靴下
【課題】脚が太い人が着用した際に適切な締めつけ力が作用する靴下を提供する。
【解決手段】基準弾性力を有する基本ゴム部1を円周方向に帯状に有する口部2に於て、基準弾性力よりも小さな弾性力を有する上下方向の弱ゴム部3が部分的に介在している。弱ゴム部3の弾性力が、編み方によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定されている。
【解決手段】基準弾性力を有する基本ゴム部1を円周方向に帯状に有する口部2に於て、基準弾性力よりも小さな弾性力を有する上下方向の弱ゴム部3が部分的に介在している。弱ゴム部3の弾性力が、編み方によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、靴下は口部に円周方向に帯状のゴム部が配設されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、脚が太い人が着用する(履く)と、ゴムの弾性力が過度に強く作用して、脚を過剰に締めつけ、痛みを感じるという欠点があった。
【特許文献1】特開2004−204373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、脚が太い人が着用した際に過剰な締めつけ力が作用する点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る靴下は、基準弾性力を有する基本ゴム部を円環帯状に有する口部に於て、上記円環帯状基本ゴム部を分断状として、上記基準弾性力よりも小さな弾性力を有する上下方向帯状の弱ゴム部を介在させたものである。
また、弱ゴム部の弾性力を、編み方によって、基本ゴム部の弾性力よりも小さく設定したものである。
また、弱ゴム部が、基本ゴム部の糸の弾性力よりも弾性力が小さい糸にて編まれているものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の靴下によれば、脚が太い人が着用した際に適切な締めつけ力が作用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1・図2は、本発明の第1の実施の形態を示す。この靴下は、基準弾性力を有する基本ゴム部1を円周方向に帯状に───円環帯状に───有する口部2に於て、基準弾性力よりも小さな弾性力を有する(巨視的に見て)上下方向帯状の弱ゴム部3が部分的に介在している。即ち、円環帯状基本ゴム部1を、上下方向帯状の弱ゴム部3によって、分断状に構成される。具体的には、弱ゴム部3の弾性力が、編み方によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定されている(基本ゴム部1の糸4と、弱ゴム部3の糸5は、同一である)。図2の矢印Eは、伸長方向を示す。すなわち、図2の左右方向は、口部2の円周方向を示す。なお、本発明に於て、「編み方」には、編み目の大きさも含まれるものとする。すなわち、編み目の大きさが異なる場合にも「編み方」が異なるものとする。
【0008】
図3は、図1のZ−Z断面を示す簡略断面説明図を示す。口部2を円周が大きくなるように拡径させていくと、まず図4の状態になり、その後図5の状態になる。ところで、図6〜図8は、それぞれ図3〜図5の状態をバネに置き換えてモデル化したものを示す。すなわち、Xが全ての弱ゴム部3を総体的にモデル化した弱バネを示すとともに、Yが基本ゴム部1をモデル化した基本バネを示す。そして、弱バネXの弾性力は、基本バネYの弾性力よりも小さい。
【0009】
図6は、自然状態(伸びがゼロの場合)を示す。矢印にて示すように引張力Fを作用させていくと、主として弱バネXが伸びて、図7に示すように、弱バネXが伸びきった状態になる。さらに引張力Fを作用させると、図8に示すように、弱バネXが伸びきったままで、基本バネYのみが伸びていく。
【0010】
すなわち、図3に示す自然状態から、口部2を拡径させていくと、図4に示すように、弱ゴム部3が伸びきった状態になる。さらに口部2を拡径させていくと、図5に示すように、弱ゴム部3が伸びきったままで、基本ゴム部1のみが伸びていく。
【0011】
図9は、靴下の口部2に於ける伸び量と弾発力の関係を表すグラフを示す。実線6は、本発明の靴下の場合を示す。2点鎖線7は、従来の靴下の場合(すなわち、弱ゴム部3を介在させない場合)を示す。そして、斜線部Sは、適切な弾発力の範囲を示す。
【0012】
従来の靴下では、伸び量がAで示す範囲になる脚の太さの人に適切な弾発力(締めつけ力)が作用していた。本発明の靴下では、伸び量がBで示す範囲になる脚の太さの人に適切な弾発力(締めつけ力)が作用する。すなわち、本発明の靴下は、脚が太い人に適している。
