応じてプローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61との切り換えを行っているため、メニュー操作画面61には、図4の戻るボタン65がなくてもよい。
【0070】
このポインタ位置検出平面72は、例えば、ポインタ位置検出平面73のように、任意の高さのXY平面を用いることができる。なお、ポインタ位置検出平面72は、XY平面に限定されることなく、YZ平面またはZX平面であってもよい。
【0071】
図8は、設定数値を切り換える超音波探傷プローブの操作例について説明するための図である。
【0072】
超音波探傷プローブ12のXY走査により、ポインタ64を操作エリア63まで移動させる。この操作エリア63の領域内で超音波探傷プローブ12を所定の閾値回転角まで傾けた場合に、表示エリア62の設定数値または文字データが切り換わる。例えば、モード/設定処理部41は、超音波探傷プローブ12が角度−θまで傾けられると、表示エリア62の設定数値を小さくするようにメニュー画像処理部44に指示し、超音波探傷プローブ12が角度+θまで傾けられると、表示エリア62の設定数値を大きくするようにメニュー画像処理部44に指示する。なお、モード/設定処理部41は、超音波探傷プローブ12がその場で振られた場合、アップボタン63aまたはダウンボタン63b等のアイコンをクリックする動作を行うようにしてもよい。
【0073】
メニュー画像処理部44は、モード/設定処理部41からの指示に応じて、表示エリア62の設定数値を変更し、画面合成部47に出力する。
【0074】
以上のように、本実施の形態の非破壊検査装置1は、超音波探傷プローブ12の3次元位置及び傾きの情報からメニュー操作画面61及びメニュー操作画面61の切り換え及び設定数値の変更を行うようにしている。そのため、超音波探傷プローブ12に画面切り換え用のボタン25及びメニュー操作画面61を操作するための操作ボタンを設ける必要がなくなるため、第1の実施の形態の効果に加え、超音波探傷プローブ12の小型化が可能となる。
(第3の実施の形態)
【0075】
第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、ポインタ画面座標計算部43で計算されるポインタ64の座標位置の情報及びプローブ画面座標計算部45で計算される超音波探傷プローブ12の座標位置の情報に応じて、プローブ軌跡表示画面51及びメニュー操作画面61の切り換えを行う非破壊検査装置について説明する。
【0076】
本実施の形態の非破壊検査装置1bは、第2の実施の形態の非破壊検査装置1aと同様に、図2の非破壊検査装置1の構成からボタン25を削除した構成になっている。そのため、ボタン25からの操作信号もモード/設定処理部41に入力されない。
【0077】
非破壊検査装置1bは、この操作信号に代わり、プローブ画面座標計算部45からの超音波探傷プローブ12の座標位置の情報及びポインタ画面座標計算部43からのポインタ64の座標位置の情報がモード/設定処理部41に入力される。モード/設定処理部41は、プローブ画面座標計算部45からの超音波探傷プローブ12の座標位置の情報及びポインタ画面座標計算部43からのポインタ64の座標位置の情報に応じて、プローブ軌跡表示画面51及びメニュー操作画面61の切り換えを制御する。即ち、プローブ画面座標計算部45からの超音波探傷プローブ12の座標位置の情報及びポインタ画面座標計算部43からのポインタ64の座標位置の情報がプローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61とを切り換える切り換え指示となる。
【0078】
図9は、切り換えエリアを有するプローブ軌跡表示画面及びメニュー操作画面の例を説明するための図である。
【0079】
プローブ軌跡表示画面51は、プローブ軌跡表示画面51に向かって右側の所定の領域に切り換えエリア81を有している。また、メニュー操作画面61は、メニュー操作画面61に向かって左側の所定の領域に切り換えエリア82を有している。
【0080】
モード/設定処理部41には、ポインタ画面座標計算部43で計算されるポインタ64の座標位置の情報及びプローブ画面座標計算部45で計算される超音波探傷プローブ12の座標位置の情報が入力される。
【0081】
モード/設定処理部41は、プローブ画面座標計算部45からの超音波探傷プローブ12の座標位置の情報に基づいて、超音波探傷プローブ12が切り換えエリア81に入ったことを検出すると、プローブ軌跡表示画面51からメニュー操作画面61に切り換えるための切り換え制御信号を画面合成部47に出力する。
【0082】
