説明

顔料分散液精製方法、顔料分散液、インクセット、液滴吐出装置及びインクジェット記録用インクタンク。

【課題】従来の精製処理では除去し切れないインク作製用顔料分散液やインクなどの顔料分散液中に含まれる不純物を除去する顔料分散液精製方法を提供すること。
【解決手段】 微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を有する顔料分散液精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料を用いたインクの作製に利用される顔料分散液の精製方法、これを用いた顔料分散液及びインクセット、並びに、前記顔料分散液を用いて調整されたインクを用いた液滴吐出装置及びインクジェット記録用インクタンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録に用いられるインクの色材として用いられる顔料としては、表面処理を行った自己分散顔料が用いられる他、従来の疎水性顔料も用いられている。なお、後者の場合には、インク中での顔料の分散安定性を確保するために、樹脂分散剤等の顔料分散剤が併用される。
このようなインクは、一般的に顔料を予め分散させた分散液(以下、「インク作製用顔料分散液」と称す)に、その他の成分を加えることにより作製される。このようなインクを作製する過程においては、インクの作製に用いられるインク作製用顔料分散液等の各種原料溶液中に含まれるパーティクルやイオン性物質等の不純物を除去するために、フィルタ濾過やイオン交換などによる精製処理が施される(例えば、特許文献1等)。
【特許文献1】特開平11−222573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの精製処理を経て作製されたインクを用いても記録ヘッドからのインクの吐出特性やインク中の顔料の分散安定性が不十分な場合があるため、インク中にはこれらの問題を引き起こす原因となるような精製除去できなかった不純物が存在しているものと考えられる。
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、従来の精製処理では除去し切れないインク作製用顔料分散液やインクなどの顔料分散液中に含まれる不純物を除去する顔料分散液精製方法、これを用いたインクジェット記録用インク及びインクセット、並びに、前記顔料分散液を用いて調整されたインクを用いたインクジェット記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を達成するために、従来の精製処理法では除去できない不純物がどのような不純物であるのかについて鋭意検討した。まず、どの液体にも含まれているように、パーティクルがインク中に含まれていると考えられるが、インクを構成する材料に着目した場合、金属塩等の種々のイオン性物質も用いられる。しかしこれらの不純物は、従来から利用されているフィルタ濾過やイオン交換によって除去できる。
従って、吐出不良の発生や保存安定性の劣化が、除去しきれなかった上記の不純物に起因するならば、フィルタ濾過やイオン交換を繰り返すか、これらの精製処理のグレードを上げれば対応できると考えられる。しかしながら、これらの方法によっても吐出不良の発生や保存安定性の劣化が避けられない場合があったため、本発明者らは、フィルタ濾過やイオン交換では根本的に除去できない不純物が吐出不良の発生や保存安定性の劣化に寄与しているものと考えた。
【0005】
フィルタ濾過やイオン交換によっても除去し難いパーティクルやイオン性物質以外の第3の不純物としては、インクの構成材料に着目した場合、顔料の分散剤として用いられる樹脂等のインク中に含まれる種々の有機材料や、その合成過程等に起因するダイマー等の低分子で無極性な物質が主であると考えられる。
一方、このような低分子物質は、溶媒成分以外のインクを構成する主成分材料(顔料やその分散剤として用いる樹脂等)と比べて分子サイズが非常に小さい。これは、液体中での拡散速度が主成分材料よりも非常に大きいことを意味する。本発明者らは、このようなインクを構成する成分特有の事情に着目し、液体中での物質の拡散現象を利用すれば、第3の不純物のみを選択的且つ効率的に除去できるものと考え、以下の本発明を見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、
<1>
微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を有する顔料分散液精製方法である。
【0007】
<2>
前記顔料が自己分散顔料である<1>に記載の顔料分散液精製方法である。
【0008】
<3>
前記未精製顔料分散液が、顔料分散剤を含む<1>に記載の顔料分散液精製方法である。
【0009】
<4>
前記精製工程が、
第1の流路と、第2の流路と、前記第1の流路の一部の区間と前記第2の流路の一部の区間とが合流し、且つ、前記第1の流路を流れる液体と前記第2の流路を流れる液体とが液−液界面接触した状態で流れることが可能な合流部と、を少なくとも備えたマイクロリアクターを用いて、
前記第1の流路の前記合流部よりも上流側から前記未精製顔料分散液を供給し、前記第2の流路の前記合流部よりも上流側から前記抽出液体を供給することにより行われる<1>に記載の顔料分散液精製方法である。
【0010】
<5>
微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を経て作製された顔料分散液。
【0011】
<6>
黒色を含む2色以上のインクを含み、前記2色以上のインクが、
微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を経て作製された顔料分散液を用いて調整されたインクセットである。
【0012】
<7>
液滴を吐出する液滴吐出手段を少なくとも備え、前記液滴吐出手段からインクの液滴を記録媒体表面に吐出して画像を形成する液滴吐出装置において、
前記インクが、微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を経て作製された顔料分散液を用いて調整された液滴吐出装置である。
【0013】
<8>
微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を経て作製された顔料分散液を用いて調整されたインクを収納し、
記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に対して脱着可能であり、前記インクジェット記録装置に装着した状態で、前記記録ヘッドに前記インクを供給するインクジェット記録用インクタンクである。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように本発明によれば、従来の精製処理では除去し切れないインク作製用顔料分散液やインクなどの顔料分散液中に含まれる不純物を除去する顔料分散液の精製方法、これを用いた顔料分散液及びインクセット、並びに、前記顔料分散液を用いて調整されたインクを用いた液滴吐出装置及びインクジェット記録用インクタンクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(顔料分散液精製方法)
本発明の顔料分散液精製方法は、微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を有することを特徴とする。
従って、本発明の顔料分散液精製方法を利用して作製された顔料分散液を用いて調整されたインクは、従来の精製方法では除去できなかった不純物も除去できるためインクの保存安定性の劣化を防ぐことができると共に、このインクを用いたインクジェット記録に際しては、記録ヘッドのノズル近傍に不純物が堆積し難くなるので吐出不良を抑制することもできる。さらに、サーマル方式の記録ヘッドによりインクジェット記録を行う場合にはコゲーションも抑制することができる。
【0016】
ここで、本発明に用いられる「顔料分散液」とは、顔料が分散した液体全てを意味し、一般的には、インクを調整するために他の成分と混合して用いられるインク作製用顔料分散液や、インクそのものを意味する。すなわち、本発明の顔料分散液精製方法は、インクの調整に際して用いられるインク作製用顔料分散液のみならず、インク作製用顔料分散液を用いて調整されたインクにも適用してもよい。なお、インク作製用顔料分散液を本発明の顔料分散液精製方法により精製した場合、精製後の粘度がより低くなるため、精製後のインク作製用顔料分散液を用いてインクを調整する場合、インクの粘度を調整する場合に、粘度選択の幅が広がるというメリットもある。
また、本発明において、「未精製顔料分散液」(あるいは、「未精製インク作製用顔料分散液」、「未精製インク」)の「未精製」とは、単に上述の本発明で利用される精製処理が行われる前の状態を意味するものである。従って、未精製顔料分散液は、本発明で利用される精製処理を一度経たものであってもよいし、フィルタ濾過やイオン交換処理等の他の精製処理が行われた後のものであってもよいし、何らの精製処理が施されていないものであってもよい。
