説明

非線形劣化を補償する方法および装置

【課題】光伝送システムの非線形劣化を精度よく計算して補償する。
【解決手段】非線形劣化補償方法は、異なるサンプリング時刻における入力信号のサンプリングを複数回行うことで得られる複数セットのサンプリングされた信号に基づいて、非線形劣化の量を表す付加パラメータを決定し、入力信号からその付加パラメータを引き算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非線形劣化を補償する方法および装置に係わり、例えば、偏波コヒーレント光通信システムにおける非線形劣化を補償または抑制する技術に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
自己位相変調(SPM:self-phase modulation)またはチャネル内非線形性に起因する位相雑音および波形劣化は、長距離伝送光通信システムの主要なコスト要因の1つである。コヒーレント光通信システムにおいては、自己位相変調の非線形劣化を補償するために、コヒーレント受信器のデジタル逆伝搬部(BP:back-propagation)を利用することがある。また、光ファイバ伝送リンクによる非線形劣化を相殺するために、予め補償した光信号を送信するように、送信器で逆伝搬法を利用してもよい。
【0003】
図1は、逆伝搬技術を利用する受信器のブロック図を示す。図1に示すように、逆伝搬技術(または、誤差逆伝搬法)を利用する受信器においては、逆伝搬部は、フロントエンドで処理された信号に対して逆伝搬処理を行う。逆伝搬部は、例えば非線形補償のために使用されるので、以下では、非線形劣化補償装置と呼ぶことがある。
【0004】
受信器は、通常、直列に接続された複数の逆伝搬部を有する。図1に「×M」と表記されているが、これは、受信器がM段の逆伝搬部を有することを表す。各段の逆伝搬部は、図1に示すように、波長分散補償器(CDC:chromatic dispersion compensator)および非線形補償器(NLC:nonlinear compensator)を含む。波長分散補償器は、線形劣化、すなわち波長分散劣化を補償する。非線形補償器は、非線形劣化、すなわち自己位相変調劣化を補償する。図1に示す受信器内の等化、偏波分離、周波数オフセット補償、位相再生、データ再生のための他の要素は、公知の技術で実現可能あり、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されている。なお、特許文献1、2に記載されている内容は、参照により、ここに記載されているのと同等に、本件出願の中に取り込まれるものとする。
【0005】
図2は、非線形補償器の構成を示す。図2に示すように、非線形補償器(NLC)は、2つのユニットを有する。一方は、非線形劣化計算器であり、他方は、非線形劣化除去器である。非線形劣化計算器は、様々な非線形劣化を計算するために使用される。非線形劣化除去器は、非線形劣化計算器の出力を利用して、信号中の非線形劣化を除去する。
【0006】
図3は、従来の非線形補償器における非線形劣化計算器の構成を示す。この構成では、非線形劣化を表す評価値として、信号の瞬時パワーの和が使用される。信号の瞬時パワーの和は、図3では、以下で表記されている。

【0007】
図4は、従来の非線形補償器における非線形劣化除去器の構成を示す。この構成では、図3に示す非線形劣化計算器により計算された非線形劣化

が、指数形式に演算された後、信号のX偏波状態およびY偏波状態にそれぞれ乗算され、非線形劣化が除去される。このように、非線形劣化を除去するために最後に乗算演算が行われるので、

