説明

風力発電設備の設置用構造

【課題】 風力発電設備の設置のための構造部分を、津波や洪水などの非常事態からの避難のために有効利用して有用性を高めた風力発電設備の設置用構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 地盤上に立設された支柱と、支柱の上部に設けられた避難部と、避難部へ避難させ得る登降手段とを備えた構造体であってその上部に風力発電設備を設置するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電設備の設置用構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、横軸まわりあるいは縦軸まわりに回転するブレードを備えた風力発電設備は高所に設置するのが風力をよく受け入れて好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2007−77889
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風力発電設備を高所に設置する方法として、特許文献1に記載されたものがある。このものは筒状のタワー構造物を地面から立設し、その上端に風力発電設備を設置したものである。しかし、この筒状タワー構造物は、風力発電設備を高所に設置する役目と発生電力を地上に導く役目とをもつ以外に他に有用な機能は持ち合わせていない。折角の高く剛強なタワー構造物であることに鑑みその有用性が求められている。
【0005】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、風力発電設備の設置のための構造部分を、津波や洪水などの非常事態からの避難のために有効利用して有用性を高めた風力発電設備の設置用構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、地盤上に立設された支柱と、支柱の上部に設けられた避難部と、避難部へ避難させ得る登降手段とを備えた構造体であってその上部に風力発電設備を設置するようになっている。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明は、地盤上に立設された支柱と、支柱の上部に設けられた避難部と、避難部へ避難させ得る登降手段とを備えた構造体であってその上部に風力発電設備を設置するようになっているので、風力発電設備の設置のための構造部分を、津波や洪水などの非常事態からの避難のために有効利用して有用性を高めた風力発電設備の設置用構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態を示す側面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】基礎ブロックの他の実施形態を示す平面図。
【図5】他の実施形態を示す平面図。
【図6】他の提案例である津波避難施設の正面図。
【図7】同避難施設の非常扉の緊急開放制御方法を示す説明図。
【図8】他の提案例を示す図9の平面図。
【図9】図8の側面図。
【図10】他の提案例を示す平面図。
【図11】他の提案例を示す図12の平面図。
【図12】図11の正面図。
【図13】他の提案例を示す図14の平面図。
【図14】図13の側面図。
【図15】図13の要部拡大図。
【図16】他の提案例を示す側面図。
【図17】図16の要部平面図。
【図18】図17の要部拡大横断面図。
【図19】他の提案例を示す正面図。
【図20】他の提案例を示す正面図。
【図21】他の提案例を示す縦断面図。
【図22】他の提案例を示す正面図。
【図23】図22のA−A線断面図。
【図24】図22のB−B線拡大断面図。
【図25】他の提案例を示す図26の横断面図。
【図26】図25の正面図。
【図27】他の提案例を示す説明図。
【図28】図27の昇降ガイド部の横断面拡大図。
【図29】耐津波・洪水等の高床式集合住宅システムの実施形態を示す平面図。
【図30】図29の施設の側面図。
【図31】図29の施設の正面図。
【図32】住宅部分の補強方式を示す正面図。
【図33】屋根保護構造についての提案例を示す正面図。
【図34】高床式住宅設備システムの住宅配列方式を示す平面図。
【図35】高床式住宅設備システムの他の実施形態を示す図36の平面図。
【図36】図35の側面図。
【図37】高床式住宅設備システムの他の実施形態を示す図38の平面図。
【図38】図37の側面図。
【図39】高床式住宅設備システムの他の実施形態を示す平面図。
【図40】高床式住宅設備システムの他の実施形態を示す平面図。
【図41】高床式住宅設備システムの他の実施形態を示す図42の平面図。
【図42】図41の側面図。
【図43】高床式住宅設備システムの他の実施形態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
各実施形態で説明する各案は他の実施形態においても適用することができる。
図1ないし図4において、1は設置基盤で、同基盤1は、津波が襲来するおそれのある防潮堤2近くの海岸べりの一般平坦地をその対象としている。しかし、設置基盤1は、海岸べりから離れた平坦地や高台であってもよい。また、設置基盤1は、自然な土壌地盤であったりコンクリート版や金属板造りなどのこともある。これらに図示した住宅である建造物は既設であっても新設であってもよく、また木造であっても鉄骨造りであってもよい。鉄筋コンクリート造りも含む。
