説明

面状発光装置及びシートスイッチモジュール

【課題】本発明は、ライトガイドと反射シートとの重ね合わせ構造の接点部分における光の損失現象を抑制し、光源に近い領域から光源と離れた領域のいずれの光取出部からでも明るい表示を得ることができる面状発光装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、LED等の光源1と、光源に近接配置されて光源からの光をその端面側から導入するとともにその面方向に光源からの光を導光するシート状のライトガイド2と、該ライトガイドの厚さ方向一側に配置された反射シート3を具備してなる面状発光装置であって、ライトガイドの反射シートを設けた側と反対側に光取出部2aが複数形成され、ライトガイドに対向する側の反射シートの表面に、微細な凹凸部3aが形成され、凹凸部の平均粗さRaが0.4μm<Ra<20μmの範囲とされてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等の操作ボタン、キーボタンを暗所にて操作する際、ボタンやキーの位置を見易くするための照明に用いて好適な面状発光装置及びシートスイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話のキーボタン部を明るく照明するための面状発光装置が使用され、この面状発光装置の一形態として、側面発光方式の面状発光装置が広く用いられている。即ち、表示部である液晶パネルの背面側に配置される導光板(ライトガイドフィルム)と、このライトガイドフィルムの端側面に配置された光源とによって面状発光装置が構成されている。また、この種の面状発光装置に適用される光源として、LED(Light Emitting Diode)、冷陰極管等を例示することができる。
【0003】
この種の押ボタンスイッチ式の照明装置の一例として以下の特許文献1には、複数個の操作キーと、操作キーの下方に配置されて操作キーの押圧によってスイッチングを行うスイッチング素子と、操作キーとスイッチング素子との間に配置され、側面に配置された光源から入射した光を操作キーの下面に向けて投射して下方から照明する可撓性の導光板とからなる構造の照明装置が開示されている。
【0004】
また、操作キーの下に設けられるスイッチング素子の一構造例として、以下の特許文献2に記載の如く、接点部を備えた基板上に腕型形状のドーム状部材を配置し、このドーム状部材をドーム押えシートで覆って構成し、このドーム押えシートの上から指やペンなどの操作子によりドーム状部材を変形させて基板上の接点部に接触させ、入力操作を行う構造のドーム型スイッチが知られている。
【0005】
次に、発光素子からの光を押圧部に向けて導光するとともに、押圧部を高輝度で発光表示できるように構成し、キースイッチと照明機能とが一体化された構造のシートスイッチモジュールとして、図4に示す如く、固定接点50をFPC51上に配置し、メタルドーム型の可動接点52を被覆保持したシート材53と導光性シート54をその上に配置し、導光性シート54の上から可動接点52を押圧して可動接点52を変形させ、固定接点50に導通可能とするとともに、FPC51上に配置した発光素子55からの光を導光性シート54を介して可動接点52の上面に沿って導光し、可動接点52上の導光性シート54にエンボス部56を形成して光を取り出すことができる導光性シートを利用したシートスイッチモジュールDが知られている。(特許文献3参照)
【特許文献1】特開2001−167655号公報
【特許文献2】特開2006−260974号公報
【特許文献3】特開2007−053063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先の特許文献3に記載のキースイッチと照明機能とが一体化された構造のシートスイッチモジュールDにあっては、指によるスイッチ入力時の押圧操作感が良好であって、導光性能も必要であることから、導光性シートをシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、などの導光性の高い樹脂から構成することが好ましいとされている。
これらの樹脂の中でもシリコーン樹脂から導光シートを構成すると、柔らかく、透明性が高く、信頼性にも優れた導光シートを得ることができるので、好ましいと考えられるが、シリコーン樹脂は、現在材料費が高いことがネックとなっており、他の材料への変更が期待されている。