【0017】
未精製顔料分散液中に含まれる顔料としては、特に限定されないが、顔料自体で分散可能な自己分散顔料であってもよい。また、顔料自体では分散が困難な場合には未精製顔料分散液が、高分子分散剤(樹脂)や、界面活性剤等の顔料分散剤を含むものであることが好ましい。
ここで、顔料として自己分散顔料を用いた場合には、疎水性顔料を表面処理することにより自己分散顔料を作製する過程で発生した未反応物が、フィルタ濾過やイオン交換では除去し難い不純物として未精製顔料分散液中に含まれることになる。また、顔料分散剤を用いたような場合には、高分子分散剤(樹脂)や、界面活性剤等の有機材料や、その合成過程で発生した物質がフィルタ濾過やイオン交換では除去し難い不純物として未精製顔料分散液中に含まれることになる。しかしながら、本発明の顔料分散液精製方法を利用すればこれらの不純物を効果的に除去することができる。
なお、未精製顔料分散液がインク作製用顔料分散液である場合、顔料の含有量としては3〜50重量部の範囲内であることが好ましく、5〜30重量部の範囲内であることが好ましい。
【0018】
なお、本発明の顔料分散液精製方法を利用してインクを調整する場合、出発原料として用いる顔料としては、印刷グレードの値段が安く不純物が多いもの(吸油量が高く、一次粒子径が大きい)を用いてもよい。このような場合でもフィルタ濾過やイオン交換と組み合わせて精製処理することにより、従来よりも不純物の少ないインクを得ることができる。
また、粗顔料を本発明の顔料分散液精製方法により精製した後、精製処理後の顔料の表面処理を行って溶媒中に分散させ自己分散顔料を含むインク調整用顔料分散液を作製したり、精製処理後の顔料と顔料分散剤とを混合・分散処理してインク調整用顔料分散液を作製してもよい。
【0019】
一方、本発明の顔料分散液精製方法は、未精製顔料分散液と抽出液体との液−液界面を介した物質拡散を利用して精製する方法であり、この場合の拡散の主たるドライビングフォースは物質の濃度差によるものである。このため、抽出液体としては、少なくとも精製対象となる不純物の含有量が少ない液体を用いることが特に好ましく、一般的には純度の高い液体が用いられる。この場合、抽出液体として用いる液体の純度としては90%以上であることが好ましく、95%以上であることが好ましく、純度は高ければ高いほどよい。
抽出液体として用いる液体の種類としては特に限定されず、超純水や各種の有機溶媒、、あるいは、2種類以上の溶媒を混合した液体が利用できるが、精製対象となる不純物に対する溶解性の高い液体を用いることが好ましい。また、抽出液体側から未精製顔料分散液側への逆拡散を抑制するために、抽出液体として使用する液体の不純物に対する溶解度は、未精製顔料分散液を構成する溶媒の不純物に対する溶解度よりも高いことが好ましい。
なお、精製対象となる不純物がどのような物質であるかは、各種の分析手段を利用しても厳密に特定することが困難である場合が多いが、顔料分散液の作製に用いた各種の有機材料やその合成過程等に着目すれば推定することは容易である。それゆえ、上述したように精製対象となる不純物の種類に応じて抽出液体として使用する液体を適宜選定することができる。
【0020】
例えば、精製対象となる不純物が水溶性物質である場合には、抽出液体として純水や、水溶性有機溶媒が利用でき、精製対象となる不純物が油溶性物質である場合には抽出液体として油溶性有機溶媒が利用できる。
一方、顔料分散液中に精製対象となる不純物として水溶性物質および油溶性物質の双方が含まれる場合には各々の物質に対して溶解性を有する溶媒を混合した抽出液体を用いることができる。また、このような2種類以上の溶媒を混合した抽出液体を用いる代わりに、2種類以上の抽出液体を用いて抽出液体毎に順次精製処理を実施してもよい。
なお、抽出液体として使用できる溶媒の種類としては、精製対象となる不純物にもよるものの、例えば、純水、トルエン、ベンゼン、テトラフィドロフラン、希塩酸水溶液、希硫酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等を利用することができる。
【0021】
また、本発明において「微小空間」とは、未精製顔料分散液と抽出液体とが接触することにより形成される液−液界面と直交する方向の最大径が10mm以下である壁面で囲まれた空間を意味するものであり、最大径は、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。
最大径が10mmを超える場合には、液−液界面の片方側に位置する未精製顔料分散液中に含まれる不純物が、液−液界面もう片方側に位置する抽出液体中へと拡散する距離が長くなり過ぎるため、不純物が十分に除去できなくなってしまったり、不純物の除去にかなりの時間が必要となってしまい実用性に欠ける。
但し、微小空間を備えた精製装置の作製の容易さや、単位時間当たりの処理量確保等の実用上の観点からは最大径は0.5mm以上であることが好ましい。
【0022】
また、微小空間はバッチ処理に適した閉鎖系であってもよいが、連続処理に適した開放系であることが好ましい。なお、微小空間の形状は特に限定されるものではないが、微小空間が開放系である場合、実用上は筒状の微小な流路(以下、「マイクロチャネル」と称す)であることが特に好ましい。なお、微小空間がマイクロチャネルである場合、上述の液−液界面と直交する方向の最大径とは、マイクロチャネル断面における最大径を意味する。
一方、微小空間の液−液界面と平行な方向の最大径(マイクロチャネルにおける最大流路長さに相当)は特に限定されるものではないが、実用上は10mm〜200mmの範囲内とすることが好ましい。
【0023】
このように本発明は、精製工程において上述したような微小空間を備えた精製装置(いわゆるマイクロリアクター)を利用するものである。このようなマイクロリアクターの構成としては特に限定されず本発明の顔料分散液精製方法が実施可能なものであれば公知のマイクロリアクターが利用可能であるが、以下の構成を有することが好ましい。
すなわち、本発明に用いられるマイクロリアクターは第1の流路と、第2の流路と、第1の流路の一部の区間と第2の流路の一部の区間とが合流し、且つ、第1の流路を流れる液体と第2の流路を流れる液体とが液−液界面接触した状態で流れることが可能な合流部(上述したマイクロチャネルに相当)と、を少なくとも備えたものであることが好ましい。
この場合、精製工程は、第1の流路の合流部よりも上流側から未精製顔料分散液を供給し、第2の流路の合流部よりも上流側から抽出液体を供給することにより行われる。
【0024】
なお、合流部を流れる未精製顔料分散液と抽出液体とが互いに混合せず液−液界面を形成するためには、合流部を流れる未精製顔料分散液および抽出液体の双方が実質的に層流状態で流れていることが必要である。合流部を流れる未精製顔料分散液および抽出液体の双方が実質的に層流状態で流れるようにするためには、液体が層流状態で流れているか乱流状態で流れているかを示す指標であるレイノルズ数を決定する要因である合流部断面のサイズや、合流部を流れる未精製顔料分散液や抽出液体の合流部における断面平均速度や密度、粘性係数の値を、層流状態となるように調整すればよい。
【0025】
このようなマイクロリアクターを用いた本発明の顔料分散液精製方法について図面を用いてより具体的に説明する。
図1は、本発明に用いられるマイクロリアクターの主要部の構成の一例を示す概略模式図であり、図1中、110は第1の流路、111は第1の流路110の液体流入側、112は第1の流路110の液体流出側、120は第2の流路、121は第2の流路120の液体流入側、122は第2の流路120の液体流出側、130は合流部、140は液−液界面を表す。
図1に示すマイクロリアクターは、第1の流路110と、第2の流路120と、これら2つの流路が合流している合流部130とからなり、合流部130の両端で第1の流路110と第2の流路120とが角度θ1、θ2を成すように分岐した構成を有するものである。
【0026】
ここで、合流部130の上流に位置する第1の流路110の液体流入側111は不図示の未精製顔料分散液供給源に接続し、合流部130の上流に位置する第2の流路120の液体流入側121は不図示の抽出液体供給源に接続し、合流部130の下流に位置する第1の流路110の液体流出側112は不図示の精製済み顔料分散液回収部に接続し、合流部130の下流に位置する第2の流路120の液体流出側122は不図示の抽出液体回収部に接続することができる。
なお、第1の流路110の液体流入側111と顔料分散液供給源との間には、顔料分散液中のパーティクルやイオン性物質を除去するために必要に応じてフィルターやイオン交換樹脂などを設けてもよく、第1の流路110の液体流出側112と精製済み顔料分散液回収部との間には、顔料分散液中のイオン性物質を除去するために必要に応じてイオン交換樹脂などを設けてもよい。
