説明

面光源装置および表示用照明器具

【課題】比較的大きい電力を半導体発光素子に投入することを可能にし使用可能な環境の制約を少なくしながらも半導体発光素子のジャンクション温度の上昇を抑制する。
【解決手段】面光源装置Aは、基板12に実装された複数個の発光ダイオード11と、基板12を保持し基板12と熱結合される基板ホルダ13と、周面の1つであって発光ダイオード11からの光が入射される入射面20aと周面に交差する面であって光を出射する出射面20bとを有する導光板20と、導光板20における出射面20bの裏面に対向して配設された金属板からなる背板30とを備える。基板ホルダ13は、背板30の厚み方向の一面の一端部において重複して熱結合する後片13cを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光源である半導体発光素子に導光板を組み合わせて構成される光源装置であって面光源として用いることができる面光源装置および面光源装置を光源として用いる表示用照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のテールランプ、誘導灯や広告灯のような表示用照明器具の光源として面光源装置を用いることが考えられている。
【0003】
たとえば、誘導灯の構成として、透光性を有する表示パネルが発光源である冷陰極ランプから直接的あるいは間接的に光を受ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、冷陰極ランプからの光を表示パネルに導入する構成として、導光板により面光源を構成することは明記されていないが、表示パネルの上方に冷陰極ランプが配置された構成から見て、導光板を用いて発光領域を面状に形成した光源装置を想定していると考えられる。
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術では、点灯ユニットから高周波電力を供給して冷陰極ランプを高周波点灯させているから、点灯ユニットと光源とを接続する給電線を短くしなければ、給電線の浮遊容量の影響により光出力が低下するという問題がある。また、冷陰極ランプの始動には高電圧が必要であるから、冷陰極ランプに異常が生じたときには回路全体を停止させることが必要である。さらに、点灯ユニットや冷陰極ランプからノイズが生じているから、点灯ユニットなどの回路の点検を行うときにリモコン装置を用いて行おうとすれば、誤動作対策が必要である。
【0005】
この種の問題を解決する構成として、特許文献2の図21、図25に記載されているように、発光ダイオードを発光源に用いる構成が考えられる。発光源が発光ダイオードであれば、直流で点灯させることができる上に始動のための高電圧も不要であるから、上述の問題を解決することができる。
【0006】
特許文献2に記載の構成では、発光源として基板に実装した複数個の発光ダイオードを用い、正面形状が矩形状である導光板の4周面のうちの1面を入射面として発光ダイオードからの光を入射し、導光板の厚み方向の一面である出射面から光を出射させる構成の面光源装置を実現している。
【0007】
発光源に用いることができる発光ダイオードは、特許文献3で採用されている砲弾型と特許文献4で採用されている表面実装型とに大別することができる。砲弾型の発光ダイオードは表面実装型の発光ダイオードに比較すると投入電力に対する全光束が少ないから、表面実装型の発光ダイオードを採用するほうが、発光ダイオードの実装個数が少なくなり、製造コストを低減することができる。とくに、最近では表面実装型の発光ダイオードとして高光出力のものが提供されているから、面光源装置からの光出力に対する発光ダイオードの実装個数をより低減することが可能になる。
【特許文献1】特開2001−14909号公報
【特許文献2】特開2004−39289号公報
【特許文献3】特開平8−160892号公報
【特許文献4】特開2008−98190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、発光ダイオードの使用可能な最大温度は、PN接合部の温度であるジャンクション温度の上限値(最大ジャンクション温度)により定められている。つまり、最大ジャンクション温度を超えないように使用温度を制限する必要がある。一方、ジャンクション温度を低く保つ工夫をすれば、輝度低下や点灯不能に至るまでの寿命時間を延ばすことができ、発光源として高い信頼性が得られることになる。
【0009】
