説明

音楽データ記録装置、音楽データ記録方法及び音楽データ記録プログラム

【課題】CDDBを利用した音楽データベースの作成において、ユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させる。
【解決手段】音楽データ記録装置は、音楽データを取得し、取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する。関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成し、音楽データに付加して記憶する。これにより、ユーザがあるアーティスト名で検索した場合に、そのアーティストと関連の強い曲をユーザに示すことできる。こうしてユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽データを記録する音楽データ記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CDデータを取り込む際にCDDBを利用する場合が多い。CDDB(Compact Disc DataBase)とは、音楽CDの演奏者や曲名などの情報が格納されたデータベースであり、インターネットを介してアクセスし、それらの情報を取得するアプリケーションソフトウェアである。iTunesなどが利用している米GracenoteのCDDBが最も有名である。一方、音楽CDをMP3やAAC(Advanced Audio Coding)などの圧縮オーディオに変換しパソコンや携帯音楽プレーヤーで楽しむという使い方が一般的になってきており、HDDには数万曲以上が保存できるようになった。
【0003】
特許文献1には、アルバム名をユーザ自身で編集しなくても、楽曲名又はアーティスト名を編集すれば楽曲名又はアーティスト名に応じてアルバム名を自動的に修正するオーディオ装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、CDDBのアーティスト情報の全角/半角やカタカナ/ローマ字表記を区別することなく同一に扱うことで、同一のアーティストにも関わらず複数のアーティストが存在するように管理されるなどの問題点を解決するオーディオ装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−44403号公報
【特許文献2】特開2005−44434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、膨大な楽曲の中からユーザが目的の曲を探し出すのは簡単ではない。あるアーティストのアルバムに別のアーティストが1曲のみで参加するようなゲスト参加タイプの場合、「X with Y」や「X featuring Y」などとCDDBに登録されていることが多いが、上記のオーディオ装置では、「X with Y」や「X featuring Y」という一人のアーティストとして認識されてしまうという問題点があった。例えば、ユーザが「X」というアーティストを検索したとしても、「X」のアルバムに含まれる「X featuring Y」というアーティスト名で認識されている曲Aは検索結果に含まれないことになる。ユーザが曲Aを探し出すには、曲名を記憶していて曲名から検索するか、「X」のアルバムにAという曲が収録されていることを記憶していてアルバム名から検索するか、曲Aが、「X featuring Y」の曲であることをユーザが記憶していて、「X featuring Y」というアーティスト名で検索する方法があるが、どれもユーザにとって便利なものではない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、CDDBを利用した音楽データベースの作成において、音楽データ同士の関連付けを行うことでユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、音楽データ記録装置であって、音楽データを記憶する記憶手段と、前記音楽データを取得する音楽データ取得手段と、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定手段と、前記関連性判定手段が、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成手段と、を備え、前記記憶手段は、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶することを特徴とする。
【0009】
請求項8に記載の発明は、音楽データ記録装置によって実行される音楽データ記録方法であって、音楽データを記憶する記憶工程と、前記音楽データを取得する音楽データ取得工程と、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定工程と、前記関連性判定工程で、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成工程と、を備え、前記記憶工程では、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶することを特徴とする。
