説明

顕色剤の安定した水性分散体

顕色剤、アニオン性分散剤及び増粘剤を含む保存安定組成物、並びにそのような組成物を含む感熱記録材料、その製造及びその使用の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕色剤、アニオン性分散剤及び増粘剤を含む組成物に関し、また、そのような組成物を含む感熱記録材料、その製造及びその使用の方法に関する。
【0002】
感熱記録法は、よく知られている技術であり、発色化合物と顕色剤との間の呈色反応を利用した、熱を仲介することによる転送情報を記録するシステムとして使用される。
【0003】
ポンプで送って容易に取り扱うことができるように濃度が低く、例えば輸送費用を低減するために活性成分の含有量が高く、特に沈降に関して保存安定性があり、製造するのが経済的である、すなわち、少ない量のアニオン性分散剤のような他の成分を使用する顕色剤の水性分散体を製造することへの要求が存在する。
【0004】
JP2004−284262は、顕色剤の濃度が36.4%である、顕色剤N−p−トルエンスルホニル−N′−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルイル尿素とアニオン性分散剤Gohseran(登録商標)L3266の混合物を開示する。JP2003−292807は、顕色剤の濃度が40%である、スルホン化ポリビニルアルコールの10%水溶液と一緒にした同じ顕色剤の混合物を開示する。
【0005】
したがって、さらにより高い濃度の顕色剤を有し、保存安定性のある組成物を提供することが、本発明の目的である。別の目的は、耐油性及び初期画像強度が低下しない、そのような組成物を含む対応する感熱記録材料を提供することである。
【0006】
本発明は、式I:
【0007】
【化2】

【0008】
〔式中、
は、非置換であることができるか又はC〜Cアルカリ、C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができる、フェニル又はナフチルであるか;或いは
非置換であることができるか又はC〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができるC〜C20アルキルであり、
Xは、式:−C(=NH)−、−C(=S)−又は−C(=O)−の基であり、
Aは、非置換又は置換のフェニレン、ナフチレン若しくはC〜C12アルキレンであるか、或いは非置換又は置換複素環基であり、
Bは、式:−O−SO−、−SO−O−、−NH−SO−、−SO−NH−、−S−SO−、−O−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−S−CO−NH−、−S−CS−NH−、−CO−NH−SO−、−O−CO−NH−SO−、−NH=CH−、−CO−NH−CO−、−S−、−CO−、−O−、−SO−NH−CO−、−O−CO−O−及び−O−PO−(ORの結合基であり、そして
は、非置換であることができるか又はC〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができる、アリール、好ましくはフェニル又はナフチルであるか;或いは
〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ又はハロゲンにより置換されていることができる、ベンジルであるか;或いは
非置換であることができるか又はC〜Cアルコキシ、ハロゲン、フェニル又はナフチルにより置換されていることができるC〜C20アルキルである〕
で示される顕色剤を含み、
a)顕色剤Iの100乾燥重量部あたり0.1〜5、好ましくは0.1〜3.0乾燥重量部のアニオン性分散剤と、
b)顕色剤Iの100重量部あたり0.01〜2.0、好ましくは0.01〜1.0、より好ましくは0.01〜0.5乾燥重量部の増粘剤と
を含む組成物を対象とする。
【0009】
フェニル又はナフチルとしてのRは、非置換であることができるか又は、例えば、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができる。好ましい置換基は、C〜Cアルキル、特にメチル又はエチル、C〜Cアルコキシ、特にメトキシ若しくはエトキシ、又はハロゲン、特に塩素である。ナフチルとしてのRは、好ましくは非置換である。フェニルとしてのRは、好ましくは、特に上記のアルキル置換基のうちの1つにより置換されている。
【0010】
〜C20アルキルしてのRは、非置換であることができるか又は、例えば、C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができる。好ましい置換基は、C〜Cアルコキシ、特にメトキシ若しくはエトキシ、又はハロゲン、特に塩素である。C〜C20アルキルとしてのRは、好ましくは非置換である。
【0011】
好ましくは、Rは、非置換又はC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されているフェニルである。最も重要なものは置換フェニル基である。極めて好ましいものは、C〜Cアルキルにより、好ましくはメチルにより置換されているフェニル基である。
【0012】
Xは、好ましくは式:−S(=O)−又は−C(=O)−、特に−C(=O)−の基である。
【0013】
フェニレン又はナフチレン基としてのAは、非置換であることができるか又は、例えば、C〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、フェニル、ナフチル又はフェニルオキシカルボニルにより置換されていることができる。好ましいアルキル及びアルコキシ置換基は、1〜4個の炭素原子を含有するものである。好ましい置換基は、C〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルキルスルホニル又はハロゲンである。ナフチレン基としてのAは、好ましくは非置換である。
【0014】
複素環基としてのAは、好ましくは、非置換又はC〜Cアルキルにより、特にC〜Cアルキルにより置換されているピリミジレンである。
【0015】
〜C12アルキレン基としてのAは、好ましくはC〜Cアルキレン、特にC〜Cアルキレンである。
【0016】
好ましい基Aは、非置換又はC〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルスルホニル、ハロゲン、フェニル、フェノキシ又はフェノキシカルボニルにより、特にC〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルキルスルホニル又はハロゲンにより置換されているフェニレン基である。
【0017】
極めて好ましい基Aは、非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているフェニレン基、特に非置換フェニレン基である。
【0018】
好ましい結合基Bは、式:−O−SO−、−SO−O−、−SO−NH−、−S−SO−、−O−、−O−CO−及び−O−CO−NH−のもの、特に式:−O−SO−、−SO−O−及び−SO−NH−の結合基である。極めて好ましいものは、式:−O−SO2−及び−O−の結合基Bである。
【0019】
アリールとしてのRは、好ましくは、非置換であることができるか又は、例えば、C〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができるフェニル又はナフチルである。好ましいアルキル及びアルコキシ置換基は、1〜4個の炭素原子を含有するものである。好ましい置換基は、C〜Cアルキル及びハロゲンである。ナフチルとしてのRは、好ましくは非置換である。