ジャンクション温度を下げる技術としては、発光ダイオードの投入電力を低減する技術や発光ダイオードの周辺温度を下げるための水冷や空冷などの技術が考えられている。
【0010】
しかしながら、発光ダイオードへの投入電力を低減する技術を採用した場合には、1個当たりの光出力が低下するから実装個数が増加し、製造コストの増加につながるという問題が生じる。一方、周辺温度を下げる技術を採用した場合には、使用可能な環境が制限される上に、面光源装置の全体としての大型化につながるという問題が生じる。
【0011】
上述した問題は、半導体レーザや有機ELのような、発光ダイオード以外の半導体発光素子を発光源に用いる場合にも生じる。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的は、比較的大きい電力を半導体発光素子に投入することを可能にし使用可能な環境の制約を少なくしながらも半導体発光素子のジャンクション温度の上昇を抑制した小型の面光源装置を提供することにあり、さらに面光源装置を用いた表示用照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、基板に実装された複数個の半導体発光素子と、基板を保持し基板と熱結合される基板ホルダと、周面の少なくとも一部を半導体発光素子からの光が入射する入射面とし厚み方向の一面を出射面とする導光板と、導光板の厚み方向の他面を覆う金属板である背板とを備え、基板ホルダは、背板の厚み方向の一面において背板の一部に重複して背板に熱結合される伝熱片を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、基板に実装された複数個の半導体発光素子と、基板を保持し基板と熱結合される基板ホルダと、周面の少なくとも一部を半導体発光素子からの光が入射する入射面とし厚み方向の一面を出射面とする導光板と、導光板の厚み方向の他面を覆う金属板である背板とを備え、背板は基板ホルダと連続一体に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、前記背板において導光板と対向する面に、白色の反射膜が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、基板に実装された複数個の半導体発光素子と、基板を保持し基板と熱結合される基板ホルダと、周面の少なくとも一部を半導体発光素子からの光が入射する入射面とし厚み方向の一面を出射面とする導光板と、基板ホルダとともに導光板の周面を全周に亘って囲む金属製の外枠とを備え、外枠は基板ホルダは外枠と一体に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、基板に実装された複数個の半導体発光素子と、基板を保持し基板と熱結合される基板ホルダと、周面の少なくとも一部を半導体発光素子からの光が入射する入射面とし厚み方向の一面を出射面とする導光板と、基板ホルダとともに導光板の周面を全周に亘って囲む外枠および導光板の厚み方向の他面を覆い外枠の一面を閉塞する背板を一体に有した金属製の箱体とを備え、箱体は基板ホルダと一体に形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、表示用照明器具であって、請求項1〜5の何れか1項に記載の面光源装置と、面光源装置が取り付けられる器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、発光源に半導体発光素子を用いるとともに導光板を用いることにより面発光を行う面光源装置において、半導体発光素子の放熱用の部材として、導光板の背面を覆う背板と導光板の周面を囲む外枠との少なくとも一方を用いることができるように、背板と外枠との少なくとも一方を半導体発光素子と熱結合するから、導光板を用いた面光源装置において実質的な大型化を避けながらも半導体発光素子からの熱を放熱するための放熱面積を大きくとることを可能にし、結果的に、比較的大きい電力を半導体発光素子に投入することを可能にし、しかも使用可能な環境の制約を少なくすることが可能になるという利点がある。
【0020】
請求項1の発明の構成によれば、導光板の厚み方向の一面を覆う背板を半導体発光素子の放熱に用いるから、背板の厚み程度の寸法増加で実質的な大型化を伴うことなく大きな放熱面積を確保することができる。また、導光板の厚み方向の一面を背板で覆うことにより、導光板の背方への漏光を阻止することができ、背板を放熱機能と光学機能とに兼用することが可能になる。しかも、基板ホルダの伝熱片と背板の一部とを重複させているから、基板ホルダと背板との間で熱伝導に関与する部位の断面積を大きくとることができ、基板ホルダと背板とが別体であるにもかかわらず熱伝達を効率よく行うことができる。