【0010】
3は基礎ブロックで、4個など複数個が正方形の頂点位置に対応するように2〜3m前後の深さをもって埋め込まれている。この基礎ブロック3は、図4に平面図を示すように、外向きに大きく伸びた形のものにしてより安定なブロックにすることができる。
【0011】
基礎ブロック3には、設置用構造体4の主部材である支柱5の基部が一体埋め込み固定されるとともに、支柱5は上向きに窄まる四角錐状に伸びている。同支柱5は、山形鋼、十字材であったり、丸あるいは角鋼管方式(中空型・コンクリート充填型・TP型など)による。これら支柱5同士は、平面視矩形をなすように連結する横梁6によって上下複数段に亘って連結されている。支柱5・横梁6によって形成される面内は、斜材により補強することがある。
【0012】
支柱5の基盤1から12m程度登った高さには横梁6を介して避難部7が形成されている。避難部7は、横梁6の外周となる四角枠状の底枠8と、横梁6や底枠8などで形成された面内全体に敷設された避難ステージ版9と、外周ぐるりに立設された防護メッシュ10とで構成されている。
【0013】
12は避難ステージ版9に開けられた通口であり、設置基盤1内に埋設固定されたアンカーブロック13に基部が固定され隣合う支柱5、5間を上向きに伸びる避難はしご(登降手段)14の上端部がこの通口12に臨むとともに避難部7上に乗り移れるように手摺15も設けられている。この避難はしご14は、海岸側からみて背方に配置されているが、図1に仮想線で示すように、他の立面、例えば、海岸に面する側14Aや側面14Bにも設けてもよい。
また、図1に仮想線で示すように、中継避難部17に連絡する避難はしご17Aと同避難部17から避難部7に連絡する避難はしご17Bとで登降手段を構成してもよい。
さらに、構造体4の中段と設置基盤1間には、中継避難部17から滑り降りることのできる滑り台18を設けてもよい。この滑り台18は構造体の支持を兼ねる。
また、構造体4の前後には、基礎アンカー20に支持された緩衝杭21を立設し、その上部と前記構造体との間を牽き材22で引っ張るようにしてもよい。
さらに、避難部7からは近くの山や丘、他の設置用構造体などの二次安全避難地に向けて更なる避難が可能なように二次避難装置23を設けてもよい。
【0014】
こうした構造体4において、前記支柱5…は、避難部7より更に上向きに伸びており、その頂部には、手摺25付きの設置ステージ26が設けられて避難部7からの登りはしご27で登降可能とされているとともに、同ステージ26を介して縦軸式の風力発電設備28が設置されている。この風力発電設備28は、前記特許文献1で開示されたような横軸タイプのものやその他の形式のものでもよい。29は避雷針である。
【0015】
図5は設置用構造体4の頂部に設けられた風力発電設備28によって発電された電力を例えば、道路31の脇に設置された交通標識32その他の電力供給として利用するようにしたものである。
【0016】
図6および図7は他の付加的な提案例を示す。80は設置基盤、81は4点配置などとして立設された支柱、82は中段横梁、83は天梁、84は避難ステージで、階段85により設置基盤80からの避難者を避難ステージ84まで避難させ得るようにした津波・洪水などの非常事態用の避難装置Aに関するもので、特に、同避難装置Aの階段85の入口に安全のために設置されるドア86の自己完結型ドア自動開閉装置についての提案例である。ドア86は、非常時に破壊し得るものや破壊できないもののいずれでもよい。
尚、この実施形態では、避難装置Aが津波襲来想定方向Xに対し左右一対あるいは前後一対配置されて、その間に連絡橋87が渡されることで1段以上(2段・3段など)の多人数避難部が増設された形となっているが、一方(例えば、左側の避難装置A)のみで避難装置とする場合もある。連絡橋87の受梁は片持式で対向間が連結されているが、避難装置A間を単一本の受梁で連結してもよい。また、避難装置Aは一対設けられているが、3基・4基など増設して相互間を連絡橋87で連結することもできる。
さらに、複数基の避難装置Aを配備する場合、同図仮想線で示すように、支柱81から連続してあるいは避難ステージ84から別の柱として、上支柱88を例えば、図示では左右一対のものを前後に2組立設(本数は限定しない)配備してそれらを支えとして上部避難ステージ89を構築するとともに、避難ステージ84と上部避難ステージ89間を階段、スロープ、エスカレータあるいはエレベータなどの登降手段85で斜め補強目的をもってつないで上部避難装置Bを構成することもできる。この場合、下部の避難装置Aは既設であっても新設のものでもよい。この上部避難装置B付きであると、下部避難装置Aのみの場合より2倍高さ(高さ倍率は限定されない)まで避難することができる。津波襲来想定方向Xは図6の左から右方向であったり正面から背面方向であったりする。これら方向の中間方向となることもある。
また、図6の左上に示すように、避難装置AあるいはBの避難ステージ84,89において手摺に対応する部分を網状部材Wを3〜5m(数値は限定しない)の高さまで外斜め広がり状に張って避難ステージ84,89以上に襲来してくる津波・洪水からさらによじ登って避難し得るようにしてもよい。この場合、網状部材Wは、津波に対抗できる強い外支柱aを利用して張る。また、支柱81を上に伸ばし外支柱aをステーbで支持することもできる。外支柱a同士は横連結材で補強することもできる。