前記ポリカーボネイト樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂は、透過率が高く、耐環境性に優れているという利点を有する反面、フィルムとした場合の硬度が高いため、フィルムの厚みを大きくすると、スイッチ素子としての感触が悪くなってしまい、また、フィルムを薄くすると光源から導光シートへの入光量が少なくなって、表示が暗くなる問題がある。
【0007】
また、これらの他の樹脂として、本発明者は、エラスティックポリメタクリル酸メチル樹脂(Elastic PMMA)やウレタン樹脂、ウレタンアクリレートなどの樹脂材が導光シートとして適していると、思料しており、これらの樹脂材は材料として柔らかく、光の透過率が高い利点を有する反面、特許文献3の構造を採用すると、導光シートと反射シートが隙間無く密着するので、この密着構造により導光シート内部を伝達するべき光が吸収されてしまい、光源に近い領域と光源から遠い領域などのように、位置毎の明るさにバラツキが出易いという問題を有していた。
【0008】
前記問題を解決するため、シート状のライトガイドと反射シートとの重ね合わせ構造の接点部分における光の損失現象を抑制し、光源に近い領域から光源と離れた領域まで、即ち、ライトガイドの隅々まで光を確実に導光することができ、ライトガイドのいずれの光取出部からでも明るい表示を得ることができる面状発光装置の提供を目的とする。
また、本発明のシートスイッチはいずれの光取出部においても明るい表示が可能である上に、スイッチ操作感に優れた操作性を得ることができるシートスイッチモジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明の面状発光装置は、LED等の光源と、前記光源に近接配置されて前記光源からの光をその端面側から導入するとともにその面方向に前記光源からの光を導光するシート状のライトガイドと、該ライトガイドの厚さ方向一側に配置された反射シートを具備してなる面状発光装置であって、前記ライトガイドの前記反射シートを設けた側と反対側に光取出部が複数形成され、前記ライトガイドに対向する側の前記反射シートの表面に、微細な凹凸部が形成され、前記凹凸部の平均粗さRaが0.4μm<Ra<20μmの範囲とされてなることを特徴とする。
本発明において、前記反射シート表面の微細凹凸部が、マット印刷部、スクリーン印刷部、グラビア印刷部、パッド印刷部、サンドブラスト加工部、シボ加工部のいずれかからなるものでも良い。
本発明は、前記ライトガイドにおいて前記反射シート側の一面が平坦面とされ、この平坦面に前記反射シートの凹凸部を当接させて反射シートが配置されてなる構造を採用しても良い。
本発明において、前記ライトガイドがその表面にタック感を付与した表面粘着性の樹脂からなることを特徴とするものでも良い。
本発明のシートスイッチモジュールは、先のいずれかに記載の面状発光装置にシートスイッチが積層され、該シートスイッチには複数の感圧型のスイッチ素子が組み込まれ、前記ライトガイドの光取出部に対して前記感圧型のスイッチ素子が平面視位置合わせされてなることを特徴とするものでも良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ライトガイドに積層する形態で設けられる反射シートのライトガイド側の表面に平均粗さRaを0.4μm<Ra<20μmの範囲とした微細凹凸部を形成することにより、ライトガイドと反射シートとの重ね合わせ構造の接点部分における光の吸収、損失現象を抑制し、光源に近い領域から光源と離れた領域まで、即ち、ライトガイドの隅々まで光源からの光を確実に導光することができ、ライトガイドのいずれの光取出部からでも明るい表示を得ることができる面状発光装置を提供できる。
上述の範囲のRaの微細凹凸部であれば、ライトガイドと反射シートの間に適切な隙間が存在し、両者が密着し難いために、光源からの光がライトガイドと反射シートの境界領域において吸収される割合が少なくなる。
反射シートに形成する微細な凹凸部は、マット印刷部、スクリーン印刷部、グラビア印刷部、パッド印刷部、サンドブラスト加工部、シボ加工部のいずれかからなるものでも良い。これらの中でもスクリーン印刷部であるならば、グラビア印刷に比べて刷版が安価であり、入手しやすく、パッド印刷よりも精度が高く、繰り返し印刷する場合の再現性が高く、量産性にも優れているので、好適である。
【0011】
