説明

面発光体用基板とそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】面発光体の光取り出し効率を大幅に向上させる面発光体用基板、及び該基板を用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】透明基板上に有機無機複合材料層が形成された面発光体用基板であって、該有機無機複合材料層が屈折率Nの粒子1と屈折率Nの粒子2と屈折率Nの樹脂を含有し、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする面発光体用基板。
関係式(1):N>N>N

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種ディスプレイ、バックライト、表示板、照明用光源等に用いられる面発光体用基板に関する。本発明は、また、該面発光体用基板を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう。)に関する。
【背景技術】
【0002】
各種ディスプレイのバックライト、看板や非常灯等の表示板、照明等の光源として用いられる面発光体は、高輝度、高効率、薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有することから、近年注目されている。このような面発光体の中でも、有機材料を用いて正負の各極からの電気エネルギーによって発光させる有機EL素子は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能であり、薄膜型の完全固体素子であるため省スペースである等の理由から特に注目されている。
【0003】
しかしながら、有機EL素子のような薄膜からなる面発光素子の場合、発光体薄膜層の屈折率と発光した光が出射する際に通過する媒質との屈折率により決まる光の出射角が臨界角以上の発光は、全反射して内部に閉じ込められ、導波光として失われる。その結果、指向性がない発光層の発光は、前に出てくる光以外は失われることとなり、光の取り出し効率(発光したエネルギーに対して基板の外に出てくるエネルギーの割合)が低くなるという問題がある。
【0004】
古典光学に基づいた多重反射から導き出される前方向への光取り出し効率(発光効率)は1/2nで近似でき、発光層の屈折率nでほぼ決まってしまう。発光層の屈折率を約1.7とすると、単純に前記有機EL部からの発光効率は約20%となる。残りの光は、発光層の面積方向へ伝搬するか(横方向への霧散)、発光層を挟んで透明電極と相対する金属電極で消失する(後方向への吸収)。換言すると、有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せない。
【0005】
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、様々な方法が検討されている。例えば、特許文献1には、数種類の粒子を導電性層と透明基板の界面に設ける方法が検討されている。この方法により、導電性層内を通過する光を粒子による散乱を利用して取り出すことができるが、含有粒子の粒径が小さく散乱効果が十分であるとは言えない。また、特許文献2では、透明基板の表面にバインダーと2種類の充填材を含んだ複合膜を設け、2種の充填材の屈折率差の大きさを利用して散乱効果を増幅し光取り出し効率を上げる方法が記載されている。この方法によって散乱による光取り出し効率の向上は見込めるが、2種のうち1種の充填材の屈折率が低いため複合薄膜全体の屈折率が低くなる。その結果、複合体膜と導電製層又は透明基板に明確な界面が生じ、これが光取り出し効率アップの妨げになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−265987号公報
【特許文献2】特開2008−251500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、面発光体の光取り出し効率を大幅に向上させる面発光体用基板、及び該基板を用いた有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0009】
1.透明基板上に有機無機複合材料層が形成された面発光体用基板であって、該有機無機複合材料層が屈折率Nの粒子1と屈折率Nの粒子2と屈折率Nの樹脂を含有し、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする面発光体用基板。
関係式(1):N>N>N
2.前記粒子2の平均粒径が、1〜5μmの範囲内であることを特徴とする前記1に記載の面発光体用基板。
【0010】
3.前記粒子1の平均粒径が、10〜20nmの範囲内であることを特徴とする前記1又は前記2に記載の面発光体用基板。
【0011】
4.前記透明基板の屈折率nと前記有機無機複合材料層の屈折率nが、下記関係式(2)を満たすことを特徴とする前記1から前記3のいずれか一項に記載の面発光体用基板。
関係式(2):0≦n−n≦0.1
5.前記有機無機複合材料層の上に屈折率nである導電性層を有し、該有機無機複合材料層の屈折率nと該導電性層の屈折率nが下記関係式(3)を満たすことを特徴とする前記1から前記4のいずれか一項に記載の面発光体用基板。
関係式(3):0≦n−n≦0.1
6.前記1から前記5のいずれか一項に記載の面発光体用基板を用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記手段により、面発光体の光取り出し効率を大幅に向上させる面発光体用基板、及び該基板を用いた有機EL素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の面発光体用基板は、透明基板上に有機無機複合材料層が形成された面発光体用基板であって、該有機無機複合材料層が屈折率Nの粒子1と屈折率Nの粒子2と屈折率Nの樹脂を含有し、前記関係式(1)を満たすことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0014】
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記粒子2の平均粒径が、1〜5μmの範囲内であることが好ましい。また、前記粒子1の平均粒径が、10〜20nmの範囲内であることが好ましい。
【0015】
本発明においては、前記透明基板の屈折率nと前記有機無機複合材料層の屈折率nが、前記関係式(2)を満たす態様であることが好ましい。また、前記有機無機複合材料層の上に屈折率nである導電性層を有し、該有機無機複合材料層の屈折率nと該導電性層の屈折率nが前記関係式(3)を満たす態様であることが好ましい。
【0016】
本発明の面発光体用基板は、構成要素の屈折率が前記関係式で示される条件を満たしていること等により、有機エレクトロルミネッセンス素子に好適に用いることができる。
【0017】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。
〔屈折率の測定方法〕
本発明において、屈折率の測定方法は、通常用いられている方法を用いることができる。例えば、各層を単独で塗設したサンプルについて、分光光度計(日立製作所製U−4000型等)の分光反射率の測定結果から求めることができる。分光反射率の測定はサンプルの裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面の光反射を防止し、5度正反射の条件で、可視光領域(400〜700nm)で行う。
