説明

音響機器用下敷

【課題】製造が容易で、安価に量産化でき、音響機器の下に敷いて音響機器を安定に支持しつつ良好な音響特性の改善効果を発揮する、新規な音響機器用下敷を提供する。
【解決手段】多数個の空隙を有し、軽量で取り扱いが容易で加工し易く音響機器の振動に対する伝達速度が速いセラミック又は金属の多孔構造体を薄板2に加工して、安価に量産化できる音響機器用下敷1を形成し、この音響用下敷1を音響機器の下に敷くことにより、音響機器を安定に支持しつつ、音響機器の振動を、音響用下敷1内において迅速に四方八方に分散し、ハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等に対しても音響機器に発生する振動を迅速に消散して音のレベル低下や濁り等を防止して音響機器の音響特性を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ、アンプ等の音響機器の下に敷くことで音響特性の改善が図られる音響機器用下敷に関するものである。なお、本発明において、「空隙」は発泡等で形成された孔や、繊維状のものを重ねてできる隙間等を含む広義の隙間であり、「多孔構造体」はそのような「空隙」を多数個含むものである。また、「音響機器」は映像と共に音声を記録、再生する機器を含む。さらに、「筐体の材質の伝達速度」とは、詳しくは筐体の材質の振動に対する伝達速度(音速)である。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるオーディオシステムやビジュアルシステムの分野においては、CDプレーヤ、MDプレーヤ、DVDプレーヤ、それらの複合機器等のデジタル音響機器の出現により、ディスク等の記録媒体にディジタル記録(録音)されたハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等を再生して鑑賞できるようになってきている。
【0003】
この場合、それらの音楽等を、できる限り、細やか、かつ、豊かな音楽表現で再現しようとすると、スピーカ、アンプ等の音響機器の筐体や回路部品等の振動の影響が問題となる。
【0004】
具体的には、例えばスピーカの場合、筐体内のスピーカユニットのコーン紙が音響信号にしたがって前後に振動する反作用として、スピーカーユニットを取り付けている筐体前面のバッフル板が逆相で振動する。そのため、とくに1000Hz以上の音について、コーン紙の振動と、これと逆相のバッフル板の振動との間で音の打ち消し合いが生じ、スピーカ出力のS/Nが劣化すると考えられる。また、アンプの場合、内部の電子部品同士の振動に由来する電磁誘導作用によって、音響用電気信号に雑音信号が重畳するためである。
【0005】
この問題は、木製筐体のスピーカや金属製筐体のアンプ等を組合わせた本格的なオーディオシステムを用いたオーディオ鑑賞等の場合だけでなく、多くは合成樹脂製筐体のミニコンポやラジカセと呼ばれる簡易な複合型の音響機器によるオーディオ鑑賞等の場合にも生じる。
【0006】
また、CD、MD、DVD等の記録(録音)現場での録音や電子楽器の演奏出力等の際にも、記録装置としての音響機器の振動の影響が問題となる。
【0007】
そして、再生や記録における音響機器の振動の影響を少しでも低減するため、従来は、ゴムや鉛の防振用インシュレータを用いて振動を吸収(消音)することが行なわれている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
しかしながら、前記のゴムや鉛の防振用インシュレータを用いた振動の吸収では、とくにハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等の再生や記録の際に発生するハイスピードの振動には十分に追従し得ない。
【0009】
そのため、ハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等の再生や記録の際には、スピーカ、アンプ等の音響機器に前記のゴムや鉛の防振用インシュレータを取り付けても、それらの音響機器に発生する振動を十分に吸収して低減することができない。
【0010】
そこで、前記のゴムや鉛の吸音式の防振用インシュレータに代えて、前記振動(音)に対する伝達速度が速いアルミニウム(以下、単にアルミという)の鋳造や削り出しのインシュレータを使用し、音響機器の振動を、吸収(吸音)するのでなく、インシュレータを通して大気中に迅速に放散し、ハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等の再生や記録の際に音響機器に発生する振動を迅速に消散して低減することが考えられる。
【0011】
しかしながら、アルミの鋳造や削り出しのインシュレータは、肉厚金属塊の重量物であり、重くて製造及び取り扱いが容易でなく、その上、高価である。さらに、前記アルミの鋳造や削り出しのインシュレータは、上、下面が円形又は多角形の平板であり、音響機器の下に敷くと、その平坦な上面全体が音響機器の底面に一体に密着し、下面全体も床面等に一体に密着し、音響機器の振動が上面から下面、その逆に反射することを繰り返ながら徐々に減衰するので、音響機器に発生する振動が迅速に消散しない。そのため、とくにハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等の再生や記録の際には、前記振動によって音のレベルが下がったり、音が濁ったりして、音響特性が低下する。