【0020】
ベンジルとしてのRは、フェニル又はナフチルとしてのRで提示された置換基により置換されることができる。非置換ベンジルが好ましい。
【0021】
〜C20アルキルとしてのRは、好ましくはC〜Cアルキル、特にC〜Cアルキルであり、非置換であることができるか又は、例えば、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、フェニル若しくはナフチルにより置換されていることができる。好ましいものは、非置換アルキル基、特にC〜Cアルキルである。
【0022】
好ましい基Rは、C〜Cアルキル;ハロゲン置換C〜Cアルキル;フェニル置換C〜Cアルキル;ナフチル置換C〜Cアルキル;非置換又はC〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンで置換されているフェニル;C〜Cアルキル又はハロゲンで置換されているナフチル又はベンジルである。
【0023】
極めて好ましい基Rは、C〜Cアルキル;ハロゲン置換C〜Cアルキル;非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているフェニル;非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているナフチル及びベンジルであり、特に非置換又はC〜Cアルキルにより置換されているフェニルである。
【0024】
好ましいものは、式(1)〔式中、
は、C〜Cアルキルにより、好ましくはメチルにより置換されているフェニルであり、
Xは、式:−C(=O)−の基であり、
Aは、非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているフェニレン、好ましくは1,3−フェニレンのような非置換フェニレンであり、
Bは、式:−O−SO2−又は−O−の結合基であり、そして
は、非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているフェニル、ナフチル又はベンジル、特にC〜Cアルキルにより置換されているフェニルである〕
で示されている顕色剤である。
【0025】
式(1)の化合物は、既知であるか又は例えばEP1,140,515に開示されているように調製することができる。
【0026】
本発明の好ましい実施態様は、
が、C〜Cアルキルにより、好ましくはメチルにより置換されているフェニルであり、
Xが、式:−C(=O)−の基であり、
Aが、非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているフェニレン、好ましくは1,3−フェニレンのような非置換フェニレンであり、
Bが、式:−O−SO2−又は−O−の結合基であり、そして
が、非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているフェニル、ナフチル又はベンジル、特にC〜Cアルキルにより置換されているフェニルである
式(1)の顕色剤が選択される、本発明の組成物に関する。
【0027】
好ましくは、アニオン性分散剤は、好ましくは、20℃で4重量%の溶液において、86.5〜89.0mol%の鹸化度及び2.3〜2.7mPa・sの粘度を示す、スルホン化ポリビニルアルコールである。そのようなアニオン性分散剤は、当該技術において既知であり、例は、Gohseran(登録商標)L3266(Nippon Gohsei)である。
【0028】
あるいは、アニオン性分散剤は、芳香族スルホン酸、例えばDehscofix(登録商標)930(Huntsman Performance Products)のようなナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のアンモニウム塩、又はCiba Specialty Chemicals Inc.により製造されたカルボキシル化アクリル酸コポリマーであるCiba(登録商標)Glascol(登録商標)LS 16のようなカルボキシル化ポリマーであることができる。
【0029】
増粘剤又はシックナーとしては、粘度を増加するために使用できる通常の既知の材料を使用することができ、すなわち、寒天、アルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウム、ペクチン、ヒドロキシプロピル化デンプンのように通常改質されうるデンプン、カゼイン、キサンタンガム、好ましくはキサンタンガムのような天然有機増粘剤、水溶性カルボン酸塩、例えばカルボキシメチルセルロース、又はアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸若しくはアクリル酸エチルに基づくポリマー若しくはコポリマーのような合成有機増粘剤、或いはポリホウケイ酸塩、モンモリロナイト若しくはゼオライトのような粘土鉱物のような無機増粘剤である。
【0030】
したがって好ましい実施態様は、増粘剤が、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、水溶性カルボン酸塩か、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エチル若しくはメタクリル酸に基づくポリマー又はコポリマーからなる群より選択される本発明の組成物に関する。
【0031】
更に、別の実施態様は、保存安定顕色剤組成物を製造するための増粘剤の使用に関する。
【0032】
別の好ましい実施態様において、本発明の組成物は、追加の成分として殺生物剤を含む。一般に、この分野で知られている殺生物剤を使用することができ、好ましいものは、例えば、Acticide(登録商標)MBS(Thor GmbHからのイソチアゾロンの混合物)、Biochek(登録商標)410(Lanxess Deutschland GmbHからの1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンと1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの混合物)、Biochek(登録商標)721M(Lanxess Deutschland GmbHからの1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンと2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールの混合物)又はMetasol(登録商標)TK 100(Lanxess Deutschland GmbHからの2−(4−チアゾリル)−ベンゾイミダゾール)である。
【0033】
通常、殺生物剤は、顕色剤Iの量に基づいて0.01〜2.0、好ましくは0.1〜1.5重量%の量で添加される。
【0034】
本発明の別の好ましい実施態様は、顕色剤の濃度が少なくとも50%である、すなわち、顕色剤が、
a)少なくとも50重量%の顕色剤Iと、
b)乾燥顕色剤Iの100部あたり、0.1〜5乾燥部の量のアニオン性分散剤と、
c)乾燥顕色剤Iの100部あたり、0.01〜2.0乾燥部の量の増粘剤と、
d)場合により殺生物剤と、
e)100%にする残部の水と
を含む組成物に関する。
【0035】