また、図中、マイクロリアクターを構成する各部のサイズは、合流部130の横方向長さ(液−液界面140と直交する方向の最大径)が上述した範囲を満たすものであれば特に限定されず、また、合流部130の両端で分岐している第1の流路110と第2の流路120との成す角度θ1、θ2は30〜150度程度とすることができるが、例えば、第1の流路110および第2の流路120の断面形状を縦0.1×横0.1mmの正方形、合流部130の断面形状を縦0.1×横0.2mmの長方形、合流部130の長さを400mm、角度θ1、θ2を90度とすることができる。
【0027】
このような構成からなる図1に示すマイクロリアクターを用いた顔料分散液の精製処理は以下のように行うことができる。
まず、不図示の未精製顔料分散液供給源に接続された第1の流路110の液体流入側111から未精製顔料分散液を供給し、不図示の抽出液体供給源に接続された第2の流路120の液体流入側121から抽出液体として例えば超純水を供給する。この際の顔料分散液および超純水の流量としては、合流部130内を流れる未精製顔料分散液および超純水が層流となって、合流部130内において横方向を2分するように液−液界面140が形成されるように調整することが必要である。一方、単位時間当たりの処理量も考慮すれば、各々の流量は0.1〜50ml/h程度の範囲内とすることができる。
このような条件で精製処理を実施することにより、第1の流路110の液体流出側112から、不純物が除去された精製済みの顔料分散液を得ることができる。一方、第2の流路120の液体流出側122からは、不純物を溶解した超純水が排出される。
なお、精製度を定量的に把握したい場合には、抽出液体供給源および抽出液体回収部の抽出液体の導電率や、UV分光スペクトル等の測定によって得られた物性値や吸光スペクトル等の変化を確認すればよい。
【0028】
また、一つのマイクロリアクターが精製処理できる処理量は限られているため、十分な処理量を確保するためには1つの顔料分散液供給源および1つの抽出液体供給源に対して、複数のマイクロリアクターを並列的に配置して接続することが好ましい。
【0029】
一方、より高い精製度を得るために、マイクロリアクターを直列的に接続してもよい。 図2は、2つのマイクロリアクターを直列に接続した顔料分散液精製装置の構成の一例を示す概略模式図であり、具体的には、図1に示すマイクロリアクターを2つ直列に接続した構成について示したものである。
図2中、110は第1の流路、111は第1の流路110の液体流入側、112は第1の流路110の液体流出側、120Aは(第1の抽出液体を流すための)第2の流路、121Aは第2の流路120Aの液体流入側、122Aは第2の流路120Aの液体流出側、130Aは合流部、140Aは液−液界面、120Bは(第2の抽出液体を流すための)第2の流路、121Bは第2の流路120Bの液体流入側、122Bは第2の流路120Bの液体流出側、130Bは合流部、140Bは液−液界面を表す。
図2に示す顔料分散液精製装置は、第1の流路110と、(第1の抽出液体を流すための)第2の流路120Aと、(第2の抽出液体を流すための)第2の流路120Bと、第1の流路110と第2の流路120A、120Bとが合流している合流部130A、130Bとからなり、2つの合流部130A、130Bは、第1の流路110内を流れる液体の流れ方向に対して合流部130Aが上流側、合流部130Bが下流側となるように配置され、且つ、合流部130Aの両端で第1の流路110と第2の流路120Aとが分岐し、合流部130Bの両端で第1の流路110と第2の流路120Bとが分岐した構成を有するものである。
【0030】
ここで、合流部130Aの上流に位置する第1の流路110の液体流入側111は不図示の未精製顔料分散液供給源に接続され、合流部130Bの下流に位置する第1の流路110の液体流出側112は不図示の精製済み顔料分散液回収部に接続されている。
また、合流部130Aの上流に位置する第2の流路120Aの液体流入側121Aは不図示の第1の抽出液体供給源に接続され、合流部130Aの下流に位置する第2の流路120Aの液体流出側122Aは不図示の第1の抽出液体回収部に接続され、合流部130Bの上流に位置する第2の流路120Bの液体流入側121Bは不図示の第2の抽出液体供給源に接続され、合流部130Bの下流に位置する第2の流路120Bの液体流出側122Bは不図示の第2の抽出液体回収部に接続されている。
【0031】
このような構成からなる図2に示す顔料分散液精製装置を用いた顔料分散液の精製処理は、不図示の未精製顔料分散液供給源に接続された第1の流路110の液体流入側111から未精製顔料分散液を供給し、不図示の第1の抽出液体供給源に接続された第2の流路120Aの液体流入側121Aから第1の抽出液体を供給し、不図示の第2の抽出液体供給源に接続された第2の流路120Bの液体流入側121Bから第2の抽出液体を供給する。この際の各液の流量は、図1に示すマイクロリアクターの場合と同様に、合流部130A、130B内を流れる液体が層流となって、合流部130A、130B内において横方向を2分するように液−液界面140A、140Bが形成されるように調整される。
【0032】
ここで、第1の抽出液体および第2の抽出液体としては、未精製顔料分散液中の精製対象となる不純物の種類や量に応じて適宜選択することができる。
例えば、精製対象となる不純物の種類が主に水溶性物質で、その含有量が多い場合には、第1の抽出液体および第2の抽出液体としては純水を利用して2回に分けて処理することができる。この場合、使用する純水のグレード(例えば、純度)を、第1の抽出液体として利用する純水と第2の抽出液体として利用する純水とで異なるものとしてもよい。すなわち、不純物濃度の高い状態の未精製顔料分散液の精製に利用する第1の抽出液体として用いる純水のグレードを低く、不純物濃度の低い状態の未精製顔料分散液の精製に利用する第2の抽出液体として用いる純水のグレードを高くすれば、抽出液体として使用する純水のコストを抑えつつ、効率的により精製度を高めることができる。
【0033】
また、精製対象となる不純物の種類が水溶性物質および油溶性物質の2種類を含むような場合には、第1の抽出液体および第2の抽出液体として、一方を水溶性物質の除去に適した純水等を、他方を油溶性物質の除去に適したトルエン等の油溶性溶媒を用いることができる。このように、複数の種類の不純物を除去したい場合には、2つ以上のマイクロリアクターを直列的に接続した顔料分散液精製装置を用いて、不純物の種類に応じて各々の合流部に流す抽出液体の種類を変えれば、より精製度を高めることができる。
【0034】
(顔料分散液およびインクセット)
次に、本発明の顔料分散液およびインクセットについて説明する。本発明の顔料分散液は本発明の顔料分散液精製方法により精製された精製済みの顔料分散液を含むものであり、この精製済みの顔料分散液の組成がインク調整用顔料分散液である場合には、これに必要な成分を加えてインクとすることができ、組成がインクそのものである場合にはそのままインクジェット記録に用いることができる。
また、本発明の顔料分散液精製方法により精製された顔料分散液を利用して調整されたインクを2色以上組み合わせてインクセットとして用いることもできる。この場合、1色は黒色であることが特に好ましい。また、このインクセットには、画像濃度を高めるために各色のインク中に含まれる顔料の凝集を促進する成分を含む処理液が含まれていてもよい。
以下、インクや、インクセットに用いられる処理液の構成材料等についてより詳細に説明する。なお、インクには、顔料と、水等の溶媒とを少なくとも含むものであれば特に限定されないが、上述したように顔料としては自己分散顔料を利用することができ、また、顔料の分散を補助するために顔料分散剤が利用でき、必要に応じてその他の成分が含まれていてもよい。また、インク調整用顔料分散液とインクとを構成する材料については厳密に区別できるものではないが、インク調整用顔料分散液は、基本的に顔料と水等の溶媒とを少なくとも含み、顔料が自己分散顔料でない場合には、顔料分散剤を更に含むものである。
【0035】
−顔料−
