説明

音波発生素子、容器及び攪拌装置

【課題】単独であっても液体中に生ずる音響流を複数の態様に変化させることが可能な音波発生素子、容器及び攪拌装置を提供すること。
【解決手段】圧電基板14aと、圧電基板上に配置された発音部14b,14cとを有する音波発生素子14、容器及び攪拌装置。音波発生素子14は、複数の発音部が、電気的に並列接続され、かつそれぞれの基本波の中心周波数が異なると共に、共振周波数帯の一部が重複する。マイクロ流路の一端に液体を流入させる少なくとも1つの流入口と、マイクロ流路から分岐した分岐マイクロ流路の他端に流出口が形成された容器は、マイクロ流路と分岐マイクロ流路の分岐部の近傍に音波発生素子が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音波発生素子、容器及び攪拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、音波発生手段が発生する音波によってマイクロ流路内を流れる液体を混合する液体混合装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この液体混合装置は、前記音波発生手段が発生する音波の音軸を前記マイクロ流路の中心から変位させており、液体中へ漏れ出す音波によって生ずる音響流によって液体を混合している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−254112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロ流路を流れる液体を適切に混合するためには、液体中に生ずる音響流を複数の態様に変化させる必要があることから、液体混合装置は、音波発生手段を複数設けなければならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、単独であっても液体中に生ずる音響流を複数の態様に変化させることが可能な音波発生素子及び容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の音波発生素子は、圧電基板と、前記圧電基板上に配置された発音部とを有する音波発生素子であって、前記複数の発音部が、電気的に並列接続され、かつそれぞれの基本波の中心周波数が異なると共に、共振周波数帯の一部が重複することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の音波発生素子は、上記の発明において、前記複数の発音部は、駆動周波数に応じて各発音部の電気的入力信号に対する振動の応答強度の比率が変化することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の音波発生素子は、上記の発明において、前記複数の発音部は、前記駆動周波数に応じて音波を発生する発音部が切り替わることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の音波発生素子は、上記の発明において、液体の分析項目、前記液体の性状又は液量の情報をもとに前記音波発生素子に入力する前記駆動周波数が変更されることを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の容器は、マイクロ流路の一端に液体を流入させる少なくとも1つの流入口と、前記マイクロ流路から分岐した分岐マイクロ流路の他端に流出口が形成された容器であって、前記マイクロ流路と前記分岐マイクロ流路の分岐部の近傍に前記音波発生素子が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の容器は、上記の発明において、複数の発音部を有する音波発生素子の前記一つの発音部から発生する音波に起因してマイクロ流路内に生じる音響流の起点が容器内壁近傍の離れた二箇所に存在し、前記複数の発音部は、隣り合う発音部による前記音響流の起点が交互に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の攪拌装置は、マイクロ流路の一端に液体を流入させる少なくとも1つの流入口と前記マイクロ流路から分岐した分岐マイクロ流路の他端に流出口が形成された容器の、前記マイクロ流路と前記分岐マイクロ流路の分岐部の近傍に接するように設けられた前記音波発生素子と、前記音波発生素子を駆動する駆動部と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の攪拌装置は、上記の発明において、複数の発音部を有する音波発生素子の前記一つの発音部から発生する音波に起因してマイクロ流路内に生じる音響流の起点が容器内壁近傍の離れた二箇所に存在し、前記複数の発音部は、隣り合う発音部による前記音響流の起点が交互に位置するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の音波発生素子は、複数の発音部は、それぞれの中心周波数が異なると共に、共振周波数帯の一部が重複し、本発明の容器は、マイクロ流路と分岐マイクロ流路の分岐部の近傍に音波発生素子が設けられている。このため、本発明によれば、単独であっても液体中に生ずる音響流を複数の態様に変化させることが可能な音波発生素子及びマイクロ流路を備えた容器を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の音波発生素子、容器及び攪拌装置にかかる実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、実施の形態1に係る容器を攪拌装置と共に示す斜視図である。図2は、図1に示す容器の平面図である。図3は、図2のA部を拡大した断面図である。