【0012】
そこで、本出願の発明者の一人は、前記のゴムや鉛の吸音式の防振用インシュレータやアルミの鋳造や削り出しのインシュレータに代わるものとして、安価なシリカゲルの粒状体を単層状に配設した音響機器用マットを既に発明し、特許を取得している(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
このシリカゲルの音響機器用マットは、軽量で薄く、また、シリカゲルの主成分である二酸化ケイ素の音波等の振動の伝達速度がアルミと同程度に速い。しかも、アンプ、スピーカ等の音響機器の下に敷くと、各粒状体の上端部が音響機器の底面に点接触状態で接触し、各粒状体の下端部もその下の設置床等の床面に点接触状態で接触し、マットと音響機器及び設置床等との接触面積が極めて小さくなり、前記アルミの鋳造や削り出しのインシュレータを敷いたときのような振動の反射が少ない。そのため、音響機器の振動が、この音響機器用マットの各粒状体の表面から極めて速やかに放散し、ハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等に対しても、音響機器の振動によるレベル低下や音の濁り等を防止して音響機器の音響特性を改善し、極めて細やかで豊かな音楽表現で再現できる。その上、多数配設されたシリカゲルの粒状体によって音響機器が安定に支持される利点もある。
【0014】
【特許文献1】特開2000−138988号公報(段落[0008]、[0019]、図1、図3)
【特許文献2】特許第3664724号公報(特許請求の範囲、段落[0025]−[0028]、[0065]−[0067]、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記シリカゲルの音響機器用マットの場合、シリカゲルの複数個の粒状体を単層状に配設する必要があり、その際、配設した各シリカゲルを互いに接着したり、支持基体に接着したりしなければならず、製造に手間がかかり、安価に量産化することが難しい。また、シリカゲルの吸湿性により、使用環境によっては音響特性の改善効果が低下するおそれもある。
【0016】
本発明は、製造が容易で、安価に量産化でき、音響機器の下に敷いて音響機器を安定に支持しつつ良好な音響特性の改善効果を発揮する、新規な音響機器用下敷を提供することを目的とする。また、使用環境の影響が極めて少ない構成とすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成するために、本発明の音響機器用下敷は、多数個の空隙を有し、音響機器の振動に対する伝達速度が速いセラミック又は金属の多孔構造体を、前記音響機器の下に設けられる薄板に形成したことを特徴としている(請求項1)。
【0018】
そして、前記多孔構造体は、発泡金属であることが実用的で好ましく(請求項2)、更には、前記多孔構造体の発泡金属は、発泡ニッケルであることが耐荷重等の面等から好ましい(請求項3)。また、前記多孔構造体は、発泡セラミック等の多孔質セラミックであってもよい(請求項4)。
【0019】
つぎに、前記音響機器はスピーカであり、前記伝達速度は前記スピーカの筐体の材質の伝達速度以上であることが、具体的で好ましい(請求項5)。
【0020】
つぎに、前記薄板は、厚みが1〜50mmであることが、機械的強度(耐荷重)等の面から好ましい(請求項6)。さらに、前記薄板は、平面が円形又は多角形のスペーサ形状であって音響機器の下面の複数箇所に散在する大きさであることが実用的で好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0021】
まず、請求項1の発明によれば、音響機器の振動に対する伝達速度が速いセラミック又は金属の多孔構造体の薄板により音響機器用下敷が形成され、この音響用下敷が音響機器の下に敷かれることにより、音響機器が安定に支持される。
【0022】
そして、音響機器に発生したその筐体等の振動は、音響機器用下敷に伝播して迅速に消散する。すなわち、セラミック又は金属の多孔構造体は、多数個の発泡孔等の空隙の存在により、それらの縁(輪郭部材)をなす発泡骨格等の骨格が四方八方に広がって三次元の樹枝状に形成された状態になる。そのため、音響機器の振動は、前記骨格を迅速に伝わって四方八方に分散し、その結果、音響機器用下敷の上、下面での反射のくり返しがほとんどなく、迅速に消散する。
【0023】
したがって、ハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等に対しても音響機器に発生する振動を迅速に消散し、その振動による音のレベル低下や濁り等を防止して音響機器の音響特性を改善することができる。
【0024】
