説明

顕微鏡システム、荷電粒子顕微鏡を操作する方法

【課題】画像データのより効率的な取得及び解析を可能にする。
【解決手段】荷電粒子顕微鏡を操作する方法であって、第1設定で対象物の第1領域の第1画像を記録し、第2設定で対象物の第2領域の第2画像を記録する。第2設定は、一次荷電粒子の運動エネルギー、検出器設定、ビーム電流、測定チャンバ内の圧力の少なくとも1つに関して第1設定とは異なる。第1領域及び第2領域を少なくとも部分的に含む第3領域の第3画像を記録する。第3画像の少なくとも一部を表示し、表示した第3画像内に少なくとも部分的に第1画像の表現を表示する。第1画像の表現は第1設定を示す第1インジケータを含む。表示した第3画像内に少なくとも部分的に第2画像の表現を表示する。第2画像の表現は第2設定を示す第2インジケータを含み、表示した第2インジケータは表示した第1インジケータとは異なる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、荷電粒子顕微鏡を操作する方法、又は荷電粒子顕微鏡と異なるタイプの別の顕微鏡との組み合わせを操作する方法に関する。より詳細には、本発明は、異なる顕微鏡設定で取得した複数の画像を管理するための荷電粒子顕微鏡を操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡用途では通常、ユーザは、複数の小さな観察対象領域を突き止めるために、対象物の面積が大きいほど低い倍率で観察する必要がある。より小さな観察対象領域を突き止める場合、ユーザは、焦点を合わせ直して倍率を切り換える。これにより、ユーザは通常、ある倍率範囲に対応する対象物の画像セットを生成する。ユーザは、対象物特徴を識別するため又はさらなる画像を取得すべき対象物の場所を決定するために、この画像セットを閲覧しなければならない。
【0003】
しかしながら、大きく異なる倍率の画像を比較する場合、それらの相互関係を見ることは困難である。
【0004】
走査型電子顕微鏡の分野では、対象物の解析は多くの場合、それぞれが対象物の異なる特徴を示す種々の検出器構成の画像を用いることにより行われる。例えば、二次電子検出器(SE検出器)は、対象物のトポグラフィ特徴を識別することを可能にする。SE検出器の分解能は、通常は一次電子ビームのエネルギー30kVで1nm〜3.5nmであり、表面トポグラフィの極細部の分解を可能にする。
【0005】
後方散乱電子検出器(BSE検出器)が、通常は電子光学系の出口開口付近に配置されて、対象物から鋭角で反射又は後方散乱した電子を捕獲する。BSE信号の強度は、対象物の原子数(Z)に強く関連しているため、BSE画像は、試料中の化学元素の分布に関する情報を提供することができる。BSE検出器は、通常は複数のコンポーネントを有する固体デバイスである。例えば、4象限BSE検出器の4つの象限のうち2つを切り換えることにより、ある程度の陰影を作ることでより良いトポグラフィコントラストを得ることができる。
【0006】
さらに、走査型電子顕微鏡には、多くの場合にエネルギー分散型分光器(EDX検出器)が設けられる。一次電子ビームが対象物の原子から内核電子を除去すると、高エネルギー電子が原子の内核を満たしてエネルギーを放出する際に固有X線が放射される。これらの固有X線をEDX検出器により測定して、対象物の元素組成の識別及び特定元素の存在量の測定に用いることができるスペクトルを得る。
【0007】
したがって、走査型電子顕微鏡での対象物の総合的調査は、異なる検出器を用いて標本上の異なる場所から取得した異なる倍率の画像を調査することを含む。しかしながら、ユーザがこれらの画像の相互関係を判定することは通常困難であり、複雑な対象物の解析を時間がかかる作業にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、対象物の画像データのより効率的な取得及び解析を可能にする荷電粒子顕微鏡を操作する方法を提供することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態は、荷電粒子顕微鏡を操作する方法であって、第1設定で荷電粒子顕微鏡を用いて、対象物の第1領域の第1画像を記録するステップと、第2設定で荷電粒子顕微鏡を用いて、対象物の第2領域の第2画像を記録するステップであり、第2設定は、撮像に用いる一次荷電粒子の運動エネルギー、撮像に用いる検出器設定、撮像に用いる荷電粒子のビーム電流、及び荷電粒子顕微鏡の測定チャンバ内の圧力の少なくとも1つに関して第1設定とは異なる、第2画像を記録するステップと、荷電粒子顕微鏡を用いて、対象物の第3領域の第3画像を記録するステップであり、第1領域及び第2領域は第3画像に少なくとも部分的に含まれる、第3画像を記録するステップと、第3画像の少なくとも一部を表示するステップと、表示した第3画像内に少なくとも部分的に第1画像の表現を表示するステップであり、第1画像の表現は第1設定を示す第1インジケータを含む、第1画像の表現を表示するステップと、表示した第3画像内に少なくとも部分的に第2画像の表現を表示するステップであり、第2画像の表現は第2設定を示す第2インジケータを含み、表示した第2インジケータは表示した第1インジケータとは異なる、第2画像の表現を表示するステップとを含む、方法を提供する。
【0010】
本方法は、特にコンピュータ実装方法であり得る。荷電粒子顕微鏡は、例えば、電子顕微鏡又はヘリウムイオン顕微鏡であり得る。電子顕微鏡は、走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡であり得る。
【0011】
第3画像は、記憶媒体から読み取ることができる。記憶媒体は、コンピュータシステム又はデータベースの一部であり得る。付加的又は代替的に、第3画像は、信号線を介して光学顕微鏡又は荷電粒子顕微鏡から読み取ることができる。
【0012】
対象物の第1領域は、例えば、第1画像を取得するために荷電粒子ビームにより走査される対象物の領域であり得る。
【0013】
第1設定及び/又は第2設定は、第1画像の取得時に指定される荷電粒子顕微鏡の動作パラメータの設定として定義することができる。第1設定及び/又は第2設定は、電子ビームの運動エネルギー、撮像に用いる検出器設定、撮像に用いる荷電粒子のビーム電流、及び測定チャンバ内の圧力の少なくとも1つを含み得る。検出器設定は、画像の取得に用いる検出器のタイプ、画像の取得に用いる検出器の数、及び撮像に用いる1つ又は複数の検出器の動作パラメータの値の少なくとも1つを含み得る。測定チャンバは、真空チャンバとすることができる。圧力は、画像の取得時に測定することができる。
【0014】
撮像に用いる1つ又は複数の検出器の動作パラメータは、例えば、検出器電圧、撮像に用いる4象限BSE検出器の検出器セグメントの識別子、及び荷電粒子顕微鏡の対象物領域に対する検出器の配置を含み得る。
【0015】
例えば、走査型電子顕微鏡の場合、画像の取得に用いる検出器は、二次電子検出器(SE検出器)、インレンズ二次電子検出器(環状SE検出器)、後方散乱電子検出器(BSE検出器)、及び/又は後方散乱電子の検出用のインレンズ検出器の組み合わせからの1つ又は複数とすることができる。
【0016】
第3画像の少なくとも一部が表示される。第3画像は、コンピュータのディスプレイに表示することができる。コンピュータは、グラフィカルユーザインタフェースを備えることができ、グラフィカルユーザインタフェースは、その窓のレンダリング空間に第3画像を表示するよう構成される。
【0017】
第1画像の表現をディスプレイが表示される。第1画像の表現は、空白フレームを含むことができる。第1画像の表現に加えて、第1画像の少なくとも一部も表示することができる。例えば、第1画像が第3画像と重複しない領域を含む場合、非重複領域に対応する第1画像の画像データを非重複領域に表示することができる。
【0018】
第1画像の表現は、第3画像内に少なくとも部分的に表示される。換言すれば、第1画像は、第3画像内に位置していてもよく、又は第3画像と重複する領域及び第3画像と重複しない領域の両方を含んでいてもよい。
【0019】
本方法は、第1画像の表現が第3領域に対する第1領域の場所及び範囲を示すように、且つ/又はそれらに応じて変わるように、第1画像の表現を決定するステップを含み得る。
【0020】
第3領域に対する第1領域の場所は、第3領域の基準点に対する第1領域の基準点の変位を表す変位ベクトルにより表現することができる。さらに、第3領域に対する第1領域の場所は、第3領域に対する第1領域の向きを示す角度により表現することができる。換言すれば、第3領域に対する第1領域の場所は、剛体の直線位置及び角度位置と同様に表現することができる。
【0021】
範囲は、荷電粒子顕微鏡の光軸に対して垂直に測定した横方向範囲であり得る。横方向範囲は、対象物の撮像領域の表面トポグラフィを荷電粒子顕微鏡の物体平面に投影することにより測定することができる。
【0022】
第3領域に対する第1領域の範囲は、例えば、スケールファクタにより、又は第1スケールファクタ及び第2スケールファクタにより表現することができ、第1スケールファクタは第1座標軸に対応し、第2スケールファクタは第2座標軸に対応し、第1座標軸は第2座標軸と非平行である。