〔面発光体用基板〕
《樹脂》
本発明に係る有機無機複合材料層に用いる樹脂としては、粒子1の屈折率N及び粒子2の屈折率Nより低い屈折率を有していれば特に制限はないが、層形成時のコスト及び利便性を考えた場合には硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
本発明で用いられる硬化性樹脂としては、紫外線及び電子線照射、あるいは加熱処理のいずれかの操作によって硬化し得るもので、無機粒子と未硬化の状態で混合させた後、硬化させることによって透明な樹脂組成物を形成する物であれば特に制限なく使用でき、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル系樹脂、アリルエステル系樹脂等が挙げられる。該硬化性樹脂は紫外線や電子線等の照射を受けて硬化する活性光線硬化性樹脂であってもよいし、加熱処理によって硬化する熱硬化性樹脂であってもよく、例えば、下記に列記したような種類の樹脂を好ましく使用することができ、特に好ましくはアクリル系樹脂を用いることができる。
1.シリコーン樹脂
珪素(Si)と酸素(O)とが交互に結合したシロキサン結合−Si−O−を主鎖としているポリマーであるシリコーン樹脂としては、所定量のポリオルガノシロキサン樹脂よりなるシリコーン系樹脂が使用可能である(例えば、特開平6−9937号公報参照)。
【0019】
熱硬化性のポリオルガノシロキサン樹脂は、加熱による連続的加水分解−脱水縮合反応によって、シロキサン結合骨格による三次元網状構造となるものであれば特に制限はなく、一般に高温、長時間の加熱で硬化性を示し、一度硬化すると加熱により再軟化し難い性質を有する。このようなポリオルガノシロキサン樹脂は、下記一般式(A)が構成単位として含まれ、その形状は鎖状、環状、網状形状のいずれであってもよい。
【0020】
一般式(A):((R)(R)SiO)
上記一般式(A)中、R及びRは同種又は異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を示す。具体的には、R及びRとして、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えば、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などが例示される。R及びRは水酸基及びアルコキシ基から選択される基であってもよい。また、上記一般式(A)中、nは50以上の整数を示す。
【0021】
ポリオルガノシロキサン樹脂は、通常、トルエン、キシレン、石油系溶剤のような炭化水素系溶剤、又はこれらと極性溶剤との混合物に溶解して用いられる。また、相互に溶解しあう範囲で組成の異なるものを配合して用いてもよい。
【0022】
ポリオルガノシロキサン樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、オルガノハロゲノシランの一種又は二種以上の混合物を加水分解、乃至アルコリシスすることによって得ることができ、ポリオルガノシロキサン樹脂は一般にシラノール基又はアルコキシ基等の加水分解性基を含有し、これらの基をシラノール基に換算して1〜10質量%含有する。
【0023】
これらの反応は、オルガノハロゲノシランを溶融し得る溶媒の存在下に行うのが一般的である。また、分子鎖末端に水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を有する直鎖状のポリオルガノシロキサンをオルガノトリクロロシランと共加水分解して、ブロック共重合体を合成する方法によっても得ることができる。このようにして得られるポリオルガノシロキサン樹脂は一般に残存するHClを含むが、本実施形態の組成物においては、保存安定性が良好なことから、10ppm以下、好ましくは1ppm以下のものを使用するのが良い。
2.エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−シクロヘキシルカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂(国際公開第2004/031257号参照)を使用することができ、その他、スピロ環を含有したエポキシ樹脂や鎖状脂肪族エポキシ樹脂等も使用することができる。その際、オキセタン樹脂を併用・又は単独で用いてもよい。
3.アクリル系樹脂
アクリル系樹脂の原料成分としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー。あるいは、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(又はトリ)アクリレート等の多官能性モノマー等が挙げられる。
【0024】
本発明では、これらのうち3官能以上の多官能性アクリレート系化合物及び3官能以上の多官能性ウレタンアクリレート系化合物を用いることが好ましい。
4.アリルエステル化合物を含有する樹脂
芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(特開2005−2064号公報参照)等を好ましく用いることができる。
【0025】
《粒子》
本発明に用いられる粒子1は、粒子1の屈折率Nと粒子2の屈折率NにおいてN>Nを満たすものであればよく特に制限はないが、屈折率Nは1.6以上であることが好ましく、1.8以上がより好ましく、2.0以上が更に好ましい。具体的には、酸化物微粒子、金属塩微粒子、半導体微粒子などの無機微粒子が好ましく用いられ、この中から、光学素子として使用する波長領域において吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することが好ましい。また、体積平均粒径は粒子の分散性を考えると1nm以上が好ましく、透明性の観点から20nm以下であることが好ましい。ここで、平均粒径とは、各粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値をいう。
【0026】
酸化物微粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属である金属酸化物を用いることができ、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl)等の粒子及び複合粒子の中で、屈折率が1.6を満たすものが挙げられる。
【0027】
また、酸化物微粒子として、希土類酸化物を用いることもでき、具体的には、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等も挙げられる。
【0028】
金属塩微粒子としては、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩及びその複合粒子のうち、屈折率が1.6以上であるものが適用可能である。その他、TiやZrのオキソクラスターなども適用可能である。
【0029】