【0016】
容器1は、図1に示すように、基板2とカバー3とによってマイクロ流路4とマイクロ流路4の中央から分岐した分岐マイクロ流路5が形成されており、底面には攪拌装置10の単独の音波発生素子である表面弾性波素子14が接している。容器1は、攪拌装置10と共に液体薬品の混合或いは試薬と検体等を含む液体試料の混合に用いるいわゆるマイクロ流路デバイスを構成している。
【0017】
マイクロ流路4及び分岐マイクロ流路5は、図1及び図2に示すように、それぞれ容器1の側面に流入口となる開口4a,4bと流出口となる開口5aを有している。分岐マイクロ流路5は、図3に示すように、開口4a,4bから供給され、マイクロ流路4内を層流で流れる異なる液体を内部で分子拡散によって混合させる。但し、容器1は、攪拌装置10によってこの攪拌性能を向上させている。
【0018】
ここで、表面弾性波素子14は、分岐マイクロ流路5がマイクロ流路4から分岐する分岐部近傍の基板2底面に液体やジェル等の音響整合層を介して離接自在に接している。しかし、図3は、表面弾性波素子14の配置を明示するため、容器1の上方から見た状態を実線で描いている。また、マイクロ流路4及び分岐マイクロ流路5を含め以下の説明において使用するマイクロ流路を示す図面は、マイクロ流路の配置を示すことを主目的とするため、流路の幅は、流路間の相対幅を含めて正確に描いていない。
【0019】
攪拌装置10は、図1に示すように、駆動部11と表面弾性波素子14を有している。
【0020】
駆動部11は、表面弾性波素子14を駆動し、分岐マイクロ流路5内を層流で流れる異なる液体を強制的に攪拌するものであり、信号発生器12と駆動制御回路13を有している。このとき、駆動部11は、複数の発音部14b,14cが周波数の異なる音波を同時に発生するように、共通する共振周波数帯内で駆動信号の周波数を制御する。
【0021】
信号発生器12は、駆動制御回路13から入力される制御信号に基づいて発振周波数を変更可能な発振回路を有しており、数MHz〜数百MHz程度の高周波の駆動信号を表面弾性波素子14に入力する。
【0022】
駆動制御回路13は、メモリとタイマを内蔵した電子制御手段(ECU)が使用され、信号発生器12の作動を制御することにより、信号発生器12が表面弾性波素子14へ出力する駆動信号の電圧や電流を制御する。駆動制御回路13は、信号発生器12の作動を制御することにより、例えば、表面弾性波素子14が発する音波の特性(周波数,強度,位相,波の特性)、波形(正弦波,三角波,矩形波,バースト波等)或いは変調(振幅変調,周波数変調)等を制御する。また、駆動制御回路13は、内蔵したタイマに従って信号発生器12が発振する高周波信号の周波数を変化させることができる。
【0023】
表面弾性波素子14は、単独の音波発生素子であり、図4に示すように、圧電基板14aの表面に櫛型電極(IDT)140b,140cからなる発音部14b,14cが間隔を置いて形成され、一組の入力端子14eとの間がバスバー14fによって並列接続されている。表面弾性波素子14は、液体やジェル等の音響整合層を介して離接自在に接している。発音部14b,14cは、駆動制御部11から入力された駆動信号を表面弾性波(音波)に変換する発音部である。また、表面弾性波素子14は、入力端子14eと駆動制御部11との間が接続されている。
【0024】
このとき、発音部14b,14cは、共振周波数帯の一部が重複している。即ち、発音部14b,14cは、図5に示すように、発音部14bの基本波の中心周波数がfc1、発音部14cの基本波の中心周波数がfc2(fc1<fc2)(MHz)であり、それぞれの中心周波数における電気的入力信号に対する振動の応答強度の−3dBの応答強度値となる半値幅Δfc1,Δfc2を共振周波数帯と定義し、その共振周波数帯の一部が重複している。また、発音部14b,14cは、入力反射係数(dB)に関し、図6に点線で示す周波数特性を個別に有しており、実線が2つを合わせた周波数特性を示している。更に、発音部14b,14cは、音響流の起点が交互に位置するように形成されている。これについては、後述する。
【0025】