【0013】
次に、第2の実施の形態について説明する。弱ゴム部3の弾性力が、糸の種類によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定されている(基本ゴム部1と弱ゴム部3の編み方は同一である)。すなわち、弱ゴム部3が、基本ゴム部1の糸4(図10参照)の弾性力よりも弾性力が小さい糸5(図11参照)にて編まれている。具体的には、糸4は、ゴム芯4aとゴム芯4aに巻設される巻設糸4bとから成る。糸5は、ゴム芯5aとゴム芯5aに巻設される巻設糸5bとから成る。そして、糸4のゴム芯4aと糸5のゴム芯5aが同じ材質であって、かつ、ゴム芯4aの方が、ゴム芯5aよりも太く設定されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0014】
なお、図1では、上下長さが比較的短い(すなわち、着用時に足首の少し上を口部2が締めつける位の長さの)靴下を例示したが、図12に示すように上下長さが比較的長い(すなわち、着用時に膝近傍を口部2が締めつける位の長さの)靴下(ハイソックス)であっても良い。
【0015】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、上下方向帯状の弱ゴム部3の本数は増減自由である。また、基本ゴム部1に対する弱ゴム部3の割合も増減自由である。また、弱ゴム部3の編み目の大きさではなく事実上の編み方を、基本ゴム部1の編み方と相違させて、弱ゴム部3の弾性力を基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定するも良い。また、弱ゴム部3の糸5のゴム芯5aの材質を、基本ゴム部1の糸4のゴム芯4aと相違させて、弱ゴム部3の弾性力を基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定するも良い。また、弱ゴム部3の弾性力を、編み方及び糸の種類によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定するも良い。また、口部2の内面2a(図3〜図5参照)に滑り止め加工を施すのが好ましい。
【0016】
以上のように、本発明は、基準弾性力を有する基本ゴム部1を円環帯状に有する口部2に於て、円環帯状基本ゴム部1を分断状として、基準弾性力よりも小さな弾性力を有する上下方向帯状の弱ゴム部3を介在させたので、脚が太い人が着用した際に適切な締めつけ力が作用する。(よって、血液の循環が良好であり、かつ、ずれ落ちない。)すなわち、本発明の靴下は、脚が太い人に適したものである。
また、弱ゴム部3の弾性力を、編み方によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定したので、基本ゴム部1と弱ゴム部3の両方を1種類の糸にて編むことができ、容易に製造することができる。
また、弱ゴム部3が、基本ゴム部1の糸4の弾性力よりも弾性力が小さい糸5にて編まれているので、1種類の編み方で編んで基本ゴム部1と弱ゴム部3の弾性力を相違させることができ、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図2】要部拡大正面図である。
【図3】図1のZ−Z断面を示す簡略拡大断面説明図である。
【図4】簡略断面説明図である。
【図5】簡略断面説明図である。
【図6】説明図である。
【図7】説明図である。
【図8】説明図である。
【図9】グラフ図である。
【図10】第2の実施の形態に於ける基本ゴム部の糸を示す正面図である。
【図11】弱ゴム部の糸を示す正面図である。
【図12】変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 基本ゴム部
2 口部
3 弱ゴム部
4 糸
5 糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、靴下は口部に円周方向に帯状のゴム部が配設されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、脚が太い人が着用する(履く)と、ゴムの弾性力が過度に強く作用して、脚を過剰に締めつけ、痛みを感じるという欠点があった。
【特許文献1】特開2004−204373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、脚が太い人が着用した際に過剰な締めつけ力が作用する点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る靴下は、基準弾性力を有する基本ゴム部を円環帯状に有する口部に於て、上記円環帯状基本ゴム部を分断状として、上記基準弾性力よりも小さな弾性力を有する上下方向帯状の弱ゴム部を介在させたものである。