無機粒子の調製方法としては、気相中で無機粒子の原料を噴霧、焼成して微小な粒子を得ることが可能である。更には、プラズマを用いて粒子を調製する方法、原料固体をレーザー等でアブレーションさせ微粒子化する方法、蒸発させた金属ガスを酸化させ微粒子を調製する方法なども好適に用いることができる。また、液相中で調製する方法として、アルコキシドや塩化物溶液を原料としたゾル−ゲル法等を用い、ほぼ一次粒子として分散した無機微粒子分散液を調製することが可能である。あるは、溶解度の低下を利用した反応晶析法を用いて粒径のそろった分散液を得ることが可能である。
【0030】
液相で得られた粒子は、乾燥、焼成することにより、無機粒子の機能を安定に引き出すことは好ましい。乾燥には、凍結乾燥、噴霧乾燥、超臨界乾燥などの手段が適用可能であり、焼成は、単に雰囲気を制御しながら高温にするだけでなく、有機あるいは無機の焼結防止剤を用いて行うことが好ましい。
【0031】
これら粒子のうち、安価で、安全性を考慮して無機粒子を選択することが可能であり、さらに小粒径化の容易性を考えると、次のような無機粒子を用いることが好ましい。すなわち、TiO、Al、LiNbO、Nb、ZrO、Y、MgO、ZnO、SnO、Bi、ITO、CeO、AlN、ダイヤモンド、KTaOなどを用いることが特に好ましい。
【0032】
樹脂への充填率について特に制約は無いが、10nm以下の無機粒子を樹脂に充填する場合、成型性の確保(流動性、ひび割れなし)を考えた場合には25体積%以下であることが好ましい。一方、無機粒子を充填することにより光学物性(屈折率)を変化させるにはある程度の充填率が必要であることから5体積%以上、さらには10体積%以上が好ましい。ここでいう無機微粒子の体積分率は、無機微粒子の比重をa、含有量をxグラム、作製された有機無機複合材料の全体積樹脂をYミリリットルとした時に式(x/a)/Y×100で求められる。無機微粒子の含有量の定量は、透過型電子顕微鏡(TEM)による半導体結晶像の観察(EDX等の局所元素分析により半導体結晶組成に関する情報も得ることが可能)、あるいは与えられた樹脂組成物が含有する灰分の元素分析により求まる所定組成の含有質量と該組成の結晶の比重とから算出可能である。
【0033】
本発明に用いられる粒子2としては、粒子2の屈折率Nが粒子1の屈折率Nと樹脂の屈折率Nに対してN>N>Nを満たすものであれば特に制限はないが、透過率の観点から有機無機複合材料層の屈折率nと粒子2の屈折率Nの差は0.1以下であることが好ましく、散乱効果の観点から0.01以上であることが好ましい。無機粒子に限らず有機ポリマーからなる微粒子も使用することができ、無機化合物としては粒子1で例に挙げたものと同様の粒子を用いることができる。有機ポリマー粒子としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。これら粒子の含有量は特に制限はなく、光散乱性の程度に合わせて調整すると良いが、成形性の確保を考えた場合には25体積%以下であることが好ましい。
【0034】
また、粒子2の体積平均粒径は粒子の光散乱の効果を十分に得るため1μm以上であることが好ましく、層の平滑性を考えると5μm以下であることが好ましい。粒径が1μm以上であると有機無機複合材料層の線膨張率が低くなり透明基板及び誘電体層と密着性がよくなり密着性をあげるための他の成分(シランカップリング剤等)を加える必要がなくなるという利点もある。粒径が1μm以上であるとさらに、線膨張率が低くなるため高温下による膜剥がれ等の劣化が起きにくくなる。また、粒子が5μm以下であると有機無機複合材料層の平滑性が保てるため、導電性層等の複合材料層の上に積層される層形成が容易になるという利点がある。
【0035】
二つの平均粒径の差が大きいことによって、平均粒径の大きい粒子2の間に平均粒径の小さい粒子1が入り込んだ状態で樹脂に粒子1及び粒子2が分散し、樹脂の中で粒子1及び粒子2の分散性が向上して粒子1及び粒子2が均一に分散した有機無機複合材料層の形成が可能になるものである。
【0036】
《表面処理剤》
本発明において粒子1及び粒子2として無機粒子を用いる場合には、無機粒子と樹脂とを均一に混合する必要があることから、樹脂との親和力を高めるため、表面処理がなされていることが好ましい。必要な表面処理剤と粒子表面との結合には、下記のような導入手法が考えられるが、それらに限るものではない。
【0037】
A.物理吸着(二次結合性の活性剤処理)
B.表面化学種の利用反応(表面水酸基との共有結合)
C.活性種の表面導入と反応(ラジカル等の活性点導入とグラフト重合、高エネルギー線照射とグラフト重合)
D.樹脂コーティング(カプセル化、プラズマ重合)
E.沈着固定化(難溶性有機酸塩の沈着)
更に具体例を示すと下記のようになる。
【0038】
(1)シランカップリング剤
シラノール基と粒子表面の水酸基との縮合反応や水素結合を利用する。例えば、ビニルシラザン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられ、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好ましく用いられる。
【0039】
(2)その他カップリング剤
チタネート、アルミナート、ジルコネート系のカップリング剤も適用可能である。さらに、ジルコアルミネート、クロメート、ボレート、スタネート、イソシアネート等も使用可能である。ジケトン系のカップリング剤も使用可能である。
【0040】
(3)表面吸着剤
アルコール、ノニオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤、カルボン酸類、アミン類などが適用可能である。
【0041】
(4)樹脂系表面処理
上記(1)−(3)の手法で粒子表面に活性種を導入後、グラフト重合により表面にポリマー層を設ける手法や、あらかじめ合成したポリマー分散剤を粒子表面に吸着、結合させる手法がある。粒子表面により強固にポリマー層を設けるためにはグラフト重合が好ましく、特に高密度にグラフトさせることが好ましい。
【0042】
《微粒子を含有する樹脂組成物の製造方法》
本発明の有機無機複合材料層の製造にあたっては、はじめに微粒子を含有する樹脂組成物(熱可塑性樹脂を用いる場合は溶融状態、硬化性用いる場合は未硬化の状態)を調製する。
【0043】
微粒子を含有する樹脂組成物は、特に硬化性樹脂を用いる場合、有機溶媒に溶解した硬化性樹脂と、本発明に係る微粒子を混合し、その後、有機溶媒を除去することで調製されてもよいし、硬化性樹脂の原料の一つであるモノマー溶液中に本発明に係る微粒子を添加、混合した後に重合して調製されても良い。また、モノマーが一部重合したオリゴマーや低分子量のポリマーを溶融し、そこに本発明に係る微粒子を添加、混合することで調製されても良い。
【0044】
ここで用いられる有機溶媒としては、炭素数1〜4程度の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの炭化水素類などを選択することができるが、モノマーよりも沸点が低く、しかもこれらのモノマーと相溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0045】
特に、本発明においては、モノマー溶液中に本発明に係る微粒子を添加した後に重合させる方法が好ましく、特に、モノマーと本発明に係る微粒子を混合した高粘性の溶液を、冷却しながらシェアを与えて混合する方法が好ましい。この時、硬化性樹脂中への本発明に係る微粒子の分散が最適になるように粘度を調整することも重要である。粘度調整の方法としては、本発明に係る微粒子の粒径、表面状態、添加量の調整や、溶媒や粘度調整剤の添加等が挙げられるが、本発明に係る微粒子はその構造により表面修飾が容易なことから、最適な混練状態を得ることが可能である。