ここで、圧電基板14aとしては、例えば、YカットZ伝搬(YZ)のニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶を使用することができる。また、発音部14b,14cは、入力端子14eやバスバー14fと共にフォトリソグラフィの技術によって圧電基板14a上に形成する。なお、図4に示す表面弾性波素子14を含め、以下の説明で使用する表面弾性波素子を示す図面は、構成の概略を示すことを主目的とするため、発音部を構成する複数の櫛型電極の線幅、ピッチ又は圧電基板14a上の位置は必ずしも正確に描いていない。
【0026】
以上のように構成される容器1は、開口4a,4bから異なる液体をマイクロ流路4内へ供給すると、異なる液体との間に界面を保持しつつ分岐マイクロ流路5内を層流で流れ、異なる液体を内部で分子拡散によって混合しながら開口5aから流出する。
【0027】
このとき、駆動部11が入力端子14eを介して表面弾性波素子14に駆動信号を入力すると、表面弾性波素子14は、入力される駆動信号の周波数に応じて発音部14b又は発音部14cが駆動され、表面弾性波(バルク波)を誘起する。誘起された表面弾性波(バルク波)は、音響整合層から基板2内へと伝搬し、音響インピーダンスが近い液体試料中へ縦波となって漏れ出してゆく。この結果、容器1は、分岐マイクロ流路5内に液体試料中の発音部14b又は発音部14cに対応する位置を起点として左斜め上方と右斜め上方に向かう2つの音響流が生じ(図9参照)、前記分子拡散の効果が促進される。
【0028】
ここで、表面弾性波素子14は、発音部14b,14cのそれぞれの中心周波数における電気インピーダンスを外部電気系と同じ50Ωとなるように設計しておく。このとき、表面弾性波素子14は、発音部14b,14cの電気インピーダンスをそれぞれZ1,Z2として等価回路を示すと図7に示すようになる。このため、例えば、駆動部11が表面弾性波素子14に周波数fc1の駆動信号を入力すると、図8に示すように、発音部14bは電気インピーダンスがZ1=50Ω、発音部14cは電気インピーダンスがZ2=500Ωとなる。従って、表面弾性波素子14は、発音部14bが強く励振されるのに対し、発音部14cの励振が弱くなる。
【0029】
ここで、発音部14b,14cが励振されて発生した音波は、図9に示すように、それぞれ圧電基板14a、基板2を伝搬し、分岐マイクロ流路5内の液体試料Lsとの固−液界面において縦波にモード変換されて液体試料Ls中に放射される。この放射された縦波が液体試料中を伝搬するのに伴って音響流が生ずる。このとき、発音部14b,14cは、音響流の起点が交互に位置するように形成されており、発音部14bが励振されて発生した音波W1に起因する音響流をS11とし、発音部14cが励振されて発生した音波W2に起因する音響流をS12とする。
【0030】
すると、図示のように、発音部14bが発生した音波W1に起因する音響流S11のうち液体試料Ls中に左斜め上方へ生ずる音響流S11は、発音部14cが発生した音波W2に起因して液体試料Ls中に右斜め上方と左斜め上方へ生ずる2つの音響流S12に挟まれた位置に発生する。このため、2つの音響流S12は、左斜め上方へ生ずる音響流S11と一体化して断面積が大きく、流速の速い音響流S1となる。一方、発音部14bが発生した音波W1に起因して液体試料Ls中に右斜め上方へ生ずる音響流S11は、単独の流れであり、音響流S1に比べて断面積が小さく、流速が遅い流れである。このため、表面弾性波素子14を駆動周波数F=fc1で駆動した場合、巨視的に見ると、分岐マイクロ流路5内の液体試料Ls中には、非対称な音響流S1と音響流S2(=S11)が生ずる。
【0031】
一方、例えば、駆動部11が表面弾性波素子14に周波数fc2の駆動信号を入力すると、図10に示すように、発音部14bは電気インピーダンスがZ1=200Ω、発音部14cは電気インピーダンスがZ2=50Ωと略逆になる。このため、表面弾性波素子14は、前記とは逆に、発音部14bの励振が弱いのに対し、発音部14cが強く励振される。
【0032】
従って、発音部14b,14cは、音響流の起点が交互に位置するように形成されているので、図11に示すように、発音部14cが発生した音波W2に起因する音響流S22のうち液体試料Ls中に右斜め上方へ生ずる音響流S22は、発音部14bが発生した音波W1に起因して液体試料Ls中に右斜め上方と左斜め上方へ生ずる2つの音響流S21に挟まれた位置に発生する。このため、2つの音響流S21は、右斜め上方へ生ずる音響流S22と一体化して断面積が大きく、流速の速い音響流S3となる。一方、発音部14cが発生した音波W2に起因して液体試料Ls中に左斜め上方へ生ずる音響流S22は、単独の流れであり、音響流S3に比べて断面積が小さく、流速が遅い流れである。このため、表面弾性波素子14を駆動周波数F=fc2で駆動した場合、巨視的に見ると、分岐マイクロ流路5内の液体試料Ls中には、非対称な音響流S3と音響流S4(=S22)が生ずる。
【0033】
