説明

顕微鏡法

本発明は、複数の顕微鏡画像の向上した空間位置識別を提供する画像システム(100)に関する。画像システム(100)は、光(120a)を生成するための光源(102)と、画像化されるスポットのアレイ(109)を備えているテストプレート(108)と、テストプレート(108)上に光(120)を集光する集光レンズ(104)と、テストプレート(108)に対して光(120b)の焦点面を移動するための移動メカニズムと、個々のスポット(109)から複数の原画像を取得するよう構成された検出システム(112)と、画像システム(100)内のテストプレート(108)の相対的位置を正確に示しているデータを生成するために、複数の画像を処理するよう動作する画像処理デバイス(114)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡法(microscopy)に関し、特に、空間的位置識別を向上させるために、顕微鏡画像の画像処理を行う方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡法では、例えば、大規模逆トランスフェクション低分子干渉リボ核酸(siRNA)アレイ(a large scale reverse transfection small interfering ribonucleic acid (siRNA) array)で用いられる、スポットのアレイの高解像度画像を形成することが知られている。
しかし、そのようなアレイを画像化する際に必要となる要件は、多数の画像位置とアレイ特性(例えば、何千ものsiRNAスポット)との精確なアラインメント及びレジストレーションである。
この要件[1〜13]に対処するために、様々なアプローチが取られてきた。そのひとつが、スポットされたアレイ(spotted array)をアレイプレートの枠に対して精確に位置決めさせて、一連の特定の座標で画像を取得することにより、画像位置とアレイスポットを一致させることである。
【0003】
しかしながら、今日までの経験では、プレートの大きさ及び形状の差異、アレイ形状の差異、及びステージの位置決めの差異が、アレイ全体における画像からスポットへのレジストレーションに累積的な誤差をもたらしている。
したがって、特性−画像レジストレーションの誤差の修正を可能にするために、基準マーカスポットが用いられ、画像化、及びそれに続く、各特性を画像化する間の修正的なステージ移動後の特性−画像レジストレーションのアラインメントによって、アレイ特性の位置が特定される。
このようなアプローチは、アレイの画像化に求められる必要な正確性を提供することはできるが、長時間を要してしまう。例えば、各修正のためのステージ移動は、各画像取得時間に約0.2秒を加えるので、何千もの画像が必要とされる場合は、アレイの全領域を画像化するのにかかる合計時間は、非常に長くなる。
【0004】
先行技術
Biodiscovery, Inc.による米国特許第6,990,221号は、「DNAアレイ画像のセグメンテーション及び解析の自動化」を開示し、ユーザによって規定されたグリッドであって、既知の数及び配置のスポット特性に対応しているグリッドを用いて、複数のDNAスポットに関する単一フレーム画像をセグメント化する方法を説明している。この単一画像上に重ねられたグリッドがシフトかつ/又は歪曲されることにより、アレイスポットに対応している極めて高い強度値の領域上に、グリッドポイントを持っていく。
【0005】
Niles Scientific, Inc.による米国特許第6,980,677号は、「生物学的マイクロアレイにおいて定義されたスポットを発見するための方法、システム及びコンピュータコード」を開示し、単一画像内においてマイクロアレイスポットを見つける方法を開示している。ここでアレイ特性は、スポットのない分離領域によって分離された標準的な長方形であるスポットグループに配置される。画像の処理及びセグメンテーションが周波数フィルタを用いて適用され、周波数は分離領域のスペーシングに対応している。この処理により、分離領域の識別ができるので、スポットグループの位置を特定することが可能になる。
【0006】
Affymetrix, Inc.による米国特許第6,789,040号は、「基板のスキャニング領域を特定するためのシステム、方法、及びコンピュータソフトウェア製品」を開示し、アレイヤ(arrayer)マネージャ及びスキャナ制御アプリケーションが記載されている。アレイヤマネージャは、ユーザが規定した位置におけるアレイスポットのプリンティングを制御し、スポットの位置をx,y座標として記憶する。スキャナ制御アプリケーションは、記憶された位置データを受信して、特定された位置を画像化するためにアレイをスキャンする。
【0007】
Koninklijke Philips Electronics N.V.による国際公開第2008/065634号は、「自動的にマイクロアレイ画像を複合する方法」を開示し、捕捉した画像を回転かつ/又は歪曲してスポットの所定のグリッド位置に対応させてスポット特性の強度測定をできるようにする、コーナー及びスポットのラインの検出を用いた反復調整によって、光学式走査による歪みを単一のマイクロアレイ画像から取り除く方法を開示している。
【0008】
日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社による米国特許第7,359,537号は、「DNAマイクロアレイイメージ解析システム」を開示し、学習した特性により、単一マイクロアレイの画像において欠陥のあるアレイスポットを自動的に識別してフラグ付けをする、マイクロアレイイメージ解析プログラムを記載している。
【0009】
Affymetrix, Inc.による米国特許第7,130,458号は「スキャン画像のアラインメントのためのコンピュータソフトウェアシステム、方法及び製品」を開示し、解析グリッドを単一マイクロアレイ画像に適用する方法を開示している。第1のグリッドがアレイに適用されて、各グリッド位置でスポットの存在がチェックされる。スポットを含んでいないグリッド位置があれば、画像内のアレイスポットの想定上の位置からのずれを明らかにするために、追加的なグリッドが適用される。
