説明

音響発生装置を備えた玩具

【課題】 玩具本体の外部に現れる機能部品が多い音響発生装置を備えた玩具において、玩具本体の限られた内部スペースを有効に利用して部品を配置し、しかも配線をシンプルなものとする。
【解決手段】 玩具本体1の上方部8の外面に、スピーカ13の放音ガード21を露出状態で配置する。玩具本体1の上方部8内に、放音ガード21の下方にスピーカ13を配置し、スピーカ13の下方に回路基板15を配置する。玩具本体1の胴部7よりも下方に位置する下方部内には、電源17を配置する。電源17と回路基板15の制御回路とを第1の電気的接続手段23により接続する。回路基板15の制御回路とスピーカ13とを第2の電気的接続手段25により接続する。スピーカユニット29を用いてスイッチ部品27を操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作すると音響を発する音響発生装置を備えた玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の音響発生装置を備えた物品としては、例えば特許文献1や特許文献2等に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載された音響発生装置を備えた玩具は、玩具本体の内部に回路基板を縦向きに設け、この回路基板に音声合成回路、スピーカ、ボタン電池及びスイッチを設け、玩具本体の前面の回動体を外部から回動して操作した際にスイッチを操作して放音させる構造を有している。
【0004】
また特許文献2に記載されたものは、音声を発するキャラクタ時計である。最近は、この種の時計でも、操作ボタンを押したときに現在の時刻を発音するものがある。この文献に示された時計は、キャラクタの形をした本体の上方部に位置した頭部後面にスピーカの放音ガードを設け、キャラクタの手の上にはオンオフ動作を行う専用のボール形状をしたスイッチ操作部を設け、更にキャラクタ本体の前面には時計(機能部品)を設け、キャラクタ本体の背面には切替スイッチ等の設定部を設け、音声発生部や電源をキャラクタ本体内のいずれかの部分に組み込んだ構造を有している。
【特許文献1】特開平11−76632号公報
【特許文献2】特開平9−33668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら特許文献1及び特許文献2に記載の音響発生装置を備えた物品では、いずれもその物品に必要な機能部品が外装のかなりの部分を占めている。そのため機能部品との位置関係から、スピーカ、回路基板、そして電源を本体の内部に配置する場合には、複雑な配置構成や複雑な配線構造を採用せざるを得ない場合が多い。
【0006】
また外装に現れる機能部品が多くなると、スピーカの配置位置やスイッチの操作部の配置位置も工夫が必要になる。さらに操作の利便性を考えて、スイッチの操作部を大きなものにしようとすると、スイッチの操作部の設置スペースを確保できない場合も生じる。
【0007】
本発明の目的は、外部に現れる機能部品数が多い玩具本体を備えていても、スピーカ、制御回路を備えた回路基板及び電源を、玩具本体の限られた内部スペースを利用して配置することができて、しかも配線をシンプルなものとすることができる音響発生装置を備えた玩具を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、専用のスイッチ操作部品を用いないで、スピーカから放音させることができる音響発生装置を備えた玩具を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、スイッチ操作部品としての機能を有するスピーカユニットの変位を常に安定して行うことができる音響発生装置を備えた玩具を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、スピーカユニットが押されたときに復帰させるバネ部材の組み付けが容易で、しかも1本のバネ部材だけでスピーカユニットを確実に復帰させることができる音響発生装置を備えた玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の音響発生装置を備えた玩具は、玩具本体の胴部の前方及び/または後方並びに側方に、玩具の機能に必要な複数種類の機能部品の少なくとも一部が配置されている。したがって玩具本体の内部及び外部の大部分は機能部品で占められている。そして玩具本体の内部には、スピーカと、少なくともスピーカのスピーカ駆動回路を含む制御回路を備えた回路基板と、制御回路に電力を供給する電源とが収納されている。この玩具は、玩具本体の底面が設置面上に置かれた状態で使用される。
