説明

風力発電プラント

【課題】 本発明は、少なくとも一つの流体冷却部品を備えたゴンドラ(16)を有する風力発電装置(10)に関する。冷却熱交換器を備えた風力発電装置の運搬および建設を簡素化して、風力発電装置におけるエラーの原因を除去又は少なくとも減少させること。
【解決手段】 冷却熱交換器はゴンドラの外輪郭に一体化される。このようにして、本発明は、ゴンドラの輸送および取扱い時において、論ずる価値がある如何なる変更も必要とせず、冷却熱交換器は、工場でゴンドラ組立体に装着しておき、十分に機能するかどうか試験をしておくことができる。これによって、風力発電装置の運搬および建設の簡素化がもたらされ、同時に、エラーの原因が除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの流体冷却部品と冷却熱交換器を備えたゴンドラを有する風力発電装置に関する。このような風力発電装置は、多数知られている。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置として、様々なポッドないしゴンドラ(Gondel以下「ゴンドラ」で代表する)形状を備えたものも知られている。ここでは、実質的に矩形状(ボックス状)のゴンドラ、又円筒状ゴンドラや液滴状ないし玉子形ゴンドラがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
冷却熱交換器は、その機能上、放出すべき熱を周囲に放散するべきものであるため、風力発電装置において、通常、ゴンドラの上部側に配置される。このことは、例えば、風力発電装置を建設現場で起立させるとき、ゴンドラに配置された熱交換器は、ゴンドラの輸送及び取扱い上の困難を引き起こさないようにし、又それにダメージを与えないため、そのようなされている。それゆえ、風力発電装置を現場で起立させる間に、熱交換器は、通常、建設現場で組付けられる。この場合、しかしながら、熱交換器が十分な機能を発揮する上で悪影響が出る様々な取付エラーが広範囲に発生するおそれがある。
【0004】
よって、本発明の目的は、冷却熱交換器を備えた風力発電装置の輸送および建設を簡単にし、エラーの原因を除去、或いは、少なくとも減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の導入部に開示されたような風力発電装置において、冷却熱交換器をゴンドラの外輪郭に適合するよう取り付ける(統合する)ことにより、本発明が達成される。
【0006】
本発明の目的は、請求項1の風力発電装置によって達成される。
【0007】
かくて、少なくとも一つの流体冷却部品と冷却熱交換器(ないしカゴ状熱交換器Rueckkuehler)を備えた風力発電装置が提供される。この場合、冷却熱交換器はゴンドラの外輪郭に適合するよう取り付けられる(統合されるintegliert)。
【0008】
本発明の一視点において、冷却熱交換器は、少なくとも一本のリブ状管を有する。
【0009】
本発明の別の視点において、冷却熱交換器は、少なくとも部分的には、連続的に巻き回されたリブ状管から形成される。
【0010】
本発明の別の視点において、冷却熱交換器は、平行に配列された複数のリブ状管を有する。
【0011】
本発明の別の視点において、冷却熱交換器は、保持手段に配置される。
【0012】
本発明の別の視点において、保持手段は、ゴンドラ外周輪郭内で円周に亘って開口する開口を有するよう構成される。
【0013】
本発明の別の視点において、保持手段は、分離可能なゴンドラ部品として形成されている。
【0014】
本発明の別の視点において、風力発電装置、ゴンドラの長軸方向に、リブ状管をその装着位置に保持する止め具手段を有する。
【0015】
本発明の別の視点において、風力発電装置は、冷却熱交換器の周囲に吸引した空気の流れを引き起こすファンを有する。
【発明の効果】
【0016】
このような視点において、本発明は、ゴンドラの輸送時と取扱い時において論じる必要があるようないかなる変更も要しないで、冷却熱交換器を工場でゴンドラ組立体に装着することができると共に、さらに、十分な機能試験をすることができるとの知見(認識)を基礎としている。これによって、風力発電装置の輸送と建設が簡単になり、同時にエラーの原因が可及的に除去される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい実施の形態によれば、冷却熱交換器は、少なくとも一本のリブ状管から形成することができる。そのようなリブ状管は、容易に曲げられて、ゴンドラの外部輪郭に追随し、ゴンドラ外郭によく適合することができる。
【0018】
冷却熱交換器が連続的に巻き回されたリブ状管から形成されると、高レベルの信頼性が得られる。接続箇所を無くすことができ、例えば、漏れが起こりやすいエラー箇所を無くすことができるからである。
【0019】
十分な冷却効率を提供するため、冷却熱交換器は、また、平行に配列された複数のリブ状管から形成することができる。これによって、冷却流体が冷却されることができる、より広く利用可能な断面積が確保される。
【0020】
特に好ましくは、熱交換は保持手段に設けられる。この場合、冷却熱交換器は、ユニット構造体の状態で予め製作され、取付部品として、ゴンドラに取り付けることができる。この場合、機能試験は例えばゴンドラに装着する前に実行することで、ゴンドラにアセンブリするときには信頼性のある冷却熱交換器となっている。