ここで、中心周波数fc1,fc2及び入力反射係数(dB)に関し、図12に示す周波数特性の発音部14b,14cを有する表面弾性波素子14を用いた攪拌装置10を使用して自動分析装置で使用する反応容器内のイオン交換水を攪拌した。このとき、駆動周波数F=fc1で表面弾性波素子14を駆動した場合に発生した音響流の流速分布と、駆動周波数F=fc2で表面弾性波素子14を駆動した場合に発生した音響流の流速分布をそれぞれ図13に示す。
【0034】
図13は、表面弾性波素子14をそれぞれ中心周波数fc1(=78.3MHz)と中心周波数fc2(=79.2MHz)で駆動した際の、前記反応容器に収容されたイオン交換水中の音響流の流速(mm/s)分布をPIVによって視覚化した図であり、縦軸及び横軸は、表面弾性波素子14を取り付けた反応容器の側壁内面と底壁上面の交線を基準とした側壁に沿った上方向への距離(mm)と側壁の垂直方向への距離(mm)をそれぞれ示している。
【0035】
なお、図中、θは、側壁の垂直面に対して音響流がなす角度を示している。また、PIVは、画像処理流速測定法(Particle Image Velocimetry)であり、通常、目に見えない流れにトレーサ等のマーカを付加し、目に見えるようにする流れの可視化技術に画像処理・画像解析技術を加え、流れ場の瞬時・多点の速度情報を得る方法である。
【0036】
一方、表面弾性波素子14を発音部14bの中心周波数fc1よりも低い駆動周波数F=f1(<fc1)で駆動すると、発音部14bは電気インピーダンスがZ1=200Ω、発音部14cは電気インピーダンスがZ2=∞となる。このため、表面弾性波素子14は、発音部14bのみが弱く励振される。このため、表面弾性波素子14を駆動周波数F=f1で駆動した場合、巨視的に見ると、分岐マイクロ流路5内の液体試料Ls中には、断面積が最小で、流速が遅い対称な音響流S5,S6が生ずる。
【0037】
また、表面弾性波素子14を発音部14bの中心周波数fc1と発音部14cの中心周波数fc2の中間の駆動周波数F=f2(fc1<f2<fc2)で駆動すると、発音部14b及び発音部14cは電気インピーダンスがZ1,Z2=100Ω、となる。このため、表面弾性波素子14は、電気インピーダンスが50Ωと200Ωの間の強さに発音部14b及び発音部14cがそれぞれ略同じ程度に励振される。このため、表面弾性波素子14を駆動周波数F=f2で駆動した場合、巨視的に見ると、分岐マイクロ流路5内の液体試料Ls中には、音響流S7,S8と流速は略等しいが、断面積が僅かに大きい対称な音響流S7,S8が生ずる。
【0038】
一方、表面弾性波素子14を発音部14cの中心周波数fc2よりも高い駆動周波数F=f3(>fc2)で駆動すると、発音部14bは電気インピーダンスがZ1=∞、発音部14cは電気インピーダンスがZ2=200Ωとなる。このため、表面弾性波素子14は、発音部14cのみが弱く励振される。このため、表面弾性波素子14を駆動周波数F=f3で駆動した場合、巨視的に見ると、分岐マイクロ流路5内の液体試料Ls中には、断面積が最小で、流速が遅い対称な音響流S9,S10が生ずる。
【0039】
従って、分岐マイクロ流路5内の液体試料Ls中に生ずる音響流を駆動周波数F=f1,fc1,f2,fc2,f3ごとに示すと図14のようになる。なお、外部電気系の電気インピーダンスが他の値、例えば、70Ωの場合には、発音部14b,14cの中心周波数における電気インピーダンスが70Ωとなるように設計しておけばよい。
【0040】
従って、攪拌装置10は、予め駆動周波数の違いによる液体試料の攪拌状態を実測しながら攪拌が最良となる駆動周波数を液体試料との組合せ表として作成して駆動制御回路13に記憶させておく。そして、攪拌装置10は、容器1に供給される液体試料をもとに自動的に駆動周波数を選択し、駆動制御回路13に出力する。これにより、攪拌装置10は、供給される液体試料に最適な周波数で表面弾性波素子14を駆動するようにすることができる。
【0041】
このため、攪拌装置10は、表面弾性波素子14を駆動する駆動信号の駆動周波数を駆動部11で切り替え、例えば、発音部14bの中心周波数である周波数fc1の駆動信号を表面弾性波素子14に入力する。すると、容器1は、図15に示すように、分岐マイクロ流路5内に断面積が大きく、流速の速い音響流S1と、断面積が小さく、流速が遅い音響流S2とによって開口4aに向かう逆流が発生する。この結果、容器1は、分岐マイクロ流路5内に非対称な流れ場が発生し、界面が崩れるので、開口5aに向かう間における攪拌効果が増加し、分子拡散に要する分岐マイクロ流路5の長さを短縮することができる。
【0042】
一方、例えば、発音部14cの中心周波数である周波数fc2の駆動信号を表面弾性波素子14に入力すると、容器1は、図16に示すように、分岐マイクロ流路5内に断面積が大きく、流速の速い音響流S3と、断面積が小さく、流速が遅い音響流S4とによって開口4bに向かう逆流が発生する。この結果、容器1は、分岐マイクロ流路5内に非対称な流れ場が発生し、界面が崩れるので、開口5aに向かう間における攪拌効果が増加し、分子拡散に要する分岐マイクロ流路5の長さを短縮することができる。
【0043】