【0017】
太陽電池パネル90を避難装置上あるいは装置外の日射を受けやすい位置に設置しておく。太陽電池パネル90の出力(発電電力)をチャージコントローラ91の入力に接続する。この機器ではパネル90の入力電力を接続しているバッテリ92に充電、出力としても機器へ接続する。バッテリ92の満充電状態を監視しバッテリ92の破損を防ぐため重電を中断するようにする。バッテリ92の過放電を監視しバッテリ92の破損を防ぐため放電を中断するようにする。パネル90は1枚のため12Vのバッテリ92しか充電できないので出力に使う24Vを得るためコンバータ93にて24Vを作るようにしてある。地震検知には、P波センサー94を設ける。P波センサー94を地面に近い位置に設置してP波(本震が来る前の初期微動)を検出する。検出レベルは加速度ガルで2段階の設定ができる。検出時に外部に対して接点をONとして信号を出力し、この信号を制御コントローラ95に接続する。P波センサー94が地震を検知した後も警報を続け、ドア86を開け続ける必要があるためシーケンスを用いる。この制御コントローラ95でP波センサー94の出力で地震検出を状態保持リレー等でONにし、回転灯96、警報器97を動作させ、ドア86の開閉をオープン状態にして固定時間ON後全てOFFにする。回転灯96、警報器97の動作インターバルの設定、ドア開閉の時間設定等にインテリジェンスを持たせるものとする。また設計後の機能の追加や修正ができるようにシーケンサを採用している。
尚、このシステムは、高速などの高位道路の避難入口に設けられるドアにも適用される。
【0018】
図8および図9は津波・洪水などの非常事態時の避難施設についての他の提案例を示し、特に、階段を利用できない人を安全・確実に避難ステージめで避難させ得るようにしたものである。
100は設置基盤で、その所定個所には図示しないコンクリート基礎を介して4本の支柱101…が立設され、同支柱101…間は横連結材102で連結されている。支柱101は丸あるいは四角な金属製筒体でなり、高さは10m〜12m前後とされ、その上端間にも連結材102が設けられるとともにその連結材102に連結された外回り枠103が設けられている。連結材102や外回り枠103などにより避難ステージ104が敷設されている。105は外周の主手摺である。106は階段で、避難ステージ104に避難するためのものである。支柱101、横連結材102などは、金属以外に木質あるいはコンクリート製など他の材質でもよく、また支柱101は4本以外に1本・2本・3本など本数は限定されない(このことは他の実施形態でも同様にいえる)。避難ステージ104は最上階に設けられているが、その下の連結材102で囲まれた構内平面やさらにその下の階の構内平面にも設置することができる。
【0019】
Xは図8および図9の左側から右方向に向かう方向で当該避難施設の設置地域における津波襲来想定方向を示しているが、この方向Xは例えば、図8の下側からあるいは右側、さらに上側などいずれの方向であってもよい。この実施形態では、図示矢印Xを想定方向とするもので、以下、図8および9の左側を前側、右側を後側とする。
【0020】
避難施設の前側となる設置基盤100には、避難施設の幅間中央に位置するように補助基礎108が埋設されるとともに、同基礎108上を介して設置台板109が固定されている。一方、避難ステージ104の前側には、補助台110が左右対称的に突き出され、その上にそれぞれ避難用受板111が敷設されるとともに適宜補助手摺112が設けられている。避難用受板111は避難ステージ104の左右端部に合うように幅広状にしてもよい。
【0021】
避難ステージ104の前側には、左右一対の上受台114が立設され、この上受台114を上端の支えとし下端基部を設置台板109上に固定するようにしてガイドレール115の一対が立て付けられている。このガイドレール115は、上受台114に対し弾性支持されているとともに、避難施設および設置基盤100側からそれぞれ突設された中受台116および下受台117によっても弾性軸支されて取り付けられている。これはガイドレール115に加わるであろう衝撃負荷が避難施設に掛からないようにするためである。しかし、ガイドレール115は避難施設に弾性を介することなく連結してもよい。
【0022】
ガイドレール115は、溝形鋼でそれら一対の間隔は2〜3m程度に広くとられているとともに、このガイドレール115には、ローラー118を介して昇降案内されるように側面三角形枠の受枠119が取り付けられ、この受枠119を介して常に正立状態のまま昇降するように避難用リフト120が装備されている。ガイドレール115は、図8に仮想線で示すようにモノレール式のガイドレール115´であってもよい。
【0023】
122はラックで、避難用リフト120側に備えた減速駆動式駆動源により回転駆動されるピニオン(図示省略)が噛み合って避難用リフト120を昇降させる。避難用リフト120は、図9のように設置台板109上に待機した状態から避難ステージ104と避難用受板111とが形成する切欠個所に登った状態との間を往復運動する。その制御は図示しない制御盤の手動ボタン操作により安全を確認しつつ行われる。123は搭乗用ステップで、設置台板109上に設置して開かれた第1乗降扉124を通じて避難用リフト120内に安全に乗ることができるようにするものである。125は津波跳ね除けガイドで、金属板やゴム板あるいは樹脂板などにより折れ曲り板状に形成されたもので避難用リフト120の底面に設けられている。126は第2乗降扉で、避難用リフト120の背面に設けられて同リフト120が避難ステージ104高さまで登った際に開けられて同ステージ104上に降りることができるようにする扉である。127は手摺扉である。