【0010】
Rea他による米国特許出願第2004/208350号は、「アレイ化されたエレメントの検出、解像及び識別」を開示し、光学薄膜アレイを解析するための画像解析ワークステーションについて説明している。この画像解析ワークステーションは、アレイ化されたエレメントを測定するために、画像を回転し、画像エッジを発見し、所定グリッドを適用するためのソフトウェア方法を支援している。
【0011】
BioMachines, Inc.による米国特許第6,673,315号は「生体基質上のサイトにアクセスするための方法及び装置」を開示し、生物学的被分析物を支持している基質上の関心領域を特定するための、広範囲の基準マーカ及び局所的な基準マーカの用途を開示している。この装置は、広範囲のマーカ及び局所的なマーカのそれぞれを識別するために使用されるマクロ画像及びマイクロ画像を含んでいる。
【0012】
University of British Columbiaによる米国特許第6,826,313号は「ボリュームデータセットを作成するための方法及び自動システム」を開示し、基準マーキングを用いてアラインメントされた複数のアナログ画像から抽出された平面データセットを組み合わせることにより、定量的なボリュームデータセットを生成するための方法を説明している。アナログ画像から抽出されたデータは、基準マーカを使用して2次元空間でアラインメントされて、3次元ボリュームデータのマトリクスで用いられる。
【0013】
Cognex Corpoarationによる米国特許第6,798,925号は「画像取得システムを較正する方法及び装置」を開示し、マシンビジョンシステムにおけるアラインメント及びキャリブレーションのための基準マークの用途を開示している。基準マークは、画像処理によって生じた回転的変化又は平行移動的変化を修正するために使用される。
【0014】
Packard BioChip Technologies LLCによる米国特許第6,362,004号は「マイクロアレイ基板上での基準マークを使用するための装置及び方法」を開示し、マイクロアレイ基板上での基準マークの用途を記載している。記憶されたマーク位置が、画像移動及び画像回転を適用するために使用されることで、異なる蛍光マーカを有する画像にわたるマイクロアレイスポットをレジスタリングできるようにするために、同一の領域で異なる画像波長で取得された画像内の全ての基準マーク間の距離を最小化する。
【0015】
Tamarack Storage Devicesによる米国特許第5,940,537号は「画像の形状的歪みを補償するための方法及びシステム」を開示し、2次元画像における画像の多岐にわたる歪みを修正するために基準マークを使用する方法を開示している。画像内の既知のレイアウトに対応している基準点の特定が、画像の回転、画像のワーピング、又は他の操作を可能にして、画像内の基準マークを既知のレイアウトにすることができるので、画像の歪みを修正することができる。
【0016】
Stuelpnagel他による米国特許出願第2002/150909号は「ランダムに整列されたアレイにおける自動的情報処理」を開示し、ランダムな姿勢のアレイの画像化及び解析について説明している。アレイは、表面上にランダムに分散されたビード(beads)を含んでおり、表面は少なくとも1つの既知の基準マーカ位置を有している。アレイは画像化され、そしてランダムに分散されたビードの位置が記録されて、解析グリッドが生成され、基準に対するビードの位置を記録する。それからアレイに被分析物を接触させ、被分析物を検出するためにアレイが画像化される。解析グリッドが被分析物画像に適用されて、被分析物画像内のグリッドに示された位置に存在する被分析物信号の量を決定する。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、上述した従来の顕微鏡画像技術の欠点を念頭において考案されたものである。
本発明の第1の態様では、複数の顕微鏡画像の空間的位置識別の向上を提供するための画像システムが提供される。この画像システムは、光を生成するための光源と、画像化されるスポットのアレイを備えているテストプレートと、テストプレート上に集光する集光レンズと、テストプレートに対して光の焦点面を移動するための移動メカニズムと、個々のスポットから複数の原画像を取得するよう構成された検出システムと、画像システム内のテストプレート及びアレイを成す個々のエレメントの相対的位置を示しているデータを生成するために、複数の画像を処理するよう動作する画像処理デバイスと、を備えている。
【0018】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様による画像システムで使用されるテストプレートが提供される。
本発明の第3の態様では、複数の顕微鏡画像を空間的にレジスタリングする方法が提供される。この方法は、画像システム内のテストプレートの相対的位置を示すデータを生成するために、スポットの複数の原画像を処理するステップを含んでいる。
【0019】
本発明の様々な実施形態では、複数の原画像のそれぞれが、そこに含まれている情報量を低減するために処理され、処理された情報量が低減した画像から合成画像が形成され、合成画像内の少なくとも1つの基準マーカの空間的位置が識別されて、少なくとも1つの基準マーカの空間的位置から、画像システム内のテストプレートの相対的位置を示すデータが生成される。
【0020】
画像システム内のテストプレートの相対的位置を示すデータを生成することにより、本発明の種々の態様は、例えばステッピングステージの、累積的なトラッキングエラーを補償することができ、かつ顕微鏡画像の空間的位置をより迅速に識別することができる。
加えて、本発明の種々の実施形態は、向上した空間的位置識別を自動的に提供することが可能であり、複雑で高価なハードウェア変更を従来の画像システムに加える必要もなく、大幅に追加処理要件を加える必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による、顕微鏡画像を生成かつ解析するための画像システムを示す図である。
