説明

顧客呼び出しシステム、顧客呼び出し方法、顧客呼び出し用プログラム及び記録媒体

【課題】店舗における順番待ちのメッセージを通信端末で受信する場合に、店舗側に通信端末の連絡先等の個人情報を提供することなく、呼び出しを受けることができる。
【解決手段】非接触型通信デバイスBをそれぞれ設置する複数の店舗端末Aと、ネットワーク1を介して店舗端末Aと接続されるサーバXとを備え、サーバXで管理される待ち行列により通信端末Zに呼び出しメッセージを送信する顧客呼び出しシステムであって、サーバXは、待ち行列を管理する待ち行列リストを前記店舗毎に作成する機能と、通信端末Zが有する顧客情報を非接触型通信デバイスBを経由して暗号化顧客情報として取得する機能と、取得した顧客情報を待ち店舗毎の前記各待ち行列リストで管理し、各店舗の待ち行列リスト順の顧客情報に対応する通信端末Zに呼び出しメッセージを送信する機能とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗において順番待ちの顧客を呼び出すシステム及び方法に関し、特に、携帯電話などの通信端末を使用して、店舗で受け付けを済ませた顧客を順次呼び出すシステム、顧客呼び出し方法、顧客呼び出し用プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗で順番待ちの顧客を呼び出す方法としては、例えば特許文献1に記載された待ち行列回避システム及び顧客呼び出し方法に関するシステムが存在する。
このシステムは、店舗でサービスを受けようとする顧客が長時間待ち行列に並ぶ不便を解消することで、無駄な時間をなくし時間を有効に使用でき、顧客の満足度を向上させることを目的としている。
【0003】
このシステムの概要を以下に示す。
システムを利用したい店舗が、待ち行列リストを管理するサーバを設置する。
顧客が店舗に出向いてサービスを受けるための自己登録を当該サーバに対して行う。
待ち行列リストへは、顧客が望むサービスを受ける日時と携帯電話番号またはインターネット端末のメールアドレスを登録する。
店舗に設置されたそのサーバは、顧客が指定した時間に、指定された携帯端末またはインターネット端末に対して顧客を呼び出し、顧客が来店した時点で即時にサービスを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−259007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のシステムであると、待ち行列リストを管理するサーバをそれぞれの店舗が独自に設置し、管理しなければならないため、店舗側でのシステム構築に対してコストがかかるという問題点があった。店舗側のサービス提供者の観点からは、サーバ維持管理を極力簡略化しコストを減らすことが望ましい。
また、システムを利用する顧客は、店舗に対して自身の携帯電話番号やE-mailアドレス等の識別情報を提供しなければならない。顧客の観点からは、なるべく個人情報を第三者に提供しないことが望ましい。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて提案されたもので、店舗における順番待ちのメッセージを自分が所有する通信端末で受信する場合に、店舗側に通信端末の連絡先等の個人情報を提供することなく、通信端末に行列待ちの呼び出しメッセージを受信可能とする顧客呼び出しシステム及び顧客呼び出し方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、非接触型通信デバイスをそれぞれ設置する複数の店舗端末と、ネットワークを介して前記店舗端末と接続されるサーバとを備え、前記サーバで管理される待ち行列により通信端末に呼び出しメッセージを送信する顧客呼び出しシステムであって、
前記サーバは、待ち行列を管理する待ち行列リストを前記店舗毎に作成する機能と、前記通信端末が有する顧客情報を前記非接触型通信デバイスを経由して暗号化顧客情報として取得する機能と、取得した顧客情報を待ち店舗毎の前記各待ち行列リストで管理し、各店舗の待ち行列リスト順の顧客情報に対応する通信端末に呼び出しメッセージを送信する機能とを備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明方法は、非接触型通信デバイスをそれぞれ設置する複数の店舗端末と、ネットワークを介して前記店舗端末と接続されるサーバとを備え、前記サーバで管理される待ち行列により通信端末に呼び出しメッセージを送信する顧客呼び出し方法であって、次の各手順を含むことを特徴としている。
