説明

面加工機

【課題】ダイプレートの被加工面を能率良く加工することができる面加工機を提供する。
【解決手段】面加工機40は、一対のダイプレート11,12のうち、一方のダイプレート11の金型取付面20に固定されるフレーム構体41を有している。フレーム構体41に、金型取付面20と平行な方向に移動可能な直線移動ユニット42が設けられている。直線移動ユニット42は、第1のサーボモータ75によって金型取付面20に沿って移動する。直線移動ユニット42に旋回アーム44が設けられている。旋回アーム44は、第2のサーボモータ85を備えた旋回機構45によって回転軸X1を中心に旋回する。旋回アーム44に刃具50が設けられている。刃具50は、第3のサーボモータ100を備えた刃具回転機構51によって回転する。コントローラ52は、刃具50が被加工面S2に沿って所定の軌跡上を移動するようにサーボモータ75,85を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばダイキャスト成形機や射出成形機等の成形機において金型取付面等の被加工面を加工するための面加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイキャスト成形機等の成形機は、金型を取付けるためのダイプレートを有している。このダイプレートの金型取付面に金型が固定される。このような成形機において、例えば成形時に金型の内面に吹付ける離型剤の水分の影響を長い間受け続けて金型取付面が腐食したり、経年劣化等によって金型取付面が変形したりすることがある。金型取付面が変形すると金型の支持が不十分となり、金型のパーティングライン等に悪影響を与える原因となる。
【0003】
そこで金型取付面の補修のために肉盛溶接が行なわれている。さらにこの肉盛溶接が行なわれた金型取付面を、面加工機によって平坦に仕上げることも行なわれている。面加工機としては、例えば下記の特許文献1に開示されているフライスユニット等を使用することが可能である。この面加工機(フライスユニット)は、金型が取外された被加工面にベースプレートを電磁マグネットによって固定し、駆動源としての油圧モータによって、被加工面の削り加工を行なうように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−281511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように面加工機を被加工面に固定する構成では、被加工面全体を加工する際に、面加工機の取付位置を変える必要がある。このため被加工面全体を一度に連続加工することができず作業に手間がかかる。また面加工機の取付位置が変わると、被加工面に対する刃具の押付力(加工圧)が変化することがあり、均一に加工することができないことがある。しかも駆動源として油圧を用いる面加工機では、油圧ポンプや油圧配管等の油圧系が必要であり、油圧系の取扱いが悪いと面加工機の周囲が油によって汚されてしまうおそれもある。
【0006】
従って本発明の目的は、被加工面を能率良く均一に加工することが可能な面加工機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の面加工機は、互いに対向する一対のダイプレートのうち一方のダイプレートの金型取付面に取付けられるフレーム構体と、前記フレーム構体に設けられたガイド部に沿って前記金型取付面と平行な方向に移動可能な直線移動ユニットと、前記直線移動ユニットを前記ガイド部に沿って往復移動させる駆動機構と、前記直線移動ユニットに設けられ、前記ガイド部と直角な方向に延びる回転軸を中心に旋回可能な旋回アームと、前記旋回アームを回転させる旋回機構と、前記旋回アームに設けられ、前記一対のダイプレートのうち他方のダイプレートの被加工面と対向する刃具と、前記刃具を回転させる刃具回転機構と、前記被加工面から前記刃具までの距離を調整可能な切込み量調整機構とを具備している。
【0008】
前記駆動機構の一例はサーボモータとボールねじを有している。また前記旋回機構の一例はサーボモータと減速機構を有している。そしてこの面加工機は、前記各サーボモータを制御するコントローラを具備している。このコントローラは、前記刃具が前記被加工面に沿って所定の軌跡を描いて移動するように、これらサーボモータの回転方向と回転量を関連付けて制御するコンピュータプログラムを備えている。例えば、前記刃具を前記被加工面の外周に沿って移動させたのち、前記被加工面の外周の内側の領域にて前記刃具を移動させるようにプログラミングされている。
【0009】
前記フレーム構体は、例えば前記ダイプレートに形成された金型固定用の溝部に挿入されたナット部材と、該ナット部材に螺合されるボルトによって、前記ダイプレートに固定される。
【0010】