本発明の組成物は、通常、最初に顕色剤Iをアニオン性分散剤、必要であれば殺生物剤及び水と周囲温度で一緒にブレンドすることによって製造される。顕色剤Iを、乾燥粉末の形態で、又は好ましくは水湿潤フィルターケーキとして用いることができる。次に、一般に混合物を高せん断撹拌装置により十分に混合して、粗分散体を製造する。次に粗分散体を、好ましくは、顕色剤Iの粒径に望ましい低減が達成されるまで、ミル又は磨砕機で更に加工する。適切なミルには、再循環を用いて作動することができる横型及び縦型のビードミルが含まれる。更なる加工後の顕色剤Iの平均粒径は、通常、0.2〜2.0μmの範囲、好ましくは0.5〜1.5μmの範囲である。次に得られた微細分散体を、通常、増粘剤の溶液とブレンドして、本発明の安定した水性分散体を得る。
【0036】
したがって、本発明の別の実施態様は、
a)顕色剤I、アニオン性分散剤及び水、場合により殺生物剤を、好ましくは周囲温度で一緒に混合し、
b)そのようにして得られた混合物を、0.2〜2.0μmの範囲の平均粒径を得るために更に処理し、
c)工程b)で処理された混合物を増粘剤とブレンドする
ことによる、本発明の組成物の製造方法に関する。
【0037】
本発明の組成物は、一般に、保存安定顕色剤組成物、また感熱記録材料の製造のために使用される。
【0038】
本発明の更なる実施態様は、
a)発色化合物と、
b)本発明の化合物と
を含む感熱記録材料に関する。
【0039】
通常、発色化合物及び本発明の組成物の量は、発色化合物と顕色剤Iの重量比が、1:1.5〜1:5.0、好ましくは1:1.8〜1:3.5の範囲であるように選択される。
【0040】
発色化合物は、例えば、トリフェニルメタン、ラクトン、ベンゾオキサジン、スピロピラン、好ましくはフルオランである。
【0041】
好ましい発色剤には、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(n−オクチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−カルボキシエチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(N−メチル−N−ホルミルアミノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−(4−2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ブチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソプロピル−N−3−ペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕フルオラン、3−〔(4−ジメチルアミノフェニル)アミノ〕−5,7−ジメチルフルオラン、3,6,6′−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3′−フタリド〕、3,6,6′−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3′−フタリド〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジンと2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−8−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジンとの混合物、4,4′−〔1−メチルエチリデン)ビス(4,1−フェニレンオキシ−4,2−キナゾリンジイル)〕ビス〔N,N−ジエチルベンゼンアミン〕、ビス(N−メチルジフェニルアミン)−4−イル−(N−ブチルカルバゾール)−3−イル−メタン及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定はされない。
【0042】
上記の発色化合物の全てを、単独で又は他の発色化合物との混合物として使用することができるか、又は更なる黒色発色化合物と一緒に使用することもできる。
【0043】
極めて好ましいものは、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−エチル−p−トルジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕フルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド及びこれらの混合物である。
【0044】
少なくとも2つの発色化合物を含む固溶体の使用も可能である。
【0045】
単一相(又は単相若しくはゲスト−ホスト)固溶体は、その成分うちの1つの結晶格子と同一である結晶格子を有する。1つの成分が、「ホスト」として作用する他の成分の結晶格子の中に「ゲスト」として埋め込まれる。そのような単一相固溶体のX線回析パターンは、「ホスト」と呼ばれる成分のうちの1つと実質的に同一である。ある特定の制限内において、異なる割合の成分がほぼ同一の結果を生じる。
【0046】
文献において、G.H.Van't Hoff、A.I.Kitaigorodsky及びA.Whitackerのような多様な著者による固溶体及び混晶の定義は、多くの場合で相反している(例えば、'Analytical Chemistry of Synthetic Dyes', Chapter 10/page 269, Editor K.Venkataraman, J.Wiley, New York, 1977を参照すること)。
【0047】
したがって、本明細書で定義される用語「単一相固溶体」又は「多相固溶体」又は「混晶」は、そのような系についての現行の改善された既知知識に適合される、以下の定義から取るべきである。
単一相(又は単相若しくはゲスト−ホスト)固溶体は、その成分うちの1つの結晶格子と同一である結晶格子を有する。1つの成分が、「ホスト」として作用する他の成分の結晶格子の中に「ゲスト」として埋め込まれる。そのような単一相固溶体のX線回析パターンは、「ホスト」と呼ばれる成分のうちの1つと実質的に同一である。ある特定の制限内において、異なる割合の成分がほぼ同一の結果を生じる。
【0048】
多相固溶体は、精密で均一な結晶格子を有さない。その成分の少なくとも1つの結晶格子が部分的に又は完全に改変している、成分の物理的混合物と異なる。個別の成分で見られるダイアグラムに加えて、X線回析ダイアグラムを提示する成分の物理的混合物と比較すると。多相固溶体のX線回析ダイアグラムにおける信号は、強度が広げられ、シフトされ、又は改変される。一般に、異なる割合の成分は異なる結果を生じる。
【0049】
混晶(又は固体化合物型)固溶体は、精密な組成及び均一な結晶格子を有し、その全ての成分の結晶格子と異なる。異なる割合の成分が、ある特定の制限内で、同じ結果をもたらす場合、混晶がホストとして作用する固溶体が存在する。
【0050】
疑念を避けるために、とりわけ、例えばそれぞれ純粋な結晶変態の異なる成分の凝集体のような、異なる物理型の異なる粒子からなる非晶質構造及び混合凝集体も存在しうることを指摘することもできる。そのような非晶質構造及び混合凝集体は、固溶体又は混晶と同一視することはできず、異なる基本特性を有する。
【0051】
本明細書前記で詳述したように、単一相固溶体は、複数の色化合物を含む。固溶体に含むことができる適切な発色物質は、上記に提示されたものである。
【0052】
特に興味深いものは、以下の単一相固溶体である:
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジブチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジブチルアミノ−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−2−ペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−イソプロピル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−シクロヘキシルメチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−2−ブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−エチル−p−トルイジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び2,4−ジメチル−6−[(4−ジメチルアミノ)アニリノ]フルオラン;
3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3−N−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリル)アミノフルオラン及び3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジン及び2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−8−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジンの混合物;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン及び4,4’−[1−メチルエチリジン)ビス(4,1−フェニレンオキシ−4,2−キナゾリンジイル)]ビス[N,N−ジエチルベンゼンアミン]。
上記の単一相固溶体において、第1化合物は、75〜99.9mol%のモル比であり、第2化合物は、25〜0.1mol%の比率である。
【0053】
記述された比率で2つの成分A及びBを含む単一相固溶体は、以下である:
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(99.9%)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(0.1%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(99%)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(1%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(95%)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(5%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)及び3−N−2−ペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(95%)及び3−N−2−ペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(5%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)及び3−N−イソプロピル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(95%)及び3−N−イソプロピル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(5%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)及び3−N−シクロヘキシルメチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(95%)及び3−N−シクロヘキシルメチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(5%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)及び3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(95%)及び3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(5%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)及び3−N−2−ブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(95%)及び3−N−2−ブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(5%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(85%)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(15%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(20%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(95%)、3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(5%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)、3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%)、3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(20%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)、3−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)、3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%)、3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(20%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(20%)、3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%)、3−N−イソアミル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)、3−N−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%)、3−N−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(20%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(20%)、3−N−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%)、3−N−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(10%)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリル)アミノフルオラン(90%);