【0010】
請求項9に記載の発明は、コンピュータを備える音楽データ記録装置により実行される音楽データ記録プログラムであって、音楽データを記憶する記憶手段、前記音楽データを取得する音楽データ取得手段、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定手段、前記関連性判定手段が、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成手段、として前記コンピュータを機能させ、前記記憶手段は、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態では、音楽データ記録装置は、音楽データを記憶する記憶手段と、前記音楽データを取得する音楽データ取得手段と、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定手段と、前記関連性判定手段が、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成手段と、を備え、前記記憶手段は、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶する。
【0012】
上記の音楽データ記録装置は、例えば、「X」というアーティストと「Y」というアーティストに関連があった場合、「X」及び「Y」の音楽データに関連性情報を付加して記憶する。これにより、ユーザが「X」というアーティスト名で検索した場合、「Y」の音楽データも検索結果として得ることができ、ユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることが可能となる。
【0013】
上記の音楽データ記録装置の他の一態様では、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データはアーティスト名データを含み、前記アーティスト名データからキーワードを検出するキーワード検出手段をさらに備え、前記関連性判定手段は、前記キーワード検出手段がキーワードを検出したアーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かにより関連があるか否かを判定する。この態様では、例えば、「featuring」、「Feat.」、「with」、「duet with」、「&」、「and」など、ゲスト参加タイプである可能性が高いキーワードを検出し、複数のアーティスト名を含むか否かを判定することで、関連性の有無を判定している。これにより、例えば、「X featuring Y」が「X」及び「Y」のアーティスト名を含んでいた場合、「X」と「Y」との音楽データは関連付けられて記憶されるので、ユーザが「X」というアーティスト名で検索した場合でも、「X featuring Y」の音楽データや「Y」の音楽データも検索結果として得ることができ、ユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることが可能となる。
【0014】
上記の音楽データ記録装置の他の一態様では、前記キーワードの前後の文字列の数を算出する算出手段と、アーティスト情報を参照する参照手段と、をさらに備え、前記関連性判定手段は、前記算出手段が算出したアーティスト名の数に基づいて、前記アーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かを判定する第1判定手段と、前記参照手段によって参照したアーティスト情報に基づいて、前記アーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かを判定する第2判定手段と、を備える。この態様では、アーティスト名の数とアーティスト情報とに基づいて、複数のアーティスト名を含むか否かの2つの判定を行うことで、判定精度を上げることが可能となる。
【0015】
上記の音楽データ記録装置の他の一態様では、前記音楽データ取得手段が同時に取得した音楽データが、全て違うアーティストの音楽データであるコンピレーションであるか否かを判定するコンピレーション判定手段をさらに備え、前記関連性判定手段は、前記コンピレーション判定手段がコンピレーションであると判定した場合、前記アーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かを判定する際、前記第2判定手段のみを実行する。この態様では、コンピレーションであった場合、アーティスト名の数に基づいて判定する第1判定手段が実行できないので、予め、コンピレーションであるか否かを判定することで、第1判定手段を実行する処理を省略することができる。
【0016】
上記の音楽データ記録装置の他の一態様では、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データは曲名データを含み、前記曲名データ及び前記アーティスト名データを修正するデータ修正手段をさらに備え、前記データ修正手段は、前記関連性判定手段が複数のアーティスト名を含むと判定した場合、前記曲名データ及び前記アーティスト名データを修正する。この態様では、例えば、「ABC」という曲のアーティスト名「X featuring Y」が「X」及び「Y」のアーティスト名を含んでいた場合、「ABC」という曲のアーティスト名「X featuring Y」は「X」に修正され、曲名「ABC」は「ABC(featuring Y)」に修正される。これにより、ユーザが「X」で検索しても、「Y」で検索しても、「ABC」という曲を検索結果として得ることができるようになる。