フレーム構体の一例は、前記金型取付面から離れた位置にて該金型取付面と平行な方向に延びるフレーム本体と、該フレーム本体の両端部に設けられたベース部材とを有し、該ベース部材が前記金型取付面に固定され、かつ、前記ベース部材の前記金型取付面と対向する側に、該金型取付面に形成された肉盛溶接部の高さよりも大きな隙間を確保するための段差部が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の面加工機は、一対のダイプレートのうち、被加工面と対向する一方のダイプレートの金型取付面を利用して取付けることができるため、取付けのための専用の架台等が不要である。また、加工中に刃具の位置が変化しても、刃具から旋回アームの回転軸までの距離は常に一定であるから、旋回アームに加わる曲げモーメントが安定している。そして加工中に刃具が受ける反力を剛性の大きなフレーム構体を介してダイプレートによって確実に支持することができる。このため被加工面を均一に加工することができ、しかも被加工面全体を能率良く加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】成形機の一例を模式的に示す断面図。
【図2】図1に示された成形機と溶接用ロボットを模式的に示す正面図。
【図3】本発明の1つの実施形態に係る面加工機を模式的に示す側面図。
【図4】図3に示された面加工機の正面図。
【図5】図4中のF5−F5線に沿う面加工機の断面図。
【図6】図4中のF6−F6線に沿う面加工機の断面図。
【図7】(A)(B)はそれぞれ前記面加工機の第1の位置と第2の位置を模式的に示す正面図。
【図8】(A)(B)はそれぞれ前記面加工機の第3の位置と第4の位置を模式的に示す正面図。
【図9】(A)(B)はそれぞれ前記面加工機の第5の位置と第6の位置を模式的に示す正面図。
【図10】(A)(B)はそれぞれ前記面加工機の第7の位置と第8の位置を模式的に示す正面図。
【図11】(A)(B)はそれぞれ前記面加工機の第9の位置と第10の位置を模式的に示す正面図。
【図12】(A)(B)はそれぞれ前記面加工機の第11の位置と第12の位置を模式的に示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の1つの実施形態について、図1から図12を参照して説明する。
図1と図2は、成形機の一例であるダイキャスト成形機10を模式的に示している。ダイキャスト成形機10は、固定ダイプレート11と、移動ダイプレート12と、互いに平行に延びる4本のタイバー13,14,15,16と、ダイプレート駆動機構17などを含んでいる。ダイプレート駆動機構17は、移動ダイプレート12をタイバー13〜16に沿って水平方向に移動させる機能を有している。
【0014】
固定ダイプレート11と移動ダイプレート12は、それぞれ金型取付面20.21を有している。固定ダイプレート11の金型取付面20に固定側金型22が取付けられる。移動ダイプレート12の金型取付面21に移動側金型23が取付けられる。固定側金型22と移動側金型23との間に、成形品のためのキャビティ24が形成される。キャビティ24は、溶湯通路25を介して溶湯供給機構(図示せず)に連通し、成形品の材料である溶融金属が、加圧された状態でキャビティ24に供給されるようになっている。
【0015】
ダイプレート11,12の金型取付面20,21が腐食したり、経年劣化により変形したりするなどして補修が必要となったときに、図2に示すロボット30によって、金型取付面20,21の肉盛溶接が行なわれる。ロボット30は例えば多関節ロボットであり、ロボットアーム31の先端に溶接トーチ32を備えている。
【0016】
このロボット30は、例えばニッケル系金属からなる溶加材を溶接トーチ32に供給するための溶加材供給装置33を有している。溶加材供給装置33によって溶加材を溶接トーチ32に供給し、溶加材を溶融させることにより、金型取付面20,21の溶接対象領域S(図2にハッチングで示す)の肉盛溶接をなすように構成されている。肉盛溶接の厚さは例えば2mm前後である。肉盛溶接が行なわれた金型取付面20,21は、以下に説明する面加工機40によって削り加工が行なわれ、平坦に仕上げられる。つまり、ダイプレート11,12の肉盛溶接された箇所がそれぞれ被加工面S1,S2となる。
【0017】
図3から図6に面加工機40の一例が示されている。図3は、面加工機40とダイプレート11,12を模式的に示す側面図である。図4は面加工機40の正面図、図5は面加工機40の平面図、図6は断面図である。この面加工機40は、以下に説明する構成によって、固定ダイプレート11の金型取付面20と移動ダイプレート12の金型取付面21のいずれにも取付けることが可能である。
【0018】