【0021】
別の実施形態において、保持手段は、ゴンドラ外輪郭内で円周に亘って開口された(即ち、略円形ないし丸い)開口を有するよう構成することができる。これによって、例えば、別途、分離されて導入されたクーラーの取り付けの際、取付位置の誤り、輸送時に適切注意を払わなかったことによって発生する損傷等のエラー原因を回避することができる。
【0022】
冷却熱交換器の一または複数のリブ状管を所望の位置に保持するため、実質的にゴンドラの長軸方向に延在する止め具手段を、冷却熱交換器の周囲に配置することができる。
【0023】
本発明の好ましい改良においては、吸引した空気を冷却熱交換器の周囲に(を巡って)流れを発生させるよう配置される、ファンが配設される。これによって、アクティブな冷却熱交換器と、冷却熱交換器の定められた冷却効率レベルが実現される。
【0024】
有利な実施形態を図面に示す:
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、風力発電装置の概略図である。
【0026】
【図2】図2は、図1に示した風力発電装置のゴンドラの拡大図である。
【0027】
【図3】図3は、本発明の冷却熱交換器の側面図であって、取付部品の形状を示す。
【0028】
【図4】図4は、本発明の冷却熱交換器の平面図である。
【0029】
【図5】図5は、冷却熱交換器の斜視図であって、ファンによって吸引される冷却空気の流れの状態を示す。
【実施例1】
【0030】
図1は、風力発電装置10の概略図を示す。パイロン12は、ゴンドラないしポッド16を支持している(換言すると、装置ハウジングはゴンドラ用である)。ゴンドラ16は、アジマス(方位)ベアリング(不図示)を介して、パイロン12のヘッド上に取り付けられ、アジマス駆動(不図示)の形式によって、風向きへの追随が可能となっている。ゴンドラ16とパイロン12の間の移行部は、ゴンドラスカート14によって覆われ、天候の影響から保護されている。
【0031】
ゴンドラ16は、さらに、ロータブレード24が取り付けられたハブ(また不図示)を含んでいる。ハブ(ゴンドラ16の前方部に具備されたハブ)は、ロータブレード24によって回転させられる。この回転運動は発電機のロータに伝達され、風力発電装置10は、十分な風速があれば、発電する。
【0032】
図2は、図1に示した風力発電装置10のゴンドラ16の詳細を示す図である。ゴンドラは、ゴンドラ16からパイロン(本図では不図示)への移行部を覆うゴンドラスカート14を有している。ゴンドラ16は、ゴンドラ前部18とゴンドラ後部22を有している。発電機20は、これらの二つのゴンドラ部の間に配置することができる。発電機20は、リング状発電機として構成してもよい。
【0033】
ブレード拡大部を備えたロータブレードドーム26は、ゴンドラ前部18に設けられる。各ロータブレードの根本(本図では不図示)は、これらのロータブレードドーム26内に案内されてロータハブに固定される。ロータハブは、回転力を、トランスミッション(伝動装置)を介して、或いは、トランスミッションを介さず直接的に、発電機20(本図では不図示)の回転部であるロータに伝達する。
【0034】
電気エネルギーは、十分な風速があれば発電機20内で発生され、風力発電装置の各コンセプト(構造形式)に応じて、変圧器(不図示)を介して例えば直接的に送電網に供給されることができ、或いは、整流器によって直流に変換されることができ、次いで、適切な周波数および位相状態に変換されて送電網に供給されることができる。説明したこれら部品の一部分は、ゴンドラ16に内蔵することができる。いずれにしても、発電機20で発生する電力に応じて、エネルギー損失による熱が発生し、冷却による放散が必要となる。この冷却は、空冷を含むことができるが、また、例えば水などの冷却流体も用いることができる。まさに、高い熱的負荷が伴ったときには、空冷では不十分であり、液冷が要求されることがある。また、発電機20は、発電機冷却用接続部30を有することができ、接続手段(部材)32は、発電機冷却用接続部30から、ゴンドラの一側(図中右側)の冷却熱交換器28までを繋いでいる。冷却流体は、発電機冷却用接続部30、接続部材32を通過して冷却熱交換器28に流れる。冷却熱交換器28は、空気の流れに再び(繰り返し)曝され、十分に広い表面積を有して確実に必要な熱放散を実行し、これにより冷却された冷却流体は、再度、発電機に供給され、熱損失によって発生した熱の放散が確実に継続される。
【0035】
本実施例の冷却熱交換器28は、複数のリブ状管(Rippenrohren)34から形成され、ゴンドラの空力学上(空気の流れに)好ましい形状が、冷却熱交換器28により悪影響を受けないように、ゴンドラ16の外郭内又は外郭に配される。換言すると、冷却熱交換器は、ゴンドラの一部分を置換し、その形状に適合することによって、ゴンドラの本来の形状が維持され、可及的に空力学的に優れた(空気の流れに好都合な)形状が達成される。この場合、冷却熱交換器は、ゴンドラ端部にロータ18に対向して(反対側に)設けることができ、ドーム形状の輪郭に形成することができる。代わりに或いは加えて、冷却熱交換器は、断面が少なくとも部分的にオーバルないし楕円状に形成することができる。また、冷却熱交換器は、キャップ形状の輪郭に形成することができる。このようにして、ゴンドラ16の有利な形状の採用により、冷却流体の適切な冷却が実現される。冷却熱交換器は、また、楕円状の外郭をもつようにすることができる。
