頚椎装具
【課題】簡単な構造のカム作用機構と作動変換機構を設けることで、頚椎装具における顎支持部材の高さ調節を、簡単な回転操作でもって無段階調整できるようにすること。
【解決手段】支持本体と、一対の顎支持部材とからなる頚椎装具であって、操作部材(5)の回動操作によってカム作用機構(6)を介して従動部材(7)を押し引き駆動し、該従動部材(7)の押し引き動作により、作動方向変換機構(8)を用いて前記顎支持部材(2),(3)を回動変位させ、顎支持部材(2),(3)の高さ調節を行う。
【解決手段】支持本体と、一対の顎支持部材とからなる頚椎装具であって、操作部材(5)の回動操作によってカム作用機構(6)を介して従動部材(7)を押し引き駆動し、該従動部材(7)の押し引き動作により、作動方向変換機構(8)を用いて前記顎支持部材(2),(3)を回動変位させ、顎支持部材(2),(3)の高さ調節を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頚椎装具に関し、詳しくは、顎の支持の高さ調節を可能にした頚椎装具に関する。
【背景技術】
【0002】
頚椎装具は、任意の脊椎配列に矯正するために開発されてきたもので、個々の患者の体型スペック(顎の位置等)に合わせた固有のサイズの装具或いは微調整可能な構成のものが必要とされている。
従って、個々の患者に合わせた装具を準備するとなると、非常なコスト高となり、最近においては、顎の支持位置を調節できるような機能を備えた頚椎装具の開発が主流となっている。
【0003】
こうした顎の高さ調節が可能な頚椎装具の従来技術としては、例えば、次の文献を挙げることができる。
【特許文献1】特開平7−250854
【特許文献2】特開2000−14686
【特許文献3】特表2009−502326
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、ターンバックル型調整支持杆を備えて顎受部を傾動させ、高さを調節できるように構成されている。また、特許文献2についても、下顎受体の高さ調節を可能にしたものである。更に、特許文献3については、単一の動作で左右の顎支持部材の高さを調節できるようにするもので、その為に、ラックピニオン式調整機構を備え、ピニオンを回動し、ラックでもって顎支持部材を移動させて顎の支持高さを調整出来るように構成されている。
【0005】
しかし、こうした従来技術、例えば、特許文献1にあっては、ターンバックル型調整手段を用いるが故に、縦軸周りに棒状のバックルを回転操作しなければならず、操作が行い難いというだけでなく、1回転させてもネジの1ピッチ分しか長さ変位できず、頚椎高さ調節のために必要な数センチを変位させるには、多数回転の操作を要するのであり、非常に使い勝手が悪い。
【0006】
また、特許文献3のように、ラックとピ二オンを用いる場合、一つの回転操作具で操作できる点は好ましいが、長尺物(直線又は湾曲もの)にラックを刻設しなければならず、製作上もコストがかかると共に基本的にギアの噛み合いであるので、固定可能な位置としては1ピッチ毎の変位となり、1ピッチ以下の中間位置では定置させられず、無段階変位の操作を行い難く、無段階変位を得るようにギアピッチを小さくすれば、工作が難しくなり、コストアップにつながる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑み、簡単な構造のカム作用機構と作動変換機構を設けることで、頚椎装具における顎支持部材の高さ調節を、簡単な回転操作でもって無段階調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる頚椎装具は、上記目的を達成するために、正面視略Y字形の支持本体(1)と、該支持本体(1)のY字の左右端部近傍に、その一端部が夫々枢着された一対の顎支持部材(2),(3)とからなる頚椎装具であって、
操作部材(5)の回動操作によってカム作用機構(6)を介して従動部材(7)を押し引き駆動し、該従動部材(7)の押し引き動作により、作動方向変換機構(8)を用いて前記顎支持部材(2),(3)を回動変位させることによって該顎支持部材(2),(3)の高さ調節を行うように構成する、という手段を講じたものである。
【0009】
本発明に言う頚椎装具とは、人体の頚部に装備し、顎を適正高さに支持して脊椎を正しい姿勢(配列状態)に矯正し、維持させるためのものであって、原因となる頚椎のトラブルの種類自体は問題としない。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる頚椎装具によれば、簡単な構造のカム作用機構と作動変換機構を用いることで、頚椎装具における顎支持部材の高さ調節を、簡単な回転操作でもって無段階調整でき、安価に製造出来ながら優れた高さ調整機能を発揮できる効果を奏する。
本発明にかかるその他の効果は、以下の実施例の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、前記一対の顎支持部材(2),(3)に対応して前記カム作用機構(6)と前記操作部材(5)が、前記支持本体(1)の左右端部近傍に夫々設けられ、前記操作部材(5)は回転体(5A)を備え、前記カム作用機構(6)は、前記回転体(5A)に形成されたカム溝(6B)と、該カム溝(6B)に係合するカム突起体(6C)から成り、該カム突起体(6C)が前記従動部材(7)に一体的に設けられ、前記カム突起体(6C)が前記カム溝(6B)に沿って移動されることで前記従動部材(7)を略直線移動させるように構成されているのが好ましい。
【0012】
このように構成することによって、一対の左右の顎支持部材(2),(3)を、個々の操作部材(5)を個別に高さ調節することで、顔形(左右の顎形等)に応じた微妙な高さでもって調整することもできて、頚椎姿勢の矯正をより一層正確に行い易い利点がある。
【0013】
また、前記作動変換機構(8)が、前記回転体(5A)の軸支ピン(15)を備えた保持カバー体(16)と、前記従動部材(7)に形成され、前記回転体(5A)の軸支ピン(15)に係合する長孔(14)と、その一端部(9a)が前記従動部材(7)に設けられた係止ピン(9)と、その他端部(9b)が貫通係合する前記支持本体(1)に設けられた係止ピン用長孔(10)と、その他端部(9b)が貫通係合する前記顎支持部材(2),(3)に設けられたガイド長孔(30)と、前記保持カバー体(16)の後端部に、上下の方向に配置され設けられた一対の係止ピン(11),(13)と、該係止ピン(11),(13)が貫通し係合するように前記支持本体(1)の後端部に上下の方向に配置され設けられた上側に位置する支持孔(31)と、下側に位置する支持長孔(32)と、該係止ピン(11),(13)が貫通し係合するように前記顎支持部材(2),(3)に形成された上側に位置する変位用長孔(33)と、下側に位置する支持用孔(34)とから構成されていることが好ましい。
【0014】
このように、操作部材(5)の操作によって前記顎支持部材(2),(3)を稼動させるに、従動部材(7)と、長孔、ピンという簡単な構造の組み合わせでもって行い得るので、格別の駆動手段等(電動)を用いることなく安価に実施可能であり、その分、作動におけるトラブルも少なくて済む。
そして、二つの係止ピン(11),(13)が、支持長孔(32)及び 変位用長孔(33)によって支持され、回動変位されることになるので、前記顎支持部材(2),(3)は、それらの二軸でもって変則的に回動させることで、一軸による枢支回動とは異なる並行変位を含む姿勢変化を得ることができて、顎の高さ調節として微妙な調整が可能である。
【0015】
また、前記一対の顎支持部材(2),(3)に対し、二つの前記カム作用機構(6),(6)と一つの前記操作部材(5)が、前記支持本体(1)の中央部近傍に設けられ、前記操作部材(5)は一つの回転体(5A)を備え、前記各カム作用機構(6)は、前記支持本体(1)と前記回転体(5A)とに形成されたカム溝(6B),(6B)と、該カム溝(6B),(6B)に夫々係合する一対のカム突起体(6C),(6C)から成り、該カム突起体(6C),(6C)の一端部が、前記従動部材(7),(7)に夫々枢着され、その他端部が前記回転体(5A)に夫々枢着され、前記カム突起体(6C)が前記カム溝(6B)に沿って移動されることで前記従動部材(7)を略直線移動させるように構成されていることが好ましい。
