説明

面状発熱体

【課題】本発明は、フレキシブル性と伸縮性を保持しつつ、導電性材料からなる電極部および抵抗体材料からなる発熱部が基材から剥離することなく、電極部の異常発熱がなく、かつ発熱部が均一な発熱を確保できる面状発熱体を提供することを目的とする。
【解決手段】フレキシブル性と伸縮性を有する基材2と、基材2の表面に導電性材料5からなる一対の電極部3a、3bと、一対の電極部3a、3bと電気的に接続された自己温度制御機能を有する抵抗体材料6からなる発熱部4とを備え、発熱部4は抵抗体材料6を基材2に塗布し加圧して厚み方向において基材2に一部埋設した構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気カーペット、電気毛布、床暖房パネル、車載用シートヒーター等の電気暖房器具に用いられる面状発熱体に関するものであり、特に電極部および発熱部の基材への固定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の面状発熱体11は、図4(a)、(b)に示したように、ポリエステルフィルムなどの電気絶縁性のベース材(基材)12上に、導電性ペーストを印刷・乾燥して得られる一対の櫛形電極13とこれにより給電される位置に高分子抵抗体インクを印刷・乾燥して得られる高分子抵抗体14を設けて、さらにベース材(基材)12と同質の被覆材15で櫛形電極13及び高分子抵抗体14を被覆して保護する構成としたものである(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この高分子抵抗体 を形成する高分子抵抗体インクとしては、ベースポリマーと、カーボンブラック、金属粉末、グラファイトなどの導電性物質を溶媒に分散してなり、特にベースポリマーとして結晶性樹脂を用いてPTC特性を持たせたものが多い(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
PTC特性とは、温度上昇によって抵抗値が上昇し、ある温度に達すると抵抗値が急激に増加する抵抗温度特性(抵抗が正の温度係数を有する意味の英語 Positive Temperature Coefficient の頭文字を取っている)を意味しており、PTC特性を有する高分子抵抗体14は、自己温度調節機能を有する面状発熱体を提供できる。
【0005】
従来、電気カーペット、車載用シートヒーター等の電気暖房器具は、人間が歩いたり座ったりして使用するものであり、その際に繰り返し圧縮荷重が加わることになる。
【0006】
この繰り返し圧縮荷重のため、図5のように表面材20や面状発熱体11には、折り曲げあるいは引張り等の機械的ストレスが加わるため、面状発熱体11にはフレキシブル性と伸縮性が要求される。しかし、ポリエステルフィルム等を基材12として用いた従来の面状発熱体は、フレキシブル性はある程度あるが伸縮性はないため、上記のような電気暖房器具には不適であった。
【0007】
また、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムは表面が平滑であり、櫛形電極13および高分子抵抗体14とこのポリエステルフィルム等の樹脂フィルムからなる基材12との接着強度が十分ではなく、折り曲げあるいは引張り等の機械的ストレスが加わることにより、基材12から櫛形電極13および高分子抵抗体14が剥離する可能性もあった。
【0008】
これらの課題を解決する一つの方法として、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムの代わりに織物、編物、不織布等の繊維質材料を基材として使用し、この基材に電極部を構成するための導電性材料および発熱部を構成するための抵抗体材料、あるいは少なくとも抵抗体材料のみを含浸させて基材からの剥離を防止することが考えられる(例えば特許文献4、5、6、7、8、9参照)。
【0009】
織物、編物、不織布等の繊維質材料は、図6に示すように、それを構成している繊維31間に3次元的に空隙30を有しており、電極部を形成するための導電性材料5および発熱部を形成するための抵抗体材料6を含浸すると、空隙30に導電性材料5および抵抗体
材料6が入り込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭56−13689号公報
【特許文献2】特開平6−96843号公報
【特許文献3】特開平8−120182号公報