【0036】
図3は、本発明の冷却熱交換器であって、分離された取付部品の状態を示している。本発明による冷却熱交換器は、外郭がゴンドラ輪郭の形状に忠実に従った延長となり、実質的にその形状に合致し、換言すると、冷却熱交換器の外郭は、(断面で)楕円状、ドーム状あるいはキャップ状であるよう、保持手段(ないし支持部材)に巻き付けられたリブ状管34を有している。リブ状管34は、リブ状管34を予め定められた位置に保持する止め具手段36によって位置決めされる。ファン38は、風向きに関して、リブ状管(複数)34の下流に配置することができ、ファン38は、空気がリブ状管(複数)34上を介して(の表面を通過して)流れるよう空気を吸引し、これによって過剰な熱が放散できる。
【0037】
図3は、本発明の一実施例に係る冷却熱交換器を横から視た図を示しているが、図4は後方から視た様子、換言すると、ゴンドラの後方から冷却熱交換器を視た様子を示す。このとき注意すべきことは、図3と同様に、ゴンドラが不図示であることである。本図では、リブ状管34、止め具手段36及びファン38を明瞭に見ることができる。本図は、また、全てのリブ状管34が接続された接続ボックス(分配・集合)40を明瞭に図示している。接続ボックスを通じて、冷却液体が全てのリブ状管に一斉に流れることによって、十分に大きな流れ断面積を確保され、冷却熱交換器28によって、要求された熱量の放散が周囲の空気になされる。この目的のため、接続ボックス40は、接続手段(ここでは不図示)を介して、風力発電装置のゴンドラ内にある冷却されるべき部品に接続される。
【0038】
本発明による冷却熱交換器28を僅かに変更した実施例を図5に示す。図5は、斜視図であって、風力発電装置のゴンドラを除いた様子を示している。上述したように、リブ状管34は接続ボックス40から延伸し、冷却流体は同時にそれらを通じて流れて、必要な冷却能力を提供する。ファン38は、また、冷却熱交換器28の(後)端部に配置され、空気の流れ41を良い方向にガイドするカバー44が付設されている。
【0039】
ファン38が作動すると、リブ状管34表面上の周囲の空気が矢印42で示す方向に流れ、本発明による冷却熱交換器28で有効な冷却が実行され、周囲の空気に廃熱が放散される。
【0040】
本発明による冷却熱交換器は外付けゴンドラの外郭(外輪部)に適合してはめ込まれているため、風力発電装置の外観は、最も僅かな影響しか受けず、実質的に維持される。また、ゴンドラにおける空気の流れの状態も実質的に維持され、同時に、冷却熱交換器28分では十分な冷却効果が達成される。
【符号の説明】
【0041】
16 ゴンドラ
28 冷却熱交換器
34 リブ状管
38 ファン
42 空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの流体冷却部品と、冷却熱交換器(28)を備えたゴンドラ(16)を有し、
前記冷却熱交換器(28)は、前記ゴンドラの外輪郭に取り付けられる風力発電装置。
【請求項2】
前記冷却熱交換器(28)は、少なくとも一つのリブ状管(34)を有する請求項1記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記冷却熱交換器(28)は、少なくとも部分的に、連続的に巻き回わされたリブ状管(34)を有する請求項1又は2記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記冷却熱交換器(28)は、平行に配列された複数のリブ状管(34)を有する請求項1又は2記載の風力発電装置。
【請求項5】
前記冷却熱交換器(28)は、保持手段(ないし支持部材)に設けられる請求項1〜4のいずれか一記載の風力発電装置。
【請求項6】
前記保持手段は、ゴンドラ外輪郭内で円周に亘って延在開口された開口を有するよう構成される請求項5記載の風力発電装置。
【請求項7】
前記保持手段は、分離可能なゴンドラ取付部品の形態である請求項5記載の風力発電装置。
【請求項8】
ゴンドラの長軸方向に設けられ、その装着位置で一又は複数の前記リブ状管(34)を保持する止め具手段を有する請求項2〜7のいずれか一記載の風力発電装置。
【請求項9】
空気(42)を吸引するよう設けられ、前記冷却熱交換器(28)の周囲に流れを生成するファン(38)を有する請求項1〜8のいずれか一記載の風力発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−516573(P2013−516573A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547518(P2012−547518)
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050202
【国際公開番号】WO2011/083156
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】