【図2】本発明の種々の態様及び実施形態による、複数の顕微鏡画像を取得かつ処理するための方法を示す図である。
【図3】本発明の種々の実施形態に係る処理のワークフロー図である。
【図4】本発明の一態様に係る、GE IN Cell Analyzer1000(商標)装置を用いて取得された単一のスポットの高解像度画像、及び該画像から取得された情報量が低減された種々の画像を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る、情報量が低減された複数の画像から形成された合成画像を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態により生成された特性座標マップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による、顕微鏡画像を生成かつ解析するための画像システム100を示している。明確にするために概略的に示した画像システム100は、光120aを生成するための光源102を備えている。
光120aは集光レンズ104によってテストプレート108上に集光される。テストプレート108は、画像化されるスポットのアレイ109を備えている。集光レンズ104は、光120bをテストプレート108の焦点面に集光する。テストプレート108は、消耗品として提供され、スポット109は、特定のタイプのセル(例えば、哺乳類のセル)と相互に作用することができる種々の物質を含んでいる。
【0023】
一実施形態では、テストプレートは、約80mm×120mmの大きさを有する新しいタイプのものである。このプレートが通常の小型のプレートと異なるのは、サイズがより大きくて、より小さなスポットを有している、という点である。
通常の小型のプレートは、スポットの数が少なくて、単一ブロックにおけるプリンティングに適しているので、スポッティング処理で生じる誤差は小さく、この場合、より大きなスポット(例えば、スポットの直径d≫画像幅Wの場合)の使用と組み合わせることにより、スポット上にあるセルで画像満たす筒、所定の位置での画像化が可能となる。
【0024】
それに対して、本発明の一態様によって対処される1つの問題は、アレイが大きくて、スポッティングロボットによる複数ブロックのプリンティング(完璧なグリッドからのずれを生じさせるようなもの)を必要とする場合に生じ、また、所望数のスポットを利用可能な領域に収めるために必要な小さなサイズのスポットと組み合わせることでデバイスの寸法公差が大きくなり、画像とスポット位置とをアラインメントするタスクが難しくなる場合に生じる。
【0025】
例えば、さまざまな好適な実施形態では、スポット109は、スポット109上に満たされた溶液に与えられたセル内にある特定の遺伝子を、不活性化させることができる低分子干渉リボ核酸(siRNA)鎖を含んでいる。さまざまな実施形態では、何千、何万ものスポット109が単一のアレイに提供可能である。例えば、スポット109のアレイは、例えば、1000以上の数、5000以上の数、10,000以上の数、20,000以上の数(例:22,528)等のスポット109を有する大きなアレイである。
【0026】
様々な実施形態では、テストプレート108は、画像システム100内でテストプレート108のアラインメントを補助するために提供された、少なくとも1つの基準マーカ(不図示)を備えている。例えば、1又は複数の有色色素がスポット109内に与えられる。有色色素は、画像システム100内のテストプレート108の相対的な位置決めに関するデータを抽出するために、種々の画像システムによって識別することが可能である。例えば、画像システム100は、英国バッキンガムシャー、リトル・チャルフォントのGEヘルスケアライフサイエンスによって市販されているGE IN Cell Analyzer1000(商標)であり、これは4つのカラーチャンネルを用いてテストプレート108を画像化することができる。したがって、さまざまなスポット109に与えられた有色基準マーカを画像化するために1つのカラーチャンネルが専用にされて、画像システム100内のテストプレート108の相対的な位置決めに関するデータを抽出する。
【0027】
画像システム100はまた、検出システム112及び移動(translation)機構(不図示)備えている。移動機構は、テストプレート108に対する光120bの焦点を移動する(例えば、テストプレート108をx−y面で移動する)よう構成される。これにより、複数の画像を、個々のスポット109のそれぞれから捕捉することができる。また、移動メカニズムは、例えば、スポット109に焦点を合わせるために、図1に示されたz方向にテストプレート108を移動するよう動作可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、一度に1つのスポットのみが画像化される。取得された画像は、セル及びセル内組織を解像するのに充分な倍率のものである。最新のGE IN Cell Analyzer1000(商標)では、つまり20倍の対物レンズを用いると、その視野は単一のスポットよりもやや小さくなる。しかし、本発明の種々の方法は、例えば、GE IN Cell Analyzer1000(商標)で4〜6スポット/画像を画像化するために4倍の対物レンズを用いる等、低倍率での画像化にも有効である。このような実施形態に関しては、画像をダウンサイジングして、モンタージュ化し、これら複数のスポットを発見するために解析をする処理は、単一のスポットの画像化のための処理と同一であるが、より少ない画像を用いてアレイ全体をカバーすることができる。
【0029】
開口絞り106は、光源102と検出システム112との間にオプションで設けられ、そのサイズは可変である。例えば、さまざまな異なるサイズの可動絞りがローテーションで配置されるか、又は連続的に変化する虹彩型絞りが設けられてもよい。画像コントラストは、開口絞り106の絞りの設定を変更することによって制御することができる。
【0030】