反射シート表面のRaを0.4μm<Ra<20μmの範囲とするならば、タック感の強い表面粘着性のライトガイドであっても、ライトガイドと反射シートの密着部分が少なくなり、光の吸収が抑制されるので、従来ライトガイドに適用できなかったタック感の強い表面粘着性のライトガイドであっても適用できる。
また、反射シート表面のRaを前述の範囲とすることにより、反射シートの表面積が増えるので、ライトガイドに対する反射シートの粘着強度も向上する。
次に、微細な凹凸部は、マット印刷部、スクリーン印刷部、グラビア印刷部、パッド印刷部、サンドブラスト加工部、シボ加工部のいずれかを選択することができ、コストと再現性と量産性に優れた状態で得られる反射シートを面状発光装置用として利用できる。
また、本発明のシートスイッチモジュールであるならば、スイッチ素子の部分に位置合わせされているライトガイドの光取出部を均一に照明できるとともに、これら照明されている光取出部の部分を押圧してその下に設置されているスイッチ素子を操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る面状発光装置の第1の実施の形態について図面を参照して説明するが、本発明が以下に説明する実施の形態に制限されるものではないことは勿論である。
図1は、本発明に係る面状発光装置の第1の実施形態を示す側面図である。図1において面状発光装置Aは、符号1で示すLED(Light Emitting Diode)などの発光素子からなる光源と、光源1の側部に設けられたシート状のライトガイド2と、該ライトガイド2の下面側に配置された反射シート3を具備してなる。
前記光源1は、LEDからなるものである場合は、箱状のケースの内部に発光素子チップが内蔵され、この発光素子チップが出射した光をケース側面の出射面1Aから出射できるように構成されている。この光源1は例えばフレキシブルプリント基板などの基板上に実装される。なお、この光源1は、LEDに限るものではなく、冷陰極管などの発光体からなる構成でも差し支えない。
前記ライトガイド2は、樹脂製のシート状で、例えば平面視長方形であり、その側端面2Aをこの実施形態では光源1の発光面1Aに近接させた状態で基板上に設置されている。
ライトガイド2を構成する樹脂は、本実施形態では、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、Elastic PMMA(アクリル)、ウレタン樹脂、ウレタンアクリレートからなる群から選択された1種であることが好ましい。ポリウレタン系樹脂は安価に提供でき、ポリカーボネイト系樹脂やアクリル系樹脂は成形性に優れており、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂は長期信頼性に優れ、Elastic PMMA(アクリル)、ウレタン樹脂、ウレタンアクリレートは柔らかく、透過率が高い利点がある。
【0013】
ライトガイド2の上面側には、所定の間隔で複数の光取出部2aが形成されている。これらの光取出部2aは、ライトガイド2を構成する樹脂シートの上面の必要な区画の表面に凹凸部を形成するなどの構造を採用し、凹凸部を形成した区画においてライトガイド2の上面にライトガイド2の内部から光が漏れ出るように構成されたものである。ライトガイド2にあっては、その側端面2Aに対し、光源1からの出射光が入射されると、その入射光がライトガイド2の表面と裏面の間で反射しながらライトガイド2の内部を伝搬してゆくが、ライトガイド2の表面の必要な区画に凹凸部などを形成すると、内部を伝搬している光が漏れ出てくる。これにより、ライトガイド2の光取出部2aから外側に光を出射することができる。
【0014】
図1においてライトガイド2の下面側(裏面側)には反射シート3が設けられている。この反射シート3は、ライトガイド2を囲んで設けられる額縁部材等に周辺部分を挟まれた状態でライトガイド2と重ねて設けられている。この反射シート3は、例えば、白色樹脂、銀色に塗布した樹脂シートなどからなり、ライトガイド2から下方に漏れてくる光をライトガイド2側に反射して戻すことができるようにライトガイド2の下面側に設置されている。
