面取りされた後付け外皮を備えたハニカム構造体の製造方法および装置ならびにハニカム構造体
本発明は、ハニカムフィルタ構造体の端面上に形成された面取りされたエッジを備えた後付け外皮を有するハニカムフィルタの製造方法を提供する。面取りされたエッジを備えた後付け外皮を有するこれらのハニカム構造体の製造装置も提供される。さらに、面取りされた後付け外皮を備えたハニカムフィルタ構造体も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタ物品、その製造方法および製造装置に関する。より詳細には、本発明は、面取りまたは整形された後付け外皮層が上記ハニカム構造体のエッジにおいて欠けおよび剥がれにより損傷するのを防止した、ハニカムフィルタの製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと比較して有害な排出物が少なくかつ燃費に関しても経済的であるが、未処理のディーゼル排気物が概して望ましくない。トラック、バス、ディーゼルエンジンで航行する船舶、電気式ディーゼル機関車および発電機等のディーゼルエンジンで駆動される機器から排出される微粒子を制御/処理するために、ディーゼル微粒子フィルタが従来から用いられて来た。ディーゼル微粒子フィルタは、その構造体内において煤の微粒子を物理的に捕捉することによって、ディーゼル微粒子の排出を制御している。
【0003】
一般的なディーゼル微粒子フィルタ本体は、例えば、互いに反対側にある両端面の間に延びる互いに交差する薄い多孔質の壁からなるマトリクスを有するとともに、これらの壁は、両端面間に延びかつ両端面に開口する多数の隣接する中空通路すなわちセルを形成している。フィルタを形成するために、第1組のセルは一方の端面において閉塞され、残りのセルは他方の端面において閉塞されている。汚染されたガスは、加圧されて一方の端面(入力面)に導かれ、かつ上記入力面に開口するセル(入力セル)通じてフィルタ本体内に入る。入力セルはフィルタ本体の他方の端面(出力面)において閉塞されているので、汚染されたガスは、薄い多孔質の壁を通って、入力面において閉塞されかつフィルタ本体の反対側の出力面において開口している隣接するセル(出力セル)内に強制的に注入される。多孔質の壁の孔を通り抜けるのには大き過ぎる排気ガス中の汚染物である固形物粒子は取り残されて、浄化された排気が出力セルを通じてフィルタ本体の出力面から排出される。
【0004】
このようなディーゼルフィルタは、一般に押出し成形法によって形成され、この方法においては、セラミック材料が押出されて未焼成体となり、この未焼成体が焼成されて最終的なフィルタのセラミック材料を形成する。これらの押出し成形された未焼成体は、如何なるサイズまたは形状のものでも作製可能である。
【0005】
焼成されたセラミック体と同様に、生の未焼成のセラミック体は、製造中および製造後におけるこれらの対象物の取扱いの途中で破損し易い。破損は、セラミック体と面との接触の機械的応力により、これらセラミック体のエッジに生じることが多い。欠けたおよび破損したセラミック体は、製造プラントおよびサプライ・チェーンにおける取扱い損失の大きな原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、機械的損傷を受け難いセラミックハニカム構造体を提供することが望まれる。同様に、機械的損傷を受け難いセラミックハニカム構造体の製造方法も望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態は、面取りされたエッジを備えた後付け外皮を有するハニカムフィルタ構造体の製造方法および装置を提供するものである。実施の形態はまた、面取りされたエッジをハニカムフィルタ構造体の後付け外皮上に形成するための装置を含む。これに加えて、本発明の実施の形態は、面取りされた後付け外皮を有するハニカム構造体を提供するものである。
【0008】
実施の形態において、本発明はハニカム構造体の製造方法を提供し、この方法は、互いに反対側にある端面間に軸線に方向に沿って延びる多数のセルを有するハニカム体を提供し、この場合、上記セルは、交差する多孔質の壁によって画成され、上記ハニカム体上に後付け外皮層を施し、かつこの後付け外皮のエッジを面取りする諸ステップを含み、上記面取りステップは、濡れた後付け外皮層上に実施される。本発明の実施の形態はまた、上記後付け外皮層を施す以前に、上記ハニカム体すなわちマトリクスに輪郭をつけることを含む。さらなる実施の形態において、本発明は、輪郭を付されたまたは直線的の、剛体または可撓性のブレードまたはプレート、あるいは輪郭を付されたまたは直線的のローラーバーである面取り工具を提供する。
【0009】
さらなる実施の形態において、本発明は、面取り縁部を備えたプレートに対し、外皮を備えていないハニカム構造体の一方の端面を当接させて配置し、かつ後付け外皮を施すことにより、整形された後付け外皮を備えたハニカム構造体を製造する方法を提供する。実施の形態において、上記プレートは貼付き防止材または剥離材を備えていてもよい。または、プレートが変形可能な材料を有していても、あるいは回転するものであってもよい。
【0010】
さらなる実施の形態において、本発明は、後付け外皮を備えたハニカム構造体の製造方法を提供し、この方法は、外皮を備えていないハニカム構造体に対し後付け外皮を施し、かつこの後付け外皮を備えたハニカム構造体を押圧プレートに押し付けて、整形された、すなわち面取りされた後付け外皮を備えたハニカム構造体を形成する両ステップを含む。
【0011】
さらなる実施の形態において、本発明は、後付け外皮を備えたハニカム構造体の製造方法を提供し、この方法は、ハニカム構造体をターンテーブル上に配置し、外皮を備えていないハニカム構造体の近傍に、ほぼ平らな中間部および整形された両端部を有する面取り工具を配置し、上記ターテーブルを回転させて、上記ハニカム構造体を面取り工具に対して回転させ、この回転の間に、回転する上記ハニカム構造体と上記面取り工具との間に外皮材料を供給し、その結果、ほぼ平らな中間部および整形された両端部を有する外皮材料層を形成することを含む。
【0012】
さらに別の実施の形態において、本発明は、濡れた後付け外皮上に面取りされたエッジを形成するための面取り工具とターンテーブルとを有する、ハニカム構造体の製造装置を提供する。実施の形態において、上記面取り工具は、剛体または可撓性の、整形されたまたは平らなブレードとすることができる。他の実施の形態において、本発明は、後付け外皮を施すことおよびこの後付け外皮のエッジを面取りすることを単一の製造ステップで行なう装置を提供する。
【0013】
実施の形態において、本発明はまた、ハニカム構造体を提供し、このハニカム構造体は、互いに反対側にある端面間において軸線方向に沿って延びる多数のセルからなるマトリクスと、面取りされたエッジを備えた後付け外皮層とを備えている。実施の形態において、上記マトリクスの端面は、上記ハニカム構造体の軸線方向に対して90°の角度をなしている。後付け外皮層上の面取りは、この後付け外皮と上記ハニカム構造体の端面との交差点を始端としている。実施の形態において、上記マトリクスは面取りされていない。さらなる実施の形態において、上記マトリクスは乾かされまたは焼成されており、上記後付け外皮は湿っている。
【0014】
本発明のこれらのおよびその他の態様および効果は、添付の図面を参照した下記の好ましい実施の形態の詳細な説明が注意深く検討された後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】常套的な方法を用いて製造された典型的な固形物微粒子フィルタ本体の斜視図である。
【図2】ハニカムフィルタ本体の外側が整形されかつ外皮が取り除かれた後のハニカムフィルタ本体の斜視図である。
【図3】後付け外皮を備えたハニカムフィルタ本体の斜視図である。
【図4】ハニカムフィルタ本体上の外皮層の顕微鏡写真である。
【図5】面取りされたエッジを備えないハニカムフィルタ本体と面取りされたエッジを備えたハニカムフィルタ本体との実施の形態を示す図である。
【図6】面取り工具を用いた、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の実施の形態を示す図である。
【図7】ほぼ平らな中間部および整形された両端部を有する面取り工具を用いた、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の別の実施の形態を示す図である。
【図8】面取り工具が面取り縁部を備えた面取りプレートである本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の別の実施の形態を示す図である。
【図9】面取り工具がハニカム体上に押し下げられて面取りされたエッジを形成する面取りプレートである本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の別の実施の形態を示す図である。
【図10】面取り工具が、ハニカム体上に押し付けられて、面取りされたエッジを形成する変形可能な層を備えた面取りプレートである、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の実施の形態を示す図である。