【0024】
尚、ガイドレール115に添って手摺付き非常階段130が左右一対あるいはその一方に設けられており、この非常階段130は、設置基盤100から非常用として登ることができる他、避難用リフト120が緊急停止した場合において避難用リフト120内の搭乗者が側面扉131を開けて乗り移り緊急避難する場合にも利用される。この非常階段130を登ったあとは、避難用受板111上から避難ステージ104へと避難することが可能である。
また、前記避難用リフト120は、ピニオン・ラック式で昇降するようになっているが、上下のスプロケットにチェーンやロープなどの履帯を掛け渡し電動源や手動ウインチ式で昇降させるようにしてもよい。
さらに、ガイドレール115には、図11に仮想線で示すように側方斜め補強材132で支えるようにしてもよい。
また、避難施設の前方には、船舶や家屋などの津波随流物を受け止める緩衝杭133を立設しておいてもよい。
さらに、前記ガイドレール115・避難用リフト120などの避難用リフト装置は、図9に仮想線で示すように、避難施設の他の面を介して設けてもよい。また、図9に仮想線で示すように、ガイドレール115などの避難用リフト装置は、避難施設の内部空間を通じて避難ステージ104を突き抜けるように配してもよい。ガイドレール115は垂直式でもよい。
また、前記避難用リフト装置は、送電網からの駆動による他に、地震や洪水などの非常事態時の停電に備えて。オフグリッドは、避難ステージ104上などに設置した太陽光パネルと、蓄電池・スマートメーターなどによるバッテリマネージメントシステムとを組み合わせて構成する。オフグリッド方式に代えてあるいは併用して、エンジンと減速装置の組み合わせ方式あるいは屋上設置の水タンクと水ポンプによる駆動方式を採用することができる。これらの駆動方式は駆動源を有するものであるが、それから切り換えて手動ウインチ方式により避難用リフト120を昇降自在とすることもできる。避難用リフト装置の安全装置としては、落下防止装置付きで、扉スイッチ・電磁ブレーキ・リミットスイッチ・バッファスプリング等を構成する。バッファスプリングと津波跳ね除けガイド125とを併設した場合避難用リフト120が何らかの原因で落下してもそれを極めて効果的に緩衝停止させることができる。
以上のことは避難施設にリフト装置を構成するものについての他の実施形態にも同様に適用され得る。
【0025】
図10は、図8および図9に示す4本支柱タイプ以外の例えば、6本支柱101…タイプで避難ステージ104が矩形をしたものについて同様の避難用リフト装置を構成した実施形態を示す。同リフト装置は、矩形の長い辺に対して設けらているので、短手方向の揺れをガイドレール115が効果的に抑止する。しかし、長手側に対してガイドレール115を設ける場合がある。また、長手側と短手側の双方にガイドレール115を設けて地震の揺れを如何なる方向からも抑止するようにすることもできる。
【0026】
図11および図12は、ビル137に対し避難用リフト装置を構成した実施形態を示す。138は左右一対のガイドレールで、モノレール式でもよく、このガイドレール138は図11のように地震による揺れが大きい細幅側に対して建て掛けられている。ガイドレール138は、図21に仮想線で示すように一対設けてもよい。139は設置台板、140は緩衝機能をもつ下受台、141は上緩衝部、142は避難用リフト、143は自動制動装置付き巻揚電動ウインチである昇降駆動装置、144は緩衝杭である。
【0027】
図13ないし図15は、複数本の支柱148…と横連結材149および避難ステージ150を備え階段151により避難可能とした鉄骨構造型である津波などの避難施設に対し、階段151を利用しにくい人を対象に避難用リフト装置を構成したものにおいて、同避難用リフト装置のガイドレール152を垂直式としたものである。153は主手摺である。
【0028】
ガイドレール152は、図15に示すように溝形鋼の1本でなり、同ガードレール152には、つなぎ材154を介して同じく溝形鋼でなる受柱155が平行に組み合わされている。これらガードレール152と受柱155とは、その座板156が地盤に固定される一方、上端は受柱154に備えたブラケット157を介して避難ステージ150のステージ枠158に取り付けられている。
【0029】
ガイドレール152と受柱155の上下には、つなぎ材154を介してスプロケット160が設けられるとともにそれらスプロケット160間にはチェーン161が掛けられている。上のスプロケット160は、図13に示すように、減速機付きモーターである昇降駆動装置162により正逆に駆動されるようになっている。この昇降駆動装置162は前記オフグリッドで駆動される構成を採ってもよい。また、図15に示すように、手動ウインチ装置163により駆動されるようにしてもよい。
【0030】
ガイドレール152には、避難用リフト166から突設したローラーブラケット164に備えたローラー165…を介して避難用リフト166が昇降自在とされている。避難用リフト166からは図15のように従動ブラケット167が突設され、このブラケット167に備えたピン168がチェーン161の中途に連結されて昇降自在となっている。