顔料としては、公知の顔料が利用でき、ブラック顔料の具体例としては、Raven7000, Raven5750, Raven5250, Raven5000 ULTRA II, Raven 3500, Raven2000, Raven1500, Raven1250, Raven1200, Raven1190 ULTRA II, Raven1170, Raven1255, Raven1080, Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R, Regal330R, Regal660R, Mogul L, Black Pearls L, Monarch 700, Monarch 800, Monarch 880, Monarch 900, Monarch 1000, Monarch 1100, Monarch 1300, Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1, Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black 18, Color Black FW200, Color Black S150, Color Black S160, Color Black S170, Printex35, Printex U, Printex V, Printex140U, Printex140V, Special Black 6 ,Special Black 5 ,Special Black 4A ,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25, No.33, No.40, No.47, No.52, No.900, No.2300, MCF−88, MA600, MA7, MA8, MA100(以上三菱化学社製)が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0036】
シアンインクの顔料としてはC.I.Pigment Blue−1, −2, −3, −15, −15:1, −15:2, −15:3, −15:4, −16, −22, −60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
マゼンタインクの顔料としては、C.I.Pigment Red −5, −7, −12, −48, −48:1, −57, −112, −122, −123, −146 , −168, −184, −202が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0038】
イエローインクの顔料としては、C.I.Pigment Yellow −1, −2, −3, −12, −13, −14, −16, −17, −73, −74, −75, −83, −93, −95, −97, −98, −114, −128, −129, −138, −151, −154が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0039】
また、自己分散顔料としては、上記の顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab-o-jet-200、Cab-o-jet-300、IJX-55、オリエント化学社製のMicrojet Black CW-1、更には日本触媒社から販売されている顔料等の市販の自己分散顔料を用いることもできる。
自己分散顔料は、水に自己分散可能な顔料であり、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在していなくても安定に分散する顔料である。自己分散顔料は、通常の顔料に対して、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面処理等を施すことにより得ることができる。
【0040】
自己分散顔料の表面に存在する可溶化基は、ノニオン性、カチオン性、及びアニオン性のいずれの基でも良いが、特に、スルホン酸基、カルボン酸基、水酸基、リン酸基が望ましい。更に、可溶化基がスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基の場合、そのまま遊離酸の状態でも用いることは可能であるが、水溶性を高めるため、塩基性化合物との塩の状態で使用することが好ましい。これらの酸性基と塩を形成する塩基性化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類、アンモニア等が使用できる。中でも、アルカリ金属類の塩基性化合物は強電解質であり、酸性基の解離を促進する効果が大きいため、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類を使用することが好ましい。
【0041】
インク中に含まれる顔料の含有量は3〜15重量%の範囲内であることが好ましい。顔料の含有量が3重量%未満の場合には十分な画像濃度を得ることができなくなる場合がある。また15重量%を超えると、顔料の分散が困難になり、インクの保存安定性が低下する場合がある。
【0042】
−顔料分散剤−
顔料の分散に用いる顔料分散剤としては上述した高分子分散剤(樹脂)や、後述する各種の界面活性剤が利用でき、両者を併用してもよい。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体であれば有効に使用することができる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体の例としては、縮合系重合体や付加重合体が挙げられる。縮合系重合体の例としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体の例としては、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合することにより、目的の高分子分散剤を得ることができる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体を用いることもできる。
【0043】
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基等を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、酢酸ビニル(ポリビニルアルコールの原料)、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0044】
一方、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステルが挙げられる。
【0045】
これらのモノマー等を利用して得られる好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、これらの共重合体は、更に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有するモノマーを、適宜、共重合成分として含むこともできる。
【0046】
これらの共重合体は、ランダム、ブロック、及びグラフト共重合体等のいずれの構造のものでもよい。また、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルギン酸、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリアミド類、ポリビニルイミダゾリン、アミノアルキルアクリレートDアクリルアミド共重合体、キトサン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類とその誘導体等も使用することができる。 なお、分散剤に含まれる親水基は、少なくとも1つカルボキシル基を有することが好ましい。
【0047】
また、高分子分散剤の分子量(GPC(ゲルパーミエションクロマトグラフィー)法により測定したスチレン換算の重量平均分子量)は8000〜100000の範囲内であることが好ましい。分子量が8000未満の場合には顔料の分散安定性が低下する場合があり、分子量が100000を超える場合にはインクの粘度が高くなり、吐出性が悪化する場合がある。
分子量の測定には、GPCとして「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。測定条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
また、高分子分散剤を中和する場合に用いる中和剤としては、Na、Li等のアルカリ金属類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の有機アミン類等が利用でき、これらの中和剤を2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0048】
−その他の添加成分−
インクは、上記の成分の他に、溶媒として水を含むが、更に水溶性有機溶媒を添加することができる。水溶性有機溶媒をインクに添加すると、インクや処理液の保湿性及びインク中の顔料の分散性がさらに良好になり、目詰まりを防止したり、記録ヘッドからインクを吐出する際の吐出安定性を維持し、さらに、インクの長期の保存に対しても顔料、処理液に含まれる処理剤の凝集・析出を防ぐことができる。
【0049】
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。
【0050】
グリコールエーテルでは、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等など多価アルコール誘導体が挙げられる。