【0021】
請求項2の発明の構成によれば、導光板の厚み方向の一面を覆う背板を半導体発光素子の放熱に用いるから、背板の厚み程度の寸法増加で実質的な大型化を伴うことなく大きな放熱面積を確保することができる。また、導光板の厚み方向の一面を背板で覆うことにより、導光板の背方への漏光を阻止することができ、背板を放熱機能と光学機能とに兼用することが可能になる。しかも、基板ホルダと背板とが連続一体に形成されているから、基板ホルダと背板とは1部品として扱うことができ部品点数の削減につながる。
【0022】
請求項3の発明の構成によれば、導光板の背面から漏れ出した光を背板に形成した反射膜で反射することにより導光板に再入射させるから、導光板の背面から漏れ出した光が無駄にならず投入電力に対する光の利用率を高めることになる。また、反射膜が白色であるから、反射膜の表面は拡散反射性を有しており、グレアを生じることがない上に、導光板に再入射させた光の強度に分布を与えることなく導光板の出射面から出射させることができる。
【0023】
請求項4の発明の構成によれば、導光板の周面の全周を囲む基板ホルダおよび外枠を半導体発光素子の放熱に用いるから、外枠が導光板を囲む部位の大きさの程度の寸法増加で実質的な大型化を伴うことなく大きな放熱面積を確保することができる。また、基板ホルダと導光板とにより導光板の周面を全周に亘って囲むから導光板の周面からの漏光を防止し、しかも導光板の周囲を保護することができる。さらに、基板ホルダと外枠とにより導光板を囲んでいるから、基板ホルダと外枠とを表示パネルなどを取り付ける部材として利用することが可能になる。
【0024】
請求項5の発明の構成によれば、導光板の周面の全周を囲む基板ホルダおよび外枠と、導光板の厚み方向の一面を覆う背板とを有した箱体を半導体発光素子の放熱に用いるから、導光板の周囲を囲む箱体による寸法増加を生じる程度であって実質的な大型化を伴うことなく大きな放熱面積を確保することができる。また、導光板の出射面以外を金属製の箱体で囲んでいるから、導光板からの不要な漏光を防止することができる上に、導光板の周囲を保護することができる。さらに、導光板から出射した光は箱体の開口部位から取り出されるから、箱体を表示パネルなどを取り付ける部材として利用することが可能になる。
【0025】
請求項6の構成によれば、上述した請求項1〜5の発明の効果を奏する表示用照明器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(実施形態1)
本実施形態では、図1に示すように、誘導標識を表記した透光性材料からなる表示パネル40を面光源装置Aの発光面に対向して配置することにより、誘導灯を構成する例を示す。面光源装置Aは、発光源としての発光ダイオード(半導体発光素子)11と、発光ダイオード11とともに用いて面発光を行う導光板20とを備える。
【0027】
発光ダイオード11は、表面実装型であって、短冊状の基板12の実装面12aにはんだを用いて実装される。また、発光ダイオード11は、基板12の長手方向に沿って等間隔で1列に配列される。
【0028】
基板12は、基板ホルダ13に保持される。基板ホルダ13は、金属材料により断面コ字状に形成され、基板12の厚み方向において実装面12aの反対面となる一面が当接する取付片13aと、取付片13aの幅方向の各側縁からそれぞれ取付片13aに直交する向きに延設された前片13bおよび後片13cとを備える。基板12は前片13bと後片13cとの間に配置される。したがって、発光ダイオード11からの熱は基板ホルダ13に伝導される。
【0029】
導光板20は、図2に示すように、4つの周面のうちの1面が基板12の実装面12aに対向し、この1面が発光ダイオード11からの光が入射する入射面20aとして機能する。また、導光板20の厚み方向の一面は面発光する出射面20bとして機能する。導光板20の厚み方向の他面は入射面20aからの距離が大きくなるに従って出射面20bとの距離を小さくするように傾斜する反射面20cを備え、全体としてくさび型に形成される。導光板20は、透明なアクリル樹脂ないしポリカーボネイト樹脂のような透光性材料で形成される。
【0030】
