顕微鏡および顕微鏡検査法
【課題】偏光状態を切り換える顕微鏡および顕微鏡検査法を提供する。
【解決手段】ある部分領域でその断面に沿って変調周波数で位相変調される少なくとも1つの照明光線と、照明光線を試料に集束するための顕微鏡対物レンズと、検出光路と、少なくとも1つの復調手段とを有する顕微鏡であって、少なくとも1つの偏光変更要素が照明光路内に設けられており、その偏光変更要素に、位相影響度が異なる少なくとも2つの領域を有する位相板が後置されている顕微鏡。第2の実施形態は、少なくとも1つの照明光線と、該照明光線を試料に集束するための顕微鏡対物レンズと、少なくとも1つの変調器を備える検出光路とを有する顕微鏡であって、照明光線が、少なくとも2つの光路に交互に分配され、第1の光路とは異なる場モードを形成するための要素が光路の1つに設けられており、異なる場モードを有する2つの光路が焦点で重畳される顕微鏡に関する。
【解決手段】ある部分領域でその断面に沿って変調周波数で位相変調される少なくとも1つの照明光線と、照明光線を試料に集束するための顕微鏡対物レンズと、検出光路と、少なくとも1つの復調手段とを有する顕微鏡であって、少なくとも1つの偏光変更要素が照明光路内に設けられており、その偏光変更要素に、位相影響度が異なる少なくとも2つの領域を有する位相板が後置されている顕微鏡。第2の実施形態は、少なくとも1つの照明光線と、該照明光線を試料に集束するための顕微鏡対物レンズと、少なくとも1つの変調器を備える検出光路とを有する顕微鏡であって、照明光線が、少なくとも2つの光路に交互に分配され、第1の光路とは異なる場モードを形成するための要素が光路の1つに設けられており、異なる場モードを有する2つの光路が焦点で重畳される顕微鏡に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡および顕微鏡検査法に関し、特に偏光状態を切り換える顕微鏡および顕微鏡検査方法する。
(参考文献)
[1]チェンら(Chen et al.)、Opt.Express 16、18764(2008)
[2]ウォンら(Wong et al.)Appl.Opt.48、3237(2009)
[3]TOF Kamera mit Lock−In pixeln(ピクセル・ロックイン式カメラ):http://www.mesa−imaging.ch/
[4]Gated−Intensifier−Kamera(ゲート付き増感カメラ);たとえばtautec pico star
[5]スエダら(Sueda et al.)Opt.Express 12、3548(2004)
[6]国際特許公開第2009/008838号パンフレット
[7]欧州特許第500717号明細書、「2光子顕微鏡」
[8]エー レリーおよびジェー メルツ(A.Leray and J.Mertz)Opt.Express 14、10565(2006)
【背景技術】
【0002】
光学の様々な分野で、異なる空間的光分布の間で高速に切り換えることが必要である。たとえばこのような手段は、異なる焦点野の間で高速に切り換えできるようにするためにレーザ走査顕微鏡で使用することができる。これはとりわけ、対物レンズの焦点内でだけ光に影響を与えたい場合に重要である。ここでは、光学的に厚い試料の3次元結像を行うことのできる方法を簡単に説明する。ここでは背景光が弁別される(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1)。
【0003】
この場合の基本は、ある特性が焦点内で発生される蛍光だけに時間的に影響を及ぼし、焦点外の光線は変調されるべきでないことである。これまでこの方法は、対物レンズの瞳内で光学的位相を高速に切り換えることに基づいている。これまで位相を2つの半瞳内で切り換えることが示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許公開第2009/008838号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】チェンら(Chen et al.)、Opt.Express 16、18764(2008)
【非特許文献2】ウォンら(Wong et al.)、Appl.Opt.48、3237(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の半瞳内切換えと同様に、有利には、別の部分光線の光学的位相の切換えを利用することもできる。
加えて、焦点体積からの放射を時間的に変調させるために、有利には、位相だけでなく一般的に場モード切換えを利用することも可能であり、ここでは焦点体積の外では光線が時間的に変調されない。この場合も当該の目的のために高速のモードスイッチについて論じるべきである。
【0007】
さらに、位相切換えの他に、励起スポットの異なる2つの場モードを高速に交番させるために、さらなる可能性として偏光の切換えが提案されている。これによって焦点体積から到来する光線が変調される。その際、位相切換えの場合と類似の効果が達成できることが認識される。切換えの作用は、とりわけ焦点内での蛍光の励起に影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
問題となる解決策は、数MHz範囲での変調を引き起こすべきである。したがってこの解決策は基本的に、レーザ走査顕微鏡(LSM)において走査速度を損なわずに浸透深度を高めるために有利に使用するのに適している。速度のさらなる上昇は、マルチスポット顕微鏡による平行化によって達成される。とはいえ、低速の変調もやはり可能であり、相応に調整することができる。
【0009】
変調周波数が有利に高いので、実質的に高速にスイッチングする光電要素、たとえばAOMおよびEOMが考慮の対象となる。この解決策により、最終的に焦点内の場に実質的に作用する特性が切り換えられるべきであり、その結果、焦点野が変調され、一方、焦点外の実質的成分は有意には変調されない。
【0010】
本発明は、独立請求項の特徴によって特徴付けられる。
好ましい改善形態は従属請求項の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】照明光路内に配置された光電変調器EOMと受動要素Pとに基づく、光学的高速モードスイッチ(a,c)、及び位相板Pの様々な変更形態(b,d)を示す図である。
【図2a】偏光性ビームスプリッタPBSが光路内で後置されているEOMに基づく光学的高速モードスイッチを示す図である。
【図2b】ガウスモードとドーナツモード(ラゲール・ガウスモード)の強度を示す図である。
【図2c】4つの好ましくはコリメートされた光線L1〜4の例によるモード変調のためのマルチスポット変形形態を示す図である。
【図3】2つの場モード(たとえばラゲール・ガウスモードとガウスモード)の間でのAOMによる高速切換えを示す図である。
【図4a】FMM変調のための構成体を示す図である。
【図4b】FMM変調のための構成体を示す図である。
【図4c】図3に類似の光路を示す図である。
【図5】スパイラル位相板の例を示す図である。
【図6】別の有利な実施形態を示す図である。
【図7】別の有利な実施形態を示す図である。
【図8】別の有利な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の様々な有利な実施形態を概略的に説明する。
(実施形態1)
第1の実施形態では、偏光に依存する位相偏移を様々な空間的領域に、好ましくは対物レンズの瞳に導入する受動要素において位相が形成されることが出発点である。高速の時間的変調を生じさせるために、たとえばEOMまたは別の適切な要素、たとえばネマチック結晶(ただしネマチック結晶は比較的緩慢に応答する)によって、あるいは経路分岐によって異なる偏光を生じ、この経路がAOM/AOTFによって高速に切り換えられる構造体によって、偏光が時間的に操作される。
【0013】
図1での偏光の切換えまたは回転により、位相板を通過する光線のそれぞれ一部分が光学的位相において影響を受け、一方、プレートの偏光に依存しない部分を通った光線の成分は位相偏移を受けない。したがって偏光状態を切り換えることによって位相の切換えを達成することができる。図1に示された位相板は単なる例である。基本的にここでは様々な幾何形状が考えられる。たとえばEOMの変調により、位相状態をたとえば正弦波に、または矩形プロフィールあるいは他の有利な波形を有するものに変えることができる。これにより、顕微鏡の焦点の通過が、時間的に異なる影響を受けるようになる。
【0014】
図1aは、照明光路内に配置された光電変調器EOMと、受動要素Pとに基づく、この種の光学的高速モードスイッチを示す。
ここに例として示された受動位相要素は、それぞれ二重屈折結晶の組合せからなる。図示されているのは、分割された半波長板の形の位相板Pと、位相が偏光方向に依存しない、たとえばガラスとして構成された構成要素である。
【0015】
ここで位相板は、結晶の高速方向が、入射されるレーザ偏光に対して有利には平行もしくは垂直、または他の最適の角度に向くように配向されている。
図1bには、位相板Pの様々な変更形態が示されており、λ/2半体とガラス半体への半体分割がP1に示されており、対向するλ/2四分の一体とガラス四分の一体への四分割がP2に、外側のλ/2リングと内側のガラスコアがP3に、反対に外側のガラスリングと内側のλ/2コアがP4に示されている。
【0016】
ガラスはここでは例として述べるにすぎない。他のアモルファス石英(Suprasil)または他の非二重屈折材料も使用することができる。
それぞれのλ/2部分の異常軸の向きが矢印により示されている。偏光された光線がこの矢印の方向に平行にこの要素を通過すると、ガラス部分に比べて半波長の位相シフトがλ/2部分内で生じる。一方、その偏光が矢印の方向に垂直に向いていれば、位相遅延は生じない。
【0017】
要素PはEOMと動作的に接続しており、EOMは対応する制御によって、入射光線Lの偏光方向PR、通例は線形に偏光されたレーザ光線の偏光方向PRを高速に回転させる。
【0018】