【0051】
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
含硫黄溶媒としてはチオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を併せて用いることも出来る。エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類も使用することができる。水溶性有機溶媒の含有量としては、1〜60重量%、好ましくは、5〜40重量%で使用される。
【0052】
さらに、インクに界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、その分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等を使用することが出来、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等のいずれを使用しても構わない。
【0053】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が使用でき、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ケリルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等も有効に使用される。
【0054】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
【0055】
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
【0056】
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用できる。
【0057】
インク中に界面活性剤を添加する場合の添加量は、10重量%未満であることが好ましい。添加量が10重量%以上の場合には、画像濃度、及び、インクの保存安定性が悪化する場合がある。
【0058】
その他、インクの吐出性改善等の特性制御を目的として、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション等のポリマーエマルション、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド等を用いることができる。
【0059】
また、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物を使用することが出来る。
その他必要に応じ、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤等も添加することができる。
【0060】
−処理液−
処理液としては、基本的に顔料等の色材成分を含まず、且つ、インク中の顔料を凝集させる成分(凝集剤)と、水等の溶媒とを少なくとも含むものが用いられ、必要に応じてその他の成分が含まれていてもよい。
【0061】
凝集剤としては、無機電解質、有機アミン化合物、又は、有機酸などが使用される。
無機電解質としては、pH調整剤または多価金属塩などが使用される。pH調整剤としては具体的には、2−ピロリドン−5−カルボン酸、4−メチル−4−ペンタノリド−3−カルボン酸、フランカルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2,5−ジメチル−3−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、4−ブタノリド−3−カルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、2−ピロン−6−カルボン酸、4−ピロン−2−カルボン酸、5−ヒドロキシ−4−ピロン−5−カルボン酸、4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、チオフェンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、2,3−ジメチルピロール−4−カルボン酸、2,4,5−トリメチルピロール−3−プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、2,5−ジオキソ−4−メチル−3−ピロリン−3−プロピオン酸、2−ピロリジンカルボン酸、4−ヒドロキシプロリン、1−メチルピロリジン−2−カルボン酸、5−カルボキシ−1−メチルピロリジン−2−酢酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンペンタカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロ−1−メチルニコチン酸、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸、フタル酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、ホウ酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、四ホウ素ナトリウム、酒石酸、乳酸、塩化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、これらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の化合物が挙げられる。
好ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、、クエン酸二水素カリウム、コハク酸、酒石酸、乳酸、フタル酸水素カリウム、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。より好ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくはこれらの化合物誘導体、又は、これらの塩である。
【0062】
一方、無機電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、および、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、および、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
【0063】
有機アミン化合物としては、1級、2級、3級および4級アミンおよびそれらの塩等が挙げられる。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩、ポリアミン等が挙げられ、例えば、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、ジプロピルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体、及び、これら化合物のスルフォニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩、又は、リン酸エステル等が挙げられる。
【0064】
有機酸としては、上記スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0065】
本発明においては、凝集剤は単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また処理液中における凝集剤の添加量は、0.01重量%以上30重量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1重量%以上15重量%以下であり、更に好ましくは、0.25重量%以上10重量%以下である。処理液中における凝集剤の添加量が0.01重量%未満の場合には、記録媒体上でインクと処理液とが接触・混合した時に顔料の凝集が不充分となり、画像濃度、滲み、色間滲みが悪化する場合が存在し、一方、添加量が30重量%を超える場合には、噴射特性が低下し、液体が正常に噴射しないくなる場合がある。
一方、溶媒としてはインクに用いたものと同様のものが利用でき、その他の成分としてもインクに用いるものと同様のものが粘度や表面張力等、所望の物性や特性が得られるように適宜利用できる。
【0066】
−インクおよび処理液の諸物性−
インクの表面張力は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上35mN/m以下である。表面張力が20mN/m未満となると記録ヘッドのノズル面に液体が溢れ出し、正常に印字できない場合がある。一方、60mN/mを超えると浸透性が遅くなり、乾燥時間が遅くなる場合がある。
【0067】