【図11】面取り工具がローラーバーである、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法のさらなる実施の形態を示す図である。
【図12】剥がれ傷を少なくしてハニカム構造体から面取り工具を取り除く方法の実施の形態を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態において好ましい面取り角度の許容範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に実施の形態は、面取りされたエッジを備えた後付け外皮を有するハニカムフィルタ構造の製造方法を提供する。また、実施の形態はハニカムフィルタ構造の後付け外皮上に面取りされたエッジを形成する装置をも含む。本発明の別の実施の形態は、ハニカムフィルタ構造の両端面上に形成された面取りされたエッジを備えた後付け外皮を有するハニカムフィルタを提供する。
【0017】
ハニカムディーゼルフィルタは、ディーゼルエンジンにより生成された排気から、煤およびその他の微粒子物質を取り除くように構成されている。ディーゼルエンジンから吐出された煤を含んだガスは、ハニカムフィルタを通過し、排気中に含まれる煤を含む微粒子物質は、フィルタのハニカム構造の壁内に捕捉されることになる。
【0018】
一般に、ハニカムフィルタ構造は、互いに反対側にある一対の端面間にほぼ平行な列をなして配列された、フィルタの軸線方向に沿って延びる多数の隣接するセルを有する。通常このハニカム構造は、両端面間に延びる多数の互いに交差している薄い多孔質の壁によって形成されている。一般に、ハニカムフィルタの壁は、両端面間に延びかつセル列を束ねる外壁すなわち外皮を有し、この外皮は、フィルタの長さ方向に沿うフィルタ構造の最も外側の壁を画成している。
【0019】
固形物微粒子の濾過およびその他の用途のためのハニカム構造は、セラミック、ガラスセラミック、ガラス、金属、セメント、樹脂または有機ポリマー、紙、または織布(充填材等を含むもの、または含まないもの)、ならびにこれらの種々の組合せを含む種々の多孔質材料から形成される。固形物微粒子の濾過に用いられる、一様な薄い多孔質の相互連結された壁を有するハニカム構造は、焼結のための焼成後に多孔質の焼成された材料を生成する、可塑性を有しかつ焼成可能な物質、特に金属粉末、セラミック、ガラスセラミック、セメントおよびその他のセラミックを主成分とする混合物から製造されるのが好ましい。いくつかの実施の形態によれば、ハニカム構造が、炭化珪素、コージェライトまたはチタン酸アルミニウム等の多孔質セラミック材料から形成される。
【0020】
本発明の一つの実施の形態において、ハニカムフィルタは、化学式2MgO−2Al2O3−5SiO2からなる合成セラミック組成物であるコージェライトから形成される。コージェライトは極めて低い熱膨張係数を有し、これは材料を過激な熱サイクルに強いものにする。コージェライトはまた、高い耐熱性(約1200℃)および良好な機械的強度を有する。
【0021】
一般に、ハニカムフィルタ構造体は押出し成形によって形成され、その場合、セラミック材料が押し出されて未焼成体になった後、この未焼成体が焼成されて最終的なフィルタを構成するセラミック材料になる。これらの構造体は、成形型から押し出されかつ切断されて、エンジン製造業者の要求に合った形状およびサイズを有するフィルタを形成する。これらの押出し成形された未焼成体は、如何なるサイズまたは形状のものも作製可能である。
【0022】
一般に、セラミックハニカムフィルタ構造体が押し出されるときに、押出し成形工程の機能として、密実な外表面すなわち外皮がフィルタ構造の全長に亘って提供される。しかしながら、状況によっては、フィルタ構造体から外表面すなわち外皮を取り除くことが必要になる場合がある。例えば、本発明の一つの実施の形態において、未焼成セラミックハニカムフィルタが押出し成形され、次いで所望の形状およびサイズに整形され、ハニカムフィルタ構造体の押し出された外皮が取り除かれる。別の実施の形態においては、セラミックハニカムフィルタ構造体が押出し成形された後に焼成され、次いで所定の形状およびサイズに削られ、ハニカムフィルタ構造体の外皮が取り除かれる。
【0023】
別の実施の形態においては、セラミックハニカムフィルタ構造体が、一体に組み立てられかつ互いに固定された多数のハニカム構造体から組み立てられて、単一のセラミックハニカムフィルタ構造を形成することができる。これらの組み立てられたハニカム体もまた、削られまたは切断されてハニカムフィルタ構造を形作り、このハニカムフィルタ構造体の外皮が除かれる。
【0024】
ここで図面を参照すると、押出し成形されかつ焼成された後の例示的な固形物微粒子フィルタが図1に示されている。このフィルタ本体は、両端が開放された多数の中空の通路すなわちセル11を有するハニカム構造体10を備え、これらのセル11は、ほぼ平行な状態でハニカム構造体10を貫通して延びている。セル11の両端は開放され、かつこの構造体10の互いに反対側にある端面12,13において、一対のほぼ同一の開放面を形成している。セル11自体は、両端面12,13間に延びる交差壁のマトリクスによって形成されている。フィルタ本体として用いる場合、壁14は多孔質で両端面12,13間に連続しており、かつ一様に薄いことが好ましいが、厚さが一様でない壁を用いてもよい。外壁(外皮)15は、セル11および薄い壁14の境界となる両端面12,13間に延びている。
【0025】
このハニカム構造体10は、一般に100〜350セル/平方インチ(15〜54セル/cm2)セル(チャンネル)密度を有するが、如何なるセル密度に形成されたものでもよい。本明細書における用語「ハニカム」は、大体においてハニカム構造を有する材料を含ませるつもりであるが、厳密に正方形構造に限定されるものではない。例えば、六角形、八角形、三角形、正方形、長方形、またはその他の適当なセル形状のものを用いてもよい。
【0026】
このハニカム構造体10は、押出し成形後において整形することができる。図2は、フィルタ本体またはマトリクスの輪郭が形成された後のハニカム構造体10の実施の形態を示す。外皮を備えないハニカム構造体を「マトリクス」または「フィルタ本体」と呼ぶ。フィルタ構造体の整形により、ハニカムフィルタ本体から外皮が取り除かれる。整形は、所望の形状およびサイズに達するまでハニカム構造体の外表面を切断または研削することを含む従来から知られている方法によって達成することができる。交差する壁14のマトリクスによって形成された、両端が開放された多数の中空の通路すなわちセル11を有し、かつ互いに反対側の両端面12,13を有するハニカム構造体10は依然として無傷である。しかしながら、図1に15で示された外壁すなわち外皮はもはや存在していない。ハニカムフィルタ本体の外表面すなわち外皮は、未焼成セラミックからでも、焼成されたセラミック構造体からでも取り除くことができる。ハニカム構造体の周縁形状は、例えば円形、楕円形等の如何なる可能な形状にもすることができる。
【0027】
図3は施栓されたハニカムフィルタ構造体を示す。図3に示されているように、端面12,13において、ハニカム構造体10の一つ置きのセル11が栓18を用いて好ましくは市松模様に閉塞されている。端面13(図3では隠れている)上の施栓パターンは、端面12に示された施栓パターンの裏返しである。栓18は、ハニカム構造体の組成およびそのフィルタ本体としての究極の使用に対して両立する材料から選ばれる。フィルタ本体は、ハニカム構造体の一方の端面12における一組のセルの開放端の施栓、被覆、または閉塞によって、ハニカム構造体10から形成される。閉塞されていない残りのセルは、構造体の残りの端面13において施栓、被覆、または閉塞されることが好ましい。選択されたセルは、端面12,13の近傍からセル11内へ短い距離延びるシール材またはセメント等の適当な栓材料を用いてそれぞれ施栓されており、シール材またはセメントが例えばマスクを通じてセルの端部内に注入されることにより形成される。栓の形成後、シール材またはセメントは、濾過されるべきガスの流れを実質的に阻止するシールを形成するために選択された特定材料に適した方法によって硬化される。栓が所定位置に配置されると、マスクは取り外される。入力端面12および出力端面13上に交互のパターンをもって配置された結果、フィルタ本体内に流入した排気ガスは、入力面においては施栓されていないフィルタセル内に流入し、セル11の多孔質の壁を通り抜け、出力面においては施栓されていないフィルタセルを通ってフィルタ本体の外へ流出する。
【0028】
本発明の一つの実施の形態においては、ハニカム構造体が乾かされかつ焼成されて、セラミック材料が焼結する。これらの乾燥および焼成ステップは、ハニカムフィルタ本体が整形および/または施栓される以前でも以後でもよい。ハニカムフィルタ構造体が整形され、乾かされかつ焼成された後に、新たな外皮すなわち後付け外皮が施される。図3は、後付け外皮16を備えたハニカムフィルタ構造体10を示す。図4はハニカムフィルタ本体17上の外皮15を示す顕微鏡写真である。
【0029】