そして、セラミック又は金属の多孔構造体は軽量で取り扱いが容易であり、この多孔構造体を薄板に加工して極めて容易に音響機器用下敷を製造することができ、量産化が容易である。
【0025】
したがって、製造が容易で、安価に量産化でき、音響機器の下に敷いて音響機器を安定に支持しつつ良好な音響特性の改善効果を発揮する、新規な音響機器用下敷を提供することができる。また、前記多孔構造体が吸湿性の少ないセラミックや金属の場合は、使用環境の影響が極めて少なく、使用環境に左右されることなく音響特性の最良の改善効果が得られる。
【0026】
つぎに、請求項2の発明によれば、前記多孔構造体を、取り扱いが容易で加工し易く、発泡金属により形成した実用的な構成で請求項1の効果を奏する音響機器用下敷を提供することができる。
【0027】
つぎに、請求項3の発明によれば、前記多孔構造体の発泡金属を、振動の伝達速度がアルミと同程度に高速であって機械的強度が大きい発泡ニッケルとしたため、厚みを薄くして重量のあるスピーカ等の音響機器の下に敷いても変形したり押し潰されたりすることがなく、発泡ニッケルを用いた極めて実用的で量産化に好適な具体的な構成により請求項1の効果を奏する音響機器用下敷を提供することができる。
【0028】
つぎに、請求項4の発明によれば、前記多孔構造体を発泡セラミック等の多孔質セラミックにより形成して請求項1の効果を奏する音響機器用下敷を提供することができる。
【0029】
つぎに、請求項5の発明によれば、前記音響機器はスピーカであり、前記伝達速度が前記スピーカの筐体の材質の伝達速度以上であることから、スピーカの下に敷いて請求項1の効果を奏する具体的な構成の音響機器用下敷を提供することができる。
【0030】
つぎに、請求項6の発明によれば、音響機器の下に設けられる前記多孔構造体の薄板は、音響特性の改善効果の面からは薄い程好ましいが、その上の音響機器の荷重によって押し潰されないことが必要であり、音響機器の重量及びセラミック又は金属の多孔構造体の機械的強度を考慮して前記薄板を1〜50mmの厚みに形成することにより、重量のあるスピーカ等の音響機器の下に敷いても押し潰されることがなく、音響特性の改善効果及び機械的強度の両面から極めて好適な構成とすることができる。
【0031】
つぎに、請求項7の発明によれば、前記多孔構造体の薄板を、平面形状が円形又は多角形であって音響機器の下面の複数箇所に散在する面積に形成することにより、音響機器用下敷を、音響機器の底面の例えば四隅の下に敷いて使用する実用的な形状、大きさに形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、実施形態について、図1〜図18にしたがって詳述する。
【0033】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。
【0034】
図1は本実施形態の音響機器用下敷1を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。図2は音響機器用下敷1の使用例を示し、(a)は音響機器の一例であるスピーカ2の下に敷かれた状態の正面図、(b)は(a)の下面図である。
【0035】
図3、図4は音響機器用下敷1を形成する薄板2の一例、他の例それぞれの拡大した平面図、図5、図6はそれぞれ薄板2の内部構造を模式的に示した断面図である。
【0036】
図7は音響機器用下敷1による音響特性の改善効果を測定するシステムの説明図である。図8は測定の入、出力波形の説明図であり、図9〜図13はそれぞれ測定結果の波形図である。
【0037】
音響機器用下敷1は、音響機器であるスピーカ2が木製筐体の場合、振動に対する伝達速度が木材の伝達速度(木材の音速)である4700m/sより速い種々のセラミック又は金属の多孔構造体の薄板によって形成することができるが、本実施形態の場合、多孔構造体の一例である後述の発泡金属の薄板2からなる。
【0038】
この発泡金属の薄板2は平面視が円形、又は矩形等の多角形であり、平面視が円形の場合、例えば図1に示すように上面が下面より若干小径の円盤状であり、横から見ると高さが低い台形状である。
【0039】
そして、薄板2の音響機器用下敷1は、図2に示すように音響機器であるスピーカ3の下に敷設され、スピーカ3を安定に支持する。なお、スピーカ3は、どのような大きさ、形状のものであってよいが、ここでは、ロジャーズ(Rogers)社の型番LS−5/9Aの20cmスピーカであり、専用のスタンドに載置される。
【0040】
ところで、音響機器用下敷1は、上、下面が略スピーカ3の底面全体に相当する大面積であってスピーカ3の下に1枚だけ設けられる構成であってもよいが、本実施形態の場合、汎用性、量産性等を考慮して予め設定された規定の大きさ(具体的には、平面視円形であれば例えば直径が5〜6cm、平面視矩形(四角形)であれば例えば4.5cm×4.5cm)の比較的小面積であり、平面視円形の場合、図2(b)に示したようにスピーカ3の底面の四隅に敷設される。
【0041】