Pを通過した後、光線は、後で示す構成と同様に、顕微鏡Mの方向に進み、やはり従来技術から公知であるように、図示しない走査ユニットを経て試料に達する。
プレートPを通る半分の位相変化により、光線はFMMに典型的な場変調を受ける。
【0019】
調節方法も本発明に属し、ここでは好ましくは、位相要素の構成がたとえばSLMの交換または制御によって変更され、変調コントラストの測定により、たとえばプレートPを挿入したときの測定と、プレートPを外したとき(FMMなし)の測定により、FMM信号の最適化を行うことができる。
【0020】
本発明の枠内で、光線Lが固定されているときに、EOMによって偏光を回転するのではなく、プレートPを回転させることもできる。
図1cは、図1aと同様にEOMと受動位相要素に基づく光学的高速モードスイッチを示す。
【0021】
図1cでは本発明のアプローチが、偏光維持ファイバの場合に公知であるように、このファイバが光の偏光状態を受け取るときに、レーザの偏光方向変調をファイバFに入力結合する前に行うことができるように拡張されている。この場合でも、位相要素はファイバの後方で、光学系の瞳内に存在する。
【0022】
この実施形態は、本来の光学系/機器/顕微鏡/操作ヘッド内にわずかな構造空間しかない場合に特に有利である。
従来技術(たとえばチェンら(Chen et al.)[1])とは逆に、この場合はファイバと動作的に接続された受動位相要素を使用することにより、使用されるEOMの電磁的絶縁を行うことができ、このため有利には、EOMの高周波で放射される電磁界による測定構成体への影響が回避される。EOMは有利には、レーザモジュール中に別個に収納することができる。
【0023】
図1dにも、4つの可能な位相板P1〜P4が例として示されている。
(実施形態2a)
別の有利な実施形態では、本発明によれば、2つのモードがすでに存在し、EOM、AOMまたはAOTFによってこれらのモード間で切り換えられる解決策が実現される。この原理は、これまで文書に記載された従来技術から大きく異なるものである。なぜならこの場合は、焦点内の切換えが光学的位相の切換えによって行われるのではなく、2つの光学的場モードの切換えによって行われるからである。その際に、等価の出発状態および終了状態がもたらされるが、それぞれ焦点場構造によって特徴付けられる一方の構成から他方の構成への移行は、インコヒーレントに行われる。
【0024】
図2aは、偏光性ビームスプリッタPBSが光路内で後置されているEOMに基づく光学的高速モードスイッチを示す。
光を偏向させるためにPBSの後方にミラーM1〜M4が設けられている。
【0025】
M1〜M4によって、PBSによって生じた(反射された)偏光方向Pol1が偏向される。
M2とM3の間に、特定の偏光方向について光線分布のドーナツモードDMを生じる位相要素(SPPスパイラル位相板[5])が配置されており、このドーナツモードDMはM4の後方のPBSで、PBSを通過した成分と再び統合される。
【0026】
図5bは、New J.Phys.6(2004)71
doi:10.1088/1367−2630/6/1/071
PII:S1367−2630(04)80050−8
ジョナサン リーチ(Jonathan Leach、エリック ヤオ(Eric Yao)およびJ Pagetto(J Pagett)「Observation of the vortex structure of a non−integer vortex beam」からのスパイラル位相板の例を示す。
【0027】
線形に偏光されたレーザ光線Lは、波動遅延性EOMを通って伝播する。このEOMは、高速にスイッチング可能な偏光回転器のように作用する。これにより、光はそのさらなる経路上で、後続の偏光性ビームスプリッタ(PBS)を通過する(たとえばリーフレベルに平行に偏光された光)。もう一方の偏光方向では、光は図面の上方に偏向され、スパイラル位相板SPPのような要素を通過する。この要素は、ガウスモードからドーナツモードを生じさせる(たとえば[5])。
【0028】
別法としてここで、別のモード切換要素、たとえばサブ波長構造体またはDOE(回折光学要素)をこの光路内に導入することもできる。光はその後、再びPBSで反射され、第2の偏光の光線と時間的に交互に良好に重畳される。EOMの変調により、様々な場モード(Pol1、2またはGM)が変調され、これにより顕微鏡対物レンズの焦点内で光が変調される。
【0029】
焦点体積から放射される光の、時間に依存する強度については次式が成立する。
【0030】
【数1】
式中、C(r)は、励起可能な分子の空間的に変化する濃度を表す。積分は、焦点体積を含む範囲にわたる。Ip(r、t)は、時間的に変化する励起強度を表し、2つのモード間で切り換える場合には次式によって与えられる。
【0031】
【数2】
ここで重要なのは、実質的に焦点内の光だけがこの時間的な変調を受け、焦点外のすべての光は実質的に変調されないか、または格段に弱くしか変調されないことである。
【0032】
次いで、ロックイン検出により、時間的に変化する成分を時間的に一定の成分から分離することができる。この時間的に変化する成分は、2つの異なる焦点野の差に相当し、ここで変調されない焦点外の成分は時間的に一定であり、たとえばロックイン検出による同位相の検出によって消失する。
【0033】
図2bは、ガウスモードとドーナツモード(ラゲール・ガウスモード)の強度を示す。軸は、焦点面内のスケーリングされた側方の空間的広がりを示す。
提案された解決策は従来技術とは、特に、この場合は光場が瞳内でその個別成分に分解されて、位相変調器を介して様々な空間的部分内で影響を受けるのではなく、異なる2つの焦点野の間で時間的に変化する切換えが行われる点で異なる。これによって実際の変換について一連の利点が得られる。もっとも重要な利点は、第一に、達成可能な変調速度である。
【0034】
この解決策のさらなる利点は、複数の焦点体積に簡単に拡張可能なことである。その際、たとえば複数のガウスビームを構成体に入射し、対応する光路上でアレイ変換器(たとえばスパイラル位相マスクアレイ)によって変形することになる。複数の焦点体積の形成それ自体は、たとえばドイツ特許公開公報第19904592号に記載されている(図5aも参照)。
【0035】
概略的実施形態が図2cに示されている:
ここに図示されているのは、たとえば4つの好ましくはコリメートされた光線L1〜4の例によるモード変調のためのマルチスポット変形形態であり、光線はもっぱら顕微鏡M内で焦点面の方向に集束される。
【0036】
L1〜4の通過は、図2aと同様に、そこに図示された構成体を通って行われ、その際に、個々のスパイラル位相マスクの代わりに、4つのSPPによって概略的に示されたSPPアレイが設けられている。
【0037】
光線L1〜4がEOMを通過するために、EOMは対応する大きな断面を有することができ、または光方向でマルチスポット形成の前に置くこともでき、あるいはL1〜4に対して変調周波数の異なる複数のEOMを設けることも、または断面領域が異なって制御されるセグメント化されたEOMを設けることもできる。
【0038】
図2cには4つの光線だけが図示されているが、本発明は最終的に、有利には、格段に多数の光線を変調するように、したがって擬似共焦点の多焦点顕微鏡を可能にするように構成することもできる。
【0039】
4つの焦点に対してデスキャンモードではまだ個別の検出器/ロックインモジュールを使用することができるが、後者の場合は、検出のために、デスキャンの場合は好ましくは検出器アレイが、または変調可能な増幅器(マルチチャネルプレート)[4]を備えるカメラ、またはスマートピクセルCMOSカメラ[3]も適しており、このCOMカメラは、非デスキャンモードまたは直接検出モードで、カメラ内でピクセルごとに復調することができる。
【0040】
(実施形態2b)
2つのモードの切換えは、たとえば音響光学的変調器(AOM)によって非常に高速に行うこともできる。
【0041】
図3は、2つの場モード(たとえばラゲール・ガウスモードとガウスモード)の間でのAOMによる高速切換えを示し、したがってガウス場が、ガウスモードとガウス・ラゲールモードの時間に依存する重畳に変換される。
【0042】
ここでもPBSが設けられている。
PBSの後に通過する光路内には、戻ってくる光線をPBSを通って別の顕微鏡Mの方向に偏向させることができるようにするための位相回転に役立つ四分の一波長板QWPの後方にAOMが配置されており、その0次および1次の光路内に反射要素Sが配置されており、この反射要素Sは光を同じ方向でAOMに逆反射する。
【0043】
AOMとSの間の0次の光路内に、ドーナツモード発生器DMG(たとえばスパイラル位相板または「ラジアル偏光器」)が設けられている。
本発明のこの実施形態は、上述の実施形態2aの有利な変形形態である。
【0044】
ここで、線形偏光されたガウスビームが、偏光性ビームスプリッタと偏光に影響を与える四分の一波長板とを通って、制御ユニットASによって制御されるAOMまたはAOTF(非常に高速の切換えのためにはAOMを、より低速ではあるが多色性に変調する場合にはAOTFを使用することができる)に入射される。次にAOM内で、音響場の入射により、時間的に変化する格子が形成され、この格子内で光線がたとえばそれぞれ0次および1次の光線に偏向される。したがってこれらの次数の間で高速に(高周波で)往復切換えされる。次に光線は再び経路の1つ内でモード形成要素、たとえばドーナツモード形成要素DMGを通過し、続いて第1のミラーで反射される。ここではドーナツモードの他に、たとえばより高次のガウス・ラゲールモードを生じる別のモード形成要素も考えられる。その後、この要素を再度通過する。一方、他方の次数の光線は1つのミラーでだけ反射される。次に、両方の次数の光線は再びAOMを通過し、AOM内で再び1つの光線方向にされる。しかしこれらの次数の光線は通例、個々の場合にモード形成要素に依存して、線形に出力偏光されてAOMから出る。四分の一波長板QWPによってこの場を回転することにより、光線は偏光性ビームスプリッタプリズムPBSで反射され、したがって顕微鏡Mおよび試料の方向に至ることができる。
【0045】