このように、表面弾性波素子14は、単独であっても液体中に生ずる音響流を複数の態様に変化させることができる。このため、容器1は、複数の発音部14b,14cが周波数の異なる音波を同時に発生するように、駆動周波数Fを駆動部11によって周波数帯(f1〜f3)内で制御し、或いは時分割で駆動周波数Fを周波数fc1と周波数fc2に切り替えることにより、常に1以上の発音部を駆動して分岐マイクロ流路5内の液体試料Lsを音響流と前記分子拡散とによって攪拌することができるので、攪拌効率が向上し、攪拌に要する時間を短縮することが可能になる。
【0044】
ここで、表面弾性波素子14は、図17に示すように、発音部14b,14cが分岐マイクロ流路5に沿って流路の中央に位置するように基板2の底面に接してもよい。また、表面弾性波素子14は、発音部14bと発音部14cの位置を入れ替えてもよい。このように配置すると、表面弾性波素子14は、図14に示す音響流とは異なる分布の音響流を発生させることができる。
【0045】
また、容器1は、マイクロ流路4の開口4a,4bを流入口、分岐マイクロ流路5の開口5aを流出口として使用した。しかし、容器1は、表面弾性波素子14が液体試料中に発生させる音響流の態様に応じて開口4a,4bや開口5aの使用は任意であり、例えば、マイクロ流路4の開口4aと分岐マイクロ流路5の開口5aを流入口、マイクロ流路4の開口4bを流出口として使用してもよい。
【0046】
更に、容器1は、表面弾性波素子14を容器1の底面にエポキシ樹脂等の音響整合層を介して取り付けて構成しても良い。この場合、表面弾性波素子14は、入力端子14eと駆動制御部11との間で離接自在に接続され、駆動信号が入力される。このように容器1を構成しても同様の効果が得られる。
【0047】
(実施の形態2)
次に、本発明のマイクロ流路を備えた容器にかかる実施の形態2について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態1の容器は、2つの開口から流入する液体試料を1つの開口から攪拌させて流出させたのに対し、実施の形態2の容器は、2つの開口から流入する液体試料を攪拌し、濃度に応じて3つの開口から流出させる。
【0048】
図18は、実施の形態2に係る容器を攪拌装置と共に示す斜視図である。図19は、図18に示す容器の平面図である。図20は、図19のB部を拡大した断面図である。なお、実施の形態2のマイクロ流路を備えた容器は、実施の形態1の攪拌装置を使用しているので、攪拌装置については同じ符号を使用している。
【0049】
容器20は、図18に示すように、基板21とカバー22とによってマイクロ流路23と分岐マイクロ流路24,25,26が形成されている。容器20は、マイクロ流路23から分岐マイクロ流路24,25,26が分岐する分岐部近傍の基板21とカバー22の側面に攪拌装置10の表面弾性波素子14が取り付けられている。
【0050】
マイクロ流路23は、図18及び図19に示すように、基板21とカバー22の一側に直線に沿って形成され、両端に流入口となる開口23a,23bが形成されている。分岐マイクロ流路24,25,26は、マイクロ流路23の中間の分岐部から3方へ略等しい角度で側方へ分岐している。分岐マイクロ流路24,25,26は、容器20の側面に開口し、流出口となる開口24a,25a,26aを端部に有している。
【0051】
以上のように構成される容器20は、開口23a,23bから異なる液体をマイクロ流路23内へ供給すると、異なる液体との間に界面を保持しつつ層流で流れる。このとき、開口23a,23bから供給される液体の流量が同じであれば、図20に示すように、開口23aから流入した液体試料Ls1は、濃度を保持して分岐マイクロ流路24へ流入する。開口23bから流入した液体試料Ls2は、濃度を保持して分岐マイクロ流路26へ流入する。そして、分岐マイクロ流路25へは、開口23aから流入した液体試料Ls1と開口23bから流入した液体試料Ls2が等量ずつ流入する。そして、分岐マイクロ流路25内では、液体試料Ls1と液体試料Ls2が界面を保持して開口25aへ流れ、流下する間に分子拡散によって混合される。
【0052】
このとき、駆動部11が入力端子14eを介して表面弾性波素子14に駆動信号を入力すると、表面弾性波素子14は、入力される駆動信号の周波数に応じて発音部14b又は発音部14cが駆動され、表面弾性波(バルク波)を誘起する。誘起された表面弾性波(バルク波)は、音響整合層から基板21内へと伝搬し、音響インピーダンスが近い液体試料中へ縦波となって漏れ出してゆく。この結果、容器20は、分岐マイクロ流路24,25,26内に液体試料中の発音部14b又は発音部14cに対応する位置を起点として分岐マイクロ流路24,26に並行する2つの非対称な音響流が生じて液体試料Ls1,Ls2が攪拌される。
【0053】
このとき、攪拌装置10は、単独の音波発生素子である表面弾性波素子14を駆動する信号の周波数を駆動部11で切り替え、例えば、周波数fc1の駆動信号を表面弾性波素子14に入力する。すると、容器20は、図21に示すように、分岐マイクロ流路24と並行であって、断面積が大きく、流速の速い音響流S1(図14参照)と、分岐マイクロ流路26と並行であって、断面積が小さく、流速が遅い音響流S2(図14参照)とが非対称に発生する。