は乗算パラメータと呼ばれることがある。
【0008】
図5は、改良された従来の非線形劣化計算器の構成を示す。この構成では、信号の瞬時パワーの和が、加重平均の後に、非線形劣化を表す評価値として使用される。この非線形劣化計算器によって計算された非線形劣化も、図4と類似の非線形除去器によって除去される。
【0009】
なお、関連する技術として、下記の非特許文献1〜5が知られている。非特許文献1〜5に記載されている内容は、参照により、ここに記載されているのと同等に、本件出願の中に取り込まれるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許出願200710196347.8
【特許文献2】中国特許出願200710188795.3
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Ezra Ip, JLT, vol 26, no 20, pp 3416 (2008)
【非特許文献2】Shoichiro Oda, OFC2009, paper OThR6
【非特許文献3】X. Wei, Opt. Lett., vol 31, no 17, pp 2544 (2006)
【非特許文献4】A. Mecozzi, PTL, vol 12, no 4, pp 392 (2000)
【非特許文献5】Lei Li, OFC2011, paper OWW3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した従来の逆伝搬方法は、非線形劣化を精度よく除去できず、また、非常に多くの段数を必要とする。このため、偏波多重光通信システムにおいて実用化することが困難であった。
【0013】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点の少なくとも1つを解決または緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様の非線形劣化補償方法は、異なるサンプリング時刻における入力信号のサンプリングを複数回行うことで得られる複数セットのサンプリングされた信号に基づいて、非線形劣化の量を表す付加パラメータを決定し、前記入力信号から前記付加パラメータを引き算する。
【0015】
本発明の1つの態様の非線形劣化補償装置は、異なるサンプリング時刻における入力信号のサンプリングを複数回行うことで得られる複数セットのサンプリングされた信号に基づいて、非線形劣化の量を表す付加パラメータを計算する付加パラメータ計算部と、前記入力信号から前記付加パラメータを引き算する引き算部と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
上述の態様によれば、光伝送システムの非線形劣化を精度よく計算して補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】逆伝搬技術を利用する受信器のブロック図である。
【図2】非線形補償器(NLC)の構成を示す図である。
【図3】従来の非線形補償器における非線形劣化計算器の構成を示す図である。
【図4】従来の非線形補償器における非線形劣化除去器の構成を示す図である。
【図5】改良された従来の非線形劣化計算器の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態の非線形補償器の構成を示すブロック図である。
【図7】実施形態の付加パラメータ計算部の構成を示す図である。
【図8】実施形態の付加パラメータ計算部の計算を示すフローチャートである。
【図9】他の実施形態の付加パラメータ計算部の計算を示すフローチャートである。
【図10】さらに他の実施形態の付加パラメータ計算部の計算を示すフローチャートである。
【図11】実施形態の非線形補償器を使用する逆伝搬部の構成を示す図である。
【図12】他の実施形態の逆伝搬部の構成を示す図である。
【図13】実施形態の逆伝搬部を含む送信器の構成を示す図である。
【図14】実施形態の非線形補償方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら記載する。ただし、図面および以下の記載は、説明のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0019】
本発明によって提供される非線形劣化計算方法および非線形劣化除去方法は、特に限定されるものではないが、mPSK、mQAM、mAPSKなどの様々な変調方式、サブキャリア多重、OFDM技術に適用可能である。
【0020】
図6は、本発明の実施形態の非線形補償器の構成を示すブロック図である。図6に示すように、本発明の実施形態の非線形補償器(または、非線形劣化補償装置)600は、付加パラメータ計算部601、遅延部602、引き算部603を有する。
【0021】
付加パラメータ計算部601は、入力信号についての複数のサンプリング信号を使用して付加パラメータを決定する。遅延部602は、入力信号を遅延させる。引き算部603は、遅延入力信号から付加パラメータを差し引く。
【0022】
次に、付加パラメータ計算部601について記載する。図7は、実施形態の付加パラメータ計算部の構成を示す。
【0023】
この実施形態の付加パラメータ計算部601は、サンプリング部701、第1の非線形劣化計算部702、第2の非線形劣化計算部703、第3の非線形劣化計算部704、第4の非線形劣化計算部705、第1の加算器(第1の付加パラメータ計算部)706、第2の加算器(第2の付加パラメータ計算部)を有する。
【0024】
この実施形態によれば、サンプリング部701は、第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを取得すると共に、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを取得する。第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルである。第1の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルである。第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルである。第2の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルである。第1の時間と第2の時間との間には、所定の関係が存在する。
【0025】
第1の非線形劣化計算部702は、第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0026】
第2の非線形劣化計算部703は、第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプル、および第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0027】
第3の非線形劣化計算部704は、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0028】
第4の非線形劣化計算部705は、第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプル、および第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0029】
1つの実施形態においては、サンプリング部701は、時間変数t1に応じて変化する時刻において2つの信号グループを収集する。第1の非線形劣化計算部702は、下式に従って、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0030】
【数1】