【0046】
シェアを与え複合化を行う場合、本発明に係る微粒子は粉体ないし凝集状態のまま添加することが可能である。あるいは、液中に分散した状態で添加することも可能である。液中に分散した状態で添加する場合は、混合後に脱気を行うことが好ましい。
【0047】
液中に分散した状態で添加する場合、あらかじめ凝集粒子を一次粒子に分散して添加することが好ましい。分散には各種分散機が使用可能であるが、特にビーズミルが好ましい。ビーズは各種の素材があるがその大きさは小さいものが好ましく、特に直径0.001〜0.5mmのものが好ましい。
【0048】
本発明に係る微粒子は表面処理された状態で加えられることが好ましいが、表面処理剤と微粒子とを同時に添加し、硬化性樹脂との複合化を行うインテグラルブレンドのような方法を用いることも可能である。
【0049】
《透明基板》
本発明の面発光体用基板に用いる透明基板は、透明基板の屈折率nと有機無機複合材料層の屈折率nが0≦n−n≦0.1を満たしていることが好ましいが、特に制限はなくガラスや透明樹脂フィルムを用いることができるが、柔軟性の観点から樹脂フィルムを用いるのが好ましい。透明樹脂フィルムの屈折率は、1.60以上であることが好ましく、さらに1.70〜1.80であることが特に好ましい。
【0050】
本発明において透明樹脂フィルムの厚さは、50〜250μmであることが好ましく、さらに75〜200μmであることが特に好ましい。
【0051】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムを用いることが好ましく、特に延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを用いることが耐熱性の面で好ましい。
【0052】
本発明の透明基板において透明樹脂フィルムの両面又は片面にハードコート層を設けてもよい。ハードコート層を設けた場合、透明基板の屈折率とはハードコート層の屈折率を示すものとする。したがってハードコート層の屈折率は透明樹脂フィルムの屈折率と同じかやや低いものとする。ハードコート層は均粒径が1nm以上400nm以下の微粒子を含有した樹脂で構成されていてもよく、透明樹脂中にその樹脂よりも屈折率が高い微粒子を、平均粒径が1〜400nmで分散することにより、所望の屈折率を有した透明なハードコート層を得ることができる。
【0053】
《有機無機複合材料層の塗布》
本発明の面発光体用基板の有機無機複合材料層はあらかじめ調整した微粒子を含有する樹脂組成物を、透明基板上に塗布等をされることにより形成される。
【0054】
面発光体用基板の光取り出し効率を向上させるためには光学特性上、有機無機複合材料層の屈折率nと、用いる導電性層の屈折率n又は、透明基板の屈折率nの差が小さくなるように調整することが好ましい。本発明に係る有機無機複合材料層と導電性層及び透明基板は、0≦n−n≦0.1かつ0≦n−n≦0.1であり、更に好ましくは0≦n−n≦0.05かつ0≦n−n≦0.05を満たすとよい。
【0055】
本発明の有機無機複合材料層の膜厚は限定されないが、充分な耐久性、耐衝撃性、光学特性、及び膜物性を付与する観点から、有機無機複合材料層の膜厚は5〜100μmが好ましく、さらに好ましくは、10〜50μmである。該有機無機複合体材料層の膜厚は、導電性層及び透明基板の厚さより小さいことが光学特性上好ましい。
【0056】
これら有機無機複合材料層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。
【0057】
また、有機無機複合材料層は紫外線・熱による硬化、乾燥による製膜や化学反応による硬化等の方法で作製することができる。紫外線硬化性樹脂を用いた場合、光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限無く使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmであるが、特に好ましくは20〜100mJ/cmである。
【0058】
《導電性層》
本発明における面発光体用基板には導電性層を設けてもよい。用いられる導電性層としては、導電性層の屈折率nと有機無機複合材料層の屈折率nが0≦n−n≦0.1を満たしていることが好ましいが、特に制限はなく、1.5〜2.0であることが好ましく、さらに1.55〜1.85であることが特に好ましい。
【0059】
また、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性光透過性材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で光透過性の導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。本発明においては、この導電性層は陽極として用いられることが好ましい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式製膜法を用いることもできる。陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0060】
また、この透明電極に高い導電性を有しながら他の比較的低屈折率の樹脂等を併用することが可能であり、光散乱効果により光取り出し効率の向上が期待できる金属ナノワイヤを含有させてもよい。
【0061】
本発明に金属ナノワイヤを用いる場合、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、また、適度な光散乱性を発現するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
【0062】
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種又は複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。
【0063】
また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが二種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
【0064】
Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
【0065】
本発明においては、金属ナノワイヤが互いに接触し合うことにより3次元的な導電ネットワークを形成し、高い導電性を発現するとともに、金属ナノワイヤが存在しない導電ネットワークの窓部を光が透過することが可能となり、さらに、金属ナノワイヤの散乱効果によって、有機発光層部からの光を効率的に取り出すことが可能となる。電極部において金属ナノワイヤを有機発光層部に近い側に設置すれば、この散乱効果がより有効に利用できるのでより好ましい実施形態でとなる。また、金属ナノワイヤを搭載することで導電性の高い電極を途布で完成させることができる。そのため、有機無機複合材料層表面に粒子による凹凸が存在してもその凹凸を緩和することができ、発光体層にダメージを与える可能性を排除できる。
【0066】
本発明においては、透明電極、有機無機複合材料層、透明樹脂フィルムの屈折率や厚さのバランスを最適化することによって、従来から知られている光取り出し効率の向上だけでなく、微細な膜構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の、膜物性を大幅に向上させることができるものである。