また、弱ゴム部の弾性力を、編み方によって、基本ゴム部の弾性力よりも小さく設定したものである。
また、弱ゴム部が、基本ゴム部の糸の弾性力よりも弾性力が小さい糸にて編まれているものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の靴下によれば、脚が太い人が着用した際に適切な締めつけ力が作用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1・図2は、本発明の第1の実施の形態を示す。この靴下は、基準弾性力を有する基本ゴム部1を円周方向に帯状に───円環帯状に───有する口部2に於て、基準弾性力よりも小さな弾性力を有する(巨視的に見て)上下方向帯状の弱ゴム部3が部分的に介在している。即ち、円環帯状基本ゴム部1を、上下方向帯状の弱ゴム部3によって、分断状に構成される。具体的には、弱ゴム部3の弾性力が、編み方によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定されている(基本ゴム部1の糸4と、弱ゴム部3の糸5は、同一である)。図2の矢印Eは、伸長方向を示す。すなわち、図2の左右方向は、口部2の円周方向を示す。なお、本発明に於て、「編み方」には、編み目の大きさも含まれるものとする。すなわち、編み目の大きさが異なる場合にも「編み方」が異なるものとする。
【0008】
図3は、図1のZ−Z断面を示す簡略断面説明図を示す。口部2を円周が大きくなるように拡径させていくと、まず図4の状態になり、その後図5の状態になる。ところで、図6〜図8は、それぞれ図3〜図5の状態をバネに置き換えてモデル化したものを示す。すなわち、Xが全ての弱ゴム部3を総体的にモデル化した弱バネを示すとともに、Yが基本ゴム部1をモデル化した基本バネを示す。そして、弱バネXの弾性力は、基本バネYの弾性力よりも小さい。
【0009】
図6は、自然状態(伸びがゼロの場合)を示す。矢印にて示すように引張力Fを作用させていくと、主として弱バネXが伸びて、図7に示すように、弱バネXが伸びきった状態になる。さらに引張力Fを作用させると、図8に示すように、弱バネXが伸びきったままで、基本バネYのみが伸びていく。
【0010】
すなわち、図3に示す自然状態から、口部2を拡径させていくと、図4に示すように、弱ゴム部3が伸びきった状態になる。さらに口部2を拡径させていくと、図5に示すように、弱ゴム部3が伸びきったままで、基本ゴム部1のみが伸びていく。
【0011】
図9は、靴下の口部2に於ける伸び量と弾発力の関係を表すグラフを示す。実線6は、本発明の靴下の場合を示す。2点鎖線7は、従来の靴下の場合(すなわち、弱ゴム部3を介在させない場合)を示す。そして、斜線部Sは、適切な弾発力の範囲を示す。
【0012】
従来の靴下では、伸び量がAで示す範囲になる脚の太さの人に適切な弾発力(締めつけ力)が作用していた。本発明の靴下では、伸び量がBで示す範囲になる脚の太さの人に適切な弾発力(締めつけ力)が作用する。すなわち、本発明の靴下は、脚が太い人に適している。
【0013】
次に、第2の実施の形態について説明する。弱ゴム部3の弾性力が、糸の種類によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定されている(基本ゴム部1と弱ゴム部3の編み方は同一である)。すなわち、弱ゴム部3が、基本ゴム部1の糸4(図10参照)の弾性力よりも弾性力が小さい糸5(図11参照)にて編まれている。具体的には、糸4は、ゴム芯4aとゴム芯4aに巻設される巻設糸4bとから成る。糸5は、ゴム芯5aとゴム芯5aに巻設される巻設糸5bとから成る。そして、糸4のゴム芯4aと糸5のゴム芯5aが同じ材質であって、かつ、ゴム芯4aの方が、ゴム芯5aよりも太く設定されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0014】
なお、図1では、上下長さが比較的短い(すなわち、着用時に足首の少し上を口部2が締めつける位の長さの)靴下を例示したが、図12に示すように上下長さが比較的長い(すなわち、着用時に膝近傍を口部2が締めつける位の長さの)靴下(ハイソックス)であっても良い。