このとき、音響機器用下敷1の厚み、すなわち、薄板2の厚みtについては、スピーカ3の筐体の振動を迅速に大気中に放散する観点からは極力薄くすることが望ましいが、実際にはスピーカ3の重量及び薄板2の機械的強度(耐荷重強度)を考慮して設定する必要があり、薄板2が後述の発泡金属で形成される本実施形態の場合、音速(振動の伝達速度)、及び機械的強度の両面を考慮してt=1〜15mmの厚みにすることが実用的で好ましく、とくに薄板2が後述の発泡ニッケルの場合はt=5〜15mmの厚みにすることが好ましい。
【0042】
なお、薄板2を形成する多孔構造体が発泡金属を含む本発明のセラミック又は金属の場合、音響機器用下敷1が敷設される音響機器の重量範囲及び、多孔構造体のセラミックや金属の機械的強度の範囲を考慮すると、音響機器用下敷1を形成する薄板2の厚みtの範囲は、t=1〜50mmであることが好ましい。
【0043】
また、薄板2の平面形状は、円形又は種々の多角形であってよい。
【0044】
つぎに、音響機器用下敷1の薄板2を形成する発泡金属について説明する。
【0045】
薄板2を形成する発泡金属は、少なくとも、(1)音響機器(スピーカ3)の振動に対する伝達速度が速い、(2)音響機器(スピーカ3)の重量(荷重)によっては変形したり押し潰されたりしない、(3)軽量で加工が容易であって、量産可能である、という条件を満足する必要がある。
【0046】
そして、スピーカ3の振動を少しでも速く放散するため、薄板2の発泡金属は、前記(1)の条件として、スピーカ3の筐体(木製)の音速(4700m/s)以上の振動伝達特性(音速特性)を有するものでなければならない。
【0047】
この(1)の条件を満足する良好な金属としては、例えば、ニッケル(5600m/s〜6040m/s)、マグネシウム(5800m/s)、チタニウム(5990m/s〜6100m/s)、ベリリウム(12000m/s)、アルミ(5200m/s〜6420m/s)がある。これらの金属はアルミを除いていずれもニッケルより原子量が小さくて硬い。なお、一般に原子量が小さくて硬い金属は振動の伝達速度が速いといえる。なぜなら、振動の伝達速度は硬性の平方根に比例し、質量の平方根に反比例するからである。
【0048】
そして、それらの発泡金属において、発泡アルミと、その他の発泡金属とを比較すると、振動の伝達速度に関しては発泡アルミのほうが発泡ニッケルより好ましいが、発泡アルミは強度(耐荷重)が小さく、重量のあるスピーカ3のような音響機器の下に敷くと、強度(耐荷重)不足によって変形したり押し潰されるおそれがある。これに対して、発泡アルミを除く上記各発泡金属(発泡ニッケル、発泡マグネシウム、発泡チタン、発泡ベリリウム)は、いずれも強度(耐荷重)が大きく、重量のあるスピーカ3の下に敷いても変形したり押し潰されたりすることがなく、前記(2)の条件も満足する。
【0049】
また、これらの発泡金属は、図3、図4の発泡ニッケルの薄板2の一例、他の例の拡大平面図に示すように、本発明の多数個の空隙として、図中に黒色で示した多数の発泡孔4を含有し、いずれも軽量で加工し易い。なお、図3は薄板2の発泡ニッケルが比較的大きい発泡孔4を含有する「目の粗い」場合を示し、図4は薄板2の発泡ニッケルが小さい発泡孔4を含有する「目の細かい」場合を示す。
【0050】
さらに、発泡ニッケル等の発泡金属は液体や気体のフィルタや電池の電極等に用いられていることから、それらの加工技術を薄板2の製造に適用して薄板2を容易に量産することができる。そのため、上記各発泡金属は前記(3)の条件も満足する。
【0051】
その上、これらの発泡金属はシリカゲルに比して耐湿性が高く、音響特性に対する使用環境の湿度の影響が極めて少ない利点もある。
【0052】
したがって、音響機器用下敷1の薄板2を形成する発泡金属は、例えば、発泡ニッケル、発泡マグネシウム、発泡チタン、発泡ベリリウム、或いは、それらの合金の発泡金属(例えば発泡ステンレス(音速:5790m/s)等)であることが好ましく、入手の容易さやコスト等も考慮すると、発泡ニッケルや発泡ステンレスであることが実用的である。なお、振動伝達速度を重視する場合は、発泡ベリリウムであることが最も好ましく、ついで、発泡チタン、発泡マグネシウム、発泡ステンレス、発泡ニッケルの順に好ましい。また、音響機器が軽量で機械強度が問題にならない場合は、発泡アルミであってもよい。さらに、音響機器用下敷1の薄板2は、銅、鉄、スズ又はそれらの合金の発泡金属で形成してもよい。
【0053】
ところで、薄板2を形成するそれらの発泡金属は、塑性変形しない範囲で、単位体積当たりの含気量が多く、発泡孔4の縁枠をなす発泡骨格の金属径がなるべく小さい程、表面積が大きくなって振動が迅速に放散する。そして、実験等により、薄板2の発泡孔の占める割合(気孔率(空隙率))は20%〜98%、発泡孔の径は0.01mm(=10μm)〜1.5mmであることが好ましいことが判明した。
【0054】
そして、発泡ニッケルや発泡ステンレス等の発泡金属の薄板2は、図5、図6の模式的な拡大断面図に示すように、各発泡孔4の縁をなす発泡骨格5によっていわゆるオープンセル構造に形成され、多数の発泡孔4を互いに連通した状態で含有する。
【0055】
このとき、発泡骨格5は四方八方に広がって三次元の樹枝状に形成される。なお、図5は図6とでは発泡孔4の配列が異なっている。
【0056】