【0012】
特に、本発明の音響発生装置を備えた玩具では、玩具本体の底面とは反対側に位置し且つ胴部の上方に位置する玩具本体の上方部の外面にスピーカの放音ガードを露出状態で配置する。そして玩具本体の上方部内には、放音ガードの下方にスピーカを配置する。そしてスピーカの下方には、回路基板を配置する。また玩具本体の胴部よりも下方に位置する下方部内には、電池、蓄電池等の電源を配置する。その上で、電源と制御回路とを第1の電気的接続手段により接続し、制御回路とスピーカとを第2の電気的接続手段により接続する。第1及び第2の電気的接続手段としては、例えば、絶縁被覆により導線が被覆されたリード線を用いることができる。
【0013】
本発明によれば、玩具本体の胴部の前方及び/または後方並びに側方に、玩具の機能に必要な複数種類の機能部品の少なくとも一部が配置されているために、玩具本体の内部及び外部に利用スペースがあまり無い音響発生装置を備えた玩具において、玩具本体の上下方向の空きスペースを利用して、玩具本体の上方部(人形型の玩具本体であれば頭部)内にスピーカを配置し、スピーカの下側に回路基板を配置し、玩具本体の胴部よりも下方に位置する下方部内に電源を配置しているので、音響発生に必要な部品を限られたスペース内に整然と組み込むことができる。また、回路基板の下方に電源を配置し、回路基板の上方にスピーカを配置してそれぞれ第1及び第2の電気的接続手段により接続するようにしているので、電源と回路基板との電気的接続及び回路基板とスピーカとの電気的接続がシンプルなものとなり、しかもに電気的接続のために用いる配線を短いものとすることができる。したがって玩具の組立及び内部の電気的な配線を容易なものとすることができる。更に、玩具本体の下方部内に電源を配置しているので、この玩具の重心位置が下がり、玩具の設置姿勢を安定させることができる。
【0014】
また上記の構成に加えて、回路基板のスピーカ側に位置する面上に、被操作部を備え且つスピーカから音が出されるときに被操作部が操作されるスイッチ部品を実装する。そして放音ガードとスピーカとを組み合わせて、一つのスピーカユニットを構成する。このようにして構成したスピーカユニットを、外力によって位置が変位するようにガイド機構を介して玩具本体の上方部に設けるようにしてもよい。この場合には、スピーカユニットの位置の変位によって、スイッチ部品の被操作部をスピーカユニットに設けた操作部によって操作できるように、スピーカユニット及びガイド機構を構成する。このように放音ガードとスピーカとを組み合わせて構成したスピーカユニットを、スイッチ部品を操作するためのスイッチ操作部品として利用すると、専用のスイッチ操作部品が必要なくなる上、専用のスイッチ操作部品を配置するためのスペースも不要になるので、玩具本体に実装される機能部品が多い玩具においては、極めて大きな効果となる。
【0015】
またこの玩具では、放音ガードに外力が加えられないときには、スピーカユニットが第1の位置にあり、放音ガードに外力が加えられているときには、スピーカユニットが第1の位置から外力が加えられる方向にある第2の位置に向かって移動する際に、ガイド機構がスピーカユニットをガイドする。またガイド機構は、放音ガードに加えられている外力が除かれると、スピーカユニットが第2の位置から第1の位置に復帰するのをガイドする。このようなガイド機構を設けると、スピーカユニットのように大きな部品を移動させる場合であっても、スピーカユニットはスムーズに上下動動作をすることができる。したがってスピーカユニットをスイッチ操作部品として使用しても、操作上特に問題は生じない。