開口絞り106を通過した集光された光120bは、透過画像モードでテストプレート108を通過する。ある一個のスポット109に近接した物質に関する画像情報によって変調された、発生光(emergent light)120cは、対物レンズ110によって集められ、検出システム112上に集光されて(120d)、そのスポット109に関する原画像を形成するために使用される。
【0031】
本発明の方法のさまざまな実施形態は、使用されている画像化モダリティから独立している、すなわち、透過配置又は反射配置(transmission or reflection geometry)で動作することができる。GE IN Cell Analyzer1000(商標)での画像化に関しては、落射蛍光モード(epi-fluorescence mode)が使用され、基準マーカのスポットとセルからの分析信号との両方が異なる励起波長及び発光波長で画像化されている。しかし、画像モードを混合して使用することを妨げるものは、それらが干渉するものでなければ、原則的に何もない。例えば、標準マーキングとして非蛍光色素を用いて、反射配置又は透過配置での吸光度によって基準マーカを検出し、その一方で落射蛍光による分析信号を検出することができる。
【0032】
検出システム112は、テストプレート108からの複数の未処理画像すなわち原画像を取得するよう動作する。検出システム112は、画像処理デバイス114とも接続して動作し、今度は画像処理デバイス114が複数画像を処理するよう動作して、画像システム100内のテストプレート108の相対的位置を示すデータを生成することができる。例えば、データは、さまざまなスポット109のための2次元又は3次元の位置座標を符号化する1又は複数の空間位置識別子を提供する。その代わりに、又はそれに加えて、データは、スポットの位置を識別するために全てのスポットの座標に適用することができる空間的トランスフォーム(spatial transform)を定義する。例えば、空間的トランスフォームは、テストプレート108に適用可能な横変位(2次元又は3次元における)及び/又は、回転ミスアラインメントのパラメータを定義し、スポット109の測定座標が画像システム100と完璧なアラインメントになるようトランスフォームする。
【0033】
ダウンサイズされたモンタージュ画像の解析により決定された各スポットの位置は、アレイスポット上にあるセルの解析を達成するための個々の最大解像度画像に関連している。したがって、位置x,yにおけるスポットNに関して、どのフルサイズ画像で、位置x,yに中心があるスポットNが生じるか(アレイ内の誤差の程度に依存して、スポットが完全に1つの画像上にある、又は、2以上の画像にまたがっている)を決定することが好ましい。画像が決定されると、画像はメモリに取りこまれて、解析の関心領域が、位置x,yに中心があるスポットと同等の直径の円に基づいて定義される。スポットが2以上の画像にまたがっている場合は、それらの画像が取り込まれて、解析前に単一の画像にタイル表示される。
【0034】
各スポット位置の決定後に解析用に取り込まれる最大解像度画像の数は、被分析物及び解析の性質に依存する。例えば、最も単純なケースでは、(a)所与のスポットが1つの画像内に完全に入っており、かつ(b)一つの蛍光チャンネルのみが解析(例えば、核構造又はDNA量の分析)に使用されていれば、決定されたスポット位置に対応している高解像度画像が一枚のみ取り込まれる。より複雑なケースでは、例えば、所与のスポットが2以上の画像を横断している場合、2以上の蛍光チャンネルが解析に用いられている場合、又はこれらを組み合わせた状況が生じている場合には、取り込まれる画像の数は、2(2つの画像上のスポット、単一チャンネル解析すなわち1つの画像上のスポット、2チャンネル解析)から16の画像(4つの画像上のスポット、4チャンネル解析)に及ぶ。
【0035】
加えて、処理デバイス114は、移動機構(不図示)を制御して、テストプレート108に対する光源102の焦点位置を移動するよう構成されてもよい。処理デバイス114は、例えば、このようなタスクを実行するよう適宜にプログラムされたコンピュータシステムの一部として提供される。
【0036】
このようにして、本発明のさまざまな実施形態の画像システム100は、1又は複数のカメラ及び画像プロセッサを有する顕微鏡を備えている。このようにして、生成された原画像は処理されて、テストプレート108上に与えられたスポット109に関する少なくとも1つの空間位置識別子を供給する。このような画像処理機能を実施するための様々な方法を、非制限的な例を用いて以下で詳細に説明する。
【0037】
図2は、本発明のさまざまな態様及び実施形態による、複数の顕微鏡原画像を取得かつ処理するための方法200を示す図である。方法200は、例えば、画像システム内のテストプレートの相対位置を示すデータを生成するために使用される。該データは、元の顕微鏡画像の特性の高精度の空間位置識別を提供するために使用される。
【0038】
ステップ202において、第1の位置x,y位置において固定されたz深度の焦点面で画像が取得される。例えば、この画像は、図1に関連して上述したタイプの画像システムを用いて取得される。オプションとして、画像を取得する前に開口絞りを設定する追加ステップが、例えば、画像のコントラストを向上させるために実行されてもよい。
画像は、取得されるとステップ204で記憶される。次にステップ206で、画像化されているテストプレート上に提供された全スポットについての1枚の画像を完成させるために、任意の追加的な画像を取得する必要があるか否かの決定がなされる。
【0039】
追加画像が取得される場合は、テストプレートに対する焦点面の位置x,yを修正するために、x−yステージの移動が実行される。方法200は次に、ステップ202に戻り、1枚の追加画像が取得される。次にその追加的な原画像はステップ204で記憶されて、決定ステップ206は、一連のk個の画像が取得されるまで(kは2以上の整数で、例えば、kは22,528等の大きな数)、x−yステージの移動、画像取得、及び画像記憶のステップを繰り返す。複数であるk個の画像が取得されると、方法200は処理ステップ210に進む。
【0040】