【0023】
第1画像の表現及び第2画像の表現のそれぞれが、インジケータを含む。インジケータは、各表現の色及び/又は幾何学的形状とすることができる。表現の幾何学的形状により表されるインジケータは、例えば、表現の線パターン及び/又は表現のアイコンであり得る。インジケータのそれぞれが、各画像を撮影した電子顕微鏡の設定を示す。例えば、赤色フレームは、SE検出器を用いて第1画像を取得したことを示すことができ、青色フレームは、BSE検出器を用いて第1画像を取得したことを示すことができる。
【0024】
インジケータのそれぞれを、事前定義インジケータの群から決定することができる。例えば、第1インジケータの色「赤」は、「赤」及び「青」の色群から選択することができる。
【0025】
第1インジケータは、第1画像の表現の場所及び形態により第1領域の場所及び範囲を示すのとは無関係に、荷電粒子顕微鏡の設定を示すことができる。したがって、第2インジケータは、第2画像の表現の場所及び形態により第2領域の場所及び範囲を示すのとは無関係に、荷電粒子顕微鏡の設定を示すことができる。
【0026】
第1インジケータ及び第2インジケータは、第3領域に対する第1領域及び第2領域の範囲及び場所とは無関係に、第1設定及び第2設定を含むことができる。これにより、第1インジケータ及び第2インジケータは、第1設定及び第2設定に関する追加情報を提供することができる。この追加情報は、検出器設定及び/又は一次荷電粒子ビーム設定を含み得る。
【0027】
第2インジケータは第1インジケータと異なる。例えば、第2インジケータは、第1インジケータと可視的に異なり得る。
【0028】
したがって、荷電粒子顕微鏡を効率的に操作することを可能にする方法が提供される。特に、本方法は、画像の情報をその文脈(すなわち、他の画像が提供する情報)と組み合わせる。これにより、ユーザが画像の特徴を対象物の特徴に関連付けて、対象物の総合的調査を行うのに必要な画像を決定しやすい。結果として、本方法は、短時間で複雑な対象物の徹底的且つ総合的調査を行うことを可能にする。
【0029】
一実施形態によれば、本方法は、光学顕微鏡及び荷電粒子顕微鏡を用いて第3画像を記録することをさらに含む。
【0030】
代替的に、本方法は、共焦点レーザ走査型顕微鏡、原子間力顕微鏡、又は走査型トンネル顕微鏡を用いて第3画像を記録するステップを含み得る。
【0031】
一実施形態によれば、第2インジケータは第1インジケータと異なり、その差は、第1設定及び第2設定の一次荷電粒子の運動エネルギーの差及び/又は第1設定及び第2設定の検出器設定の差を示し且つ/又はそれらに応じて変わる。
【0032】
例として、第1インジケータは、第1設定の検出器設定及び/又は荷電粒子ビームのエネルギーに応じて変わり得る。第2インジケータは、第2設定の検出器設定及び/又は荷電粒子ビームのエネルギーに応じて変わり得る。
【0033】
さらに別の実施形態によれば、第1画像の表現の形態及び場所は、対象物の第3領域に対する対象物の第1領域の範囲及び場所を示し且つ/又はそれらに応じて変わり、第2画像の表現の形態及び場所は、対象物の第3領域に対する対象物の第2領域の範囲及び場所を示し且つ/又はそれらに応じて変わる。
【0034】
第1画像及び第2画像の表現の形態及び場所は、第3画像の拡大率(magnification factor)に応じて決定することができる。第3画像の拡大率は、表示した第3画像の倍率として定義することができる。特に、第1画像の表現のサイズは、第1画像の範囲に拡大率を乗じる(multiplying the extent of the first image with the magnification factor)ことにより決定することができる。第3画像に対する第1画像の表現の場所は、第3領域に対する第1領域の場所に拡大率を乗じることにより決定することができる。
【0035】
さらに別の実施形態によれば、表示した第2インジケータは、表示した第1インジケータの色とは異なる色を有する。第1インジケータの色及び第2インジケータの色は、視覚的に区別可能であり得る。
【0036】
さらに別の実施形態によれば、表示した第2インジケータは、表示した第1インジケータの幾何学的形状とは異なる幾何学的形状を有する。第1インジケータの幾何学的形状は、第2インジケータの幾何学的形状から視覚的に区別可能であり得る。
【0037】
例えば、第1インジケータの幾何学的形状はアイコンを含むことができる。アイコンは、第1設定を示すことができる。アイコンは、例えば、第1画像の取得時に用いた検出器を表す記号を含むことができる。さらに別の例として、第1画像の表現はフレームを含むことができる。フレームの線パターンは、第1設定に応じて、実線、破線、及び一点鎖線の群から決定することができる。
【0038】
一実施形態によれば、荷電粒子顕微鏡は電子顕微鏡であり、第1検出器を第1画像の撮像に用い、第2検出器を第2画像の撮像に用い、第1検出器は、後方散乱電子に対する相対感度が第2検出器よりも高い。
【0039】
例えば、第1検出器はBSE検出器であり、第2検出器はSE検出器である。
【0040】
一実施形態では、一次荷電粒子の第1運動エネルギーを第1画像の撮像に用い、一次荷電粒子の第2運動エネルギーを第2画像の撮像に用い、第1運動エネルギーは、第2運動エネルギーの1.1倍又は1.5倍又は2倍大きい。
【0041】
さらに別の実施形態によれば、対象物の第1領域の横方向範囲は、対象物の第2領域の横方向範囲よりも大きく、第3画像と第1画像の表現及び第2画像の表現とをディスプレイ媒体に表示し、ディスプレイ媒体に表示した第1画像の表現の横方向範囲は、ディスプレイ媒体に表示した第2画像の表現の横方向範囲よりも大きい。
【0042】
第1領域の横方向範囲は、例えば、第1領域の直径、第1領域の面積、又は座標軸に沿った第1領域の長さであり得る。
【0043】
さらに別の実施形態によれば、対象物の第1領域の中心と対象物の第3領域の中心との間の線と、対象物の第2領域の中心と対象物の第3領域との間の線との間の角度は、第1角度であり、表示した第1画像の表現の中心と表示した第3画像の中心との間の線と、第2画像の表現の中心と表示した第3画像の中心との間の線との間の角度は、第2角度であり、第1角度と第2角度との間の差の絶対値は、30°未満である。
【0044】
第1角度と第2角度との間の差の絶対値は、10°未満、5°未満、又は1°未満であってもよい。
【0045】
したがって、ユーザは、表示した第1画像の表現及び表示した第2画像の表現と表示した第3画像とに基づき、第3領域に対する第1領域及び第2領域の場所を認識することが可能である。これにより、ユーザは、対象物のうちすでに撮像した部分と、それらの画像の取得に用いた荷電粒子顕微鏡の設定とを、表現から見ることが可能である。
【0046】
一実施形態によれば、第1画像の表現は、第1領域の横方向範囲を表し且つ/又はそれに応じて変わるフレームを含む。一実施形態では、第1表現は、第3画像内に表示され、第1フレームで囲んだ画像データは第1領域を表し、第2フレームで囲んだ画像データは第2領域を表す。
【0047】
フレームは、ディスプレイ上の領域を画定するよう接続及び配置した線を含み得る。換言すれば、フレームは、空白円又は矩形等の空白多角形とすることができる。フレームが第3画像の完全に内側に位置する場合、フレームで囲んだ領域に、第3画像の画像データ値が表示される。フレームが第3画像と重複しない領域を有する場合、第1画像の画像データを非重複領域に表示することができる。フレームが第3画像の外側に位置する場合、第1画像の画像データを表示した第3フレームの外側のフレーム内に表示することができる。表示した第3画像に対するフレームの形態は、第3画像の範囲に対する対象物の撮像領域の範囲に対応し得る。特に、表示した第3画像のサイズに対するフレームのサイズは、第3領域の範囲に対する対象物の第1領域の範囲に対応し得る。第3画像に対するフレームのサイズは、フレームのサイズ割る第3画像のサイズで表すことができる。表示した第3画像に対するフレームの場所は、第3領域に対する第1領域の場所に対応し得る。フレームの形態及び場所は、表示した第3画像の拡大率に応じて決定することができる。第3画像の拡大率は、表示した第3画像の倍率として定義することができる。特に、フレームのサイズは、第1画像の範囲に拡大率を乗じることにより決定することができる。第3画像に対するフレームの場所は、第3領域に対する第1領域の場所に拡大率を乗じることにより決定することができる。
【0048】
一実施形態によれば、本方法は、第1画像の表現及び第2画像の表現の一方を選択することにより第1画像及び第2画像の一方を選択するステップと、選択画像を表示するステップとをさらに含む。さらに別の実施形態によれば、第1表現及び/又は第2表現は、選択可能であるよう構成される。さらに別の実施形態によれば、本方法は、第1画像及び第2画像の少なくとも一方の表現を選択した後に第1画像及び第2画像の少なくとも一方を表示するステップをさらに含む。さらに別の実施形態によれば、本方法は、第1表現及び第2表現の少なくとも一方を選択した後に第1表現及び第2表現の少なくとも一方が提供するリンクのリストを表示するステップを含む。
【0049】