すなわち、薄板2の発泡骨格5は、振動の伝達速度がスピーカ3の筐体である木材の伝達速度(4700m/s)より十分に速く、しかも、多数の微小な発泡孔4によって四方八方に広がって三次元の樹枝状に形成されて表面積が広い。
【0057】
そのため、薄板2で形成された各音響機器用下敷1は、スピーカ3の筐体の材質の伝達速度以上の振動伝達特性であって、発泡骨格5が三次元の樹枝状に四方八方に広がって多数の細かい発泡孔4を含み、軽量で表面積が広く、その上、薄い。
【0058】
この場合、スピーカ3の筐体の振動は、各音響機器用下敷1に伝播してその広い表面から迅速に消散する。すなわち、スピーカ3の振動は、発泡骨格5を迅速に伝わって四方八方に分散する。その際、各音響機器用下敷1が薄いので四方八方に分散した振動は直ちに表面に到達して消滅する。しかも、振動が四方八方に分散するので音響機器用下敷1の上、下面での振動の反射のくり返しはほとん生じない。その結果、スピーカ3の振動が極めて迅速に消散する。
【0059】
したがって、ハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等に対してもスピーカ3に発生する振動を迅速に放散し、その振動による音のレベル低下や濁りを防止してスピーカ3の音響特性を著しく改善することができる。
【0060】
具体的に、図7の構成の測定システムにより、MDプレーヤ6により再生したサンプル音を、アンプ7を介してスピーカ3から出力し、そのスピーカ出力の再生音を、マイクロホン8を通してマイクロコンピュータ構成の波形解析装置9に取り込み、再生音の波形を観測したとこる、図9〜図13の結果が得られた。
【0061】
なお、測定に際して、スピーカ3は専用のスタンド10に載置した。また、測定は、スピーカ3の下に何も敷かない(「下敷き無し」)の場合と、スピーカ3の下に4種類の発泡金属の薄板2の音響機器用下敷1を敷いた場合とについて行なった。
【0062】
前記4種類の発泡金属の薄板2は、厚みt=5mm、直径55mmの平面視円形状の発泡ニッケルの2種類(発泡ニッケル1、2)の薄板2と、厚みt=1mm、40mm×40mmの平面視矩形形状のSUS316Lの発泡ステンレスの2種類(発泡ステンレス1、2)の薄板2である。
【0063】
そして、発泡ニッケル1の薄板2は発泡孔4の径が0.5mmであり、発泡ニッケル2の薄板2は発泡孔4の径が1.3mmである。また、発泡ステンレス1の薄板2は発泡孔4の径が0.3mm(300μm)であり、発泡ステンレス2の薄板2は発泡孔4の径が
0.6mm(600μm)である。
【0064】
また、前記サンプル音は、5000Hzのトーンバーストであり、図8(a)に示す期間T1(=250ms)と期間T2(=750ms)を1周期とする連続4周期の入力波形である。
【0065】
そして、上記入力波形の再生音を波形解析装置9のFFT処理によって波形解析し、図8(b)のような出力波形を得て音響特性を評価する。具体的には、同図(a)の各1周期の入力波形に基づいて得られた同図(b)の各1周期の出力波形を、最初の大きな振幅(レベル)の区間a、それに続く本来の振幅の区間b、残りの振幅の区間cに区分する。区間aは音の「あばれ」であり、材質の「くせ」が出現したものである。区間bは入力波形によって本来得るべき振幅の区間、区間cは慣性モーメントによるコーン紙等の惰性の動きに基づく区間である。そして、区間bの振幅は、できるだけ大きいほうがS/N等の点で好ましく、区間aの振幅に略等しくなることが望ましい。区間cの振幅は、慣性で生じているので、極力迅速に消失することが好ましい。
【0066】
図9〜図13は5000Hzの測定結果であり、図9は何も敷かなかった場合、図10は発泡ニッケル1の音響機器用下敷1を敷いた場合、図11は発泡ニッケル2の音響機器用下敷1を敷いた場合、図12は発泡ステンレス1の音響機器用下敷1を敷いた場合、図13は発泡ステンレス2の音響機器用下敷1を敷いた場合である。
【0067】
これら5000Hzの測定結果から、発泡ニッケル1、2の音響機器用下敷1や発泡ステンレス1、2の音響機器用下敷1を敷くことにより、前記既特許のシリカゲルの音響機器用マットの場合と同様、何も敷かなかった場合に比して、明らかに前記bの区間の振幅が大きくなって音響特性が改善されていることが確かめられた。
【0068】
なお、発泡ニッケル、発泡ステンレス以外の上述の各発泡金属の音響機器用下敷1を敷いた場合にも、何も敷かなかった場合に比して同様の音響特性の改善効果が得られる。
【0069】
そして、発泡ニッケル、発泡ステンレス等の発泡金属は、通常の使用環境の湿度等によっては前記伝達速度がほとんど変らず、この種の発泡金属の音響機器用下敷1を敷くことによって、使用環境の影響を受けることなく音響特性の最良の改善効果が得られる。
【0070】
また、発泡ニッケル、発泡ステンレス等の発泡金属は、軽量であり、取り扱いも容易であり、それを薄板2に加工して極めて容易に音響機器用下敷1を製造することがでる。そのため、音響機器用下敷1を安価に量産できる。
【0071】