例えば、図3に示されるように面加工機40を固定ダイプレート11に取付けた場合には、この面加工機40によって移動ダイプレート12の肉盛溶接部(被加工面S2)が削り加工される。面加工機40を移動ダイプレート12に取付けた場合には、この面加工機40によって固定ダイプレート11の肉盛溶接部(被加工面S1)が削り加工される。
【0019】
以下の説明では、面加工機40を固定ダイプレート11に取付けた場合を代表して述べる。なお、面加工機40を移動ダイプレート12に取付ける場合も同様であるため、面加工機40を移動ダイプレート12に取付ける場合については説明を省略する。
【0020】
図3に示されるように面加工機40は、固定ダイプレート11に着脱可能に固定されるフレーム構体41と、フレーム構体41に移動可能に設けられた直線移動ユニット42と、直線移動ユニット42を駆動するための駆動機構43と、直線移動ユニット42に搭載された旋回アーム44と、旋回アーム44を回転させる旋回機構45と、旋回アーム44に設けられた刃具50と、刃具50を回転させる刃具回転機構51と、コントローラ52などを含んでいる。コントローラ52は、面加工機40の一連の動作を電気的に制御するための各種データとコンピュータプログラム等を備えている。
【0021】
図3と図4に示されるようにフレーム構体41は、金型取付面20から離れた位置にて金型取付面20と平行にかつ水平方向に延びるフレーム本体41aと、フレーム本体41aの両端部にボルト60によって固定された一対のベース部材41b,41cとを含んでいる。このフレーム構体41は、ボルト61によって、固定ダイプレート11の金型取付面20に固定されている。
【0022】
さらに詳しくは、図5と図6に示すように、固定ダイプレート11の金型取付面20に形成された金型取付用の溝部62(奥が広がったT溝)にナット部材63が挿入され、これらナット部材63にそれぞれボルト61をねじ込むことにより、フレーム構体41のベース部材41b,41cが固定ダイプレート11の金型取付面20に固定される。溝部62は水平方向に延び、ナット部材63の抜け止めがなされるようになっている。
【0023】
図5に示されるように、ベース部材41b,41cの固定ダイプレート11と接する箇所の厚さT1は、他の部位の厚さT2よりも数mm以上大きく形成されている。こうすることにより、ベース部材41b,41cの裏面すなわち金型取付面20と対向する側に、金型取付面20に形成された肉盛溶接部の高さよりも大きい隙間G(例えば数mm以上の隙間)を確保するための段差部41d,41eが形成されている。
【0024】
つまりこのフレーム構体41は、固定ダイプレート11の肉盛溶接部(被加工面S1)を跨いだ格好で、固定ダイプレート11に固定される。この隙間Gによって、ベース部材41b,41cが肉盛溶接部(被加工面S1)と干渉することを回避できるため、フレーム構体41を固定ダイプレート11の金型取付面20に固定することが可能となった。
【0025】
前記フレーム構体41は、固定ダイプレート11の金型取付面20に沿って金型取付面20と平行に延びている。そしてこのフレーム構体41に、例えば一対のガイドレール等のガイド部70,71が設けられている。ガイド部70,71は金型取付面20と平行となるようにフレーム本体41aに設けられている。
【0026】
各ガイド部70,71に、それぞれスライド部材72が移動可能に設けられている。これらガイド部70,71とスライド部材72とによって、直動案内機構(リニヤシステム)が構成されている。スライド部材72は直線移動ユニット42の一部をなし、ガイド部70,71に沿って直線移動ユニット42が金型取付面20と平行な方向に移動するようにしている。
【0027】
直線移動ユニット42を移動させるための駆動機構43の一例は、第1のサーボモータ75と、このサーボモータ75によって回転するボールねじ76とを含んでいる。第1のサーボモータ75の回転方向と回転量に応じて、ボールねじ76が回転することにより、直線移動ユニット42が図4示す第1の方向A1あるいは第2の方向A2に移動することができる。
【0028】
直線移動ユニット42に旋回アーム44が設けられている。図5に示されるように旋回アーム44は、直線移動ユニット42のボデー80に設けられた軸受81によって回転自在に支持されている。旋回機構45は、第2のサーボモータ85と、動力伝達機構86と、減速機構87などを備えている。旋回アーム44を回転自在に支持する軸受81には、旋回アーム44に加わるスラスト方向とラジアル方向の荷重を受けることが可能な転動体が使用されている。
【0029】
第2のサーボモータ85が回転すると、その回転が動力伝達機構86を介して減速機構87に伝達され、サーボモータ85のトルクが増大されるとともに、旋回アーム44が図4に示す第1の方向R1あるいは第2の方向R2に旋回するようになっている。図3に示すように旋回アーム44の回転軸X1は、金型取付面20,21に対して直角な方向に延びている。