表現を選択するステップは、マウスのポインタで表現を選択するステップを含み得る。
【0050】
一実施形態によれば、ディスプレイ媒体上に表示した選択画像の横方向範囲は、ディスプレイ媒体上に表示した各画像の表現の横方向範囲よりも大きい。
【0051】
一実施形態によれば、本方法は、表示した第3画像内の領域を選択するステップと、表示した第3画像内の選択領域に基づき対象物の第4領域を決定するステップと、荷電粒子顕微鏡を用いて対象物の第4領域の画像を記録するステップとをさらに含む。荷電粒子顕微鏡は電子顕微鏡であり得る。
【0052】
したがって、ユーザは、表示した第3画像に基づき、また表示した第1画像の表現及び第2画像の表現に基づき、対象物のうち画像を取得すべき領域を識別することが可能である。
【0053】
さらに別の実施形態によれば、対象物の第4領域のサイズは、対象物の第3領域のサイズの少なくとも10分の1である。
【0054】
一実施形態によれば、本方法は、第2顕微鏡を用いて対象物の第5領域の第5画像を記録するステップと、第3画像内に少なくとも部分的に第5画像の表現を表示するステップであり、第5画像の表現は第2顕微鏡を示すインジケータを含む、第5画像の表現を表示するステップとをさらに含む。
【0055】
第2顕微鏡を示すインジケータは、第1インジケータ及び第2インジケータとは異なり、特に視覚的に異なり得る。第5画像は、第3画像内に少なくとも部分的に表示させることができる。第5画像は、第2設定で第2顕微鏡を用いて記録することができる。第2顕微鏡を示すインジケータは、第2顕微鏡の設定さらに示すことができる。
【0056】
第2顕微鏡は、光学顕微鏡とすることができる。光学顕微鏡は、画像センサの検出器表面上に対象物領域を結像させる光学系を備え得る。代替的に、第2顕微鏡は、共焦点レーザ走査型顕微鏡、原子間力顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡、又は当該技術分野で既知の任意のタイプの顕微鏡とすることができる。
【0057】
したがって、異なる顕微鏡技術を用いて取得した画像データを結合する方法が提供される。これにより、ユーザが異なる顕微鏡を組み合わせることにより対象物の徹底的且つ総合的調査を行うことが可能である。
【0058】
一実施形態によれば、第3画像に対する第1画像の表現の形態及び場所は、対象物の第3領域に対する対象物の第1領域の範囲及び場所に対応し、第3画像に対する第2画像の表現の形態及び場所は、対象物の第3領域に対する第2領域の範囲及び場所に対応する。
【0059】
第1画像の表現の形態は、例えば四辺形とすることができ、四辺形の角度のそれぞれは90°以外である。これにより、この表現は、第1領域が第3領域に対して傾斜していることを示す。一実施形態によれば、第1表現の形態又はインジケータは、角度が0°よりも大きい場合、第3画像の撮像方向に対する第1画像の撮像方向の角度を示す。撮像方向は、画像の取得時の荷電粒子顕微鏡又は光学顕微鏡の光軸と平行な方向として定義することができる。撮像方向は、対象物の座標系に対して表される。これにより、ユーザは、少なくとも部分的に同じ対象物部分を示すが異なる撮像方向から撮像される画像を識別することが可能である。これは、表面トポグラフィの特徴を決定することを可能にし得る。
【0060】
電子顕微鏡は、荷電粒子顕微鏡の対象物領域に対して対象物を回転させるよう構成される位置決めシステムを備えることができる。これにより、第1画像、第2画像、及び第3画像は、荷電粒子光学系の対象物領域に対する対象物の種々の向きに対応し得る。
【0061】
さらに別の実施形態によれば、第3画像の表示、第1画像の表現の表示、及び第2画像の表現の表示は、事前選択可能な観察方向に応じて行われる。
【0062】
例として、第1画像の表現が、第1領域が第3領域に対して傾斜していること、又は第1領域の撮像方向及び第3領域の撮像方向が0°よりも大きな角度を形成することを示す場合、ユーザは、第1画像の表現が矩形又は正方形として示されるよう観察方向を変えることができ、これは、第1画像の取得時に観察方向が荷電粒子顕微鏡の光軸と平行であること、又は観察方向が第1画像の撮像方向と平行であることを示す。続いて、第1画像と第3画像の表現とを表示することができ、第3画像の表現の場所は、第1領域に対する第3領域の場所及び範囲を示し且つ/又はそれらに応じて変わる。
【0063】
一実施形態によれば、本方法は、荷電粒子ビームと対象物との相互作用領域からスペクトル及び/又は回折パターンを取得すること、及び第3画像内に少なくとも部分的にスペクトル及び/又は回折パターンの表現を表示することをさらに含み、スペクトル及び/又は回折パターンの表現は、スペクトル及び/又は回折パターンのインジケータを含む。
【0064】
スペクトルは、例えば、X線スペクトル、二次イオン質量スペクトル、又はカソードルミネッセンススペクトルとすることができる。回折パターンは、例えば、回折後方散乱電子のパターンとすることができる。X線スペクトルは、例えば、エネルギー分散型分光器(EDX分光器)又は波長分散型分光器(WDS分光器)により測定することができる。回折後方散乱電子のパターンは、例えば、電子後方散乱回折検出器(EBSD検出器)により取得することができる。
【0065】
第3画像に対するスペクトル及び/又は回折パターンの表現の場所は、第3画像の場所に対する相互作用領域の場所を示し且つ/又はそれに応じて変わり得る。スペクトル及び/又は回折パターンの表現は、例えば、マーク又は空白フレームとすることができる。スペクトル及び/又は回折パターンの表現は選択可能であり得る。スペクトル及び/又は回折パターンの表示したインジケータは、画像の表現のインジケータと異なることにより、スペクトル又は回折パターンの存在を示すことができる。スペクトルの表現のインジケータは、回折パターンの表現のインジケータとは異なり得る。インジケータは、スペクトル及び/又は回折パターンの特徴を示し且つ/又はそれに応じて変わり得る。例えば、スペクトルのインジケータは、スペクトルにより明らかとなる元素を示し且つ/又はそれに応じて変わり得る。さらに、例として、回折パターンのインジケータは、結晶方位を示し且つ/又はそれに応じて変わり得る。
【0066】
さらに別の実施形態によれば、本方法は、第3画像内のアイコンの場所にアイコンを表示することをさらに含み、アイコンは、アイコンのデータオブジェクトへの少なくとも1つのリンクを提供するよう構成される。
【0067】
アイコンは、ユーザにより第3画像内の選択した場所に配置可能とすることができ、第3画像はこれによりアイコンの場所を取得する(which gets the location of the icon)。アイコンの定義に必要なデータは、データファイルに保存することができる。データオブジェクトはメタデータを含み得る。データオブジェクトは、データ型のインスタンスであり得る。データ型は、基本データ型又は複素数データ型であり得る。複素数データ型は、例えば、データ構造又はクラスであり得る。データオブジェクトの生成は、データファイルの内容を抽出すること及び/又はデータベースに要求を送ることを含み得る。例として、リンクの少なくとも1つは、コンピュータネットワークを介してデータオブジェクトに対するアクセスを提供することができる。例えば、リンクはウェブリンクであり得る。データオブジェクトは、リンクが指すアプリケーションデータファイルの内容を抽出することにより生成することができる。ファイルは、テキスト、画像データ、ビデオデータ、及び/又はオーディオデータを含むことができる。このようなファイルの例は、ワードプロセッサファイル、オーディオファイル、スプレッドシートファイル、スライドプレゼンテーションファイル、画像ファイル、ビデオファイル、及びオーディオファイルである。例として、データオブジェクトは、対象物から得た測定データ、対象物に関する情報、測定プロセスに関する情報、荷電粒子顕微鏡に関する情報、及び/又は光学顕微鏡に関する情報を含む。例として、測定データは、荷電粒子顕微鏡で取得した粒子顕微鏡画像、荷電粒子ビームと対象物との相互作用領域からのスペクトル及び/又は回折パターンであり得る。測定データは、評価ルーチンを画像の少なくとも1つに適用することにより生成したデータをさらに含むことができる。対象物に関する情報は、オブジェクト識別子又はオブジェクト作成のパラメータを含むことができる。測定プロセス又は顕微鏡システムに関する情報は、例えば、対象物を位置決めする位置決め装置のための制御信号とすることができ、制御信号は、アイコンの場所、荷電粒子顕微鏡の倍率、又は光学顕微鏡の倍率を示す。データオブジェクトは、音声記録、テキスト文書、スペクトル、カメラ画像、録画、録音、荷電粒子顕微鏡画像、及び光学顕微鏡画像の1つ又は組み合わせに対応し得る。付加的又は代替的に、データオブジェクトは、顕微鏡システムのコンピュータ及び/又はリモートコンピュータに記憶させることができる。
【0068】
荷電粒子顕微鏡は、アイコンが選択可能であるよう構成することができる。アイコンの選択は、マウスのポインタでのアイコンの選択を含むことができる。アイコンの選択後、グラフィカルユーザインタフェースがダイアログボックスを表示することができる。ダイアログボックスは、少なくとも1つのリンクのリストを表示するよう構成することができ、リンクは、リンクのリストに対して付加可能又は削除可能である。ダイアログボックスは、1つ又は複数のリンクのうちのリンクを起動可能であるようさらに構成することができる。リンクを起動すると、データオブジェクトの内容の少なくとも一部を表示することができる。グラフィカルユーザインタフェースは、アイコンが同じ画像内の異なる場所又は異なる画像内の異なる場所に変位可能であるよう構成することができる。
【0069】
アイコンは、アイコンの少なくとも1つのリンクの数、リンクが指すデータオブジェクトのデータ型、データオブジェクトのコンテンツ、及びデータオブジェクトを生成するファイルのファイルタイプの1つ又は複数を示すインジケータを含み得る。インジケータは、アイコンの幾何学的形状及び/又は色とすることができる。例えば、アイコンは、リンクしたデータオブジェクトが音声記録に対応する場合、オーディオカセットの記号の形態であり得る。
【0070】
一実施形態によれば、本方法は、第3画像内のアイコンの場所にアイコンを配置すること、及びリンクをアイコンに加えることをさらに含む。アイコンの場所にアイコンを配置することは、第3画像の画像領域を選択するステップを含み得る。その領域を定義するパラメータを、アイコンを定義するデータの一部として保存することができる。これにより、アイコンのデータオブジェクトは、選択画像領域に割り当てられる。
【0071】
さらに別の実施形態によれば、本方法は、第1画像を表示するステップと、第1画像内の場所にアイコンを表示するステップとをさらに含み、第1画像内の場所は、対象物のうち第3画像内のアイコンの場所に対応する部分に対応する。
【0072】
したがって、第1画像が表示されている場合、アイコンは、ユーザが当初第3画像内にアイコンを配置した場所に対応する場所に表示されたままとなる。これにより、ユーザは、対象物の表面上の選択した場所に情報を付加することが可能であり、この情報は、どの画像データがディスプレイに表示されるかに関係なくユーザがアクセス可能である。表示は、第1画像の表現を選択した後に行うことができる。
【0073】
アイコンのデータオブジェクトが生成された時間を示すデータ値を、アイコンに割り当てることができる。これにより、アイコンのデータオブジェクトと実質的に同時に取得した画像のみにアイコンを表示することが可能である。例えば、アイコンは、第1画像セットと実質的に同時に生成したコメントを表すことができる。続いて、アイコンは、対象物のうちアイコンの場所に対応する部分を示す、第1画像セットの一部である画像のみに表示することができる。
【0074】
さらに別の実施形態によれば、第1画像の表現は、第1画像のデータオブジェクトへの少なくとも1つのリンクを提供するよう構成される。さらに別の実施形態によれば、第3画像は、第3画像のデータオブジェクトへの少なくとも1つのリンクを提供するよう構成される。
【0075】
表現及び/又は画像のリンクと、リンクが指すデータオブジェクトとは、アイコンのリンク及びデータオブジェクトに関連して説明したのと同様に構成することができる。
【0076】
表現は、1つ又は複数の画像の画像データへのリンクを提供するよう構成することができる。例として、第1画像の表現は、第1画像の画像データへのリンクを提供することができる。第1画像の表現は、1つ又は複数のさらなる画像へのリンクも提供することができる。共通の表現にリンクした画像のそれぞれが、対象物の同じ部分を少なくとも部分的に示すことができる。画像は、例えば、各画像の取得に用いる検出器設定で互いに異なり得る。例として、画像の表現は、BSE画像へのリンク及びSE画像へのリンクを提供することができ、両方の画像が対象物表面の同じ部分を示す。
【0077】
表現の識別子は、データオブジェクトのデータ型及びデータオブジェクトの内容の一方又は両方に応じて変わり得る。例えば、表現は、テキスト文書へのリンクを提供する場合に破線で見られ得る。
【0078】
一実施形態によれば、本方法は、少なくとも1つのリンクにさらに別のリンクを加えることをさらに含む。これにより、ユーザは、さらなる情報を画像の表現に付加することが可能である。
【0079】
さらに別の実施形態によれば、少なくとも1つのリンクの1つは、表現の選択により起動可能である。例として、表現を選択した後、少なくとも1つのリンクのリストが表示される。リンクのリストに表示されたリンクのそれぞれは、例えばマウスのポインタで選択可能であるよう構成される。リンクを起動することにより、ユーザは、データオブジェクトの内容にアクセスすることができる。
【0080】
実施形態によれば、荷電粒子顕微鏡のユーザインタフェースを操作する方法であって、対象物の第1領域の第1画像を読み取るステップであり、第1画像は荷電粒子顕微鏡の第1設定に対応する、第1画像を読み取るステップと、対象物の第2領域の第2画像を読み取るステップであり、第2画像は荷電粒子顕微鏡の第2設定に対応し、第2設定は、撮像に用いる一次荷電粒子の運動エネルギー、撮像に用いる検出器設定、撮像に用いる一次荷電粒子のビーム電流、及び荷電粒子顕微鏡の測定チャンバ内の圧力の少なくとも1つに関して第1設定とは異なる、第2画像を読み取るステップと、対象物の第3領域の第3画像を読み取るステップであり、第1領域及び第2領域は第3領域に少なくとも部分的に含まれる、第3画像を読み取るステップと、第3画像の少なくとも一部を表示するステップと、表示した第3画像内に少なくとも部分的に第1画像の表現を表示するステップであり、第1画像の表現は第1設定を示す第1インジケータを含む、第1画像の表現を表示するステップと、表示した第3画像内に少なくとも部分的に第2画像の表現を表示するステップであり、第1画像の表現は第2設定を示す第2インジケータを含み、表示した第2インジケータは表示した第1インジケータとは異なる、第2画像の表現を表示するステップとを含む、方法が提供される。これらの実施形態は、前述の実施形態のいずれか1つと組み合わせることができる。
【0081】
ユーザインタフェースは、コンピュータのグラフィカルユーザインタフェースであり得る。本方法は、コンピュータ実装方法であり得る。本方法を実施するためのグラフィカルユーザインタフェースを有するコンピュータは、顕微鏡と信号接続してもよく、又は顕微鏡から分離されたコンピュータであってもよい。画像は、コンピュータのメモリ又はデータベースから読み取ることができる。画像は、荷電粒子顕微鏡又は光学顕微鏡から取得することができる。換言すれば、第1画像、第2画像、及び第3画像からなる群を、光学顕微鏡、荷電粒子顕微鏡、又は光学顕微鏡及び荷電粒子顕微鏡の組み合わせを用いて取得することができる。
【0082】
第1画像は第1設定に対応し、第2画像は第2設定に対応する。換言すれば、第1画像は、第1設定で荷電粒子顕微鏡を用いて取得され、第2画像は、第2設定で荷電粒子顕微鏡を用いて取得される。
【0083】
実施形態によれば、上述の実施形態による方法を実施するよう構成される荷電粒子顕微鏡が提供される。
【0084】
本発明の上記特徴及び他の有利な特徴は、添付図面を参照して以下の本発明の例示的な実施形態の説明からより明確になるであろう。本発明の可能な実施形態の全てが、本明細書で特定される利点のひとつひとつ又はいずれかを必ずしも示すとは限らないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】Aは、チャンバ搭載SE検出器を用いて取得した走査型電子顕微鏡の画像を示す。Bは、インレンズSE検出器を用いて取得した走査型電子顕微鏡の画像を示す。
【図2】例示的な実施形態による顕微鏡システムの概略図である。
【図3】例示的な実施形態による方法を示すフローチャートである。
【図4A】例示的な実施形態による「オリエンテッドビュー(oriented view:標定ビュー)」モードでのグラフィカルユーザインタフェースの概略図である。
【図4B】対象物の撮像領域と図4Aに示す例示的な実施形態によるグラフィカルユーザインタフェースに示す画像及び表現との対応関係の図である。
【図5】「グリッドビュー(grid view)」モードでの図4Aに示すグラフィカルユーザインタフェースの概略図である。
【図6】「観察方向選択」モードでの図4Aに示すグラフィカルユーザインタフェースの概略図である。
【図7】「タイムラインビュー(time line view:時系列ビュー)モード」での図4Aに示すグラフィカルユーザインタフェースの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1A及び図1Bは、電子顕微鏡により取得した画像を示す。図1Aの顕微鏡写真は、チャンバ搭載SE検出器を用いて撮影した。チャンバ搭載SE検出器の画像は、対象物の大規模なトポグラフィ特徴の識別を可能にする。
【0087】
図1Bは、インレンズSE検出器を用いて取得した。
【0088】
図1AのSE画像は、ある程度のトポグラフィ情報を大規模に示すが、インレンズ画像は、トポグラフィ及び組成のコントラストを示し、帯電又はエッジ強調効果を抑制する。
【0089】
しかしながら、図1Aと図1Bとを比較すると、それらが同じ対象物を示しているのか、また図1Aの撮像対象物領域が図1Bの撮像対象物領域と重複しているのかが、画像を見ただけでは判断し難い。