基板ホルダ13は、発光ダイオード11からの光が効率よく導光板20の入射面20aに入射するように、反射率の高い銀色の金属材料で形成されるか、基板12を囲む面にメッキまたは塗装により白色の反射膜が形成される。すなわち、基板ホルダ13は、基板12を保持する機能とともに、リフレクタとしての機能を有する。基板ホルダ13において基板12を囲む面の反射率(反射膜を設けた場合には反射膜の反射率)は、70%以上、好ましくは90%以上とする。
【0031】
発光ダイオード11からの光は、導光板20の入射面20aに入射し、出射面20bと反射面20cとの間で全反射を繰り返して導光板20内を伝播され、出射面20bに形成された光拡散部(図示せず)に到達した光は、光拡散部を拡散透過して出射面20bから出射する。光拡散部は、たとえば、出射面20bの一部を粗面に形成するか、出射面20bの一部に微小な球面などを設けることにより形成される。また、光拡散部は、出射面20bの全面に亘って設けられ、出射面20bの全面から光が出射する。したがって、導光板20の出射面20bを面発光させることができる。
【0032】
出射面20bから出射した光は、出射面20bに対向して配設された光学シート21に入射する。光学シート21には、先端が導光板20の出射面20bに当接する断面略三角形状のプリズム21aが、全面に亘って複数列形成される。各プリズム21aは、稜線方向が導光板20の入射面20aと平行になるようにそれぞれ形成される。
【0033】
いずれかのプリズム21aに入射した光は、隣接する他のプリズム21aの壁面で全反射されて光学シート21の表面(プリズム21aが形成された面の反対側の面)から出射する。導光板20の出射面20bから出射された光の進行方向は、光学シート21により出射面20bに垂直な方向に近づけられる。すなわち、光学シート21は、出射面20bに垂直な方向の輝度を高める配光を行う。なお、プリズム21aの断面の形状(略三角形状)を変えることにより、入射面20aおよび出射面20bに垂直な面において、任意の方向の配光を行うことができる。
【0034】
なお、光学シート21におけるプリズム21aを、導光板20の入射面20aに垂直な方向に沿って形成することもできる。この場合、プリズム21aの断面の形状を変えることにより、入射面20aに平行で出射面20bに垂直な面において、任意の方向の配光を行うことができる。
【0035】
光学シート21を挟んで導光板20の反対側には、光学シート21に対向する表示パネル40が配設され、光学シート21で配光された光が表示パネル40に入射する。
【0036】
表示パネル40は、光学シート21に対向する側の面である背面(図における下面)、または、光学シート21から遠い方の面である前面(図における上面)の少なくとも一方の面に、スクリーン印刷やカッティングシート等により図柄が形成される。表示パネル40は、アクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂またはガラスで透明に形成される。ただし、表示パネル40を拡散透過性の材料で形成することもできる。
【0037】
図3に示す表示パネル40の図柄(誘導標識)は、避難口誘導灯に用いられる図柄の例であり、白色と緑色(塗りつぶされた領域)の2色で図柄が形成されている。また、図4に示す表示パネル40の図柄(誘導標識)は、通路誘導灯に用いられる図柄の例であり、白色と緑色(塗りつぶされた領域)の2色で図柄が形成されている。光学シート21で配光された光が表示パネル40を透過することにより、表示パネル40の図柄が視認できる状態になり、誘導を行うことができる。
【0038】
ところで、図1に示した面光源装置Aでは、上述したように、発光ダイオード11には表面実装型のものが用いられるから、発光ダイオード11の熱は基板12に伝わる。また、基板12は、実装面12aの裏面が基板ホルダ13の取付片13aの表面に当接するから、基板ホルダ13は、基板12と熱結合し、基板12に伝わった発光ダイオード11の熱は基板ホルダ13に伝わる。基板ホルダ13に伝わった発光ダイオード11の熱は、基板ホルダ13の表面から放熱される。
【0039】
本実施形態では、導光板20の反射面20cに対向して金属板からなる背板30を配設してあり、図2に示すように、基板ホルダ13の後片13cと背板30の厚み方向の一面(前面)における一端部とを重複させることにより、基板ホルダ13を背板30に熱結合させている。したがって、基板ホルダ13に伝わった発光ダイオード11の熱は、背板30にも伝達され背板30からも放熱される。すなわち、後片13cは背板30に伝熱する伝熱片として機能する。
【0040】