処理ステップ210は、画像システム内のテストプレートの相対位置を示すためのデータを生成するステップを含んでいる。以下に詳細に説明する一実施形態において、位置を示すデータは、複数の原画像のそれぞれについてその情報量を低減するよう処理し、処理されて情報量が低減した複数の画像から1つの合成画像を形成し、その合成画像内の少なくとも1つの基準マーカの空間的位置を識別して、少なくとも1つの基準マーカの空間的位置から画像システム内のテストプレートの相対位置を示すデータを生成することにより、生成される。
【0041】
原画像は、当該技術で既知であるように、例えば、テストプレート上に与えられたスポットに提供されているセルへのsiRNA物質の逆トランスフェクションの後に生成される。複数の原画像のそれぞれについて、その情報量を低減するための処理をするステップは、画像のビット深度を低減することにより実施されてもよい。例えば、GE IN Cell Analyzer1000(商標)又は同等の画像化装置を使用して取得されたグレイスケール12ビット、14ビット、又は16ビットの画像は、標準的なビット低減方法を用いて8ビットに圧縮することができる。例えば、16ビットから8ビットまで低減することにより、すなわち個々に16ビットで記録されているグレイスケールレベルが8ビットの深度で同等の値として記録されることにより、ファイルサイズは約50%低減する。また、画像を原画像の例えば10%、5%、1%等までダウンサイジングして画像内のピクセル数を低減することにより、ファイルサイズをさらに大きく低減することができる。
【0042】
さまざまな実施形態において、画像のダウンサイジングは、標準的なビニング及び補間技術を用いて達成される。すなわち、N個数のピクセルを有する最高解像度画像についての、ピクセルの2x2ビニング(binningn)により、N/4ピクセルを有する25%のファイルサイズの画像が生成される。結果として生じた各ピクセルのグレーレベルは、4つの親ピクセルのグレーレベルから補間される。画像操作の全てが、例えば、ユニット領域を表しているピクセル数のみが低減される非圧縮TIFF画像を用いて、実行される。
【0043】
情報量が低減された複数の画像から一枚の合成画像を形成するステップは、例えば、サイズの低減された画像を一緒にタイル表示してモンタージュを形成することによって、実行される。このようにして形成されたモンタージュは、最高解像度の原画像が同等にタイル表示でモンタージュされた場合よりも、データのファイルサイズがはるかに小さくなる。
【0044】
例えば、GE IN Cell Analyzer1000(商標)を使用すると、16ビットグレイスケール画像は、それぞれ2.8MBである。例えば、画像毎に1つのアレイスポットを有し22,528個の特性のアレイをカバーする組み合わされた合成画像は、結果として63GBのサイズの合成画像になり、このような合成画像を用いて任意の画像解析することは、現在のコンピュータシステムでは実施することが極めて困難である。これを本発明の一実施形態により提供されるモンタージュと対比すると、この実施形態では、ビット深度が8ビットで1%にまでサイズが低減された画像のモンタージュから、結果として3.1MBの極めて小サイズの合成画像が生じる。
【0045】
合成画像を形成した後に、合成画像内の少なくとも1つの基準マーカの空間的位置が識別される。基準マーカは、例えば、IN Cell Investigator(商標)(GEヘルスケアから入手可能)で用いられる閾値化及び物体認知(object identification)等の、標準的画像解析技術を用いて識別される。画像はまず、ユーザの設定した閾値にしたがってセグメント化することで、閾値よりも高い強度のピクセルを識別し、その結果得られたピクセルは、物体認知フィルタ(サイズ、形状、等)にかけられて、どのグループのピクセルが基準マーカに属しているかが決定される。その後、識別された物体のさらなる解析により、ピクセル強度に基づいて物体の重力の中心を決定し、各マーカ物体に関する空間的位置を決定する。空間的位置は、各スポットの重力の中心に関するx,y座標として戻される。
【0046】
オプションとして、空間的場所マーカすなわち空間的位置マーカが原画像のそれぞれに関して生成され、原画像のそれぞれは、合成画像で識別されたそれぞれの空間的位置マーカでインデクスされる。例えば、空間的位置データは、小さなデータファイルとして、原画像に添付される。
【0047】
さまざまな実施形態では、合成画像の各マーカスポットに関する空間的座標は、合成画像の解析によって戻される。合成画像の既知のピクセル寸法、モンタージュの作成に用いられた最高解像度の画像の既知のピクセル寸法、使用されたダウンサイジング率(downsizing ratio)に基づけば、合成画像をフルサイズの画像に対応する位置のグリッドマップにマッピングすることは、簡単な操作である。それから、スポット位置が最高解像度の画像に割り当てられて、スポットのアイデンティティ及び重心が、アレイから取得された画像のスタックに関連づけられたXMLメタデータファイル内に、各フルサイズの画像に関して記録される。このようなメタデータは、個別のXMLファイル、又は、GE IN Cell Analyzer1000(商標)を使用した画像取得の間に生成されたデータ等の画像メタデータを含んでいる既存のXMLファイルに添付される。
【0048】
上記の技術の応用は、多数の利点を提供する。例えば、処理のスピードが上がり、かつ詳細な画像の大きな高解像度アレイを、向上した確度で処理/記録することができる。加えて、本発明の種々の実施形態は、ハードウェアの変形としてではなく、ソフトウェアソリューションとして提供されてもよいので、既存のシステムに組み込むことも可能である。例えば、機能の向上を付加するために、ソフトウェアのアップグレードが従来のGE IN Cell Analyzer1000(商標)に施されてもよい。このようにして、複雑/高価なプレートのレジストレーション及び/又はアラインメントの機構を提供するための要件(多数(例えば数千)のアレイエレメントを有するプレートに関してしばしば必要とされるもの等)が、低減される。さらに、本発明による実施形態は、例えば、画像システム内のプレートを移動するために使用されるステッピングステージ等の種々のコンポーネントに関して、必要とされる機械的耐性の要件を低減することも可能である。