【0067】
次に、本発明の面発光体用基板の有機無機複合材料層表面に発光体として形成する有機ELについて説明する。
〔有機EL素子〕
有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
ここで、発光層は、少なくとも発光色の異なる2種以上の発光材料を含有していることが好ましく、単層でも複数の発光層からなる発光層ユニットを形成していてもよい。また、正孔輸送層には正孔注入層、電子阻止層も含まれる。
【0068】
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
【0069】
本発明に係る発光層は、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
【0070】
また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。
【0071】
各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
【0072】
本発明における発光層の膜厚の総和は1〜100nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから30nm以下である。なお、本発明でいうところの発光層の膜厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む膜厚である。
【0073】
個々の発光層の膜厚としては1〜50nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは1〜20nmの範囲に調整することである。青、緑、赤の各発光層の膜厚の関係については、特に制限はない。
【0074】
発光層の作製には、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
【0075】
本発明においては、各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、また燐光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。
【0076】
本発明においては、発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパント化合物ともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
【0077】
本発明に係る有機EL素子の発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。更に好ましくは燐光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
【0078】
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
【0079】
本発明に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
【0080】
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
【0081】
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
【0082】
次に、発光材料について説明する。
【0083】
本発明に係る発光材料としては、蛍光性化合物、燐光発光材料(燐光性化合物、燐光発光性化合物等ともいう)を用いる。
【0084】
本発明において、燐光発光材料とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
【0085】
上記燐光量子収率は第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明において燐光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
【0086】
燐光発光材料の発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光材料に移動させることで燐光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つは燐光発光材料がキャリアトラップとなり、燐光発光材料上でキャリアの再結合が起こり燐光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
【0087】
燐光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
【0088】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子には、蛍光発光体を用いることもできる。蛍光発光体(蛍光性ドーパント)の代表例としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
【0089】
また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、例えば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、同2001−181616号公報、同2002−280179号公報、同2001−181617号公報、同2002−280180号公報、同2001−247859号公報、同2002−299060号公報、同2001−313178号公報、同2002−302671号公報、同2001−345183号公報、同2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、同2002−50484号公報、同2002−332292号公報、同2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、同2002−338588号公報、同2002−170684号公報、同2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、同2002−100476号公報、同2002−173674号公報、同2002−359082号公報、同2002−175884号公報、同2002−363552号公報、同2002−184582号公報、同2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、同2002−226495号公報、同2002−234894号公報、同2002−235076号公報、同2002−241751号公報、同2001−319779号公報、同2001−319780号公報、同2002−62824号公報、同2002−100474号公報、同2002−203679号公報、同2002−343572号公報、同2002−203678号公報等が挙げられる。
【0090】
本発明においては、少なくとも一つの発光層に2種以上の発光材料を含有していてもよく、発光層における発光材料の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
【0091】
《中間層》