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(20%)、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリル)アミノフルオラン(80%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)、3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド(10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%)、3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド(20%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)、2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジン及び2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−8−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジン(10%)の混合物;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%)、2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジン及び2−フェニル−4−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−8−メチル−7−ジメチルアミノ−3,1−ベンゾオキサジン(20%)の混合物;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(90%)、4,4’−[1−メチルエチリジン)ビス(4,1−フェニレンオキシ−4,2−キナゾリンジイル)]ビス[N,N−ジエチルベンゼンアミン](10%);
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(80%)、4,4’−[1−メチルエチリジン)ビス(4,1−フェニレンオキシ−4,2−キナゾリンジイル)]ビス[N,N−ジエチルベンゼンアミン](20%)。
【0054】
単一相固溶体を、単独で又は、トリフェニルメタン、ラクトン、フルオラン、ベンゾオキサジン及びスピロピランのような他の発色化合物との混合物として使用することができるか、又は更なる黒色発色化合物と一緒に使用することもできる。そのような他の発色化合物の例は、本明細書前記に提示されている。
【0055】
単一相固溶体を多様な方法で調製することができる。そのような方法の一つは、所望の成分の物理的混合物を加熱して又はしないで適切な溶媒又は溶媒混合物に溶解する、再結晶法である。適切な溶媒には、トルエン、ベンゼン、キシレン、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド又はこれらの溶媒の相互の混合物及び水との混合物が含まれるが、これらに限定はされない。次に単一相固溶体を、溶媒又は溶媒混合物からの再結晶により単離する。これは、冷却、放置、更なる溶媒の添加により結晶化を促進することによって、又は蒸留、蒸気蒸留及び真空蒸留のような標準的な方法での濃縮によってもたらすことができる。単一相固溶体が濃縮によって単離される場合、少量の塩基の存在下で実施して、単離生成物の視覚的側面を改善することが有利である場合がある。
【0056】
あるいは、単一相固溶体を適切な出発物質の混合物から調製することができる。この技術を使用して、2つ以上のフルオラン又はフタリドの混合物を生成することができる。例えば、2つのフルオランの混合物は、単一の出発物質を反応における同じ総モル濃度で2つの類似物質に代えることによって生成される。フルオランの場合では、これらの出発物質は、アミノフェノール、無水フタル酸、ケト酸及びジフェニルアミンの誘導体である。
【0057】
加えて、感熱記録材料は、得られる感熱材料の発色性能が妨げられない限り、以前から知られている顕色剤を含有することができる。そのような顕色剤は、4,4′−イソプロピリデンビスフェノール、4,4′−sec−ブチリデンンビスフェノール、4,4′−シクロヘキシリデンビスフェノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ジメチル−3,3−ジ(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2′−ジヒドロキシジフェニル、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、4−フェニル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1−フェニル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−メチルフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)−4−メチルペンタン、4,4′−sec−ブチリデン−ビス(2−メチルフェノール)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(2−tert−ブチルフェノール)、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−イソプロピルフェニル)−4−メチルペンタン、アリル−4,4−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ペンタノエート、プロパルギル−4,4−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ペンタノエート、n−プロピル−4,4−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ペンタノエート、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、2−(4−メチルスルホニル)−4−(フェニルスルホニル)フェノール、2−(フェニルスルホニル)−4−(4−メチルスルホニル)フェノール、2,4−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)フェノール、ペンタメチレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2,2−ジメチル−3,3−ジ(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、1,7−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)ジエチルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルチオエーテル;ベンジル−4−ヒドロキシベンゾエート、エチル−4−ヒドロキシベンゾエート、プロピル−4−ヒドロキシベンゾエート