前記通信端末が有する顧客情報が暗号化顧客情報として前記非接触型通信デバイスを経由して前記サーバが取得する手順。
サーバが取得した顧客情報について、前記店舗毎に作成した各待ち行列リストで管理する手順。
サーバが各店舗の待ち行列リスト順の顧客情報に対応する通信端末に呼び出しメッセージを送信する手順。
【0009】
請求項3は、請求項2の顧客呼び出し方法において、前記サーバが送信する呼び出しメッセージは、店舗側で作成されるメッセージと、呼び出し状況を基にサーバが提供するメッセージとを含むことを特徴としている。
【0010】
請求項4の顧客呼び出し用プログラムは、 請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の顧客呼び出し方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0011】
請求項5の記録媒体は、請求項4に記載の顧客呼び出し用プログラムを格納し、コンピュータで読み出し可能なことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、顧客が店舗に赴いた後、通信端末が有する顧客情報を店舗端末に設置された非接触型通信デバイスを経由してサーバに送信し、サーバからのサービス待ち状況を通信端末に通知することが可能となり、サービス待ち時間中に顧客が店舗を離れることができる。
【0013】
サーバは、ネットワークを介して店舗端末に接続されるものであるので、店舗が独自に待ち行列リストの管理を行わなくてもよいので、店舗内にサーバを設置する必要がなく、低コストでシステムを構築できる。
通信端末へのメッセージの送信に際して、店舗が呼び出しのために通信回線を使用することがないので、通信費用をかけることなくシステムを構築できる。
【0014】
通信端末の連絡先等の顧客情報を店舗側に提供することなく、待ち時間通知のサービスを享受することができる。
【0015】
サーバが送信する呼び出しメッセージにサーバが提供するメッセージを含ませることで、サーバにより待ち行列リストの呼び出し出し状況に応じた各種のメッセージを付加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の顧客呼び出しシステムが構築されたネットワーク構成図である。
【図2】本発明の顧客呼び出しシステムのサーバが管理する各リストの内容を説明するためのモデル図である。
【図3】通信端末からサーバの待ち行列への顧客の登録を行う場合のサーバ,店舗,通信端末間のシーケンス図である。
【図4】店舗が通信端末から取得する暗号化顧客情報を示すモデル図である。
【図5】店舗からサーバに送信される顧客情報を示すモデル図である。
【図6】サーバが顧客を呼び出す場合のサーバ,店舗,通信端末間のシーケンス図である。
【図7】本発明の顧客呼び出しシステムを構築するための店舗端末(コンピュータ)の主要部の構成を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の顧客呼び出し方法を採用したシステムの実施形態の一例について、図1乃至図6を参照しながら説明する。
顧客呼び出しシステムは、図1に示すように、待ち行列管理を行う一つのサーバXと、複数の店舗端末Aと、各店舗端末Aに接続される非接触型通信デバイスBと、それぞれ非接触型ICを搭載した複数の通信端末Za,Zb,Zc…を備えて構成される。サーバX、店舗端末A、通信端末Za,Zb,Zcは、インターネット1等に接続されることで、店舗端末AからサーバXへのデータ通信、サーバXから通信端末Za,Zb,Zcへのデータ通信が可能になっている。また、データ通信は、IPアドレスを用いて通信相手を指定した通信に限らず、例えばE−mail,SIP URI等によって通信相手に情報を通知してもよい。したがって、後述する「宛先識別子」は、各端末に情報を到達させることができる識別子全般を示すものである。
【0018】
顧客呼び出しシステムは、店舗端末Aに対して、顧客呼び出し用プログラムが格納された記録媒体やインターネット1を介してソフトウエアのダウンロードによりインストールすることで構築される。