【0016】
このように構成したことで、一つの操作部材(5)を回転操作すれば、左右の顎支持部材(2),(3)の高さを同時に調節することができ、高さ調節の操作が非常に簡単に行い得る。
そして、構造としても二つのカム溝(6B)とカム突起体(6C)による二つの従動部材(7)の駆動という簡単な構成で実施できるので、コスト低減も図れる。
【0017】
更に、前記作動変換機構(8)は、一対の揺動アーム(17)を有し、該揺動アーム(17)は、その一端部(17a)が枢支ピン(18)を備えていて前記従動部材(7)に枢支、連結され、且つ、前記支持本体(1)に形成されたアーム用ガイド孔(19)に係合され、その他端部(17b)が、係止ピン(20)を備えていて該係止ピン(20)が前記顎支持部材(2,3)に形成されたアーム用孔(21)に摺動自在に係止され、前記揺動アーム(17)の揺動、変位によって前記顎支持部材(2,3)が回動、変位されるように構成されている。
【0018】
このように、アーム、ピン、係合用のガイド孔等の簡単な構造、部品の組み合わせによって、一つの操作部材(5)の回転操作を行うことだけで、前記顎支持部材(2,3)の高さ調節を行い得るのである。
【実施例】
【0019】
本発明にかかる頚椎装具の好適実施例について、図面を参照して以下詳述する。
実施例1
図1は使用状態を示す頚椎装具の全体の斜視図であり、図2は、その正面図、図3は、その側面図である。図1乃至図3に示すように、支持本体1が正面視略Y字形として、合成樹脂で成型されている。他の構成部材についても、基本的にはこうした樹脂成型により構成されている。この実施例では、主要構成が左右対称に同じ構成で設けられているため、その分解図として、一側方の主要構成を、図4が外側から、図5が内側から見えるように描かれている。また、図示便宜上、ピン位置、部材位置の前後関係を変えているところがある。
【0020】
この支持本体1は、複数部分のパーツで成型されたものを接合して略Y字状に構成されているが、一体成型でY字状としてもよい。この支持本体1のY字の左右端部近傍、即ち、装着時に頚部の両側部に位置する部位に、その一端部が夫々枢着された一対の顎支持部材2,3が設けられている。そして、こられの顎支持部材2,3を繋ぐように、顎乗せ部材40がネジ40A,40B(図5参照)によってネジ止めされている。これらの顎支持部材2,3は、合成樹脂の板状体で形成されているが、顎支持を良好にするために、仮想線で示すように、パッド2A, 3Aが装着されている。こうしたパッド2A,3Aは、ここではウレタンフォ−ムで構成されているが、織布、不織布、ゴムなどを用いて構成してもよい。
【0021】
そして、図4から図7に示すように、操作部材5の回動操作によってカム作用機構6を介して従動部材7を押し引き駆動し、該従動部材7の押し引き動作により、作動方向変換機構8を用いて前記顎支持部材2(又は3)を回動変位させることによって該顎支持部材2(又は3)の高さ調節を行うように構成されている。この作用の詳細については後述する。
【0022】
この実施例では、前記一対の顎支持部材2,3に対応して前記カム作用機構6と前記操作部材5が、前記支持本体1の左右端部近傍に夫々設けられている。
前記各操作部材5は、一つの回転体5Aを備え、前記各カム作用機構6は、前記回転体5Aに形成せれたカム溝6Bと、該カム溝6Bに係合するカム突起体6Cから成り、該カム突起体6Cが前記従動部材7に一体的に設けられている。前記回転体5Aは、略円板状で、その両側面(頚部側と反対面)に前記カム溝6Bが刻設(両面刻設は部材の左右兼用にするという成型上の理由)されており、このカム溝6Bは、図4から図7に示すように、その回転軸芯を中心とした正面視で略渦巻き状に形成されている。
【0023】
又、前記作動変換機構8は、前記回転体5Aの軸支ピン15(ネジ部とこれを止めるボス部とからなり、ボス部が軸支えの役割を果たすが、このピンは単なる独立したピンでもよく、その回転体と一体成型でも、別体成型でもよい)を備えた保持カバー体16と、前記従動部材7に形成され、前記回転体5Aの軸支ピン15に係合する長孔14と、その一端部9aが前記従動部材7に設けられた係止ピン9(ここでは、そのピンは一体成型されたもので、ネジ部とこれを止めるボス部とからなり、そのボス部がピンの機能を果たしているが、別体成型でボス部を形成しないものでもよい。以下、本発明の枢支機能を果たすピンは、同じ考えのものである。)と、その他端部9bが貫通係合する前記支持本体1に設けられた係止ピン用長孔10と、その他端部9bが貫通係合する前記顎支持部材2(又は3)に設けられたガイド長孔30と、前記保持カバー体16の後端部に上下の方向に配置され固定された一対の係止ピン11,13(上記補足説明を参照)と、該係止ピン11,13が貫通し係合するように前記支持本体1の後端部に上下の方向に配置され設けられた上側に位置する支持孔31と、下側に位置する支持長孔32と、該係止ピン11,13が貫通し係合するように前記顎支持部材2(又は3)に形成された上側に位置する変位用長孔33と、下側に位置する支持用孔34とから構成されている。
【0024】
これらの係止ピン11,13は、前記顎支持部材2(又は3)を二軸変位(一軸の枢着回動ではない変則変位)で高さ変更させるものであるが、前記顎支持部材2(又は3)が抜け落ちないように係止用頭部を備えたネジで構成されている。更に、前記支持本体1の左右端部側には、前記従動部材7の前記係止ピン9が貫通する係止ピン用長孔10以外に、前記軸支ピン15が貫通するガイド用長孔12が形成されており、結果として、この支持本体1の左右端部側は、前記従動部材7と前記顎支持部材2(又は3)とでネジ止めで挟持された状態となっている。また、前記顎支持部材2(又は3)には、前記ガイド長孔30の横側方に、前記軸支ピン15が貫通するガイド長孔41が形成されている。
【0025】
前記従動部材7は平板状のもので、前記長孔14がその長手方向に向くように開口されている。前記係止ピン9は、その前記従動部材7の長孔14とは反対側端に、内側に向けて(頚部側に向け)突出するように設けられている。この係止ピン9は、前記ガイド長孔30と係止ピン用長孔10とに対する摺動をスムースにするために、そのボス部は、円柱状体9Aに一体形成され、表面が平滑にされている。
【0026】
また、前記カム溝6Bを有する回転体5Aは、ここでは、円周に波形の摘み部5Bを備え、中心部に前記軸支ピン15が挿通するための貫通孔5Cを有する構造のものであるが、操作部材5として、左右に位置する回転体5Aに同時に係合する操作部材、例えば、後頭部側に伸びる平面視Y字状のアームの両端に、前記摘み部5Bを把持する把持部を備え、アームの操作で一度に両回転体5Aを操作する構成としてもよい。
【0027】
前記保持カバー体16は、前記軸支ピン15と係止ピン11,13とを固定しているだけでなく、同時に、前記回転体5A、前記従動部材7等を被覆するカバーとしての機能も有する。また、この保持カバー16には、前記係止ピン9の一端部9aの端部が係合するガイド長孔16Aが備えられている。
【0028】
作用の説明
この頚椎装具を頚部に装着し、その顎支持部材2,3の高さ調節を行うときの作用について述べる。
便宜上、一側方の顎支持部材2について言及し、且つ、その下限位置から上限位置への調節として説明する。図6は、その顎支持部材2が、下限位置にある状態を示す。この状態から前記顎支持部材2を上昇させて高さを調節すると、図7の上限位置に移行する。
【0029】