【特許文献4】特開2000−150122号公報
【特許文献5】特開平11−214131号公報
【特許文献6】特開平11−164848号公報
【特許文献7】特開平10−41053号公報
【特許文献8】特開平8−180964号公報
【特許文献9】特開平5−47457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、織物、編物、不織布等の繊維質材料を構成している繊維31間の空隙30は均一ではなく、大きい空隙もあれば小さい空隙もあり、途中で塞がっていることもある。したがって、電極部を形成するための導電性材料5および発熱部を形成するための抵抗体材料6を繊維質材料からなる基材22に含浸させ、表面から見た場合はピンホールもなくまんべんなく塗布されているように見えても、基材内部においては気泡が発生していたり、また繊維31間の空隙30の大きさによって導電性材料5および抵抗体材料6の含浸量は変ってくるので、導電性材料5および抵抗体材料6の密度がばらつくこととなる。
【0012】
導電性材料5および抵抗体材料6を流れる電流の量は導電性材料5および抵抗体材料6の密度によって変ってくる。すなわち、導電性材料5および抵抗体材料6の密度が低ければ(導電性材料および抵抗体材料の量が少ない)電流量は少なく、逆に導電性材料5および抵抗体材料6の密度が高ければ(導電性材料および抵抗体材料の量が多い)電流量は多くなる。
【0013】
つまり、導電性材料5からなる電極部および抵抗体材料6からなる発熱部を流れる電流量がばらつくことになり、これによって、電極部であれば、均一に電流iが流れなくなるので、発熱部の発熱にばらつきが発生したり、電極部が部分的に異常発熱する可能性がある。また、発熱部であれば、抵抗体材料6の密度の低い箇所は抵抗値が大きく、密度の高い箇所は抵抗値が小さくなるため、発熱が不均一になる課題があった。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、フレキシブル性と伸縮性を保持しつつ、導電性材料からなる電極部および抵抗体材料からなる発熱部が基材から剥離することなく、電極部の異常発熱がなく、かつ発熱部が均一な発熱を確保できる面状発熱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本発明の面状発熱体は、フレキシブル性と伸縮性を有する基材と、前記基材の表面に導電性材料からなる一対の電極部と、前記一対の電極部と電気的に接続された自己温度制御機能を有する抵抗体材料からなる発熱部とを備え、前記発熱部は前記抵抗体材料を前記基材に塗布し加圧して厚み方向において前記基材に一部埋設した構成としている。
【0016】
これにより、抵抗体材料をラミネートし、まだ固化しないうちに加圧するので、抵抗体材料の一部が基材を構成する素材の間に入り込み、アンカー効果が発生して発熱部は基材
から剥離することはなくなる。また、ラミネート時点において抵抗体材料は膜状で押し出されてくるわけであるが、この膜は全体に膜厚が均一である。
【0017】
したがって、抵抗体材料表面はより平滑となり、発熱部の非埋設部の厚みは均一となるので、発熱部の発熱均一性が向上する。
【0018】
電流は、常に一方の電極部から他方の電極部に向かって最短距離を通って流れるので、基材を構成する素材間を廻り込みながら流れるようになる電極部および発熱部の基材に埋設した部分よりも、障害物がなくストレートに流れることのできる基材に埋設していない部分にほとんどの電流が流れることになる。
【0019】
したがって、電流は、電極部および発熱部のうち基材に埋設していない部分を均一に流れることなり、電極部には異常発熱が発生することがなく、かつ発熱部は均一に発熱することができる。
【0020】
さらに、基材は厚み方向に全て電極部を構成する導電性材料および発熱部を構成する抵抗体材料が含浸しておらず、基材としてのフレキシブル性と伸縮性を有したままなので、面状発熱体としてもフレキシブル性と伸縮性を保持している。
【発明の効果】
【0021】
本発明の面状発熱体によれば、抵抗体材料の一部が基材を構成する素材の間に入り込み、アンカー効果が発生して発熱部は基材から剥離することはなくなる。
【0022】
また、抵抗体材料表面はより平滑となり、発熱部の非埋設部の厚みは均一となるので、発熱部の発熱均一性が向上する。
【0023】
