説明

音声記録/再生装置

【課題】他の(旧式の)装置で音声を再生する際に、サポート外のファイルが選択されないようにする。
【解決手段】生成された音声ファイルをサンプリング周波数ごとに記憶装置の別々のフォルダに記録する。旧式の装置は、サポートするサンプリング周波数に対応するフォルダしか参照しないので、旧式の装置でサポートしないサンプリング周波数の音声ファイルが選択されることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声の録音および再生が可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音声の記録(録音)および再生が可能なカメラが記載されている。音声データは、コンピュータで扱うことが可能なデジタル音声ファイルとしてメモリカードの特定の記憶領域(音声フォルダ)に記録される。音声の再生を指示すると、カメラは音声フォルダ内のファイルのうち、上記特定の拡張子が付加されたファイルを選択可能な音声ファイルとして一覧表示する。ユーザがその中からいずれかの音声ファイルを選択すると、その音声ファイルが再生される。
【0003】
ここで、デジタル音声ファイルの音質を決める要素として、サンプリング周波数(サンプリングレート)がある。一般にサンプリング周波数を高くすれば高音質となるが、その分データ量が大きくなる。そこで、録音に先立ってユーザがサンプリング周波数を選択できるようにすることが望ましい。
【0004】
【特許文献1】特開2003−234993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、録音時のサンプリング周波数を可変とすると、その装置で録音した音声ファイルを他の装置で再生する場合に不都合が生ずることがある。その再生側の装置が旧式で、低いサンプリング周波数しかサポートしない場合である。一般に、高音質をサポートしない装置で高音質の音声ファイルを再生すると、間延びした聞き苦しい音声となり、ユーザが不快感を感ずる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、入力された音声に基づいて音声ファイルを生成し、生成された音声ファイルを記憶装置に記録し、また記録された音声ファイルを再生する装置において、音声記録時のサンプリング周波数を可変とし、音声ファイルをサンプリング周波数ごとに記憶装置の別々の記憶領域に記録することを特徴とする。
音声ファイルの再生にあたり、記録された音声ファイルを一覧表示するようにしてもよい。その一覧表示においては、各音声ファイルの記憶領域によってサンプリング周波数を判断し、各音声ファイルのサンプリング周波数を表示するようにしてもよい。音声ファイルが記録される記憶場所の名称を、記録する音声ファイルのサンプリング周波数に応じて決めるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、旧式の装置で音声を再生する際に、サポート外のファイルが選択されるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜図3により本発明を電子カメラに適用した場合の一実施形態を説明する。
図1はカメラのブロック図を示している。カメラ全体を制御するCPU1には、カメラ駆動部2、表示部3、操作部4、画像メモリ5、メモリ6などが接続される。カメラ駆動部2は、電子カメラとしての動作を実行するための撮像素子、撮像回路、画像処理回路、画像記録回路、レンズ駆動回路などから成る。表示部3は、例えば液晶モニタおよびその駆動回路から成り、画像表示やメニュー画面表示等が可能とされる。操作部4は、レリーズボタンやズームボタンなどの撮影関連操作部材に加えて、メニューや画像再生、音声記録/再生に関連する操作を行うための種々の操作部材、およびそれらに連動するスイッチを含む。
【0009】
画像メモリ5は、撮像によって生成された画像ファイルが記録される大容量メモリであり、カメラ内に固定的に設けられた内蔵メモリ、およびメモリカードのようなカメラに挿脱可能な記録媒体を含む。本実施形態では、画像ファイルに加えて音声ファイルも画像メモリ5に記録される。
【0010】
次に、カメラにおける音声の記録および再生について説明する。
音声処理部7は、マイク8を通して取り込んだアナログ音声データを、所定フォーマットのデジタル音声ファイルに変換する。本実施形態では、デジタル変換時のサンプリング周波数として、8kHzおよび22kHzのいずれかが選択可能となっている。音質を重視する場合は22kHzを選択した方が有利であり、記録時間を長くとりたいときは8kHzを選択した方が有利である。