放出された蛍光光線の検出は、対応する光電検出器および光学的または電子的復調によって行われる。
使用される検出技術の説明:
ロックイン技術
ロックイン技術(LIT)は、時間的に変調された信号を位相に依存して測定することに基づいており、基本位置が周波数基準を形成する。典型的には試料が特定の周波数で励起され、LIが基準周波数において信号を測定する。
【0046】
ロックインシステムLIは、この特定の基準周波数において基準位相位置に応じて信号を検出する。
基準位相に対して固定した関係で、LI増幅器がその固有の内部測定位相を(通例、いわゆる位相ロックループによって)形成する。
【0047】
【数3】
古典的なLI増幅器では、まず信号が増幅され、続いて位相感知性の検出器(PSD)または乗算器によってLI基準LIrefと乗算される。
【0048】
たとえば信号が次式で記述される場合、
【0049】
【数4】
PSDの出力端で、次式が得られる。
【0050】
【数5】
したがってPSDの出力端は時間的に変化する2つの信号を送出する。すなわち1つはLI基準位相と信号位相との差周波数であり、もう1つはそれらの和周波数である。この信号VIPSDは低域フィルタリングされ、これによりすべての高周波信号が消失する。低域フィルタリングが完全であれば最後に、(ωr−ωL)=0が成り立つとき、1つの信号だけが生じる。したがって出力端で、次式が得られる。
【0051】
【数6】
したがってLI増幅器は、周波数ωr=ωLのときに信号を抽出し、この基準周波数において信号振幅に線形に依存する出力信号を送出する。
【0052】
さらに図4aおよびbに基づいて、FMM変調のための構成体を全体的に示し、説明する。この構成体も、従来技術(ロックイン法)に代わる復調検出のための構成体を含み、上述の本発明とともに有利に使用することができる。
【0053】
本発明によれば、復調のための光学的変調器が検出で使用され、または検出器の駆動方式が復調のために利用される。
図4aは、浸透深度/散乱光抑制を高めるための顕微鏡構造を示し、概略的な光路内に、レーザLから試料Pの方向に、照明光路と検出光路とを分離するためのダイクロイックハーフミラーDが設けられている。
【0054】
検出は、ビームスプリッタBSによって、検出器d1、d2が存在する2つの部分光路に分けられる。
さらに光学的変調器m1、m2、位相調整用の要素Ph、フィルタF、焦点変調器FMならびに減算演算器O−が図示されている。
【0055】
蛍光励起のためのレーザLは、焦点変調器(FM)により、たとえば図1および2に基づいて説明したように周波数ωで変調される。ダイクロイックハーフミラー(D)によって反射され、やはりωで変調された試料(P)の蛍光光線が、50/50ビームスプリッタ(BS)を通って2つの検出器d1とd2により位相感知的に検出される。このためにたとえばd1とd2の前方にはそれぞれ1つの変調器(図4aではm1、m2)が使用され、またはd1およびd2の検出器利得が変調される(図4b)。
【0056】
次に、平滑化された信号(フィルタF、たとえば積分器)が互いに減算される(演算器O−)。
変調器m1、m2は、有利にはEOMのような光学的変調器とすることができ、m1は直接変調され、m2はPhを介して位相シフトを受け、これにより、互いに位相差(ΔΦ)を有する2つの部分信号が検出され、混合され、低域フィルタによってフィルタリングされる。したがって有利には、焦点が完璧な状態と、弱め合う干渉によって焦点が妨害されていて焦点がずれた状態とを互いに減算できる(−演算器)ようにするために、調整された相対位相、理想的には2つの検出成分間で90°の相対位相で光学的復調が行われる。
【0057】
図4bでは、光学信号が変調されるのではなく、検出器の「利得」(たとえばPMTの加速電圧)がそれぞれFMを介して制御され、再びPhを介して位相が調整され、信号がFでフィルタリングされ、O−によって減算される。
【0058】
検出器d1、d2は、たとえば周波数ω(および調整された位相シフト)でスイッチオン/オフされる。
検出光路における光学的変調:
本発明によればAOMを用いて、光線切換えが復調のために利用される。
【0059】
図4cは、図3に類似の光路を示す。
しかしこの場合は、検出器d1とd2の間で周波数ωで、有利には図2に示したようなAOD(A)によって切り換えられるが、この場合はこの切換えが検出の際に行われる。
【0060】
さらにすでに示し説明したように、焦点の合った信号と焦点のずれた信号との減算および低域フィルタリングが行われる。
これによりビームスプリッタが使用されず、信号強度のそれぞれ半分が失われることがない。
【0061】
Phを介して位相差を調整することができる。
図6〜8には、別の有利な実施形態が補足して示されている。第1の補足は、位相板自体の構造に関するものである。これは元々は、半波長板と等方的に作用するプレートとの組合せからなると説明された。ただし一般的に、別の組合せも考えられる。
【0062】
たとえばこれは、プレートPPが図6のように、波長板の作用を有する(すなわち位相をλ/2ではなくλだけシフトする)領域と、λ/2位相シフトが達成される領域とから構成されている場合に達成することができる。一般的に、差の大きさをλ/2の有利な値に調整すれば、位相板の様々な部分領域でそれぞれ任意の位相偏移を実現することができる。
【0063】
図1に示された様々な領域の組合せの様々な実施形態は、図6に示したように、たとえばすでに示したようにλまたはλ/2の位相遅延を有する様々な領域に対しても使用することができる。
【0064】
加えて、2つの部分領域の位相偏移を互いに色収差補正するのが特に有利である。
これはたとえば様々な二重屈折結晶からなり、広帯域の波長領域に対して同じ光学的特性(同じ位相遅延)を有する、いわゆる「アクロマチック波長板」または「アクロマチック遅延板」によって実現することができる。ここでは、たとえば少なくとも2つのガラスからなるプレートを使用することにより、等方性の部分プレートの位相経過がこれに適合される。
【0065】
位相板の照明に関しては、照明の偏光方向が非常に高速に切換可能であることが前提とされた。このために上ではたとえばEOMが提案されたが、このEOMにより偏光方向を高速に回転することもできよう。ここで位相板への光の供給は、光供給を光ファイバによって行うことができるが、偏光は維持されなければならないと記載された。しかし、偏光された光を2つのファイバを介して位相板に供給すると、様々な点でより有利な別の解決策が達成できることが認識された。この場合、図7に示すように、規定の偏光を有する光が2つの偏光維持ファイバに入力結合され、ファイバの2つの入力間で、周波数Fで切り換えることができる。一方のファイバの出力は、第2のファイバの出力に対して偏光方向が互いに垂直になるように、出力結合箇所において調整される。これにより、2つの偏光方向を1つの偏光性ビームスプリッタプリズム(PBS)内で、または光学的ファイバカップラのような他の適切な種類の光学的統合部材内で統合することができ、これによりPBSの出力端では周波数Fで変化する偏光が放出される。ファイバ入力間の切換えは、たとえば図7に示したような音響光学的変調器(または音響光学的スキャナ)によって行うことができる。この場合、音響波が結晶内で、2つの値fac1とfac2の間で周波数Fで切り換えられる。ここで音響波fac1とfac2は、それぞれLa1とLa2において光線の異なる偏向角を形成する。この空間的分割は、それぞれの光ファイバに入力結合するために用いられる。2つの周波数の電子的発生は、たとえばDDS(ダイレクトデジタルシンセサイザ)または他の適切な周波数スイッチによって行うことができる。
【0066】
もう1つの特に有利な解決策は、周波数fac1およびfac2を続的に音響光学的結晶に印加し、2つの成分の振幅を時間的に変調することによって得られる。この方法のためには、強度の和が時間的に一定に留まるようにするのが目的に適う。技術的実現は、たとえばDDS(ダイレクトデジタルシンセサイザ)によって行うことができる。
【0067】
図示の実施形態の利点は、
1)格段に小型であり、顕微鏡での取扱いにおいて格別の利点を有する音響光学的要素を切換えのために用いること、
2)レーザモジュールからLSMの走査ヘッドに光を供給するのにファイバを直接使用することができること、
から得られる。
【0068】
同じく、PBSと組み合わせたOMにより、高速にスイッチングするファイバ結合を実現することも考えられる。この場合、EOMの後方に、偏光状態に応じて光を直接2つのファイバに分配するPBSが配置される(図8)。
【0069】
さらに、偏光がPBSの後方で所定の値を有すると有利であり得る。このために位相板の後方に、回転可能な偏光器、または他のやり方でその偏光影響度を調整できる偏光器を取り付けることができる。
【0070】
この偏光器により、2つの部分光線間の強度調整を、光ファイバの後方で行うこともできる。
これに関する測定は、顕微鏡内で、または外部のモニタダイオードによって実施することができる。
【0071】
部分光線間の正確な調整のために、およびAOM/EOMと調整可能な偏光器Polの調整のために、光の一部分をPBSの後方でダイオードDに出力結合することができる。
ダイオードによって測定される強度変動は、とりわけ周波数fac1とfac2の最大振幅を調整するための制御量として使用される。
【0072】
これまでそれぞれ2つのファイバおよび周波数を出発点としてきた。これは例示の意味で理解すべきである。本方法は一般的に、N個の光状態を、たとえばN個のファイバによって切り換えるのに使用することができる。
【0073】
さらに、結像について詳細に説明する。
図7は、ファイバ光学系F1、F2と組み合わせたAODにより、適切な位相板PPを用いて位相スイッチを形成するために偏光を高速に切り換えることを示す。2つの切換状態の強度を調整するための実施形態が図示されている。
【0074】
レーザ光波の光LがレンズL1を介してAOD(音響光学的偏向器)の面に入射され、その音波が結晶内で異なる音響周波数F1とF2の間で、周波数Fで切り換えられ、この音響周波数がレーザ光線の異なる偏向角を交互に生じさせる。
【0075】
