説明

音響映像装置制御方法

【課題】ホスト機器から送信されるCECコマンドに応じることができなければ、ホスト機器からCECの連携を切られる恐れがある。
【解決手段】命令を生じさせるホスト制御ユニットに接続され、ポーリング型の処理で応答するステップを備えた音響映像装置において、前記ホスト制御ユニットから受信した命令が、次の応答タイミングを待つことなく即時応答しないといけない命令かどうかを判断する命令判断ステップは、前記ホスト制御ユニットから受信した命令が前記ホスト機器からのコマンド受信時から、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態かどうかの閾値判断ステップを備え、前記ホスト機器からのコマンド受信時から、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態のとき、ポーリング処理における次の応答タイミングを待つことなく即時応答するステップを備えることで、応答することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDMI CEC(Consumer Electronic Control)の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御プロトコルは、HDMI環境に相互接続する音響映像機器間の高レベル制御機能を提供する。CECはユーザに、一つのリモコンでCECに対応した全てのHDMI装置の制御ができるようにする機能を提供し、例えば、ワンタッチプレイの機能を可能にすることができる。
【0003】
従来の家電制御(CEC)プロトコル対応装置におけるCEC命令管理方法は、音響映像装置のホスト制御ユニットから高レベルの命令を受け、それを低レベルの電気信号に変換し、標準化されたプロトコルに伝送する方法と装置として提供されており、標準化されたプロトコルの低レベルの電気信号を受け、その信号をホスト制御ユニットが認識できる命令に変換している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
コマンド受信を割込み処理で感知および受信し、受信完了したならばコマンド受信フラグをセットし、割込み処理を終了する。一方、メインループでは様々な処理をポーリングにより実行しており、その中に前記受信したコマンドがあれば解析する処理、必要に応じその応答を返す処理を実装している。つまり、コマンド解析処理では、コマンド受信フラグがセットされていたならばコマンド受信バッファからコマンドを取り出し解析し、コマンド列にエラーがなければ適切な内部処理を行い、かつ応答が必要な処理であればコマンド応答フラグをセットする。コマンド応答処理ではコマンド応答フラグがセットされていたならば、応答コマンドおよびパラメータを作成し、ホスト制御ユニットへのコマンド送信起動をかける。送信の完了は、送信完了の割込みで検知することとしている。
【特許文献1】特開2006−135959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の方法では、コマンド受信したことを検知してからその応答完了までにかかる時間が一定でなく、ホスト制御ユニットの許容できる時間制限を超えてしまう可能性がある。前記コマンドの解析処理あるいは応答パラメータの作成に必要な時間はホスト機器のタイムアウトに比べ十分に短いが、ポーリング処理を回している本システムにおいては、前記コマンド解析処理を終了し、その応答パラメータを作成・送信する前記コマンド送信処理の起動までの間に他の内部処理が入り、条件によっては前記タイムアウトを超えてしまう可能性がある。
【0006】
さて、ホスト機器の送信するコマンドはCECプロトコルに則っており、前記タイムアウトが生じても再送が定義されているため、もしそのような事態に陥っても大きな問題とはならないが、起動時には機器間のCECの連携接続を開始するため、もし応答がなければホスト機器からみてTVの接続がないと認識せざるを得ない。
【0007】
例えば、ワンタッチプレイでは、ホスト機器となる録画再生装置は、TVの電源状態を問い合わせ、電源オフの場合には電源オンのコマンドを発行してくる。コマンドを受けたTVは直ちに内部で電源オンシーケンスに入る。その後引き続き録画再生装置は、定期的にTVの電源状態を問い合わせるシーケンスとなっており、電源オンシーケンス完了までは起動中とTVは応答を続け、起動シーケンス完了後に電源ON状態であることを応答する。電源ONを確認したホスト機器はTVの入力を録画機器の接続する入力端子に切り替えするコマンドをTVに送信し、ワンタッチプレイを完了する。