そして、この反射シート3のライトガイド2側の表面、即ち上面には、表面粗さRaが0.4μm以上、20μm以下の範囲の微細な凹凸部3aが形成されている。この反射シート3はライトガイド2の下面側に設置される場合に、通常、厚さ30μm以上、50μm以下程度に形成されるので、Raは最大でも20μm程度が好ましく、ライトガイド2の下に設ける場合に平坦なライトガイド2の下面と反射シート3の上面との密着に伴う光吸収や散乱を抑制するためにもRaが0.4μm以上であることが好ましい。反射シート3の上面の表面粗さRaがこの範囲であるならば、反射シート3の強度低下を引き起こすことなく、上述の光吸収や光散乱を抑制することができる。
【0015】
特に、前記ライトガイド2をElastic PMMA(アクリル)、ウレタン樹脂、ウレタンアクリレートなどのタック感があり、表面粘着性の樹脂では、ライトガイド2の下面と反射シート3の表面とが密着してしまうと、その密着部分で光が吸収されてしまい、ライトガイド2において光源1から離れた部分まで光が届かなくなるおそれを有するが、上述の範囲の凹凸部3aが存在することにより、光吸収の問題を回避できる。
なお、反射シート3の表面粗さRaの範囲は、0.4μm以上、20μm以下の範囲で良い。
【0016】
前記反射シート3の表面の凹凸部3aは、基本的には反射シート3の上面を荒らすことで形成することができる。表面を荒らす方法の一例として、マット印刷により表面を荒らす方法を採用することができる。マット印刷とはマット剤を含有させたインキを用いて表面を荒らす方法として知られており、エッチングなどの手法よりも安価に実施することができ、樹脂のシートの表面にマット剤を含むインキを塗布することで凸部を形成して擬似的な凹凸部をシートの表面に形成することができる。また、凹凸部3aを形成する場合、以下に説明するスクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法などのいずれの方法を採用しても良い。
【0017】
スクリーン印刷とは、孔版印刷として版に化学繊維のスクリーンを張ったものを利用し、そのスクリーンに光学的に版膜を作って必要な画線以外の目を塞ぎ、版を作り、その版膜の孔を介してインクを擦りつけることにより版の下に設置した被印刷物の印刷面に印刷を行う方法である。インクはスクリーンの版膜の孔を通過して被印刷面に押し出されて印刷されるので、必要な大きさの凹凸部3aを形成することができる。
グラビア印刷は、印刷しようとする凸などの部分が窪んでいる版を用い、この窪みにインクが入るように適当な方法で版全体にインクを付け、表面をドクターと呼ばれる装置で拭き取りながら余分なインキを掻き落とし、窪みに入っているインキだけを残し、そのインキを被印刷面に押し付けて移し、インクの盛り上がり部分を形成することで凹凸部を形成する印刷方法である。印刷の濃い薄いは、くぼみの幅とインキの厚みで表現するため、精巧な凹凸形状を形成可能であり、反射シート3の上面に所望のRaの凹凸部3aを形成できる。
【0018】
パッド印刷は、凹版プレートの凹部にインクを盛りつけ、ブレードによって凹部以外の部分のインクを掻き取り、シリコン製などのパッドを凹版に押し付けてインクをパッドに写し取り、このパッドを被印刷物の印刷面に押し付けることで凹凸部を形成する方法である。なお、パッドは球形状やドラム状など、種々のものが適用できる。この方法により3次元形状の転写も正確にできるので、反射シート3の上面に所望のRaの凹凸部3aを形成できる。
これらの印刷法の中でもスクリーン印刷法は、グラビア印刷法に比べて印刷版が安価でパッド印刷法よりも精度が高いなどの利点がある。また、印刷版およびインクを種々変更することで様々な表面粗さRaの範囲とすることができる利点とスクリーン印刷法による優れた再現性、量産性が得られる利点がある。
【0019】
これらの印刷法の他に、ショットブラスト法の1種として知られているサンドブラスト法を用いて表面を荒らす方法を採用しても良い。サンドブラスト法とは、砂などの研摩材をコンプレッサから送られてくる圧縮空気とともに対象物の表面(反射シートの表面)に吹き付けてその表面を荒らす方法であり、用いる研摩材の粒径を調整することで、目的の表面粗さRaとすることができる。このサンドブラスト法であれば、機械的に表面を荒らすとする点では最も容易に実施することができる。
また、これらの方法以外に、反射シート3に凹凸部3aを形成する方法の一例として、シボ加工を利用することができる。シボ加工とは、反射シート3を樹脂の一体成形により製造する場合、金型に凹凸形状をエッチング処理などで形成しておき、その金型の凹凸部形状を一体成形した反射シートに転写する方法である。従って、上述の平均粗さRaの数値範囲を満たすような凹凸形状を予め形成した金型を用いて樹脂材の一体成形により反射シートを製造すると、目的の凹凸部3aを備えた反射シート3を得ることができる。この場合のシボ加工は、反射シートの表面のみに限らず、表裏面の両方に形成しても良い。