交互に偏向されたレーザ光線La1、La2は、それぞれファイバ入力カプラFKeinを介して光導体F1、F2に導入され、ファイバ出力カプラFKausにより異なる位置から偏光スプリッタPBSに出力結合される。
【0076】
その際、ファイバF1とF2は、PBSにおけるその(好ましくは線形の)偏光が、側方および上方から互いに垂直であるように位置合わせされる。
これは、ファイバ端部または出力結合ユニットを対応して回転することによって行われる。その際、PBSの後方でそれぞれF1とF2について、信号収率に基づいてPBSにおける最適の位置に調整することができる。
【0077】
PBSの後方には、図6で説明したように位相板PPが配置されており、位相板PPはその半体間の位相変化により、顕微鏡内でおよび走査装置にさらに導かれるFMM信号を生成する。
【0078】
ビームスプリッタSTを介してモニタダイオードDを出力結合することが可能である。このモニタダイオードDは、制御ユニットASを介して2つの偏光成分の信号強度および関係を調整するのに役立つ。
【0079】
ここでPPとSTの間に、有利には回転可能な偏光器が設けられており、この偏光器は、上に述べたようにファイバF1、F2を配向する際の2つの偏光成分の関係を微調整するために、および可能なエラーを相殺するために役立ち得る。
【0080】
ASを介してモニタダイオードによる検出を、AODによる切換えの周波数に同期することができ、これにより個々の強度成分が互いに分離される。
図8は、偏光を、したがって位相板後方の位相を、上に図7に基づいて説明した構成要素と関連して図7と同様の動作方式で切り換えるための、EOMを備える別の実施形態を示す。ただしこの場合は、個々の偏光成分への分離が、EOMの後方の偏光スプリッタPBS1によって行われ、PBSの後方で異なる偏光成分がやはり別個のファイバF1、F2に入力結合される。これらの偏光成分は、PBS2においてファイバまたは出力結合FFKの配向によりやはり互いに垂直な偏光で入射される。
【符号の説明】
【0081】
L…光線、M…顕微鏡、P…位相板、EOM…光電変調器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡および顕微鏡検査法に関し、特に偏光状態を切り換える顕微鏡および顕微鏡検査方法する。
(参考文献)
[1]チェンら(Chen et al.)、Opt.Express 16、18764(2008)
[2]ウォンら(Wong et al.)Appl.Opt.48、3237(2009)
[3]TOF Kamera mit Lock−In pixeln(ピクセル・ロックイン式カメラ):http://www.mesa−imaging.ch/
[4]Gated−Intensifier−Kamera(ゲート付き増感カメラ);たとえばtautec pico star
[5]スエダら(Sueda et al.)Opt.Express 12、3548(2004)
[6]国際特許公開第2009/008838号パンフレット
[7]欧州特許第500717号明細書、「2光子顕微鏡」
[8]エー レリーおよびジェー メルツ(A.Leray and J.Mertz)Opt.Express 14、10565(2006)
【背景技術】
【0002】
光学の様々な分野で、異なる空間的光分布の間で高速に切り換えることが必要である。たとえばこのような手段は、異なる焦点野の間で高速に切り換えできるようにするためにレーザ走査顕微鏡で使用することができる。これはとりわけ、対物レンズの焦点内でだけ光に影響を与えたい場合に重要である。ここでは、光学的に厚い試料の3次元結像を行うことのできる方法を簡単に説明する。ここでは背景光が弁別される(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1)。
【0003】
この場合の基本は、ある特性が焦点内で発生される蛍光だけに時間的に影響を及ぼし、焦点外の光線は変調されるべきでないことである。これまでこの方法は、対物レンズの瞳内で光学的位相を高速に切り換えることに基づいている。これまで位相を2つの半瞳内で切り換えることが示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許公開第2009/008838号パンフレット
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】チェンら(Chen et al.)、Opt.Express 16、18764(2008)
【非特許文献2】ウォンら(Wong et al.)、Appl.Opt.48、3237(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の半瞳内切換えと同様に、有利には、別の部分光線の光学的位相の切換えを利用することもできる。
加えて、焦点体積からの放射を時間的に変調させるために、有利には、位相だけでなく一般的に場モード切換えを利用することも可能であり、ここでは焦点体積の外では光線が時間的に変調されない。この場合も当該の目的のために高速のモードスイッチについて論じるべきである。
【0007】
さらに、位相切換えの他に、励起スポットの異なる2つの場モードを高速に交番させるために、さらなる可能性として偏光の切換えが提案されている。これによって焦点体積から到来する光線が変調される。その際、位相切換えの場合と類似の効果が達成できることが認識される。切換えの作用は、とりわけ焦点内での蛍光の励起に影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
問題となる解決策は、数MHz範囲での変調を引き起こすべきである。したがってこの解決策は基本的に、レーザ走査顕微鏡(LSM)において走査速度を損なわずに浸透深度を高めるために有利に使用するのに適している。速度のさらなる上昇は、マルチスポット顕微鏡による平行化によって達成される。とはいえ、低速の変調もやはり可能であり、相応に調整することができる。
【0009】
変調周波数が有利に高いので、実質的に高速にスイッチングする光電要素、たとえばAOMおよびEOMが考慮の対象となる。この解決策により、最終的に焦点内の場に実質的に作用する特性が切り換えられるべきであり、その結果、焦点野が変調され、一方、焦点外の実質的成分は有意には変調されない。
【0010】
本発明は、独立請求項の特徴によって特徴付けられる。
好ましい改善形態は従属請求項の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】照明光路内に配置された光電変調器EOMと受動要素Pとに基づく、光学的高速モードスイッチ(a,c)、及び位相板Pの様々な変更形態(b,d)を示す図である。
【図2a】偏光性ビームスプリッタPBSが光路内で後置されているEOMに基づく光学的高速モードスイッチを示す図である。
【図2b】ガウスモードとドーナツモード(ラゲール・ガウスモード)の強度を示す図である。
【図2c】4つの好ましくはコリメートされた光線L1〜4の例によるモード変調のためのマルチスポット変形形態を示す図である。
【図3】2つの場モード(たとえばラゲール・ガウスモードとガウスモード)の間でのAOMによる高速切換えを示す図である。
【図4a】FMM変調のための構成体を示す図である。
【図4b】FMM変調のための構成体を示す図である。
【図4c】図3に類似の光路を示す図である。
【図5】スパイラル位相板の例を示す図である。
【図6】別の有利な実施形態を示す図である。
【図7】別の有利な実施形態を示す図である。
【図8】別の有利な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の様々な有利な実施形態を概略的に説明する。
(実施形態1)
第1の実施形態では、偏光に依存する位相偏移を様々な空間的領域に、好ましくは対物レンズの瞳に導入する受動要素において位相が形成されることが出発点である。高速の時間的変調を生じさせるために、たとえばEOMまたは別の適切な要素、たとえばネマチック結晶(ただしネマチック結晶は比較的緩慢に応答する)によって、あるいは経路分岐によって異なる偏光を生じ、この経路がAOM/AOTFによって高速に切り換えられる構造体によって、偏光が時間的に操作される。
【0013】
図1での偏光の切換えまたは回転により、位相板を通過する光線のそれぞれ一部分が光学的位相において影響を受け、一方、プレートの偏光に依存しない部分を通った光線の成分は位相偏移を受けない。したがって偏光状態を切り換えることによって位相の切換えを達成することができる。図1に示された位相板は単なる例である。基本的にここでは様々な幾何形状が考えられる。たとえばEOMの変調により、位相状態をたとえば正弦波に、または矩形プロフィールあるいは他の有利な波形を有するものに変えることができる。これにより、顕微鏡の焦点の通過が、時間的に異なる影響を受けるようになる。
【0014】
図1aは、照明光路内に配置された光電変調器EOMと、受動要素Pとに基づく、この種の光学的高速モードスイッチを示す。
ここに例として示された受動位相要素は、それぞれ二重屈折結晶の組合せからなる。図示されているのは、分割された半波長板の形の位相板Pと、位相が偏光方向に依存しない、たとえばガラスとして構成された構成要素である。
【0015】
ここで位相板は、結晶の高速方向が、入射されるレーザ偏光に対して有利には平行もしくは垂直、または他の最適の角度に向くように配向されている。
図1bには、位相板Pの様々な変更形態が示されており、λ/2半体とガラス半体への半体分割がP1に示されており、対向するλ/2四分の一体とガラス四分の一体への四分割がP2に、外側のλ/2リングと内側のガラスコアがP3に、反対に外側のガラスリングと内側のλ/2コアがP4に示されている。
【0016】
ガラスはここでは例として述べるにすぎない。他のアモルファス石英(Suprasil)または他の非二重屈折材料も使用することができる。
それぞれのλ/2部分の異常軸の向きが矢印により示されている。偏光された光線がこの矢印の方向に平行にこの要素を通過すると、ガラス部分に比べて半波長の位相シフトがλ/2部分内で生じる。一方、その偏光が矢印の方向に垂直に向いていれば、位相遅延は生じない。