【0017】
上記の音楽データ記録装置の他の一態様では、前記関連性判定手段は、前記参照手段によって参照したアーティスト情報に基づいて、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データに対応するアーティストが他のアーティストと関連があるか否かを判定する。この態様では、例えば、アーティスト「S」は、グループ「G」からソロになったアーティストであるというアーティスト情報を得た場合、「S」と「G」とは強い関係性を有していると言える。このように、アーティスト情報に基づいて関連性の有無を判定し、音楽データ同士の関連付けを行うことで、ユーザが検索したアーティストの音楽データだけでなく、当該アーティストに関連のあるアーティストの音楽データも検索結果として得ることができ、ユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることが可能となる。
【0018】
上記の音楽データ記録装置の他の一態様では、前記関連性情報に、関連性の度合いに応じてレベルを設定する。このように関連性情報にレベルを設け、ユーザが関連性情報のレベルに基づいて検索範囲を適宜変えることで検索結果を幅広く提供することができるようになる。
【0019】
本発明の他の実施形態では、音楽データ記録装置によって実行される音楽データ記録方法は、音楽データを記憶する記憶工程と、前記音楽データを取得する音楽データ取得工程と、前記音楽データ取得工程が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定工程と、前記関連性判定工程が、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成工程と、を備え、前記記憶工程では、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶する。
【0020】
本発明の他の実施形態では、コンピュータを備える音楽データ記録装置により実行される音楽データ記録プログラムは、音楽データを記憶する記憶手段、前記音楽データを取得する音楽データ取得手段、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定手段、前記関連性判定手段が、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成手段、として前記コンピュータを機能させ、前記記憶手段は、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶する。
【0021】
上記の音楽データ記録方法及び音楽データ記録プログラムによっても、ユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることが可能となる。なお、音楽データ記録プログラムは、記録媒体に記録した状態で好適に取り扱うことができる。
【実施例】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0023】
図1に、実施例に係る音楽データ記録装置の概略構成を示す。図示のように、音楽データ記録装置100は、CDデータ取込み部10と、エンコーダ11と、CD情報取込み部12と、CDDB検索部13と、データベース作成部14と、アーティストデータベース17と、HDD18と、を備える。データベース作成部14は、キーワード検出部15と、判定部16と、関連性情報作成部19と、データ修正部20と、を備える。
【0024】
CDデータ取込み部10は音楽CDからデジタル信号を読み出す。デジタル信号は、曲データとTOC(Table of Contents)情報を有し、曲データはエンコーダ11へ、TOC情報はCD情報取込み部12へ渡される。
【0025】
曲データはエンコーダ11でMP3形式などに変換され、HDD18に記憶される。HDD18は、本発明における記憶手段として機能する。
【0026】
外部のCDDBのデータは、インターネットなどを介してダウンロードされ、HDD18に記憶されている。TOC情報には曲数と時間の情報が100分の1秒単位まで記録されている。CD情報取込み部12は、TOC情報をCDDB検索部13へ供給する。CDDB検索部13は、TOC情報をもとに、HDD18に記憶されているCDDBから音楽CDのアーティスト名データ、曲名データ、アルバム名データ、制作年データ、作曲者データなど(以下、「CD属性情報」と呼ぶ。)を取得する。CDデータ取込み部10、エンコーダ11、CD情報取込み部12、CDDB検索部13は、本発明における音楽データ取得手段として機能する。
【0027】