すなわち、発光ダイオード11の熱は、基板ホルダ13と背板30との両方から放熱される。ここに、出射面20bにおいて面発光を行う導光板20は、基板12や発光ダイオード11に比べ大きな部品であり、背板30は、導光板20の反射面20cに対向するから、省スペースで反射面20cに応じた大きな放熱面積を確保することができる。
【0041】
したがって、発光ダイオード11に供給する電力を低下させることなく、また、水冷や空冷のための装置を用いることなく発光ダイオード11のジャンクション温度を低減することができる。発光ダイオード11に供給する電力を低下させる必要がないから、発光ダイオード11の使用個数を増やすことなく必要な光束を確保でき、また、冷却装置などを用いないから、面光源装置Aを様々な環境で使用できるとともに面光源装置Aの大型化を抑制することができる。
【0042】
また、ジャンクション温度を低減できるから、ジャンクション温度が最大ジャンクション温度を超えないように発光ダイオード11を使用することができるとともに、発光ダイオード11の寿命を延ばすことができる。
【0043】
ところで、背板30は、反射率の高い銀色の金属材料で形成され、導光板20の反射面20cから漏れ出た光を反射する。導光板20の反射面20cから漏れ出た光は、背板30で反射されることにより導光板20に戻され、再利用される。背板30の反射率は、たとえば、70%以上、好ましくは90%以上とする。
【0044】
上述のように、背板30を用いて反射面20cから漏れ出た光を反射させて導光板20に戻すから、反射面20cから漏れ出た光を導光板20に戻す部材(従来例における反射シート)を別途設ける必要がなく、部品点数が減ってコストが削減する。
【0045】
また、メッキまたは塗装により背板30の導光板20側の表面に白色の反射膜を形成することもできる。この場合、反射膜により背板30の反射率を高める効果が期待できるとともに、導光板20から白色の光を出射させることができ、表示パネル40における白色の配色が不要になって表示パネル40の印刷工程を低減することができる。
【0046】
ところで、基板12に発光ダイオード11以外の電子部品14を実装する場合は、図5に示すように基板12の実装面12aの裏面側に電子部品14を実装する。あるいはまた、図7に示すように、基板12の実装面12a側に電子部品14を実装することもできる。電子部品14としては、たとえば、発光ダイオード11にサージ電圧が加わらないように各発光ダイオード11にそれぞれ並列に接続される定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)がある。
【0047】
基板12の実装面12aの裏面側に電子部品14を実装する場合は、基板12には、たとえば、両面実装タイプのガラスエポキシ基板(FR4)を用いることができる。また、基板12の実装面12aの裏面側に電子部品14を実装する場合は、基板12は、図6に示すように基板12と基板ホルダ13との間に熱伝導シート15を挟む形で基板ホルダ13に取り付けられ、熱伝導シート15により基板12と基板ホルダ13とが熱結合される。
【0048】
基板12が反ると基板12と基板ホルダ13の取付片13aとの接触面積が小さくなるが、熱伝導シート15を用いることにより、基板12が反っても基板12と基板ホルダ13との間の接触面積が小さくならず、熱伝導効率の低下が抑えられる。
【0049】
同様に、基板ホルダ13の後片13cと背板30との間に熱伝導シート16を挟み、熱伝導シート16により基板ホルダ13と背板30とを熱結合させることもできる。なお、基板12の実装面12aの裏面側に電子部品14を実装しない場合であっても、熱伝導シート15を基板12と基板ホルダ13との間に挟むことができる。
【0050】
また、発光ダイオード11または発光ダイオード11と電子部品14とを基板12の実装面12a側に実装する場合は、図7に示すように、実装面12aの裏面において金属製の伝熱板17を基板12に貼り合わせた合成基板を用いることができる。伝熱板17は金属製であるから、伝熱板17により基板12の反りが抑制され基板12と基板ホルダ13との間の熱伝導効率の低下を抑えることができる。
【0051】
なお、上述した構成例では、光学シート21のプリズム21aを導光板20の出射面20b側に形成する例を示したが、プリズム21aを表示パネル40側に形成することもできる。
【0052】
また、光学シート21と導光板20との間に光拡散シートを配設し、導光板20の出射面20bから出射した光を光拡散シートでさらに拡散させることもできる。
【0053】