【0054】
このため、容器20は、開口23aから液体試料Ls1を流入し、開口23bから液体試料Ls2を流入させると、非対称な音響流S1,S2によって液体試料Ls1と液体試料Ls2の界面が崩れる。この結果、容器20は、分岐マイクロ流路24に液体試料Ls1と液体試料Ls2の混合液Lmが供給される。このとき、分岐マイクロ流路26には液体試料Ls2が流入し、分岐マイクロ流路25には分岐マイクロ流路24よりも混合比率の小さい液体試料Ls1と液体試料Ls2の混合液が流入する。
【0055】
一方、例えば、周波数fc2の駆動信号を表面弾性波素子14に入力すると、容器20は、図22に示すように、分岐マイクロ流路26と並行であって、断面積が大きく、流速の速い音響流S3(図14参照)と、マイクロ流路24と並行であって、断面積が小さく、流速が遅い音響流S4(図14参照)とが非対称に発生する。このため、容器20は、開口23aから液体試料Ls1を流入し、開口23bから液体試料Ls2を流入させると、非対称な音響流S3,S4によって分岐マイクロ流路26に液体試料Ls1と液体試料Ls2の混合液Lmが供給される。このとき、分岐マイクロ流路24には液体試料Ls1が流入し、分岐マイクロ流路25には分岐マイクロ流路26よりも混合比率の大きい液体試料Ls1と液体試料Ls2の混合液が流入する。
【0056】
このため、容器20は、表面弾性波素子14を駆動する信号の周波数を切り替えることにより、分岐マイクロ流路24,25,26のそれぞれに流入する液体試料の濃度比率を変化させることができる。
【0057】
ここで、容器20は、実施の形態1の容器1と同様に、表面弾性波素子14が液体試料中に発生させる音響流の態様に応じ、マイクロ流路23の開口23a,23b及び分岐マイクロ流路24,25,26の開口24a,25a,26aの流出口や流出口としての使用は任意である。
【0058】
(変形例)
次に、混合液が供給されるマイクロ流路を変更することができる容器20の特性を利用した変形例としてマイクロソータとして使用する容器を以下に説明する。
【0059】
容器30は、図23及び図24に示すように、基板31とカバー32とによってマイクロ流路33と分岐マイクロ流路34,35,36が形成されている。容器30は、マイクロ流路33上部のカバー32上面に粒子検出器37が設置され、マイクロ流路33の端部から分岐マイクロ流路34,35,36に分岐する分岐部近傍の基板31とカバー32の側面に攪拌装置10の表面弾性波素子14が液体やジェル等の音響整合層を介して接している。
【0060】
マイクロ流路33は、図23及び図24に示すように、基板31とカバー32の一側に直線に沿って形成され、液体試料の流入口となる開口33aが一端に形成されている。分岐マイクロ流路34,35,36は、マイクロ流路33の他端から3方へ略等しい角度で側方へ分岐している。分岐マイクロ流路34,35,36は、容器30の側面に開口し、液体試料の流出口となる開口34a,35a,36aを端部に有している。
【0061】
粒子検出器37は、マイクロ流路33を流下してくる液体試料中に含まれる粒子成分の表面反応結果(発光強度),大きさ(粒径),組成,移動速度等の性状に起因して粒子成分が出射する光を検出する、例えば、フォトディテクタ等の光学測定手段である。粒子検出器37は、粒子成分の性状に応じて得られる光信号を検出し、検出信号を駆動制御回路13へ出力する。ここで、駆動制御回路13は、粒子検出器37から入力される検出信号をもとに単独の音波発生素子である表面弾性波素子14の駆動周波数を選択し、信号発生器12が発振する高周波信号の周波数を変化させる。
【0062】
以上のように構成される容器30は、開口33aから供給される液体試料中に含まれる粒子成分からの光信号を粒子検出器37が検出しない場合、表面弾性波素子14が駆動されない。このとき、図25に示すように、マイクロ流路33を流下してくる粒子成分Pを含む液体試料Lsは、分岐マイクロ流路34,35,36へ分岐されて流下する。
【0063】
そして、粒子検出器37から入力される検出信号をもとに駆動制御回路13が駆動周波数をF=fc1と選択した場合、表面弾性波素子14が周波数fc1で駆動される。この結果、容器30は、図26に示すように、分岐マイクロ流路34と並行であって、断面積が大きく、流速の速い音響流S1(図14参照)と、分岐マイクロ流路36と並行であって、断面積が小さく、流速が遅い音響流S2(図14参照)が非対称に発生する。これにより、マイクロ流路33を流下してくる反応後の粒子成分P1を含む液体試料Lsは、非対称な音響流S1,S2によって分岐マイクロ流路34へ流れる流量が分岐マイクロ流路35,36へ流れる流量よりも増加する。従って、容器30は、表面弾性波素子14を周波数fc1で駆動することにより、粒子成分P1を含む液体試料Lsの分岐マイクロ流路34への流量を増加させることができる。
【0064】