本発明において、各発光層間に非発光性の中間層(非ドープ領域等ともいう)を設ける場合について説明する。
【0092】
非発光性の中間層とは、複数の発光層を有する場合、その発光層間に設けられる層である。
【0093】
非発光性の中間層の膜厚としては1〜20nmの範囲にあるのが好ましく、更には3〜10nmの範囲にあることが隣接発光層間のエネルギー移動等相互作用を抑制し、且つ素子の電流電圧特性に大きな負荷を与えないということから好ましい。
【0094】
この非発光性の中間層に用いられる材料としては、発光層のホスト化合物と同一でも異なっていてもよいが、隣接する2つの発光層の少なくとも一方の発光層のホスト材料と同一であることが好ましい。
【0095】
非発光性の中間層は非発光層、各発光層と共通の化合物(例えば、ホスト化合物等)を含有していてもよく、各々共通ホスト材料(ここで、共通ホスト材料が用いられるとは、燐光発光エネルギー、ガラス転移点等の物理化学的特性が同一である場合やホスト化合物の分子構造が同一である場合等を示す。)を含有することにより、発光層−非発光層間の層間の注入障壁が低減され、電圧(電流)を変化させても正孔と電子の注入バランスが保ちやすいという効果を得ることができる。更に、非ドープ発光層に各発光層に含まれるホスト化合物と同一の物理的特性又は同一の分子構造を有するホスト材料を用いることにより、従来の有機EL素子作製の大きな問題点である素子作製の煩雑さをも併せて解消することができる。
【0096】
本発明で有機EL素子を用いる場合、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすいため、中間層材料、ホスト材料は移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
【0097】
また、一方では正孔や電子の注入バランスを最適に調整するためには、非発光性の中間層は後述する阻止層、即ち正孔阻止層、電子阻止層として機能することも好ましい態様として挙げられる。
【0098】
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
【0099】
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
【0100】
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0101】
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
【0102】
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
【0103】
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係る正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
【0104】
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
【0105】
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
【0106】
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
【0107】
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0108】
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0109】
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
【0110】
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂、p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
【0111】
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0112】
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
【0113】
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
【0114】
《電子輸送層》
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
【0115】
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0116】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0117】
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0118】
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
【0119】
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
【0120】
《陰極》
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0121】
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
〔有機EL素子の作製方法〕
本発明に係る有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
【0122】
まず本発明の透明基板上に有機無機複合体材料層を持ち、さらにその上に導電性層をもつ面発光体用基板の導電性層を陽極とする。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
【0123】
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0124】
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
【0125】
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の液晶表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
〔用途〕
本発明に係る面発光体、及び発光パネルは、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
【実施例】
【0126】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0127】
〔実施例1〕
《有機無機複合材料の作製》
〈試料1〉
(ジルコニア粒子の調製)
オキシ塩化ジルコニウム8水塩の2600gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水を340g、純水を20L溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製した。
【0128】
次いで、このジルコニア前駆体スラリーに、硫酸ナトリウム400gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。