さらに、基材は厚み方向に全て電極部を構成する導電性材料および発熱部を構成する抵抗体材料が含浸しておらず、基材としてのフレキシブル性と伸縮性を有したままなので、面状発熱体としてもフレキシブル性と伸縮性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における面状発熱体の構成を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態2における面状発熱体の構成を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態3における面状発熱体の構成を示す断面図
【図4】(a)従来の面状発熱体の構成を示す平面図(b)同面状発熱体のx−y断面図
【図5】従来の面状発熱体の使用断面図
【図6】従来の面状発熱体の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1の発明は、フレキシブル性と伸縮性を有する基材と、前記基材の表面に導電性材料からなる一対の電極部と、前記一対の電極部と電気的に接続された自己温度制御機能を有する抵抗体材料からなる発熱部とを備え、前記発熱部は前記抵抗体材料を前記基材に塗布し加圧して厚み方向において前記基材に一部埋設したものである。
【0026】
これにより、抵抗体材料をラミネートし、まだ固化しないうちに加圧するので、抵抗体材料の一部が基材を構成する素材の間に入り込み、アンカー効果が発生して発熱部は基材から剥離することはなくなる。また、ラミネート時点において抵抗体材料は膜状で押し出されてくるわけであるが、この膜は全体に膜厚が均一である(膜厚が均一でないと部分的に膜重量が大きい箇所ができてそこから膜が破れてラミネートできなくなってしまう)。
【0027】
したがって、抵抗体材料表面はより平滑となり、発熱部の非埋設部の厚みは均一となるので、発熱部の発熱均一性が向上する。
【0028】
第2の発明は、第1の発明においてフロッキー加工により繊維を植毛した樹脂フィルムを基材としたものである。これにより、電極部を構成してなる導電性材料および発熱部を構成してなる抵抗体材料は植毛された繊維と絡み合うので、アンカー効果が発生し、電極部および発熱部が基材から剥離することがなくなる。また、基材が樹脂フィルムであるので、印刷により導電性材料や抵抗体材料が印刷面と反対側に染み出したりすることがなく、安定した印刷加工ができる。
【0029】
第3の発明は、第1の発明において表面に毛羽立ちを設けた織物、編物または不織布等の繊維質を基材としたものである。これにより、電極部を構成してなる導電性材料および発熱部を構成してなる抵抗体材料は基材である繊維質に埋設するとともに毛羽立った繊維とも絡み合うので、より強固なアンカー効果が発生し、電極部および発熱部が基材から剥離することがなくなる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
図1において、面状発熱体1は、不織布からなる基材2上に銀ペーストからなる導電性材料5を印刷し乾燥して一対の電極部3a、3bを構成している。さらに、一対の電極部3a、3bの全面あるいは一部を覆うようにしながら電極部3a、3bの間に抵抗体材料6を印刷、乾燥して発熱部4を構成し、電気的に接続された状態としている。
【0032】
電極部3a、3bおよび発熱部4は基材2の中に一部含浸しており、埋設部7a、7bを形成するとともに、基材2に含浸していない部分である非埋設部8a、8bをも形成している。
【0033】
抵抗体材料6は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―酢酸ビニル共重合体等の結晶性樹脂をベースポリマーとし、カーボンブラックおよび各種添加剤を配合してなるPTC材料であり、発熱して温度が上昇し、ある温度に達すると電気抵抗値が急激に増加して発熱量を抑制する自己温度制御特性を有している。
【0034】
この構成において、本実施例では、基材2に代表例として不織布を使用しているが、他にもフレキシブル性と伸縮性を有するような素材であれば良く、具体的には、平織、綾織、朱子織等の織物、または平編、ゴム編、パール編、タック編、浮編、パイル編、レース編、マイヤー編等の編物、またはベッチン、コール天、タオル、ビロード等のパイル地などの繊維質材料、あるいはポリウレタン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、軟質塩化ビニル系、ゴム系、さらにはこれらの混合系の発泡樹脂シート等が使用できる。