一方、粒子検出器37から入力される検出信号をもとに駆動制御回路13が駆動周波数をF=fc2と選択した場合、表面弾性波素子14が周波数fc2で駆動される。この結果、容器30は、図27に示すように、分岐マイクロ流路36と並行であって、断面積が大きく、流速の速い音響流S3(図14参照)と、分岐マイクロ流路34と並行であって、断面積が小さく、流速が遅い音響流S4(図14参照)が非対称に発生する。これにより、マイクロ流路33を流下してくる反応後の粒子成分P2を含む液体試料Lsは、非対称な音響流S1,S2によって分岐マイクロ流路36へ流れる流量が分岐マイクロ流路34,35へ流れる流量よりも増加する。従って、容器30は、表面弾性波素子14を周波数fc2で駆動することにより、粒子成分P2を含む液体試料Lsの分岐マイクロ流路36への流量を増加させることができる。
【0065】
このように、容器30は、表面弾性波素子14の駆動周波数を変更することにより、粒子成分P1を含む液体試料Lsが多く流れる流路と粒子成分P2を含む液体試料Lsが多く流れる流路を切り替えることができるので、マイクロソータとして使用することができる。
【0066】
また、容器30は、表面弾性波素子14を側面にエポキシ樹脂等の音響整合層を介して取り付けて構成しても良い。この場合、表面弾性波素子14は、入力端子14eと駆動制御部11との間で離接自在に接続され、駆動信号が入力される。このように容器30を構成しても同様の効果が得られる。
【0067】
尚、本発明の表面弾性波素子は、共振周波数帯の一部が重複し、隣り合う発音部による音響流の起点が交互に位置するように発音部を形成してもよい。このため、単独の音波発生素子である表面弾性波素子14は、図28に示すように、中心周波数fc1,fc2の発音部14b,14cに加えて中心周波数fc3(fc1<fc2<fc3)(MHz)の発音部14dを並列接続してもよい。このような表面弾性波素子14を使用すると、液体試料中に生じる音響流をより複雑にすることができる。
【0068】
従って、このような表面弾性波素子14を使用すると、攪拌装置10は、表面弾性波素子14を駆動する周波数を適宜変更することにより、液体試料中に種々の態様の音響流を発生させることができるので、過剰なエネルギー消費を抑えつつ液体試料を液量に応じて効率良く攪拌することができ、攪拌に要する時間を短縮することが可能になる。
【0069】
また、表面弾性波素子14は、無線で駆動しても良いし、バルク波の他に表面弾性波を使用して液体試料を攪拌してもよい。
【0070】
なお、本発明の「単独の音波発生素子」とは、上述したように、一つの発音部から発生する音波に起因して音響流の起点が二箇所に存在し、複数の発音部が隣り合う発音部による前記音響流の起点が交互に位置するように形成されて、実質的に一つの音波発生素子として一体的に機能するようなあらゆる構成を意味する。したがって、複数の発音部がそれぞれ別体の圧電基板上に設けられていても、一体的に機能することで1つの音波発生素子として機能し得る構成を含む場合には本発明で言う「単独の音波発生素子」と称することが可能である。用途に応じて、複数の発音部の形状や配置(寸法、位置)等を適宜最適化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1に係る容器を攪拌装置と共に示す斜視図である。
【図2】図1に示す容器の平面図である。
【図3】図2のA部を拡大した断面平面図である。
【図4】本発明の音波発生素子の斜視図である。
【図5】一部が重複する発音部の共振周波数帯を示す図である。
【図6】図4の表面弾性波素子の発音部が有する中心周波数及び入力反射係数に関する周波数特性図である。
【図7】図4の表面弾性波素子の等価回路図である。
【図8】図7の表面弾性波素子を一方の発音部の中心周波数で駆動した場合の等価回路図である。
【図9】図8の場合に各発音部が発生する音波と、音波によって液体試料中に生ずる音響流を説明する断面図である。
【図10】図7の表面弾性波素子を他方の発音部の中心周波数で駆動した場合の等価回路図である。
【図11】図10の場合に各発音部が発生する音波と、音波によって液体試料中に生ずる音響流を説明する断面図である。
【図12】表面弾性波素子が有する二つの発音部が有する中心周波数及び入力反射係数の一例を示す周波数特性図である。
【図13】図12に示す周波数特性を有するそれぞれの発音部を中心周波数で駆動した場合に発生する音響流の流速分布を視覚化した図である。
【図14】図4の表面弾性波素子を駆動した場合に、分岐マイクロ流路内の液体試料中に生ずる音響流を駆動周波数ごとに示した断面図である。
【図15】一方の発音部の中心周波数に等しい周波数で表面弾性波素子を駆動した場合に分岐マイクロ流路内に発生する音響流を示す図3に対応した断面平面図である。
【図16】他方の発音部の中心周波数に等しい周波数で表面弾性波素子を駆動した場合に分岐マイクロ流路内に発生する音響流を示す図3に対応した断面平面図である。
【図17】容器の基板底面に取り付ける表面弾性波素子の他の取り付け方を示す図3に対応した断面平面図である。