店舗端末Aは、図7に示すような機能ブロックを有するコンピュータ70で構成されている。コンピュータ70は、オペレーティングシステム(OS)を含む基本プログラムや各種の基本デバイスが記憶されたROM72と、各種のプログラムションやデータが記憶されるハードディスクドライブ装置(HDD)77と、CR-ROMやDVD等の記憶媒体81からプログラムやデータを読み出すメディアドライブ装置76と、プログラムを実行するCPU71と、このCPU71にワークエリアを提供するRAM73と、入出力インターフェース(I/F)75を介して接続されたディスプレイ78、キーボード79およびマウス等のポインティングデバイス80と、外部装置と通信するパラレル/シリアルI/F74とを主要な構成としている。
【0019】
本実施形態では、顧客呼び出し用プログラムがシリアル/パラレルI/F74から入力、またはメディアドライブ装置76で読み取られてHDD74に予め記憶される。顧客呼び出し用プログラムは記憶媒体81に記憶され、メディアドライブ装置76で読み取られてHDD77にインストールされる。
【0020】
店舗端末Aは、顧客に対して受け付け順にサービスを提供し、受付は、店舗端末Aに接続された非接触型通信デバイスBと、顧客が所有する通信端末Zに搭載された非接触型ICとの間で行われる。
【0021】
サーバXは、ネットワーク1を介して店舗端末Aと接続され、店舗端末Aの非接触型通信デバイスBを介して複数の通信端末Zから取得した各データに対して、待ち行列を管理する待ち行列リストを店舗毎に作成する機能と、取得したデータを待ち店舗毎の各待ち行列リストで管理し、各店舗の待ち行列リスト順に対応する通信端末に呼び出しメッセージを送信する機能とを備えている。
【0022】
通信端末Zは、携帯電話等で構成され、搭載される非接触型ICカードにより店舗端末Aでの受け付けを行い、サーバXからの呼び出しメッセージを受信するものである。
通信端末Zに搭載される非接触型ICカードは、非接触型通信デバイスB(リーダ・ライタ)からキャリアを送信して電磁誘導によりICカードに電力を供給し、キャリアの変調により非接触型通信デバイスB(リーダ・ライタ)とカード間で通信を行う。非接触型ICカードの技術は、Suica(商品名)やEdy(商品名)といった電子マネーや、電子クーポン、電子会員証などを実現する技術として利用されている。
【0023】
以下の顧客呼び出しシステムの説明では、店舗が1店舗のみの例を用いて説明するが、複数の店舗(A1,A2,A3…)が存在する場合でも、待ち行列管理サーバXは1台のみでよい。また、同一店舗で複数種類のサービスが提供されており、それぞれのサービスごとに別々に待ち行列を管理したい場合は、それぞれのサービスを別の店舗であると見なせばよい(後述の店舗IDが異なるようにする)。一方、同一店舗で同一サービスを提供する複数窓口がある場合には、窓口ごとに設置されたそれぞれの店舗端末は同じ店舗IDを持つ(後述する宛先識別子は異なる)。
また、以下の説明では、「顧客」と「通信端末」の語句を同義として用いる。
なお、本発明の顧客呼び出しシステムでは、顧客は必ず最初に店舗に赴くということを前提とする。これは訪れる店舗が必ずしも顧客にとって既知ではなく、また不意に訪れるということも起こりうることを想定しているためである。
【0024】
待ち行列を管理するサーバXは、公開鍵暗号方式の鍵ペア(秘密鍵Sxと公開鍵Px)をあらかじめ生成しておき、すべての携帯端末Zに対して公開鍵Pxを事前に配布しておく。秘密鍵Sxは待ち行列を管理するサーバXのみが保持する。なお、待ち行列の管理を行う場合に複数のサーバを配置する場合、それぞれのサーバが同一の鍵ペアを用いる。
【0025】
待ち行列を管理するサーバXは、図2に示すように、店舗IDリスト21を持つ。さらに店舗IDリスト21にエントリされた各店舗Aに紐づけられた待ち行列リスト22,23…を有している。行列リスト22,23には、受付時間(時刻)と携帯端末Zの連絡先が管理されている。複数の待ち行列管理サーバを設置する場合は、ある店舗を担当する待ち行列管理サーバはひとつに限定するものとする。そして、サーバXは、公開鍵暗号方式の鍵ペア(秘密鍵Sxと公開鍵Px)を保持する。
【0026】
店舗端末Aは、サーバXが割り当てる店舗を識別するための店舗IDを有している。同一店舗であっても提供するサービスが異なる(待ち行列が異なる)場合には、店舗IDを異なるように設定する。
各店舗端末には、待ち行列を管理するサーバXの宛先識別子(IPアドレス、E−mailアドレスなど)が登録され、データを送信できるように設定されている。
【0027】
携帯端末Zは、待ち行列を管理するサーバXの公開鍵Pxを保持する。公開鍵の取得はこのシステムのサービス提供への加入と同時に行われているものとする。
