説明

非破壊測定方法及び非破壊測定装置

【課題】測定対象物に存在する表面変化部分の焼入深さを容易かつ正確に測定することが可能な非破壊測定方法及び非破壊測定装置を提供すること。
【解決手段】測定対象物に存在する隣り合う異なった表面X,Y間の表面変化部分2について、当該測定対象物の焼入深さHを測定するものであり、表面変化部分2を挟んだ2つの面X,Yに対して第1センサ11a,12aと第2センサ11b,12bとを配置し、その第1センサ11a,12aと第2センサ11b,12bとの間で電気的又は電磁気的な処理を行うことによって得られる電気的出力を測定値とし、一方、測定対象物に存在する一又は二以上の表面変化部分の形状に応じた焼入深さと測定値との相関関係を示す検量線データを予め得ておき、測定値と検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求める非破壊測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物を破壊することなくその焼入深さを測定する焼入深さの非破壊測定方法及びその装置に関し、特に、測定対象物に存在する表面変化部分の焼入深さ測定を行うためのものである。
【背景技術】
【0002】
高周波焼入等によって焼入が行われたものについて、その焼入深さを測定する場合、測定対象物を切断せずに測定する非破壊測定方法として、例えば下記特許文献1に開示されているような方法がある。焼入表面硬さの分布と透磁率の分布の関係から、硬さの変化を透磁率の変化を媒介として検出し、焼入された測定対象物の表面硬さ及び焼入深さ(硬化層の深さ)を非破壊で測定する方法である。図8は、同文献に記載された非破壊測定装置を示した図である。
【0003】
検出コイル体101は、焼入表面硬さ及び焼入深さを測定するためのセンサであり、ケース102内に、中心軸を共通にして励磁用コイル111と検出用コイル112が設けられている。そして、段差のついた測定対象物200の軸部201に対し、図示するようにセットされる。励磁用コイル111に交流電源104からの交流励磁信号V1が印加されると、軸部201内には渦電流が誘導され、測定装置103では、検出用コイル112から得られる検出信号(電圧信号)V2の大きさに加え、信号V2と信号V1との位相差Φとが検出される。この検出信号V2に基づいて焼入表面硬さが測定され、また位相差Φに基づいて焼入深さが測定され、それぞれの測定結果が表示器131に表示される。
【特許文献1】特開2004−108873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の非破壊測定方法及び装置の場合、測定対象物200の軸部201に段差があっても、その表面変化部分に検出用コイル112を配置させることで焼入深さ測定が可能である。しかし、励磁用コイル111や検出用コイル112の中に軸部201が入る従来の構成では、測定対象物が限定されてしまい、例えばクランクシャフトなどのような複雑な形状の測定対象物には対応できない。また、複数の箇所を測定する必要がある場合、従来の装置では最も太い部分に合わせてコイルが設計されるため、測定箇所によっては測定箇所とコイルの距離が大きくなってしまい、測定にバラツキが生じてしまう。
【0005】
また、従来の測定方法では、交流電源104の周波数を複数段階に切り換え、焼入深さなどの相関が最も高い特性を検量線として求め、焼入深さなどの測定を行っている。しかし、測定対象物200全体に磁束を発生させて判別する方法をとっているため、軸部201と段差による変化部分の焼入深さに相関がなければ成立しないことになってしまう。さらに、焼入コイルの破損や変形などによってその相関がずれると、変化部分の測定は更に困難になる。そして、自動測定させようとした場合には、膨大な事前データの採取を要し、複雑な検量線を作成する必要が生じる。
【0006】
よって、本発明は、かかる課題を解決すべく、測定対象物に存在する表面変化部分の焼入深さを容易かつ正確に測定することが可能な非破壊測定方法及び非破壊測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る非破壊測定方法は、測定対象物に存在する隣り合う異なった表面間の表面変化部分について、当該測定対象物の焼入深さを測定するものであり、前記表面変化部分を挟んだ2つの面に対して第1センサと第2センサとを配置し、その第1センサと第2センサとの間で電気的又は電磁気的な処理を行うことによって得られる電気的出力を測定値とし、一方、前記測定対象物に存在する一又は二以上の表面変化部分の形状に応じた焼入深さと測定値との相関関係を示す検量線データを予め得ておき、前記測定値と検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る非破壊測定方法は、前記第1センサが、前記表面変化部分を挟んだ一方の面に先端を接触させる第1電流探針と第1測定探針であり、前記第2センサが、前記表面変化部分を挟んだ他方の面に先端を接触させる第2電流探針と第2測定探針であって、その第1電流探針から供給した電流を、前記測定対象物内を通って第2電流探針から戻るように電流を流し、第1測定探針と第2測定探針とによって前記表面変化部分を挟んだ位置の電位差を測定値として得て、当該測定値と前記検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めるようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係る非破壊測定方法は、前記第1センサが、前記表面変化部分の表層に渦電流を生じさせる励磁コイルであり、前記第2センサが、前記表面変化部分の表層に形成される渦電流を検出する検出コイルであって、その励磁コイルに交流電流を流し、前記測定対象物の表面変化部分に形成される渦電流によって検出コイルから電流値を測定値として得て、当該測定値と前記検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めるようにしたものであることが好ましい。
【0009】
本発明に係る非破壊測定装置は、測定対象物に存在する隣り合う異なった表面間の表面変化部分について、当該測定対象物の焼入深さを測定するものであり、前記表面変化部分を挟んだ2つの面に対して配置する第1センサ及第2センサと、その第1センサと第2センサとの間で電気的又は電磁気的な処理を行わせて電気的出力を得る処理手段とを有し、前記処理手段は、前記測定対象物に存在する一又は二以上の表面変化部分の形状に応じて、焼入深さと前記電気的出力である測定値との相関関係を示す検量線データを記憶したものであり、測定値と検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めるものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る非破壊測定装置は、前記第1センサが、前記表面変化部分を挟んだ一方の面に先端を接触させる第1電流探針と第1測定探針であり、前記第2センサが、前記表面変化部分を挟んだ他方の面に先端を接触させる第2電流探針と第2測定探針であって、前記処理手段は、第1電流探針から前記測定対象物内を通って第2電流探針から戻るように電流を流し、第1測定探針と第2測定探針とによって前記表面変化部分を挟んだ位置の電位差を測定値として得て、当該測定値と前記検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めるようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係る非破壊測定装置は、前記第1センサ又は第2センサを構成する電流探針及び測定探針に当該探針の移動を案内するカバーを有し、前記測定対象物の表面に押しつけられた前記全探針が、その先端を一直線上に位置させるように接触させるものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る非破壊測定装置は、前記第1センサが、前記表面変化部分の表層に渦電流を生じさせる励磁コイルであり、前記第2センサが、前記表面変化部分の表層に形成される渦電流を検出する検出コイルであって、前記処理手段は、その励磁コイルに交流電流を流し、前記測定対象物の表面変化部分に形成される渦電流によって検出コイルから電流値を測定値として得て、当該測定値と前記検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めるようにしたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表面変化部分を挟んだ隣り合う異なったそれぞれの面に第1センサと第2センサを配置させて測定するようにしたため、例えばクランクシャフトのように全体が複雑な形状をしたものであっても、各測定箇所を容易に測定することができる。また、表面変化部分を挟んだ各面に対応さて第1センサと第2センサとを配置して測定するため、正確な値の焼入深さを求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明に係る非破壊測定方法及び非破壊測定装置の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態では、例えば、図1に示すようなクランクシャフトを測定対象物とし、これに対する焼入深さを測定する場合について説明する。図1に示すものは、4気筒エンジン用のクランクシャフト1であり、鍛造加工による一体成形品である。中心軸Xを通って配列されたジャーナルJに対し、直交するアームAが連結され、互いに対向配置されたアームA同士がそれぞれピンPによって連結されている。そして、クランクシャフト1は、高周波誘導加熱あるいはレーザ加熱などの局部加熱によって焼入処理が行われる。
【0014】
クランクシャフト1は、このようにアームAとピンP或いはジャーナルJが連結され、その連結部分が、例えば矢印Cで示すように、隣り合う異なった表面間の表面変化部分となっている。図2は、そうした表面変化部分を示した断面図であり、具体的には、図1に示すクランクシャフト1のアームAとピンPとの連結部分(矢印C部分)である。この表面変化部分は、ほぼ直交するアームAの縦面YとピンPの横面Xとが連続し、曲面からなるR部2が形成されている。そして、こうしたR部2にも焼入処理によって図示するように焼入硬化層3が形成されている。