【図18】実施の形態2に係る容器を攪拌装置と共に示す斜視図である。
【図19】図18に示す容器の平面図である。
【図20】図19のB部を拡大した断面平面図である。
【図21】一方の発音部の中心周波数に等しい周波数で表面弾性波素子を駆動した場合に分岐マイクロ流路内に発生する音響流を示す図20に対応した断面平面図である。
【図22】他方の発音部の中心周波数に等しい周波数で表面弾性波素子を駆動した場合に分岐マイクロ流路内に発生する音響流を示す図20に対応した断面平面図である。
【図23】実施の形態2の変形例としてマイクロソータとして使用する容器を攪拌装置と共に示す斜視図である。
【図24】図23に示す容器の平面図である。
【図25】表面弾性波素子の駆動停止時にマイクロ流路を流下してくる粒子成分Pを含む液体試料Lsの分岐マイクロ流路への流れを示す図24のC部を拡大した断面平面図である。
【図26】一方の発音部の中心周波数に等しい周波数で表面弾性波素子を駆動した場合に分岐マイクロ流路内に発生する音響流を示す図25に対応した断面平面図である。
【図27】他方の発音部の中心周波数に等しい周波数で表面弾性波素子を駆動した場合に分岐マイクロ流路内に発生する音響流を示す図25に対応した断面平面図である。
【図28】表面弾性波素子の他の例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 容器
2 基板
3 カバー
4 マイクロ流路
4a,4b 開口
5 分岐マイクロ流路
5a 開口
10 攪拌装置
11 駆動部
12 信号発生器
13 駆動制御回路
14 表面弾性波素子
14a 圧電基板
14b,14c 発音部
140b,140c 櫛型電極(IDT)
140d 櫛型電極(IDT)
14e 入力端子
14f バスバー
20 容器
21 基板
22 カバー
23 マイクロ流路
24,25,26 分岐マイクロ流路
23a,23b 開口
24a,25a,26a 開口
30 容器
31 基板
32 カバー
33 マイクロ流路
33a 開口
34,35,36 分岐マイクロ流路
34a,35a,36a 開口
37 粒子検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、前記圧電基板上に配置された発音部とを有する音波発生素子であって、
前記複数の発音部が、電気的に並列接続され、かつそれぞれの基本波の中心周波数が異なると共に、共振周波数帯の一部が重複することを特徴とする音波発生素子。
【請求項2】
前記複数の発音部は、駆動周波数に応じて各発音部の電気的入力信号に対する振動の応答強度の比率が変化することを特徴とする請求項1に記載の音波発生素子。
【請求項3】
前記複数の発音部は、前記駆動周波数に応じて音波を発生する発音部が切り替わることを特徴とする請求項1に記載の音波発生素子。
【請求項4】
液体の分析項目、前記液体の性状又は液量の情報をもとに前記音波発生素子に入力する前記駆動周波数が変更されることを特徴とする請求項1に記載の音波発生素子。
【請求項5】
マイクロ流路の一端に液体を流入させる少なくとも1つの流入口と、前記マイクロ流路から分岐した分岐マイクロ流路の他端に流出口が形成された容器であって、
前記マイクロ流路と前記分岐マイクロ流路の分岐部の近傍に請求項1〜4のいずれか一つに記載の音波発生素子が設けられていることを特徴とする容器。
【請求項6】
複数の発音部を有する音波発生素子の前記一つの発音部から発生する音波に起因してマイクロ流路内に生じる音響流の起点が容器内壁近傍の離れた二箇所に存在し、前記複数の発音部は、隣り合う発音部による前記音響流の起点が交互に位置するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の容器。
【請求項7】
マイクロ流路の一端に液体を流入させる少なくとも1つの流入口と前記マイクロ流路から分岐した分岐マイクロ流路の他端に流出口が形成された容器の、前記マイクロ流路と前記分岐マイクロ流路の分岐部の近傍に接するように設けられた請求項1〜4のいずれか一つに記載の音波発生素子と、
前記音波発生素子を駆動する駆動部と、
を有することを特徴とする攪拌装置。
【請求項8】
複数の発音部を有する音波発生素子の前記一つの発音部から発生する音波に起因してマイクロ流路内に生じる音響流の起点が容器内壁近傍の離れた二箇所に存在し、前記複数の発音部は、隣り合う発音部による前記音響流の起点が交互に位置するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の攪拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−88977(P2010−88977A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259083(P2008−259083)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】