先ず、操作部材5である回転体5Aを矢印の方向(右回転)に回転させると、ここに設けられたカム溝6Bが回転することとなり、これに係合しているカム突起体6Cが追従することになり、このカム突起体6Cが設けられた従動部材7は、その一方端側に設けた長孔14が軸支ピン15にガイドされ、他方端に設けられた係止ピン9が支持本体1に形成された係止ピン用長孔10に規制されながら水平方向(図示左方向)揺動変位する。この際、前記係止ピン9の他端部9bが前記顎支持部材2に設けた前記ガイド長孔30にも係合していることで、前記従動部材7の揺動変位が、この顎支持部材2を回動変位させることになる。この際、前記従動部材7の軸支ピン15(即ち、回転体5A)は、前記支持本体1の係止ピン用長孔10を相対移動することになる。
【0030】
そして、この際、前記顎支持部材2が、その後端部側で前記係止ピン11,13により係止されていることで、即ち、その上側の係止ピン11が、前記支持本体1の後端部の上側に位置する支持孔31と、前記顎支持部材2の上側に形成された変位用長孔33とに貫通、係合されており、下側の係止ピン13が、前記支持本体1の下側に位置する支持長孔32に貫通、係合し、且つ、前記顎支持部材2の下側の支持用孔34に係合していることにより、この顎支持部材2は、前記係止ピン11,13の二軸によって、回動変位と水平変位がされて、顎に対する高さが調節されることになる。
【0031】
上記回転体5Aを逆の方向に回転させると、同様に、従動部材7がカム作用によって揺動変位し、前記顎支持部材2が下動変位して、顎に対する高さが低く調節されるのである。この作用は、他方の顎支持部材3についても同様であり、従って、その説明を省略する。
【0032】
実施例2
次に、本発明の実施例2について、図8乃至図14を参照して以下説明する。
ここでは、実施例1と同じ機能を持つ部材は、基本的には同じ部材番号を付して説明している。尚、図8及び図9の完成状態図では支持本体1が内向き湾曲状態として描かれているが、図10乃至図13に示す支持本体1は、図解説明上、外向き(逆向きの)湾曲状態に描かれている。また、図示便宜上、ピン位置、部材位置の前後関係を変えているところがある。
先ず、この実施例2の頚椎装具が、正面視略Y字形の支持本体1と、該支持本体1のY字の左右端部近傍に、その一端部が、枢支軸38,38で回動自在に夫々枢着された一対の顎支持部材2,3とからなる頚椎装具である点は実施例1と同じであり、更に、操作部材5の回動操作によってカム作用機構6を介して従動部材7を押し引き駆動し、該従動部材7の押し引き動作により、作動方向変換機構8を用いて前記顎支持部材2,3を回動変位させることによって該顎支持部材2,3の高さ調節を行うように構成した点についても同じである。
更に、これらの顎支持部材2,3は、合成樹脂の板状体で形成されているが、顎支持を良好にするために、実施例1と同様に、仮想線で示すように、パッド2A,3Aが装着されている。
【0033】
この実施例では、前記一対の顎支持部材2,3に対し、二つの前記カム作用機構6,6と一つの前記操作部材5が、前記支持本体1の中央部近傍に設けられ、前記操作部材5は一つの回転体5Aと、これを覆う回転カバー体5D(前記支持本体1に係合突起5fでもって嵌合方式で固定されている)、回転係合部材5E、係合解除ボルト5F及び係合解除部材5Gを備えている。
この操作部材5のカバー体5Dの内側面には、一方のカム溝6B(一部開口の略円形溝で、その開口端部分から直線に伸びる溝部分がある)が形成されており、その他の具体構造については、後に図14に基づいて詳述する。
【0034】
前記各カム作用機構6は、前記支持本体1に形成された他方のカム溝6B(一部開口の略円形溝で、その開口端部分から直線に伸びる溝部分がある)と、前記カバー体5Dの内側面のカム溝6Bと、これらに夫々係合するくの字形に形成された一対のカム突起体6C,6Cとから成り、該カム突起体6C,6Cの一端部が、前記従動部材7,7の一端側に夫々枢着され、その他端部が前記回転体5Aの両面の支軸6D,6Dに夫々枢着され、前記カム突起体6Cが前記カム溝6Bに沿って移動されることで、カム作用と、後述する前記従動部材7の他端側で規制されることになる動きによって、該従動部材7を略直線移動させるように構成されている。
【0035】
前記回転体5Aは、円板状体で、前記支持本体1に回転自在に保持されており、その中心部には、操作部材5の摘み部材となる前記カバー体5Dが嵌合されるボス部5Hが前方側に向けて突出形成されており、且つ、その表裏面に位相角(ここでは、約120度)を持って前記支軸6D,6Dが反対向きに突設されていて、これらに前記カム突起体6C,6Cの一端部が枢着されており、これらのカム突起体6C,6Cの他端部には、前記カム溝6Bに係合する突起35,36が突設されている。ここでは、前記従動部材7,7に対する前記カム突起体6C,6Cの枢着軸芯と、前記突起35,36とが同芯に構成されている。また、前記カム突起体6C,6Cは、全体として円弧状(くの字状)を呈するように構成されている。尚、前記カム突起体6C、6Cの枢着軸芯と前記突起35,36とは同芯でなくともよい。
【0036】
そして、前記作動変換機構8(一方のものについて説明)は、この実施例では、一対の揺動アーム17,17を有し、該揺動アーム17は、その一端部17aが枢支ピン18(ボス部とネジとから構成されており、その意味で両者に同じ番号を引用しているが、同様に、第1実施例の上記補足説明を参照)を備えていて前記従動部材7に枢支、連結され、且つ、前記支持本体1に形成されたアーム用ガイド孔19に係合され、その他端部17bが、係止ピン20(ボス部とネジとから構成されており、その意味で両者に同じ番号を引用しているが、同様に、上記補足説明を参照)を備えていて、該係止ピン20が前記顎支持部材3(又は2)に形成されたアーム用孔21(略水平向き)に摺動自在に係止され、前記揺動アーム17の揺動、変位によって前記顎支持部材2が回動、変位されるように構成されている。尚、42は、前記支持本体1に設けられたガイドピンであり、前記顎支持部材3(又は2)に形成された縦向きガイド孔43に係合されており、この顎支持部材3(又は2)の回動変位を単にガイドする役目を果たす。又、前記揺動アーム17は、ここでは、長手の平板状体で構成されている。
【0037】
更に、前記作動変換機構8として、前記顎支持部材3(又は2) に設けられた円弧状の前記ガイド孔43が設けられ、ここには前記支持本体1に設けられたガイドピン42が係合している。
【0038】
次に、図14に示す前記操作部材5について詳述すると、既述のように、これは一つの回転体5Aと、これを覆うカバー体5D(前記支持本体1に前記係合突起5fで嵌合固定される)、回転係合部材5E、係合解除ボルト5F及び係合解除部材5Gを備え、そのカバー体5Dの内側面には、一方のカム溝6Bが形成されているが、更に、前記回転係合部材5Eは、リング状に構成され、内側面には、複数の係合突部5aが円周方向に所定の間隔を隔てて突出され、同様に前記カバー体5Dの外側面の円周方向に突出されたカバー側係合突部5bに噛み合い可能に構成されている。
【0039】
そして、前記係合解除部材5Gは、前記係合解除ボルト5Fに外嵌されており、全体として前記カバー体5D、回転係合部材5Eに挿通されており、その係合解除部材5Gには、押圧斜面5dが外側に向けて形成され、前記回転係合部材5Eの内側から突出されている可撓性のある押し出し舌片5eに接当するように構成されており、この押し上げ舌片5eが前記係合解除部材5Gと前記係合解除ボルト5Fとを常時前側(図示で上向き)に弾性的に押し出しており、その結果、前記複数の係合突部5aと前記カバー体5Dのカバー側係合突部5bとの噛み合いが維持され、結果として支持本体1に固定されるように構成されているのである。この噛み合いは、前記係合解除ボルト5Fを後方側(図示で下方向)に押圧しつつ、前記回転係合部材5Eを前方側(図示で上向き)に引くことで解除され、これにより前記カバー体5Dと回転体5Aの回動が可能となって、高さ調節が行い得るのである。
【0040】
作用の説明
実施例2についても、この頚椎装具を頚部に装着し、その顎支持部材2,3の高さ調節を行うときの作用について、図15及び図16を参照して述べる。