【0031】
避難用リフト166は乗降扉169を備えて側方から乗り込み可能とされるとともに上昇したときにも乗降扉169を開くことで補助台170上の補助ステージ171上に降りることができるようになっている。172は補助手摺、173は廃棄タイヤやばねなどによる落下緩衝手段である。落下緩衝手段はタンク内に入れた水でもよい。水内には吸水スポンジを入れておいてもよい。
避難用リフト166には前側に扉を設けておいて乗り込むようにしてもよい。
図14の左欄および図15の右欄に示すように、前記受柱155は省略してガイドレール152のみで構成してもよい。この場合、ガイドレール152の上下にスプロケットブラケット175を設け、上部やや下寄りに取付ブラケット176を設けて構造の簡素化を図るようにする。
尚、図13および図14において159Aは浮きステージでそのものが津波の水位上昇に伴い浮上する扁平な中空体であるタンク構造のものであるが、ステージ版の底に浮上性樹脂、浮上性コンクリート、間伐材などの木材等を張り付けて浮上可能に構成したものでもよい。この浮きステージ159Aは避難ステージ150内に設置されて手摺159Bとその入口159Cを有するもので階段151を使って避難ステージ150に揚がった人はそのままこの浮きステージ159Aに搭乗可能になっている。そして、この浮きステージ159Aを垂直に浮上させるため、避難ステージ150の中央付近に穴を開けておくとともに、ステージ159Aの底から下向きに長く(8ないし12m前後)伸びた垂直部材159Dが前記穴を通じて垂下するようにし、しかも避難ステージ150の枠体中央付近に取着したガイド159Eが垂直部材159Dを昇降案内するようにしてある。浮きステージ159Aが浮く途中で縦軸まわりに回転せず真直ぐ安定・安全に上昇するように、ガイド159Eは角パイプやH鋼などが好ましく、また、垂直部材159Dあるいはガイド159Eには、円滑に上昇させるためのローラー159F…を設けることができる。さらに、ガイド159Eの下端は、設置基盤上に固定することにより避難施設全体の抵抗部材として機能し得るようになっているが、例えば、図14の半分程度の長さに伸びたものにしてもよい。また、避難ステージ150には浮きステージ159Aの浮上を早く確実に行うように通水穴を設けることがある。こうした浮きステージ159Aを利用するとき、避難ステージ150の高さを超えた想定外(2倍程度)の高さまで避難することができる。前記手摺159B自体に浮上性をもたせてもよい。ガイド159Eは、避難ステージ150上に立設した複数本のガイドレールで構成できる。
【0032】
図16ないし図18は、複数本の支柱180…と横連結材181および避難ステージ182を備え階段183により避難可能とした鉄骨構造型である津波などの避難施設に対し、階段183を利用しにくい人を対象に避難用リフト装置を構成したものにおいて、同避難用リフト装置のガイドレール184を垂直式としたものである。195は主手摺である。
【0033】
ガイドレール184は、図18に示すようにH形鋼の1本でなり、その溝内を、避難用リフト185側のローラー186が昇降自在とされている。187はローラーブラケットで避難用リフト185の背面上下に突設されている。ガイドレール184の下端は、支柱180の座板187に取り付けられる一方、上部は避難ステージ182の底枠188に取り付けられている。そして、避難ステージ182の一部は、図17に示すように、避難用リフト185が通るための開口189(あるいは一方開放状の切欠)を備えその周りに避難者が降りるようになっている。ガイドレール184の上端には吊りブラケット190が突設し、同ブラケット190に設けた駆動源付きの巻揚げホイール191に巻揚げワイヤ192を巻き付けて避難用リフト185を昇降させるようになっている。駆動源は、送電網利用型と独立充電駆動型とがある他、手動ウインチ式の場合がある。また、避難用リフト185は、前記ピニオンラック駆動方式を採用することもある。193は乗降扉で、この避難用リフト185は一度にできるだけ多くの人(20人前後)が搭乗されるよう大型になっている。この避難用リフト185は避難施設の避難ステージ182より下の段に停止して避難できるようにすることもある。194はゴムタイヤなどの緩衝手段である。ガイドレール184は2本設けてもよい。
【0034】
図19は、複数本の支柱198…と横連結材199および避難ステージ200を備え階段201により避難可能とした鉄骨構造型である津波などの避難施設に対し、階段201を利用しにくい人を対象に避難用リフト装置を構成したものにおいて、同避難用リフト装置のガイドレール202を垂直式で2本立てとしたものである。203は主手摺である。
【0035】
ガイドレール202は、避難ステージ200の面内を貫通してあるいはステージ200の面外に位置するように底枠204に上部を固定されるとともに下端も地盤上に固定して設けられている。ガイドレール202の上部にはそれぞれホイール205が設けられ、その一方に駆動源206が設けられてワイヤやチェーンなどの駆動索207を介して2つの避難用リフト208を交互に昇降連動自在としてある。避難用リフト208を交互に昇降させると、より短い時間で多くの人を避難させることができるようになる。即ち、下に降りた避難用リフト208への乗り込みと上に来た避難用リフト208からの降車を同時に行うことが可能になるからである。尚、同図に示すように、支柱198は上下に接合する構造を採ることがあるが、その場合、接合フランジ210にはメッキ用通孔211が明けられて上下が1つの空間となっている。その1つの空間であることを利用してその内部にエアー注入部212から圧縮エアーを充填しておき、それを非常時などいつでもエアー利用口213への接続により工具利用や避難用リフト駆動用とすることも可能になる。エアーに代えて水や油などでもよい。また、避難施設内に水タンク214を設置しておいてその水を水ポンプと水モーターにより避難用リフト駆動用とすることも可能である。ポンプは太陽光発電によることができる。