【0028】
次に、携帯端末Zaが、店舗A1へ入店し、順番待ちのために待ち行列リストへ登録する際の手順について、図3のサーバX・店舗端末A・通信端末Zにおける通信のやり取りを参照しながら説明する。
店舗A1に赴いた顧客が所有する携帯端末Zaを店舗端末A1に接続された非接触型通信デバイスB1に接触させる(携帯端末Za及び店舗端末A1では、本システムにより顧客呼び出しサービスを受けるためのアプリケーションがあらかじめ起動しているものとする)。
【0029】
通信端末Zが有する顧客情報が非接触型通信デバイスB1を経由して店舗端末に対して、公開鍵Pxで暗号化した図4の暗号化顧客情報40として送付される(ステップ31)。
暗号化された暗号化顧客情報40は、乱数(暗号化したデータが常に同一のビット列になることを防ぐため)41と通信端末Zaの宛先識別子42を有している。
【0030】
店舗端末A1では、通信端末Zaから受信した暗号化顧客情報40に対して、店舗ID51・店舗宛先識別子52・現在時刻53・付属情報54を付加した図5のようなトークン50を生成する。トークン50中の店舗ID51は、店舗端末A1が所属する店舗の店舗IDであり、店舗宛先識別子52は、店舗端末A1を識別するための宛先識別子であり、現在時刻53は受付時の時刻であり、付属情報54は店舗が最終的なメッセージに加えたい情報等である。
【0031】
店舗端末A1は、生成したトークン50を待ち行列を管理するサーバXに送信する(ステップ32)。この処理により、通信端末Zaが有する顧客情報が暗号化顧客情報40として非接触型通信デバイスBを経由してサーバXが取得することになる。
【0032】
サーバXでは、受信したトークン50の中の暗号化顧客情報40を秘密鍵Sxで解読し、該当する店舗に関する待ち行列リストに通信端末Zaに関する情報を追加する。すなわち、サーバXが取得したトークン50の顧客情報について、店舗毎に作成した待ち行列リストで管理する。
なお、同一店舗に関して2つのトークンが送付される場合、後から受付を行った顧客のトークンが先に到着した場合、トークン50の中の現在時刻53を元に、正しい順番でリストに登録する(古いものほど早く呼び出されるようにする)。
【0033】
サーバXは、店舗端末A1にトークン50を正しく受け付けたことを通知する(ステップ33)。
サーバXは、トークン50から得られる宛先識別子42を基に、通信端末Zaに順番待ちを正しく受け付けたことを通知する(ステップ34)。
【0034】
なお、ステップ34で店舗端末Aや通信端末Zへ通知する内容(メッセージ内容)には、各店舗独自の情報(たとえば広告など)を載せてもよい。これらの情報は、店舗端末A1で生成したトークン50の付属情報54で与える。
また、現在の待ち人数や受付時刻のように、待ち行列を管理するサーバXから提供される情報を通知する内容に含めることができる(詳細は後述の拡張例で説明する)。
【0035】
店舗端末A1にて、窓口が顧客の処理が完了すると、次の顧客、つまり待ち行列管理サーバXの当該店舗の待ち行列リストの先頭に登録されている通信端末Z(顧客)が呼び出される。顧客の呼び出しについて、図6のサーバX・店舗端末A・通信端末Zにおける通信のやり取りを参照しながら説明する。
店舗の窓口においてある顧客の処理が完了した場合、店舗端末A1は、待ち行列を管理するサーバXへ、待ち行列更新要求を送付する(ステップ61)。待ち行列更新要求には、店舗ID(店舗端末A1が所属する店舗の店舗ID)・店舗端末A1の宛先識別子・通知先・呼び出しメッセージの情報が含まれる。
【0036】
サーバXは、当該店舗に関する待ち行列リストの先頭に位置する通信端末Zaの情報を取得し、当該通信端末Zaに呼び出し通知を送付する(ステップ62)。呼び出し通知には、ステップ61で店舗端末から取得した呼び出しメッセージを載せる。すなわち、サーバXが店舗A1の待ち行列リスト順の先頭の顧客情報に対応する通信端末Zaに呼び出しメッセージを送信する。
なお、リストに一人も顧客が登録されていなければ、該当者なしとして、店舗端末A1へ呼び出し完了通知を送付する(手順終了)。
【0037】
次に、サーバXは、店舗端末A1へ呼び出し中であることを通知する(ステップ63)。
顧客(通信端末Za)が窓口に到着すると、店舗端末A1は待ち行列を管理するサーバXへ、顧客到着通知を送付する(ステップ64)。
【0038】
顧客到着通知を受けサーバXは、待ち行列リストから当該携帯端末Zaのエントリを削除し、店舗端末A1へ呼び出し完了通知を送付する(ステップ65)。