同様に、便宜上、一側方の顎支持部材3について言及し、且つ、その下限位置から上限位置への調節として説明する。図15は、その顎支持部材3が、下限位置にある状態を示す。この状態から前記顎支持部材3を上昇させて高さを調節すると、図16に示す上限位置に移行する。
【0041】
先ず、操作部材5である回転体5Aを矢印の方向に回転させると(ここでは、回転体5Aのロック及びロック解除の作用説明は上記構造説明を引用して省略する)、ここに設けられたカム溝6Bに係合しているカム突起体6Cの突起35が、追従移動することになり、このカム突起体6Cが枢着された従動部材7が揺動されることになるが、これの一端側に設けられた枢支ピン18が、支持本体1に形成されたアーム用ガイド孔19にガイドされ、その揺動方向が規制される。
【0042】
その結果、従動部材7の他端側の係止ピン20が、前記顎支持部材3のアーム用孔21に沿ってスライドし、この顎支持部材3を、前記支持本体1に対する枢支軸38の周りに回動、変位させることになり、顎の支持高さ調節を行い得るのである。
【0043】
上記回転体5Aを逆の方向に回転させると、同様に、従動部材7がカム作用によって揺動変位し、前記顎支持部材3が下動変位して、顎に対する高さが低く調節されるのである。この作用は、他方の顎支持部材2についても同様であり、従って、その説明を省略する。
【産業上の利用分野】
【0044】
本発明にかかる頚椎装具は、頚椎姿勢の矯正、保持の装具として操作面、コスト面でも優れたもので、その適用範囲は広いものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の全体斜視図。
【図2】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の正面図。
【図3】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の側面図。
【図4】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の前面側分解斜視図。
【図5】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の背面側分解斜視図。
【図6】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の一作用状態を示す要部の拡大側面図。
【図7】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の一作用状態を示す要部の拡大側面図。
【図8】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の前方からの全体斜視図。
【図9】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の後方からの全体斜視図。
【図10】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の前面カバーを外した前方からの全体斜視図。
【図11】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の背面カバーを外した後方からの全体斜視図。
【図12】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の前面側分解斜視図。
【図13】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の背面側分解斜視図。
【図14】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の要部の横断面図。
【図15】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の一作用状態を示す要部の一部切り欠き正面図。
【図16】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の一作用状態を示す要部の一部切り欠き正面面図。
【符号の説明】
【0046】
1:支持本体
2:顎支持部材(一方)
3:顎支持部材(他方)
5:操作部材
6:カム作用機構
8:作動方向変換機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、頚椎装具に関し、詳しくは、顎の支持の高さ調節を可能にした頚椎装具に関する。
【背景技術】
【0002】
頚椎装具は、任意の脊椎配列に矯正するために開発されてきたもので、個々の患者の体型スペック(顎の位置等)に合わせた固有のサイズの装具或いは微調整可能な構成のものが必要とされている。
従って、個々の患者に合わせた装具を準備するとなると、非常なコスト高となり、最近においては、顎の支持位置を調節できるような機能を備えた頚椎装具の開発が主流となっている。
【0003】
こうした顎の高さ調節が可能な頚椎装具の従来技術としては、例えば、次の文献を挙げることができる。
【特許文献1】特開平7−250854
【特許文献2】特開2000−14686
【特許文献3】特表2009−502326
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、ターンバックル型調整支持杆を備えて顎受部を傾動させ、高さを調節できるように構成されている。また、特許文献2についても、下顎受体の高さ調節を可能にしたものである。更に、特許文献3については、単一の動作で左右の顎支持部材の高さを調節できるようにするもので、その為に、ラックピニオン式調整機構を備え、ピニオンを回動し、ラックでもって顎支持部材を移動させて顎の支持高さを調整出来るように構成されている。
【0005】
しかし、こうした従来技術、例えば、特許文献1にあっては、ターンバックル型調整手段を用いるが故に、縦軸周りに棒状のバックルを回転操作しなければならず、操作が行い難いというだけでなく、1回転させてもネジの1ピッチ分しか長さ変位できず、頚椎高さ調節のために必要な数センチを変位させるには、多数回転の操作を要するのであり、非常に使い勝手が悪い。
【0006】
また、特許文献3のように、ラックとピ二オンを用いる場合、一つの回転操作具で操作できる点は好ましいが、長尺物(直線又は湾曲もの)にラックを刻設しなければならず、製作上もコストがかかると共に基本的にギアの噛み合いであるので、固定可能な位置としては1ピッチ毎の変位となり、1ピッチ以下の中間位置では定置させられず、無段階変位の操作を行い難く、無段階変位を得るようにギアピッチを小さくすれば、工作が難しくなり、コストアップにつながる。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑み、簡単な構造のカム作用機構と作動変換機構を設けることで、頚椎装具における顎支持部材の高さ調節を、簡単な回転操作でもって無段階調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる頚椎装具は、上記目的を達成するために、正面視略Y字形の支持本体(1)と、該支持本体(1)のY字の左右端部近傍に、その一端部が夫々枢着された一対の顎支持部材(2),(3)とからなる頚椎装具であって、
操作部材(5)の回動操作によってカム作用機構(6)を介して従動部材(7)を押し引き駆動し、該従動部材(7)の押し引き動作により、作動方向変換機構(8)を用いて前記顎支持部材(2),(3)を回動変位させることによって該顎支持部材(2),(3)の高さ調節を行うように構成する、という手段を講じたものである。
【0009】
本発明に言う頚椎装具とは、人体の頚部に装備し、顎を適正高さに支持して脊椎を正しい姿勢(配列状態)に矯正し、維持させるためのものであって、原因となる頚椎のトラブルの種類自体は問題としない。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる頚椎装具によれば、簡単な構造のカム作用機構と作動変換機構を用いることで、頚椎装具における顎支持部材の高さ調節を、簡単な回転操作でもって無段階調整でき、安価に製造出来ながら優れた高さ調整機能を発揮できる効果を奏する。