【0011】
サンプリング周波数の選択は、例えば表示部3のメニュー画面上で「音質設定」として行う。ユーザがサンプリング周波数そのものを意識する必要はなく、「標準」および「高音質」からいずれかを選択する。前者が8kHz、後者が22kHzに相当する。
【0012】
図2はCPU1による録音時の処理手順を示している。
録音は、例えば録音モードにてレリーズボタンを押すことで開始され、もう一度レリーズボタンを押すと終了する。CPU1は、上記音声処理部7が生成した音声ファイルに対して一意の名称を付与し、画像メモリ5に作成した所定の音声フォルダ内に記録する。音声ファイルに付与されるファイル名称には、その音声フォーマットに応じた拡張子が付加される。
【0013】
図2に示すように、音声フォルダは、サンプリング周波数が8kHzの音声ファイルと22kHzの音声ファイルとで変える。一例として、8kHzの音声ファイルを格納する音声フォルダは、「***SOUND」というように、末尾に「SOUND」という文字列を含むフォルダ名称とする。「***」の部分はシリアル番号であり、例えば「001SOUND」内のファイル数が一定数に達したら、「002SOUND」を新たに作成して格納するようにする。一方、22kHzの音声ファイルを格納する音声フォルダは、「***SOUNE」のように末尾に「SOUNE」という文字列を含むフォルダ名称とする。「***」の部分は上述と同様である。
以下、このような規則で命名された音声フォルダのうち、前者をSOUNDフォルダ、後者をSOUNEフォルダと呼ぶ。
【0014】
ユーザが音声再生モードを設定すると、CPU1は、メモリカードのSOUNDフォルダおよびSOUNEフォルダを参照し、上記特定の拡張子が付加されたファイルを再生可能な音声ファイルとして認識し、それらのファイルを表示部3に一覧表示する。図3はその表示例を示し、ここでは各音声ファイルのファイル番号と、録音日時、録音時間および音質を対応づけて表示する。ファイル番号は、録音日時順に付けられる通し番号である。これに代えてファイル名を表示してもよい。
【0015】
また音質の表示に関し、CPU1は、SOUNDフォルダに格納されていたものは「標準」、SOUNEフォルダに格納されていたものは「高」と表示するだけでよく、いちいち各ファイルのヘッダ情報を参照してサンプリング周波数を調べる必要はない。したがって、表示の高速化が図れる。これは、サンプリング周波数によって音声ファイルの格納フォルダを変えたことによる利点の1つである。
【0016】
なお、音質表示については、例えば8kHz用および22kHz用の各アイコン等を用いて行ってもよいし、あるいは22kHzだけ何らかのマークを付し、8kHzは無印とするような表示でもよい。また上記一覧表示における表示順序は、音質によらずに日時順にソートして表示してもよいし、最初に高音質ファイルを日時順に表示し、その下に標準音質ファイルを日時順に表示してもよい。またファイル番号は、標準/高音質ファイルを合わせた通し番号でもよいし、各音質ごとの通し番号でもよい。後者の場合はファイル番号が標準/高音質で重複するが、音質表示がなされているので不都合はない。
【0017】
上記の一覧表示に対し、ユーザはいずれかのファイルを選択する。図3において、ハイライト表示されているのは、現在選択状態にある音声ファイルを示している。所定操作により、ハイライト表示を上下に変更できる。その後、決定操作を行うと、そのとき選択状態にあった音声ファイルの選択が確定し、CPU1はその選択ファイルの再生を音声処理部7に指示する。音声処理部7は、スピーカ9を介して音声を再生する。
【0018】
なお、記録された音声ファイルは、例えば内蔵メモリからメモリカードにコピーしたり、パーソナルコンピュータなどの外部機器に転送することも可能である。コピーファイルの選択は、上述したような一覧表示から選択する方式(全選択を含む)である。
【0019】
次に、新旧の2種類のカメラでのメモリカードを入れ替えて使用することを考える。具体的には、本実施形態のカメラで録音された複数の音声ファイルを含むメモリカードを、旧式のカメラに装填して音声再生を図るケースである。旧式のカメラは、サンプリング周波数8kHzの標準音質しかサポートしていないものとする。
【0020】