以上説明したように、発泡ニッケル、発泡ステンレス等の発泡金属の薄板2からなる本実施形態の音響機器用下敷1は、取り扱いが容易で加工し易く、安価かつ容易に量産することができる構成により、音響機器であるスピーカ3の下に敷いて良好な音響特性の改善効果を発揮することができ、ハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等を極めて細やかで豊かな音楽表現で再現することができる。しかも、使用環境の影響が極めて少なく、使用環境に左右されることなく音響特性の最良の改善効果が得られる。
【0072】
また、振動の伝達特性が速い例えばアルミやニッケルの金属球を配設して音響特性を改善することが考えられるが、この場合には何らかの工夫をしなければ各金属球が容易に転がって拡散し、スピーカ3を安定に支持することはできない。これに対して、発泡ニッケル、発泡ステンレス等の発泡金属の薄板2からなる本実施形態の音響機器用下敷1は、そのような不都合等がなく、薄板2の平坦な上、下面によってスピーカ3は安定に支持される。
【0073】
そして、とくに発泡ニッケルの薄板2からなる音響機器用下敷1の場合は、機械的強度が大きく、厚みを極力薄くして音響特性の改善効果を一層高くすることができるとともに、入手が容易で極めて実用的である。
【0074】
(他の実施形態)
つぎに、他の実施形態について、図1〜図8及び図14〜図18を参照して説明する。なお、図14〜18はそれぞれ測定結果の波形図である。
【0075】
本実施形態においては、例えば図1の音響機器用下敷1をセラミックの多孔体構造の代表例である発泡セラミック(多孔質セラミック)の薄板によって形成する。
【0076】
この場合、前記一実施形態において説明したように、音響機器用下敷1を構成する発泡セラミックの薄板は、一実施形態の発泡金属の薄板と同様、少なくとも、(1)音響機器(スピーカ3)の振動に対する伝達速度が速い、(2)音響機器(スピーカ3)の重量(荷重)によっては変形したり押し潰されたりしない、(3)軽量で加工が容易であって、量産可能である、という条件を満足する必要があり、具体的には、アルミナや炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、ジルコニア、ムライト、コージライト、サーメット、チタニア、ベリリア、又はそれらの混合物の多孔質体等からなる。
【0077】
ところで、発泡セラミックの薄板も前記図3、図4の発泡金属の薄板2のように多数の発泡孔を含む。そして、発泡セラミックの薄板についても、塑性変形しない範囲で、単位体積当たりの含気量が多く、発泡孔の縁枠をなす発泡骨格のセラミック径がなるべく小さい程、表面積が大きくなって振動が迅速に放散し、好ましい。具体的には、発泡金属の薄板2と同様、発泡セラミックの薄板も気孔率(空隙率)が20%〜98%、発泡孔の径が0.01mm(=10μm)〜1.5mmであることが好ましい。
【0078】
そして、発泡セラミックの薄板もいわゆるオープンセル構造であり、多数の発泡孔を互いに連通した状態で含有し、それらの縁(輪郭部材)をなす発泡骨格が四方八方に広がって三次元の樹枝状に形成される。
【0079】
そのため、スピーカ3の筐体の振動は、発泡セラミックの薄板が構成する音響機器用下敷1に伝播し、その発泡骨格を迅速に伝わって四方八方に分散し、迅速に消散する。
【0080】
そして、図7と同様の構成の測定システムにより、同図のスピーカ3をロジャーズ(Rogers)社の型番PM510の35cm2ウェイスピーカに替え、スピーカ3の下に何も敷かない(「下敷き無し」)の場合と、スピーカ3の底面の四隅に例えば3種の発泡セラミックの薄板で構成された音響機器用下敷1それぞれを図2のように敷いた場合と、スピーカ3の底面の四隅に前記既特許のシリカゲルの音響機器用マット(以下、「既特許シリカゲルマット」という)を敷いた場合とにつき、5000Hzのトーンバースを入力波形としてスピーカ3の再生音を波形解析装置9によって波形解析したところ、図14〜図18の結果が得られた。
【0081】
なお、音響機器用下敷1を構成する発泡セラミックの薄板も、前記一実施形態の発泡金属の薄板2と同様、平面形状が円形又は多角形の規格化した大きさであってよく、図2のような平面視円形であれば例えば直径5〜6cmであり、平面視矩形(四角形)であれば例えば4.5cm×4.5cmである。また、その厚みtについては、一実施形態の場合と同様、スピーカ3の筐体の振動を迅速に大気中に放散する観点からは極力薄くすることが望ましく、実際にはスピーカ3の重量及び薄板2の機械的強度(耐荷重強度)の両面を考慮してt=1〜50mmであることが実用的で好ましい。
【0082】
そして、前記3種類の発泡セラミック(発泡セラミック1、2、3)の薄板はいずれもアルミナの発泡体(多孔質体)であり、発泡セラミック1は発泡孔の径が20μm、厚みtが4mm、発泡セラミック2は発泡孔の径が85μm、厚みtが4mm、発泡セラミック3は発泡孔の径が490μm、厚みtが4mmである。
【0083】
図14は何も敷かなかった場合、図15は発泡セラミック1の音響機器用下敷1を敷いた場合、図16は発泡セラミック2の音響機器用下敷1を敷いた場合、図17は発泡セラミック3の音響機器用下敷3を敷いた場合の測定結果であり、図18は既特許シリカゲルマットを敷いた場合の測定結果である。