本発明にかかるその他の効果は、以下の実施例の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、前記一対の顎支持部材(2),(3)に対応して前記カム作用機構(6)と前記操作部材(5)が、前記支持本体(1)の左右端部近傍に夫々設けられ、前記操作部材(5)は回転体(5A)を備え、前記カム作用機構(6)は、前記回転体(5A)に形成されたカム溝(6B)と、該カム溝(6B)に係合するカム突起体(6C)から成り、該カム突起体(6C)が前記従動部材(7)に一体的に設けられ、前記カム突起体(6C)が前記カム溝(6B)に沿って移動されることで前記従動部材(7)を略直線移動させるように構成されているのが好ましい。
【0012】
このように構成することによって、一対の左右の顎支持部材(2),(3)を、個々の操作部材(5)を個別に高さ調節することで、顔形(左右の顎形等)に応じた微妙な高さでもって調整することもできて、頚椎姿勢の矯正をより一層正確に行い易い利点がある。
【0013】
また、前記作動変換機構(8)が、前記回転体(5A)の軸支ピン(15)を備えた保持カバー体(16)と、前記従動部材(7)に形成され、前記回転体(5A)の軸支ピン(15)に係合する長孔(14)と、その一端部(9a)が前記従動部材(7)に設けられた係止ピン(9)と、その他端部(9b)が貫通係合する前記支持本体(1)に設けられた係止ピン用長孔(10)と、その他端部(9b)が貫通係合する前記顎支持部材(2),(3)に設けられたガイド長孔(30)と、前記保持カバー体(16)の後端部に、上下の方向に配置され設けられた一対の係止ピン(11),(13)と、該係止ピン(11),(13)が貫通し係合するように前記支持本体(1)の後端部に上下の方向に配置され設けられた上側に位置する支持孔(31)と、下側に位置する支持長孔(32)と、該係止ピン(11),(13)が貫通し係合するように前記顎支持部材(2),(3)に形成された上側に位置する変位用長孔(33)と、下側に位置する支持用孔(34)とから構成されていることが好ましい。
【0014】
このように、操作部材(5)の操作によって前記顎支持部材(2),(3)を稼動させるに、従動部材(7)と、長孔、ピンという簡単な構造の組み合わせでもって行い得るので、格別の駆動手段等(電動)を用いることなく安価に実施可能であり、その分、作動におけるトラブルも少なくて済む。
そして、二つの係止ピン(11),(13)が、支持長孔(32)及び 変位用長孔(33)によって支持され、回動変位されることになるので、前記顎支持部材(2),(3)は、それらの二軸でもって変則的に回動させることで、一軸による枢支回動とは異なる並行変位を含む姿勢変化を得ることができて、顎の高さ調節として微妙な調整が可能である。
【0015】
また、前記一対の顎支持部材(2),(3)に対し、二つの前記カム作用機構(6),(6)と一つの前記操作部材(5)が、前記支持本体(1)の中央部近傍に設けられ、前記操作部材(5)は一つの回転体(5A)を備え、前記各カム作用機構(6)は、前記支持本体(1)と前記回転体(5A)とに形成されたカム溝(6B),(6B)と、該カム溝(6B),(6B)に夫々係合する一対のカム突起体(6C),(6C)から成り、該カム突起体(6C),(6C)の一端部が、前記従動部材(7),(7)に夫々枢着され、その他端部が前記回転体(5A)に夫々枢着され、前記カム突起体(6C)が前記カム溝(6B)に沿って移動されることで前記従動部材(7)を略直線移動させるように構成されていることが好ましい。
【0016】
このように構成したことで、一つの操作部材(5)を回転操作すれば、左右の顎支持部材(2),(3)の高さを同時に調節することができ、高さ調節の操作が非常に簡単に行い得る。
そして、構造としても二つのカム溝(6B)とカム突起体(6C)による二つの従動部材(7)の駆動という簡単な構成で実施できるので、コスト低減も図れる。
【0017】
更に、前記作動変換機構(8)は、一対の揺動アーム(17)を有し、該揺動アーム(17)は、その一端部(17a)が枢支ピン(18)を備えていて前記従動部材(7)に枢支、連結され、且つ、前記支持本体(1)に形成されたアーム用ガイド孔(19)に係合され、その他端部(17b)が、係止ピン(20)を備えていて該係止ピン(20)が前記顎支持部材(2,3)に形成されたアーム用孔(21)に摺動自在に係止され、前記揺動アーム(17)の揺動、変位によって前記顎支持部材(2,3)が回動、変位されるように構成されている。
【0018】
このように、アーム、ピン、係合用のガイド孔等の簡単な構造、部品の組み合わせによって、一つの操作部材(5)の回転操作を行うことだけで、前記顎支持部材(2,3)の高さ調節を行い得るのである。
【実施例】
【0019】
本発明にかかる頚椎装具の好適実施例について、図面を参照して以下詳述する。
実施例1
図1は使用状態を示す頚椎装具の全体の斜視図であり、図2は、その正面図、図3は、その側面図である。図1乃至図3に示すように、支持本体1が正面視略Y字形として、合成樹脂で成型されている。他の構成部材についても、基本的にはこうした樹脂成型により構成されている。この実施例では、主要構成が左右対称に同じ構成で設けられているため、その分解図として、一側方の主要構成を、図4が外側から、図5が内側から見えるように描かれている。また、図示便宜上、ピン位置、部材位置の前後関係を変えているところがある。
【0020】
この支持本体1は、複数部分のパーツで成型されたものを接合して略Y字状に構成されているが、一体成型でY字状としてもよい。この支持本体1のY字の左右端部近傍、即ち、装着時に頚部の両側部に位置する部位に、その一端部が夫々枢着された一対の顎支持部材2,3が設けられている。そして、こられの顎支持部材2,3を繋ぐように、顎乗せ部材40がネジ40A,40B(図5参照)によってネジ止めされている。これらの顎支持部材2,3は、合成樹脂の板状体で形成されているが、顎支持を良好にするために、仮想線で示すように、パッド2A, 3Aが装着されている。こうしたパッド2A,3Aは、ここではウレタンフォ−ムで構成されているが、織布、不織布、ゴムなどを用いて構成してもよい。
【0021】
そして、図4から図7に示すように、操作部材5の回動操作によってカム作用機構6を介して従動部材7を押し引き駆動し、該従動部材7の押し引き動作により、作動方向変換機構8を用いて前記顎支持部材2(又は3)を回動変位させることによって該顎支持部材2(又は3)の高さ調節を行うように構成されている。この作用の詳細については後述する。
【0022】
この実施例では、前記一対の顎支持部材2,3に対応して前記カム作用機構6と前記操作部材5が、前記支持本体1の左右端部近傍に夫々設けられている。
前記各操作部材5は、一つの回転体5Aを備え、前記各カム作用機構6は、前記回転体5Aに形成せれたカム溝6Bと、該カム溝6Bに係合するカム突起体6Cから成り、該カム突起体6Cが前記従動部材7に一体的に設けられている。前記回転体5Aは、略円板状で、その両側面(頚部側と反対面)に前記カム溝6Bが刻設(両面刻設は部材の左右兼用にするという成型上の理由)されており、このカム溝6Bは、図4から図7に示すように、その回転軸芯を中心とした正面視で略渦巻き状に形成されている。
【0023】
又、前記作動変換機構8は、前記回転体5Aの軸支ピン15(ネジ部とこれを止めるボス部とからなり、ボス部が軸支えの役割を果たすが、このピンは単なる独立したピンでもよく、その回転体と一体成型でも、別体成型でもよい)を備えた保持カバー体16と、前記従動部材7に形成され、前記回転体5Aの軸支ピン15に係合する長孔14と、その一端部9aが前記従動部材7に設けられた係止ピン9(ここでは、そのピンは一体成型されたもので、ネジ部とこれを止めるボス部とからなり、そのボス部がピンの機能を果たしているが、別体成型でボス部を形成しないものでもよい。以下、本発明の枢支機能を果たすピンは、同じ考えのものである。)と、その他端部9bが貫通係合する前記支持本体1に設けられた係止ピン用長孔10と、その他端部9bが貫通係合する前記顎支持部材2(又は3)に設けられたガイド長孔30と、前記保持カバー体16の後端部に上下の方向に配置され固定された一対の係止ピン11,13(上記補足説明を参照)と、該係止ピン11,13が貫通し係合するように前記支持本体1の後端部に上下の方向に配置され設けられた上側に位置する支持孔31と、下側に位置する支持長孔32と、該係止ピン11,13が貫通し係合するように前記顎支持部材2(又は3)に形成された上側に位置する変位用長孔33と、下側に位置する支持用孔34とから構成されている。