【0017】
要素PはEOMと動作的に接続しており、EOMは対応する制御によって、入射光線Lの偏光方向PR、通例は線形に偏光されたレーザ光線の偏光方向PRを高速に回転させる。
【0018】
Pを通過した後、光線は、後で示す構成と同様に、顕微鏡Mの方向に進み、やはり従来技術から公知であるように、図示しない走査ユニットを経て試料に達する。
プレートPを通る半分の位相変化により、光線はFMMに典型的な場変調を受ける。
【0019】
調節方法も本発明に属し、ここでは好ましくは、位相要素の構成がたとえばSLMの交換または制御によって変更され、変調コントラストの測定により、たとえばプレートPを挿入したときの測定と、プレートPを外したとき(FMMなし)の測定により、FMM信号の最適化を行うことができる。
【0020】
本発明の枠内で、光線Lが固定されているときに、EOMによって偏光を回転するのではなく、プレートPを回転させることもできる。
図1cは、図1aと同様にEOMと受動位相要素に基づく光学的高速モードスイッチを示す。
【0021】
図1cでは本発明のアプローチが、偏光維持ファイバの場合に公知であるように、このファイバが光の偏光状態を受け取るときに、レーザの偏光方向変調をファイバFに入力結合する前に行うことができるように拡張されている。この場合でも、位相要素はファイバの後方で、光学系の瞳内に存在する。
【0022】
この実施形態は、本来の光学系/機器/顕微鏡/操作ヘッド内にわずかな構造空間しかない場合に特に有利である。
従来技術(たとえばチェンら(Chen et al.)[1])とは逆に、この場合はファイバと動作的に接続された受動位相要素を使用することにより、使用されるEOMの電磁的絶縁を行うことができ、このため有利には、EOMの高周波で放射される電磁界による測定構成体への影響が回避される。EOMは有利には、レーザモジュール中に別個に収納することができる。
【0023】
図1dにも、4つの可能な位相板P1〜P4が例として示されている。
(実施形態2a)
別の有利な実施形態では、本発明によれば、2つのモードがすでに存在し、EOM、AOMまたはAOTFによってこれらのモード間で切り換えられる解決策が実現される。この原理は、これまで文書に記載された従来技術から大きく異なるものである。なぜならこの場合は、焦点内の切換えが光学的位相の切換えによって行われるのではなく、2つの光学的場モードの切換えによって行われるからである。その際に、等価の出発状態および終了状態がもたらされるが、それぞれ焦点場構造によって特徴付けられる一方の構成から他方の構成への移行は、インコヒーレントに行われる。
【0024】
図2aは、偏光性ビームスプリッタPBSが光路内で後置されているEOMに基づく光学的高速モードスイッチを示す。
光を偏向させるためにPBSの後方にミラーM1〜M4が設けられている。
【0025】
M1〜M4によって、PBSによって生じた(反射された)偏光方向Pol1が偏向される。
M2とM3の間に、特定の偏光方向について光線分布のドーナツモードDMを生じる位相要素(SPPスパイラル位相板[5])が配置されており、このドーナツモードDMはM4の後方のPBSで、PBSを通過した成分と再び統合される。
【0026】
図5bは、New J.Phys.6(2004)71
doi:10.1088/1367−2630/6/1/071
PII:S1367−2630(04)80050−8
ジョナサン リーチ(Jonathan Leach、エリック ヤオ(Eric Yao)およびJ Pagetto(J Pagett)「Observation of the vortex structure of a non−integer vortex beam」からのスパイラル位相板の例を示す。
【0027】
線形に偏光されたレーザ光線Lは、波動遅延性EOMを通って伝播する。このEOMは、高速にスイッチング可能な偏光回転器のように作用する。これにより、光はそのさらなる経路上で、後続の偏光性ビームスプリッタ(PBS)を通過する(たとえばリーフレベルに平行に偏光された光)。もう一方の偏光方向では、光は図面の上方に偏向され、スパイラル位相板SPPのような要素を通過する。この要素は、ガウスモードからドーナツモードを生じさせる(たとえば[5])。
【0028】
別法としてここで、別のモード切換要素、たとえばサブ波長構造体またはDOE(回折光学要素)をこの光路内に導入することもできる。光はその後、再びPBSで反射され、第2の偏光の光線と時間的に交互に良好に重畳される。EOMの変調により、様々な場モード(Pol1、2またはGM)が変調され、これにより顕微鏡対物レンズの焦点内で光が変調される。
【0029】
焦点体積から放射される光の、時間に依存する強度については次式が成立する。
【0030】
【数1】
式中、C(r)は、励起可能な分子の空間的に変化する濃度を表す。積分は、焦点体積を含む範囲にわたる。Ip(r、t)は、時間的に変化する励起強度を表し、2つのモード間で切り換える場合には次式によって与えられる。
【0031】
【数2】
ここで重要なのは、実質的に焦点内の光だけがこの時間的な変調を受け、焦点外のすべての光は実質的に変調されないか、または格段に弱くしか変調されないことである。
【0032】
次いで、ロックイン検出により、時間的に変化する成分を時間的に一定の成分から分離することができる。この時間的に変化する成分は、2つの異なる焦点野の差に相当し、ここで変調されない焦点外の成分は時間的に一定であり、たとえばロックイン検出による同位相の検出によって消失する。
【0033】
図2bは、ガウスモードとドーナツモード(ラゲール・ガウスモード)の強度を示す。軸は、焦点面内のスケーリングされた側方の空間的広がりを示す。
提案された解決策は従来技術とは、特に、この場合は光場が瞳内でその個別成分に分解されて、位相変調器を介して様々な空間的部分内で影響を受けるのではなく、異なる2つの焦点野の間で時間的に変化する切換えが行われる点で異なる。これによって実際の変換について一連の利点が得られる。もっとも重要な利点は、第一に、達成可能な変調速度である。
【0034】
この解決策のさらなる利点は、複数の焦点体積に簡単に拡張可能なことである。その際、たとえば複数のガウスビームを構成体に入射し、対応する光路上でアレイ変換器(たとえばスパイラル位相マスクアレイ)によって変形することになる。複数の焦点体積の形成それ自体は、たとえばドイツ特許公開公報第19904592号に記載されている(図5aも参照)。
【0035】
概略的実施形態が図2cに示されている:
ここに図示されているのは、たとえば4つの好ましくはコリメートされた光線L1〜4の例によるモード変調のためのマルチスポット変形形態であり、光線はもっぱら顕微鏡M内で焦点面の方向に集束される。
【0036】
L1〜4の通過は、図2aと同様に、そこに図示された構成体を通って行われ、その際に、個々のスパイラル位相マスクの代わりに、4つのSPPによって概略的に示されたSPPアレイが設けられている。
【0037】
光線L1〜4がEOMを通過するために、EOMは対応する大きな断面を有することができ、または光方向でマルチスポット形成の前に置くこともでき、あるいはL1〜4に対して変調周波数の異なる複数のEOMを設けることも、または断面領域が異なって制御されるセグメント化されたEOMを設けることもできる。
【0038】
図2cには4つの光線だけが図示されているが、本発明は最終的に、有利には、格段に多数の光線を変調するように、したがって擬似共焦点の多焦点顕微鏡を可能にするように構成することもできる。
【0039】
4つの焦点に対してデスキャンモードではまだ個別の検出器/ロックインモジュールを使用することができるが、後者の場合は、検出のために、デスキャンの場合は好ましくは検出器アレイが、または変調可能な増幅器(マルチチャネルプレート)[4]を備えるカメラ、またはスマートピクセルCMOSカメラ[3]も適しており、このCOMカメラは、非デスキャンモードまたは直接検出モードで、カメラ内でピクセルごとに復調することができる。
【0040】
(実施形態2b)
2つのモードの切換えは、たとえば音響光学的変調器(AOM)によって非常に高速に行うこともできる。
【0041】
図3は、2つの場モード(たとえばラゲール・ガウスモードとガウスモード)の間でのAOMによる高速切換えを示し、したがってガウス場が、ガウスモードとガウス・ラゲールモードの時間に依存する重畳に変換される。
【0042】
ここでもPBSが設けられている。
PBSの後に通過する光路内には、戻ってくる光線をPBSを通って別の顕微鏡Mの方向に偏向させることができるようにするための位相回転に役立つ四分の一波長板QWPの後方にAOMが配置されており、その0次および1次の光路内に反射要素Sが配置されており、この反射要素Sは光を同じ方向でAOMに逆反射する。
【0043】
AOMとSの間の0次の光路内に、ドーナツモード発生器DMG(たとえばスパイラル位相板または「ラジアル偏光器」)が設けられている。
本発明のこの実施形態は、上述の実施形態2aの有利な変形形態である。
【0044】
ここで、線形偏光されたガウスビームが、偏光性ビームスプリッタと偏光に影響を与える四分の一波長板とを通って、制御ユニットASによって制御されるAOMまたはAOTF(非常に高速の切換えのためにはAOMを、より低速ではあるが多色性に変調する場合にはAOTFを使用することができる)に入射される。次にAOM内で、音響場の入射により、時間的に変化する格子が形成され、この格子内で光線がたとえばそれぞれ0次および1次の光線に偏向される。したがってこれらの次数の間で高速に(高周波で)往復切換えされる。次に光線は再び経路の1つ内でモード形成要素、たとえばドーナツモード形成要素DMGを通過し、続いて第1のミラーで反射される。ここではドーナツモードの他に、たとえばより高次のガウス・ラゲールモードを生じる別のモード形成要素も考えられる。その後、この要素を再度通過する。一方、他方の次数の光線は1つのミラーでだけ反射される。次に、両方の次数の光線は再びAOMを通過し、AOM内で再び1つの光線方向にされる。しかしこれらの次数の光線は通例、個々の場合にモード形成要素に依存して、線形に出力偏光されてAOMから出る。四分の一波長板QWPによってこの場を回転することにより、光線は偏光性ビームスプリッタプリズムPBSで反射され、したがって顕微鏡Mおよび試料の方向に至ることができる。