図3に示されているように、後付け外皮16は従来技術で知られている如何なる材料であってもよい。一つの実施の形態において、後付け外皮は、有機または無機バインダ成分を含んだ基礎的なコージェライトである。本発明の一つの実施の形態において、後付け外皮16は、ハニカムフィルタ本体が焼成されかつ所望の形状およびサイズに整形された後にハニカムフィルタ本体に施される。この後付け外皮16は、従来から知られている技法を用いてハニカムフィルタ本体に施される。一旦ハニカムフィルタ本体が乾かされかつ焼成された後に、この焼結されたセラミック材料を再び焼成することは望ましくない。それ故に後付け外皮は、ハニカムフィルタ本体と同様の高温では焼成されない。ハニカムフィルタ本体と同様の態様で焼成されないために、この後付け外皮は、ハニカムフィルタ本体自体よりも損傷を受け易い。フィルタ本体が取り扱われるときに、後付け外皮は、特に端面または構造体のエッジが欠けたり破損したりする。例えば、後付け外皮を備えた重いフィルタ本体が表面に接触したり、表面に摺接したりすると、端面における後付け外皮のエッジが破損したり欠けたり剥がれたりする恐れがある。このことは、大型の重いフィルタ本体が人手によって取り扱われるときに、および製造工程において最終的なフィルタ製品が組み立てられまたは缶に容れられる処理がなされるときに特に明らかである。これらのエッジの欠け、剥がれまたは破損は、少なくとも外観上の問題を発生させ、かつフィルタ製品の長期間の信頼性に悪影響を及ぼす恐れがある。欠けたまたは破損した外観を有する製品は、製造プラントおよびサプライ・チェーンにおける重大な取扱いによる損失発生源である。
【0030】
図5は、面取りされていないエッジ20および面取りされたエッジ21を備えたハニカムフィルタ本体の実施の形態を示す。図5は、面取りされていないエッジを備えたハニカム体が、より軟らかい後付け外皮を硬い面22に曝した状態を示す。後付け外皮が面取りされると、より硬い、焼成されかつ焼結されたハニカム構造体が面22に接触し、したがって、ハニカム構造体は、エッジの欠け、剥がれおよびひび割れを受け難くなる。図5はまた、一つの実施の形態において、後付け外皮の面取りされたエッジが、後付け外皮とハニカム構造体の端面との交差点に生じることをも示している。この構成において、面取りは後付け外皮の欠けおよび剥がれに対する有効な防護を提供する。もし、面取りが後付け外皮16の層全体に拡がっていなければ、欠けおよび剥がれがなおも後付け外皮に生じる可能性がある。もし面取りされたエッジがハニカム構造体自体内にまで及んでいれば、ハニカムフィルタの有用性が損なわれる。換言すれば、マトリクスの端面は面取りされてはならず、かつハニカム構造体の軸線方向に対して90°をなしていなければならない。
【0031】
後付け外皮のエッジは、端面において面取りされることが可能である。この面取りは、後付け外皮がハニカム体に施されるときと同時の単一ステップで、または後付け外皮が施された後の別のステップで行なうことができる。面取りされたエッジは、面取り工具を用いてハニカムフィルタ構造体の後付け外皮上に形成することができる。本発明の面取り工具は、ナイフ、ブレード、スポンジ、ワイヤ、振動ブレード、振動ワイヤ、ローラーバー、プレート、面取りプレート、面取りブレード、スキンプレート、面取り形状プレスプレート、プレスプレート、グラインダ、サンダ、あるいは、湿ったまたは硬化されたセラミック材料上に傾斜したエッジを備えた後付け外皮を形成するのに適したその他の装置を含む多くの構造のものを用いることができる。面取り工具は、剛体または変形可能な、整形された、起伏のある、または平坦なものとすることができる。面取り工具は、後付け外皮が貼りつかない機構を備えたものとすることができる。例えば、面取り工具は、貼付き防止加工された表面または剥離剤を備えた面取りプレートとすることができる。
【0032】
面取り工具は、ハニカム構造体の周囲を回転可能なものでも、または面取り工具が固定されていて、ハニカム構造体が面取り工具に対して移動するものでもよい。
【0033】
図6は、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の一つの実施の形態を示す。外皮を備えていないハニカム構造体はターンテーブル60上に配置されることができ、かつ後付け外皮16がハニカムフィルタ構造体の外表面に施されることができる(不図示)。図6は、ターンテーブル60上の後付け外皮16を備えたハニカムフィルタ本体10の一つの実施の形態を示す。ハニカムフィルタ本体10の外表面に後付け外皮16が施された後、ターンテーブル60上のハニカム構造体を回転させながら、未だ湿った状態にある後付け外皮16のエッジに対して面取り面63を備えた面取り工具62を当接させることによって、面取りされたエッジ64が生成される。当業者であれば理解しているように、湿ったセラミック材料は変形可能である。本明細書における「湿った」とは、セラミック材料が、焼成も乾燥も焼結もされず、あるいはセラミック材料を硬化させる処理を被っていないことを意味する。図6に示された実施の形態においては、スイングアーム66上に取り付けられた面取り工具62が、未だ湿っている後付け外皮16のエッジに当接する位置に旋回されることによって、後付け外皮16のエッジが面取りされる。面取り工具は、ブレード、スキージー、スポンジ、振動ナイフ、または湿ったセラミック材料上に傾斜したエッジを形成するのに適したその他の装置とすることができる。エッジが修正されて部分は次いで乾かされ、さもなければ当業者周知の方法によって処理される。
【0034】
他の実施の形態において、図6に示されているような後付け外皮を備えたハニカム体は、乾かされ、さもなければ硬化される。この実施の形態においては、面取り工具を、硬化された面を整形するためのサンダまたはグラインダとすることができる。
【0035】
別の実施の形態においては、ハニカムフィルタ構造体が円形でない場合のハニカムフィルタ構造体の後付け外皮に対し、面取りされたエッジを施すことができる。例えば、ハニカムフィルタ構造体は楕円形、正方形、六角形、またはその他の形状であってもよい。この実施の形態において、後付け外皮を備えたハニカムフィルタ構造体は、コントローラによって制御されるターンテーブル上に配置され、この場合上記コントローラは、面取り工具に与えられているエッジが、ハニカムフィルタ構造体の形状に関わりなく、面取りされるべき構造体から一定の距離となるように、ターンテーブルの回転のみでなく、面取り工具に対してターンテーブルを移動させるようにプログラムされている。別の実施の形態においては、固定されているハニカムフィルタ構造体に対して面取り工具が移動し得るように、面取り工具を移動可能かつプログラム可能にすることができる。例えば、移動可能なロボットアーム上に面取り工具を取り付けることができ、この場合、移動可能なロボットアームは、ハニカムフィルタ構造体に向かって面取り工具を移動させ、かつこの面取り工具を適当な角度に保持し、ハニカム構造体の端面の周りでロボットアームを移動させて、面取りされたエッジをハニカムフィルタ構造体の後付け外皮上に生成させることができる。
【0036】
別の実施の形態においては、後付け外皮の取付けとエッジの整形すなわち面取りとを単一ステップで行なうことができる。図7は、ほぼ平らな中間部73および整形された両端部75を有する面取り工具72を示す。これらの整形された両端部75は、図7に示されているように、仕上げられたハニカム構造体上に所望の面取り角度を提供する。図7には傾斜した端部が示されているが、面取り工具のまたは面取りブレードの両端部は、丸められた、斜めになった、またはその他の湿ったセラミック材料に当接したときに面取りされた表面を形成する形状を含む如何なる形状のものでもよいことを当業者は理解するであろう。この実施の形態においては、ターンテーブル70上のハニカム構造体10を回転させながら、外付け外皮がハニカム構造体の外表面に施されることができ、かつハニカム構造体に対して面取り工具72を配置することによって、面取りされたエッジ74が生成されることができる。この実施の形態においては、後付け外皮16がハニカム構造体10に施され、かつ後付け外皮の両端面が単一ステップで面取りされる。一つの実施の形態において、本発明は、外皮を備えていないハニカム構造体をターンテーブル上に配置し、上記外皮を備えていないハニカム構造体の近傍に、ほぼ平らな中間部および傾斜した両端部を有する面取り工具を配置し、上記ターンテーブルを回転させて上記ハニカム構造体を上記面取り工具に対して回転させ、その間に、回転するハニカム構造体の表面と上記面取り工具との間に外皮材料を供給し、これにより、ほぼ平らな中間部および整形された両端部を備えた外皮材料層が上記ハニカム構造体に施される。
【0037】
本発明の一つの実施の形態においては、後付け外皮が未だ湿っている間に、後付け外皮のエッジを面取りすることができる。例えば、乾燥以前の後付け外皮は柔軟でかつ整形が容易である。例えば、ハニカムセラミック材料は押出し成形され、焼成され、かつ焼結され、次いでハニカムフィルタ本体の外皮を取り除くステップで整形され、かつハニカムセラミック構造体の全長に亘って後付け外皮を施すことができる。一つの実施の形態において、未だ湿っている間に、好ましい面取り角度を形成するように構成されかつ配置された面取り工具は、ハニカムフィルタ本体が回転されている間に、ハニカムフィルタ本体のエッジに保持されて面取りされたエッジを形成する。別の実施の形態において、面取り工具は、ハニカム構造体の外側に外皮が施されているときに、その上にハニカム体が乗っているプレートとすることができる。このプレートが面取りとは逆形状の縁部を有している場合に、ハニカム構造体の外側に施される外皮は、上記プレートの形状を採り、面取りされた後付け外皮を備えたハニカム構造体が形成される。一つの実施の形態において、面取りされたエッジは、後付け外皮にのみ施され、ハニカムフィルタ本体内までは及んでいない。