【0031】
*は、共役を表す。h(t)は、リンクの状況に応じて予め計算可能な重み係数を表す。この重み係数は、例えば、A. Mecozzi, PTL, vol 12, no 4, pp 392 (2000)、またはX. Wei, Opt. Lett., vol 31, no 17, pp 2544 (2006) に記載されている方法で計算してもよい。γは、非線形係数を表す。jは、複素数の虚数部を表す。
【0032】
第2の非線形劣化計算部703は、下式に従って、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0033】
【数2】

【0034】
第3の非線形劣化計算部704は、下式に従って、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0035】
【数3】

【0036】
第4の非線形劣化計算部705は、下式に従って、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0037】
【数4】

【0038】
第1の加算器(第1の付加パラメータ計算部)706は、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を加算して、第1の付加パラメータを生成する。同様に、第2の加算器(第2の付加パラメータ計算部)707は、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を加算して、第2の付加パラメータを生成する。
【0039】
図8は、実施形態の付加パラメータ計算部601の計算を示すフローチャートである。図8に示すように、ステップS801において、パラメータの初期値が設定される。このとき、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化ax,1、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化ax,2、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化ay,1、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化ay,2がそれぞれゼロに設定される。
【0040】
ステップS802において、サンプリング量(または、サンプリングの個数)が設定される。サンプリング量は、各グループが必要とするサンプリングの総数に相当する。図8に示す例では、各グループが必要とするサンプリングの総数は、2n+1に設定されている。nは、予め指定された正の整数である。図8に記載されているTは、サンプリング間隔を表す。このことは、ステップS810を参照すれば分かりやすいと思われる。
【0041】
ステップS803において、現在の重み係数h(t)が読み出される。ステップS804において、サンプリング時刻t+t1およびt+2t1における第1の偏波信号Exがそれぞれ読み出される。即ち、第1の偏波信号について2つのサンプルが収集される。ステップS805において、サンプリング時刻t+t1およびt+2t1における第2の偏波信号Eyがそれぞれ読み出される。即ち、第2の偏波信号について2つのサンプルが収集される。なお、ステップS804、S805は、順番に実行してもよいし、並列に実行してもよい。この例では、t1が「第1の時間」に相当し、2t1が「第2の時間」に相当する。
【0042】
ステップS806〜S809において、図8に示す数式の演算がそれぞれ実行される。そして、各演算結果は、それぞれ対応する現在の値に加算される。
【0043】
ステップS810において、予め指定された個数のサンプルが得られているか、あるいは、予め指定された個数のサンプルについて計算が実行されたかが判定される。この判定が「No」であれば、ステップS811において次のサンプリング時刻が設定され、処理はステップS803に戻る。
【0044】
上記判定が「Yes」であれば、ステップS812において、計算された第1の非線形位相劣化(ax,1)に、計算された第1の非線形クロストーク(ax,2)が加算される。この結果、第1偏波付加パラメータが得られる。ステップS813において、計算された第2の非線形位相劣化(ay,1)に、計算された第2の非線形クロストーク(ay,2)が加算される。この結果、第2偏波付加パラメータが得られる。なお、ここでは、ステップS806、S807、S808、S809における計算結果を、それぞれ第1の非線形位相劣化(ax,1)、第1の非線形クロストーク(ax,2)、第2の非線形位相劣化(ay,1)、第2の非線形クロストーク(ay,2)と呼んでいる。
【0045】
このように、図8に示す実施例では、ステップS803〜S811の処理を1回実行する工程において、第1の時間に対応するサンプリング時刻(すなわち、t+t1)にサンプル、および第2の時間に対応するサンプリング時刻(すなわち、t+2t1)にサンプルが取得される。ここで、ステップS803〜S811の処理は、t1を変化させながら2n+1回実行される。したがって、図8に示す実施例では、各偏波について、第1の時間に係わる2n+1個のサンプル、および第2の時間に係わる2n+1個のサンプルが取得される。そして、これらのサンプルを利用して付加パラメータが計算される。
【0046】
この実施形態では、ステップS804、S805に示すように、第2の時間は、第1の時間の2倍である。ただし、第1の時間と第2の時間との間の関係は、この例に限定されるものではない。また、第1の時間と第2の時間との間に所定の関係が存在するので、時間変数は1つであってもよい。
【0047】
他の実施形態において、サンプリング部701は、時間変数t1に応じて変化する時刻において2つの信号グループを収集する。また、サンプリング部701は、現在の第1の偏波状態の信号および第2の偏波状態の信号も取得する。
【0048】
第1の非線形劣化計算部702は、下式に従って、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0049】
【数5】