さらに、光拡散シートを導光板20と背板30との間に配設したり、2つの光学シート21を導光板20の出射面20b側と反射面20c側との両方に配設したりすることができる。
【0054】
本実施形態では表示パネル40を照明する例を示したが、表示パネル40に代えて液晶パネルを配置し、面光源装置Aを液晶パネルのバックライトとして用いることも可能である。
【0055】
(実施形態2)
本実施形態では、図8に示すように、基板ホルダ13と背板30とが連続一体に形成された構成例を示す。基板ホルダ13と背板30とは、基板ホルダ13の後片13cと背板30とを接続した形で連続一体に形成されている。基板ホルダ13および背板30は、たとえば、金属板を曲げ加工することにより形成することができる。本実施形態では、基板ホルダ13と背板30とが連続一体に形成されているから、実施形態1よりも部品点数を低減することができる。
【0056】
ところで、実施形態1と同様に、導光板20は全体としてくさび型に形成されており、背板30は導光板20の出射面20bと略平行に配設されるから、反射面20cは入射面20aからの距離が大きくなるほど背板30から離れ、反射面20cと背板30との間に隙間が形成される。したがって、導光板20から背方に漏光した光の背板30による反射角度にばらつきが生じる可能性がある。
【0057】
そこで、図9に示すように、背板30と基板ホルダ13との接続部を折曲し、背板30を全面に亘って導光板20の反射面20cに平行に配置することによって、上述した隙間の形成を防止してもよい。この構成では、背板30による反射角度のばらつきを防止することができる。
【0058】
本実施形態の構成では実施形態1と同様に、基板ホルダ13の内面および背板30の表面にメッキまたは塗装により白色の反射膜30cを形成してもよい(図10参照)。他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0059】
(実施形態3)
本実施形態で例示する面光源装置Aは、図11に示すように、背板30に代えて基板ホルダ13と連続一体に形成された外枠31を備えている。
【0060】
外枠31は、導光板20における入射面20aを除く周面を囲むようにコ字状に形成される。したがって、外枠31は、基板ホルダ13とともに、導光板20の周面を全周に亘って囲んでいる。
【0061】
基板ホルダ13および外枠31は、たとえば、金属板の折り曲げ加工により形成することができる。基板ホルダ13および外枠31は、反射率の高い銀色の金属材料で形成されるか、内面にメッキや塗装により反射膜が形成される。基板ホルダ13および外枠31(反射膜が形成される場合は反射膜)の反射率は、たとえば、70%以上、好ましくは90%以上とする。
【0062】
上述したように、本実施形態では、基板ホルダ13と外枠31とは連続一体に形成されるから、基板ホルダ13に伝わった発光ダイオード11の熱は、基板ホルダ13に加えて外枠31でも放熱される。
【0063】
上述したように、導光板20は基板12や発光ダイオード11に比べ大きな部品であり、外枠31は、基板ホルダ13とともに導光板20の周面を全周に亘って囲むから、省スペースで導光板20の周面に応じた大きな放熱面積を確保することができる。また、基板ホルダ13と外枠31とを連続一体に形成することで、部品点数を増加させることなく大きな放熱面積を確保することができる。
【0064】
ところで、本実施形態では、導光板20の反射面20c側には、反射面20cに対向し反射面20cから漏光する光を反射する反射シート22が配設される。すなわち、反射シート22は、背板30における導光板20の反射面20cから漏れ出た光を反射する機能を有する。反射シート22は、反射率の高い材料で形成されるか、または、メッキや塗装により白色の反射膜が形成される。反射シート22の反射率は、70%以上、好ましくは90%以上とする。
【0065】
また、導光板20や表示パネル40などを外枠31に固定することができるから、導光板20や表示パネル40に係合する係合部や、導光板20や表示パネル40を固定するための固定ねじがねじ込まれるねじ込み孔などを外枠31に設けることが可能である。係合部は、たとえば、切欠などで形成することができる。他の構成および動作は、実施形態1と同様である。
【0066】
(実施形態4)
本実施形態で例示する面光源装置Aは、図12に示すように、導光板20’を収容する金属製の箱体32を備えるものである。また、本実施形態では、反射面20c’に複数のプリズム溝20d’が形成された導光板20’を用いている。
【0067】