TVの電源状態を定期的に問い合わせるコマンドには、毎回応じる必要があり、応じなければ、ホスト機器からCECの連携を切られてしまう。TVが問い合わせに応じないとホスト機器は、所定の時間経過後に問い合わせコマンドを再送するが、所定回数を超えてもTVが応じない場合は、TVが接続されていないものと判断される。それ以降CECの連携動作を切られるといった不具合が発生する。応答の準備ができたTVは自己のタイミングでコマンドに応答しても、ホスト側のタイミングを既に逸しており、TVが送信した応答コマンドおよびパラメータはホスト側に無視されることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の音響映像装置制御方法は、命令を生じさせるホスト制御ユニットに接続され、ポーリング型の処理で応答するステップを備えた音響映像装置において、前記ホスト制御ユニットから受信した命令が、次の応答タイミングを待つことなく即時応答しないといけない命令かどうかを判断する命令判断ステップは、前記ホスト制御ユニットから受信した命令が前記ホスト機器からのコマンド受信時から、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態かどうかの閾値判断ステップを備え、前記ホスト機器からのコマンド受信時から、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態のとき、ポーリング処理における次の応答タイミングを待つことなく即時応答するステップを備えることを特徴とするものである。
【0009】
さらに音響映像装置制御方法において、前記ホスト制御ユニットからの命令は、前記音響映像装置内部のソフトウェア割込み処理内でリアルタイムに受信するステップを備えることを特徴とするものである。
【0010】
さらに音響映像装置制御方法において、前記ホスト制御ユニットから受信した命令を、ポーリング処理における次のタイミングで解析し、応答が必要と判断した場合は、引き続き前記ホスト制御ユニット応答コマンドを作成するステップを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の記載によれば、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態のときにおいても、即時応答することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の音響映像装置制御方法の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における音響映像装置の内部状態を示すフローチャートであり、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態かどうかを内部の処理状態に応じリアルタイムに表示することができるものである。CECの連携を保つために、これから実行するポーリング処理がホストの許容できる所定の時間内に完了するかどうかを判断し、もし所定の時間を超える場合はその旨フラグをセットし、その間に受信したコマンドにおいては即時応答を行う処理としている。
【0013】
まずコマンドとコマンドの間の許容できる所定の時間を設定する(101)。本音響映像装置の内部処理は基本的にポーリングで連続して様々な処理を行うが、それらの処理を設定し、開始する(102)。全てのポーリング処理には予め他の処理を実行できない時間を設定しており、前述の101で設定した所定の時間を越えるものかどうかを判断するものであり(103)、所定の時間を越えるならば、その旨フラグをセットし(104)、コマンド応答ができるかどうかを所定の時間内に判断する指標とする。処理が完了したならば(105)、前述のフラグをクリアし(106)、CPUがフリーであることを示す。次のポーリング処理に移行し(107)処理を完了する。
【0014】
本音響映像装置の内部処理は、コマンドによっては応答処理に時間がかかり、常に即時応答すると全体のパフォーマンスが落ちる可能性があることを考慮し、コマンドの受信は割り込み処理を使い、ポーリング処理における次のタイミングでコマンドの解析を行い、応答が必要なコマンドの場合は、応答パラメータをTV内部の様々な状態を解析して作成し、更にポーリング処理の次のタイミングで応答コマンドおよびパラメータを返答するようなシステムとしている。
【0015】
そのため、実行中のポーリング処理がホストの許容できる所定の時間内に完了するかどうかを認識することは、CECの連携を保つために非常に大切なこととなる。
【0016】
図1において、101はコマンドとコマンドの間の許容できる所定の時間を設定するものである。102は音響映像装置の内部処理は基本的にポーリングで連続して様々な処理を行うが、それらの処理を設定し、開始するところである。全てのポーリング処理には予め他の処理を実行できない時間を設定しており、103は前述の101で設定した所定の時間を越えるものかどうかを判断するものであり、所定の時間を越えるならば、104でフラグをセットし、コマンド応答ができるかどうかを所定の時間内に判断する指標とする。105で処理が完了したならば、106で前述のフラグ104をクリアし、CPUがフリーであることを示す。次のポーリング処理に移行し(107)、処理を完了する。
【0017】
図2は、本発明の第2の実施の形態における音響映像装置の即時応答判断の処理を示すフローチャートである。ホストとのCEC連携を保つために、ホストの許容できる所定の時間内に、応答することが必須のコマンドであるかどうかを判断する命令判断装置であり、もしも応答が必須のコマンドならば、特別応答処理を行うものである。