【0020】
「シートスイッチモジュールの実施形態」
図2は、図1に示す構造の面状発光装置を備えたシートスイッチモジュールの第1の実施形態を示すもので、この形態のシートスイッチモジュールBは、先の面状発光装置Aの下側にシートスイッチCを設けた構造とされている。
このシートスイッチCは、基板5の上面側に複数の固定接点6が所定の間隔で設けられ、各固定接点6の上にドーム形状のメタルプレート7が設けられ、それらの上に押えシート8が設けられた基本構造とされている。
より詳細には、図3に示す如く、PCB(Printed Circuit Board)もしくはFPC(FlexiblePrinted Circuit)などのプリント配線基板5の上に導電性材料からなる複数の接点部6が所定の間隔で設けられ、これらの接点部6の周囲に環状の導電性材料からなる接点部9が設けられ、これらの接点部9の上に、接点部6と接点部9との導通、非導通を切り替えるためのドーム状のメタルプレート7が設けられている。これらのメタルプレート7は前記接点部5に接離可能な可撓性を備えた椀型のメタルドームとして構成され、操作者が指などの操作子にてその上面中央を押圧すると、メタルプレート7の上面中央部が下側に向いて湾曲するように変形し、接点部5に当接して接点部9との導通がとれるようになっている。従ってシートスイッチCにあっては、基板5上の1つのメタルプレート7とその下の接点部6とその外側の接点部6とそれらを覆う押えシート8により1つの感圧型のスイッチ素子10が構成され、このスイッチ素子10が基板5の上に複数形成されている構造とされている。
【0021】
また、この形態では、メタルプレート7の上面側に酸化ケイ素層11が形成され、その上方に設けられている押えシート8の裏面側に形成されている粘着層12によりメタルプレート7の位置が保持されている。
次に、図2に示す如くシートスイッチモジュールBでは、面状発光装置Aにおいて光取出部2aが形成された位置に平面視対応するように、シートスイッチCのメタルプレート7が設けられている。
【0022】
以上の如く構成されたシートスイッチモジュールBは、面状発光装置Aにおいて光取出部2aの部分を操作者が指先やペンなどの操作子で押圧すると、その操作子がメタルプレート7を下向きに湾曲して変形させるので、メタルプレート7の中心部が接点部6に当接し、接点部6を接点部9に導通させることができる。
従って図2に示すシートスイッチモジュールBによれば、メタルプレート7が設けられているスイッチ部分の存在を各光取出部2aからの漏れ光により位置表示できるとともに、光取出部2aを指などの操作子により押圧してメタルプレート7を変形させ、接点部6と接点部9との導通を切り替えることで各スイッチ素子10のオンオフ操作を行うことができる。
また、先に説明した面状発光装置Aを設けているので、反射シート3の上面側に設けた微細な凹凸部3aの存在により、反射シート3の上面とライトガイド2の下面との接触に伴う光の損失を少なくしてライトガイド2上の全ての光取出部2aを均一に照明した状態としながら、暗所などにおいて各スイッチ素子10のオンオフ操作を行うことができる。
【実施例】
【0023】
図1に示す構造の面状発光装置を作製した。
ライトガイドはウレタン樹脂からなる厚さ200μm、長さ40mm、幅33mmのシート状のものを用いた。このライトガイドの上面に、白色インクをスクリーン印刷することで複数箇所の光取出部を形成した。
また、ライトガイドの下面側にライトガイドと同じ平面形状と同じサイズの厚さ50μmのPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)からなる反射シートを重ね合わせて面状発光装置を構成した。
なお、前記構造の面状発光装置において、適用する反射シートとしてその表面にスクリーン印刷法により凹凸部を形成してその平均粗さRa=0.45μmとした実施例構造の反射シートを作製した。
また、比較例構造として、前記構造の面状発光装置において、その表面粗さRaが0.25μmである反射シートを用いて面状発光装置を作製した。
【0024】