導光板20’は、図13に示すように、反射面20c’が入射面20a’に略直交し、出射面20b’が入射面20a’から離れるに従って反射面20c’に近づくように傾斜する。
【0068】
プリズム溝20d’は、入射面20a’に沿って入射面20a’の全面に亘って複数形成される。導光板20’内を伝播する光の一部は、伝播される間にプリズム溝20d’の壁面で反射されて出射面20b’から出射する。
【0069】
本実施形態では、導光板20’から出射された光を拡散させて表示パネル40の表面輝度を均一にするために、表示パネル40と導光板20’との間に拡散フィルム23が配設される。また、拡散フィルム23で拡散された光についての配光を行うために、拡散フィルム23と表示パネル40との間にレンズシート24が配設される。
【0070】
なお、実施形態1〜3において、光学シート21(図1参照)に代えて拡散フィルム23およびレンズシート24を用いてもよい。また、導光板20に代えて導光板20’を用いてもよい。
【0071】
導光板20’が収容される箱体32は、基板ホルダ13’とともに導光板20’の周面を全周に亘って囲む外枠31’と、導光板20’の反射面20c’に対向して配置される背板30’とを連続一体に備える。すなわち、箱体32の背板30’は実施形態1において説明した背板30(図1参照)と同様の機能を有し、箱体32の外枠31’は実施形態3において説明した外枠31(図11参照)と同様の機能を有している。言い換えると、箱体32は、基板ホルダ13と枠体31と背板30とを連続一体に形成したことになる。
【0072】
本実施形態では、箱体32は、背板30の機能と外枠31の機能とを併せて備えているから、部品点数を増加させることなく上述した各実施形態に比較してさらに大きな放熱面積を確保することができる。
【0073】
また、実施形態3と同様に、導光板20’や表示パネル40などを固定する係合部やねじ込み孔を箱体32の周壁などに形成することができる。他の構成は実施形態1と同様である。
【0074】
(実施形態5)
本実施形態では、上述した各実施形態の面光源装置Aを用いて誘導灯(表示用照明器具)を構成した例を示す。誘導灯は、停電や災害等が発生した場合の非常時に、避難口などの存在を認識させるためのものであり、非常時に避難口などを容易に認識できる場所に設置するよう消防法により定められている。本実施形態では、ビルなどの天井に設置される例を示す。ただし、これに限るものではなく、通路や部屋の床や壁に設置することもできる。
【0075】
誘導灯は、図14に示すように、面光源装置Aと、天井に取り付けられる器具本体50とを備える。器具本体50は前面が開口し、面光源装置Aは器具本体50の前面に取り付けられる。
【0076】
器具本体50内には、商用電源AC(図15参照)に接続される点灯回路ブロック51と、2次電池52とが収容される。点灯回路ブロック51と発光ダイオード11を実装した基板12とは、コネクタ54a,54bを介して接続される。
【0077】
点灯回路ブロック51は、図15に示すように、商用電源ACにより2次電池52を充電する充電回路51aと、非停電時に商用電源ACから供給される電力により発光ダイオード11を点灯させる常用点灯回路51bと、停電時など商用電源ACからの電力供給が停止すると2次電池52から供給される電力により発光ダイオード11を点灯させる非常用点灯回路51cとを備える。複数個の発光ダイオード11は直列接続されており、常用点灯回路51bと非常用点灯回路51cとに接続される。
【0078】
ところで、実施形態1,2,4に示した面光源装置Aを器具本体50に取り付けた場合、不燃材料である金属からなる背板30または箱体32の底31’が、点灯回路ブロック51および2次電池52と導光板20および表示パネル40との間に位置するから、点灯回路ブロック51や2次電池52がたとえ発火するようなことがあっても、背板30または箱体32の底30’により導光板20や表示パネル40への類焼を防止することができ、安全性が確保される。
【0079】
上述の構成例では、一端が開口する箱状の器具本体50に面光源装置Aを取り付ける例を示したが、図16に示すように、ビルなどの天井に埋め込んで取り付けられる器具本体50に支柱53を接続し、支柱53の下端部に面光源装置Aを取り付けて、面光源装置Aを天井から吊下する構成とすることもできる。図示例では、器具本体50の下面にフランジ部55を設け、器具本体50を天井に埋め込んだときに、フランジ部55を天井面に当接させた形で施工する。
【0080】
また、本実施形態では表示用照明器具として誘導灯を例示したが、これに限るものではなく、車のテールランプや広告灯などであってもよい。