【0030】
刃具50は、ヘッド部90を介して旋回アーム44に支持されている。ヘッド部90は旋回アーム44に対して前記回転軸X1と平行な方向に移動可能に構成されている。このヘッド部90に切込み量調整機構91(図5に示す)が設けられている。切込み量調整機構91によって、被加工面S2から刃具50までの距離が調整されることにより、切込み量(例えば1〜2mm)が調整される。切込み量はマイクロメータ等を利用した計測器92によって読取ることができる。刃具50の切込み量が調整されたのち、クランプハンドル93を操作することにより、ヘッド部90が旋回アーム44に固定される。
【0031】
前記刃具50は、第3のサーボモータ100によって、回転軸X2(図3に示す)を中心に回転する。第3のサーボモータ100は刃具回転機構51の一部をなしている。刃具50の回転軸X2は、旋回アーム44の前記回転軸X1と平行である。第3のサーボモータ100によって刃具50が回転することにより、前記切込み量に応じた分だけ被加工面S2が削り加工される。
【0032】
コントローラ52は、サーボモータ75,85,100を制御する機能を有している。このコントローラ52には、一例として、図7から図12に示す順序で被加工面S2の削り加工を行なうように、面加工機40の動作を制御するための各種データやコンピュータプログラムが格納されている。
【0033】
以下に、固定ダイプレート11に取付けた面加工機40によって移動ダイプレート12の被加工面S2を削り加工する場合の一例を説明する。なお固定ダイプレート11の被加工面S1を加工する場合は、面加工機40を移動ダイプレート12に固定し、被加工面S2と同様の順序で削り加工がなされる。
【0034】
まず、第1のサーボモータ75によって直線移動ユニット42を水平方向に移動させるとともに、第2のサーボモータ85によって旋回アーム44を旋回させることにより、図7(A)に示す第1の位置に刃具50を移動させる。削りむらをなくすために、この第1の位置から、被加工面S2の周囲の削り加工が開始される。
【0035】
第3のサーボモータ100によって刃具50を回転させ、被加工面S2を削りながら、刃具50を図7(B)に示す第2の位置に向かわせる。この場合、第1のサーボモータ75によって直線移動ユニット42を移動させつつ、第2のサーボモータ85によって旋回アーム44を旋回させることにより、刃具50を被加工面S2の周囲に沿って移動させ、平行斜線(ハッチング)で示す領域の削り加工が行なわれる。これらサーボモータ75,85の回転方向と回転量は、予めコントローラ52に格納されたデータと、コンピュータプログラムに基いて、コントローラ52によって制御される。
【0036】
さらに、刃具50が図8(A)の第3の位置に移動させられたのち、図8(B)に示す第4の位置に向かって刃具50が移動する。こうして被加工面S2の周囲がさらに加工されてゆく。この場合も、刃具50が被加工面S2の周囲に沿って移動するように、サーボモータ75,85の回転方向と回転量を互いに関連付けて、コントローラ52によって制御される。
【0037】
引き続き、刃具50が図9(A)の第5の位置に移動したのち、図9(B)に示す第6の位置に刃具50が向かうことにより、被加工面S2の全周が加工される。そののち、刃具50が被加工面S2の内側の領域に移動させられる。刃具50はサーボモータ100によって回転し続ける。例えば、刃具50が図10(A)に示す第7の位置に向かって移動することにより、被加工面S2の内側の領域の一部が削られたのち、刃具50の移動方向が切り換わって図10(B)に示す第8の位置に向かう。
【0038】
さらに、刃具50が図11(A)に示す第9の位置に向かって移動したのち、再び方向が切り換わって図11(B)に示す第10の位置に向かって移動する。引き続き、刃具50が図12(A)に示す第11の位置に移動したのち、方向が切り換わって図12(B)に示す第12の位置まで刃具50が移動することにより、被加工面S2の内側の領域の加工が終了する。
【0039】
以上のように、刃具50を移動させる軌跡に応じて、サーボモータ75,85がコントローラ52によって制御されることにより、被加工面S2の加工を連続的に、かつ、むらなく行なうことができる。こうして被加工面S2が加工されたのち、面加工機40を固定ダイプレート11から取外す。この面加工機40によって固定ダイプレート11の被加工面S1を加工する場合には、面加工機40を移動ダイプレート12に取付ける。そして前記と同様の順序で、固定ダイプレート11の被加工面S1を加工することができる。
【0040】