【0050】
第2の非線形劣化計算部703は、下式に従って、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0051】
【数6】

【0052】
第3の非線形劣化計算部704は、下式に従って、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0053】
【数7】

【0054】
第4の非線形劣化計算部705は、下式に従って、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0055】
【数8】

【0056】
第1の加算器(第1の付加パラメータ計算部)706は、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を加算して、第1の付加パラメータを生成する。同様に、第2の加算器(第2の付加パラメータ計算部)707は、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を加算して、第2の付加パラメータを生成する。
【0057】
図9は、他の実施形態の付加パラメータ計算部601の計算を示すフローチャートである。図9に示すように、ステップS901において、パラメータの初期値が設定される。このとき、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化ax,1、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化ax,2、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化ay,1、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化ay,2がそれぞれゼロに設定される。
【0058】
ステップS902において、サンプリング量が設定される。サンプリング量は、各グループが必要とするサンプリングの総数に相当する。図9に示す例では、各グループが必要とするサンプリングの総数は、2n+1に設定されている。nは、予め指定された正の整数である。図9に記載されているTは、サンプリング間隔を表す。このことは、ステップS910を参照すれば分かりやすいと思われる。
【0059】
ステップS903において、現在の重み係数h(t1)が読み出される。ステップS904において、サンプリング時刻t+t1およびt−t1における第1の偏波信号Exがそれぞれ読み出される。また、ステップS905において、サンプリング時刻t+t1およびt−t1における第2の偏波信号Eyがそれぞれ読み出される。なお、ステップS904、S905は、順番に実行してもよいし、並列に実行してもよい。また。この実施例では、t1が「第1の時間」に相当し、−t1が「第2の時間」に相当する。
【0060】
ステップS906〜S909において、図9に示す数式の演算がそれぞれ実行される。そして、各演算結果は、それぞれ対応する現在の値に加算される。
【0061】
ステップS910において、予め指定された個数のサンプルが得られているか、あるいは、予め指定された個数のサンプルについて計算が実行されたかが判定される。この判定が「No」であれば、ステップS911において次のサンプリング時刻が設定され、処理はステップS903に戻る。
【0062】
ステップS910の判定が「Yes」であれば、ステップS912において、計算された非線形劣化(ax,1)に、計算された非線形劣化(ax,2)が加算される。これにより、第1偏波付加パラメータが得られる。同様に、ステップS913において、計算された非線形劣化(ay,1)に、計算された非線形劣化(ay,2)が加算される。これにより、第2偏波付加パラメータが得られる。
【0063】
この実施形態によれば、第1の時間および第2の時間は、対称の関係を有する。すなわち、第2の時間は、第1の時間に対して「−1」を掛けることにより得られる。
【0064】
さらに他の実施形態では、サンプリング部701は、第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを取得すると共に、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを取得する。第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルである。第1の偏波状態における複数の第2の間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルである。第1の偏波状態における複数の第3の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間と第2の時間との和に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルである。同様に、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルである。第2の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルである。第2の偏波状態における複数の第3の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間と第2の時間との和に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルである。なお、第1の時間と第2の時間との間には、所定の関係があってもよいし、無くてもよい。すなわち、第1の時間および第2の時間は、互いに独立していてもよい。また、第1の時間に基づくサンプリング数および第2の時間に基づくサンプリング数は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0065】
第1の非線形劣化計算部702は、第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0066】
第2の非線形劣化計算部703は、第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプル、および第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0067】
第3の非線形劣化計算部704は、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0068】
第4の非線形劣化計算部705は、第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプル、および第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0069】
この実施形態では、第1の非線形劣化計算部702は、下式に従って、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0070】
【数9】