【0129】
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、120℃にて24時間、乾燥させて固形物を得た。
【0130】
次いで、この固形物を自動乳鉢等により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、ジルコニア粒子1を調製した。TEM観察の結果、平均粒径は5nmであった。XRDから粒子がZrO結晶であることが確認された。
【0131】
(ジルコニア粒子に対する表面処理)
上記のジルコニア粒子10gを、フェニルトリメトキシシラン(信越化学製)2gと、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.1gを含むトルエン100mlに加え、窒素下で0.03mmのジルコニアビーズを用いて分散しながら100℃まで加熱し、均一分散液を得た後、そのまま窒素下で5時間加熱還流して表面処理済ジルコニア粒子のトルエン分散液を得た。このジルコニア粒子の屈折率Nは2.1であった。
【0132】
(樹脂中への粒子分散)
硬化性樹脂モノマー(フルオレンアクリレート;屈折率N=1.50)と、上記表面処理済ジルコニア分散液を約30vol%(所望の屈折率となる量)で混合し、その後さらに樹脂微粒子2000M(日産化学工業製;平均粒径2μm、屈折率1.65)を混合し、重合開始剤を添加して溶解した。
【0133】
《面発光体用基板の作製》
得られた微粒子を含有する樹脂組成物を無アルカリガラス(コーニング社製;屈折率n=1.51)の片面に乾燥膜厚5μmになるように塗布し、紫外線を照射して硬化させ、面発光体用基板を作製した。有機無機複合材料層の屈折率は1.64であった。
【0134】
《有機EL素子の作製》
得られた面発光体用基板上にITO(インジウムチンオキシド;屈折率1.85)を100nm製膜しパターニングを行った後、このITO導電性層を設けた基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、基板表面温度200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
【0135】
この基板を、窒素雰囲気下、JIS B 9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmのグローブボックスへ移した。グローブボックス中にて正孔輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。この基板を、基板表面温度150℃で30分間加熱乾燥し正孔輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は20nmであった。
【0136】
(正孔輸送層用塗布液)
モノクロロベンゼン 100g
ポリ−N,N′−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N′−ビス(フェニル)ベンジジン(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製) 0.5g
次いで、発光層塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、2000rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し発光層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は40nmであった。尚、下記発光層組成物のうち、最も低いTgを示したのはH−Aであり、132℃であった。
【0137】
(発光層用塗布液)
酢酸ブチル 100g
H−A 1g
D−A 0.11g
D−B 0.002g
D−C 0.002g
次いで、電子輸送層用塗布液を下記のように調製し、スピンコーターにて、1500rpm、30秒の条件で塗布した。さらに基板表面温度120℃で30分加熱し電子輸送層を設けた。別途用意した基板にて、同条件にて塗布を行い測定したところ、膜厚は30nmであった。
【0138】
(電子輸送層用塗布液)
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール 100g
ET−A 0.75g
次いで、電子輸送層まで設けた基板を、大気曝露せずに、蒸着機に移動し、4×10−4Paまで減圧した。尚、フッ化カリウム及びアルミニウムをそれぞれタンタル製抵抗加熱ボートに入れ、蒸着機に取り付けておいた。
【0139】
先ず、フッ化カリウムの入った抵抗加熱ボートに通電し加熱し、基板上にフッ化カリウムからなる電子注入層を3nm設けた。続いて、アルミニウムの入った抵抗加熱ボートに通電加熱し、蒸着速度1〜2nm/秒でアルミニウムからなる膜厚100nmの陰極を設けた。
【0140】
【化1】

【0141】
〈試料2〉
用いる有機無機複合膜の樹脂微粒子を、樹脂微粒子3500M(日産化学工業製;平均粒径3.5μm、屈折率1.65)に変更した以外は実施例1と同様にして面発光体用基板を作製した。さらに、その基板を用いて試料1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0142】
〈試料3〉
用いる基板を二軸延伸PET(帝人製;屈折率n=1.66)に、有機無機複合膜の樹脂微粒子を樹脂微粒子500S(日産化学工業製;平均粒径500nm、屈折率1.65)に変更した以外は試料1と同様にして面発光体用基板を作製した。さらに、その基板を用いて試料1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0143】
〈試料4〉
有機無機複合膜の樹脂微粒子を樹脂微粒子2000M(日産化学工業製;平均粒径2μm、屈折率1.65)に変更した以外は試料3と同様にして面発光体用基板を作製した。さらに、その基板を用いて試料1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0144】
〈試料5〉
有機無機複合膜の樹脂微粒子を樹脂微粒子3500M(日産化学工業製;平均粒径3.5μm、屈折率1.65)に変更した以外は試料3と同様にして面発光体用基板を作製した。さらに、その基板を用いて試料1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0145】
〈試料6〉
有機無機複合膜の樹脂微粒子を樹脂微粒子6500M(日産化学工業製;平均粒径6.5μm、屈折率1.65)に変更した以外は試料3と同様にして面発光体用基板を作製した。さらに、その基板を用いて試料1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0146】
〈試料7〉
有機無機複合膜のジルコニア粒子をチタン/シリカコアシェル粒子(昭和電工製;平均粒径34nm、屈折率2.2)に変更した以外は試料5と同様にして面発光体用基板を作製した。さらに、その基板を用いて試料5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0147】
〈試料8〉
有機無機複合膜の樹脂微粒子を樹脂微粒子シリカ/アクリル複合粒子(日本触媒製;平均粒径1.1μm、屈折率1.52)に変更した以外は試料5と同様にして面発光体用基板を作製した。さらに、その基板を用いて試料5と同様にして有機EL素子を作製した。