データベース作成部14では、キーワード検出部15は、CDDB検索部13が取得したCD属性情報のアーティスト名データから「featuring」、「Feat.」、「with」、「duet with」、「&」、「and」など、ゲスト参加タイプの曲である可能性が高いキーワードを検出し、キーワードを検出したアーティスト名データを判定部16へ供給する。
【0028】
判定部16は、キーワードを検出したアーティスト名データのキーワードの前後にある文字列が別々のアーティストであり、そのアーティストの曲がゲスト参加タイプの曲かどうかを判定する。具体的には、判定部16は、キーワードの前後にある各文字列の数を算出し、算出した数に基づいて、キーワードの前後にある文字列が別々のアーティストか否かを判定する。さらに、判定部16は、アーティストデータベース17を参照し、キーワードの前後にある文字列が別々のアーティストか否かを判定する。アーティストデータベース17は、多数のアーティストのアーティスト名を含むアーティスト情報を記憶したデータベースである。判定部16は、キーワードの前後にある文字列がアーティストデータベース17に存在するか否かを調べることにより、その文字列がアーティスト名であるか否かを判断することができる。
【0029】
さらに、判定部16は、アーティストデータベース17を参照し、CDDB検索部13が取得したCD属性情報のアーティスト名データに基づいて、当該アーティストが他のアーティストと関連があるか否かを判定する。例えば、アーティストデータベース17を参照し、アーティスト「S」は、グループ「G」のソロであるというアーティスト情報を得た場合、「S」と「G」とは関係性を有していると判定し、後述する関連性情報作成部19は、「S」及び「G」の音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する。このように、アーティストデータベース17のアーティスト情報に基づいて関連性の有無を判定し、音楽データ同士の関連付けを行うことで、ユーザが検索したアーティストの音楽データだけでなく、当該アーティストに関連のあるアーティストの音楽データも検索結果として得ることができ、ユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることが可能となる。
【0030】
さらに、判定部16は、CDDB検索部13が取得したCD属性情報に基づいて、当該音楽CDがコンピレーションであるか否かを判定する。音楽CDがコンピレーションであった場合、前述の、キーワードの前後にある各文字列の数に基づく判定をすることができない。そこで、判定部16が、予めコンピレーションであるか否かを判定することで、この判定処理を省略することができる。
【0031】
判定部16は、本発明における算出手段、参照手段、関連性判定手段、として機能する。
【0032】
関連性情報作成部19は、判定部16が、キーワードの前後にある文字列は別々のアーティストである、若しくは、当該アーティストが他のアーティストと関連がある、と判定した場合、これらのアーティストの音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する。また、関連性情報作成部19は、関連性情報に、関連性の度合いに応じてレベルを設定する。
【0033】
データ修正部20は、判定部16がキーワードの前後にある文字列が別々のアーティストであると判定した場合、曲名データ及びアーティスト名データを修正する。
【0034】
例えば、「ABC」という曲のアーティスト名データ「X featuring Y」の「X」と「Y」とが別々のアーティストであると判定部16が判定した場合、当該音楽データは、後述する関連性情報作成部19によって作成される「X」及び「Y」の音楽データを互いに関連付ける関連性情報を付加され、さらに、後述するデータ修正部20によって「ABC」という曲のアーティスト名データ「X featuring Y」は「X」に、曲名「ABC」は「ABC(featuring Y)」に修正され、HDD18に記憶される。これにより、ユーザが「X」というアーティスト名で検索した場合でも、「X featuring Y」の音楽データや「Y」の音楽データも検索結果として得ることができ、ユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることが可能となる。
【0035】
[音楽データ]
次に、本実施例における音楽データについて図2乃至5を用いて説明する。
【0036】
図2(a)は、ゲスト参加タイプの曲を含むアルバムから取得した音楽データの例である。キーワード検出部15は、「Featuring」というキーワードを検出し、アーティスト203とアーティスト206とを判定部16に供給する。判定部16は、算出したキーワード前後の文字列の数と、アーティストデータベース17を参照して得たアーティスト情報とに基づいて、「Featuring」というキーワードの前後の文字列「Pls」と「T」ならびに「Pls」と「Ak」が別々のアーティストであるか否かを判定する。判定部16が別々のアーティストであると判定すると、データ修正部20は、アーティスト203を「Pls Featuring T」から「Pls」に、アーティスト206を「Pls Featuring Ak」から「Pls」に、修正する。これにより、ユーザがアーティスト201を検索すると曲202及び曲207が検索結果として出る。