【0036】
図20は、鋼管杭217から延設された複数本の支柱218…と横連結材219および避難ステージ220を備え階段221により避難可能とした鉄骨構造型である津波などの避難施設において、特に、支柱218を20ないし30mの長いものにして高い鉄骨構造物とするとともにその下半分を津波や洪水で浸水・破壊など被害のない鉄骨構造部分として残し上半分のみを居住・事務所など部屋構成部分として津波が襲来しても部屋構成部分は被害を受けないようにしたものである。
【0037】
222は外壁、223は太陽光パネル、224は水タンク、225はアンテナ、226は避雷針、227は簡易エレベータ、228は保護管を示す。保護管228は、部屋構成部分と地上とを結ぶ管で、その内部には配電コードa・ガス管b・給水管c・排水管dなどがメンテナンス可能な状態で通される。尚、229は斜めのガイドレール、230は避難用リフトである。231は下周り補強構造部分、232は非常時水密型ガレージである。
こうした津波回避型ビル(あるいはマンション)は仮想線で示すように横並列状に長く築造することができる。
【0038】
図21は、地上に津波回避型ビル235や住宅236…が配備されている特定地域では液状化現象が発生して多大な被害が発生するおそれがこと対策として提案されたものである。即ち、H1はこの地域の液状化原因層域であり、そのまま地震があればその含水分により液状化を発生して住宅236…などが没したり噴出したりする原因となる。そこで、住宅236…まわりの地表から複数本の抜水用パイプ237…を打設して前記層域H1まで達するようにするとともに、同パイプ237を多孔状のものとしかつパイプ237内に土砂粒238を充填し、さらにパイプ237内に潜入してくる水を抜き出すためのポンプアップ手段239を構成したものである。これにより、時間の経過につれ層域H1内に含まれる水分は多孔を通じて抜水用パイプ237内に徐々に滲入して溜まるようになり、それを定期的にポンプアップ手段239により抜き出してやることにより層域H1に含まれていた水分が抜き去られ、その結果として、地震が発生しても液状化を防止することができるようになる。パイプ237は、同図のように丸あるいは角パイプであったり、H鋼に蓋板aや多孔板bを張付けることで形成することもできる。
【0039】
図22ないし図24は、既設あるいは新設住宅242の地震・津波対策案を示す。243は地盤、244は布基礎、245は土台、246は1階外壁、247は内柱である。248は鋼管杭で、この杭248は住宅の基礎前側位置に接近して埋め込まれ、その内部から上向き1階部分の高さ程度に伸びる主柱249が立設されている。主柱249と杭248との間にはモルタルなどの充填剤250が入れられて固着されている。251は防護梁で、1階部分の外面に沿って上下平行に配備され、その中間個所は前記主柱249に中央金具252を介して連結固定されている。防護梁251の両端には、端金具253を介して側縦柱254が連結されており、この側縦柱254は隅金具255を介して内柱247に取り付けられている。256は固定アングルで、布基礎244に固定されて主柱249を固定するものである。257はブレースである。前記構造体は図示しない他の面にも同様に構築することができる。また、主柱249は図22に仮想線で示すように住宅のコーナー位置に配備することもできる。さらに、津波が襲来する想定方向X側に対応して緩衝杭258を設けたり斜め対抗柱259を設けてもよい。
尚、緩衝杭258は間伐材を使用し、H形に溶接一体化した金属製の杭受260の2本のパイプ内を介して立設固定してもよい。また、図23の左欄上段に示すように、金属製の丸あるいは角パイプでなる主杭261の前後に間伐材でなる合わせ杭262を抱き合わせたものを埋め込み固定して緩衝杭としてもよい。さらに、同図の右上に示すように、丸などの主杭261の中に間伐材である合わせ杭262を挿入して1つの緩衝杭を形成してもよい。また、図23の左欄中段に示すように、主杭261をH形鋼にしてその前後の溝内を介して間伐材でなる合わせ杭262を抱き合わせたものを埋め込み固定して緩衝杭としてもよい。この場合、緩衝杭の前方には、津波流Xを左右に分けるアングル材でなる前緩衝材258Aを配置してもよい。さらに、図23の左欄下段に示すように、金属製のアングル材を主杭261としてその一対間に間伐材でなる合わせ杭262を抱き合わせて緩衝杭としてもよい。これら緩衝杭の例は鉄骨構造体でなる津波避難施設の外部においても適用される。
【0040】
図25および図27は、鉄骨構造型の津波避難施設についてのもので、同避難施設が、低い既設の施設Aと高い新設の施設Bとでなる。既設の施設Aは、支柱263・横連結材264・避難ステージ265・階段266とを有して避難ステージ265に避難し得るようになっているが、この施設Aが津波襲来の想定高さが高く見直されたことに伴い低いものと看做されこれを高くする必要性が出てきた場合の一対策例として施設Bを追加するようにしたものである。施設Aを高くする方法としては、施設Aをジャッキアップしてそのアップした分に補足構造体を追加したり、施設Aの上に補足構造体を追加したりする方法が考えられるが、いずれも増強が図れないばかりか弱体化するおそれもあった。