【0018】
例えば、TVの電源状態を定期的に問い合わせるコマンドには、毎回応じる必要があり、応じなければ、ホスト機器からCECの連携を切られる恐れがある。TVが問い合わせに応じないとホスト機器は、所定の時間経過後に問い合わせコマンドを再送するが、所定回数を超えてもTVが応じない場合は、CECの連携を切られることになる。TV起動時の内部初期化処理中といえども、TVはその問い合わせに応じなければならない。
【0019】
コマンド受信割込みでコマンドを受信したならば(201)、コマンド解析を行う(202)。CECに定義されたコマンドであることを確認し、コマンドコードから応答が必要なコマンドかどうかを解析する(203)。応答が不要な場合は、コマンドを受信したことを示す所定のフラグをセットし(205)、受信したコマンドおよびパラメータを所定のバッファに保持し、コマンド受信割り込みを終了し、ポーリング処理の次のタイミングで受信コマンドを解析し、内部処理を行う。
【0020】
応答が必要なコマンドと判断した場合は、続いて即時応答が必要なコマンドかどうかを判定する(204)。即時応答が必要なく、次のポーリング処理のタイミングで処理時間に問題ない場合は、コマンドを受信したことを示す所定のフラグをセットし(205)、受信したコマンドおよびパラメータを所定のバッファに保持し、コマンド受信割り込みを終了し、ポーリング処理の次のタイミングで受信コマンドを解析し、内部処理を行い、コマンドに応答する。
【0021】
即時応答が必要であるコマンドならば、この場合に限り、受信割り込み内で応答コマンドおよびパラメータを作成し(206)、ホスト機器に応答する(207)。ただし、割込み処理内であるため、早急にコマンド処理を完了させなければならないため、TV内部の様々な状態を解析して応答パラメータを作成せずに、CEC連携を保つために最低限必要なものだけとする(206)。例えば前記ワンタッチプレイでの電源状態を問い合わされる場合においては、予め「起動中」であることを示すパラメータを作成しておき、応答している。時間のかかる内部処理が完了するまで、簡易的に「起動中」と応答し、CECの連携処理を継続させる。作成あるいは予め用意していた簡易応答のパラメータの送信起動をかけ(207)、割込み処理を終了する(208)。
【0022】
時間のかかる処理が完了した後には、TV内部の様々な状態を解析して応答パラメータを正確に作成して応答する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明にかかる音響映像装置制御方法は、所定の時間内に応答できるかどうかの内部状態を示す手段を有し、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態のときにおいても、即時応答することを特徴とする制御装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における音響映像装置の内部状態を示すフローチャート
【図2】本発明の実施の形態1における音響映像装置の即時応答判断のフローチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
命令を生じさせるホスト制御ユニットに接続され、ポーリング型の処理で応答するステップを備えた音響映像装置において、前記ホスト制御ユニットから受信した命令が、次の応答タイミングを待つことなく即時応答しないといけない命令かどうかを判断する命令判断ステップは、前記ホスト制御ユニットから受信した命令が前記ホスト機器からのコマンド受信時から、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態かどうかの閾値判断ステップを備え、前記ホスト機器からのコマンド受信時から、コマンド応答できるまでの時間が所定の時間を越える状態のとき、ポーリング処理における次の応答タイミングを待つことなく即時応答するステップを備えることを特徴とする音響映像装置制御方法。
【請求項2】
前記ホスト制御ユニットからの命令は、前記音響映像装置内部のソフトウェア割込み処理内でリアルタイムに受信するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の音響映像装置制御方法。
【請求項3】
前記ホスト制御ユニットから受信した命令を、ポーリング処理における次のタイミングで解析し、応答が必要と判断した場合は、引き続き前記ホスト制御ユニット応答コマンドを作成するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の音響映像装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−89124(P2009−89124A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257317(P2007−257317)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】