【0090】
この問題は、対象物から取得した画像が広範囲の倍率をカバーしている場合が多いことにより特に悪化する。走査型電子顕微鏡の倍率は、最大6桁という比較的広範囲にわたって制御することができる。
【0091】
したがって、対象物の画像データのより効率的な取得及び解析を可能にする荷電粒子顕微鏡を操作する方法を提供することが望ましいと考えられる。
【0092】
図2は、例示的な実施形態による顕微鏡システム1を示す。顕微鏡システム1は、電子顕微鏡2及び光学顕微鏡3を備える。電子顕微鏡2は、対物レンズ25を備える電子光学系23を有する。電子光学系23は、電子のビームを対象物10に集束可能であるよう設計し、対象物10は、位置決めシステム22により電子光学系23の対象物領域に位置決めされる。コンピュータ4を電子光学系23と信号通信させる。コンピュータ4は、信号線54上で伝送される信号を介して電子光学系23を制御するよう構成される。電子顕微鏡2は、後方散乱電子検出器24(BSE検出器ともいう)及び二次電子検出器26(SE検出器ともいう)を備える。BSE検出器24は、対象物領域の上流に配置され、電子光学系23の出射開口を包囲する。コンピュータ4は、信号線51を介してBSE検出器と信号通信する。コンピュータ4は、BSE検出器から信号線51を介してコンピュータ4に伝送される、画像データを表す信号を読み取るよう構成される。コンピュータは、信号線51を介してBSE検出器の設定を制御するようさらに構成される。電子顕微鏡2は、二次電子検出器26(SE検出器ともいう)をさらに備える。したがって、顕微鏡システム2は、2つの電子検出器を備え、BSE検出器24は、後方散乱電子に対する感度がSE検出器26よりも高い。
【0093】
SE検出器26は、信号線52を介してコンピュータ4と信号通信する。コンピュータ4は、SE検出器26から伝送される、画像データを表す信号を読み取るよう構成される。コンピュータ4は、信号線52を介してSE検出器の設定を制御するようさらに構成される。
【0094】
電子顕微鏡2は、真空チャンバ21及び真空ポンプシステム27をさらに備える。真空ポンプシステム27及び真空チャンバ21は、電子顕微鏡2の設定に応じて、真空チャンバが高真空と約22Torrとの間の真空に排気可能であるよう設計する。
【0095】
電子顕微鏡2は、位置決めシステム22をさらに備える。位置決めシステム22は、6軸ステージとして設計される。換言すれば、位置決めシステム22に搭載して対象物10を取り付ける対象物ホルダ11が、位置決めシステム22により6自由度で可動である。対象物ホルダ11が1自由度〜5自由度で可動であるよう位置決めシステム22を構成することも考えられる。信号線55を介して、コンピュータ4は、位置制御信号を位置決めシステム22に伝送し、電子光学系23の対象物領域に対して対象物10を位置決めさせる。
【0096】
コンピュータ4は、位置決めシステム22に伝送した位置制御信号を記録するようさらに構成される。コンピュータ4は、対象物10の位置を制御するために記録した信号に基づき電子ビームにより撮像される対象物10の領域の場所を決定するよう構成される。例えば、コンピュータ4は、記録した位置制御信号から、電子顕微鏡2により撮像した第1領域に対する電子顕微鏡2により撮像した第2領域の位置及び向きを決定することができる。
【0097】
例えば、コンピュータ4は、SE検出器26又はBSE検出器24から第1画像を表す信号を検索した後に位置制御信号を位置決めシステム22に伝送し、対象物をx軸に沿って50マイクロメートル変位させることができる。続いて、コンピュータは、電子光学系23に第2画像を取得させる制御信号を発生する。第1画像の撮像領域に対する第2画像の撮像領域は、続いてx軸に沿って−50マイクロメートルずらすよう決定され得る。
【0098】
第1画像の取得と第2画像の取得との間で、コンピュータ4は、電子光学系23の設定を変更することもできる。コンピュータ4は、信号線54を介して電子光学系23に視野制御信号を伝送して電子光学系23の視野を制御するよう構成される。例えば、概観画像の視野を、詳細画像よりも広い視野及び低い分解能で撮影することができる。コンピュータ4は、視野を設定するために電子光学系23に伝送した制御信号を記録するよう構成される。
【0099】
したがって、コンピュータ4は、位置制御信号及び視野制御信号に基づき、対象物10の2つの撮影領域の相対的な位置及び向きを計算するよう構成される。
【0100】
付加的又は代替的に、第1画像及び第2画像が重複する場合、コンピュータ4は、第1画像及び第2画像の画像データ値に対して画像処理ルーチンを行うことにより、第1画像の視野に対する第2画像の視野を決定するよう構成することができる。例えば、コンピュータ4は、画像内の表面トポロジのエッジを突き止めるためにエッジ検出フィルタを適用することができる。これにより、電子顕微鏡2の分解能に対応する精度で、第1画像の撮影領域に対する第2画像の撮影領域を決定することが可能である。
【0101】
電子顕微鏡2は、電子光学系23の電子ビームが対象物10と相互作用する相互作用領域から放出したX線のエネルギー分解検出用のEDX検出器28をさらに備える。
【0102】
EDX検出器28は、信号線57を介してコンピュータと信号通信する。コンピュータ4は、EDXスペクトルを表す信号を受け取り、スペクトルのデータを含むファイルを生成するよう構成される。しかしながら、コンピュータ4とは別個のさらなるコンピュータが信号線57を介してEDXと信号通信することも考えられる。コンピュータ4は、コンピュータ4が発生して信号線55を介して位置決めシステム22に伝送した位置決め信号を記録するようさらに構成される。コンピュータは、粒子光学系23の動作パラメータから電子光学系23の作動距離を決定するようさらに構成される。コンピュータ4は、粒子光学系23の動作パラメータの値に応じて、また位置決めシステム22に伝送して記録した位置決め信号から、第3画像の撮影領域に対する相互作用領域の場所を計算するよう構成される。EDX検出器に加えて、又はその代わりに、電子顕微鏡3は、波長分散型分光器(WDS分光器)、電子後方散乱回折検出器(EBSD検出器)、又は当該技術分野で既知の荷電粒子又は放出光用の任意の他の分光器の少なくとも1つを備えることができる。
【0103】
顕微鏡システム1は、光学顕微鏡3をさらに備える。光学顕微鏡3、電子顕微鏡2、及び試料ホルダ11は、試料ホルダ11が光学顕微鏡3と電子顕微鏡2との間で移送可能であるよう設計することができる。図2では、これを矢印12で示す。光学顕微鏡3は、位置決めシステム34をさらに備える。光学顕微鏡3の位置決めシステム34は、対象物ホルダ11に取り付けた対象物10が光学顕微鏡3の光学系の対象物領域に対して位置決め可能であるよう設計される。光学顕微鏡3の光学系は、対物レンズ31及び結像レンズ系32を備える。光学顕微鏡3の光学系は、光学顕微鏡3の光学系の対象物領域を光学顕微鏡3の画像センサ33に結像させるよう設計される。コンピュータ4は、信号線53を介して画像センサ33の信号を受け取り、受け取った信号から画像データを生成するよう構成される。
【0104】
コンピュータ4の代替として、第1コンピュータを、信号線56を介して光学顕微鏡3の位置決めシステム34と信号通信させると共に信号線53を介して画像センサ33と信号通信させ、第2コンピュータを、信号線55を介して電子顕微鏡の位置決めシステム22と信号通信させると共に信号線54を介して電子光学系23と信号通信させることも考えられる。第1コンピュータ及び第2コンピュータは、別個のものとすることができる(すなわち、これらは共通のコンポーネントを共有しない)。第1コンピュータ及び第2コンピュータのそれぞれが、共通のデータネットワーク上でのデータ通信用のネットワークインタフェースを備えることも考えられる。第1コンピュータ及び第2コンピュータは、データベースとデータ通信することができ、データベースは、電子顕微鏡2又は光学顕微鏡3により取得した画像を記憶するよう構成される。
【0105】
コンピュータ4は、ディスプレイ41を備える。コンピュータ4は、位置決めシステム22及び34の位置制御信号に基づきコンピュータ4の動作を指示するために、機械読取り可能媒体42内に常駐するグラフィカルユーザインタフェースをさらに備える。
【0106】
試料ホルダ11は、試料ホルダ11の上面11Aに印を備えることができる。印は、光学顕微鏡3及び電子顕微鏡2により撮像可能である。例えば、印は、光学顕微鏡3での撮像に用いる波長の光に対して反射性であるよう設計することができる。印は、電子顕微鏡2により撮像可能なトポグラフィ又は化学組成をさらに含むことができる。コンピュータ4は、印を光学顕微鏡3の画像及び電子顕微鏡2の画像において検出可能であるよう構成される。コンピュータ4は、光学顕微鏡3により取得した画像の撮像領域に対する電子顕微鏡2により取得した画像の撮像領域の場所及び範囲をこれらの画像において検出した印に基づき決定するようさらに構成される。
【0107】