【0015】
本実施形態の非破壊測定方法及び装置では、こうしたR部2のような表面変化部分について、焼入処理によってできた焼入硬化層3の焼入深さHを測定する。特に、以下に示す実施形態では、電位差分法や渦流測定法を採用した非破壊測定方法及び非破壊測定装置について説明する。
【0016】
先ず、第1実施形態として電位差分法を採用した非破壊測定装置について説明するが、図3は、その非破壊測定装置を概念的に示した図である。
非破壊測定装置10は、図1に示すようにR部2が存在する箇所に入り込むようにしたセンサ18を有している。センサ18は、測定対象物であるクランクシャフト1に対して接触する探針を備え、R部2を挟んで2方向を向いて構成されている。すなわち、ほぼ直交する縦面Yと横面Xに対し、それぞれの面に電流探針11a又は11bと測定探針12a又は12bとが先端を接触させるようして設けられている。
【0017】
2本の電流探針11a,11bは定電流源13に接続され、その定電流源13から供給された電流が、入力側の電流探針11aからクランクシャフト1内を流れ、出力側の電流探針11bを介して定電流源13に戻るようになっている。一方、2本の測定探針12a,12bは、電位差を測定するものであって、電位差計測器14に接続されている。従って、2本の測定探針12a,12bは、電流探針11a,11bの間にあって、特にR部2を挟んだ位置で電位差測定を行うように構成されている。
【0018】
非破壊測定装置10は、さらにセンサ18を所定位置に移動させる駆動機構17を有し、そうした駆動機構17のほか定電流源13や電位差計測器14に演算制御器15が接続され、その演算制御器15には表示器19が接続されている。
演算制御器15は、駆動機構17に対する駆動制御のほか、定電流源13による通電制御を行い、電位差計測器14で検出された電位差から測定データに基づいて焼入深さHを算出するようにしたものである。
【0019】
図6は、その測定データから得られた検量線を示した図であり、焼入深さと電位差との相関関係が示されている。焼入硬化層3は抵抗率の高いため、図から分かるように、電位差の大きさに比例して焼入深さが大きくなっている。なお、この検量線は、クランクシャフト1と同じ形状のワークについて焼入深さを2水準以上の測定値から作成したものである。演算制御器15は、こうした検量線(検量線データ)が記憶されており、実際に計測された電位差の値に基づいて換算処理を行い、焼入深さを表示器19に表示させるよう構成されている。
【0020】
ところで、4本の探針11a,11b,12a,12bは、センサ本体16内にあって、図3に示すように探針11a,12aが縦面Yに直交し、探針11b,12bが横面Xに直交するように設けられている。そして、この直交する2組の探針11a,12aと探針11b,12bは、ある程度の長さを有し、実際には図面を貫く方向に重なって交差している。図4は、そうした状態を示した図であり、探針11a,11b,12a,12bの測定時の位置を図3の矢印M方向から示したものである。
【0021】
センサ18の探針11a,11b,12a,12bは、非破壊測定装置10が検量線データに基づいて正確な測定を行うには、その先端が測定対象物に接触した場合、常に一定の状態、すなわち図4に示すように一直線(測定線L)上に位置する必要がある。
しかし、探針11b,12bが測定線Lに直交しているのに対し、探針11b,12bが傾いている。すると、探針11a,12aが斜めから縦面Yに接触する際、押し付け力によって先端が滑り、測定線L上から外れてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、探針11a,12aが確実に定位置で接触するための構成がとられている。ここで、図5は、その一部構成を簡略化して示した図である。
【0022】
傾斜して配置された探針11a,12aには、位置決めカバー21が設けられ、その位置決めカバー21が縦面Yに押し当てられた後、探針11a,12aが位置決めカバー21から飛び出して、縦面Yに接触するような動きを生じさせるような構成がとられている。詳細な機構は省略するが、センサ18は、センサ本体16が縦面Y及び横面Xに沿って移動できるように構成され、更に、各組みの探針11a,12aと探針11b,12bとがそれぞれ独立して軸方向への移動が可能な構成になっている。
【0023】
続いて、非破壊測定装置10を使用した非破壊測定方法について説明する。先ず、図1に示すようにセンサ18が測定箇所に配置され、測定準備が行われる。それには、演算制御器15によって駆動機構17が制御され、図5に示すように、ある一定位置まで横面Xに近づけるようにセンサ本体16が下降し、その後、横移動して位置決めカバー21が縦面Yに押し当てられる。更に、探針11b,12bが下降方向に飛び出して横面Xに先端が接触するとともに、探針11a,12aは、位置決めカバー21に案内されるようにして横方向に移動し、その先端が横面Xに接触する。
【0024】