【0016】
特に、スピーカユニットを、開口部が放音ガードによって塞がれ且つスピーカが収納されるスピーカ収納室を備えたスピーカ収納ケースを備え、スピーカ収納ケースの底壁部に操作部を設けた構造としてもよい。このように構成する場合、ガイド機構は、スピーカ収納ケースが、内部で傾くことなくスライドし得るように嵌合される収納室を備えたガイドケースをさらに備えていることが好ましい。そしてこのようなガイドケースを用いる場合には、ガイドケースとスピーカ収納ケースとの間に、スピーカユニットが第1の位置から第2の位置に移動する際に蓄勢され、外力が除かれると放勢されるバネ部材を配置する。またガイドケースの底壁部には、スピーカユニットに設けられた操作部がスライド可能に貫通する貫通孔を形成する。このようにガイド機構に更にガイドケースを加えると、スピーカユニットが移動する際に、スピーカユニットが大きく傾いた状態で上下動することを抑制することができる。またこのような構成を採用すると、スピーカユニットの復帰動作に使用されるバネ部材の配置が容易になる。
【0017】
さらに放音ガード及び/またはスピーカ収納ケースには、周方向に等しい間隔をあけて3つ以上の被ガイド用突出部を設けるのが好ましい。そしてガイドケースには、これら3つ以上の被ガイド用突出部がスライド可能に嵌合される3つ以上のスライド溝を形成する。このように構成すると、スピーカユニットを上下2箇所でガイドすることになるため、
放音カバーに対して外力がどの方向から加わったとしても、スライドユニットが傾いて、上下にスライドができなくなるといった事態が発生することを確実に防止できる。
【0018】
さらにバネ部材として、コイル形状を有しているものを用い、操作部をスピーカ収納ケースの底壁部の中央部に一体に設ける。そしてガイドケースの底壁部の中央部に貫通孔を形成し、またガイドケースの貫通孔を囲むようにバネ部材の一端が嵌合される嵌合凹部を形成する。そして操作部が嵌合凹部に嵌合されたバネ部材の内部及び貫通孔を貫通する姿勢でバネ部材がガイドケースとスピーカユニットとの間に配置されている。
【0019】
このように構成すると、スピーカユニットが押された時に復帰させるバネを安定させて組み込むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、玩具本体の胴部の前方及び/または後方並びに側方に、玩具の機能に必要な複数種類の機能部品の少なくとも一部が配置されているために、玩具本体の内部及び外部に利用スペースがあまり無い音響発生装置を備えた玩具において、玩具本体の上下方向の空きスペースを利用して、玩具本体の上方部内にスピーカを配置し、スピーカの下側に回路基板を配置し、玩具本体の胴部よりも下方に位置する下方部内に電源を配置しているので、音響発生に必要な部品を限られたスペース内に整然と組み込むことができる利点が得られる。また、回路基板の下方に電源を配置し、回路基板の上方にスピーカを配置してそれぞれ第1及び第2の電気的接続手段により接続するようにしているので、電源と回路基板との電気的接続及び回路基板とスピーカとの電気的接続がシンプルなものとなり、しかもに電気的接続のために用いる配線を短いものとすることができ、玩具の組立及び内部の電気的な配線を容易なものとすることができる利点が得られる。
【0021】
また、放音ガードとスピーカとを組み合わせて構成したスピーカユニットを、スイッチ部品を操作するためのスイッチ操作部品として利用すると、専用のスイッチ操作部品が必要なくなる上、専用のスイッチ操作部品を配置するためのスペースも不要になる利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の音響発生装置を備えた玩具を実施するための最良の形態の一例を、図1乃至図4(A)(B)(C)(D)を参照して詳細に説明する。図1(A)(B)(C)は本例の音響発生装置を備えた玩具の正面図、平面図及び右側面図、図2は本例の音響発生装置を備えた玩具をその玩具本体の分割面で分割した状態を示す正面図、図3(A)(B)は本例の音響発生装置を備えた玩具の上方部分の拡大断面図及びその放音ガードを押し下げた状態を示す拡大断面図、図4(A)(B)(C)(D)は本例で用いているスピーカユニットとそのガイド手段を示す平面図、背面図、正面図及び平面図の右側面図である。