【0037】
さらに、これだけではアーティスト205及びアーティスト208の情報がなくなってしまうので、データ修正部20は、曲202の曲名データを「Shawty」から「Shawty(Featuring T)」に、曲207の曲名データを「Hypnotized」から「Hypnotized(Featuring Ak)」に、修正する。このように修正することにより、後述する関連性情報の作成において、曲202とアーティスト205とを、曲207とアーティスト208とを関連付けることができる。曲202とアーティスト205とを、曲207とアーティスト208とを関連付けることで、ユーザが、アーティスト205を検索した場合でも曲202を検索結果として得られ、アーティスト208を検索した場合でも曲207を検索結果として得られる。
【0038】
図2(b)は、アーティスト名データにキーワードを含むが単独のアーティストのアルバムから取得した音楽データの例である。キーワード検出部15は、「&」というキーワードを検出し、アーティスト209を判定部16に供給する。ここでは、判定部16は、「&」というキーワードの前後の文字列の数が同一なので、アーティスト209は単独のアーティストであると判定する。
【0039】
図2(c)は、コンピレーションアルバムから取得した音楽データの例である。キーワード検出部15は、「Feat.」というキーワードを検出し、アーティスト210とアーティスト211とアーティスト212とを判定部16に供給する。判定部16は、コンピレーション判定を行い、コンピレーションであると判定し、参照したアーティスト情報に基づいて、「Feat.」というキーワードの前後の文字列が別々のアーティストであるか否かを判定する。判定部16が別々のアーティストであると判定すると、データ修正部20は、アーティスト210を「Timbild Feat. Key Hill」から「Timbild」に、曲213の曲名データを「The Way I am」から「The Way I am(Feat. Key Hill)」と修正し、アーティスト211を「Chrisp Blk Feat. T」から「Chrisp Blk」に、曲214の曲名データを「Kiss Kiss Kiss」から「Kiss Kiss Kiss(Feat. T)」と修正し、アーティスト212を「Bolous Feat. New」から「Bolous」に、曲215の曲名データを「Make Me Best」から「Make Me Best(Feat. New)」と修正する。
【0040】
次に、関連性情報の作成について説明する。関連性情報の例1を図3に、関連性情報の例2を図4に示す。関連性情報は、例えば図3の関連性情報301のように曲ごとに付加される情報と、関連性情報302及び関連性情報303のようにアーティストごとに付加される情報とがある。
【0041】
図2(a)の例では曲202は、「Shawty(Featuring T)」という曲に修正され、アーティスト203は「Pls Featuring T」から「Pls」に修正された。ここで、「Pls」というアーティストと「T」というアーティストは関連が強いと扱うことができる。「Pls」というアーティスト312の音楽データにおいて、修正後の曲202に対応する曲名データ304では「T」というアーティスト313との関連があるので関連性情報301にアーティスト名「T」が記録される。同様に曲名データ305では「Ak」というアーティスト314との関連があるので関連性情報306にアーティスト名「Ak」が記録される。この関連性情報を用いてアーティスト313とアーティスト314の音楽データにも関連性情報が記録される。アーティスト313の音楽データにはアーティスト312のアルバム307の曲名データ304が関連性情報308に記録され、アーティスト314の音楽データにはアーティスト312のアルバム307の曲名データ305が関連性情報309に記録される。このように、関連性情報は、必ず一対一の関係となる。上記の場合では関連性情報301と関連性情報308が対となり、関連性情報306と関連性情報309が対となる。また、音楽データ自体は2つ記録する必要はなく格納アドレス311のみを記録すればよい。
【0042】
また、図3の例では関連性情報302を「関連ARTIST Level1」と表現している。アーティスト312にはこの「関連ARTIST Level1」に相当する情報がないが、関連性情報301及び関連性情報306のような曲ごとに付加される情報を使用して「関連ARTIST Level2」という関連性情報303を作成することができる。ここではアーティスト名のみが記録される。アーティスト312を検索した場合、検索範囲を「関連ARTIST Level1」までとすると曲の候補は自身のアルバム「The Real」に限られるが、検索範囲を「関連ARTIST Level2」までとするとアーティスト314やアーティスト313の曲が候補として挙がることになる。このように関連性情報にレベルを設け、検索範囲を適宜変えることで検索結果を幅広く提供することができるようになる。