【0035】
さらには、樹脂フィルムにおいてもその表面に凹凸加工を施すことにより上記材料を同じように使用することが可能である。
【0036】
また、導電性材料5としては、銀ペーストの他に銅ペースト、カーボンペースト等の体積固有抵抗の低い材料が使用できる。
【0037】
導電性材料5および抵抗体材料6の印刷方法としては、オフセット印刷、タンポ印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷方式が挙げられる。
【0038】
次に、動作、作用について説明する。
【0039】
図1において、折り曲げや引張り等の機械的ストレスが加わった時、導電性材料5からなる電極部3a、3bおよび抵抗体材料6からなる発熱部4を基材2から引き離すような力が加わっても、電極部3a、3bの基材2への埋設部7aおよび発熱部4の基材2への埋設部7bは基材2の不織布を構成している繊維を抱きかかえる格好になっているので、アンカー(錨)効果が発生し、電極部3a、3bおよび発熱部4は基材2から剥離することがない。
【0040】
なお、図示はしていないが、基材2の表面を毛羽立たせた場合は、電極部3a、3bおよび発熱部4がその毛羽立った繊維をも抱きかかえるようになるので、アンカー効果はより大きくなる。
【0041】
また、電極部3a、3bの基材2から上の非埋設部8aおよび発熱部4の基材2から上の非埋設部8bは、厚みが均一であり、導電性材料5および抵抗体材料6の密度も均一であるので、電流iは導電経路が最短となる発熱部4の非埋設部8bの中を均一に流れることとなり、発熱部4の非埋設部8bが均一に発熱することとなる。また、電極部3a、3bにおいても電流iは電極部3a、3bの非埋設部8aを流れることとなり、均一に流れるので、局部的な異常発熱は発生しない。
【0042】
さらに、基材2を構成している不織布はフレキシブル性と伸縮性に富んでおり、電極部3a、3bおよび発熱部4の埋設部7a、7bは基材2の表面から少し内部に入った部分までしか含浸してないので、基材2としてはフレキシブル性と伸縮性を有したままであり、面状発熱体1としてもフレキシブル性と伸縮性を保持している。
【0043】
(実施の形態2)
図2において、面状発熱体1は、不織布からなる基材2上に銅撚り線からなる電極体9a、9bをミシン糸縫いにより固定してあり、この電極体9a、9bを覆うようにして基材2に抵抗体材料6をラミネートし、発熱部4を形成している。抵抗体材料6をラミネートする際は、抵抗体材料6を溶融し製膜押し出し機にて膜状に押し出し、基材2表面に乗せた後、加圧ローラにて加圧し、抵抗体材料6の膜の一部を基材2の中に押し込むようにして埋設部7bを構成している。
【0044】
本実施例では、電極体9a、9bに銅撚り線を使用しているが、他に銅合金、アルミ合金の撚り線やメッキ撚り線でも、あるいはこれらの細線でもよい。さらには銅箔、アルミ箔などでも、実施の形態1と同じく印刷により形成してもよい。
【0045】
また、電極体9a、9bの固定方法については、本実施例ではミシン糸縫いであるが、電極体9a、9bの形態によって、接着剤による方法、電極体9a、9bを加熱しておき基材2に加圧して基材2を構成している繊維を溶かして電極体9a、9bと絡み合わせて固定する方法、あるいは電極体9a、9bそのものを基材2に縫い付ける方法でもよい。
【0046】
次に、動作、作用について説明する。
【0047】
図2において、抵抗体材料6の膜の一部を基材2の中に押し込むようにして埋設部7bでは加圧により押し込まれた抵抗体材料6の膜の一部が基材2を構成する繊維と絡み合うので、折り曲げや引張り等の機械的ストレスが加わった時、抵抗体材料6からなる発熱部4を基材2から引き離すような力が加わっても、アンカー効果が発生し発熱部4が基材2から剥離することはない。
【0048】
また、製膜押し出し機から押し出されてくる抵抗体材料6の膜厚は全体的に均一である。なぜならば、押し出されてくる膜が部分的に膜厚が厚いとそこだけが周辺の膜よりも重量が重いため、膜として重量バランスが崩れ膜が破れてしまうからである。
【0049】
よって、膜厚が均一である抵抗体材料6の膜を基材2にラミネートし、全体を一定に加圧するので、抵抗体材料6よりなる発熱部4の表面はより平滑となり、発熱部4の非埋設部8bの厚みもより均一となって発熱部4の発熱均一性は向上する。
【0050】
(実施の形態3)