【0071】
第2の非線形劣化計算部703は、下式に従って、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0072】
【数10】

【0073】
第3の非線形劣化計算部704は、下式に従って、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する。
【0074】
【数11】

【0075】
第4の非線形劣化計算部705は、下式に従って、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算する。
【0076】
【数12】

【0077】
第1の加算器(第1の付加パラメータ計算部)706は、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を加算して、第1の付加パラメータを生成する。同様に、第2の加算器(第2の付加パラメータ計算部)707は、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を加算して、第2の付加パラメータを生成する。
【0078】
図10は、上述したさらに他の実施形態の付加パラメータ計算部601の計算を示すフローチャートである。図10に示すように、ステップS1001において、パラメータの初期値が設定される。このとき、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化ax,1、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化ax,2、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化ay,1、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化ay,2がそれぞれゼロに設定される。
【0079】
ステップS1002において、サンプリング量が設定される。サンプリング量は、各グループが必要とするサンプリングの総数に相当する。図10に示す実施例においては、各グループが必要とするサンプリングの総数として、時間t1に対して2n1+1が設定され、時間t2に対して2n2+1が設定されている。n1およびn2は、それぞれ予め指定された正の整数である。また、n1およびn2は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。図10に記載されているTは、サンプリング間隔を表す。このことは、ステップS1010〜S1014を参照すれば分かりやすいと思われる。
【0080】
ステップS1003において、現在の重み係数h(t1,t2)が読み出される。ステップS1004において、サンプリング時刻t+t1、t+t2、t+t1+t2における第1の偏波信号Exがそれぞれ読み出される。また、ステップS1005において、サンプリング時刻t+t1、t+t2、t+t1+t2における第2の偏波信号Eyがそれぞれ読み出される。なお、ステップS1004、S1005は、順番に実行してもよいし、並列に実行してもよい。また、この実施例では、t1が「第1の時間」に相当し、t2が「第2の時間」に相当する。
【0081】
ステップS1006〜S1009において、図10に示す数式の演算がそれぞれ実行される。そして、各演算結果は、それぞれ対応する現在の値に加算される。
【0082】
ステップS1010において、予め指定された個数(2n2+1)の第2の時間サンプルが得られているか、あるいは、予め指定された個数(2n2+1)の第2の時間サンプルについて計算が実行されたかが判定される。この判定が「No」であれば、ステップS1011において、第2の時間サンプルのための次のサンプリング時刻が設定され、処理はステップS1003に戻る。
【0083】
ステップS1010の判定が「Yes」であれば、ステップS1012において、予め指定された個数(2n1+1)の第1の時間サンプルが得られているか、あるいは、予め指定された個数(2n1+1)の第1の時間サンプルについて計算が実行されたかが判定される。ステップS1012の判定が「No」であれば、ステップS1013において、第2の時間サンプルの数がゼロにリセットされる。また、ステップS1014において、第1の時間サンプルの数がTだけカウントアップされる。すなわち、第1の時間サンプルのためのサンプリング時刻がシフトする。そして、処理はステップS1003に戻る。
【0084】
ステップS1012の判定が「Yes」であれば、ステップS1015において、計算された非線形劣化(ax,1)に、計算された非線形劣化(ax,2)が加算される。これにより、第1偏波付加パラメータが得られる。同様に、ステップS1016において、計算された非線形劣化(ay,1)に、計算された非線形劣化(ay,2)が加算される。これにより、第2偏波付加パラメータが得られる。
【0085】
なお、図8〜図10に示すフローチャートは、説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。例えば、上述のサンプリングおよび計算は、同時に実行してもよい。また、サンプリングによって必要なサンプルをすべて収集した後に、対応する計算を実行してもよい。さらに、各フローチャートにおいて順番に並べられているステップの処理は、並列に実行してもよいし、他の順序で実行してもよい。
【0086】
図11は、上述の実施形態の非線形補償器(NLC)を使用する逆伝搬部の構成を示す図である。図11に示す波長分散補償器(CDC)は、例えば、有限インパルス応答(FIR)フィルタで実現される。ただし、波長分散補償器は、他のフィルタで実現してもよい。また、遅延器の遅延時間は、対応する計算部の計算時間と一致する。なお、図11に記載されている計算式は、一例であって、上述した他の計算式を利用して付加パラメータを得るようにしてもよい。
【0087】
図12は、他の実施形態の逆伝搬部の構成を示す図である。図12に示す構成は、1つの偏波に適用可能である。この場合、付加パラメータ計算部601は、図12に記載の計算式を利用して位相劣化を計算することができる。ただし、付加パラメータ計算部601は、他の計算式を利用して位相劣化を計算してもよい。
【0088】
非線形劣化計算器は、様々な非線形劣化を測定するために使用できる。また、非線形劣化計算器の出力(すなわち、計算結果)は、例えば、非線形劣化除去器に与えられるが、他の目的に使用されてもよい。例えば、非線形劣化計算器の出力は、伝送システムの状態をモニタするために使用してもよい。或いは、非線形劣化計算器の出力は、非線形効果の影響をシミュレーションするために、伝送システムのためのシミュレーションキットにおいて使用されてもよい。