【0045】
放出された蛍光光線の検出は、対応する光電検出器および光学的または電子的復調によって行われる。
使用される検出技術の説明:
ロックイン技術
ロックイン技術(LIT)は、時間的に変調された信号を位相に依存して測定することに基づいており、基本位置が周波数基準を形成する。典型的には試料が特定の周波数で励起され、LIが基準周波数において信号を測定する。
【0046】
ロックインシステムLIは、この特定の基準周波数において基準位相位置に応じて信号を検出する。
基準位相に対して固定した関係で、LI増幅器がその固有の内部測定位相を(通例、いわゆる位相ロックループによって)形成する。
【0047】
【数3】
古典的なLI増幅器では、まず信号が増幅され、続いて位相感知性の検出器(PSD)または乗算器によってLI基準LIrefと乗算される。
【0048】
たとえば信号が次式で記述される場合、
【0049】
【数4】
PSDの出力端で、次式が得られる。
【0050】
【数5】
したがってPSDの出力端は時間的に変化する2つの信号を送出する。すなわち1つはLI基準位相と信号位相との差周波数であり、もう1つはそれらの和周波数である。この信号VIPSDは低域フィルタリングされ、これによりすべての高周波信号が消失する。低域フィルタリングが完全であれば最後に、(ωr−ωL)=0が成り立つとき、1つの信号だけが生じる。したがって出力端で、次式が得られる。
【0051】
【数6】
したがってLI増幅器は、周波数ωr=ωLのときに信号を抽出し、この基準周波数において信号振幅に線形に依存する出力信号を送出する。
【0052】
さらに図4aおよびbに基づいて、FMM変調のための構成体を全体的に示し、説明する。この構成体も、従来技術(ロックイン法)に代わる復調検出のための構成体を含み、上述の本発明とともに有利に使用することができる。
【0053】
本発明によれば、復調のための光学的変調器が検出で使用され、または検出器の駆動方式が復調のために利用される。
図4aは、浸透深度/散乱光抑制を高めるための顕微鏡構造を示し、概略的な光路内に、レーザLから試料Pの方向に、照明光路と検出光路とを分離するためのダイクロイックハーフミラーDが設けられている。
【0054】
検出は、ビームスプリッタBSによって、検出器d1、d2が存在する2つの部分光路に分けられる。
さらに光学的変調器m1、m2、位相調整用の要素Ph、フィルタF、焦点変調器FMならびに減算演算器O−が図示されている。
【0055】
蛍光励起のためのレーザLは、焦点変調器(FM)により、たとえば図1および2に基づいて説明したように周波数ωで変調される。ダイクロイックハーフミラー(D)によって反射され、やはりωで変調された試料(P)の蛍光光線が、50/50ビームスプリッタ(BS)を通って2つの検出器d1とd2により位相感知的に検出される。このためにたとえばd1とd2の前方にはそれぞれ1つの変調器(図4aではm1、m2)が使用され、またはd1およびd2の検出器利得が変調される(図4b)。
【0056】
次に、平滑化された信号(フィルタF、たとえば積分器)が互いに減算される(演算器O−)。
変調器m1、m2は、有利にはEOMのような光学的変調器とすることができ、m1は直接変調され、m2はPhを介して位相シフトを受け、これにより、互いに位相差(ΔΦ)を有する2つの部分信号が検出され、混合され、低域フィルタによってフィルタリングされる。したがって有利には、焦点が完璧な状態と、弱め合う干渉によって焦点が妨害されていて焦点がずれた状態とを互いに減算できる(−演算器)ようにするために、調整された相対位相、理想的には2つの検出成分間で90°の相対位相で光学的復調が行われる。
【0057】
図4bでは、光学信号が変調されるのではなく、検出器の「利得」(たとえばPMTの加速電圧)がそれぞれFMを介して制御され、再びPhを介して位相が調整され、信号がFでフィルタリングされ、O−によって減算される。
【0058】
検出器d1、d2は、たとえば周波数ω(および調整された位相シフト)でスイッチオン/オフされる。
検出光路における光学的変調:
本発明によればAOMを用いて、光線切換えが復調のために利用される。
【0059】
図4cは、図3に類似の光路を示す。
しかしこの場合は、検出器d1とd2の間で周波数ωで、有利には図2に示したようなAOD(A)によって切り換えられるが、この場合はこの切換えが検出の際に行われる。
【0060】
さらにすでに示し説明したように、焦点の合った信号と焦点のずれた信号との減算および低域フィルタリングが行われる。
これによりビームスプリッタが使用されず、信号強度のそれぞれ半分が失われることがない。
【0061】
Phを介して位相差を調整することができる。
図6〜8には、別の有利な実施形態が補足して示されている。第1の補足は、位相板自体の構造に関するものである。これは元々は、半波長板と等方的に作用するプレートとの組合せからなると説明された。ただし一般的に、別の組合せも考えられる。
【0062】
たとえばこれは、プレートPPが図6のように、波長板の作用を有する(すなわち位相をλ/2ではなくλだけシフトする)領域と、λ/2位相シフトが達成される領域とから構成されている場合に達成することができる。一般的に、差の大きさをλ/2の有利な値に調整すれば、位相板の様々な部分領域でそれぞれ任意の位相偏移を実現することができる。
【0063】
図1に示された様々な領域の組合せの様々な実施形態は、図6に示したように、たとえばすでに示したようにλまたはλ/2の位相遅延を有する様々な領域に対しても使用することができる。
【0064】
加えて、2つの部分領域の位相偏移を互いに色収差補正するのが特に有利である。
これはたとえば様々な二重屈折結晶からなり、広帯域の波長領域に対して同じ光学的特性(同じ位相遅延)を有する、いわゆる「アクロマチック波長板」または「アクロマチック遅延板」によって実現することができる。ここでは、たとえば少なくとも2つのガラスからなるプレートを使用することにより、等方性の部分プレートの位相経過がこれに適合される。
【0065】
位相板の照明に関しては、照明の偏光方向が非常に高速に切換可能であることが前提とされた。このために上ではたとえばEOMが提案されたが、このEOMにより偏光方向を高速に回転することもできよう。ここで位相板への光の供給は、光供給を光ファイバによって行うことができるが、偏光は維持されなければならないと記載された。しかし、偏光された光を2つのファイバを介して位相板に供給すると、様々な点でより有利な別の解決策が達成できることが認識された。この場合、図7に示すように、規定の偏光を有する光が2つの偏光維持ファイバに入力結合され、ファイバの2つの入力間で、周波数Fで切り換えることができる。一方のファイバの出力は、第2のファイバの出力に対して偏光方向が互いに垂直になるように、出力結合箇所において調整される。これにより、2つの偏光方向を1つの偏光性ビームスプリッタプリズム(PBS)内で、または光学的ファイバカップラのような他の適切な種類の光学的統合部材内で統合することができ、これによりPBSの出力端では周波数Fで変化する偏光が放出される。ファイバ入力間の切換えは、たとえば図7に示したような音響光学的変調器(または音響光学的スキャナ)によって行うことができる。この場合、音響波が結晶内で、2つの値fac1とfac2の間で周波数Fで切り換えられる。ここで音響波fac1とfac2は、それぞれLa1とLa2において光線の異なる偏向角を形成する。この空間的分割は、それぞれの光ファイバに入力結合するために用いられる。2つの周波数の電子的発生は、たとえばDDS(ダイレクトデジタルシンセサイザ)または他の適切な周波数スイッチによって行うことができる。
【0066】
もう1つの特に有利な解決策は、周波数fac1およびfac2を続的に音響光学的結晶に印加し、2つの成分の振幅を時間的に変調することによって得られる。この方法のためには、強度の和が時間的に一定に留まるようにするのが目的に適う。技術的実現は、たとえばDDS(ダイレクトデジタルシンセサイザ)によって行うことができる。
【0067】
図示の実施形態の利点は、
1)格段に小型であり、顕微鏡での取扱いにおいて格別の利点を有する音響光学的要素を切換えのために用いること、
2)レーザモジュールからLSMの走査ヘッドに光を供給するのにファイバを直接使用することができること、
から得られる。
【0068】
同じく、PBSと組み合わせたOMにより、高速にスイッチングするファイバ結合を実現することも考えられる。この場合、EOMの後方に、偏光状態に応じて光を直接2つのファイバに分配するPBSが配置される(図8)。
【0069】
さらに、偏光がPBSの後方で所定の値を有すると有利であり得る。このために位相板の後方に、回転可能な偏光器、または他のやり方でその偏光影響度を調整できる偏光器を取り付けることができる。
【0070】
この偏光器により、2つの部分光線間の強度調整を、光ファイバの後方で行うこともできる。
これに関する測定は、顕微鏡内で、または外部のモニタダイオードによって実施することができる。
【0071】
部分光線間の正確な調整のために、およびAOM/EOMと調整可能な偏光器Polの調整のために、光の一部分をPBSの後方でダイオードDに出力結合することができる。
ダイオードによって測定される強度変動は、とりわけ周波数fac1とfac2の最大振幅を調整するための制御量として使用される。
【0072】
これまでそれぞれ2つのファイバおよび周波数を出発点としてきた。これは例示の意味で理解すべきである。本方法は一般的に、N個の光状態を、たとえばN個のファイバによって切り換えるのに使用することができる。
【0073】
さらに、結像について詳細に説明する。
図7は、ファイバ光学系F1、F2と組み合わせたAODにより、適切な位相板PPを用いて位相スイッチを形成するために偏光を高速に切り換えることを示す。2つの切換状態の強度を調整するための実施形態が図示されている。