、イソプロピル−4−ヒドロキシベンゾエート、ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、イソブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ブトキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジアリルジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N−p−トルエンスルホニル−N′−フェニル尿素、ジメチル4−ヒドロキシフタレート、ジシクロヘキシル4−ヒドロキシフタレート、ジフェニル4−ヒドロキシフタレート、4−〔2−(4−メトキシフェニルオキシ)エチルオキシ〕サリチレート、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸;サリチル酸、2−ベンジルスルホニル安息香酸、3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ安息香酸、安息香酸亜鉛、亜鉛4−ニトロベンゾエート、4−(4′−フェノキシブトキシ)フタル酸、4−(2′−フェノキシエトキシ)フタル酸、4−(3′−フェニルプロピルオキシ)フタル酸、モノ(2−ヒドロキシエチル)−5−ニトロ−イソフタル酸、5−ベンジルオキシカルボニルイソフタル酸、5−(1′−フェニルエタンスルホニル)イソフタル酸、ビス(1,2−ジヒドロ−1,5−ジメチル−2−フェニル−3H−ピラゾール−3−オン−O)ビス(チオチアナト−N)亜鉛の金属塩、及びこれらの混合物により例示されるが、これらに限定はされない。
【0058】
加えて、本発明の感熱記録材料は増感剤を含むことができる。
【0059】
増感剤の代表例は、ステアルアミド、メチロールステアルアミド、p−ベンジルビフェニル、m−テルフェニル、2−ベンジルオキシナフタレン、4−メトキシビフェニル、ジベンジルオキサレート、ジ(4−メチルベンジル)オキサレート、ジ(4−クロロベンジル)オキサレート、ジメチルフタレート、ジベンジルテレフタレート、ジベンジルイソフタレート、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、4,4′−ジメチルビフェニル、フェニル−1−ヒドロキシ−2−ナフトエート、4−メチルフェニルビフェニルエーテル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、2,3,5,6−4′−メチルジフェニルメタン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジアセトキシベンゼン、1,4−ジプロピオンオキシベンゼン、o−キシレン−ビス(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、p−ヒドロキシアセトアニリド、p−ヒドロキシブチルアニリド、p−ヒドロキシノナンアニリド、p−ヒドロキシラウルアニリド、p−ヒドロキシオクタデカンアニリド、N−フェニル−フェニルスルホンアミド、及び下記式:
【0060】
【化3】

【0061】
(式中、R及びR′は、互いに同一又は異なって、それぞれ、C〜Cアルキルを表す)
で示される増感剤である。
【0062】
R及びR′の例は、メチル、エチル、n−又はイソ−プロピル、及びn−、sec−又はtert−ブチルである。
【0063】
置換基R及びR′は、互いに同一又は異なって、それぞれ好ましくはC〜Cアルキル、特に、メチル又はエチル、とりわけエチルである。
【0064】
上記の増感剤は、既知であるか又は既知の方法に従って調製することができる。
【0065】
加えて、本発明の感熱記録材料は安定剤を含有することができる。
【0066】
感熱記録材料に使用される代表的な安定剤には、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4′−スルフィニルビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート及びアルカリ金属、アンモニウム及びその多価金属塩、4−ベンジルオキシ−4′−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4−〔α−(ヒドロキシメチル)ベンジルオキシ〕−4−ヒドロキシジフェニルスルホン、p−ニトロ安息香酸の金属塩、フタル酸モノベンジルエステルの金属塩、ケイ皮酸の金属塩、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0067】
好ましい安定剤は、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4′−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン及びこれらの混合物である。
【0068】
本発明の感熱記録材料は、常法に従って調製することができる。例えば、少なくとも1つの発色化合物及び本発明の組成物、並びに、望ましい場合は、少なくとも1つの増感剤を、水に又はポリビニルアルコール水溶液のような適切な分散媒質で混合して水性又は他の分散体を形成する。望ましい場合は安定剤を同じ方法で処理する。そのようにして得られる微粒子分散体を合わせ、次に慣用量の結合剤、充填剤及び潤滑剤と混合する。
【0069】
感熱記録材料に使用される代表的な結合剤には、ポリビニルアルコール(完全及び部分的に加水分解されている)、カルボキシ、アミド、スルホン及びブチラ−ル改質ポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びアセチルセルロースのようなセルロースの誘導体、スチレン−無水マレイン酸のコポリマー、スチレン−ブタジエンのコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアミド樹脂、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0070】
使用することができる代表的な充填剤には、炭酸カルシウム(沈降と粉砕)、カオリン、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、中空プラスチック顔料(例えば、Rohm & HaasからのRopaque(登録商標))及びこれらの混合物が含まれる。
【0071】
感熱記録材料に使用される代表的な潤滑剤には、ステアルアミド、メチレンビスステアルアミド、ポリエチレン、カルナバロウ、パラフィンロウ、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウム及びこれらの混合物が含まれる。
【0072】
必要であれば、他の添加剤を用いることもできる。そのような添加剤は、例えば、蛍光増白剤及び紫外線吸収剤である。
【0073】
このようにして得られる被覆組成物を、紙、プラスチックシート、例えばポリエチレン又はポリプロピレン及び樹脂被覆紙のようなに適切な基材に塗布し、感熱記録材料として使用することができる。本発明の系を、発色材料を使用する他の最終用途、例えば、温度表示材料に用いることができる。
【0074】
被覆布量は、通常2〜10g/m2の範囲、最も頻繁には3〜6g/m2の範囲である。
【0075】
そのような感熱着色層を含有する記録材料は、その上、保護層、及び所望であれば下塗層を含有することができる。下塗層は、基材と感熱着色層の間に位置してもよい。
【0076】