【0024】
これらの係止ピン11,13は、前記顎支持部材2(又は3)を二軸変位(一軸の枢着回動ではない変則変位)で高さ変更させるものであるが、前記顎支持部材2(又は3)が抜け落ちないように係止用頭部を備えたネジで構成されている。更に、前記支持本体1の左右端部側には、前記従動部材7の前記係止ピン9が貫通する係止ピン用長孔10以外に、前記軸支ピン15が貫通するガイド用長孔12が形成されており、結果として、この支持本体1の左右端部側は、前記従動部材7と前記顎支持部材2(又は3)とでネジ止めで挟持された状態となっている。また、前記顎支持部材2(又は3)には、前記ガイド長孔30の横側方に、前記軸支ピン15が貫通するガイド長孔41が形成されている。
【0025】
前記従動部材7は平板状のもので、前記長孔14がその長手方向に向くように開口されている。前記係止ピン9は、その前記従動部材7の長孔14とは反対側端に、内側に向けて(頚部側に向け)突出するように設けられている。この係止ピン9は、前記ガイド長孔30と係止ピン用長孔10とに対する摺動をスムースにするために、そのボス部は、円柱状体9Aに一体形成され、表面が平滑にされている。
【0026】
また、前記カム溝6Bを有する回転体5Aは、ここでは、円周に波形の摘み部5Bを備え、中心部に前記軸支ピン15が挿通するための貫通孔5Cを有する構造のものであるが、操作部材5として、左右に位置する回転体5Aに同時に係合する操作部材、例えば、後頭部側に伸びる平面視Y字状のアームの両端に、前記摘み部5Bを把持する把持部を備え、アームの操作で一度に両回転体5Aを操作する構成としてもよい。
【0027】
前記保持カバー体16は、前記軸支ピン15と係止ピン11,13とを固定しているだけでなく、同時に、前記回転体5A、前記従動部材7等を被覆するカバーとしての機能も有する。また、この保持カバー16には、前記係止ピン9の一端部9aの端部が係合するガイド長孔16Aが備えられている。
【0028】
作用の説明
この頚椎装具を頚部に装着し、その顎支持部材2,3の高さ調節を行うときの作用について述べる。
便宜上、一側方の顎支持部材2について言及し、且つ、その下限位置から上限位置への調節として説明する。図6は、その顎支持部材2が、下限位置にある状態を示す。この状態から前記顎支持部材2を上昇させて高さを調節すると、図7の上限位置に移行する。
【0029】
先ず、操作部材5である回転体5Aを矢印の方向(右回転)に回転させると、ここに設けられたカム溝6Bが回転することとなり、これに係合しているカム突起体6Cが追従することになり、このカム突起体6Cが設けられた従動部材7は、その一方端側に設けた長孔14が軸支ピン15にガイドされ、他方端に設けられた係止ピン9が支持本体1に形成された係止ピン用長孔10に規制されながら水平方向(図示左方向)揺動変位する。この際、前記係止ピン9の他端部9bが前記顎支持部材2に設けた前記ガイド長孔30にも係合していることで、前記従動部材7の揺動変位が、この顎支持部材2を回動変位させることになる。この際、前記従動部材7の軸支ピン15(即ち、回転体5A)は、前記支持本体1の係止ピン用長孔10を相対移動することになる。
【0030】
そして、この際、前記顎支持部材2が、その後端部側で前記係止ピン11,13により係止されていることで、即ち、その上側の係止ピン11が、前記支持本体1の後端部の上側に位置する支持孔31と、前記顎支持部材2の上側に形成された変位用長孔33とに貫通、係合されており、下側の係止ピン13が、前記支持本体1の下側に位置する支持長孔32に貫通、係合し、且つ、前記顎支持部材2の下側の支持用孔34に係合していることにより、この顎支持部材2は、前記係止ピン11,13の二軸によって、回動変位と水平変位がされて、顎に対する高さが調節されることになる。
【0031】
上記回転体5Aを逆の方向に回転させると、同様に、従動部材7がカム作用によって揺動変位し、前記顎支持部材2が下動変位して、顎に対する高さが低く調節されるのである。この作用は、他方の顎支持部材3についても同様であり、従って、その説明を省略する。
【0032】
実施例2
次に、本発明の実施例2について、図8乃至図14を参照して以下説明する。
ここでは、実施例1と同じ機能を持つ部材は、基本的には同じ部材番号を付して説明している。尚、図8及び図9の完成状態図では支持本体1が内向き湾曲状態として描かれているが、図10乃至図13に示す支持本体1は、図解説明上、外向き(逆向きの)湾曲状態に描かれている。また、図示便宜上、ピン位置、部材位置の前後関係を変えているところがある。
先ず、この実施例2の頚椎装具が、正面視略Y字形の支持本体1と、該支持本体1のY字の左右端部近傍に、その一端部が、枢支軸38,38で回動自在に夫々枢着された一対の顎支持部材2,3とからなる頚椎装具である点は実施例1と同じであり、更に、操作部材5の回動操作によってカム作用機構6を介して従動部材7を押し引き駆動し、該従動部材7の押し引き動作により、作動方向変換機構8を用いて前記顎支持部材2,3を回動変位させることによって該顎支持部材2,3の高さ調節を行うように構成した点についても同じである。
更に、これらの顎支持部材2,3は、合成樹脂の板状体で形成されているが、顎支持を良好にするために、実施例1と同様に、仮想線で示すように、パッド2A,3Aが装着されている。
【0033】
この実施例では、前記一対の顎支持部材2,3に対し、二つの前記カム作用機構6,6と一つの前記操作部材5が、前記支持本体1の中央部近傍に設けられ、前記操作部材5は一つの回転体5Aと、これを覆う回転カバー体5D(前記支持本体1に係合突起5fでもって嵌合方式で固定されている)、回転係合部材5E、係合解除ボルト5F及び係合解除部材5Gを備えている。
この操作部材5のカバー体5Dの内側面には、一方のカム溝6B(一部開口の略円形溝で、その開口端部分から直線に伸びる溝部分がある)が形成されており、その他の具体構造については、後に図14に基づいて詳述する。
【0034】
前記各カム作用機構6は、前記支持本体1に形成された他方のカム溝6B(一部開口の略円形溝で、その開口端部分から直線に伸びる溝部分がある)と、前記カバー体5Dの内側面のカム溝6Bと、これらに夫々係合するくの字形に形成された一対のカム突起体6C,6Cとから成り、該カム突起体6C,6Cの一端部が、前記従動部材7,7の一端側に夫々枢着され、その他端部が前記回転体5Aの両面の支軸6D,6Dに夫々枢着され、前記カム突起体6Cが前記カム溝6Bに沿って移動されることで、カム作用と、後述する前記従動部材7の他端側で規制されることになる動きによって、該従動部材7を略直線移動させるように構成されている。
【0035】
前記回転体5Aは、円板状体で、前記支持本体1に回転自在に保持されており、その中心部には、操作部材5の摘み部材となる前記カバー体5Dが嵌合されるボス部5Hが前方側に向けて突出形成されており、且つ、その表裏面に位相角(ここでは、約120度)を持って前記支軸6D,6Dが反対向きに突設されていて、これらに前記カム突起体6C,6Cの一端部が枢着されており、これらのカム突起体6C,6Cの他端部には、前記カム溝6Bに係合する突起35,36が突設されている。ここでは、前記従動部材7,7に対する前記カム突起体6C,6Cの枢着軸芯と、前記突起35,36とが同芯に構成されている。また、前記カム突起体6C,6Cは、全体として円弧状(くの字状)を呈するように構成されている。尚、前記カム突起体6C、6Cの枢着軸芯と前記突起35,36とは同芯でなくともよい。