【0074】
レーザ光波の光LがレンズL1を介してAOD(音響光学的偏向器)の面に入射され、その音波が結晶内で異なる音響周波数F1とF2の間で、周波数Fで切り換えられ、この音響周波数がレーザ光線の異なる偏向角を交互に生じさせる。
【0075】
交互に偏向されたレーザ光線La1、La2は、それぞれファイバ入力カプラFKeinを介して光導体F1、F2に導入され、ファイバ出力カプラFKausにより異なる位置から偏光スプリッタPBSに出力結合される。
【0076】
その際、ファイバF1とF2は、PBSにおけるその(好ましくは線形の)偏光が、側方および上方から互いに垂直であるように位置合わせされる。
これは、ファイバ端部または出力結合ユニットを対応して回転することによって行われる。その際、PBSの後方でそれぞれF1とF2について、信号収率に基づいてPBSにおける最適の位置に調整することができる。
【0077】
PBSの後方には、図6で説明したように位相板PPが配置されており、位相板PPはその半体間の位相変化により、顕微鏡内でおよび走査装置にさらに導かれるFMM信号を生成する。
【0078】
ビームスプリッタSTを介してモニタダイオードDを出力結合することが可能である。このモニタダイオードDは、制御ユニットASを介して2つの偏光成分の信号強度および関係を調整するのに役立つ。
【0079】
ここでPPとSTの間に、有利には回転可能な偏光器が設けられており、この偏光器は、上に述べたようにファイバF1、F2を配向する際の2つの偏光成分の関係を微調整するために、および可能なエラーを相殺するために役立ち得る。
【0080】
ASを介してモニタダイオードによる検出を、AODによる切換えの周波数に同期することができ、これにより個々の強度成分が互いに分離される。
図8は、偏光を、したがって位相板後方の位相を、上に図7に基づいて説明した構成要素と関連して図7と同様の動作方式で切り換えるための、EOMを備える別の実施形態を示す。ただしこの場合は、個々の偏光成分への分離が、EOMの後方の偏光スプリッタPBS1によって行われ、PBSの後方で異なる偏光成分がやはり別個のファイバF1、F2に入力結合される。これらの偏光成分は、PBS2においてファイバまたは出力結合FFKの配向によりやはり互いに垂直な偏光で入射される。
【符号の説明】
【0081】
L…光線、M…顕微鏡、P…位相板、EOM…光電変調器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある部分領域内でその断面に沿って変調周波数で位相変調される少なくとも1つの照明光線と、照明光線を試料に集束するための顕微鏡対物レンズと、検出光路と、少なくとも1つの復調手段とを有する顕微鏡であって、
少なくとも1つの偏光変更要素が照明光路内に設けられており、該偏光変更要素には、位相影響度が異なる少なくとも2つの領域を有する位相板が後置されている、顕微鏡。
【請求項2】
前記偏光変更要素が、偏光回転要素である、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記偏光回転要素が、電子光学的変調器(EOM)である、請求項2に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記位相板が、実質的に位相が影響を受けない領域と、位相が影響を受ける領域を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記位相が影響を受ける領域が、少なくとも1つの半波長板である、請求項4に記載の顕微鏡。
【請求項6】
復調のために、ロックイン増幅のような電子手段が設けられている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項7】
復調のためにAOMまたはEOMが設けられており、または少なくとも1つの音響光学的変調器(AOM)によって復調のための光線切換えが行われ、または復調のために検出器の動作方式が変更される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項8】
前記偏光変更要素と前記位相板との間に光ファイバが配置されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項9】
前記位相板が、偏光変更のためにそれ自体が回転可能に構成されている、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項10】
前記位相板が、空間的光変調器(SLM、Spatial Light Modulator)である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項11】
試料の光を顕微鏡で検出するための方法、特に、少なくとも1つの照明光線が集束のために顕微鏡対物レンズを介して照射され、該照明光線が、ある部分領域においてその断面に沿って位相変調される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の顕微鏡の駆動方法であって、
検出光路内で復調が行われ、
好ましくは試料内における照明の位相変調が、検出光路において強度変調に変換され、該強度変調が復調され、
少なくとも1つの位相変更要素、好ましくは位相回転要素によって偏光が変更され、位相影響度の異なる少なくとも2つの領域を有する位相板によって位相変調が生じる、方法。
【請求項12】
偏光回転要素として、電子光学的変調器(EOM)が使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
試料信号の測定により、異なる位相板間の交換の際に、またはSLMのような位相変調器の調整された変更の際に、測定結果の最適化に役立つ調節が行われる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの照明光線と、該照明光線を試料に集束するための顕微鏡対物レンズと、少なくとも1つの復調器を備える検出光路とを有する顕微鏡であって、
該照明光線が、少なくとも2つの光路に交互に分配され、
第1の光路とは異なる場モードを生じさせるための要素が光路の1つに設けられており、異なる場モードを有する該2つの光路が焦点で重畳される、顕微鏡。
【請求項15】
光路の切換えが偏光スイッチによって行われる、請求項14に記載の顕微鏡。
【請求項16】
前記偏光スイッチが、少なくとも1つの電子光学的変調器と、少なくとも1つの偏光スプリッタとからなる、請求項15に記載の顕微鏡。
【請求項17】
ガウスモードとは異なるモード、特にドーナツモードが引き起こされる、請求項14乃至16のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項18】
照明光線がAOMまたはAOTFを通過した後に、光路が2つの次数の光路として形成される、請求項14に記載の顕微鏡。
【請求項19】
前記光路が交互に形成され、反射器を介しAOMまたはAOTFを通って同じ光線方向に逆偏向される、請求項18に記載の顕微鏡。
【請求項20】
異なる場モードを引き起こすために、スパイラル位相マスクまたは回折光学要素または空間的光変調器(SLM)が使用される、請求項14乃至19のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項21】
複数の光線が設けられており、該複数の光線がそれぞれ光路に分割され、好ましくは該光路の1つで様々な場モードを生じさせるために複数の要素が設けられている、請求項14乃至20のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項22】
試料が少なくとも1つの照明光線により、集束のための顕微鏡対物レンズを介して照明され、検出光路内で少なくとも1つの復調が行われ、
該照明光線が少なくとも2つの光路に交互に分割され、光路の一方では他方の光路とは異なる場モードが引き起こされ、場モードの異なる2つの光路が焦点で重畳される、請求項14乃至21のいずれか1項に記載の顕微鏡検査方法。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載のレーザ走査顕微鏡およびレーザ走査顕微鏡の駆動方法のうちの少なくとも一方。
【請求項24】
位相板が様々な領域、特に位相遅延の異なる領域を有し、これらの領域が互いにλ/2の位相変化を有している、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項25】
音響光学的偏向器(デフレクタ)が設けられており、該音響光学的偏向器が照明光を交互にまたは同時に、好ましくは振幅を変調して少なくとも2つの光ファイバの入力端に偏向される、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項26】
偏光変更要素の後方に、少なくとも2つの光ファイバに入力結合するための入力結合手段が設けられている、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項27】
交互に光ファイバに入力結合され、または振幅変調により、少なくとも2つの光成分の時間に依存する重み付けがなされる、請求項1乃至26のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項28】
光ファイバへ、それぞれ偏光の向きの異なる入力結合が行われる、請求項1乃至27のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項29】
光ファイバの端部またはその出力結合部が偏光器において、異なって偏光された2つの光線成分が存在するように互いに向けられる、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項30】
異なる向きの偏光成分が、位相板を介して試料の方向に達する(位相板が光ファイバに後置されている)、請求項1乃至29のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項31】