図3は、例示的な実施形態を示すフローチャートである。この実施形態は、図2に示す顕微鏡システム1を参照して説明する。第1画像、第2画像、及び第3画像を、電子顕微鏡2又は光学顕微鏡3を用いて記録する(100)。画像のそれぞれは、対象物の各領域を撮像することにより生成される。例えば、対象物の表面の領域を電子光学系23の電子ビームで走査することにより、画像を電子顕微鏡2により取得する。光学顕微鏡3により取得する画像は、対象物の一領域を画像センサ33に結像することにより取得する。コンピュータ4は、電子顕微鏡2の設定及び/又は光学顕微鏡3の設定から第1画像、第2画像、及び第3画像の領域のそれぞれの横方向範囲を決定するよう構成される。決定した横方向範囲は、第1画像、第2画像、及び第3画像間の相対範囲であり得る。領域の横方向範囲は、例えば、直径、面積、又は座標軸に沿った長さであり得る。
【0108】
コンピュータ4は、第3領域に対する第1領域及び第2領域それぞれの場所及び範囲を決定する(102)ようさらに構成される。コンピュータ4は、コンピュータ4のディスプレイ41に第3画像を表示する(103)。第1画像の表現及び第2画像の表現を、フレームを表示することによりディスプレイ41に表示し、表示した第3画像に対するフレームの形態は、第3領域の範囲に対する対象物の撮像領域の範囲に対応する。
【0109】
コンピュータ4は、第1画像の表現に関する第1識別子と、第2画像の表現に関する第2識別子とを決定する(104)ようさらに構成される。続いて、第1画像の表現及び第2画像の表現を、それらの識別子で表示する(105)。例えば、第1画像の表現は、赤色フレームを有するディスプレイ41に表示することができ、これは第1画像を電子顕微鏡2のSE検出器26を用いて取得したことを示す。これに対応して、第2画像の表現は、青色フレームを有するディスプレイ41に表示することができ、これはこの画像を電子顕微鏡2のBSE検出器24を用いて取得したことを示す。
【0110】
第1画像の表現及び第2画像の表現それぞれが、選択可能であるよう構成される。換言すれば、コンピュータ4は、表現がユーザからの入力により選択可能であるよう構成される。例えば、コンピュータ4は、第1画像及び/又は第2画像のフレームがマウスのポインタで選択されるまで待機ループに留まることができる(106)。
【0111】
コンピュータ4は、第1画像の表現の選択時にディスプレイ41に第1画像を表示する(107)ようさらに構成される。したがって、第2画像の表現の選択時には、第2画像がディスプレイ41に表示される。
【0112】
図4Aは、例示的な実施形態によるコンピュータディスプレイ41に表示されたグラフィカルユーザインタフェース200を示す。図4Aに表示されているようなグラフィカルユーザインタフェース200を、図2に表示されているような顕微鏡システム1を参照して説明する。グラフィカルユーザインタフェース200は、レンダリング空間210を備える。レンダリング空間210は、顕微鏡システム1の電子顕微鏡2及び光学顕微鏡3を用いて生成した画像をレンダリングするよう構成される。グラフィカルユーザインタフェース200は、ディレクトリツリービュー220をさらに備える。ディレクトリツリービュー220は、階層リストにディレクトリ221及びファイル名222を表示するよう構成される。コンピュータ4は、ディレクトリツリービュー220におけるディレクトリ221の選択時に、選択したディレクトリ221に含まれる画像ファイル222が画像群として選択され、画像群の各画像がレンダリング空間210に画像として又は表現として表示されるよう構成することができる。グラフィカルユーザインタフェース200は、グリッドビュー選択用のボタン231、オリエンテッドビュー選択用のボタン230、及びタイムラインビュー選択用のボタン234を備えるコマンドバーをさらに備える。これにより、グラフィカルユーザインタフェースは、グラフィカルユーザインタフェース200のオリエンテッドビューモード、グリッドビューモード、及びタイムラインビューモード間で切り換え可能であるよう構成される。コマンドバーは、拡大率を入力するための入力フィールド232をさらに備える。図4Aは、オリエンテッドビューモードでのグラフィカルユーザインタフェース200を示す。
【0113】
ディレクトリツリービュー220におけるディレクトリ221の選択時に、コンピュータ4は、ディレクトリ221における画像から第3画像212を決定する。第3画像212は、グラフィカルユーザインタフェース200のレンダリング空間210に表示される。第3画像212は、例えば、ディレクトリ221における画像のうち最大視野を有する画像を決定することにより決定することができる。第3画像212は、対象物特徴217を示す。さらに、選択画像群からの第1画像の表現211が、レンダリング空間210に表示される。第1画像の表現211は、フレームを含む。第1画像の表現211のフレームは、実線パターンである第1インジケータを含み、これは画像が電子顕微鏡2のSE検出器26を用いて取得されたことを示す。
【0114】
コンピュータは、第3画像の画像データと同時に第3画像の表現を表示するようにも構成することができる。したがって、図4Aでは、第3画像212に同じく実線を含むフレームが設けられ、これは画像が電子顕微鏡2のSE検出器26を用いて取得されたことを示す。
【0115】
コンピュータ4は、選択画像群の第2画像の表現213を表示するようさらに構成される。第2画像の表現213は、一点鎖線パターンである第2インジケータを含み、これは第2画像がBSE検出器24を用いて取得されたことを示す。
【0116】
コンピュータ4は、コンピュータ4のマウスのポインタ240での関心領域214の選択時に、ディレクトリ221における選択画像群の全画像から選択した関心領域214に対応する画像データ値を識別するようさらに構成される。
【0117】
したがって、ユーザは、各画像において関心領域で選択された対象物の共通領域に対応する部分を直接比較することが可能である。これにより、ユーザが種々の顕微鏡設定の画像に現れる対象物特徴を識別しやすい。
【0118】
コンピュータは、ユーザによる関心領域240の選択時に、第4画像を電子顕微鏡で撮影する対象物領域を画定するようさらに構成される。
【0119】
グラフィカルユーザインタフェース200には、第5画像の表現216も示す。第5画像の表現216は、90°以外の4つの角度を有する四辺形を含む。これにより、第5画像の表現216は、第5画像が第3画像212の撮像領域に対して傾斜した対象物の撮像領域に対応すること、及び/又は第5画像の撮像方向及び第1画像の撮像方向が0°よりも大きな角度を形成することを示す。
【0120】
コンピュータ4は、第1スペクトルの表現218及び第2スペクトルの表現219を表示するようさらに構成される。第1スペクトル及び第2スペクトルは、電子顕微鏡2のEDX検出器28を用いて取得したものである。第1スペクトルの表現218は、フレームを含む。このフレームは、電子ビームが対象物と相互作用しX線を放出した相互作用領域の場所を示す。第1スペクトルの表現218は、第1スペクトルの名称「スペクトル1」を含む識別子をさらに含む。グラフィカルユーザインタフェース200は、第1スペクトルの表現218が選択可能であるようさらに構成される。第1スペクトルの表現218を(例えば、マウスのポインタを用いて)選択すると、スペクトルがレンダリング空間210に表示される。
【0121】
コンピュータ4は、アイコン250、251を第3画像212内の場所に配置可能であるようさらに構成される。アイコンのそれぞれが、データオブジェクトへの少なくとも1つのリンクを提供する。例えば、第1アイコン250は、コメントのテキストを含むデータオブジェクトへのリンクを提供する。テキストは、機械読取り可能媒体42(図2に示す)のファイルに記憶される。ユーザがマウスのポインタでアイコンを選択すると、グラフィカルユーザインタフェース200は、ダイアログボックスを表示してユーザによるリンクの起動を可能にする。リンクの起動後に、コンピュータ4は、ワード処理アプリケーションを起動してワード処理アプリケーションでテキストファイルを開く。第2アイコン251は、音声記録を含むデータオブジェクトへのリンクを提供する。ユーザが第2アイコン251のリンクを起動すると、コンピュータは、音声記録を再生するアプリケーションを起動する。
【0122】
コンピュータ4は、データオブジェクトへの1つ又は複数のリンクを画像及び/又はスペクトルの表現のそれぞれに加えることができるようさらに構成される。リンクのそれぞれは、あるデータ型のデータオブジェクトを指す。データオブジェクトは、例えば、各画像が取得されたときに荷電粒子顕微鏡の設定を参照するデータを含むことができる。データは、撮像に用いる一次荷電粒子の運動エネルギー、撮像に用いる検出器設定、撮像に用いる一次荷電粒子のビーム電流、及び測定チャンバの圧力の1つ又は組み合わせを含み得る。付加的又は代替的に、データオブジェクトは、オブジェクト作成のステージ及び/又はオブジェクト作成のパラメータ等、オブジェクトを参照するデータを含むことができる。リンクの起動は、各画像又はスペクトルの表現を(例えば、マウスのポインタで)選択することを含み得る。これにより、ユーザがデータオブジェクトにアクセス可能である。
【0123】
第1アイコン250は、第1画像の表現211内に配置される。第1画像の表現211を選択することにより、第1画像の画像データがディスプレイに表示される。さらに、第1アイコン250も、第1画像内で、第1アイコン250が第3画像212内に配置されている場所に対応する場所に表示される。