【0041】
この方法は、施設Aと相似形で一回り大きな施設Bを追加し相互連結する方法となっている。即ち、施設Bは、支柱268・横連結材269・避難ステージ270を有するとともに、支柱263,268間を連結する相互連結材271を有する。そして階段266は利用し、避難ステージ265と避難ステージ270間に階段272を追加したものである。このように内外二重構造にすることによって地震・津波に非常に強い津波避難施設を提供できることになっただけでなく、階段266を利用して避難する際に外側に施設Bが存在するためそれが対抗体になって船舶や家屋などの漂流物から護り避難を安全なものにする。
【0042】
図27および図28は、複数本の支柱276・横連結材277・避難ステージ278・登降手段を備える鉄骨構造型避難施設であって、避難路279の数個所に蓄電式太陽光発電パネル280により作動する音声ガイド281…を配置して避難の安全を図るようにしたものである。音声ガイド281はその前を通過する人をキャッチしてONになり、非常時に行き先案内をするようになっている。平時の案内も行えるようにしてもよい。音声ガイド281は矢印板形状になっている。また、音声ガイド281の近くには照光灯を設ける。
【0043】
尚、283は太陽光パネル、284は蓄電池であり、蓄電池284の電力により登降手段であるエスカレータ285を運転するようにしてもよい。286は階段である。また、四角筒状とした支柱276の対応面に突設したレール287にローラー288を昇降自在に掛け合わせて避難用リフト289を作動させるようにすることもできる。290はその駆動源、291は駆動源290により正逆に駆動される巻揚げ手段である。レール287は、図28の右欄のように前後2本にしてその間をローラー288が昇降するようにしてもよい。
図27の避難施設右下個所には、想定される津波襲来方向Xに対し先行して対抗するように設置した緩衝装置293を示す。この緩衝装置293は、垂直な後部cとその上端の曲がり部bおよび前下がり状の前部aとでV字形に一体形成されており、素材としては丸あるいは角パイプ、アングル材やH形鋼などを使用する。前部aと後部cは設置基盤中に埋め込み固定するが、前部aには破線のように前曲げ部dを設けて浮き上がりを阻止するようにしてもよいし、さらに前曲げ部dの浮き上がりを抑えるように横張式埋込パイプ状あるいはワイヤ、リンクチェーンなどの浮き抑止部材294を設けてもよい。また、後部cは、複数本の基礎杭(SCやPHC杭)295を集結させる柱脚296に対し矢印Pのように上から押さえ込むように連結してもよく、破線のように一体埋め込みしてもよい。津波Xが作用すると避難施設より先に緩衝装置293に当ることになり、その際、前部aに負荷が作用するが前部aが斜め状になっているので押下げる力となって後部cには押下げ力Pが作用して避難施設の基礎である柱脚296に押下げ力として作用する。その結果、津波Xが避難施設である構造本体にその後作用した際に発生する前部の引き抜き力Zを軽減する。避難施設の支柱276を独立コンクリート基礎あるいはべた基礎で固定する場合は、それら基礎を押下げるように後部cを上から対抗配置する。また、図27に仮想線で示すように、後部cと支柱276とを連結部材297で連結して押下げ力が作用するようにしてもよい。緩衝装置293は図27の右下欄に示すようにV字を逆様にした形に埋め込んだものにしてもよい。eは浮き上がり抑制部、fは押さえ付け部である。
【0044】
図29ないし図32は、津波が襲来してくる沿岸域やそれに続く平野地その他襲来が想定される地域に設置される津波・洪水・高潮等対策用高床式集合住宅システム例を示す。300は設置基盤で、この例では、防潮堤301の手前に車道302が通る沿岸の平坦地であり、その基盤300は、コンクリート基礎が施される。303は高床を形成するための支柱(鋼管杭)で、丸あるいは角パイプさらにアングルや溝形鋼、H形鋼などを広く使用可能である。ここでは丸パイプ製支柱303となっている。Uは高床ユニットで、左右一対の支柱303を前後複数組配備して合計8本の支柱303…を構成する。
【0045】
これら支柱303のH(10ないし13m)の高さには、階下ステージ304が面内床構築体(図示省略)を介して敷設されるとともに、その上のhの高さ(3m前後)には設置ステージ305が同様に面内床構築体(図示省略)を介して敷設されている。階下ステージ304と設置ステージ305間には車両306の通行の妨げにならない個所を介して階段307が設けられている。ユニットUの前方には、船舶などの隋流物が支柱303などに衝当するのを阻止するための緩衝杭308が左右一対立設固定されている。この緩衝杭308とユニットU間は補強部材309が設けられている。また、ユニットUの上部前面には、津波や高潮などによる海水飛沫を喰い止めるための湾曲状飛沫受板310が取り付けられている。
【0046】
尚、図30に示すように、前後の支柱303間には、側壁312やブレース313を設けて補強したり、図31に示すように、左右の支柱303間には対抗メッシュ314を張設してもよい。しかし、この実施形態では、これら側壁312、ブレース313、メッシュ314などを設けることなく支柱303間をできるだけ開放状にして津波および隋流物が通り抜けやすくすることを基本とする。