また、インクの粘度は、1.2mPa・s以上8.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上4.5mPa・s未満である。インクの粘度が8.0mPa・sより大きい場合には、吐出性が低下する場合があり、1.2mPa・sより小さい場合には、長期噴射性が悪化する場合がある。
【0068】
また、本発明のインクセットがインクと処理液とからなる組み合わせからなる場合、インクおよび処理液の好ましいpH値は以下の通りである。
インクがアルカリ性であり、処理液が酸性の組合せの場合、インクのpHは7.5以上10.5以下であり、処理液のpHは2.5以上7.0以下であることが好ましい。一方、インクが酸性であり、処理液がアルカリ性の組合せの場合、インクのpHは2.5以上7.0以下であり、処理液のpHは7.5以上10.5以下であることが好ましい。更に好ましくは、アルカリ性の液体のpHは7.5以上10.0以下が好ましく、更に好ましくは8.0以上9.5以下である。一方、酸性の液体としては、好ましいpH範囲は3.0以上7.0以下であり、更に好ましくは3.5以上6.0以下である。
【0069】
酸性の液体のpHが2.5未満の場合には、記録ヘッドのインク流路構成部分を溶解し、記録ヘッドを故障させる場合がある。一方、酸性の液体のpHが7.0を超える場合には、インクと処理液とが記録媒体上で接触・混合した際に顔料の凝集が不充分となり、画像濃度、滲み、色間滲みが悪化する場合がある
アルカリ性の液体のpHが7.5未満の場合、液体の長期噴射性が低下する場合があり、pHが10.5を超える場合には、記録ヘッドのインク流路構成部分を溶解し、記録ヘッドを故障させる場合がある。
【0070】
なお、インクセットに用いることができる処理液の表面張力は、20mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上39mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上35mN/m以下である。表面張力が20mN/m未満となるとノズル面に液体が溢れ出し、正常に印字できない場合がある。一方、45mN/mを超えると浸透性が遅くなり、乾燥時間が遅くなる場合がある。
【0071】
処理液の粘度は、1.2mPa・s以上8.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上4.5mPa・s未満である。第1及び処理液の粘度が8.0mPa・sより大きい場合には、吐出性が低下する場合があり、1.2mPa・sより小さい場合には、長期噴射性が悪化する場合がある。
【0072】
(液滴吐出装置)
次に、本発明の顔料分散液を用いて調整されたインクやインクセットを用いた液滴吐出装置について説明する。
本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出する液滴吐出手段を少なくとも備えたものであり
、液滴吐出手段から、少なくともインクの液滴を記録媒体表面に吐出することにより画像を形成するものである。ここでインクとしては本発明の顔料分散液を用いて調整されたインクが用いられ、2色以上のインクからなるインクセットを用いる場合には、本発明のインクセットを用いることができる。また、処理液も含む本発明のインクセットを用いる場合には液滴吐出手段から、本発明の液滴吐出装置は、インクの液滴と、処理液の液滴とを記録媒体表面で互いに接触するように吐出することにより画像を形成するものである。
なお、液滴吐出手段としては、液滴に圧力を付与して液滴を吐出するいわゆるピエゾ方式の液滴吐出手段や、液滴に熱を付与して液滴を吐出するいわゆるサーマル方式の液滴吐出手段のいずれであってもよい。
【0073】
なお、本発明の液滴吐出装置は、オフィイスや家庭で使用されるようなインクジェット記録装置であることが特に好ましいが、産業用途に利用されるものであってもよい。なお、以下の説明においては、本発明の液滴吐出装置がインクジェット記録装置であり、液滴吐出手段がインクジェット記録装置に設けられる記録ヘッドであることを前提として説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドに、インクおよび処理液を供給することができ、且つ、インクジェット記録装置本体に対して脱着可能なインクジェット記録用インクタンク(以下、「インクタンク」と称す場合がある)を備えていてもよい。この場合、このインクタンクに本発明のインクセットが収納されていてもよい。
【0074】
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の顔料分散液を用いて調整されたインクやインクセットを用いることが可能な通常のインクジェット記録装置が利用でき、この他にも、必要に応じてインクのドライングを制御するためのヒーター等を搭載していたり、中間体転写機構を搭載し、中間体にインク及び処理液を吐出(印字)した後、紙等の記録媒体に転写する機構を備えたものであってもよい。
また、インクタンクは、記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に対して脱着可能であり、インクジェット記録装置に装着した状態で、記録ヘッドにインク(および処理液)を供給できる構成を有するものであれば、従来公知のインクタンクが利用できる。ここで、このインクタンクには、本発明の顔料分散液を用いて調整されたインクやインクセットが収納される。
【0075】
本発明のインクジェット記録装置において、処理液を含むインクセットを用いる場合、記録媒体表面に付与される単位面積当たりのインクの付与量と処理液の付与量との比率(インク付与量:処理液付与量)が、重量比で1.2:1〜20:1の範囲内であることが好ましい。
比率が、1.2:1から外れてインク付与量に対する処理液付与量が少ないほど、カール・カックルといった障害が発生しにくいが、あまりに少ない場合は処理液による効果が不十分となって、画像濃度や画像解像度が低下する場合がある。一方、比率が20:1から外れて処理液付与量が多いと、画像濃度や画像解像度は良好であるが、カール・カックルが発生し易くなる場合がある。なお、比率のさらに好ましい範囲は1:16〜1:2、より好ましくは1:10〜1:3の範囲である。
【0076】
本発明のインクジェット記録装置において、インク(及び処理液)の1ドロップ当たりの液体重量は25ng以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5ng以上20ng以下であり、更に好ましくは、2ng以上8ng以下である。1ドロップ当たりの液体重量が25ngを超える場合には、滲みが悪化する場合がある。これは、インク(及び処理液)の記録媒体に対する接触角がドロップ量に依存して変化するためであり、ドロップ量が増えるにつれてドロップが紙表面方向に広がりやすい傾向があるためと考えている。
但し、一つのノズルから複数の体積のドロップを噴射することが可能であるインクジェット装置において、上記ドロップ量とは、印字可能な最小ドロップのドロップ量を指すこととする。
【0077】
また、処理液も含むインクセットを用いてインクジェット記録を行う場合、インク及び処理液とは互いに接触するように、記録媒体上に付与されるが、接触していれば、互いに隣接するよう付与されても、覆い被さるように付与されても、どちらでもよい。
【0078】
また、記録媒体への付与の順番は、特に限定されず、いずれを先に付与してもよく、略同時に付与してもよいが、処理液を付与した後にインクを付与することが好ましい。処理液を先に付与することで、インク中の色材を効果的に凝集させることが可能となるからである。処理液を付与した後であれば、いかなる時期にインクを付与してもかまわない。好ましくは、処理液を付与してから1秒以下であり、より好ましくは0.5秒以下である。
【0079】
本発明のインクジェット記録装置において、インク(及び処理液)の記録ヘッドへの補給(供給)は、インク(及び処理液)が満たされたインクタンク(処理液タンクを含む)から行われることがよい。このインクタンクは、装置本体に脱着可能なカートリッジ方式であることがよく、このカートリッジ方式のインクタンクを交換することで、インク及び処理液の補給が簡易に行われる。
【0080】
以下、図面を参照しながら本発明のインクジェット記録装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、実質的に同様の機能を有する部材については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0081】
図3は本発明のインクジェット記録装置の好適な一実施形態の外観の構成を示す斜視図である。図4は、図3のインクジェット記録装置(以下、画像形成装置と称する)における内部の基本構成を示す斜視図である。
【0082】