【0036】
そして、前記作動変換機構8(一方のものについて説明)は、この実施例では、一対の揺動アーム17,17を有し、該揺動アーム17は、その一端部17aが枢支ピン18(ボス部とネジとから構成されており、その意味で両者に同じ番号を引用しているが、同様に、第1実施例の上記補足説明を参照)を備えていて前記従動部材7に枢支、連結され、且つ、前記支持本体1に形成されたアーム用ガイド孔19に係合され、その他端部17bが、係止ピン20(ボス部とネジとから構成されており、その意味で両者に同じ番号を引用しているが、同様に、上記補足説明を参照)を備えていて、該係止ピン20が前記顎支持部材3(又は2)に形成されたアーム用孔21(略水平向き)に摺動自在に係止され、前記揺動アーム17の揺動、変位によって前記顎支持部材2が回動、変位されるように構成されている。尚、42は、前記支持本体1に設けられたガイドピンであり、前記顎支持部材3(又は2)に形成された縦向きガイド孔43に係合されており、この顎支持部材3(又は2)の回動変位を単にガイドする役目を果たす。又、前記揺動アーム17は、ここでは、長手の平板状体で構成されている。
【0037】
更に、前記作動変換機構8として、前記顎支持部材3(又は2) に設けられた円弧状の前記ガイド孔43が設けられ、ここには前記支持本体1に設けられたガイドピン42が係合している。
【0038】
次に、図14に示す前記操作部材5について詳述すると、既述のように、これは一つの回転体5Aと、これを覆うカバー体5D(前記支持本体1に前記係合突起5fで嵌合固定される)、回転係合部材5E、係合解除ボルト5F及び係合解除部材5Gを備え、そのカバー体5Dの内側面には、一方のカム溝6Bが形成されているが、更に、前記回転係合部材5Eは、リング状に構成され、内側面には、複数の係合突部5aが円周方向に所定の間隔を隔てて突出され、同様に前記カバー体5Dの外側面の円周方向に突出されたカバー側係合突部5bに噛み合い可能に構成されている。
【0039】
そして、前記係合解除部材5Gは、前記係合解除ボルト5Fに外嵌されており、全体として前記カバー体5D、回転係合部材5Eに挿通されており、その係合解除部材5Gには、押圧斜面5dが外側に向けて形成され、前記回転係合部材5Eの内側から突出されている可撓性のある押し出し舌片5eに接当するように構成されており、この押し上げ舌片5eが前記係合解除部材5Gと前記係合解除ボルト5Fとを常時前側(図示で上向き)に弾性的に押し出しており、その結果、前記複数の係合突部5aと前記カバー体5Dのカバー側係合突部5bとの噛み合いが維持され、結果として支持本体1に固定されるように構成されているのである。この噛み合いは、前記係合解除ボルト5Fを後方側(図示で下方向)に押圧しつつ、前記回転係合部材5Eを前方側(図示で上向き)に引くことで解除され、これにより前記カバー体5Dと回転体5Aの回動が可能となって、高さ調節が行い得るのである。
【0040】
作用の説明
実施例2についても、この頚椎装具を頚部に装着し、その顎支持部材2,3の高さ調節を行うときの作用について、図15及び図16を参照して述べる。
同様に、便宜上、一側方の顎支持部材3について言及し、且つ、その下限位置から上限位置への調節として説明する。図15は、その顎支持部材3が、下限位置にある状態を示す。この状態から前記顎支持部材3を上昇させて高さを調節すると、図16に示す上限位置に移行する。
【0041】
先ず、操作部材5である回転体5Aを矢印の方向に回転させると(ここでは、回転体5Aのロック及びロック解除の作用説明は上記構造説明を引用して省略する)、ここに設けられたカム溝6Bに係合しているカム突起体6Cの突起35が、追従移動することになり、このカム突起体6Cが枢着された従動部材7が揺動されることになるが、これの一端側に設けられた枢支ピン18が、支持本体1に形成されたアーム用ガイド孔19にガイドされ、その揺動方向が規制される。
【0042】
その結果、従動部材7の他端側の係止ピン20が、前記顎支持部材3のアーム用孔21に沿ってスライドし、この顎支持部材3を、前記支持本体1に対する枢支軸38の周りに回動、変位させることになり、顎の支持高さ調節を行い得るのである。
【0043】
上記回転体5Aを逆の方向に回転させると、同様に、従動部材7がカム作用によって揺動変位し、前記顎支持部材3が下動変位して、顎に対する高さが低く調節されるのである。この作用は、他方の顎支持部材2についても同様であり、従って、その説明を省略する。
【産業上の利用分野】
【0044】
本発明にかかる頚椎装具は、頚椎姿勢の矯正、保持の装具として操作面、コスト面でも優れたもので、その適用範囲は広いものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の全体斜視図。
【図2】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の正面図。
【図3】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の側面図。
【図4】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の前面側分解斜視図。
【図5】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の背面側分解斜視図。
【図6】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の一作用状態を示す要部の拡大側面図。
【図7】本発明にかかる頚椎装具の実施例1の一作用状態を示す要部の拡大側面図。
【図8】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の前方からの全体斜視図。
【図9】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の後方からの全体斜視図。
【図10】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の前面カバーを外した前方からの全体斜視図。
【図11】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の背面カバーを外した後方からの全体斜視図。
【図12】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の前面側分解斜視図。
【図13】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の背面側分解斜視図。
【図14】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の要部の横断面図。
【図15】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の一作用状態を示す要部の一部切り欠き正面図。
【図16】本発明にかかる頚椎装具の実施例2の一作用状態を示す要部の一部切り欠き正面面図。
【符号の説明】
【0046】
1:支持本体
2:顎支持部材(一方)
3:顎支持部材(他方)
5:操作部材
6:カム作用機構
8:作動方向変換機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視略Y字形の支持本体(1)と、該支持本体(1)のY字の左右端部近傍に、その一端部が夫々枢着された一対の顎支持部材(2),(3)とからなる頚椎装具であって、
操作部材(5)の回動操作によってカム作用機構(6)を介して従動部材(7)を押し引き駆動し、該従動部材(7)の押し引き動作により、作動方向変換機構(8)を用いて前記顎支持部材(2),(3)を回動変位させることによって該顎支持部材(2),(3)の高さ調節を行うように構成したことを特徴とする頚椎装具。
【請求項2】