【0023】
本例の音響発生装置を備えた玩具は、合成樹脂等よりなり所要の形状に成形された外装パーツを組み立ててなる玩具本体1を備えている。この玩具本体1は、図1(B)に示す割り面47で全体的に前後に分割され、特に胴部7が2つの分割体1a,1bに分けられるようになっている。このような玩具本体1の両側部には玩具の機能に必要な機能部品である腕部3がそれぞれ取り付けられており、またその下部の両側には脚部5がそれぞれ設けられている。そして玩具本体1の胴部7の前方及び後方には、玩具の機能に必要な複数種類の機能部品9及び11が配置されている。ちなみに機能部品9は、ドアー部材であり、このドアー部材をあけて内部に、認識パーツを備えた球状体を挿入するように構成されている。この球状体は内部に配置したモータによって駆動するように構成されている。また機能部品11は、認識パーツを備えたチップ体を挿入するように構成されている。本例では、前方に挿入される球状体と後方に挿入されるチップ体の組み合わせによって、スピーカから放音される音響の内容が変わるように構成されている。
【0024】
図2に示すように、この玩具の玩具本体1の内部には、スピーカ13と、少なくともスピーカ13のスピーカ駆動回路を含む制御回路を備えた回路基板15と、制御回路に電力を供給する電源として用いられる複数本の電池17とが収納されている。なお玩具本体1内のその他の構造については、図示を省略してある。前述のように、この実施の形態では、胴部の内部には、認識パーツを収納する空間やモータ等が配置されており、実質的にその他の部品を収納できるスペースはない。この玩具本体1は、その底面19が設置面上に置かれた状態で使用されるようになっている。
【0025】
図2に示すように、電源17と回路基板15の制御回路とは、絶縁材料によい導体が被覆されたリード線よりなる第1の電気的接続手段23により接続されている。また回路基板15の制御回路とスピーカ13とは、リード線よりなる第2の電気的接続手段25により接続されている。なお図2は、配線の関係を示す目的で作成されたものであり、実際の配線と完全に一致するものではない。第2の電気的接続手段25として用いられるリード線の長さは、後述するようにスピーカユニットが上下方向に移動するため、この移動によって電極とリード線の端部との接続部に接続不良が発生しないように、ある程度余裕をもたせた長さに設定されている。
【0026】
本例の玩具では、玩具本体1の底面19とは反対側に位置し且つ胴部7の上方に位置する玩具本体1の上方部8(ロボットの頭部に相当する部分)の外面には、スピーカ13の放音ガード21が露出状態で配置されている。放音ガード21の中央部には、多数の放音孔21aがガード本体を上下方向すなわち厚み方向に貫通するように分散して設けられている。放音ガード21の大部分は、玩具本体1の上方部8の頂部に設けられた開口部22に上下方向に昇降可能に嵌められている。
【0027】
図3に示すように、玩具本体1の上方部8内には、放音ガード21の下方にスピーカ13が配置され、その下方に回路基板15が配置され、回路基板15のスピーカ13側に位置する面上には、スイッチ部品27が実装されている。この例で用いるスイッチ部品27は、一般的にタクトスイッチと呼ばれる押しボタンスイッチである。そのため押しボタンスイッチのキートップが、このスイッチ部品27の被操作部27aを構成する。本例では、スイッチ部品27の被操作部27a(押しボタンスイッチのキートップ)が押されて、スイッチ部品27がオン状態になると、回路基板15に実装したスピーカ駆動回路が動作状態になって、スピーカ13から所定の音楽、音声等が出力される。前述のように、この玩具では、それぞれ認識パーツを備えた球状体とチップ体の組み合わせにより出力される音声の内容が異なる。
【0028】