【0043】
また、あるグループからあるアーティストがソロアルバムを出した場合などは上記の「関連ARTIST Level2」よりも関連性は強くなる。関連付けする項目が増える場合にはそのレベルを変えて音楽データを作成すればよい。一例を図4に示す。例えばアーティスト313がグループ「Pain」に属していたとすると、アーティスト313の音楽データの関連性情報には「関連ARTIST Level2」として関連性情報401にグループ名「Pain」が記録される。その他、アーティスト313がゲスト参加しているわけではないが、ソングライティングやプロデュースのみに関わった曲があったとすると、「関連ARTIST Level3」として、その曲に関わる情報を関連性情報402に記録する。図3での「関連ARTIST Level2」の関連性情報310は、ここでは「関連ARTIST Level4」の関連性情報403となる。このように、検索範囲のレベルを広げるとより多くの曲が検索対象となる。
【0044】
[音楽データ記録処理]
次に、本実施例による音楽データ記録処理について説明する。図5は、音楽データ記録処理のフローチャートである。
【0045】
まず、キーワード検出部15は、CDDB検索部13が取得したCD属性情報のアーティスト名データにキーワードがあるか否かを判定する(ステップS1)。アーティスト名データにキーワードがないと判定した場合(ステップS1;No)、音楽データ記録処理を終了する。アーティスト名データにキーワードがあると判定した場合(ステップS1;Yes)、判定部16は、当該アーティスト名をキーワードの前後で「X」と「Y」の文字列に分割する(ステップS2)。
【0046】
次に、判定部16は、CD属性情報に基づいて、そのアルバムがコンピレーションであるか否かを判定する(ステップS3)。コンピレーションであると判定した場合(ステップS3;Yes)、ステップS7を実行する。コンピレーションでないと判定した場合(ステップS3;No)、判定部16は、そのアルバムに含まれる複数のアーティスト名中の「X」という文字列の数Kxを算出し(ステップS4)、同様に「Y」という文字列の数Kyを算出する(ステップS5)。
【0047】
次に、判定部16は、KxとKyとが同一であるか否かを判定する(ステップS6)。KxとKyとが同一であると判定した場合(ステップS3;Yes)、そのアルバムは全ての曲が単独のアーティストの曲であることがわかるので、音楽データ記録処理を終了する。KxとKyとが同一でないと判定した場合(ステップS3;No)、そのアルバムは他のアーティストがゲスト参加する曲を含む可能性があるので、判定部16は、アーティストデータベース17を参照し、「X」というアーティストが存在するか否かを判定する(ステップS7)。「X」というアーティストが存在しないと判定した場合(ステップS7;No)、音楽データ記録処理を終了する。
【0048】
「X」というアーティストが存在すると判定した場合(ステップS7;Yes)、判定部16は、アーティストデータベース17を参照し、「Y」というアーティストが存在するか否かを判定する(ステップS8)。「Y」というアーティストが存在しないと判定した場合(ステップS8;No)、音楽データ記録処理を終了する。
【0049】
「Y」というアーティストが存在すると判定した場合(ステップS8;Yes)、判定部16は、「X」と「Y」とが別のアーティストであると判定し(ステップS9)、関連性情報作成部19は、「X」及び「Y」の音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する(ステップS10)。また、データ修正部20は「X」及び「Y」の曲名データ及びアーティスト名データを修正する(ステップS11)。そして、「X」及び「Y」の音楽データに関連性情報を付加した音楽情報をHDD18に記憶し(ステップS12)、音楽データ記録処理を終了する。
【0050】
次に、本実施例によるコンピレーション判定処理について説明する。コンピレーション判定は、図5の音楽データ記録処理におけるステップS3で実行される。図6は、コンピレーション判定処理のフローチャートである。
【0051】
まず、判定部16は、CDDB検索部13が取得したCD属性情報の全てのアーティスト名の総数Kallを算出する(ステップS21)。Kallは曲の総数と一致する。キーワード検出部15は、アーティスト名データにキーワードがあるか否かを判定する(ステップS22)。アーティスト名データにキーワードがないと判定した場合(ステップS22;No)、判定部16は、各アーティスト名の数Knを算出する(ステップS23)。アーティスト名が複数ある場合は、Knはそれぞれのアーティストに対し、アルバム内にそのアーティストの曲がいくつあるかを算出するものである。次に、判定部16は、KnとKallとが同一であるか否かを判定する(ステップS24)。KnとKallとが同一であると判定した場合(ステップS24;Yes)、そのアルバムは全ての曲が単独のアーティストの曲であることがわかるので、判定部16は、そのアルバムがコンピレーションでないと判定する。KnとKallとが同一でないと判定した場合(ステップS24;No)、そのアルバムは複数のアーティストの曲を含むことがわかるので、判定部16は、そのアルバムがコンピレーションであると判定する。