また、モード/設定処理部41は、ポインタ画面座標計算部43からのポインタ64の座標位置の情報に基づいて、ポインタ64が切り換えエリア82に入ったことを検出すると、メニュー操作画面61からプローブ軌跡表示画面51に切り換えるための切り換え制御信号を画面合成部47に出力する。なお、プローブ画面座標計算部45からの超音波探傷プローブ12の座標位置の情報及びポインタ画面座標計算部43からのポインタ64の座標位置の情報に応じてプローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61との切り換えを行っているため、メニュー操作画面61には、図4の戻るボタン65がなくてもよい。
【0083】
図10は、スクロールエリアを有するプローブ軌跡表示画面の例を説明するための図である。
【0084】
プローブ軌跡表示画面51は、プローブ軌跡表示画面51に向かって上側及び下側の所定の領域に、それぞれ上スクロールエリア91及び下スクロールエリア92を有している。
【0085】
モード/設定処理部41は、プローブ画面座標計算部45からの超音波探傷プローブ12の座標位置の情報に基づいて、超音波探傷プローブ12が上スクロールエリア91に入ったことを検出すると、画面を上スクロールさせるための制御信号を検査画像処理部46に出力する。また、モード/設定処理部41は、プローブ画面座標計算部45からの超音波探傷プローブ12の座標位置の情報に基づいて、超音波探傷プローブ12が下スクロールエリア92に入ったことを検出すると、画面を下スクロールさせるための制御信号を検査画像処理部46に出力する。
【0086】
検査画像処理部46は、これらの制御信号に基づいて、画面を上側の隣接エリアまたは下側の隣接エリアにスクロールし、画面合成部47に出力する。
【0087】
ここで、プローブ軌跡表示画面51をスクロールする処理について説明する。このプローブ軌跡表示画面51をスクロールする処理は、モード/設定処理部41によって実行される。
【0088】
図11は、プローブ軌跡表示画面をスクロールする処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【0089】
まず、超音波探傷プローブ12がスクロールエリアに入ったか否かが検出される(ステップS11)。超音波探傷プローブ12がスクロールエリアに入っていない場合、NOとなり、ステップS11に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、超音波探傷プローブ12がスクロールエリアに入った場合、YESとなり、上スクロールか否かが検出される(ステップS12)。上スクロールの場合、YESとなり、検査画像処理部46に上スクロールが指示され(ステップS13)、処理を終了する。一方、上スクロールでない場合、NOとなり、検査画像処理部46に下スクロールが指示され(ステップS14)、処理を終了する。
【0090】
以上のように、本実施の形態の非破壊検査装置1bは、プローブ軌跡表示画面51に切り換えエリア81を設け、メニュー操作画面61に切り換えエリア82を設ける構成にしている。そのため、非破壊検査装置1は、超音波探傷プローブ12を被検体から離さずにプローブ軌跡表示画面51及びメニュー操作画面61の切り換え及び操作が可能となり、第2の実施の形態の効果に加え、さらに操作性を向上させることができる。
【0091】
上述した各実施の形態では、非破壊検査装置は、超音波探傷装置として説明しているが、超音波探傷装置に限定されることなく、例えば過流探傷装置であってもよい。
【0092】
なお、本明細書における各フローチャート中の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。
【0093】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0094】
なお、上述した第1の実施の形態では、超音波探傷プローブ12に設けられたボタン25により、プローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61との切り換えを行うようにしていたが、これに限定されるものではない。例えば、超音波探傷プローブ12内に加速度センサあるいは振動センサ等を設け、検査者が超音波探傷プローブ12を振った際の振動等を検知し、プローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61との切り換えを行うようにしてもよい。
【0095】