【0038】
図8は、本発明の後付け外皮のエッジを面取りする方法の別の実施の形態を示す。図8に示されているように、ハニカム構造体10は、面取りとは逆形状の縁部83を備えたプレート81上に配置される。面取りとは逆形状の縁部83を備えたプレート81上に乗っているハニカム10の外面に後付け外皮が施されると、面取りされたエッジが後付け外皮16の端面に形成される。この方法は、ハニカム構造体の一方のまたは双方の端面において後付け外皮を面取りするのに用いることができる。この実施の形態においては、面取り工具がプレート81、すなわちスキンプレート81である。このプレート81は、ターンテーブルと一体であっても、またはターンテーブル84上に配置された別部材であってもよい。あるいは、プレート81が固定されていてもよい。
【0039】
図9は、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の他の実施の形態を示し、これによって、面取り形状のプレート91、すなわちプレスプレート91が外皮16を押圧し、濡れた外皮16に対し、プレスプレート91によって画成された輪郭を採らせる。この実施の形態においては、面取り工具がプレスプレート91である。図10は、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の他の実施の形態を示す。図10に示されているように、整形プレートすなわちプレスプレート101は、変形可能な材料層102を備えることができ、あるいは、圧縮可能な材料層をハニカム構造体の端面に当てて押し下げることができる。変形可能な材料の実例は、シリコンまたは発泡材またはその他の適当な材料である。変形可能な材料層102は、使い捨て可能で、面取り工程において、プレスプレートとハニカム体との間に挿入することができる。あるいは、変形可能な材料層102は、プレスプレートと一体に形成されて、何回も用いることができる。この押圧可能な変形可能な媒体は、濡れた変形可能な後付け外皮に押し付ける工程は、圧縮可能な媒体がプレスプレートとハニカム構造体との間に潰される結果となる。この圧縮可能な媒体102の作用は、柔軟な後付け外皮のエッジを押し付けて、整形された、すなわち面取りされたエッジを生じさせることである。
【0040】
図11は、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の別の実施の形態を示す。図11に示されているように、面取りされた、すなわち整形されたエッジは、ハニカム構造体10のエッジに対し、転動可能な面取り工具111を接触させることによって形成することができる。この実施の形態においては、濡れたすなわち従順な後付け外皮16は、転動可能な工具すなわちローラーバーである面取り工具を、変形可能な未だに濡れている後付け外皮を有するハニカム体の両端面の角部に押し付け、かつこのローラーバー111をハニカム体の周りで旋回させることによって面取りされたエッジが形成される。ローラーバー111は、曲線または直線の輪郭を有することができ、かつ所望の整形されたエッジを形成するために如何なる形状をも有することができる。
【0041】
整形されたハニカム構造体から面取り工具を取り外すと、望ましくない産物を残すことがある。例えば、図8,図9または図10の面取りプレートをハニカム構造体から引き上げると、湿った後付け外皮材料の一部が引っ張られて、望ましくない変形部をハニカム構造体上に残すことになる。特に図10に言及すると、濡れた後付け外皮に対し圧縮可能な材料が押し付けられ、次いで濡れた圧縮可能な材料が引っ張られると、この圧縮可能な材料を取り除くことにより、濡れた後付け外皮が引っ張られて変形する。本明細書における「引っ張り変形部(pull residue)」または「捲くれ上がり縁部(lip pullup)とは、ハニカム構造体の表面から整形工具を取り除くことによって生じるハニカム体または外皮の変形部を意味する。この変形部は、切断、平滑化、研削または研磨、または当業者が周知のその他の手法または複数の手法の組合せによって取り除くことができる。
【0042】
図12は、引っ張り変形部を小さくするためのハニカム構造体10からプレート1210を取り外す方法の実施の形態を示す。一つの実施の形態において、図12は、図8、図9または図10のプレートを、整形されたハニカム構造体に対して回転させることによって、ハニカム構造体10からプレート1210を取り外すことを示す。この回転は、濡れた外皮材料とプレートとの間の付着力を遮断するように働き、引っ張り変形を軽減する。図12はまた、プレート1210が、引っ張り変形を軽減するために貼付き防止層または剥離層1212を備えることができる。貼付き防止層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはテフロン(登録商標))、超高分子量ポリエチレン(UHMW)、またはこの目的に適したその他の周知の材料から形成可能である。剥離層は、シリコン、澱粉、またはオイル等の剥離材料がスプレーまたは導入された層を含む。これらの剥離材料は、面取りの度ごとに補充する必要がある。
【0043】
後付け外皮が施される以前にハニカム体が焼成されてしまっている場合には、そして焼成されて焼結されたハニカム体がさらなる高温焼成に曝されるのは望ましくないので、後付け外皮を備えたハニカム体を、焼成/焼結工程で用いられる程厳しくはない温度、例えば300℃未満の温度に曝すことにより、後付け外皮を乾燥工程に曝すことが望ましい。
【0044】
後付け外皮の面取りされたエッジは、丸みを帯びた、傾斜した、三角角形等の如何なる形状を有するものであってもよい。随意的に、後付け外皮の面取りされたエッジが、サンダ、グラインダ、またはドクターブレード等の器具を用いて仕上げられてもよい。図13は、本発明の実施の形態に好ましいであろう面取り角度の許容範囲を示す。この面取り角度は、例えば5度と85度との間、あるいは15度と75度との間であればよい。
【0045】
複数の具体的な実施の形態についての上述の説明は、本発明の一般的な性質を明らかにしたものであって、当業者であれば、過度の実験を行なうことなく、かつ本発明の一般的な考え方から離れることなしに、容易に上記具体的な実施の形態を修正し、および/または種々の用途に適応させることが可能なものである。したがって、このような適応および修正は、ここに提供された教示および手引きに基づく、開示された実施の形態の均等物の意義および範囲内にあると目される。ここに記載された用語および述語は、説明のためのものであって、限定のためのものではなく、本明細書の用語および述語は、ここに提供された教示および手引きに鑑みて当業者の知識と組み合わせて当業者によって翻訳されるべきものであることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0046】
10 ハニカム構造体
11 セル
12,13 ハニカム構造体の端面
14 セル壁
15 ハニカム構造体の外皮
16 後付け外皮
17 ハニカムフィルタ本体
18 栓
60,70,84 ターンテーブル
62,72,111 面取り工具
66 スイングアーム
81,1210 プレート
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタ物品、その製造方法および製造装置に関する。より詳細には、本発明は、面取りまたは整形された後付け外皮層が上記ハニカム構造体のエッジにおいて欠けおよび剥がれにより損傷するのを防止した、ハニカムフィルタの製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと比較して有害な排出物が少なくかつ燃費に関しても経済的であるが、未処理のディーゼル排気物が概して望ましくない。トラック、バス、ディーゼルエンジンで航行する船舶、電気式ディーゼル機関車および発電機等のディーゼルエンジンで駆動される機器から排出される微粒子を制御/処理するために、ディーゼル微粒子フィルタが従来から用いられて来た。ディーゼル微粒子フィルタは、その構造体内において煤の微粒子を物理的に捕捉することによって、ディーゼル微粒子の排出を制御している。
【0003】
一般的なディーゼル微粒子フィルタ本体は、例えば、互いに反対側にある両端面の間に延びる互いに交差する薄い多孔質の壁からなるマトリクスを有するとともに、これらの壁は、両端面間に延びかつ両端面に開口する多数の隣接する中空通路すなわちセルを形成している。フィルタを形成するために、第1組のセルは一方の端面において閉塞され、残りのセルは他方の端面において閉塞されている。汚染されたガスは、加圧されて一方の端面(入力面)に導かれ、かつ上記入力面に開口するセル(入力セル)通じてフィルタ本体内に入る。入力セルはフィルタ本体の他方の端面(出力面)において閉塞されているので、汚染されたガスは、薄い多孔質の壁を通って、入力面において閉塞されかつフィルタ本体の反対側の出力面において開口している隣接するセル(出力セル)内に強制的に注入される。多孔質の壁の孔を通り抜けるのには大き過ぎる排気ガス中の汚染物である固形物粒子は取り残されて、浄化された排気が出力セルを通じてフィルタ本体の出力面から排出される。
