説明

面発光装置の固定構造

【課題】保持枠を、取付ベースに堅固に且つ容易に着脱可能とすると共に、保持枠や固定部分が見えたり前面が額縁状に見えてデザイン性が損なわれるといったことのない面発光装置の固定構造を提供する。
【解決手段】導光板1の周囲及び光源2を保持する保持枠3の保持部31の外周に挿通孔33を形成した被固定部32を設け、取付ベース4にねじ孔44bを螺設すると共に保持枠収容片45を設け、化粧パネル保持手段46を備えてなり、取付ベース4を取り付け面6に固定し、保持枠収容片45の内部に保持枠3を収容して、固定用ねじ44aを挿通孔33に挿通してねじ孔44bに螺着して固定し、化粧パネル5を化粧パネル保持部46に保持させて保持枠3の前面側に取り付け、前記化粧パネル5は、導光板1の前面側に位置する部分を光透過性を有する化粧部51し、化粧部51の周囲を光透過性を有しないか又は光が透過し難い光難透過部52とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導灯の光源や液晶表示板のバックライトとして用いられる面発光装置の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、誘導灯をはじめとする表示灯の光源や液晶表示板(液晶パネル)のバックライトとして、あるいは光の演出のためや照明として、面発光装置が用いられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
面発光装置は、図4に示すように、導光板1の一側端面を光が入射する入射面11とすると共に、導光板1の表側の面を前記入射した光が出射する出射面12とするいわゆるエッジライト方式で、この出射面12の表面に柄模様や着色フィルター等が形成される光透過性の化粧パネル5を配置して略全面が光る発光面とするものである。導光板1の入射面11となる一側端面には、その長手方向に光源2を配置し、導光板1の全体に光源2からの光を万遍なく行き渡らせて出射面12全体が略一様に発光するようにしてある。
【特許文献1】特開平5−242710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような面発光装置は、壁や天井等といった落下の危険性が高い部分に設置されることが多く、また、メンテナンスのために着脱を行う必要があるため、壁や天井等の取り付け面6に取付ベース4を固定して、この取付ベース4に、導光板1及び光源2を保持枠3にて保持してビス等により着脱自在に取り付けることで、堅固に取り付けて且つ着脱作業を容易とするものである。
【0005】
保持枠3は、導光板1及び化粧パネル5の周囲と光源2とを断面コ字状をした保持部31により保持すると共に、保持部31の外周に被固定部32が設けてあり、被固定部32に挿通孔33が形成してある。また、取り付け面6に固定される取付ベース4には、保持枠3を固定する固定用ねじ44aが螺着するねじ孔44bが螺設してあり、保持枠3の被固定部32の挿通孔33が取付ベース4のねじ孔44bに連通するように重ね合わせて、固定用ねじ44aを挿通孔33を介してねじ孔44bに螺着することで、保持枠3を取付ベース4に固定するものである。なお図中の8は取り付け面6に取り付けられる目地部材である。
【0006】
しかしながら、このような面発光装置の固定構造にあっては、取付ベース4の固定用ねじ44aが前方から(正面から)見えると見苦しいため、その前方に目隠し部材7を設けていたが、この場合でも保持枠3の保持部31及び目隠し部材7が額縁状に見えてしまい、デザイン性が損なわれてしまうものであった。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、導光板及び光源を保持した保持枠を、取り付け面に固定した取付ベースに堅固に且つ容易に着脱可能とすると共に、保持枠や固定用ねじが見えたり前面が額縁状に見えてデザイン性が損なわれるといったことのない面発光装置の固定構造を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明にあっては、導光板1の側端面を光が入射する入射面11とすると共に前面を前記入射した光が出射する出射面12とし、導光板の入射面11に光源2を配置すると共に導光板1の周囲及び光源2を保持枠3の保持部31にて保持し、前記保持枠3の保持部31の外周に被固定部32を設けて該被固定部32に固定用ねじ44aが挿通される挿通孔33を形成し、保持枠3を取り付ける取り付け面6に固定される取付ベース4に固定用ねじ44aが螺着するねじ孔44bを螺設すると共に、取付ベース4に前記保持枠3を囲んで内部に収容する保持枠収容片45を設け、化粧パネル5を導光板1の前側に位置させる化粧パネル保持手段(46)を設けてなり、前記取付ベース4を取り付け面6に固定すると共に、取付ベース4の保持枠収容片45の内部に導光板1及び光源2を保持した保持枠3を収容して固定用ねじ44aを挿通孔33に挿通させてねじ孔44bに螺着することで保持枠3を取付ベース4に固定し、化粧パネル5を化粧パネル保持部46に保持させて保持枠3の前面側に位置させ、前記化粧パネル5は、導光板1の前側に位置する部分を光透過性を有する化粧部51とすると共に、化粧部51の周囲であって保持枠3の前側に位置する部分を光透過性を有しないか又は光が透過し難い光難透過部52とすることを特徴とするものである。