本実施形態の画像形成装置100は、前述の本発明のインクジェット記録方法に基づいて作動し画像を形成する構成を有している。すなわち、図3及び図4に示すように、画像形成装置100は、主として、外部カバー6と、普通紙などの記録媒体1を所定量載置可能なトレイ7と、記録媒体1を画像形成装置100内部に1枚毎に搬送するための搬送ローラ(搬送手段)2と、記録媒体1の面にインク及び処理液を吐出して画像を形成する画像形成部8(画像形成手段)と、画像形成部8のそれぞれのサブインクタンク5へインク及び処理液を補給するメインインクタンク4と、から構成されている。
【0083】
搬送ローラ2は画像形成装置100内に回転可能に配設された一対のローラで構成された紙送り機構であり、トレイ7にセットされた記録媒体1を挟持するとともに、所定量の記録媒体1を所定のタイミングで1枚毎に画像形成装置100内部に搬送する。
【0084】
画像形成部8は記録媒体1の面上にインクによる画像を形成する。画像形成部8は、主として記録ヘッド3と、サブインクタンク5と、給電信号ケーブル9と、キャリッジ10と、ガイドロッド11と、タイミングベルト12と、駆動プーリ13と、メンテナンスユニット14とから構成されている。
【0085】
サブインクタンク5はそれぞれ異なる色のインク及び処理液が記録ヘッドから吐出可能に納められたサブインクタンク51、52、53、54、55を有している。これらには、例えば、ブラックインク(K)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)の4色のインクに加えて処理液が満たされ、メインインクタンク4から補給され納められている。
【0086】
サブインクタンク5には、それぞれ排気孔56と補給孔57とが設けられている。そして、記録ヘッド3が待機位置(もしくは補給位置)に移動したとき、排気孔56及び補給孔57に補給装置15の排気用ピン151及び補給用ピン152がそれぞれ挿入されることで、サブインクタンク5と補給装置15とが連結可能となっている。また、補給装置15はメインインクタンク4と補給管16を介して連結されており、補給装置15によりメインインクタンク4から補給孔57を通じてサブインクタンク5へとインク又は処理液を補給する。
【0087】
ここで、メインインクタンク4も、それぞれ異なる色のインク及び処理液が納めされたメインインクタンク41、42、43、44、45を有している。そして、これらには、例えば、第1の液体として、ブラックインク(K)、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)が、第2の液体として処理液が満たされ、それぞれが画像形成装置100に脱着可能に格納されている。
【0088】
さらに、記録ヘッド3には給電信号ケーブル9とサブインクタンク5が接続されており、給電信号ケーブル9から外部の画像記録情報が記録ヘッド3に入力されると、記録ヘッド3はこの画像記録情報に基づき各サブインクタンク5から所定量のインクを吸引して記録媒体の面上に吐出する。なお、給電信号ケーブル9は画像記録情報の他に記録ヘッド3を駆動するために必要な電力を記録ヘッド3に供給する役割も担っている。
【0089】
また、この記録ヘッド3はキャリッジ10上に配置されて保持されており、キャリッジ10はガイドロッド11、駆動プーリ13に接続されたタイミングベルト12が接続されている。このような構成により、記録ヘッド3はガイドロッド11に沿うようにして、記録媒体1の面と平行でありかつ記録媒体1の搬送方向X(副走査方向)に対して垂直な方向Y(主走査方向)にも移動可能となる。
【0090】
画像形成装置100には、画像記録情報に基づいて記録ヘッド3の駆動タイミングとキャリッジ10の駆動タイミングとを調製する制御手段(図示せず)が備えられている。これにより、搬送方向Xにそって、所定の速度で搬送される記録媒体1の面の所定領域に画像記録情報に基づく画像を連続的に形成することができる。
【0091】
メンテナンスユニット14は、チューブを介して減圧装置(図示せず)に接続されている。更にこのメンテナンスユニット14は、記録ヘッド3のノズル部分に接続し、記録ヘッド3のノズル内を減圧状態にすることにより記録ヘッド3のノズルからインクを吸引する機能を有している。このメンテナンスユニット14を設けておくことにより、必要に応じて画像形成装置100が作動中にノズルに付着した余分なインクを除去したり、作動停止状態のときにノズルからのインクの蒸発を抑制することができる。
【0092】
図5は本発明のインクジェット記録装置の好適な他の一実施形態の外観の構成を示す斜視図である。図6は、図5のインクジェット記録装置(以下、画像形成装置と称する)における内部の基本構成を示す斜視図である。本実施形態の画像形成装置101は、前述の本発明のインクジェット記録方法に基づいて作動し画像を形成する構成を有している。
【0093】
図5及び図6に示す画像形成装置101は、記録ヘッド3の幅が記録媒体1幅と同じ又はそれ以上であり、キャリッジ機構を持たず、副走査方向(記録媒体1の搬送方向:矢印X方向)の紙送り機構(本実施形態では搬送ローラ2を示しているが、例えばベルト式の紙送り機構でもよい)で構成されている。
【0094】
また、図示しないが、サブインクタンク51〜55を副走査方向(記録媒体1の搬送方向:矢印X方向)に順次配列させるのと同様に、各色(処理液も含む)を吐出するノズル群も副走査方向に配列させている。これ以外の構成は、図3及び2に示す画像形成装置100と同様なので説明を省略する。なお、図中、記録ヘッド3は移動しないので、サブインクタンク5は補給装置15と常時連結した構成を示しているが、インク補給時に補給装置15と連結する構成でもよい。
【0095】
図5及び図6に示す画像形成装置101では、記録媒体1の幅方向(主走査方向)の印字を記録ヘッド3により一括で行うため、キャリッジ機構を持つ方式に比べ、装置の構成が簡易であり、印字速度も速くなる。
【実施例】
【0096】
(実施例1)
キャボット社製 自己分散顔料Cab−O−Jet300をイオン交換水を用いて固形分濃度10重量%に調整した未精製インク調整用顔料分散液を準備した。なお、この未精製インク調整用顔料分散液は、予め目開き5μmのフィルタにより濾過して不純物として含まれるパーティクルを除去した。
【0097】
次に、図1に示す構成の顔料分散液精製装置を用いて未精製インク調整用顔料分散液を精製処理した。なお、用いた顔料分散液精製装置の各部の寸法は、第1の流路110および第2の流路120の断面形状が縦0.1×横0.1mmの正方形、合流部130の断面形状が縦0.1×横0.2mmの長方形、合流部130の長さが400mm、角度θ1、θ2が90度である。
また、精製処理は、抽出液体として超純水を用い、未精製インク調整用顔料分散液および超純水の流量を10ml/hとなるように設定して実施し、精製されたインク調整用顔料分散液を得た。
なお、精製処理後に抽出液体回収部の超純水の導電率を測定したところ、抽出液体供給源側の超純水と比べて導電率が増加していることが確認された。このことから、精製処理により、不純物が除去されていることがわかった。
【0098】
次に、精製処理して得られたインク調整用顔料分散液に、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、オルフィンE1010(日信化学製)、純水を加えて下記組成のインクを得た。なお、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、オルフィンE1010(日信化学製)は予め所定の精製処理が施された市販品(試薬グレード:いずれも特級)を用い、純水も目開き0.45μmのフィルタにより濾過されたものを用いた。
・顔料:5重量%
・グリセリン:10重量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル:3重量%
・オルフィンE1010(日信化学製):1重量%
・純水:残部
【0099】
(実施例2)
カーボンブラック(Mogul L,キャボット社)30重量部にスチレン−メタアクリル酸共重合のアルカリ金属中和塩(重量平均分子量3万、酸価:200mgKOH/g、中和度:0.4、中和に用いたアルカリ金属塩としてNaOHを使用)を6重量部加え、更に、イオン交換水を加えて、総量を300重量部とした。この液に超音波ホモジナイザーにより超音波を掛けて、顔料を分散させた。更に、この分散液を遠心分離装置により遠心分離を掛けて、残渣部分100重量部を除去した。この分散液を少量分取して乾燥させ、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製EXSTAR6000 TG/DTA)にて顔料の含有量を算出し、イオン交換水で顔料濃度10重量%に調整した未精製インク調整用顔料分散液を得た。
【0100】
次に、得られた未精製インク調整用顔料分散液を実施例1と同様にして予めフィルタ濾過およびイオン交換処理を実施した後に、実施例1と同様にして図1に示す構成の顔料分散液精製装置を用いて未精製インク調整用顔料分散液を精製処理した。