【0004】
このようなディーゼルフィルタは、一般に押出し成形法によって形成され、この方法においては、セラミック材料が押出されて未焼成体となり、この未焼成体が焼成されて最終的なフィルタのセラミック材料を形成する。これらの押出し成形された未焼成体は、如何なるサイズまたは形状のものでも作製可能である。
【0005】
焼成されたセラミック体と同様に、生の未焼成のセラミック体は、製造中および製造後におけるこれらの対象物の取扱いの途中で破損し易い。破損は、セラミック体と面との接触の機械的応力により、これらセラミック体のエッジに生じることが多い。欠けたおよび破損したセラミック体は、製造プラントおよびサプライ・チェーンにおける取扱い損失の大きな原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、機械的損傷を受け難いセラミックハニカム構造体を提供することが望まれる。同様に、機械的損傷を受け難いセラミックハニカム構造体の製造方法も望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態は、面取りされたエッジを備えた後付け外皮を有するハニカムフィルタ構造体の製造方法および装置を提供するものである。実施の形態はまた、面取りされたエッジをハニカムフィルタ構造体の後付け外皮上に形成するための装置を含む。これに加えて、本発明の実施の形態は、面取りされた後付け外皮を有するハニカム構造体を提供するものである。
【0008】
実施の形態において、本発明はハニカム構造体の製造方法を提供し、この方法は、互いに反対側にある端面間に軸線に方向に沿って延びる多数のセルを有するハニカム体を提供し、この場合、上記セルは、交差する多孔質の壁によって画成され、上記ハニカム体上に後付け外皮層を施し、かつこの後付け外皮のエッジを面取りする諸ステップを含み、上記面取りステップは、濡れた後付け外皮層上に実施される。本発明の実施の形態はまた、上記後付け外皮層を施す以前に、上記ハニカム体すなわちマトリクスに輪郭をつけることを含む。さらなる実施の形態において、本発明は、輪郭を付されたまたは直線的の、剛体または可撓性のブレードまたはプレート、あるいは輪郭を付されたまたは直線的のローラーバーである面取り工具を提供する。
【0009】
さらなる実施の形態において、本発明は、面取り縁部を備えたプレートに対し、外皮を備えていないハニカム構造体の一方の端面を当接させて配置し、かつ後付け外皮を施すことにより、整形された後付け外皮を備えたハニカム構造体を製造する方法を提供する。実施の形態において、上記プレートは貼付き防止材または剥離材を備えていてもよい。または、プレートが変形可能な材料を有していても、あるいは回転するものであってもよい。
【0010】
さらなる実施の形態において、本発明は、後付け外皮を備えたハニカム構造体の製造方法を提供し、この方法は、外皮を備えていないハニカム構造体に対し後付け外皮を施し、かつこの後付け外皮を備えたハニカム構造体を押圧プレートに押し付けて、整形された、すなわち面取りされた後付け外皮を備えたハニカム構造体を形成する両ステップを含む。
【0011】
さらなる実施の形態において、本発明は、後付け外皮を備えたハニカム構造体の製造方法を提供し、この方法は、ハニカム構造体をターンテーブル上に配置し、外皮を備えていないハニカム構造体の近傍に、ほぼ平らな中間部および整形された両端部を有する面取り工具を配置し、上記ターテーブルを回転させて、上記ハニカム構造体を面取り工具に対して回転させ、この回転の間に、回転する上記ハニカム構造体と上記面取り工具との間に外皮材料を供給し、その結果、ほぼ平らな中間部および整形された両端部を有する外皮材料層を形成することを含む。
【0012】
さらに別の実施の形態において、本発明は、濡れた後付け外皮上に面取りされたエッジを形成するための面取り工具とターンテーブルとを有する、ハニカム構造体の製造装置を提供する。実施の形態において、上記面取り工具は、剛体または可撓性の、整形されたまたは平らなブレードとすることができる。他の実施の形態において、本発明は、後付け外皮を施すことおよびこの後付け外皮のエッジを面取りすることを単一の製造ステップで行なう装置を提供する。
【0013】
実施の形態において、本発明はまた、ハニカム構造体を提供し、このハニカム構造体は、互いに反対側にある端面間において軸線方向に沿って延びる多数のセルからなるマトリクスと、面取りされたエッジを備えた後付け外皮層とを備えている。実施の形態において、上記マトリクスの端面は、上記ハニカム構造体の軸線方向に対して90°の角度をなしている。後付け外皮層上の面取りは、この後付け外皮と上記ハニカム構造体の端面との交差点を始端としている。実施の形態において、上記マトリクスは面取りされていない。さらなる実施の形態において、上記マトリクスは乾かされまたは焼成されており、上記後付け外皮は湿っている。
【0014】
本発明のこれらのおよびその他の態様および効果は、添付の図面を参照した下記の好ましい実施の形態の詳細な説明が注意深く検討された後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】常套的な方法を用いて製造された典型的な固形物微粒子フィルタ本体の斜視図である。
【図2】ハニカムフィルタ本体の外側が整形されかつ外皮が取り除かれた後のハニカムフィルタ本体の斜視図である。
【図3】後付け外皮を備えたハニカムフィルタ本体の斜視図である。
【図4】ハニカムフィルタ本体上の外皮層の顕微鏡写真である。
【図5】面取りされたエッジを備えないハニカムフィルタ本体と面取りされたエッジを備えたハニカムフィルタ本体との実施の形態を示す図である。
【図6】面取り工具を用いた、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の実施の形態を示す図である。
【図7】ほぼ平らな中間部および整形された両端部を有する面取り工具を用いた、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の別の実施の形態を示す図である。
【図8】面取り工具が面取り縁部を備えた面取りプレートである本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の別の実施の形態を示す図である。
【図9】面取り工具がハニカム体上に押し下げられて面取りされたエッジを形成する面取りプレートである本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の別の実施の形態を示す図である。
【図10】面取り工具が、ハニカム体上に押し付けられて、面取りされたエッジを形成する変形可能な層を備えた面取りプレートである、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の実施の形態を示す図である。
【図11】面取り工具がローラーバーである、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法のさらなる実施の形態を示す図である。
【図12】剥がれ傷を少なくしてハニカム構造体から面取り工具を取り除く方法の実施の形態を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態において好ましい面取り角度の許容範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に実施の形態は、面取りされたエッジを備えた後付け外皮を有するハニカムフィルタ構造の製造方法を提供する。また、実施の形態はハニカムフィルタ構造の後付け外皮上に面取りされたエッジを形成する装置をも含む。本発明の別の実施の形態は、ハニカムフィルタ構造の両端面上に形成された面取りされたエッジを備えた後付け外皮を有するハニカムフィルタを提供する。
【0017】
ハニカムディーゼルフィルタは、ディーゼルエンジンにより生成された排気から、煤およびその他の微粒子物質を取り除くように構成されている。ディーゼルエンジンから吐出された煤を含んだガスは、ハニカムフィルタを通過し、排気中に含まれる煤を含む微粒子物質は、フィルタのハニカム構造の壁内に捕捉されることになる。
【0018】
一般に、ハニカムフィルタ構造は、互いに反対側にある一対の端面間にほぼ平行な列をなして配列された、フィルタの軸線方向に沿って延びる多数の隣接するセルを有する。通常このハニカム構造は、両端面間に延びる多数の互いに交差している薄い多孔質の壁によって形成されている。一般に、ハニカムフィルタの壁は、両端面間に延びかつセル列を束ねる外壁すなわち外皮を有し、この外皮は、フィルタの長さ方向に沿うフィルタ構造の最も外側の壁を画成している。
【0019】
固形物微粒子の濾過およびその他の用途のためのハニカム構造は、セラミック、ガラスセラミック、ガラス、金属、セメント、樹脂または有機ポリマー、紙、または織布(充填材等を含むもの、または含まないもの)、ならびにこれらの種々の組合せを含む種々の多孔質材料から形成される。固形物微粒子の濾過に用いられる、一様な薄い多孔質の相互連結された壁を有するハニカム構造は、焼結のための焼成後に多孔質の焼成された材料を生成する、可塑性を有しかつ焼成可能な物質、特に金属粉末、セラミック、ガラスセラミック、セメントおよびその他のセラミックを主成分とする混合物から製造されるのが好ましい。いくつかの実施の形態によれば、ハニカム構造が、炭化珪素、コージェライトまたはチタン酸アルミニウム等の多孔質セラミック材料から形成される。