【0081】
上述した各実施形態では、半導体発光素子として表面実装型の発光ダイオード11を例示したが、半導体発光素子としてはレーザーダイオードを用いることも可能である。
【0082】
また、上述した各実施形態では、複数個の発光ダイオード11を1列に配列した例を示したが、複数個の発光ダイオード11を2列以上に配列することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施形態1を示す分解斜視図である。
【図2】同上の要部断面図である。
【図3】同上に用いる表示パネルの一例を示す正面図である。
【図4】同上に用いる表示パネルの他例を示す正面図である。
【図5】同上に用いる基板の一例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
【図6】同上の他の構成例を示す要部断面図である。
【図7】同上に用いる基板の別例を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。
【図8】実施形態2を示す要部断面図である。
【図9】同上の他例を示す要部断面図である。
【図10】同上に用いる部材の要部断面図である
【図11】実施形態3を示す分解斜視図である。
【図12】実施形態4を示す分解斜視図である。
【図13】同上の要部断面図である。
【図14】実施形態5を示す分解斜視図である。
【図15】同上の回路図である。
【図16】同上の他例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
11 発光ダイオード(半導体発光素子)
12 基板
13 基板ホルダ
13’ 基板ホルダ
13c 後片(伝熱片)
20 導光板
20a 入射面
20b 出射面
30 背板
30’ 背板
31 外枠
31’ 外枠
32 箱体
50 器具本体
A 面光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された複数個の半導体発光素子と、基板を保持し基板と熱結合される基板ホルダと、周面の少なくとも一部を半導体発光素子からの光が入射する入射面とし厚み方向の一面を出射面とする導光板と、導光板の厚み方向の他面を覆う金属板である背板とを備え、基板ホルダは、背板の厚み方向の一面において背板の一部に重複して背板に熱結合される伝熱片を備えることを特徴とする面光源装置。
【請求項2】
基板に実装された複数個の半導体発光素子と、基板を保持し基板と熱結合される基板ホルダと、周面の少なくとも一部を半導体発光素子からの光が入射する入射面とし厚み方向の一面を出射面とする導光板と、導光板の厚み方向の他面を覆う金属板である背板とを備え、背板は基板ホルダと連続一体に形成されていることを特徴とする面光源装置。
【請求項3】
前記背板において導光板と対向する面に、白色の反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の面光源装置。
【請求項4】
基板に実装された複数個の半導体発光素子と、基板を保持し基板と熱結合される基板ホルダと、周面の少なくとも一部を半導体発光素子からの光が入射する入射面とし厚み方向の一面を出射面とする導光板と、基板ホルダとともに導光板の周面を全周に亘って囲む金属製の外枠とを備え、外枠は基板ホルダは外枠と一体に形成されていることを特徴とする面光源装置。
【請求項5】
基板に実装された複数個の半導体発光素子と、基板を保持し基板と熱結合される基板ホルダと、周面の少なくとも一部を半導体発光素子からの光が入射する入射面とし厚み方向の一面を出射面とする導光板と、基板ホルダとともに導光板の周面を全周に亘って囲む外枠および導光板の厚み方向の他面を覆い外枠の一面を閉塞する背板を一体に有した金属製の箱体とを備え、箱体は基板ホルダと一体に形成されていることを特徴とする面光源装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の面光源装置と、面光源装置が取り付けられる器具本体とを備えることを特徴とする表示用照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−147012(P2010−147012A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326572(P2008−326572)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】