保護層は、通常、感熱着色層を保護するために水溶性樹脂を含む。望ましい場合、保護層は、水溶性樹脂を水不溶性樹脂と組み合わせて含有することができる。
【0077】
そのような樹脂としては、慣用の樹脂を用いることができる。特定の例は、ポリビニルアルコール;シラノール及びアセトアセチル改質ポリビニルアルコール;デンプン及びデンプン誘導体;メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びエチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム;ポリビニルピロリドン;ポリアクリルアミド/アクリル酸エステルコポリマー;アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸コポリマー;スチレン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩;イソブチレン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩;ポリアクリルアミド;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;カゼイン;水溶性ポリエステル及びカルボキシル基改質ポリビニルアルコールである。
【0078】
保護層は、ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ホルムアミド、グリオキサ−ル、炭酸ジルコニウムアンモニウムのようなジルコニウム化合物、又はクロムミョウバンのような耐水剤を含有することもできる。
【0079】
更に保護層は、例えば、炭酸カルシウム(沈降と粉砕)、非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理カルシウム若しくはシリカの微細無機粉末、又は例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン/メタクリル酸コポリマー若しくはポリスチレンの微細有機粉末、又はこれらの混合物のような充填剤を含有することができる。
【0080】
下塗層は、通常、主要成分として結合樹脂及び充填剤を含有する。
【0081】
下塗層に使用される結合剤樹脂の特定の例は、
ポリビニルアルコール;デンプン及びデンプン誘導体;メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びエチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム;ポリビニルピロリドン;ポリアクリルアミド/アクリル酸エステルコポリマー;アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸コポリマー;スチレン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩;イソブチレン/無水マレイン酸コポリマーのアルカリ金属塩;ポリアクリルアミド;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;カゼイン;水溶性ポリエステル及びカルボキシル基改質ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマー;ポリ酢酸ビニル;ポリウレタン;スチレン/ブタジエンコポリマー;ポリアクリル酸;ポリアクリル酸エステル;塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー;ポリメタクリル酸ブチル;エチレン/酢酸ビニルコポリマー及びスチレン/ブタジエンアクリル誘導体コポリマーである。
【0082】
下塗層に使用される充填剤の特定の例は、
例えば、炭酸カルシウム(沈降と粉砕)、非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理カルシウム、シリカ又は焼成クレー(例えば、Engelhard Corp.からのAnsilex(登録商標))の微細無機粉末、並びに、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン/メタクリル酸コポリマー、ポリスチレン及び中空プラスチック顔料(例えば、Rohm & HaasからのRopaque(登録商標))の微細有機粉末である。
【0083】
加えて、下塗層は耐水剤を含有することができる。そのような作用物質の例は上記に提示されている。
【0084】
とりわけ本発明は、良好な保存安定性を示す、高含有量の顕色剤を有する低粘度の水性分散体を提供する。
【0085】
実施例
N−p−トルエンスルホニル−N′−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素(化合物A)の50%水性分散体(1〜9)は、下記の表に示されているように、化合物Aの濃度67.3%の水湿潤フィルターケーキ74.3部、分散剤の6.5%水溶液15.4部及び殺生物剤0.3部を一緒に混合することによって調製した。次に混合物を摩砕して、約1ミクロンの粒径中央値にした。分散体1〜6には、水10.0部を後で加えて、化合物Aの50%水性分散体を生成した。分散体7〜9には、キサンタンガムの1%水溶液10.0部を加えて、化合物Aの50%水性分散体を生成した。
【0086】
【表1】

【0087】
最初に生成した分散体7〜9をそれぞれ4つの試料に分け、すなわち、7、8及び9を、初期粒径及び粘度の測定のために調製した直後に続いて使用し、7a、8a及び9aを、感熱被覆組成物を調製するために使用する前に4℃で4週間保存し、7b、8b及び9bを、感熱被覆組成物を調製するために使用する前に23℃で4週間保存し、7c、8c及び9cを、感熱被覆組成物を調製するために使用する前に40℃で4週間保存した。
【0088】
【表2】



【0089】
分散体番号1〜4は、50%の顕色剤Iを有する安定した分散体で許容される粘度又は流動性を有するものを得ることができなかったことを示し、分散体1及び2では、分散体はチキソトロピーであり、それらの粘度は非常に高く、すなわち、生成物は流れないか又は容易に流動せず、これは重大な欠点である。分散体3では、粘度が非常に高く、生成物は流れないか又は流動しなかった。分散体4では、許容される粘度が達成されたが、極めて不十分な保存安定性を示した。同じことが、すなわち粘度は低いが保存安定性はないことが、分散体5及び6で観察された。増粘剤の添加(分散体7〜9)がこの問題を解決した。
【0090】
分散体A−1(発色剤)の調製
【0091】
【表3】

【0092】
上記成分の混合物を、ビードミルで微粉化して、1.0の平均粒径にした。
【0093】
【表4】

【0094】
上記成分の混合物を、ビードミルで微粉化して、1.0の平均粒径にした。
【0095】
【表5】

【0096】
上記成分の混合物を、ビードミルで微粉化して、1.0の平均粒径にした。
【0097】
【表6】

【0098】
上記成分の混合物を、ビードミルで微粉化して、1.0の平均粒径にした。
【0099】
例1:分散体A−1 36部、分散体7a 36部、分散体C−1 60部、分散体D−1 160部、17%ステアリン酸亜鉛分散体(Hidorin F115, Chukyo Europe)29.4部、20%PVA 203溶液45部、及びCiba(登録商標)Tinopal(登録商標)ABP-Z液2.2部を、撹拌によって一緒に混合した。
【0100】