図3に示すように、この例では、放音ガード21とスピーカ13とが組み合わされて一つのスピーカユニット29が構成されている。実際上のスピーカユニット29は、開口部が放音ガード21によって塞がれ且つスピーカ13が収納されるスピーカ収納室35を備えたスピーカ収納ケース37を備えている。スピーカ収納ケース37は、放音ガード21と組み合わされており、両者は嵌合構造等を用いて結合されて一体化されている。スピーカ収納ケース37の底壁部37aには、スイッチ部品27の被操作部27a(押しボタンスイッチのキートップ)を押すために用いられる操作部33が、下向きに突出するように一体に設けられている。
【0029】
スピーカユニット29は、放音ガード21に加えられる下方に向かう外力によって、その位置が変位するようにガイド機構31を介して玩具本体1の上方部8内に上下方向に移動可能に設けられている。言い換えると、スピーカユニット29及びガイド機構31が、スピーカユニット29の位置の変位によってスイッチ部品27の被操作部27aを、スピーカユニット29に設けた操作部33によって操作できるように、それぞれ構成されている。
【0030】
ガイド機構31は、放音ガード21に押し下げる方向の外力が加えられていないときには、スピーカユニット29を図3(A)に示す第1の位置に位置決め保持する。またガイド機構31は、放音ガード21に外力が加えられているときには、スピーカユニット29が第1の位置から外力が加えられる方向(下方)にある図3(B)に示す第2の位置に向かって移動するようにスピーカユニット29をガイドする。さらにガイド機構31は、放音ガード21に加えられている外力が除かれたときに、スピーカユニット29が第2の位置から第1の位置に復帰する際にスピーカユニット29をガイドする。
【0031】
ガイド機構31は、スピーカ収納ケース37が、内部で傾くことなくスライドし得るように嵌合される収納室38を備えたガイドケース39を備えている。特に、この例では、スピーカ収納室35の下部を囲むスピーカ収納ケース37の円筒状の外周壁部37bが嵌合される円筒状のガイド部31cが、ガイドケース39の内部に配置された隔壁39aに形成されている。スピーカユニット29が昇降動作をする際には、スピーカ収納ケース37の円筒状の外周壁部37bが、ガイド部31c内をスライドする。外周壁部37bとガイド部31cとの間のギャップは、ガイド機能を発揮し得るように定められている。
【0032】
またこの例では、図4に示すように、放音ガード21の外周部に、周方向に等しい間隔をあけて3つの被ガイド用突出部31aが設けられている。なお被ガイド用突出部31aは、放音ガード21ではなく、スピーカ収納ケース37に設けるようにしてもよいし、放音ガード21及びスピーカ収納ケース37の両方に設けるようにしてもよい。そして図4に示すように、ガイドケース39には、3つの被ガイド用突出部31aがスライド可能に嵌合される3つスライド溝31bが形成されている。これら被ガイド用突出部31aとスライド溝31bとの嵌合によりスピーカユニット29の昇降時の上方部分のガイドが行われる。本例では、ガイド機構31を上記のように構成することにより、スピーカユニット29が上下2箇所でガイドされることになる。そのため放音ガード21に、垂直方向からではなく、斜め方向から外力が加わった場合でも、スピーカユニット29がガイドケース39内で傾いて、スピーカユニット29が動かなくなるような事態が発生することがない。なお本例のように上下2箇所でスピーカユニット29をガイドせずに、1箇所でスピーカユニット29をガイドしてもよいのは勿論である。また上記例では、被ガイド用突出部31aとスライド溝31bをそれぞれ3つずつ設けているが、これらが3つ以上あってもよい。なお被ガイド用突出部31aとスライド溝31bとは、それぞれ周方向に等間隔をあけて設けるのが好ましい。
【0033】