【0124】
したがって、アイコンは、ディレクトリ221の選択画像群における画像の画像データのうちどれがレンダリング空間210に示されるかに関係なく、ユーザが対象物表面上の特定の場所に関連する情報にアクセスすることを可能にする。
【0125】
図4Bは、対象物の撮像領域が画像とグラフィカルユーザインタフェース200に示された画像の表現とに対応する様子を概略的に示し、グラフィカルユーザインタフェース200については図4Aを参照して説明した通りである。図4Bは、対象物の表面上に位置しており電子顕微鏡2により撮像した対象物特徴217Aを示す。対象物217Aを、第1画像を取得するために対象物の第1領域311を画定する第1視野で撮像する。続いて、位置決めシステム22を制御することにより、顕微鏡の視野の中心を対象物上の点Pから点Qにずらすように対象物を光軸に対して横方向に移動させる。さらに、視野の横幅を広げる。新たな位置において、第3領域312を走査することにより第3画像を取得する。続いて、位置決めシステム22を制御することにより、視野の中心を点Qから点Rにずらして視野の横幅を狭めるように対象物を横方向に再度移動させる。続いて、第2領域313を走査することにより第2画像を取得する。
【0126】
第3画像212と第1画像の表現211及び第1画像の表現213とは、図4Aに示すグラフィカルユーザインタフェース200により表示される。第3画像212に対する第1画像の表現211の場所及び形態は、第3領域312に対する第1領域311の相対的な場所及び範囲に応じて変わり且つ/又はそれらを示すように決定される。したがって、第3画像212に対する第2画像の表現213の場所及び形態は、第3領域312に対する第2領域313の相対的な場所及び範囲に応じて変わり且つ/又はそれらを示すように決定される。これを図4Bに両方向矢印350で示す。
【0127】
第1領域311の中心と第3領域312の中心との間の第1線及び第2領域313の中心と第3領域312の中心との間の第2線が、角度ωを形成する。第3画像212の中心と第1画像211の中心との間の第3線及び第3画像212の中心と第2画像213の中心との間の第4線が、角度Ωを形成する。ωとΩとの間の絶対差は、30°未満となる。これにより、第3画像212と比較した第1画像211及び第2画像213の相対的場所は、第3領域312と比較した第1領域311及び第2領域313の相対的場所を示す。
【0128】
図5は、ユーザが例えばグラフィカルユーザインタフェース200のコマンドバーにあるグリッドボタン231をマウスのポインタ240で選択することによりグリッドビューモードを選択した場合の、図4Aを参照して説明したグラフィカルユーザインタフェース200を示す。図5に示すように、選択したディレクトリ221における全画像がレンダリング空間210に並んで表示される。グリッドビューモードでは、第1スペクトル258及び第2スペクトル259も画像と並んで表示される。
【0129】
さらに、アイコン250、251のリンクが指すデータオブジェクトのそれぞれについて、データオブジェクトの表現又はデータオブジェクトの内容の少なくとも一部が表示される。例えば、アイコン250(図4Aに示す)のリンクが指すテキスト252が少なくとも部分的に表示される。さらに、リンクボタン253が、アイコン251(図4Aに示す)のリンクが指すオーディオファイルへのアクセス用に表示される。したがって、表現及びアイコンによりオリエンテッドビューモードでユーザに対して表示される全情報が、ここではユーザに同時に提示される。図4Aに示すように、各画像に、第3画像212内にアイコンを配置した場所に対応する対象物部分を示す領域がある場合、グリッドビューモードで示される画像のそれぞれに、アイコン250、251が表示される。これにより、グリッドビューモードで示された画像内に表示されているアイコンを選択することにより、アイコンのリンクが指すデータオブジェクトにアクセスすることも可能である。
【0130】
図6は、「観察方向設定」ボタン233をマウスのポインタで選択した場合の、図4Aを参照して説明したようなグラフィカルユーザインタフェースを示す。図6に表示した画像は、図2の顕微鏡で撮像したものであり、電子顕微鏡2において、位置決めシステム22を用いて対象物10を電子光学系23の対象物領域に対して回転させたものである。
【0131】
図6に示すように、画像262は、グラフィカルユーザインタフェース200のレンダリング空間210に表示される。さらに、第1画像261、第2画像263、第4画像264、及び第5画像265の表現が表示される。これらの画像それぞれの表現は、フレームを含み、フレームそれぞれの場所及び形態は、第3画像262の撮像領域に対する各撮像領域の場所及び範囲を示す。表現に加えて、第1画像261、第2画像263、第4画像264、及び第5画像265の画像データも各表現内に表示される。
【0132】
さらに、第1スペクトルの表現266及び第2スペクトルの表現267がレンダリング空間210に表示される。第3画像262に対する第1スペクトルの表現266の場所は、第3画像の撮像領域に対する第1スペクトルの相互作用領域の場所に応じて変わる。第2スペクトルの表現267の場所は、第2画像の撮像領域に対する第2スペクトルの相互作用領域の場所に応じて変わる。
【0133】
ユーザがコマンドバーの「観察方向設定」ボタン233を選択した場合、ユーザは、例えばマウスの移動又はキーボードの矢印キーの使用により観察方向を変えることが可能である。選択可能な観察方向は、図6に矢印271及び270で示す。
【0134】
図7は、ユーザが例えばコマンドバーの「タイムライン」ボタン234をマウスのポインタで選択することによりライムラインモードを選択した場合の、図4Aを参照して説明したようなグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【0135】
タイムラインモードでは、画像、スペクトル、及びデータオブジェクトのそれぞれが、それらの生成時間に関して時間順の配置で表示される。換言すれば、任意の2つのオブジェクト(すなわち、画像、スペクトル、及びデータオブジェクト)に関して、左側の位置に配置されるオブジェクトの方が先に生成されたものである。これにより、グラフィカルユーザインタフェース200内の水平軸が時間座標軸を表す。これを矢印260で概略的に示す。
【0136】
したがって、タイムラインモードにより、ユーザは、生成時間に関する画像、スペクトル、及びデータオブジェクトの相互関係に関する概観を把握することができる。
【0137】
さらに、画像は、画像の取得に用いた検出器設定に応じてレンダリング空間210に配置される。図7に示すように、画像280及び282は、後方散乱電子検出器(BSE検出器)を用いて取得した画像を表示するためのレンダリング空間210の第1部分223に表示される。画像281及び283は、二次電子検出器(SE検出器)を用いて取得した画像を表示するためのレンダリング空間210の第2部分224に表示される。表現、画像、又はアイコンにリンクした他の画像、スペクトル、及びデータオブジェクト全てのために、レンダリング空間210の第3部分225が設けられる。図7に示すように、第1スペクトル258、テキスト252、及びオーディオファイルへのアクセス用のリンクボタン253は、レンダリング空間210の第3部分225に表示される。
【0138】
タイムラインビューでも、アイコン(第1アイコン250及び第2アイコン251等)を、アイコンが第3画像212(図4Aに示す)に配置される場所に対応する画像の場所に表示することができる。これにより、タイムラインビューでも、画像に表示されたアイコンを選択することにより、アイコンにリンクしたデータオブジェクトにアクセス可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子顕微鏡を操作する方法であって、
第1設定で荷電粒子顕微鏡を用いて、対象物の第1領域の第1画像を記録するステップと、
第2設定で前記荷電粒子顕微鏡を用いて、前記対象物の第2領域の第2画像を記録するステップであり、前記第2設定は、撮像に用いる一次荷電粒子の運動エネルギー、撮像に用いる検出器設定、撮像に用いる一次荷電粒子のビーム電流、及び前記荷電粒子顕微鏡の測定チャンバ内の圧力の少なくとも1つに関して前記第1設定とは異なる、前記第2画像を記録するステップと、
前記対象物の第3領域の第3画像を読み取るステップであり、前記第1領域及び第2領域は前記第3領域に少なくとも部分的に含まれる、前記第3画像を読み取るステップと、
前記第3画像の少なくとも一部を表示するステップと、
前記表示した第3画像内に少なくとも部分的に前記第1画像の表現を表示するステップであり、前記第1画像の表現は前記第1設定を示す第1インジケータを含む、前記第1画像の表現を表示するステップと、