また、上述した第2の実施の形態では、超音波探傷プローブ12を被検体から持ち上げた際の高さが所定の高さ以上であるか否かを判定し、この判定結果をトリガとして、プローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61との切り換えを行うようにしていたが、これに限定されるものではない。例えば、図8で説明した設定数値の切り換えを行うための超音波探傷プローブ12の傾きの情報、あるいは、検査者が超音波探傷プローブ12を瞬間的に動かした際の超音波探傷プローブ12の急激な位置変化の情報を、プローブ軌跡表示画面51とメニュー操作画面61との切り換えを行うためのトリガに用いてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…非破壊検査装置、2…配管、3…溶接部、11…連設リング、12…超音波探傷プローブ、13…超音波探傷装置、14…コントローラ、15…パソコン、16〜20…信号ケーブル、21…送信コイルユニット、22…送信コイル、23…連結部材、24…受信コイルユニット、24a〜24c…受信コイル、25…ボタン、26…表示部、31…位置計算部、32a,32b…送信アンプ、33…マルチプレクサ、34a〜34c…受信アンプ、35a〜35c…検波回路、41…モード/設定処理部、42…入力部、43…ポインタ画面座標計算部、44…メニュー画像処理部、45プローブ画面座標計算部、46…検査画像処理部、47…画面合成部、48…表示部、51…プローブ軌跡表示画面、52…プローブ軌跡、61…メニュー操作画面、62…表示エリア、63…操作エリア、64…ポインタ、65…戻るボタン、71…プローブ軌跡検出平面、72,73…ポインタ位置検出平面、81,82…切り換えエリア、91…上スクロールエリア、92…下スクロールエリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対する検査を行う探傷プローブを有する非破壊検査装置であって、
送信コイルで形成された磁場を検出し、前記探傷プローブの3次元位置の情報を検出する磁気式の位置検出部と、
所定の切り換え指示に基づいて、前記被検体の検査の検査情報を表示するための検査画面と、前記非破壊検査装置の設定を変更するための設定変更画面とを切り換えて表示部に表示させる切り換え部と、
前記位置検出部で検出された前記探傷プローブの3次元位置の情報に基づいて、前記設定変更画面における前記設定を変更するための設定変更手段の座標位置の情報を検出する第1の座標位置検出部と、
を有することを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項2】
前記所定の切り換え指示は、前記探傷プローブに設けられたボタンからの操作信号であって、
前記切り換え部は、前記操作信号に基づいて、前記検査画面と前記設定変更画面とを切り換えて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項3】
前記所定の切り換え指示は、前記位置検出部で検出された前記探傷プローブの3次元位置の情報であって、
前記切り換え部は、前記探傷プローブの3次元位置の情報に基づいて、前記被検体に対する前記探傷プローブの位置または向きを判定し、判定結果に応じて前記検査画面と前記設定変更画面とを切り換えて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項4】
前記所定の切り換え指示は、前記位置検出部で検出された前記探傷プローブの3次元位置の情報であって、
前記切り換え部は、前記探傷プローブの3次元位置の情報に基づいて、前記探傷プローブが前記被検体から所定の高さ以上離れた否かを判定し、判定結果に応じて前記検査画面と前記設定変更画面とを切り換えて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項5】
前記位置検出部で検出された前記探傷プローブの3次元位置の情報に基づいて、前記検査画面における前記探傷プローブの座標位置の情報を検出する第2の座標位置検出部を有し、
前記所定の切り換え指示は、前記第1の座標位置検出部からの前記設定変更手段の座標位置の情報及び前記第2の座標位置検出部からの前記探傷プローブの座標位置の情報であって、
前記切り換え部は、前記設定変更手段の座標位置の情報及び前記探傷プローブの座標位置の情報がそれぞれ前記設定変更画面及び前記検査画面の所定の領域に入ったか否かを判定し、判定結果に応じて前記検査画面と前記設定変更画面とを切り換えて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項6】
設定変更手段の座標位置の情報を検出するための位置検出平面は、任意に設定可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の非破壊検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−252714(P2011−252714A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124799(P2010−124799)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】