【0084】
これら5000Hzの測定結果から、発泡セラミック1、2、3の音響機器用下敷1を敷いた場合にも、前記既特許シリカゲルマットを敷いた場合と同様、何も敷かなかった場合に比して、明らかに前記bの区間の振幅が大きくなって音響特性が改善されていることが確かめられた。
【0085】
なお、前記(1)〜(3)の条件を満足する種々の発泡体の発泡セラミックの薄板の音響機器用下敷1を敷いた場合に、何も敷かなかった場合に比して同様の音響特性の改善効果が得られる。
【0086】
また、それらの発泡セラミックの薄板の音響機器用下敷1であって、さらに耐湿性を有するセラミック素材の薄板で構成されたものは、使用環境の影響を受けることなく音響特性の最良の改善効果が得られる利点もある。
【0087】
そして、発泡セラミックも、軽量であり、取り扱いは容易であり、それを薄板に加工して極めて容易に音響機器用下敷1を製造することがでる。そのため、音響機器用下敷1を安価に量産できる。
【0088】
以上説明したように、発泡セラミックの薄板からなる本実施形態の音響機器用下敷1も、取り扱いが容易で加工し易く、安価かつ容易に量産することができる構成により、音響機器であるスピーカ3の下に敷いて良好な音響特性の改善効果を発揮することができ、ハイスピードでダイナミックレンジが広い音楽等を極めて細やかで豊かな音楽表現で再現することができる。しかも、耐湿性を有する場合には使用環境の影響が極めて少なく、使用環境に左右されることなく音響特性の最良の改善効果が得られる利点もある。
【0089】
なお、発泡セラミックの薄板からなる本実施形態の音響機器用下敷1をスピーカ3の下に敷いた場合にも、その平坦な上、下面によってスピーカ3は安定に支持される。
【0090】
そして、本発明は上記した両実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、音響機器用下敷1は、スピーカの下に敷くだけでなく、アンプ、CDプレーヤ、MDプレーヤ、DVDプレーヤ等の種々の音響機器の下に敷いてよく、これらの音響機器の下に敷いた場合、筐体や回路部品等の振動が迅速に放散され、前記振動に起因して音響用電気信号に重畳していた雑音信号が消失し、上記した実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0091】
その結果、本格的なオーディオシステムを用いたオーディオ鑑賞において、スピーカ、アンプ等の一連の音響機器の下に音響機器用下敷1を敷いてシステム全体の音響特性を改善することができるのは勿論、簡易なミニコンポやラジカセ等の音響機器の下に音響機器用下敷1を敷いても同様にオーディオ鑑賞の音響特性を改善することができ、更には、録音現場での録音特性や電子楽器の演奏出力特性等を改善することも可能である。
【0092】
つぎに、音響機器用下敷1の枚数や大きさ、厚み、平面形状については、試聴の結果や量産の規格化等に基いて適当に設定すればよく、使用する際には、例えば1枚又は複数枚の音響機器用下敷1を、音響機器の底面の全体または一部の下に敷いて使用すればよく、音響機器に脚が付いているときは、全部又は一部の脚の底面に音響機器用下敷1を敷けばよい。
【0093】
つぎに、音響機器用下敷1は、上述の(1)〜(3)の条件を満足する種々のセラミック又は金属の多孔構造体(多孔質体)であればよい。
【0094】
この場合、多孔構造体は、全体が一様な気泡率で形成されていなくてもよく、例えば、音響機器との接触面側(機器面側)が気泡骨格の密(気孔率が最も低い)の状態で、その反対側(床面側)の床面等との接触面が泡骨格の疎(気孔率が最も高い)状態になるように、厚み方向の気孔率が変化する構造であってもよい。具体的には、音響機器用下敷1を形成する多孔構造体としての発泡金属、発泡セラミックの薄板は、図19(a)、(b)の構造の薄板2A、2Bであってもよい。薄板2Aは厚み方向の気孔率が連続的に変化する構造であり、薄板2Bは気孔率が異なる複数枚の発泡金属又は発泡セラミックの薄板a〜cを重ねることによって厚み方向の気孔率が段階的(ステップ状)に変化する構造である。これらの厚み方向の気孔率が変化する構造の薄板2A、2Bによって音響機器用下敷1を形成した場合、床面に向かうにしたがって気孔率が高くなるので、スピーカ3等の音響機器の筐体の振動は、空気中に効果的に拡散するとともに床面からの反射が極めて少なくなる。
【0095】
また、前記(1)〜(3)の条件を満足する種々のセラミック又は金属の多孔構造体(多孔質体)の薄板2は、発泡金属や発泡セラミックの薄板に限られるものではなく、例えば、繊維状の金属やセラミックを集積(堆積)して圧縮した後、加熱又は焼結して形成された薄板であってもよく、この場合、その薄板は繊維状の金属やセラミックの隙間が前記発泡孔と同様の本発明の空隙を形成する。
【0096】