図3において、面状発熱体1は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、TPO樹脂等あるいはそれらの混合系樹脂を材料とする樹脂フィルムからなる基材2aにフロッキー加工により、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、レーヨン樹脂等あるいはそれらの混合系樹脂を材料とする繊維10を基材2aに植毛し短くカットして植毛高さを一定にしている。この基材2aの繊維10を植毛している面に銀ペーストからなる導電性材料5を、厚み方向において、植毛されている繊維10の高さを越えて厚く印刷し乾燥して一対の電極部3a、3bを構成している。さらに、一対の電極部3a、3bの全面あるいは一部を覆うようにしながら電極部3a、3bの間に抵抗体材料6を印刷、乾燥して発熱部4を構成し、電気的に接続された状態としている。発熱部4を構成している抵抗体材料6も、厚み方向において、植毛されている繊維10の高さを越えて厚く印刷し乾燥している。
【0051】
次に、動作、作用について説明する。
【0052】
図3において、折り曲げや引張り等の機械的ストレスが加わった時、導電性材料5からなる電極部3a、3bおよび抵抗体材料6からなる発熱部4を基材2から引き離すような力が加わっても、電極部3a、3bを構成している導電性材料5および発熱部4を構成している抵抗体材料6は基材2に植毛されている繊維10を抱きかかえる格好になっているので、アンカー(錨)効果が発生し、電極部3a、3bおよび発熱部4は基材2から剥離することがない。
【0053】
また、植毛されている繊維10はカットされて高さを一定にしているので、厚み方向における電極部3a、3bおよび発熱部4の繊維10より上の部分は、厚みが均一であり、導電性材料5および抵抗体材料6の密度も均一であるので、電流iは導電経路が最短となる発熱部4の繊維10より上の部分の中を均一に流れることとなり、発熱部4の繊維10より上の部分が均一に発熱することとなる。また、電極部3a、3bにおいても電流iは電極部3a、3bの繊維10より上の部分を流れることとなり、均一に流れるので、局部的な異常発熱は発生しない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかる面状発熱体は、フレキシブル性と伸縮性を保持しつつ、折り曲げや引張り等の機械的ストレスが加わったとしても、導電性材料からなる電極部および抵抗体材料からなる発熱部が基材から剥離することなく、電極部の異常発熱がなく、かつ発熱部が均一な発熱を確保できるので、荷重が発熱体に加わる電気カーペットや車両用シートに内蔵されるシートヒーター等の暖房商品として有用である。
【符号の説明】
【0055】
1、11 面状発熱体
2、2a、22 基材
3a、3b 電極部
4 発熱部
5 導電性材料
6 抵抗体材料
7a、7b 埋設部
8a、8b 非埋設部
9a、9b 電極体
10、31 繊維
12 ベース材
13 櫛形電極
14 高分子抵抗体
15 被覆材
20 表面材
30 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル性と伸縮性を有する基材と、前記基材の表面に導電性材料からなる一対の電極部と、前記一対の電極部と電気的に接続された自己温度制御機能を有する抵抗体材料からなる発熱部とを備え、前記発熱部は前記抵抗体材料を前記基材に塗布し加圧して厚み方向において前記基材に一部埋設してなる面状発熱体。
【請求項2】
前記基材は樹脂フィルムからなり、その表面にフロッキー加工により繊維を植毛してなる請求項1に記載の面状発熱体。
【請求項3】
前記基材は織物、編物または不織布等の繊維質からなり、その表面に繊維の毛羽立ちを設けてなる請求項1に記載の面状発熱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−84556(P2012−84556A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21909(P2012−21909)
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【分割の表示】特願2007−110238(P2007−110238)の分割
【原出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】