なお、精製処理後に抽出液体回収部の超純水の導電率を測定したところ、抽出液体供給源側の超純水と比べて導電率が増加していることが確認された。このことから、精製処理により、不純物が除去されていることがわかった。
続いて、実施例1に示すインクと同様の組成となるようにその他の成分を加えてインクを調整した。
【0101】
(実施例3)
実施例2と同様にして得られた未精製インク調整用顔料分散液を予めフィルタ濾過およびイオン交換処理を実施した後に、抽出液体として超純水の代わりにトルエン(純度99.5%以上、和光純薬社製、試薬グレード:特級)を用いて実施例1と同様にして図1に示す構成の顔料分散液精製装置を用いて未精製インク調整用顔料分散液を精製処理した。
なお、精製処理後に抽出液体供給源および抽出液体回収部のトルエンの分光スペクトルを測定したところ、抽出液体供給源のトルエンからは、トルエンそのものに起因するピークしか確認されなかったのに対して、抽出液体回収部のトルエンからは、トルエン以外に起因するピークが微弱ながら確認された。このことから、精製処理により、不純物が除去されていることがわかった。
続いて、実施例1に示すインクと同様の組成となるようにその他の成分を加えてインクを調整した。
【0102】
(実施例4)
実施例2と同様にして得られた未精製インク調整用顔料分散液を予めフィルタ濾過およびイオン交換処理を実施した後に、図2に示す構成の顔料分散液精製装置を用いて未精製インク調整用顔料分散液を精製処理した。なお、用いた顔料分散液精製装置の各部の寸法は、第1の流路110、第2の流路120A、120Bの断面形状が縦0.1×横0.1mmの正方形、合流部130A、130Bの断面形状が縦0.1×横0.2mmの長方形、合流部130A、130Bの長さが400mm、角度θ1、θ2が90度である。
また、精製処理は、第1の抽出液体として超純水を第2の流路120Aに流量が10ml/hとなるように流し、第2の抽出液体として実施例3で用いたトルエンを第2の流路120Bに流量が10ml/hとなるように流し、第1の流路110に流す未精製インク調整用顔料分散液の流量を10ml/hとなるよう流して実施し、精製されたインク調整用顔料分散液を得た。
【0103】
なお、精製処理後に超純水回収部の超純水の導電率を測定したところ、超純水供給源側の超純水と比べて導電率が増加していることが確認された。また、トルエン供給源およびトルエン回収部のトルエンの分光スペクトルを測定したところ、抽出液体供給源のトルエンからは、トルエンそのものに起因するピークしか確認されなかったのに対して、抽出液体回収部のトルエンからは、トルエン以外に起因するピークが微弱ながら確認された。このことから、精製処理により、不純物が除去されていることがわかった。
続いて、実施例1に示すインクと同様の組成となるようにその他の成分を加えてインクを調整した。
【0104】
(比較例1)
実施例1において、図1に示す顔料分散液精製装置を用いた精製処理を行わなかった以外は実施例1と同様にしてインクを調整した。
【0105】
(比較例2)
実施例2において、図1に示す顔料分散液精製装置を用いた精製処理を行わなかった以外は実施例2と同様にしてインクを調整した。
【0106】
(評価)
以上の実施例、比較例で得られたインクを用いて、インクジェット記録を行った際の吐出性およびインクの保存安定性について評価した。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】

【0108】
なお、表1中に示す吐出性および保存安定性の評価方法および評価基準は以下の通りである。
−吐出性−
800dpi、256ノズルの試作記録ヘッドを備えインクジェット記録装置(富士ゼロックス社製)を用いて、FX−P紙(富士ゼロックス社製:A4サイズ)に対して連続500枚の1ドットライン印字を行い、印字枚数が積算で500枚目前後のサンプルの印字ラインを構成する各ドットが直線上からズレているかいなか(曲がりが発生しているか否か)を目視により評価した。評価基準は以下の通りである。
○:全てのドットにおいて曲がりはみられなかった。
×:一部のドットにおいて曲がりが確認された
【0109】
−保存安定性−
インクを70℃で1ヶ月間密閉条件下で静置し、静置前後の粘度変化を評価した。
・粘度変化10%未満:○
・粘度変化10%以上:×
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に用いられるマイクロリアクターの主要部の構成の一例を示す概略模式図である。
【図2】2つのマイクロリアクターを直列に接続した顔料分散液精製装置の構成の一例を示す概略模式図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の好適な一実施形態の外観の構成を示す斜視図である。
【図4】図3のインクジェット記録装置における内部の基本構成を示す斜視図である。
【図5】本発明のインクジェット記録装置の好適な他の一実施形態の外観構成を示す斜視図である。
【図6】図5のインクジェット記録装置における内部の基本構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0111】
1 記録媒体
2 搬送ローラ
3 記録ヘッド
4 メインインクタンク
5 サブインクタンク
6 外部カバー
7 トレイ
8 画像形成部
9 給電信号ケーブル
10 キャリッジ
11 ガイドロッド
12 タイミングベルト
13 駆動プーリ
14 メンテナンスユニット
15 補給装置
16 補給管
41、42、43、44、45 メインインクタンク
51、52、53、54、55 サブインクタンク
56 排気孔
57 補給孔
100、101 画像形成装置
110 第1の流路
111 第1の流路110の液体流入側
112 第1の流路110の液体流出側
120、120A、120B 第2の流路
121 第2の流路120の液体流入側
121A 第2の流路120Aの液体流入側
121B 第2の流路120Bの液体流入側
122 第2の流路120の液体流出側
122A 第2の流路120Aの液体流出側
122B 第2の流路120Bの液体流出側
130、130A、130B 合流部
140、140A、140B 液−液界面
151 排気用ピン
152 補給用ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を有する顔料分散液精製方法。
【請求項2】
前記顔料が自己分散顔料である請求項1に記載の顔料分散液精製方法。
【請求項3】
前記未精製顔料分散液が、顔料分散剤を含む請求項1に記載の顔料分散液精製方法。
【請求項4】
前記精製工程が、
第1の流路と、第2の流路と、前記第1の流路の一部の区間と前記第2の流路の一部の区間とが合流し、且つ、前記第1の流路を流れる液体と前記第2の流路を流れる液体とが液−液界面接触した状態で流れることが可能な合流部と、を少なくとも備えたマイクロリアクターを用いて、
前記第1の流路の前記合流部よりも上流側から前記未精製顔料分散液を供給し、前記第2の流路の前記合流部よりも上流側から前記抽出液体を供給することにより行われる請求項1に記載の顔料分散液精製方法。
【請求項5】
微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を経て作製された顔料分散液。
【請求項6】
黒色を含む2色以上のインクを含み、前記2色以上のインクが、
微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を経て作製された顔料分散液を用いて調整されたインクセット。
【請求項7】
液滴を吐出する液滴吐出手段を少なくとも備え、前記液滴吐出手段からインクの液滴を記録媒体表面に吐出して画像を形成する液滴吐出装置において、
前記インクが、微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を経て作製された顔料分散液を用いて調整された液滴吐出装置。
【請求項8】
微小空間内にて、不純物および顔料を含む未精製顔料分散液と、抽出液体とを液−液界面接触させることにより、前記未精製顔料分散液中の不純物を前記抽出液体に抽出させて除去する精製工程を経て作製された顔料分散液を用いて調整されたインクを収納し、
記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置に対して脱着可能であり、前記インクジェット記録装置に装着した状態で、前記記録ヘッドに前記インクを供給するインクジェット記録用インクタンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−348249(P2006−348249A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179888(P2005−179888)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】