【0009】
このような構成とすることで、取り付け面6に固定した取付ベース4に着脱自在に固定することで、堅固に且つ容易に着脱することができ、固定用ねじ44a及び保持枠3の保持部31が光難透過部52によって目隠しされると共に前面が額縁状に見えることもないためデザイン性が損なわれることがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、取り付け面に固定した取付ベースに着脱自在に固定することで、堅固に且つ容易に着脱することができる共に、化粧パネルに化粧部及び光難透過部を形成したことで、光難透過部によって固定用ねじ及び保持枠の保持部が目隠しされ且つ額縁状に見えることもなく、デザイン性が損なわれるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図1乃至図3に基づいて説明する。
【0012】
面発光装置は、導光板1、光源2、化粧パネル5、保持枠3で主体が構成される。
【0013】
導光板1は、正面視略矩形状(正方形を含む)をした平板で、主に合成樹脂等からなる透明な部材により形成され、一表面が光が出射される出射面12となると共に、少なくとも一つの側端面が光が入射する入射面11となる。また、導光板1の出射面12と反対側の裏面には光反射部(図示せず)が設けてある。光反射部は、本実施形態では導光板1とは別部材からなる鏡のような反射部材を導光板1の裏面に設けて形成しているが、導光板1の裏面に反射シートを貼着したり反射性の物質を印刷や蒸着して形成したり、あるいは特に加工を施さなくてもよく、限定されない。この導光板1の入射面11からは、入射面11に沿って配置された光源2から照射される光が入射し、入射した光は導光板1内を進行し、導光板1の裏面に形成された光反射部に当たって進行方向を変えた光のうち、出射面12に全反射角を越えないで入射したものが透過して出射され、それ以外の光は出射面12で全反射されて更に奧へと進行し、奧において同様に光反射部に当たって反射された光が出射面12に入射される前記作用が繰り返され、これにより、導光板1内の全体に光が行き渡って、導光板1の出射面12の略全面から光が万遍なく出射されて発光するものである。図2(a)に発光状態の正面図を示し、図2(b)に消灯状態の正面図を示す。
【0014】
また、導光板1の前面すなわち出射面12側には、誘導灯や各種表示灯用の表示が描かれた光透過性を有する化粧パネル5が設けられる。化粧パネル5は、導光板1とは別部材のアクリルやその他の合成樹脂等からなる光透過性の部材で、正面視形状は導光板1の正面視形状よりも若干大きい略矩形状をしている。化粧パネル5の中央部分に形成されて導光板1と重ね合わせられる化粧部51は、表面に文字や柄模様からなる何らかの表示を印刷やシート貼着により形成して且つ、光透過性を保持している。これにより、導光板1の出射面12から出射される光は、化粧パネル5を透過して、表示用の文字や柄模様等が光って見える。なお、化粧部51に前記何らかの表示の代わりに着色フィルターのみを形成したものであってもよく、また照明としてのみ用いるものでもよく、用途は特に限定されない。化粧パネル5の化粧部51の周囲の部分は、光を透過しないか又は光を透過し難い(少なくとも透過率は50%以下)光難透過部52となっている。光難透過部52は、導光板1の裏面に遮光性物質を印刷したりして形成するものである。また、導光板1の裏面側に設ける光反射部の色調と合わせて見栄えの調整を行ってもよい。
【0015】
本実施形態の面発光装置では、光源2として、間隔をあけて配置した点光源22を用いたものを使用している。これは、回路成形品である長尺の樹脂成形体21に、複数のLED(発光ダイオード)等からなる点光源22を間隔をあけて取り付けると共に各点光源22に流す電流を制限するためのチップ抵抗(図示せず)を実装して、導光板1の入射面11の長手方向長さと略同じ長さの光源モジュールを構成し、入射面11に沿って配置してある。なお点光源22としては前記LEDに限定されず、点状に発光する電球やその他の光源2であってもよい。またなお、光源2としては蛍光灯のように線状に発光する線光源であってもよいものである。
【0016】
上述した導光板1と光源2は、保持枠3によって保持される。保持枠3は、導光板1の周囲の側端部をそれぞれ保持するように正面視略ロ字状に配置される板金あるいはアルミ押出成形により形成される金属製のものである。保持枠3の保持部31の断面形状は前記正面視略ロ字状の内方に開口する略コ字状をしており、前記コ字状の内部に導光板1の入射面11以外の側端部を挿入すると共に、入射面11側の側端部においては入射面11に光源2を配置した状態で光源2及び側端部を挿入して保持する。
【0017】
また、保持枠3の保持部31の外周には壁や天井等の取り付け面6に固定された取付ベース4に固定するための被固定部32を設けるもので、本実施形態では、正面視において略ロ字状の保持部31の外周面から外方に向けて板状の被固定部32が略ロ字状に設けてある。
【0018】