【0052】
一方、キーワード検出部15が、アーティスト名にキーワードがあると判定した場合(ステップS22;Yes)、キーワード検出部15は、キーワードがあるアーティスト名データを判定部16に供給する。判定部16は、キーワード前の各文字列の数Kpを算出する(ステップS25)。キーワード前の各文字列が複数ある場合は、Kpはそれぞれの文字列に対し、アルバム内にそのアーティスト(文字列)の曲がいくつあるかを算出するものである。次に、判定部16は、KpとKallとが同一であるか否かを判定する(ステップS26)。KpとKallとが同一であると判定した場合(ステップS26;Yes)、そのアルバムは全ての曲が単独のアーティストの曲に他のアーティストがゲスト参加した曲であることがわかるので、判定部16は、そのアルバムがコンピレーションでないと判定する。
【0053】
KpとKallとが同一でないと判定した場合(ステップS26;No)、判定部16は、Kpの文字列とKnのアーティスト名とが同一であるか否かを判定する(ステップS27)。Kpの文字列とKnのアーティスト名とが同一であると判定した場合(ステップS27;Yes)、そのアルバムは単独のアーティストの曲に他のアーティストがゲスト参加した曲を含む単独のアーティストのアルバムであることがわかるので、判定部16は、そのアルバムがコンピレーションでないと判定する。Kpの文字列とKnのアーティスト名とが同一でないと判定した場合(ステップS27;No)、判定部16は、Kall−Kn(又はKp)が予め設定された閾値Kmよりも小さいかどうかを判定する(ステップS28)。稀に、あるアーティストのアルバムに1、2曲だけ別のアーティストの曲が収録されている場合がある。この場合は、KallとKn(又はKp)は一致しないが、コンピレーションとは判断しないほうがよい。通常のコンピレーションCDではアーティストは数種類から十数種類になるので、Kallに対しKn(又はKp)の数値は小さい数値となるが、上記のような場合、Kn(又はKp)はKallに近い数値となる。そこで、閾値Kmを設け、Kall−Kn(又はKp)が閾値Kmよりも小さいかどうかを判定する。
【0054】
判定部16が、Kall−Kn(又はKp)が閾値Kmよりも小さい判定した場合(ステップS28;Yes)、そのアルバムはあるアーティストの曲で大半を占められていると考えられるので、コンピレーションでないと判定する。判定部16が、Kall−Kn(又はKp)が閾値Kmよりも大きい判定した場合(ステップS28;No)、そのアルバムは多数のアーティストの曲を含むことがわかるので、コンピレーションであると判定する。
【0055】
以上説明したように、本実施例では、関連のある音楽データを互いに関連付ける関連性情報を付加し、曲名データ及びアーティストデータを修正して記憶する。これにより、ユーザがあるアーティスト名で検索した場合に、そのアーティストと関連のある曲をユーザに示すことできる。こうしてユーザが楽曲検索を行う際の利便性を向上させることが可能となる。また、取得した音楽データがコンピレーションであった場合、文字列の数に基づいてアーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かを判定することができないので、予め、判定部16がコンピレーションであるか否かを判定することで、前述の判定処理を省略することができる。
【0056】
[変形例]
上記の実施例においては、1名のアーティストがゲスト参加する曲を含む音楽データについて音楽データ記録処理を行っていたが、本発明の適用はこれに限られず、ゲスト参加アーティストが複数存在する曲を含む音楽データについて音楽データ記録処理を行ってもよい。
【0057】
上記の実施例においては、関連付けする項目は、ゲスト参加、グループとソロ、ソングライティング、プロデュースなどを挙げたが、本発明の適用はこれに限られず、関連性が有ると考えられる任意の項目であってもよい。
【0058】
なお、上記の実施例における音楽データの例では、トラック番号、ジャンル、時間、リリース年などの情報は省略しており、関連性情報にはそれらの情報も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例に係る音楽データ記録装置の概略構成を示す。
【図2】音楽データの例を示す。
【図3】関連性情報の例1を示す。
【図4】関連性情報の例2を示す。
【図5】音楽データ記録処理のフローチャートである。
【図6】コンピレーション判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
14 データベース作成部
15 キーワード検出部
16 判定部
17 アーティストデータベース
18 HDD
19 関連性情報作成部
20 データ修正部
100 音楽データ記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽データを記憶する記憶手段と、
前記音楽データを取得する音楽データ取得手段と、
前記音楽データ取得手段が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定手段と、