【0020】
本発明の一つの実施の形態において、ハニカムフィルタは、化学式2MgO−2Al2O3−5SiO2からなる合成セラミック組成物であるコージェライトから形成される。コージェライトは極めて低い熱膨張係数を有し、これは材料を過激な熱サイクルに強いものにする。コージェライトはまた、高い耐熱性(約1200℃)および良好な機械的強度を有する。
【0021】
一般に、ハニカムフィルタ構造体は押出し成形によって形成され、その場合、セラミック材料が押し出されて未焼成体になった後、この未焼成体が焼成されて最終的なフィルタを構成するセラミック材料になる。これらの構造体は、成形型から押し出されかつ切断されて、エンジン製造業者の要求に合った形状およびサイズを有するフィルタを形成する。これらの押出し成形された未焼成体は、如何なるサイズまたは形状のものも作製可能である。
【0022】
一般に、セラミックハニカムフィルタ構造体が押し出されるときに、押出し成形工程の機能として、密実な外表面すなわち外皮がフィルタ構造の全長に亘って提供される。しかしながら、状況によっては、フィルタ構造体から外表面すなわち外皮を取り除くことが必要になる場合がある。例えば、本発明の一つの実施の形態において、未焼成セラミックハニカムフィルタが押出し成形され、次いで所望の形状およびサイズに整形され、ハニカムフィルタ構造体の押し出された外皮が取り除かれる。別の実施の形態においては、セラミックハニカムフィルタ構造体が押出し成形された後に焼成され、次いで所定の形状およびサイズに削られ、ハニカムフィルタ構造体の外皮が取り除かれる。
【0023】
別の実施の形態においては、セラミックハニカムフィルタ構造体が、一体に組み立てられかつ互いに固定された多数のハニカム構造体から組み立てられて、単一のセラミックハニカムフィルタ構造を形成することができる。これらの組み立てられたハニカム体もまた、削られまたは切断されてハニカムフィルタ構造を形作り、このハニカムフィルタ構造体の外皮が除かれる。
【0024】
ここで図面を参照すると、押出し成形されかつ焼成された後の例示的な固形物微粒子フィルタが図1に示されている。このフィルタ本体は、両端が開放された多数の中空の通路すなわちセル11を有するハニカム構造体10を備え、これらのセル11は、ほぼ平行な状態でハニカム構造体10を貫通して延びている。セル11の両端は開放され、かつこの構造体10の互いに反対側にある端面12,13において、一対のほぼ同一の開放面を形成している。セル11自体は、両端面12,13間に延びる交差壁のマトリクスによって形成されている。フィルタ本体として用いる場合、壁14は多孔質で両端面12,13間に連続しており、かつ一様に薄いことが好ましいが、厚さが一様でない壁を用いてもよい。外壁(外皮)15は、セル11および薄い壁14の境界となる両端面12,13間に延びている。
【0025】
このハニカム構造体10は、一般に100〜350セル/平方インチ(15〜54セル/cm2)セル(チャンネル)密度を有するが、如何なるセル密度に形成されたものでもよい。本明細書における用語「ハニカム」は、大体においてハニカム構造を有する材料を含ませるつもりであるが、厳密に正方形構造に限定されるものではない。例えば、六角形、八角形、三角形、正方形、長方形、またはその他の適当なセル形状のものを用いてもよい。
【0026】
このハニカム構造体10は、押出し成形後において整形することができる。図2は、フィルタ本体またはマトリクスの輪郭が形成された後のハニカム構造体10の実施の形態を示す。外皮を備えないハニカム構造体を「マトリクス」または「フィルタ本体」と呼ぶ。フィルタ構造体の整形により、ハニカムフィルタ本体から外皮が取り除かれる。整形は、所望の形状およびサイズに達するまでハニカム構造体の外表面を切断または研削することを含む従来から知られている方法によって達成することができる。交差する壁14のマトリクスによって形成された、両端が開放された多数の中空の通路すなわちセル11を有し、かつ互いに反対側の両端面12,13を有するハニカム構造体10は依然として無傷である。しかしながら、図1に15で示された外壁すなわち外皮はもはや存在していない。ハニカムフィルタ本体の外表面すなわち外皮は、未焼成セラミックからでも、焼成されたセラミック構造体からでも取り除くことができる。ハニカム構造体の周縁形状は、例えば円形、楕円形等の如何なる可能な形状にもすることができる。
【0027】
図3は施栓されたハニカムフィルタ構造体を示す。図3に示されているように、端面12,13において、ハニカム構造体10の一つ置きのセル11が栓18を用いて好ましくは市松模様に閉塞されている。端面13(図3では隠れている)上の施栓パターンは、端面12に示された施栓パターンの裏返しである。栓18は、ハニカム構造体の組成およびそのフィルタ本体としての究極の使用に対して両立する材料から選ばれる。フィルタ本体は、ハニカム構造体の一方の端面12における一組のセルの開放端の施栓、被覆、または閉塞によって、ハニカム構造体10から形成される。閉塞されていない残りのセルは、構造体の残りの端面13において施栓、被覆、または閉塞されることが好ましい。選択されたセルは、端面12,13の近傍からセル11内へ短い距離延びるシール材またはセメント等の適当な栓材料を用いてそれぞれ施栓されており、シール材またはセメントが例えばマスクを通じてセルの端部内に注入されることにより形成される。栓の形成後、シール材またはセメントは、濾過されるべきガスの流れを実質的に阻止するシールを形成するために選択された特定材料に適した方法によって硬化される。栓が所定位置に配置されると、マスクは取り外される。入力端面12および出力端面13上に交互のパターンをもって配置された結果、フィルタ本体内に流入した排気ガスは、入力面においては施栓されていないフィルタセル内に流入し、セル11の多孔質の壁を通り抜け、出力面においては施栓されていないフィルタセルを通ってフィルタ本体の外へ流出する。
【0028】
本発明の一つの実施の形態においては、ハニカム構造体が乾かされかつ焼成されて、セラミック材料が焼結する。これらの乾燥および焼成ステップは、ハニカムフィルタ本体が整形および/または施栓される以前でも以後でもよい。ハニカムフィルタ構造体が整形され、乾かされかつ焼成された後に、新たな外皮すなわち後付け外皮が施される。図3は、後付け外皮16を備えたハニカムフィルタ構造体10を示す。図4はハニカムフィルタ本体17上の外皮15を示す顕微鏡写真である。
【0029】
図3に示されているように、後付け外皮16は従来技術で知られている如何なる材料であってもよい。一つの実施の形態において、後付け外皮は、有機または無機バインダ成分を含んだ基礎的なコージェライトである。本発明の一つの実施の形態において、後付け外皮16は、ハニカムフィルタ本体が焼成されかつ所望の形状およびサイズに整形された後にハニカムフィルタ本体に施される。この後付け外皮16は、従来から知られている技法を用いてハニカムフィルタ本体に施される。一旦ハニカムフィルタ本体が乾かされかつ焼成された後に、この焼結されたセラミック材料を再び焼成することは望ましくない。それ故に後付け外皮は、ハニカムフィルタ本体と同様の高温では焼成されない。ハニカムフィルタ本体と同様の態様で焼成されないために、この後付け外皮は、ハニカムフィルタ本体自体よりも損傷を受け易い。フィルタ本体が取り扱われるときに、後付け外皮は、特に端面または構造体のエッジが欠けたり破損したりする。例えば、後付け外皮を備えた重いフィルタ本体が表面に接触したり、表面に摺接したりすると、端面における後付け外皮のエッジが破損したり欠けたり剥がれたりする恐れがある。このことは、大型の重いフィルタ本体が人手によって取り扱われるときに、および製造工程において最終的なフィルタ製品が組み立てられまたは缶に容れられる処理がなされるときに特に明らかである。これらのエッジの欠け、剥がれまたは破損は、少なくとも外観上の問題を発生させ、かつフィルタ製品の長期間の信頼性に悪影響を及ぼす恐れがある。欠けたまたは破損した外観を有する製品は、製造プラントおよびサプライ・チェーンにおける重大な取扱いによる損失発生源である。
【0030】
図5は、面取りされていないエッジ20および面取りされたエッジ21を備えたハニカムフィルタ本体の実施の形態を示す。図5は、面取りされていないエッジを備えたハニカム体が、より軟らかい後付け外皮を硬い面22に曝した状態を示す。後付け外皮が面取りされると、より硬い、焼成されかつ焼結されたハニカム構造体が面22に接触し、したがって、ハニカム構造体は、エッジの欠け、剥がれおよびひび割れを受け難くなる。図5はまた、一つの実施の形態において、後付け外皮の面取りされたエッジが、後付け外皮とハニカム構造体の端面との交差点に生じることをも示している。この構成において、面取りは後付け外皮の欠けおよび剥がれに対する有効な防護を提供する。もし、面取りが後付け外皮16の層全体に拡がっていなければ、欠けおよび剥がれがなおも後付け外皮に生じる可能性がある。もし面取りされたエッジがハニカム構造体自体内にまで及んでいれば、ハニカムフィルタの有用性が損なわれる。換言すれば、マトリクスの端面は面取りされてはならず、かつハニカム構造体の軸線方向に対して90°をなしていなければならない。