【0039】
なお、待ち行列管理サーバXから通信端末Zへ送付する通知は、待ち行列の先頭の顧客だけに限らず、たとえば10番目の顧客に対して「あと10人です」のような通知を送ることも可能である。どの顧客に通知を行うかは、ステップ61の中で示した待ち行列更新要求の「通知先」に記述する。通知先は数値で表現し、例えば0、1、10であれば、それぞれ順番が回ってきた顧客(0に該当)、次の順番の顧客(1に該当)、10番目に順番が回ってくる顧客(10に該当)へ通知を行うことを示す。また、通知先に対応した呼び出しメッセージも併せて待ち行列更新要求に記述する。
【0040】
更に、平均サービス時間(窓口の処理時間)がわかっていれば、予想される待ち時間の情報を付加することもできる。平均サービス時間は各店舗から提供される情報を用いてもよいし、待ち行列管理サーバXが過去の当該店舗における状況から算出してもよい。
【0041】
以下、上述の顧客呼び出しシステムの基本構成に対してサービスを拡張した場合の拡張例について説明する。
(イ)共有暗号鍵を用いた安全性の向上
基本構成では、店舗端末Aおよび通信端末Zを認証する仕組みが存在しないため、容易に成りすましが可能である。これを防ぐために、以下のように、各店舗端末Aは店舗識別用鍵を、各携帯端末Zは顧客識別用鍵を待ち行列管理サーバと事前に共有しておく(ともに共有暗号鍵である)。この場合、待ち行列を管理するサーバXは、各店舗端末Aおよび各通信端末Zとの間で共有する暗号鍵を管理するためのリストを持つ必要がある。
店舗端末Aから待ち行列を管理するサーバXへ送られるすべてのメッセージには、店舗識別用鍵を用いたメッセージ認証子(HMAC-MD5など)を付加する(図2の店舗リスト21の「Sk_a」)。メッセージ認証子の計算範囲は当該メッセージ部分全体である(認証子部分は含まない)。
メッセージを受信した待ち行列を管理するサーバは、そのメッセージの送信元の店舗端末Aに対応した店舗識別用鍵を用いてメッセージ部のメッセージ認証子を計算し、受信したメッセージに付加されている認証子と一致するかどうかをチェックする。一致しなければそのメッセージは無視する。
【0042】
同様に、通信端末Zも顧客情報全体(上述したステップ31)についてのメッセージ認証子(自身の顧客識別用鍵を用いる)を付加して店舗端末Aへ渡し、店舗端末Aはそれを含んだものをトークンとする。待ち行列管理サーバは、顧客情報についても、上記と同様にメッセージ認証子を計算し、計算結果と受信したトークンの中のものと一致するかをチェックする。一致しなければそのトークンを破棄し、該当する店舗端末Aへ登録失敗を通知する。
【0043】
(ロ)サーバXによるメッセージ追加(待ち行列を管理するサーバから提供される情報)
サーバXから店舗端末Aや通信端末Zへ通知する内容(メッセージ内容)の中には、待ち行列を管理するサーバX自身が書き込んだほうがよい情報もあると考えられる。それは、例えば以下の情報である。
・残りの待ち人数
・呼び出し済み顧客数
・通知時刻
・予想待ち時間
【0044】
基本的には、店舗端末Aが生成したメッセージ(付属情報54)が通信端末(および店舗端末)へ送信されるが、現在の待ち人数や受付時刻のように、待ち行列管理サーバXから提供される情報も通知する内容に含めてもよい。
すなわち、店舗端末Aが生成したメッセージ内に置換文字列を記述することで、待ち行列を管理するサーバXがその文字列に応じた情報に置き換えることで実現することができる。
例えば、店舗端末Aが生成した通知メッセージが、
「ご利用ありがとうございます。
%%TIME%%に順番待ちを受け付けました(呼出し番号%%CALLNO%%)。
現在の待ち人数は%%WAITING%%人です。
およそ%%EXPECTTIME%%分でお呼びできる予定です。」
である場合に、
待ち行列を管理するサーバXから送信されるメッセージ内容を、
「ご利用ありがとうございます。
2009年2月27日 午前10時20分に順番待ちを受け付けました(呼び出し番号123番)。
現在の待ち人数は3人です。
およそ15分でお呼びできる予定です。」
と実際の呼び出し状況を基に書き換えるようにしてもよい。
この場合、待ち行列を管理するサーバXは、提供可能な情報と置換文字列を店舗端末Aに事前に知らせておく必要がある。
【0045】
サーバXから提供される情報としての「呼び出し済み顧客数」は、サービス開始から現時点までに呼び出した顧客数を計数したものである。この情報は、上記のように呼出し番号として利用可能である。