【0089】
実施形態の逆伝搬部は、送信器において使用してもよい。図13は、逆伝搬部が使用される送信器において、逆伝搬部の配置を示している。
【0090】
図13に示す送信器は、レーザ光源、情報エンコーダ、逆伝搬部、ドライバ、変調器を有する。レーザ光源は、キャリア光を生成する。情報エンコーダは、送信データを符号化して出力する。逆伝搬部は、波長分散補償器(CDC)および非線形補償器(NLC)を含み、情報エンコーダから出力される符号化データに対して上述の処理を実行する。すなわち、非線形劣化が除去された符号化データが生成される。ドライバは、逆伝搬部によって非線形劣化が除去された符号化データから駆動信号を生成する。変調器は、ドライバから出力される駆動信号でキャリア光を変調して変調光信号を生成する。
【0091】
図14は、本発明の実施形態の非線形補償方法を示すフローチャートである。図14に示す例では、ステップS1401において、付加パラメータが計算される。ステップS1402において、入力信号を遅延させる。なお、ステップS1402の遅延時間は、ステップS1401の計算時間に相当する。ステップS1403において、遅延入力信号から付加パラメータを引き算する。なお、ステップS1401〜S1403についての詳しい処理は、上述した装置についての記載を参照すれば理解できると思われる。
【0092】
上述した本発明の実施形態において、方法およびその方法の各ステップについての記載は、装置および装置内の各部分の理解に役立つと思われる。また、装置および装置内の各部分についての記載は、方法およびその方法の各ステップの理解に役立つと思われる。
【0093】
本発明の実施形態の装置および方法は、例えば、ハードウェアによって、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せで実現される。本発明は、論理要素によって実行されたときに、その論理要素に上述の装置またはその一部を実現させる、あるいはその論理要素に上述の方法またはそのステップを実現させる、コンピュータ実行可能なプログラムに係わる。また、本発明は、そのようなプログラムを格納する記録媒体にも係わる。記録媒体は、たとえば、ハードディスク、磁気ディスク、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ、磁気光ディスク、メモリカード、ロッドメモリなどである。
【0094】
付加パラメータ計算部601、遅延部602、引き算部603は、上述した実施形態の動作を記述したプログラムをプロセッサで実行することによって実現される。この場合、プロセッサは、記録媒体に格納されているプログラムを実行する。ただし、付加パラメータ計算部601、遅延部602、引き算部603の一部は、ハードウェアで実現してもよい。
【0095】
以上、いくつかの実施形態に基づいて本発明について説明したが、上述の記載は例示的なものであって、本発明を限定するものではない。本発明の技術分野の当業者であれば、本発明の精神に基づく様々な変更、変形を提供することが可能であり、それらの変更、変形も本発明の範囲に属する。
【0096】
上述の実施形態において、非線形劣化を補償するための、時間領域偏波多重処理方法および装置が提供される。本発明の実施形態によれば、各逆伝搬部において付加パラメータを計算して入力信号から引き算するので、より少ない段数の逆伝搬部を用いて従来技術と同等の補償性能を実現することができ、装置の構成および/または方法の処理の複雑さが低くなる。
【0097】
「有する/有している」「含む/含んでいる」という語は、この明細書においては、特徴、全体構成、ステップ、要素などが存在することを意味し、1または複数の他の特徴、全体構成、ステップ、要素などの存在または付加を排除するものではない。
【0098】
「補償」は、完全に補償することに限定されず、影響を小さくすることを含む。たとえば、非線形劣化補償は、非線形劣化の影響を小さくする処理を含む。「除去」は、完全に除去することに限定されず、抑制することを含む。例えば、非線形劣化の除去は、非線形劣化を抑制する処理を含む。
【符号の説明】
【0099】
600 非線形補償器
601 付加パラメータ計算部
602 遅延部
603 引き算部
701 サンプリング部
702 第1の非線形劣化計算部
703 第2の非線形劣化計算部
704 第3の非線形劣化計算部
705 第4の非線形劣化計算部
706 第1の付加パラメータ計算部(第1の加算器)
707 第2の付加パラメータ計算部(第2の加算器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるサンプリング時刻における入力信号のサンプリングを複数回行うことで得られる複数セットのサンプリングされた信号に基づいて、非線形劣化の量を表す付加パラメータを決定し、
前記入力信号から前記付加パラメータを引き算する
ことを特徴とする非線形劣化補償方法。
【請求項2】
前記付加パラメータを決定する工程において、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを取得すると共に、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを取得し、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第1の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプル、および、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算し、
第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプル、および、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算し、
第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を加算し、
第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を加算する
ことを特徴とする請求項1に記載の非線形劣化補償方法。
【請求項3】
変数t1に応じて変化する時刻におけるサンプリングで複数の信号を収集し、
【数13】