【0031】
後付け外皮のエッジは、端面において面取りされることが可能である。この面取りは、後付け外皮がハニカム体に施されるときと同時の単一ステップで、または後付け外皮が施された後の別のステップで行なうことができる。面取りされたエッジは、面取り工具を用いてハニカムフィルタ構造体の後付け外皮上に形成することができる。本発明の面取り工具は、ナイフ、ブレード、スポンジ、ワイヤ、振動ブレード、振動ワイヤ、ローラーバー、プレート、面取りプレート、面取りブレード、スキンプレート、面取り形状プレスプレート、プレスプレート、グラインダ、サンダ、あるいは、湿ったまたは硬化されたセラミック材料上に傾斜したエッジを備えた後付け外皮を形成するのに適したその他の装置を含む多くの構造のものを用いることができる。面取り工具は、剛体または変形可能な、整形された、起伏のある、または平坦なものとすることができる。面取り工具は、後付け外皮が貼りつかない機構を備えたものとすることができる。例えば、面取り工具は、貼付き防止加工された表面または剥離剤を備えた面取りプレートとすることができる。
【0032】
面取り工具は、ハニカム構造体の周囲を回転可能なものでも、または面取り工具が固定されていて、ハニカム構造体が面取り工具に対して移動するものでもよい。
【0033】
図6は、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の一つの実施の形態を示す。外皮を備えていないハニカム構造体はターンテーブル60上に配置されることができ、かつ後付け外皮16がハニカムフィルタ構造体の外表面に施されることができる(不図示)。図6は、ターンテーブル60上の後付け外皮16を備えたハニカムフィルタ本体10の一つの実施の形態を示す。ハニカムフィルタ本体10の外表面に後付け外皮16が施された後、ターンテーブル60上のハニカム構造体を回転させながら、未だ湿った状態にある後付け外皮16のエッジに対して面取り面63を備えた面取り工具62を当接させることによって、面取りされたエッジ64が生成される。当業者であれば理解しているように、湿ったセラミック材料は変形可能である。本明細書における「湿った」とは、セラミック材料が、焼成も乾燥も焼結もされず、あるいはセラミック材料を硬化させる処理を被っていないことを意味する。図6に示された実施の形態においては、スイングアーム66上に取り付けられた面取り工具62が、未だ湿っている後付け外皮16のエッジに当接する位置に旋回されることによって、後付け外皮16のエッジが面取りされる。面取り工具は、ブレード、スキージー、スポンジ、振動ナイフ、または湿ったセラミック材料上に傾斜したエッジを形成するのに適したその他の装置とすることができる。エッジが修正されて部分は次いで乾かされ、さもなければ当業者周知の方法によって処理される。
【0034】
他の実施の形態において、図6に示されているような後付け外皮を備えたハニカム体は、乾かされ、さもなければ硬化される。この実施の形態においては、面取り工具を、硬化された面を整形するためのサンダまたはグラインダとすることができる。
【0035】
別の実施の形態においては、ハニカムフィルタ構造体が円形でない場合のハニカムフィルタ構造体の後付け外皮に対し、面取りされたエッジを施すことができる。例えば、ハニカムフィルタ構造体は楕円形、正方形、六角形、またはその他の形状であってもよい。この実施の形態において、後付け外皮を備えたハニカムフィルタ構造体は、コントローラによって制御されるターンテーブル上に配置され、この場合上記コントローラは、面取り工具に与えられているエッジが、ハニカムフィルタ構造体の形状に関わりなく、面取りされるべき構造体から一定の距離となるように、ターンテーブルの回転のみでなく、面取り工具に対してターンテーブルを移動させるようにプログラムされている。別の実施の形態においては、固定されているハニカムフィルタ構造体に対して面取り工具が移動し得るように、面取り工具を移動可能かつプログラム可能にすることができる。例えば、移動可能なロボットアーム上に面取り工具を取り付けることができ、この場合、移動可能なロボットアームは、ハニカムフィルタ構造体に向かって面取り工具を移動させ、かつこの面取り工具を適当な角度に保持し、ハニカム構造体の端面の周りでロボットアームを移動させて、面取りされたエッジをハニカムフィルタ構造体の後付け外皮上に生成させることができる。
【0036】
別の実施の形態においては、後付け外皮の取付けとエッジの整形すなわち面取りとを単一ステップで行なうことができる。図7は、ほぼ平らな中間部73および整形された両端部75を有する面取り工具72を示す。これらの整形された両端部75は、図7に示されているように、仕上げられたハニカム構造体上に所望の面取り角度を提供する。図7には傾斜した端部が示されているが、面取り工具のまたは面取りブレードの両端部は、丸められた、斜めになった、またはその他の湿ったセラミック材料に当接したときに面取りされた表面を形成する形状を含む如何なる形状のものでもよいことを当業者は理解するであろう。この実施の形態においては、ターンテーブル70上のハニカム構造体10を回転させながら、外付け外皮がハニカム構造体の外表面に施されることができ、かつハニカム構造体に対して面取り工具72を配置することによって、面取りされたエッジ74が生成されることができる。この実施の形態においては、後付け外皮16がハニカム構造体10に施され、かつ後付け外皮の両端面が単一ステップで面取りされる。一つの実施の形態において、本発明は、外皮を備えていないハニカム構造体をターンテーブル上に配置し、上記外皮を備えていないハニカム構造体の近傍に、ほぼ平らな中間部および傾斜した両端部を有する面取り工具を配置し、上記ターンテーブルを回転させて上記ハニカム構造体を上記面取り工具に対して回転させ、その間に、回転するハニカム構造体の表面と上記面取り工具との間に外皮材料を供給し、これにより、ほぼ平らな中間部および整形された両端部を備えた外皮材料層が上記ハニカム構造体に施される。
【0037】
本発明の一つの実施の形態においては、後付け外皮が未だ湿っている間に、後付け外皮のエッジを面取りすることができる。例えば、乾燥以前の後付け外皮は柔軟でかつ整形が容易である。例えば、ハニカムセラミック材料は押出し成形され、焼成され、かつ焼結され、次いでハニカムフィルタ本体の外皮を取り除くステップで整形され、かつハニカムセラミック構造体の全長に亘って後付け外皮を施すことができる。一つの実施の形態において、未だ湿っている間に、好ましい面取り角度を形成するように構成されかつ配置された面取り工具は、ハニカムフィルタ本体が回転されている間に、ハニカムフィルタ本体のエッジに保持されて面取りされたエッジを形成する。別の実施の形態において、面取り工具は、ハニカム構造体の外側に外皮が施されているときに、その上にハニカム体が乗っているプレートとすることができる。このプレートが面取りとは逆形状の縁部を有している場合に、ハニカム構造体の外側に施される外皮は、上記プレートの形状を採り、面取りされた後付け外皮を備えたハニカム構造体が形成される。一つの実施の形態において、面取りされたエッジは、後付け外皮にのみ施され、ハニカムフィルタ本体内までは及んでいない。
【0038】
図8は、本発明の後付け外皮のエッジを面取りする方法の別の実施の形態を示す。図8に示されているように、ハニカム構造体10は、面取りとは逆形状の縁部83を備えたプレート81上に配置される。面取りとは逆形状の縁部83を備えたプレート81上に乗っているハニカム10の外面に後付け外皮が施されると、面取りされたエッジが後付け外皮16の端面に形成される。この方法は、ハニカム構造体の一方のまたは双方の端面において後付け外皮を面取りするのに用いることができる。この実施の形態においては、面取り工具がプレート81、すなわちスキンプレート81である。このプレート81は、ターンテーブルと一体であっても、またはターンテーブル84上に配置された別部材であってもよい。あるいは、プレート81が固定されていてもよい。
【0039】
図9は、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の他の実施の形態を示し、これによって、面取り形状のプレート91、すなわちプレスプレート91が外皮16を押圧し、濡れた外皮16に対し、プレスプレート91によって画成された輪郭を採らせる。この実施の形態においては、面取り工具がプレスプレート91である。図10は、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の他の実施の形態を示す。図10に示されているように、整形プレートすなわちプレスプレート101は、変形可能な材料層102を備えることができ、あるいは、圧縮可能な材料層をハニカム構造体の端面に当てて押し下げることができる。変形可能な材料の実例は、シリコンまたは発泡材またはその他の適当な材料である。変形可能な材料層102は、使い捨て可能で、面取り工程において、プレスプレートとハニカム体との間に挿入することができる。あるいは、変形可能な材料層102は、プレスプレートと一体に形成されて、何回も用いることができる。この押圧可能な変形可能な媒体は、濡れた変形可能な後付け外皮に押し付ける工程は、圧縮可能な媒体がプレスプレートとハニカム構造体との間に潰される結果となる。この圧縮可能な媒体102の作用は、柔軟な後付け外皮のエッジを押し付けて、整形された、すなわち面取りされたエッジを生じさせることである。