このようにして得た被覆組成物を、50g/m2の重量の原紙(Ansilex(登録商標)焼成クレーでプレコートされている、Engelhard Corporation)に6g/m2の乾燥被覆重量で塗布した。乾燥した後、得られた感熱紙を430Bekk秒平滑度で圧延した。
【0101】
例2:被覆混合物を、36部の分散体7aを36部の分散体7bに代える以外は、例1と同様に調製した。
【0102】
例3:被覆混合物を、36部の分散体7aを36部の分散体7cに代える以外は、例1と同様に調製した。
【0103】
例4:被覆混合物を、36部の分散体7aを36部の分散体8aに代える以外は、例1と同様に調製した。
【0104】
例5:被覆混合物を、36部の分散体7aを36部の分散体8bに代える以外は、例1と同様に調製した。
【0105】
例6:被覆混合物を、36部の分散体7aを36部の分散体8cに代える以外は、例1と同様に調製した。
【0106】
例7:被覆混合物を、36部の分散体7aを36部の分散体9aに代える以外は、例1と同様に調製した。
【0107】
例8:被覆混合物を、36部の分散体7aを36部の分散体9bに代える以外は、例1と同様に調製した。
【0108】
例9:被覆混合物を、36部の分散体7aを36部の分散体9cに代える以外は、例1と同様に調製した。
【0109】
比較例:被覆混合物を、36部の分散体7aを新たに調製した72部の分散体B−1に代える以外は、例1と同様に調製した。
【0110】
感熱記録材料の評価
本発明によって調製された感熱記録材料を、下記のように評価し、評価の結果を表1にまとめた。
【0111】
画像光学濃度
熱試験器(Atlantek Inc.製造のModel 200)を使用して、それぞれの感熱記録材料に0.50mJ/ドッドのエネルギーを加えて印刷し、そのようにして得られた記録画像の濃度を、MacBeth 1200 Seriesデンシトメーターで測定した。
【0112】
耐油性
印刷した後、感熱記録材料を綿実油でグラビア印刷し、次に40℃に維持したオーブンで24時間保存した。次に記録部分の光学濃度をMacbethデンシトメーターで測定した。
【0113】
【表7】

【0114】
結果は、N−p−トルエンスルホニル−N′−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニル尿素(化合物A)の上記の水性分散体が、それぞれ感熱記録材料に混和されたとき、乾燥粉末同等生成物と同様に機能したことを示した。このように製造された感熱記録材料は、綿実油のような化学薬品の影響に対して高い安定性を有する光学濃度の高い黒色画像を生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】


〔式中、
は、非置換であることができるか又はC〜Cアルカリ、C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができる、フェニル又はナフチルであるか;或いは
非置換であることができるか又はC〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができる、C〜C20アルキルであり、
Xは、式:−C(=NH)−、−C(=S)−又は−C(=O)−の基であり、
Aは、非置換又は置換のフェニレン、ナフチレン若しくはC〜C12アルキレンであるか、或いは非置換又は置換複素環基であり、
Bは、式:−O−SO−、−SO−O−、−NH−SO−、−SO−NH−、−S−SO−、−O−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−CO−O−、−S−CO−NH−、−S−CS−NH−、−CO−NH−SO−、−O−CO−NH−SO−、−NH=CH−、−CO−NH−CO−、−S−、−CO−、−O−、−SO−NH−CO−、−O−CO−O−及び−O−PO−(ORの結合基であり、そして
は、非置換であることができるか又はC〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ若しくはハロゲンにより置換されていることができる、アリールであるか;或いは
〜Cアルキル、ハロゲン置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ置換C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン置換C〜Cアルコキシ又はハロゲンにより置換されていることができる、ベンジルであるか;或いは
非置換であることができるか又はC〜Cアルコキシ、ハロゲン、フェニル又はナフチルにより置換されていることができるC〜C20アルキルである〕
で示される顕色剤を含み、
a)顕色剤Iの100乾燥重量部あたり0.1〜5乾燥重量部のアニオン性分散剤と、
b)顕色剤Iの100重量部あたり0.01〜2.0乾燥重量部の増粘剤と
を含む、組成物。
【請求項2】
が、C〜Cアルキルで置換されているフェニルであり、
Xが、式:−C(=O)−の基であり、
Aが、非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているフェニレンであり、
Bが、式:−O−SO2−又は−O−の結合基であり、そして
が、非置換又はC〜Cアルキル若しくはハロゲンにより置換されているフェニル、ナフチル又はベンジルである
顕色剤Iが選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
増粘剤が、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、水溶性カルボン酸塩か、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エチル若しくはメタクリル酸に基づくポリマー又はコポリマーからなる群より選択される、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
追加の成分として殺生物剤が添加される、請求項1又は3記載の組成物。
【請求項5】
a)少なくとも50重量%の顕色剤Iと、
b)乾燥顕色剤Iの100部あたり、0.1〜5乾燥部の量のアニオン性分散剤と、
c)乾燥顕色剤Iの100部あたり、0.01〜2.0乾燥部の量の増粘剤と、
d)場合により殺生物剤と、
e)100%にする水と
を含む、請求項1〜4記載の組成物。
【請求項6】
a)発色化合物と、
b)請求項1〜5の化合物と
を含む、感熱記録材料。
【請求項7】
請求項1〜5記載の組成物の製造方法であって、
a)顕色剤I、アニオン性分散剤及び水、場合により殺生物剤を混合すること、
b)そのようにして得られた混合物を、0.2〜2.0μmの範囲の平均粒径を得るために処理すること、及び
c)工程b)で処理された混合物を増粘剤とブレンドすること
を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の保存安定顕色剤組成物の製造のための増粘剤の使用。
【請求項9】
請求項1記載の組成物を含む紙。

【公表番号】特表2009−505851(P2009−505851A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523318(P2008−523318)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064387
【国際公開番号】WO2007/014847
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】