この情報は、適切なタイミングで(例えば1日ごとや店舗からの要求に応じて)リセットできるようにしておく。
【0046】
サーバXから提供される情報としての「予想待ち時間」は、サーバXにおいて、店舗ごとにこれまでの呼び出し済み人数と積算経過時間を記録しておくことで算出することができる(図2の各店舗の待ち行列リストと合わせて管理する)。積算経過時間とは、サービスを開始した後、待ち行列リストに1人以上の登録が存在した時間を積算したものを示す。
すなわち、人数/経過時間によって一人当たりの平均処理時間が算出できるため、それを残り待ち人数と掛け合わせることで予想時間が算出できる。
なお、これらの情報は、適切なタイミングで(例えば1日ごとや店舗からの要求に応じて)リセットできるようにしておく。
【0047】
(ハ)通信端末を持たない顧客への対応
通信端末を持たない顧客に対して、店舗側が顧客の代わりに通信端末の処理を行う。顧客へは、紙の呼び出し番号(現在、銀行等で行われている方法)を渡せばよい。なお、呼出し番号として、上述の呼び出し済み顧客数を用いることができる。
【0048】
上述した顧客呼び出しシステム及び顧客呼び出し方法によれば、通信端末Zが逐一サービス待ち状況を通知することが可能となるので、顧客が店舗に赴いた後に、サービス待ち時間中にその店舗を離れることができる。
その際に、待ち行列リストを管理するサーバXを、顧客の通信端末Zの個人情報を管理するネットワーク事業者が提供することで、顧客は各店舗に個人情報を開示することなく、待ち時間通知のサービスを享受することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…ネットワーク、 21…店舗リスト、 22…待ち行列リスト、 23…待ち行列リスト、 40…暗号化顧客情報、 50…トークン、 81…記録媒体、 A…店舗端末、 B…非接触通信デバイス、 X…サーバ、 Z…通信端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型通信デバイスをそれぞれ設置する複数の店舗端末と、ネットワークを介して前記店舗端末と接続されるサーバとを備え、前記サーバで管理される待ち行列により通信端末に呼び出しメッセージを送信する顧客呼び出しシステムであって、
前記サーバは、
待ち行列を管理する待ち行列リストを前記店舗毎に作成する機能と、
前記通信端末が有する顧客情報を前記非接触型通信デバイスを経由して暗号化顧客情報として取得する機能と、
取得した顧客情報を待ち店舗毎の前記各待ち行列リストで管理し、
各店舗の待ち行列リスト順の顧客情報に対応する通信端末に呼び出しメッセージを送信する機能と
を備えたことを特徴とする顧客呼び出しシステム。
【請求項2】
非接触型通信デバイスをそれぞれ設置する複数の店舗端末と、ネットワークを介して前記店舗端末と接続されるサーバとを備え、前記サーバで管理される待ち行列により通信端末に呼び出しメッセージを送信する顧客呼び出し方法であって、
前記通信端末が有する顧客情報が暗号化顧客情報として前記非接触型通信デバイスを経由して前記サーバが取得する手順と、
サーバが取得した顧客情報について、前記店舗毎に作成した各待ち行列リストで管理する手順と、
サーバが各店舗の待ち行列リスト順の顧客情報に対応する通信端末に呼び出しメッセージを送信する手順と
を備えたことを特徴とする顧客呼び出し方法。
【請求項3】
前記サーバが送信する呼び出しメッセージは、店舗側で作成されるメッセージと、呼び出し状況を基にサーバが提供するメッセージとを含む請求項2に記載の顧客呼び出し方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の顧客呼び出し方法をコンピュータに実行させるための顧客呼び出し用プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載の顧客呼び出し用プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータで読み出し可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−239425(P2010−239425A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85665(P2009−85665)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】