【0148】
〈試料9〉
本試料では、導電性層に銀ナノワイヤを用いた。銀ナノワイヤは、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法を参考に、平均直径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤを濾別かつ水洗処理した後、エタノール中に再分散して銀ナノワイヤ分散液(銀ナノワイヤ含有量5質量%)を調製した。
【0149】
《銀ナノワイヤ電極の作製》
離型性基材として、二軸延伸PETフィルムを用いた。該PETフィルム表面にコロナ放電処理を施した後、銀ナノワイヤ分散液を銀ナノワイヤの目付け量が80mg/mとなるようにアプリケータを用いて塗布し乾燥して、銀ナノワイヤネットワーク構造を形成した。
【0150】
さらに、第二の透明樹脂成分として導電性ポリマーであるPEDOT/PSS(Baytron PH510、H.C.Starck社製)を、乾燥膜厚が100nmとなるよう上記銀ナノワイヤネットワーク構造にオーバーコートし乾燥した後、80℃で3時間熱処理した。これを転写用AgNW含有フィルムとする。
【0151】
次いで、試料4と同様にして作製した面発光体用基板上に第一の透明樹脂成分として、下記UV硬化透明樹脂液1を5μmとなるように塗布した後、上記の転写用AgNW含有フィルムと貼合した。続いて、紫外線を照射して第一の透明樹脂成分を十分に硬化させた後、離型性基板であるPETフィルムを剥離することによって転写用AgNW含有フィルム上に形成した層をPETフィルムに転写し、銀ナノワイヤ電極を作製した。この電極の屈折率を測定したところn=1.55であった。
【0152】
〈UV硬化透明樹脂液1〉
SP−1(旭電化社製) 3質量部
EP−1 20質量部
OXT−221(東亞合成社製) 40.4質量部
OXT−212(東亞合成社製) 25質量部
OXT−101(東亞合成社製) 3質量部
プロピレンカーボネート 3質量部
トリイソプロパノールアミン 0.1質量部
X−22−4272(信越シリコーン社製) 0.5質量部
【0153】
【化2】

【0154】
この電極の上に、試料1と同様にして正孔輸送層・発光層・電子輸送層・陰極を作製し有機EL素子を完成した。
【0155】
〈試料10〉
試料5と同様にして作製した面発光体用基板を用いて、試料7と同様にして有機EL素子を作製した。
【0156】
〈試料11〉
試料6と同様にして作製した面発光体用基板を用いて、試料7と同様にして有機EL素子を作製した。
【0157】
〈試料12〉
有機無機複合膜の樹脂微粒子をシリカ/アクリル複合粒子(日本触媒製;平均粒径1.1μm、屈折率1.52)に変更した以外は試料3と同様にして面発光体用基板を作製した。このとき有機無機複合材料層の屈折率は1.60となった。さらに、その基板を用いて試料9と同様にして有機EL素子を作製した。
【0158】
〔比較例1〕
〈試料13〉
試料4の有機無機材料層をジルコニア粒子を含有しない有機材料層に変更した以外は試料4と同様にして面発光体用基板及び有機EL素子を作製した。
【0159】
〈試料14〉
試料5のジルコニア粒子をシリカ粒子(アドマテックス製;平均粒径15nm、屈折率1.5)に変更した以外は試料5と同様にして面発光体用基板及び有機EL素子を作製した。
【0160】
〈試料15〉
特開2008−251500号公報〔実施例1〕に記載と同様の方法で、シリコーンレジン溶液(屈折率1.40)に、中空シリカ粒子(平均粒径60nm、屈折率1.25)と、シリカ−チタニア複合微粒子(平均粒径10−20nm、屈折率1.85)を、中空シリカ微粒子/シリカ−チタニア複合微粒子/シリコーンレジンの固形分質量基準で35/35/30になるように添加した。これを有機無機複合材料層として無アルカリガラスの片面に乾燥膜厚5μmになるように塗布し、紫外線を照射して硬化させ、面発光体用基板を作製した。有機無機複合材料層の屈折率は1.45であった。面発光体用基板上にITOからの有機EL素子構造を実施例1と同様にして完成させることで、有機無機複合材料層を持たない有機EL素子を作製した。
【0161】
上記の各試料の内容を表1にまとめて示す。
【0162】
【表1】

【0163】
《発明の効果の評価》
〔光取り出し量子効率〕
作製した有機EL素子に対し、2.5mA/cm定電流を流したときの光取り出し量子効率(%)を不活性ガス雰囲気下で測定した。なお、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。得られた結果を試料13の強制劣化前の測定値を100としたときの相対値で表2に表した。
【0164】
〔強制劣化試験〕
作製した有機EL素子の耐久性を調べるために、40℃の恒温槽(湿度50%)で1週間静置後の光取り出し量子効率を不活性ガス雰囲気下で測定した。得られた結果を試料13の強制劣化前の測定値を100としたときの相対値で表2に表した。
【0165】
【表2】

【0166】
表2に示されるように、各実施例のものは比較例に比べ光取り出し効率が高くなっていることが確認できる。また、比較例においては、強制劣化試験により光取り出し効率が格段に落ちているのに対し、粒子2の平均粒径が本発明の範囲内である試料に関しては強制劣化試験において光取り出し効率を下げないことを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に有機無機複合材料層が形成された面発光体用基板であって、該有機無機複合材料層が屈折率Nの粒子1と屈折率Nの粒子2と屈折率Nの樹脂を含有し、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする面発光体用基板。
関係式(1):N>N>N
【請求項2】
前記粒子2の平均粒径が、1〜5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の面発光体用基板。
【請求項3】
前記粒子1の平均粒径が、10〜20nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面発光体用基板。
【請求項4】
前記透明基板の屈折率nと前記有機無機複合材料層の屈折率nが、下記関係式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の面発光体用基板。
関係式(2):0≦n−n≦0.1
【請求項5】
前記有機無機複合材料層の上に屈折率nである導電性層を有し、該有機無機複合材料層の屈折率nと該導電性層の屈折率nが下記関係式(3)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の面発光体用基板。
関係式(3):0≦n−n≦0.1
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の面発光体用基板を用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

【公開番号】特開2010−272454(P2010−272454A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125092(P2009−125092)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】