【0015】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、上下方向帯状の弱ゴム部3の本数は増減自由である。また、基本ゴム部1に対する弱ゴム部3の割合も増減自由である。また、弱ゴム部3の編み目の大きさではなく事実上の編み方を、基本ゴム部1の編み方と相違させて、弱ゴム部3の弾性力を基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定するも良い。また、弱ゴム部3の糸5のゴム芯5aの材質を、基本ゴム部1の糸4のゴム芯4aと相違させて、弱ゴム部3の弾性力を基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定するも良い。また、弱ゴム部3の弾性力を、編み方及び糸の種類によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定するも良い。また、口部2の内面2a(図3〜図5参照)に滑り止め加工を施すのが好ましい。
【0016】
以上のように、本発明は、基準弾性力を有する基本ゴム部1を円環帯状に有する口部2に於て、円環帯状基本ゴム部1を分断状として、基準弾性力よりも小さな弾性力を有する上下方向帯状の弱ゴム部3を介在させたので、脚が太い人が着用した際に適切な締めつけ力が作用する。(よって、血液の循環が良好であり、かつ、ずれ落ちない。)すなわち、本発明の靴下は、脚が太い人に適したものである。
また、弱ゴム部3の弾性力を、編み方によって、基本ゴム部1の弾性力よりも小さく設定したので、基本ゴム部1と弱ゴム部3の両方を1種類の糸にて編むことができ、容易に製造することができる。
また、弱ゴム部3が、基本ゴム部1の糸4の弾性力よりも弾性力が小さい糸5にて編まれているので、1種類の編み方で編んで基本ゴム部1と弱ゴム部3の弾性力を相違させることができ、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図2】要部拡大正面図である。
【図3】図1のZ−Z断面を示す簡略拡大断面説明図である。
【図4】簡略断面説明図である。
【図5】簡略断面説明図である。
【図6】説明図である。
【図7】説明図である。
【図8】説明図である。
【図9】グラフ図である。
【図10】第2の実施の形態に於ける基本ゴム部の糸を示す正面図である。
【図11】弱ゴム部の糸を示す正面図である。
【図12】変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 基本ゴム部
2 口部
3 弱ゴム部
4 糸
5 糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準弾性力を有する基本ゴム部(1)を円環帯状に有する口部(2)に於て、上記円環帯状基本ゴム部(1)を分断状として、上記基準弾性力よりも小さな弾性力を有する上下方向帯状の弱ゴム部(3)を介在させたことを特徴とする靴下。
【請求項2】
弱ゴム部(3)の弾性力を、編み方によって、基本ゴム部(1)の弾性力よりも小さく設定した請求項1記載の靴下。
【請求項3】
弱ゴム部(3)が、基本ゴム部(1)の糸(4)の弾性力よりも弾性力が小さい糸(5)にて編まれている請求項1記載の靴下。
【請求項1】
基準弾性力を有する基本ゴム部(1)を円環帯状に有する口部(2)に於て、上記円環帯状基本ゴム部(1)を分断状として、上記基準弾性力よりも小さな弾性力を有する上下方向帯状の弱ゴム部(3)を介在させたことを特徴とする靴下。
【請求項2】
弱ゴム部(3)の弾性力を、編み方によって、基本ゴム部(1)の弾性力よりも小さく設定した請求項1記載の靴下。
【請求項3】
弱ゴム部(3)が、基本ゴム部(1)の糸(4)の弾性力よりも弾性力が小さい糸(5)にて編まれている請求項1記載の靴下。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−146352(P2007−146352A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43681(P2006−43681)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3118916号
【原出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(505440963)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3118916号
【原出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(505440963)
【Fターム(参考)】
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