これら両方の面状発光装置のライトガイドの各側部にLEDからなる発光素子を設置し、発光素子から両方のライトガイドに光を入射し、同時にライトガイドの表面を指で押圧したところ、平均粗さRa=0.45μmとした実施例構造の反射シートでは光取出部以外の部分は光らなかったが、表面粗さを0.25μmとした比較例の反射シートを備えた面状発光装置では、光取出部以外の部分にライトガイドフィルムと反射シートの密着に起因する光漏れを生じた。
この結果から、反射シートの表面の凹凸部を小さくし過ぎると、光ってほしくない部分まで光ってしまうという問題を生じることを確認することができた。
【0025】
なお、反射シートにマット印刷して凹凸部を形成する場合、通常のスクリーンメッシュを用いた刷版においてインクの厚みとして10μm程度が通常であり、インクの厚みは20μm程度が限界である。また、反射シートの厚みは、通常この種の面状発光装置において50μm程度であるので、厚くなりすぎるとスペースの問題とスイッチとしての感触が悪化する傾向となる。更に、サンドブラスト法などの手法で厚さ50μmの反射シートの表面を荒らす場合、20μm以上の凹凸差を付けると反射シートに極端に強度の弱い部分を生じてしまう問題が生じる。
以上の状況に鑑み、反射シートの凹凸部の表面粗さRaとして、0.4μm<Ra<20μmの範囲を選択することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の面状発光装置に係る第1の実施の形態を示す側断面略図。
【図2】図2は本発明のシートスイッチモジュールに係る第1の実施の形態を示す側断面略図。
【図3】図3は図2に示すシートスイッチモジュールに組み込まれるシートスイッチの一例を示す断面図。
【図4】図4は従来のシートスイッチモジュールの一例を示す断面図。
【符号の説明】
【0027】
A…面状発光装置、1…光源、1A…出射面、2…ライトガイド、2A…側端面、3…反射シート、3a…凹凸部、B…シートスイッチモジュール、C…シートスイッチ、5…基板、6、9…接点部、7…メタルプレート、8…押えシート、10…スイッチ素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED等の光源と、前記光源に近接配置されて前記光源からの光をその端面側から導入するとともにその面方向に前記光源からの光を導光するシート状のライトガイドと、該ライトガイドの厚さ方向一側に配置された反射シートを具備してなる面状発光装置であって、
前記ライトガイドの前記反射シートを設けた側と反対側に光取出部が複数形成され、
前記ライトガイドに対向する側の前記反射シートの表面に、微細な凹凸部が形成され、前記凹凸部の平均粗さRaが0.4μm<Ra<20μmの範囲とされてなることを特徴とする面状発光装置。
【請求項2】
前記反射シート表面の凹凸部が、マット印刷部、スクリーン印刷部、グラビア印刷部、パッド印刷部、サンドブラスト加工部、シボ加工部のいずれかからなることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項3】
前記ライトガイドにおいて前記反射シート側の一面が平坦面とされ、この平坦面に前記反射シートの凹凸部を当接させて反射シートが前記ライトガイドフィルムに重なるように配置されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の面状発光装置。
【請求項4】
前記ライトガイドがその表面にタック感を付与した表面粘着性の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の面状発光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の面状発光装置にシートスイッチが積層され、該シートスイッチに複数の感圧型のスイッチ素子が組み込まれ、前記ライトガイドの光取出部に対して前記感圧型のスイッチ素子が平面視位置合わせされてなることを特徴とするシートスイッチモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−146804(P2010−146804A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321097(P2008−321097)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】