そして、前記(1)〜(3)の条件を満足する種々のセラミック又は金属の多孔構造体(多孔質体)の薄板によって形成される音響機器用下敷1は、いずれも、前記各発泡孔4に相当する多数個の空隙を含有し、軽量で加工がし易く、表面積が広く、前記両実施形態と同様の効果を奏する。その際、音響機器用下敷1を形成するセラミック又は金属の多孔構造体は、音響機器の振動に対する伝達速度が、音響機器の筐体等の材質の伝達速度以上であればよい。具体的には、前記多孔構造体の伝達速度は、例えば音響機器が木製筐体であれば木材の伝達速度以上であればよく、音響機器がプラスチックの筐体であればそのプラスチックの伝達速度以上であればよい。
【0097】
なお、音響機器用下敷1がシリカゲルの多孔質体等のセラミックの多孔構造体の薄板により形成される場合、その薄板を伝達速度がより速い炭素の被覆体でコーティングし、振動の伝達速度を一層向上するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】この発明の一実施形態の音響機器用下敷を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図2】図1の音響機器用下敷の使用例を示し、(a)は音響機器の一例であるスピーカの下に敷かれた状態の正面図、(b)は(a)の下面図である。
【図3】図1の音響機器用下敷を形成する薄板の一例の拡大平面図である。
【図4】図1の音響機器用下敷を形成する薄板の他の例の拡大平面図である。
【図5】図1の音響機器用下敷を形成する薄板の内部構造の一例を模式的に示した断面図である。
【図6】図1の音響機器用下敷を形成する薄板の内部構造の他の例を模式的に示した断面図である。
【図7】図1の音響機器用下敷による音響特性の改善効果を測定するシステムの説明図である。
【図8】図7のスピーカの入、出力の波形を示し、(a)は入波形、(b)は出力波形である。
【図9】スピーカの下に何も敷いていない場合の測定結果の一例の特性図である。
【図10】スピーカの下に発泡ニッケルの音響機器用下敷を敷いた場合の測定結果の一例の特性図である。
【図11】スピーカの下に発泡ニッケルの音響機器用下敷を敷いた場合の測定結果の他の例の特性図である。
【図12】スピーカの下に発泡ステンレスの音響機器用下敷を敷いた場合の測定結果の一例の特性図である。
【図13】スピーカの下に発泡ステンレスの音響機器用下敷を敷いた場合の測定結果の他の例の特性図である。
【図14】スピーカの下に何も敷いていない場合の測定結果の他の例の特性図である。
【図15】スピーカの下に発泡セラミックの音響機器用下敷を敷いた場合の測定結果の一例の特性図である。
【図16】スピーカの下に発泡セラミックの音響機器用下敷を敷いた場合の測定結果の他の例の特性図である。
【図17】スピーカの下に発泡セラミックの音響機器用下敷を敷いた場合の測定結果のさらに他の例の特性図である。
【図18】参考のための測定結果の特性図である。
【図19】気孔率が厚み方向に変化する多孔構造体例の説明図であり、(a)は一例の説明図、(b)は他の例の説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 音響機器用下敷
2、2A、2B 薄板
3 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数個の空隙を有し、音響機器の振動に対する伝達速度が速いセラミック又は金属の多孔構造体を、前記音響機器の下に設けられる薄板に形成したことを特徴とする音響機器用下敷。
【請求項2】
請求項1に記載の音響機器用下敷において、
前記多孔構造体は、発泡金属であることを特徴とする音響機器用下敷。
【請求項3】
請求項2に記載の音響機器用下敷において、
前記多孔構造体の発泡金属は、発泡ニッケルであることを特徴とする音響機器用下敷。
【請求項4】
請求項1に記載の音響機器用下敷において、
前記多孔構造体は、発泡セラミック等の多孔質セラミックであることを特徴とする音響機器用下敷。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の音響機器用下敷において、
前記音響機器はスピーカであり、前記伝達速度は前記スピーカの筐体の材質の伝達速度以上であることを特徴とする音響機器用下敷。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の音響機器用下敷において、
前記薄板は、厚みが1〜50mmであることを特徴とする音響機器用下敷。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の音響機器用下敷において、
前記薄板は、平面形状が円形又は多角形であって音響機器の下面の複数箇所に散在する面積であることを特徴とする音響機器用下敷。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−105631(P2009−105631A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275205(P2007−275205)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(504090123)
【出願人】(000126528)株式会社アサヒペン (14)
【Fターム(参考)】