次いで、演算制御器15によって定電流源13の通電制御が行われ、電流探針11aに電流が供給される。すると、この入力側の電流探針11aからクランクシャフト1のR部2内を電流が流れ、出力側の電流探針11bを介して定電流源13に戻る。その際、2本の測定探針12a,12bによってR部2を挟んだ位置の電位差が電位差計測器14で計測される。演算制御器15では、電位差計測器14で得られた電位差の値と、予め記憶されている検量線データが比較され、換算処理によって焼入深さHが求められる。そして、その求められた焼入深さHが表示器19に表示される。
【0025】
よって、本実施形態の非破壊測定方法及び非破壊測定装置によれば、R部2のような表面変化部分に対し、隣り合う異なったそれぞれの面に探針11a,11b,12a,12bを接触させて測定するようにしたため、クランクシャフト1のように全体が複雑な形状をしたものであっても、各測定箇所を容易に測定することができるようになった。また、探針11a,11b,12a,12bを直接接触させて測定するため、正確な値の焼入深さHを求めることができるようになった。更に、探針11a,12aが測定対象物の面に対し斜めから接触するものであっても、位置決めカバー21によって必ず先端が測定線L上に位置するようにしたため、安定した測定が可能になった。
【0026】
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態の非破壊測定装置を概念的に示した図である。なお、前記第1実施形態と同じものについては同一の符号を付して説明する。
非破壊測定装置30は、前記第1実施形態と同様に、クランクシャフト1のR部2の焼入深さを測定するためのものであり、そうした表面変化部分の表層に渦電流を生じさせる励磁コイル31と、表層に形成される渦電流を検出する検出コイル32とを備えている。そして、励磁コイル31と検出コイル32は、高透磁率材料のフェライトコア33に対して設けられている。
【0027】
励磁コイル31、検出コイル32及びフェライトコア33は、センサ本体34によって一体に構成されている。励磁コイル31と検出コイル32は、R部2を挟んでほぼ直交する縦面Yと横面Xのそれぞれ一方に対向するよう設けられている。その励磁コイル31には電流発生器36が接続され、もう一方の検出コイル32には検出電流を増幅させる増幅器37が接続されている。そして、電流発生器36に対する通電制御や、増幅器37を介して得られる電流値を算出する制御演算器38がそれぞれに接続され、更にその制御演算器38には測定結果を表示する表示器39が接続されている。
【0028】
この非破壊測定装置30は、図1に示すセンサ18と同様にセンサ35がクランクシャフト1に対して配置される。具体的には、R部2を挟むようにして励磁コイル31が縦面Yに、検出コイル32が横面Xに対向して配置される。そして、励磁コイル31に交流電流が流され、それによって励磁コイル31の軸心方向に沿って磁界が形成される。そして、その磁界に基づく電磁誘導によってクランクシャフト1の表層に渦電流が形成され、その渦電流はR部2表面付近に新たに磁界を形成するため、検出コイル32が測定箇所に形成される渦電流により発生する磁界を検出する。
【0029】
このとき、R部2の焼入硬化層3は透磁率が高いため多くの磁束を通過させることになる。そこで本実施形態では、焼入深さに対応した電流値の相関関係を示す検量線データ(不図示)を演算器38が予め記憶しているため、検出コイル32を介して得られた電流値は、演算器38によって検量線データに基づいて換算処理が行われ、そこで求められた焼入深さHが表示器39に表示される。
【0030】
よって、本実施形態の非破壊測定方法及び非破壊測定装置によれば、R部2のような表面変化部分に対し、隣り合う異なったそれぞれの面に励磁コイル31と検出コイル32を対向配置させて測定するようにしたため、クランクシャフト1のように測定対象物全体が複雑な形状をしたものであっても容易に測定を行うことができるようになった。
【0031】
以上、本発明に係る非破壊測定方法及び非破壊測定装置について一実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】測定対象物であるクランクシャフトを示した図である。
【図2】図1に示すクランクシャフトのアームとピンとの連結部分(矢印C部分)を示した拡大断面図である。
【図3】第1実施形態の非破壊測定装置を概念的に示した図である。
【図4】探針の測定時の位置を図3の矢印M方向から示したものである。
【図5】電流探針と測定探針との配置を示した図である。
【図6】検量線を示した図である。
【図7】第2実施形態の非破壊測定装置を概念的に示した図である。
【図8】従来の非破壊測定装置を概念的に示した図である。
【符号の説明】
【0033】
1 クランクシャフト
2 R部
11a,11b 電流探針
12a,12b 測定探針
13 定電流源
14 電位差計測器
15 演算制御器
16 センサ本体
17 駆動機構
18 センサ
19 表示器
21 位置決めカバー
H 焼入深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に存在する隣り合う異なった表面間の表面変化部分について、当該測定対象物の焼入深さを測定する非破壊測定方法であり、