【0040】
図11は、本発明の後付け外皮のエッジの面取り方法の別の実施の形態を示す。図11に示されているように、面取りされた、すなわち整形されたエッジは、ハニカム構造体10のエッジに対し、転動可能な面取り工具111を接触させることによって形成することができる。この実施の形態においては、濡れたすなわち従順な後付け外皮16は、転動可能な工具すなわちローラーバーである面取り工具を、変形可能な未だに濡れている後付け外皮を有するハニカム体の両端面の角部に押し付け、かつこのローラーバー111をハニカム体の周りで旋回させることによって面取りされたエッジが形成される。ローラーバー111は、曲線または直線の輪郭を有することができ、かつ所望の整形されたエッジを形成するために如何なる形状をも有することができる。
【0041】
整形されたハニカム構造体から面取り工具を取り外すと、望ましくない産物を残すことがある。例えば、図8,図9または図10の面取りプレートをハニカム構造体から引き上げると、湿った後付け外皮材料の一部が引っ張られて、望ましくない変形部をハニカム構造体上に残すことになる。特に図10に言及すると、濡れた後付け外皮に対し圧縮可能な材料が押し付けられ、次いで濡れた圧縮可能な材料が引っ張られると、この圧縮可能な材料を取り除くことにより、濡れた後付け外皮が引っ張られて変形する。本明細書における「引っ張り変形部(pull residue)」または「捲くれ上がり縁部(lip pullup)とは、ハニカム構造体の表面から整形工具を取り除くことによって生じるハニカム体または外皮の変形部を意味する。この変形部は、切断、平滑化、研削または研磨、または当業者が周知のその他の手法または複数の手法の組合せによって取り除くことができる。
【0042】
図12は、引っ張り変形部を小さくするためのハニカム構造体10からプレート1210を取り外す方法の実施の形態を示す。一つの実施の形態において、図12は、図8、図9または図10のプレートを、整形されたハニカム構造体に対して回転させることによって、ハニカム構造体10からプレート1210を取り外すことを示す。この回転は、濡れた外皮材料とプレートとの間の付着力を遮断するように働き、引っ張り変形を軽減する。図12はまた、プレート1210が、引っ張り変形を軽減するために貼付き防止層または剥離層1212を備えることができる。貼付き防止層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFEまたはテフロン(登録商標))、超高分子量ポリエチレン(UHMW)、またはこの目的に適したその他の周知の材料から形成可能である。剥離層は、シリコン、澱粉、またはオイル等の剥離材料がスプレーまたは導入された層を含む。これらの剥離材料は、面取りの度ごとに補充する必要がある。
【0043】
後付け外皮が施される以前にハニカム体が焼成されてしまっている場合には、そして焼成されて焼結されたハニカム体がさらなる高温焼成に曝されるのは望ましくないので、後付け外皮を備えたハニカム体を、焼成/焼結工程で用いられる程厳しくはない温度、例えば300℃未満の温度に曝すことにより、後付け外皮を乾燥工程に曝すことが望ましい。
【0044】
後付け外皮の面取りされたエッジは、丸みを帯びた、傾斜した、三角角形等の如何なる形状を有するものであってもよい。随意的に、後付け外皮の面取りされたエッジが、サンダ、グラインダ、またはドクターブレード等の器具を用いて仕上げられてもよい。図13は、本発明の実施の形態に好ましいであろう面取り角度の許容範囲を示す。この面取り角度は、例えば5度と85度との間、あるいは15度と75度との間であればよい。
【0045】
複数の具体的な実施の形態についての上述の説明は、本発明の一般的な性質を明らかにしたものであって、当業者であれば、過度の実験を行なうことなく、かつ本発明の一般的な考え方から離れることなしに、容易に上記具体的な実施の形態を修正し、および/または種々の用途に適応させることが可能なものである。したがって、このような適応および修正は、ここに提供された教示および手引きに基づく、開示された実施の形態の均等物の意義および範囲内にあると目される。ここに記載された用語および述語は、説明のためのものであって、限定のためのものではなく、本明細書の用語および述語は、ここに提供された教示および手引きに鑑みて当業者の知識と組み合わせて当業者によって翻訳されるべきものであることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0046】
10 ハニカム構造体
11 セル
12,13 ハニカム構造体の端面
14 セル壁
15 ハニカム構造体の外皮
16 後付け外皮
17 ハニカムフィルタ本体
18 栓
60,70,84 ターンテーブル
62,72,111 面取り工具
66 スイングアーム
81,1210 プレート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム構造体の製造方法であって、
互いに反対側にある両端面間を貫通して延びる多数のセルを有するハニカム体を提供し、この場合、前記セルは交差する多孔質の壁によって画成されており、
前記ハニカム体上に後付け外皮を施し、かつ
該後付け外皮のエッジを面取りする、
諸ステップを含み、
前記面取りステップが、湿った後付け外皮層上に施行されることを特徴とする、ハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記面取りステップが、前記ハニカム体を回転させながら、前記湿った後付け外皮の少なくとも一方の端面に対して面取り工具を当接させることによって施行されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記面取りされたエッジが5度と85度との間の角度を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
ハニカム構造体であって、
該ハニカム構造体の軸線方向に沿って互いに反対側にある端面間に延びる多数のセルからなるマトリクスと、後付け外皮層とを備え、前記セルは交差する多孔質の壁によって画成されており、
前記後付け外皮層は面取りされたエッジを備え、かつ
前記後付け外皮層上の前記面取りは、前記後付け外皮と前記ハニカム構造体の端面との交差点を始端としていることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項5】
前記マトリクスは面取りされていないことを特徴とする、請求項4記載のハニカム構造体。
【請求項1】
ハニカム構造体の製造方法であって、
互いに反対側にある両端面間を貫通して延びる多数のセルを有するハニカム体を提供し、この場合、前記セルは交差する多孔質の壁によって画成されており、
前記ハニカム体上に後付け外皮を施し、かつ
該後付け外皮のエッジを面取りする、
諸ステップを含み、
前記面取りステップが、湿った後付け外皮層上に施行されることを特徴とする、ハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】
前記面取りステップが、前記ハニカム体を回転させながら、前記湿った後付け外皮の少なくとも一方の端面に対して面取り工具を当接させることによって施行されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記面取りされたエッジが5度と85度との間の角度を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
ハニカム構造体であって、
該ハニカム構造体の軸線方向に沿って互いに反対側にある端面間に延びる多数のセルからなるマトリクスと、後付け外皮層とを備え、前記セルは交差する多孔質の壁によって画成されており、
前記後付け外皮層は面取りされたエッジを備え、かつ
前記後付け外皮層上の前記面取りは、前記後付け外皮と前記ハニカム構造体の端面との交差点を始端としていることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項5】
前記マトリクスは面取りされていないことを特徴とする、請求項4記載のハニカム構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−525965(P2010−525965A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506200(P2010−506200)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/004627
【国際公開番号】WO2008/136898
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/004627
【国際公開番号】WO2008/136898
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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