ガイドケース39の底壁部39bには、スピーカユニット29に設けられた操作部33がスライド可能に貫通する貫通孔43が形成されている。またガイドケース39とスピーカ収納ケース37との間には、コイル形状のバネ部材41が配置されている。バネ部材41は、スピーカユニット29が第1の位置から第2の位置に移動する際に蓄勢され、放音ガード21に加わる外力が除かれると放勢される。ガイドケース39の底壁部39bの上面には、ガイドケース39の底壁部39bの中央部に形成した貫通孔43を囲むようにバネ部材41の一端が嵌合される嵌合凹部45を形成するための筒状壁部39cが一体に設けられている。前述の操作部33は、嵌合凹部45に嵌合されたバネ部材41の内部及び貫通孔43を貫通している。
【0034】
このような音響発生装置を備えた玩具は、玩具本体1が図1(B)に示す割り面47で全体的に前後に分割されるようになっているので、玩具本体1を割り面47で前後に分割した状態でいずれかの分割体1a,1bの開口部からスピーカユニット29、回路基板15及び電源17をいずれかの分割体1a,1bの開口部から差し込んで組み立てることができる。スピーカユニット29、回路基板15及び電源17を組み込む側の分割体1aまたは1bには、図示しないが第1の電気的接続手段23と第2の電気的接続手段25とを差し込む溝が設けられている。
【0035】
かかる構造の音響発生装置を備えた玩具は、図3(A)に示すように、玩具本体1の上方部の頂部に露出させて設けられたスピーカユニット29の放音ガード21を操作者の指で押し下げると、被ガイド用突出部31aとスライド溝31bとによるガイド作用と、スピーカ収納ケース37の外側面とガイドケース39のガイド部31cとによるガイド作用とによりスピーカユニット29が正しい姿勢で、図3(B)に示すように、下降する。この際に、バネ部材41が圧縮されて蓄勢される。このときスピーカユニット29の下降で、スピーカ収納ケース37の下部に設けられた操作部33が、回路基板15上のスイッチ部品27の被操作部27aを押圧する。これにより回路基板15上の制御回路の音声合成回路部の作用でスピーカ13から放音がなされ、放音ガード21の多数の放音孔21aを経て外部に放出される。
【0036】
放音ガード21を押し下げている操作者の指を退けると、蓄勢されたバネ部材41の力により放音ガード21が図3(A)の状態に復帰する。
【0037】
この玩具のように、スピーカユニット29をスイッチ部品27を操作するためのスイッチ操作部品として用いているので、スイッチ部品27を操作する専用の部品を設ける必要がなく、音響発生装置の構造を簡略化することができる。
【0038】
上記例では、放音ガード21に被ガイド用突出部31aを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、被ガイド用突出部31aはスピーカ収納ケース37に設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(A)(B)(C)は、本発明の音響発生装置を備えた玩具の一例の正面図、平面図及び右側面図である。
【図2】本例の音響発生装置を備えた玩具をその玩具本体の分割面で分割した状態を示す正面図である。
【図3】(A)(B)は、本例の音響発生装置を備えた玩具の上方部分の拡大断面図及びその放音ガードを押し下げた状態を示す拡大断面図である。
【図4】(A)(B)(C)(D)は、本例で用いているスピーカユニットとそのガイド手段を示す平面図、背面図、正面図及び平面図の右側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 玩具本体
1a,1b 分割体
3 腕部
5 脚部
7 胴部
8 上方部
9,11 機能部品
13 スピーカ
15 回路基板
17 電源
19 底面
21 放音ガード
21a 放音孔
22 開口部
23 第1の電気的接続手段
25 第2の電気的接続手段
27 スイッチ部品
27a 被操作部
29 スピーカユニット
31 ガイド機構
31a 被ガイド用突出部
31b スライド溝
31c ガイド部
33 操作部
35 スピーカ収納室
37 スピーカ収納ケース
39 ガイドケース
41 バネ部材
43 貫通孔
45 嵌合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具本体の胴部の前方及び/または後方並びに側方に、玩具の機能に必要な複数種類の機能部品の少なくとも一部が配置され、