に従って、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
【数14】

に従って、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算し、
【数15】

に従って、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
【数16】

に従って、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算し、
*は、共役を表し、
h(t)は、重み係数を表し、
Ex(t)は、第1の偏波状態での時刻tにおける信号を表し、
Ey(t)は、第2の偏波状態での時刻tにおける信号を表し、
jは、複素数の虚数部を表し、
γは、非線形係数を表す
ことを特徴とする請求項2に記載の非線形劣化補償方法。
【請求項4】
変数t1に応じて変化する時刻におけるサンプリングで複数の信号を収集し、
【数17】

に従って、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
【数18】

に従って、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算し、
【数19】

に従って、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
【数20】

に従って、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算し、
*は、共役を表し、
h(t)は、重み係数を表し、
Ex(t)は、第1の偏波状態での時刻tにおける信号を表し、
Ey(t)は、第2の偏波状態での時刻tにおける信号を表し、
jは、複素数の虚数部を表し、
γは、非線形係数を表す
ことを特徴とする請求項2に記載の非線形劣化補償方法。
【請求項5】
前記付加パラメータを決定する工程において、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを取得すると共に、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、第3の時間サンプルを取得し、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第1の偏波状態における複数の第2の間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第1の偏波状態における複数の第3の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間と第2の時間との和に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第3の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間と第2の時間との和に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプル、および第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算し、
第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプル、および第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算し、
第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を加算し、
第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を加算する
ことを特徴とする請求項1に記載の非線形劣化補償方法。
【請求項6】
変数t1に応じて変化する時刻におけるサンプリング、変数t2に応じて変化する時刻におけるサンプリング、変数t1と変数t2との和に応じて変化する時刻におけるサンプリングで、それぞれ複数の信号を収集し、
【数21】