【0049】
本発明による実施形態は、原画像がsiRNAのテストアレイ上に設けられた複数のスポットを画像化することによって生成される場合に、特に有益である。これは、使用されるスポットの数が多い上に、スポットの高解像度画像も必要とされるからである。
【0050】
図3は、本発明のさまざまな実施形態による方法において用いられる、処理ワークフローを示している。該方法は、ダウンサイズされた画像モンタージュを用いたアレイ特性の識別及び解析を、提供するために用いられる。加えて、これから説明するワークフローは、アレイ全体の画像化を用いること、及び、一方で非現実的な大きな画像ファイルを生成する必要性を回避することにより、特性−画像のレジストレーションに関連する問題に対処するために使用される。
【0051】
処理ワークフロー図300では、siRNAアレイ(ブロック302)は、アレイ又はプレートの形状のばらつきを許容できるように、アレイサイズ及びアレイプレートの位置決めに関して充分な範囲領域で画像化される(ブロック304)。すなわち、全てのアレイ特性が捕捉されることを保証するのに充分な画像が捕捉される。画像は、基準マーカのために用いられるチャンネルに関して捕獲し(ブロック312)、ユーザに必要とされている数(例えば1〜3)のセルチャンネルに関して取得し(ブロック306、308、310)、そして得られた画像を記憶する(ブロック314)。
【0052】
全ての画像が取得されると、基準マーカチャンネル312内の画像が、ストレージ(記憶媒体)から呼び出されて(ブロック316)、ビット深度が16ビットから8ビットに低減され、かつ、データファイルサイズを低減するためにダウンサイジングされる(ブロック318)。その結果生じた画像は合成されて、アレイ全体の基準マーカ画像を含んでいる画像モンタージュとなる(ブロック320)。
【0053】
この合成画像は次に、基準マーカを識別して各マーカの座標を合成画像内に戻すために、例えば、GE IN Cell Investigator(商標)のセグメンテーションを用いて解析される。そして、これらの座標が1つずつ用いられて、記憶されているセルチャンネル画像(ブロック306、308、310)上の基準マーカの位置を識別し、ストレージ(ブロック314)から適切な画像を呼び出し(ブロック326)、かつ最高解像度16ビット画像をセグメント化することにより、セル解析(ブロック322)の関心領域(すなわち、アレイスポット上にあるセルの領域)が特定される。
【0054】
ステップ328では、特性マスクの適用によってセグメント化が実行される。例えば、最も単純な実施においては、特性マスクは直径D、最高解像度画像上の座標x,yが中心である円であり、座標x,yは合成画像の解析によって決定されたスポットの重心である。直径Dは、アレイの製造段階で所与のスポットピンを用いて製造されたアレイスポットの呼び径(nominal diameter)を示す定数値である。特性マスクを最高解像度画像に適用することにより、画像解析アルゴリズムに特性マスクの境界内のセル(座標x,yからD/2の距離内のセル)のみ、すなわちアレイスポット上にあるセルのみを解析させる。
【0055】
より複雑な実施形態では、特性マスクが合成画像の解析から抽出される。すなわち、合成画像内で識別された各スポットオブジェクトの形状が、特性マスクの基礎として用いられる。この実施形態は、アレイのスポッティング過程の間に生じるスポットサイズ及び/又は形状のばらつきを許容するが、このようなアプローチでは、それぞれの物体のための個々の特性マスクを生成するのに充分な程度の合成画像の解像度を維持するためには、合成用の画像のより小規模なダウンサイジングが要求される。
画像マッチング、画像呼び出し、及び画像解析に関するこの座標処理は、全アレイに関して繰り返される。
【0056】
この処理の利点は、画像解析のために追加的な処理能力を必要としないことである。例えば、合成特性を作成するためにダウンサイジングされた画像を用いた結果として、GE IN Cell Analyzer 1000(商標)の原画像と似通ったファイルサイズの画像が得られる。したがって、特性位置に対応した画像の呼びだしに基づいてシーケンシャルな方式でセル画像を解析するという処理は、本質的には、通常に取得された画像スタックに対して実行されるような動作である。
【0057】
図4は、GE IN Cell Analyzer 1000(商標)装置を使用して取得された単一のスポット400の高解像度画像、及び、それにより取得された情報量が低減された種々の画像402、404、406を示している。これらの画像は、例えば図3で示した処理ワークフローにしたがった方法の実行中に、取得される。
【0058】
図4からわかるように、標準画像のダウンサイジングは、アレイ特性をセグメント化及び識別するのに充分な画像情報を依然として維持しながらも、高度に実行可能である。例えば、GE IN Cell Analyzer(商標)の16ビット原画像であるアレイスポット400を、99%ダウンサイジングされた8ビット画像406まで低減することにより、ファイルサイズは2839KBから9KBまで低減されるが、アレイスポットの直径は8ピクセルに維持されており、これは基準マーカの高コントラスト画像におけるセグメント化及び特性識別にとっては充分なものである。
【0059】
図5は、本発明の一実施形態による、情報量を低減された複数の画像502から形成された合成画像500を示している。合成画像500の一部は、差し込み図504に拡大表示されている。
合成画像500は、複数のダウンサイジングされた画像502を組み合わせて、アレイ全体をカバーするモンタージュ画像にすることによって形成される。この場合は、合成画像500は、22,528個の1%の画像502のモンタージュであり、これはGE IN Cell Analyzer(商標)の原画像よりもわずかに大きいだけの画像ファイルになる。22,528個の基準画像(すなわち、ゲノムアレイ全体に関する1画像/特性)を組み合わせることで、3.1MBのファイルサイズのモンタージュが生じるが、これは単一のGE IN Cell Analyzer(商標)の原画像よりも約10%大きいだけである。