前記表面変化部分を挟んだ2つの面に対して第1センサと第2センサとを配置し、その第1センサと第2センサとの間で電気的又は電磁気的な処理を行うことによって得られる電気的出力を測定値とし、
一方、前記測定対象物に存在する一又は二以上の表面変化部分の形状に応じた焼入深さと測定値との相関関係を示す検量線データを予め得ておき、
前記測定値と検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めることを特徴とする非破壊測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載する非破壊測定方法において、
前記第1センサは、前記表面変化部分を挟んだ一方の面に先端を接触させる第1電流探針と第1測定探針であり、前記第2センサは、前記表面変化部分を挟んだ他方の面に先端を接触させる第2電流探針と第2測定探針であって、
その第1電流探針から供給した電流を、前記測定対象物内を通って第2電流探針から戻るように電流を流し、第1測定探針と第2測定探針とによって前記表面変化部分を挟んだ位置の電位差を測定値として得て、当該測定値と前記検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めることを特徴とする非破壊測定方法。
【請求項3】
請求項1に記載する非破壊測定方法において、
前記第1センサは、前記表面変化部分の表層に渦電流を生じさせる励磁コイルであり、前記第2センサは、前記表面変化部分の表層に形成される渦電流を検出する検出コイルであって、
その励磁コイルに交流電流を流し、前記測定対象物の表面変化部分に形成される渦電流によって検出コイルから電流値を測定値として得て、当該測定値と前記検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めることを特徴とする非破壊測定方法。
【請求項4】
測定対象物に存在する隣り合う異なった表面間の表面変化部分について、当該測定対象物の焼入深さを測定する非破壊測定装置であり、
前記表面変化部分を挟んだ2つの面に対して配置する第1センサ及第2センサと、その第1センサと第2センサとの間で電気的又は電磁気的な処理を行わせて電気的出力を得る処理手段とを有し、
前記処理手段は、前記測定対象物に存在する一又は二以上の表面変化部分の形状に応じて、焼入深さと前記電気的出力である測定値との相関関係を示す検量線データを記憶したものであり、測定値と検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めるものであることを特徴とする非破壊測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載する非破壊測定装置において、
前記第1センサは、前記表面変化部分を挟んだ一方の面に先端を接触させる第1電流探針と第1測定探針であり、前記第2センサは、前記表面変化部分を挟んだ他方の面に先端を接触させる第2電流探針と第2測定探針であって、
前記処理手段は、第1電流探針から前記測定対象物内を通って第2電流探針から戻るように電流を流し、第1測定探針と第2測定探針とによって前記表面変化部分を挟んだ位置の電位差を測定値として得て、当該測定値と前記検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めるようにしたものであることを特徴とする非破壊測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載する非破壊測定装置において、
前記第1センサ又は第2センサを構成する電流探針及び測定探針に当該探針の移動を案内するカバーを有し、前記測定対象物の表面に押しつけられた前記全探針が、その先端を一直線上に位置させるように接触させるものであることを特徴とする非破壊測定装置。
【請求項7】
請求項4に記載する非破壊測定装置において、
前記第1センサは、前記表面変化部分の表層に渦電流を生じさせる励磁コイルであり、前記第2センサは、前記表面変化部分の表層に形成される渦電流を検出する検出コイルであって、
前記処理手段は、その励磁コイルに交流電流を流し、前記測定対象物の表面変化部分に形成される渦電流によって検出コイルから電流値を測定値として得て、当該測定値と前記検量線データとを比較して前記表面変化部分について焼入深さを求めるようにしたものであることを特徴とする非破壊測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−47664(P2009−47664A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216601(P2007−216601)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(591011775)電子磁気工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】