に従って、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
【数22】

に従って、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算し、
【数23】

に従って、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
【数24】

に従って、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算し、
*は、共役を表し、
h(t)は、重み係数を表し、
Ex(t)は、第1の偏波状態での時刻tにおける信号を表し、
Ey(t)は、第2の偏波状態での時刻tにおける信号を表し、
jは、複素数の虚数部を表し、
γは、非線形係数を表す
ことを特徴とする請求項5に記載の非線形劣化補償方法。
【請求項7】
異なるサンプリング時刻における入力信号のサンプリングを複数回行うことで得られる複数セットのサンプリングされた信号に基づいて、非線形劣化の量を表す付加パラメータを計算する付加パラメータ計算部と、
前記入力信号から前記付加パラメータを引き算する引き算部と、
を有することを特徴とする非線形劣化補償装置。
【請求項8】
前記付加パラメータ計算部は、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを取得すると共に、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを取得するサンプリング部を有し、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第1の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、
前記付加パラメータ計算部は、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する第1の計算部と、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプル、および、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算する第2の計算部と、
第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する第3の計算部と、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプル、および、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルおよび複数の第2の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算する第4の計算部と、
第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を加算する第1の加算部と、
第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を加算する第2の加算部、をさらに有する
ことを特徴とする請求項7に記載の非線形劣化補償装置。
【請求項9】
前記付加パラメータ計算部は、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを取得すると共に、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、第3の時間サンプルを取得するサンプリング部を有し、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第1の偏波状態における複数の第2の間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第1の偏波状態における複数の第3の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間と第2の時間との和に応じて変化する第1の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第2の時間サンプルは、サンプリング時刻が第2の時間に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、第2の偏波状態における複数の第3の時間サンプルは、サンプリング時刻が第1の時間と第2の時間との和に応じて変化する第2の偏波状態における信号のサンプルであり、
前記付加パラメータ計算部は、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する第1の計算部と、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプル、および第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算する第2の計算部と、
第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算する第3の計算部と、
第1の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプル、および第2の偏波状態における複数の第1の時間サンプル、複数の第2の時間サンプル、複数の第3の時間サンプルを処理することによって、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算する第4の計算部と、
第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を加算する第1の加算部と、
第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化に、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を加算する第2の加算部、をさらに有する
ことを特徴とする請求項7に記載の非線形劣化補償装置。
【請求項10】
前記サンプリング部は、変数t1に応じて変化する時刻におけるサンプリング、変数t2に応じて変化する時刻におけるサンプリング、変数t1と変数t2との和に応じて変化する時刻におけるサンプリングで、それぞれ複数の信号を収集し、
前記第1の計算部は、
【数25】

に従って、第1の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
前記第2の計算部は、
【数26】

に従って、第2の偏波状態から第1の偏波状態への非線形劣化を計算し、
前記第3の計算部は、
【数27】

に従って、第2の偏波状態それ自体に対する非線形劣化を計算し、
前記第4の計算部は、
【数28】

に従って、第1の偏波状態から第2の偏波状態への非線形劣化を計算し、
*は、共役を表し、
h(t)は、重み係数を表し、
Ex(t)は、第1の偏波状態での時刻tにおける信号を表し、
Ey(t)は、第2の偏波状態での時刻tにおける信号を表し、
jは、複素数の虚数部を表し、
γは、非線形係数を表す
ことを特徴とする請求項9に記載の非線形劣化補償装置。
【請求項11】
前記付加パラメータを算出するために要する時間だけ前記入力信号を遅延させ、
前記遅延入力信号から前記付加パラメータを引き算する
ことを特徴とする請求項1に記載の非線形劣化補償方法。
【請求項12】
前記第1の時間と前記第2の時間との間には所定の関係が存在する
ことを特徴とする請求項2に記載の非線形劣化補償方法。
【請求項13】
前記第1の時間および前記第2の時間は互いに独立している
ことを特徴とする請求項5に記載の非線形劣化補償方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−186806(P2012−186806A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48641(P2012−48641)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】