【0060】
図6は、本発明の一実施形態によって生成された特性座標マップ600を示している。
GE IN Cell Analyzer 1000(商標)による蛍光siRNAアレイスポットの単一画像は、Photoshop(商標)で、16ビット1392×1040ピクセルの原画像(2839KB)から1%の8ビット14×10ピクセルの画像(9KB)にダウンサイジングされる。それから空白の2462×1280ピクセルの画像がPhotoshop(商標)で作成されて、ダウンサイジングされた9KBの画像の176×128アレイで埋められ、ファイルサイズが3088KBで22,528個の特性を含んでいる、8ビットTIFF画像モンタージュを生み出す。
【0061】
次にTIFFモンタージュはDeveloper(商標)により開かれて、特性を識別するためにセグメント化される。Developer(商標)は、GEのIN Cell Investigator(商標)の解析ソフトウェア製品内に組み込まれた画像解析ツールボックスアプリケーションである。その後、特性座標がMicrosoft Excel(商標)にエクスポートされてから、Spotfire(商標)にインポートされる。Spotfire(商標)は、TIBCO(商標)(http://spotfire.tibco.com/)から入手可能な、市販されているデータ可視化アプリケーションであって、IN Cell Investigator(商標)の解析ソフトウェアの一部として実施権の許諾を得て提供されている。
【0062】
Developer(商標)による解析は、特性間の距離での差異0.26%で、合成画像から22,528個のアレイ特性を正確に識別した。異なるアレイ特性の複数画像から生成されたモンタージュを用いて生じる結果は、スポットの形態及び位置に元からばらつきが生じているために、より変動する可能性があるものの、本明細書に記載したモデル例は、画像サイズを大幅に低減しても、画像解析によってアレイ特性を正確にセグメント化して特性座標を戻すための充分な情報を、基本的には依然として維持しているので、最高解像度画像の呼び出し及びセル解析のための画像のマスキングをすることが可能であることを示している。
【0063】
このようにして、本発明の種々の様態は、画像及びアレイ領域の正確なアラインメントなくして、アレイ全体をカバーする基準画像及びセル画像を取得すること(すなわち、アレイ位置決めに変動があってもアレイ全体が画像化されることを充分保証できる程度にアレイ領域よりも若干広い領域を画像化することで)ができ、それから、基準画像から抽出された位置を、セル画像の解析のために用いることができる。このような態様では、領域を画像化することによる特性位置の抽出は、マーカのセグメント化及び識別のために、画像領域の全体をカバーする画像モンタージュの生成を用いている。最高解像度画像のモンタージュを組み合わせたものは、標準的なコンピュータハードウェアを用いた画像解析には大きすぎるファイルになるため、基準画像のダウンサイジングを用いて、例えば、標準的なGE IN Cell Investigator(商標)のソフトウェアを使用して解析できるような合成モンタージュを生成する。そして、合成画像から抽出されたマーカ位置は、解析用に高解像度のセル画像をシーケンシャルに取り出すために使用される。
【0064】
本発明に関連して様々な技術を論述してきたが、種々のファンクションは、当業者であればコンピュータプログラム製品を用いて実施可能であることが理解されるであろう。例えば、本発明の実施形態による種々のアルゴリズムの1又は複数の方法ステップを実行するよう画像システムを構成することができる、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0065】
実施形態には、1又は複数のソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェア部品を備えているものもある。例えば、従来の画像システムを、本発明によって機能向上させるために、例えば、インターネットを通じてこれらの様々なシステムに送信されるソフトウェア部品を使用して、これらのシステムをアップグレードですることができる。
【0066】
例えば、GE IN Cell Analyzer 1000(商標)又は類似の画像装置上で、siRNAアレイの画像化のためのソフトウェアソリューションが提供される。これは、ステージのアラインメント及び移動のための精確性の要件を低減するために使用される。このようにして、インストールされているベース装置において該装置間のステージアラインメント及び精度が異なることが解っている場合は、据え付けられているハードウェアソリューションよりもむしろ、ソフトウェアのみのアプローチが提供される場合もある。
【0067】
本発明の様々な態様及び実施形態は、例えば、英国バッキンガムシャー、リトル・チャルフォントのGEヘルスケアライフサイエンスによって市販されているGE IN Cell Analyzer 1000(商標)等で、自動顕微鏡の一部としても用いられる。自動顕微鏡は、使用が容易であるので、非熟練ユーザが、例えば、多様な薬剤の存在下でsiRNAに反応した遺伝的スイッチングを解析することによって、種々の生物マーカを識別するために使用することができる。(例えば、タモキシフェンの存在下にあるセルを用いることにより、乳ガン治療に抵抗力のある生物マーカを識別することができる)。その他様々な自動ハイスループットの遺伝子的スクリーニングテストを実施することが可能である。したがって、本発明の多岐にわたる態様及び実施形態を、自動顕微鏡に加えることは、これらをより使いやすくするだけでなく、自動画像レジストレーションの迅速化と向上、及びその結果として解析精度の向上をもたらす。
【0068】
本発明が種々の態様及び好適な実施形態によって説明されてきたが、本発明の範囲は、これらのみに限定されるものではない。これの全ての変形及び同等物もまた、添付の特許請求の範囲内にあるものとする。
【0069】
参考文献