前記関連性判定手段が、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成手段と、を備え、
前記記憶手段は、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶することを特徴とする音楽データ記録装置。
【請求項2】
前記音楽データ取得手段が取得した音楽データはアーティスト名データを含み、
前記アーティスト名データからキーワードを検出するキーワード検出手段をさらに備え、
前記関連性判定手段は、前記キーワード検出手段がキーワードを検出したアーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かにより関連があるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の音楽データ記録装置。
【請求項3】
前記キーワードの前後の文字列の数を算出する算出手段と、
アーティスト情報を参照する参照手段と、をさらに備え、
前記関連性判定手段は、前記算出手段が算出した文字列の数に基づいて、前記アーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かを判定する第1判定手段と、
前記参照手段によって参照したアーティスト情報に基づいて、前記アーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かを判定する第2判定手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の音楽データ記録装置。
【請求項4】
前記音楽データ取得手段が同時に取得した音楽データが、全て違うアーティストの音楽データであるコンピレーションであるか否かを判定するコンピレーション判定手段をさらに備え、
前記関連性判定手段は、前記コンピレーション判定手段がコンピレーションであると判定した場合、前記アーティスト名データが複数のアーティスト名を含むか否かを判定する際、前記第2判定手段のみを実行することを特徴とする請求項3に記載の音楽データ記録装置。
【請求項5】
前記音楽データ取得手段が取得した音楽データは曲名データを含み、
前記曲名データ及び前記アーティスト名データを修正するデータ修正手段をさらに備え、
前記データ修正手段は、前記関連性判定手段が複数のアーティスト名を含むと判定した場合、前記曲名データ及び前記アーティスト名データを修正することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の音楽データ記録装置。
【請求項6】
前記関連性判定手段は、前記参照手段によって参照したアーティスト情報に基づいて、前記音楽データ取得手段が取得した音楽データに対応するアーティストが他のアーティストと関連があるか否かを判定することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の音楽データ記録装置。
【請求項7】
前記関連性情報に、関連性の度合いに応じてレベルを設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の音楽データ記録装置。
【請求項8】
音楽データ記録装置によって実行される音楽データ記録方法であって、
音楽データを記憶する記憶工程と、
前記音楽データを取得する音楽データ取得工程と、
前記音楽データ取得工程が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定工程と、
前記関連性判定工程が、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成工程と、を備え、
前記記憶工程では、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶することを特徴とする音楽データ記録方法。
【請求項9】
コンピュータを備える音楽データ記録装置により実行される音楽データ記録プログラムであって、
音楽データを記憶する記憶手段、
前記音楽データを取得する音楽データ取得手段、
前記音楽データ取得手段が取得した音楽データが他の音楽データと関連があるか否かを判定する関連性判定手段、
前記関連性判定手段が、関連があると判定した場合、当該音楽データを互いに関連付ける関連性情報を作成する関連性情報作成手段、として前記コンピュータを機能させ、
前記記憶手段は、前記音楽データに前記関連性情報を付加して記憶することを特徴とする音楽データ記録プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の音楽データ記録プログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−277263(P2009−277263A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125031(P2008−125031)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】