前記表示した第3画像内に少なくとも部分的に第2画像の表現を表示するステップであり、前記第2画像の表現は前記第2設定を示す第2インジケータを含み、該表示した第2インジケータは前記表示した第1インジケータとは異なる、前記第2画像の表現を表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、光学顕微鏡又は前記荷電粒子顕微鏡を用いて前記第3画像を記録するステップをさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記表示した第2インジケータは、前記表示した第1インジケータの色とは異なる色を有し、且つ/又は前記表示した第2インジケータは、前記表示した第1インジケータとは異なる幾何学的形状を有する、方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法において、前記荷電粒子顕微鏡は電子顕微鏡であり、第1検出器を前記第1画像の撮像に用い、第2検出器を前記第2画像の撮像に用い、前記第1検出器は、後方散乱電子に対する相対感度が前記第2検出器よりも高い、方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法において、前記対象物の前記第1領域の横方向範囲は、前記対象物の前記第2領域の横方向範囲よりも大きく、
前記第3画像と前記第1画像の表現及び前記第2画像の表現とは、ディスプレイ媒体に表示され、
前記ディスプレイ媒体に表示した前記第1画像の表現の横方向範囲は、前記ディスプレイ媒体に表示した前記第2画像の表現の横方向範囲よりも大きい、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法において、前記対象物の前記第1領域の中心と前記対象物の前記第3領域の中心との間の線と、前記対象物の前記第2領域の中心と前記対象物の前記第3領域の中心との間の線との間の角度は、第1角度であり、
前記表示した第1画像の表現の中心と前記表示した第3画像の中心との間の線と、前記表示した第2画像の表現の中心と前記表示した第3画像の中心との間の線との間の角度は、第2角度であり、
前記第1角度と前記第2角度との間の差の絶対値は、30°未満である、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法において、前記第1画像の表現は、前記第1領域の横方向範囲を表すフレームを含む、方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法において、
前記第1画像の表現及び前記第2画像の表現の一方を選択することにより、前記第1画像及び前記第2画像の一方を選択するステップと、
前記選択画像を表示するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、ディスプレイ媒体上に表示した前記選択画像の横方向範囲は、前記ディスプレイ媒体上に表示した各画像の表現の横方向範囲よりも大きい、方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法において、
前記表示した第3画像内の領域を選択するステップと、
前記表示した第3画像内の前記選択領域に基づき前記対象物の第4領域を決定するステップと、
電子顕微鏡を前記荷電粒子顕微鏡として用いて前記対象物の前記第4領域の画像を記録するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法において、
第2顕微鏡を用いて前記対象物の第5領域の第5画像を記録するステップと、
前記第3画像内に少なくとも部分的に前記第5画像の表現を表示するステップであり、該第5画像の表現は前記第2顕微鏡を示すインジケータを含む、前記第5画像の表現を表示するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法において、前記第3画像に対する前記第1画像の表現の形態及び場所は、前記対象物の前記第3領域に対する前記対象物の前記第1領域の範囲及び場所に対応し、
前記第3画像に対する前記第2画像の表現の形態及び場所は、前記対象物の第3領域に対する前記第2領域の場所及び範囲に対応する、方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法において、
前記荷電粒子顕微鏡の荷電粒子ビームと前記対象物との相互作用領域からスペクトル及び/又は回折パターンを取得するステップと、
前記第3画像内に少なくとも部分的に前記スペクトル及び/又は回折パターンの表現を表示するステップであり、前記スペクトル及び/又は回折パターンの表現は前記スペクトル及び/又は回折パターンのインジケータを含む、前記スペクトル及び/又は回折パターンを表示するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法において、前記第3画像内のアイコンの場所にアイコンを表示するステップをさらに含み、該アイコンは、該アイコンのデータオブジェクトへの少なくとも1つのリンクを提供するよう構成される、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記第1画像を表示するステップと、
前記第1画像内の場所に前記アイコンを表示するステップであり、前記第1画像内の前記場所は、前記対象物のうち前記第3画像内の前記アイコンの場所に対応する部分に対応する、前記アイコンを表示するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法において、前記第1画像の表現は、該第1画像のデータオブジェクトへの少なくとも1つのリンクを提供するよう構成される、方法。
【請求項17】
荷電粒子顕微鏡のユーザインタフェースを操作する方法であって、
対象物の第1領域の第1画像を読み取るステップであり、該第1画像は前記荷電粒子顕微鏡の第1設定に対応する、第1画像を読み取るステップと、
前記対象物の第2領域の第2画像を読み取るステップであり、該第2画像は前記荷電粒子顕微鏡の第2設定に対応し、該第2設定は、撮像に用いる一次荷電粒子の運動エネルギー、撮像に用いる検出器設定、撮像に用いる前記一次荷電粒子のビーム電流、及び前記荷電粒子顕微鏡の測定チャンバ内の圧力の少なくとも1つに関して前記第1設定とは異なる、第2画像を読み取るステップと、
前記対象物の第3領域の第3画像を読み取るステップであり、前記第1領域及び前記第2領域は前記第3領域内に少なくとも部分的に含まれる、前記第3画像を読み取るステップと、
前記第3画像の少なくとも一部を表示するステップと、
前記表示した第3画像内に少なくとも部分的に前記第1画像の表現を表示するステップであり、該第1画像の表現は前記第1設定を示す第1インジケータを含む、前記第1画像の表現を表示するステップと、
前記表示した第3画像内に少なくとも部分的に第2画像の表現を表示するステップであり、該第2画像の表現は前記第2設定を示す第2インジケータを含み、該表示した第2インジケータは前記表示した第1インジケータとは異なる、前記第2画像の表現を表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記第1画像の表現及び前記第2画像の表現の一方を選択することにより、前記第1画像及び前記第2画像の一方を選択するステップと、
前記選択画像を表示するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法において、前記第3画像を光学顕微鏡又は前記荷電粒子顕微鏡を用いて記録した、方法。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法において、前記第1画像の表現は、前記第1領域の横方向範囲を表すフレームを含む、方法。
【請求項21】
請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法において、
前記荷電粒子顕微鏡の荷電粒子ビームと前記対象物との相互作用領域からスペクトル及び/又は回折パターンを読み取るステップと、
前記第3画像内に少なくとも部分的に前記スペクトル及び/又は回折パターンの表現を表示するステップであり、前記スペクトル及び/又は回折パターンの表現は前記スペクトル及び/又は回折パターンのインジケータを含む、前記スペクトル及び/又は回折パターンを表示するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項22】
荷電粒子顕微鏡を備える顕微鏡システムであって、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法を実施するよう構成される、顕微鏡システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−99481(P2012−99481A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−240527(P2011−240527)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(505326689)カール ツァイス エヌティーエス リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS SMT LIMITED
【Fターム(参考)】