位相板の後方に、調整可能な偏光器が配置されている、請求項1乃至30のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項32】
位相板の後方で光線の一部分が、偏光分布およびAODの少なくとも一方、もしくはEOMを制御するために基準検出器上でフェードアウトされる、請求項1乃至31のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項1】
ある部分領域内でその断面に沿って変調周波数で位相変調される少なくとも1つの照明光線と、照明光線を試料に集束するための顕微鏡対物レンズと、検出光路と、少なくとも1つの復調手段とを有する顕微鏡であって、
少なくとも1つの偏光変更要素が照明光路内に設けられており、該偏光変更要素には、位相影響度が異なる少なくとも2つの領域を有する位相板が後置されている、顕微鏡。
【請求項2】
前記偏光変更要素が、偏光回転要素である、請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記偏光回転要素が、電子光学的変調器(EOM)である、請求項2に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記位相板が、実質的に位相が影響を受けない領域と、位相が影響を受ける領域を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記位相が影響を受ける領域が、少なくとも1つの半波長板である、請求項4に記載の顕微鏡。
【請求項6】
復調のために、ロックイン増幅のような電子手段が設けられている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項7】
復調のためにAOMまたはEOMが設けられており、または少なくとも1つの音響光学的変調器(AOM)によって復調のための光線切換えが行われ、または復調のために検出器の動作方式が変更される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項8】
前記偏光変更要素と前記位相板との間に光ファイバが配置されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項9】
前記位相板が、偏光変更のためにそれ自体が回転可能に構成されている、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項10】
前記位相板が、空間的光変調器(SLM、Spatial Light Modulator)である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項11】
試料の光を顕微鏡で検出するための方法、特に、少なくとも1つの照明光線が集束のために顕微鏡対物レンズを介して照射され、該照明光線が、ある部分領域においてその断面に沿って位相変調される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の顕微鏡の駆動方法であって、
検出光路内で復調が行われ、
好ましくは試料内における照明の位相変調が、検出光路において強度変調に変換され、該強度変調が復調され、
少なくとも1つの位相変更要素、好ましくは位相回転要素によって偏光が変更され、位相影響度の異なる少なくとも2つの領域を有する位相板によって位相変調が生じる、方法。
【請求項12】
偏光回転要素として、電子光学的変調器(EOM)が使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
試料信号の測定により、異なる位相板間の交換の際に、またはSLMのような位相変調器の調整された変更の際に、測定結果の最適化に役立つ調節が行われる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの照明光線と、該照明光線を試料に集束するための顕微鏡対物レンズと、少なくとも1つの復調器を備える検出光路とを有する顕微鏡であって、
該照明光線が、少なくとも2つの光路に交互に分配され、
第1の光路とは異なる場モードを生じさせるための要素が光路の1つに設けられており、異なる場モードを有する該2つの光路が焦点で重畳される、顕微鏡。
【請求項15】
光路の切換えが偏光スイッチによって行われる、請求項14に記載の顕微鏡。
【請求項16】
前記偏光スイッチが、少なくとも1つの電子光学的変調器と、少なくとも1つの偏光スプリッタとからなる、請求項15に記載の顕微鏡。
【請求項17】
ガウスモードとは異なるモード、特にドーナツモードが引き起こされる、請求項14乃至16のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項18】
照明光線がAOMまたはAOTFを通過した後に、光路が2つの次数の光路として形成される、請求項14に記載の顕微鏡。
【請求項19】
前記光路が交互に形成され、反射器を介しAOMまたはAOTFを通って同じ光線方向に逆偏向される、請求項18に記載の顕微鏡。
【請求項20】
異なる場モードを引き起こすために、スパイラル位相マスクまたは回折光学要素または空間的光変調器(SLM)が使用される、請求項14乃至19のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項21】
複数の光線が設けられており、該複数の光線がそれぞれ光路に分割され、好ましくは該光路の1つで様々な場モードを生じさせるために複数の要素が設けられている、請求項14乃至20のいずれか1項に記載の顕微鏡。
【請求項22】
試料が少なくとも1つの照明光線により、集束のための顕微鏡対物レンズを介して照明され、検出光路内で少なくとも1つの復調が行われ、
該照明光線が少なくとも2つの光路に交互に分割され、光路の一方では他方の光路とは異なる場モードが引き起こされ、場モードの異なる2つの光路が焦点で重畳される、請求項14乃至21のいずれか1項に記載の顕微鏡検査方法。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載のレーザ走査顕微鏡およびレーザ走査顕微鏡の駆動方法のうちの少なくとも一方。
【請求項24】
位相板が様々な領域、特に位相遅延の異なる領域を有し、これらの領域が互いにλ/2の位相変化を有している、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項25】
音響光学的偏向器(デフレクタ)が設けられており、該音響光学的偏向器が照明光を交互にまたは同時に、好ましくは振幅を変調して少なくとも2つの光ファイバの入力端に偏向される、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項26】
偏光変更要素の後方に、少なくとも2つの光ファイバに入力結合するための入力結合手段が設けられている、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項27】
交互に光ファイバに入力結合され、または振幅変調により、少なくとも2つの光成分の時間に依存する重み付けがなされる、請求項1乃至26のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項28】
光ファイバへ、それぞれ偏光の向きの異なる入力結合が行われる、請求項1乃至27のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項29】
光ファイバの端部またはその出力結合部が偏光器において、異なって偏光された2つの光線成分が存在するように互いに向けられる、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項30】
異なる向きの偏光成分が、位相板を介して試料の方向に達する(位相板が光ファイバに後置されている)、請求項1乃至29のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項31】
位相板の後方に、調整可能な偏光器が配置されている、請求項1乃至30のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【請求項32】
位相板の後方で光線の一部分が、偏光分布およびAODの少なくとも一方、もしくはEOMを制御するために基準検出器上でフェードアウトされる、請求項1乃至31のいずれか1項に記載の顕微鏡または顕微鏡検査方法。
【図1】
【図2a】
【図2c】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2b】
【図2a】
【図2c】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2b】
【公開番号】特開2012−78802(P2012−78802A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189560(P2011−189560)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(506151659)カール ツァイス マイクロイメージング ゲーエムベーハー (71)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss MicroImaging GmbH
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(506151659)カール ツァイス マイクロイメージング ゲーエムベーハー (71)
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss MicroImaging GmbH
【Fターム(参考)】
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