前記玩具本体の内部にスピーカと、少なくとも前記スピーカのスピーカ駆動回路を含む制御回路を備えた回路基板と、前記制御回路に電力を供給する電源とが収納されて構成され、前記玩具本体の底面が設置面上に置かれた状態で使用される音響玩具であって、
前記玩具本体の前記底面とは反対側に位置し且つ前記胴部の上方に位置する前記玩具本体の上方部の外面に前記スピーカの放音ガードが露出状態で配置され、
前記上方部内には、前記放音ガードの下方に前記スピーカが配置され、前記スピーカの下方には前記回路基板が配置され、
前記玩具本体の前記胴部よりも下方に位置する下方部内には前記電源が配置され、
前記電源と前記制御回路とが第1の電気的接続手段により接続され、前記制御回路と前記スピーカとが第2の電気的接続手段により接続されていることを特徴とする音響発生機能を有する玩具。
【請求項2】
前記回路基板の前記スピーカ側に位置する面上には、被操作部を備え、前記スピーカから音が出されるときに前記被操作部が操作されるスイッチ部品が実装されており、
前記放音ガードと前記スピーカとが組み合わされて一つのスピーカユニットが構成されており、
前記スピーカユニットが外力によって位置が変位するようにガイド機構を介して前記上方部に設けられており、
前記スピーカユニットの位置の変位によって前記スイッチ部品の前記被操作部が前記スピーカユニットに設けられた操作部によって操作されるように、前記スピーカユニット及び前記ガイド機構が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の音響発生機能を備えた玩具。
【請求項3】
前記ガイド機構は、前記放音ガードに外力が加えられないときには、前記スピーカユニットが第1の位置にあり、前記放音ガードに外力が加えられているときには、前記スピーカユニットが前記第1の位置から前記外力が加えられる方向にある第2の位置に向かって移動するようにガイドし、前記放音ガードに加えられている前記外力が除かれると前記スピーカユニットが前記第2の位置から前記第1の位置に復帰するのをガイドするように構成されている請求項2に記載の音響発生機能を備えた玩具。
【請求項4】
前記スピーカユニットは、開口部が前記放音ガードによって塞がれ且つ前記スピーカが収納されるスピーカ収納室を備えたスピーカ収納ケースを備えており、
前記スピーカ収納ケースの底壁部に前記操作部が設けられており、
前記ガイド機構は前記スピーカ収納ケースが、内部で傾くことなくスライドし得るように嵌合される収納室を備えたガイドケースと、前記ガイドケースと前記スピーカ収納ケースとの間に配置されて、前記スピーカユニットが前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際に蓄勢され、前記外力が除かれると放勢されるバネ部材が配置され、
前記ガイドケースの底壁部に前記スピーカユニットに設けられた前記操作部がスライド可能に貫通する貫通孔が形成されている請求項3に記載の音響発生機能を備えた玩具。
【請求項5】
前記放音ガード及び/または前記スピーカ収納ケースには、周方向に等しい間隔をあけて3つ以上の被ガイド用突出部が設けられ、前記ガイドケースには前記3つ以上の被ガイド用突出部がスライド可能に嵌合される3つ以上のスライド溝が形成されている請求項4に記載の音響発生機能を備えた玩具。
【請求項6】
前記バネ部材はコイル形状を有しており、
前記操作部は前記スピーカ収納ケースの前記底壁部の中央部に一体に設けられ、
前記貫通孔が前記ガイドケースの前記底壁部の中央部に形成され、
前記ガイドケースの前記貫通孔を囲むように前記バネ部材の一端が嵌合される嵌合凹部が形成され、
前記操作部が前記嵌合凹部に嵌合された前記バネ部材の内部及び前記貫通孔を貫通する姿勢で前記バネ部材が前記ガイドケースと前記スピーカユニットとの間に配置されている請求項4に記載の音響発生装置を備えた玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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