本実施形態の面加工機40は、互いに対向する一対のダイプレート11,12のうちの一方のダイプレートの金型取付面に取付けられ、この金型取付面と対向する他方のダイプレートの被加工面を加工する。すなわちダイプレートが面加工機40の支持装置として利用される。このため面加工機40を支持するための特別な架台が不要であり、電磁マグネットも不要である。しかもサーボモータ100によって得られる大きなトルクによって、刃具50を回転させることができ、油圧ポンプ等の油圧系設備も不要である。
【0041】
この面加工機40は、加工中に旋回アーム44が回転軸X1を中心に旋回しても、刃具50から回転軸X1までの距離(スパン)は常に一定であるから、加工中に旋回アーム44に作用する曲げモーメントはほぼ一定で安定している。しかも鉄鋼性の剛性の高いフレーム本体41aの両端部がベース部材41b,41cを介してダイプレートに固定されるため、フレーム構体41は実質的に剛体である。このため加工中に刃具50が被加工面から受ける反力は一定であり、その反力を剛性の高いフレーム構体41を介してダイプレートによって確実に支えることができる。
【0042】
よって、被加工面に対する刃具50の押付け力(加工圧)を一定に保つことができ、被加工面を均一にかつ精度良く加工することができる。しかも加工中に面加工機40の取付位置を変える必要がなく、被加工面の全体を、連続して1回の加工プロセスによって加工することができる。
【0043】
なお本発明を実施するに当たって、例えばダイプレートや被加工面の具体的な態様およびフレーム構体や直線移動ユニット、旋回アーム、刃具、刃具回転機構、切込み量調整機構の具体的な構成や形状、配置、寸法、材料等を適宜に変更して実施できることは言うまでもない。また本発明の面加工機は、ダイキャスト成形機以外の各種機器の面加工に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
11,12…ダイプレート
S1,S2…被加工面
40…面加工機
41…フレーム構体
42…直線移動ユニット
43…駆動機構
44…旋回アーム
45…旋回機構
50…刃具
51…刃具回転機構
52…コントローラ
75,85,100…サーボモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対のダイプレートのうち一方のダイプレートの金型取付面に取付けられるフレーム構体と、
前記フレーム構体に設けられたガイド部に沿って前記金型取付面と平行な方向に移動可能な直線移動ユニットと、
前記直線移動ユニットを前記ガイド部に沿って往復移動させる駆動機構と、
前記直線移動ユニットに設けられ、前記ガイド部と直角な方向に延びる回転軸を中心に旋回可能な旋回アームと、
前記旋回アームを回転させる旋回機構と、
前記旋回アームに設けられ、前記一対のダイプレートのうち他方のダイプレートの被加工面と対向する刃具と、
前記刃具を回転させる刃具回転機構と、
前記被加工面から前記刃具までの距離を調整可能な切込み量調整機構と、
を具備したことを特徴とする面加工機。
【請求項2】
前記駆動機構と前記旋回機構はそれぞれサーボモータを有し、かつ、この面加工機は前記各サーボモータを制御するコントローラを具備し、該コントローラは、前記被加工面に沿って前記刃具が所定の軌跡上を移動するようこれらサーボモータの回転方向と回転量を制御するためのコンピュータプログラムを有していることを特徴とする請求項1に記載の面加工機。
【請求項3】
前記コントローラは、前記刃具を前記被加工面の外周に沿って移動させたのち、前記被加工面の外周の内側の領域にて前記刃具を移動させるためのコンピュータプログラムを有していることを特徴とする請求項2に記載の面加工機。
【請求項4】
前記フレーム構体は、前記ダイプレートに形成された金型固定用の溝部に挿入されるナット部材と、該ナット部材に螺合されるボルトによって、前記ダイプレートに固定されるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の面加工機。
【請求項5】
前記フレーム構体は、前記金型取付面から離れた位置にて該金型取付面と平行な方向に延びるフレーム本体と、該フレーム本体の両端部に設けられたベース部材とを有し、該ベース部材が前記金型取付面に固定され、かつ、前記ベース部材の前記金型取付面と対向する側に、該金型取付面に形成された肉盛溶接部の高さよりも大きな隙間を確保するための段差部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の面加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−240553(P2011−240553A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113598(P2010−113598)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】