取付ベース4は、壁や天井等の取り付け面6に固定する部材で、少なくとも保持枠3の被固定部32が位置する部分に固定しており、本実施形態では上記保持枠3の被固定部32と略同様の略矩形状の外郭をしており、板金あるいはアルミ押出成形により形成される金属製のもので高い剛性を備えている。本実施形態の取付ベース4は、壁や天井等の取り付け面6に取り付けられる平板状の取付部41と、取付部41の周端から前記取り付け面6から離れる方向に起立する起立片42と、起立片42の先端部から取付部41の外周方向に連設される固定片43と、固定片43の外方の端部から前記取り付け面6から離れる方向に起立して保持枠3を収容すると共に化粧パネル5を保持する保持枠収容片45とからなる。
【0019】
取付ベース4の取付部41は、ビスや釘やその他の手段によって、面発光装置を取り付ける取り付け面6に堅固に固定される。
【0020】
取付ベース4の固定片43は、保持枠3の被固定部32と対応する位置に形成される正面視略ロ字状をしたもので、保持枠3を固定する固定手段44としての固定用ねじ44aが螺着されるねじ孔44bが複数螺設してある。また、保持枠3の被固定部32には、前記ねじ孔44bに対応する位置に固定用ねじ44aが挿通される挿通孔33が貫通形成してある。
【0021】
取付ベース4の保持枠収容片45は、その先端部(取り付け面6から遠い側の端部)に、化粧パネル5の厚み分又はこれより若干広い間隔をあけて内側に突出する二つの化粧パネル保持手段46としてのリブが突設してあり、化粧パネル5の周側端部を前記リブ間に挿入して保持枠収容片45で囲み込むことで、化粧パネル5が取付ベース4によって保持されるものである。
【0022】
導光板1及び光源2を保持した保持枠3は、取り付け面6に固定された取付ベース4の固定片43に保持枠3の被固定部32を重ね合わせて挿通孔33とねじ孔44bとを連通させ、固定用ねじ44aを挿通孔33に挿通してねじ孔44bに螺着する(図3参照)。
【0023】
取付ベース4は、正面視略ロ字状のうちの少なくとも一辺において、例えば保持枠収容片45を後から取付ベース4の固定片43にビス等にて取り付けるような構造にし、化粧パネル5をリブ間に挿入する際には前記一辺の保持枠収容片45を外しておき、化粧パネル5をリブ間に挿入した後で外していた保持枠収容片45を取り付けて固定が完了する。
【0024】
化粧パネル5は、導光板1の保持枠3内に挿入されておらず露出している部分の前側に化粧部51が位置すると共に、その周囲の光難透過部52が保持枠3の保持部31及び被固定部32の前側に位置することとなり、光難透過部52によって、固定手段44の固定用ねじ44a及び保持枠3の被固定部32、保持部31が見えず、且つ、化粧パネル5の化粧部51及び光難透過部52全体に一体感を持たせることができて、デザイン性が損なわれることもないものである。また、一体の化粧パネル5において光難透過部52を形成したことで、従来の目隠し部材7のような別部材が不要となって、コスト削減を図ることが可能となるものである。また、固定手段44として固定用ねじ44aにより固定する方法を採用することで非常に堅固に固定することが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態の要部側断面図である。
【図2】(a)は同上の発光状態の正面図を示し、(b)は消灯状態の正面図を示す。
【図3】同上において便宜上化粧パネルを設けていない状態の一部透過した正面図である。
【図4】従来例の要部側断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 導光板
11 入射面
12 出射面
2 光源
3 保持枠
31 保持部
32 被固定部
4 取付ベース
44 固定手段
45 保持枠収容片
46 化粧パネル保持手段
5 化粧パネル
51 化粧部
52 光難透過部
6 取り付け面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板の側端面を光が入射する入射面とすると共に前面を前記入射した光が出射する出射面とし、導光板の入射面に光源を配置すると共に導光板の周囲及び光源を保持枠の保持部にて保持し、前記保持枠の保持部の外周に被固定部を設けて該被固定部に固定用ねじが挿通される挿通孔を形成し、保持枠を取り付ける取り付け面に固定される取付ベースに固定用ねじが螺着するねじ孔を螺設すると共に、取付ベースに前記保持枠を囲んで内部に収容する保持枠収容片を設け、化粧パネルを導光板の前側に位置させる化粧パネル保持部を設けてなり、前記取付ベースを取り付け面に固定すると共に、取付ベースの保持枠収容片の内部に導光板及び光源を保持した保持枠を収容して固定用ねじを挿通孔に挿通させてねじ孔に螺着することで保持枠を取付ベースに固定し、化粧パネルを化粧パネル保持部に保持させて保持枠の前面側に位置させ、前記化粧パネルは、導光板の前側に位置する部分を光透過性を有する化粧部とすると共に、化粧部の周囲であって保持枠の前側に位置する部分を光透過性を有しないか又は光が透過し難い光難透過部とすることを特徴とする面発光装置の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−80210(P2009−80210A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248102(P2007−248102)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】