背景技術でも述べたように、仮に旧式のカメラでサンプリング周波数22kHzの高音質ファイルを再生すると、間延びした聞き苦しい音声となってしまう。かかる不都合を防止するには、旧式のカメラで音声ファイルを選択する際に、高音質ファイルを選択肢として表示しない、あるいは表示しても選択できないようにする必要がある。
【0021】
一般的なファイル表示では、特定の拡張子のファイルのみを表示対象とし、それ以外は表示されないようにすることは簡単である。しかし、音声ファイルのファイル名に付加される拡張子は、変換フォーマットが同じであれば全て同じであり、サンプリング周波数によって拡張子を変えることは行われない。したがって、拡張子による表示/非表示の選別は行えない。
【0022】
ところで、旧式カメラは単一のサンプリング周波数しかサポートしないため、旧式カメラにおける音声フォルダは、上述したSOUNDフォルダのみであり、それ以外にはない。本実施形態のカメラは、敢えて旧式カメラのSOUNDフォルダと同じ命名規則のSOUNDフォルダを8kHz用の標準音質フォルダとし、それ以外に高音質用のSOUNEフォルダ(22kHz用)を使用している。つまり、2種類のサンプリング周波数をサポートしていても、SOUNDフォルダに高音質ファイルが格納されることは決してない。こうすることで、SOUNDフォルダとSOUNEフォルダが混在するメモリカードを旧式カメラに装填した場合、旧式カメラは、SOUNDフォルダに格納された標準音質ファイルは全て選択可能ファイルとして一覧表示する。一方で、旧式カメラはSOUNEフォルダは音声フォルダとみなさないから、高音質ファイルは全く表示されない。したがって、旧式カメラで高音質ファイルが選択されることはなく、上述したような聞き苦しい音声が再生されることはない。また旧式カメラでは、高音質ファイルのコピーやパーソナルコンピュータなどへの転送も不可となる。
【0023】
カメラがサポートするサンプリング周波数は、3種類以上あってもよい。例えば、8kHz、22kHzに加えて32kHzをサポートするカメラでは、上述と同様に8kHz用のSOUNDフォルダと、22kHz用のSOUNEフォルダに加えて、32kHz用のフォルダ(例えば、SOUNFフォルダ)を用いる。この場合、上記実施形態で示した2種類のサンプリング周波数をサポートするカメラは、旧式カメラとしての扱いとなるが、このカメラはSOUNFフォルダを音声フォルダとはみなさないので、再生時に32kHzの音声ファイルが選択されるといった不都合はない。
【0024】
なお、以上はカメラについて説明したが、音声の記録および再生が可能なあらゆる機器に本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態におけるカメラのブロック図。
【図2】上記カメラの録音時の処理手順を示すフローチャート。
【図3】再生する音声ファイルの選択画面を示す図。
【符号の説明】
【0026】
1 CPU
3 表示部
5 画像メモリ
7 音声処理部
8 マイク
9 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された音声に基づいて音声ファイルを生成し、生成された音声ファイルを記憶装置に記録し、また記録された音声ファイルを再生する装置において、音声記録時のサンプリング周波数を可変とし、前記音声ファイルをサンプリング周波数ごとに前記記憶装置の別々の記憶領域に記録することを特徴とする音声記録/再生装置。
【請求項2】
前記音声ファイルの再生にあたり、前記記録された音声ファイルを一覧表示することを特徴とする請求項1に記載の音声記録/再生装置。
【請求項3】
前記一覧表示においては、各音声ファイルの記憶領域によってサンプリング周波数を判断し、各音声ファイルのサンプリング周波数を表示することを特徴とする請求項2に記載の音声記録/再生装置。
【請求項4】
前記音声ファイルが記録される前記記憶場所の名称を、記録する音声ファイルのサンプリング周波数に応じて決めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の音声記録/再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−219395(P2007−219395A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42526(P2006−42526)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】