1.米国特許第6,990,221号(Biodiscovery)
2.米国特許第6,980,677号(Niles)
3.米国特許第6,826,313号(University of British Columbia)
4.米国特許第6,789,040号(Affymetrix)
5.国際公開第2008/065634号(Philips)
6.米国特許第7,359,537号号(Hitachi)
7.米国特許第7,130,458号号(Affymetrix)
8.米国特許第6,798,925号(Cognex)
9.米国特許第6,673,315号(Biomachines)
10.米国特許第6,362,004号(Packard)
11.米国特許第5,940,537号(Tamarack)
12.米国特許出願第2004/208350号(Rea)
13.米国特許出願第2002/150909号(Stuelpnagel)
認められる場合は、上記の参考文献の内容全体を、参照によって本出願に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顕微鏡画像の、向上した空間的位置の識別を提供する画像システム(100)であって、画像システム(100)は、
光(120a)を生成するための光源(102)と、
画像化されるスポットのアレイ(109)を含んでいるテストプレート(108)と、
テストプレート(108)上に光(120b)を集光するための集光レンズ(104)と、
光(120b)の焦点面をテストプレート(108)に対して移動するための移動機構と、
個々のスポット(109)から複数の原画像を取得するための検出システム(112)と、
画像システム(100)内のテストプレート(108)の相対的位置を示すデータを生成するために、複数の画像を処理する画像処理デバイス(114)と
を備えていることを特徴とする画像システム。
【請求項2】
請求項1記載の画像システム(100)において、画像処理デバイス(114)はさらに、
複数の原画像のそれぞれについて、その情報量を低減するよう処理し、
処理されて情報量が低減された複数の画像から合成画像を形成し、
合成画像内の少なくとも1つの基準マーカの空間的位置を識別し、
少なくとも1つの基準マーカの空間的位置から、画像システム(100)内のテストプレート(108)の相対的位置を示すデータを生成する
よう構成されていることを特徴とする画像システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像システム(100)において、画像システム(100)内のテストプレート(108)の相対的位置を示すデータは、個々の原画像それぞれから生成された個々の位置マーカを含んでいることを特徴とする画像システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像システム(100)において使用されるテストプレート(108)であって、スポットのアレイ(109)を含んでいることを特徴とするテストプレート。
【請求項5】
請求項4記載のテストプレート(108)において、スポットのアレイ(109)は、大規模アレイであることを特徴とするテストプレート。
【請求項6】
請求項4又は5記載のテストプレート(108)において、スポット(109)はsiRNA物質を備えていることを特徴とするテストプレート。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載のテストプレート(108)において、テストプレートはさらに、少なくとも1つの基準マーカを備えていることを特徴とするテストプレート。
【請求項8】
請求項7記載のテストプレート(108)において、該テストプレートは、少なくとも1つの有色の基準マーカを備えていることを特徴とするテストプレート。
【請求項9】
複数の顕微鏡画像の空間的レジスタリングの方法において、該方法は、
画像システム(100)内のテストプレート(108)の相対的位置を示すデータを生成するために、スポット(109)の複数の原画像を処理するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、該方法はさらに、
複数の原画像のそれぞれについて、その情報量を低減するよう処理するステップと
処理されて情報量を低減された複数の画像から合成画像を形成するステップと、
合成画像内の少なくとも1つの基準マーカの空間的位置を識別するステップと、
少なくとも1つの基準マーカの空間的位置から、画像システム(100)内のテストプレート(108)の相対的位置を示すデータを生成するステップと
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載の方法において、画像システム(100)内のテストプレート(108)の相対的位置を示すデータは、個々の原画像それぞれから生成された個々の位置マーカを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかに記載の方法において、原画像は、スポット(109)に提供されているセルへのsiRNA物質の逆トランスフェクションの後で、生成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、請求項9〜11のいずれかに記載の方法を実施するデータ処理装置を構成することができるマシーン命令を含んでいることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−514758(P2012−514758A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544058(P2011−544058)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050073
【国際公開番号】WO2010/079178
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(398048914)ジーイー・ヘルスケア・ユーケイ・リミテッド (30)
【Fターム(参考)】