前記一対の顎支持部材(2),(3)に対応して前記カム作用機構(6)と前記操作部材(5)が、前記支持本体(1)の左右端部近傍に夫々設けられ、前記操作部材(5)は回転体(5A)を備え、前記カム作用機構(6)は、前記回転体(5A)に形成されたカム溝(6B)と、該カム溝(6B)に係合するカム突起体(6C)から成り、該カム突起体(6C)が前記従動部材(7)に一体的に設けられ、前記カム突起体(6C)が前記カム溝(6B)に沿って移動されることで前記従動部材(7)を略直線移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の頚椎装具。
【請求項3】
前記作動変換機構(8)が、前記回転体(5A)の軸支ピン(15)を備えた保持カバー体(16)と、前記従動部材(7)に形成され、前記回転体(5A)の軸支ピン(15)に係合する長孔(14)と、その一端部(9a)が前記従動部材(7)に設けられた係止ピン(9)と、その他端部(9b)が貫通係合する前記支持本体(1)に設けられた係止ピン用長孔(10)と、その他端部(9b)が貫通係合する前記顎支持部材(2),(3)に設けられたガイド長孔(30)と、前記保持カバー体(16)の後端部に上下の方向に配置され設けられた一対の係止ピン(11),(13)と、該係止ピン(11),(13)が貫通し係合するように前記支持本体(1)の後端部に、上下の方向に配置され設けられた上側に位置する支持孔(31)と、下側に位置する支持長孔(32)と、該係止ピン(11),(13)が貫通し係合するように前記顎支持部材(2),(3)に形成された上側に位置する変位用長孔(33)と、下側に位置する支持用孔(34)とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の頚椎装具。
【請求項4】
前記一対の顎支持部材(2),(3)に対し、二つの前記カム作用機構(6),(6)と一つの前記操作部材(5)が、前記支持本体(1)の中央部近傍に設けられ、前記操作部材(5)は一つの回転体(5A)を備え、前記各カム作用機構(6)は、前記支持本体(1)と前記回転体(5A)とに形成されたカム溝(6B),(6B)と、該カム溝(6B),(6B)に夫々係合する一対のカム突起体(6C),(6C)から成り、該カム突起体(6C),(6C)の一端部が、前記従動部材(7),(7)に夫々枢着され、その他端部が前記回転体(5A)に夫々枢着され、前記カム突起体(6C)が前記カム溝(6B)に沿って移動されることで前記従動部材(7)を略直線移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の頚椎装具。
【請求項5】
前記作動変換機構(8)は、一対の揺動アーム(17),(17)を有し、該各揺動アーム(17),(17)は、その一端部(17a)が枢支ピン(18)を備えていて前記従動部材(7)に枢支、連結され、且つ、前記支持本体(1)に形成されたアーム用ガイド孔(19)に係合され、その他端部(17b)が、係止ピン(20)を備えていて該係止ピン(20)が前記顎支持部材(2,3)に形成されたアーム用孔(21)に摺動自在に係止され、前記揺動アーム(17)の揺動、変位によって前記顎支持部材(2,3)が回動、変位されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の頚椎装具。
【請求項1】
正面視略Y字形の支持本体(1)と、該支持本体(1)のY字の左右端部近傍に、その一端部が夫々枢着された一対の顎支持部材(2),(3)とからなる頚椎装具であって、
操作部材(5)の回動操作によってカム作用機構(6)を介して従動部材(7)を押し引き駆動し、該従動部材(7)の押し引き動作により、作動方向変換機構(8)を用いて前記顎支持部材(2),(3)を回動変位させることによって該顎支持部材(2),(3)の高さ調節を行うように構成したことを特徴とする頚椎装具。
【請求項2】
前記一対の顎支持部材(2),(3)に対応して前記カム作用機構(6)と前記操作部材(5)が、前記支持本体(1)の左右端部近傍に夫々設けられ、前記操作部材(5)は回転体(5A)を備え、前記カム作用機構(6)は、前記回転体(5A)に形成されたカム溝(6B)と、該カム溝(6B)に係合するカム突起体(6C)から成り、該カム突起体(6C)が前記従動部材(7)に一体的に設けられ、前記カム突起体(6C)が前記カム溝(6B)に沿って移動されることで前記従動部材(7)を略直線移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の頚椎装具。
【請求項3】
前記作動変換機構(8)が、前記回転体(5A)の軸支ピン(15)を備えた保持カバー体(16)と、前記従動部材(7)に形成され、前記回転体(5A)の軸支ピン(15)に係合する長孔(14)と、その一端部(9a)が前記従動部材(7)に設けられた係止ピン(9)と、その他端部(9b)が貫通係合する前記支持本体(1)に設けられた係止ピン用長孔(10)と、その他端部(9b)が貫通係合する前記顎支持部材(2),(3)に設けられたガイド長孔(30)と、前記保持カバー体(16)の後端部に上下の方向に配置され設けられた一対の係止ピン(11),(13)と、該係止ピン(11),(13)が貫通し係合するように前記支持本体(1)の後端部に、上下の方向に配置され設けられた上側に位置する支持孔(31)と、下側に位置する支持長孔(32)と、該係止ピン(11),(13)が貫通し係合するように前記顎支持部材(2),(3)に形成された上側に位置する変位用長孔(33)と、下側に位置する支持用孔(34)とから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の頚椎装具。
【請求項4】
前記一対の顎支持部材(2),(3)に対し、二つの前記カム作用機構(6),(6)と一つの前記操作部材(5)が、前記支持本体(1)の中央部近傍に設けられ、前記操作部材(5)は一つの回転体(5A)を備え、前記各カム作用機構(6)は、前記支持本体(1)と前記回転体(5A)とに形成されたカム溝(6B),(6B)と、該カム溝(6B),(6B)に夫々係合する一対のカム突起体(6C),(6C)から成り、該カム突起体(6C),(6C)の一端部が、前記従動部材(7),(7)に夫々枢着され、その他端部が前記回転体(5A)に夫々枢着され、前記カム突起体(6C)が前記カム溝(6B)に沿って移動されることで前記従動部材(7)を略直線移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の頚椎装具。
【請求項5】
前記作動変換機構(8)は、一対の揺動アーム(17),(17)を有し、該各揺動アーム(17),(17)は、その一端部(17a)が枢支ピン(18)を備えていて前記従動部材(7)に枢支、連結され、且つ、前記支持本体(1)に形成されたアーム用ガイド孔(19)に係合され、その他端部(17b)が、係止ピン(20)を備えていて該係止ピン(20)が前記顎支持部材(2,3)に形成されたアーム用孔(21)に摺動自在に係止され、前記揺動アーム(17)の揺動、変位によって前記顎支持部材(2,3)が回動、変位されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の頚椎装具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−20101(P2012−20101A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175777(P2010−175777)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(509278210)サカモト有限会社 (6)
【出願人】(398055439)株式会社洛北義肢 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(509278210)サカモト有限会社 (6)
【出願人】(398055439)株式会社洛北義肢 (10)
【Fターム(参考)】
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