【0047】
ユニットUの設置ステージ305上には住宅315…が固定して配備される。この住宅315は、事務所、店舗、工場、倉庫などを目的とする構築体でもよく、また、その構築形態は、木造、鉄骨、コンクリート造りなどでもよい。さらに、図示のように個別に構築する必要はなく連設タイプ、例えば、集合住宅、マンションなどでもよい。また、ユニットUをここでは左右2ユニット配置してその間を屋上路面体316でつないで別の大きなユニットを構成しているとともに、両ユニットUの前側には、平時に設置基盤300と屋上路面体316上との間を往き来し津波襲来時などの非常時には屋上路面体316上に避難するためのエレベータ塔317が設けられている。このエレベータ塔317は、津波襲来時に切り分けるため前半部が山形になっている。半円形でもよい。防潮堤301上には前緩衝杭318を立設してもよい。この緩衝杭318と緩衝杭308とを連結梁319でつないでもよい。
【0048】
さらに、両ユニットUの外周りには、設置基盤300と階下ステージ304との間をつなぐスロープ320が設けられている。このスロープ320は、平時はこのユニットに設置した住宅315に住む人用の車両306が登降するためのものであるが、津波などの緊急時には住人に限定されず車道302からの一般車両306も登降可能になっている。スロープ320には、津波流が通り抜けるようなメッシュや横桟などの通水部320a…を上下数段にわたって備えている。この通水部320aは千鳥配置にしてもよい。スロープ320は上スロープ321を備えていて屋上路面体316上にも登降可能になっている。図30における323は避難鉄塔で、避雷針324を備える他に、二次避難装置325により他の避難場所に避難し得るようになっている。326は貯水タンクで非常時にも使用可能である。311は歩道スロープで、スロープ320の側脇に手摺311aで車道スロープと分離した形で設けられている。
【0049】
尚、前記スロープ320は、図31に示すように、階下ステージ304の下方に設けてもよい。この場合、スロープ320には前記通水部320aを一部あるいは全面に設けて津波対策とする。同スロープ320は前方(海側)に下がるように設けられているが、後方へ下がるように設けてもよい。後方へ下がるように設ける場合は、通水部320aを設けると津波流が通り抜けて車両306が登れないので板面状の路面とする。
【0050】
図32は、桁梁床構造体331上に基盤面材332を敷設した設置ステージ305の上に前記住宅315を設置し、その住宅315の土台基礎333が溝形鋼や四角パイプなどでなるとともに基盤面材332あるいは桁梁床構造体331に取り付け固定され、その土台基礎333の上を介して柱334や桁梁部材335を構成してブレース336で補強もなし外壁337を施してなる構築体を有するものとしたものにおいて、前記住宅315の外部コーナーに緩衝杭338を立設固定して同緩衝杭338から伸ばしたアーム339に備えた補強隅金具340を住宅315側に取り付けて地震・津波対策としたものである。尚、太陽光パネル342を装備した屋根343の津波・高潮対策として保護メッシュ344を被せるようにしてもよい。また、図33に示すような、鋼板や樹脂製などの押さえ板枠346を装備して太陽光パネル342や屋根343をしぶきなどから保護するようにしてもよい。
【0051】
図34は、高支柱303を介して階下ステージ304および設置ステージ305を構築しスロープ320や緩衝杭308を配備して地震・津波・洪水・高潮などに備えた図29ないし図31に示すような高床式集合住宅配備システムを基本にして、同住宅を構造上強度の高いものA…を押し波Xおよび引き波Yのくる前後端列に配備し、通常強度のものB…についてはこれらA,A間のスペースを利用して配備して護るようにすることにより、住宅設備をより安価で構築できるようにしたものである。
【0052】
図35および図36は、複数本の支柱303…を介して設置ステージ305と屋上路面体316を形成するとともに設置ステージ305上に複数戸の住宅315…を固定配備してなる耐津波高床式住宅設備システム(あるいは耐津波高床式住宅、耐津波高床住宅、高床式耐津波住宅と呼ぶこともある)において、スロープ320を側面X状に立体交差する関係に配し、その下端を設置基盤に上端を屋上路面体316の開口に結合するとともに、各スロープ320をスロープ支脚350…にて支持したものである。スロープ320は、溝形横断面の鋼枠体や鉄筋コンクリート製とするもので、両スロープ320は互いに結合して増強することができる。
尚、前記スロープ320は津波襲来想定方向Xに対し平行に向けられているが、直交する向きでもよい。
前記スロープ320は、図35に仮想線で示すように上からみてL字状に屈曲する形式にしてもよい。
この耐津波高床式住宅設備システムは、住宅315…を設置せず津波・洪水避難施設として構成することもある。この場合、津波・洪水避難専用でなく平時にも駐車用として機能させ非常時にも避難用として機能するようなものも含む。このことは他の実施形態でも同様にいえる。
【0053】
図37および図38は、津波が襲来してくる沿岸域やそれに続く平野地その他襲来が想定される地域に設置される津波・洪水・高潮等対策用高床式集合住宅システム例を示す。400は設置基盤で、この基盤400前(図の左側)には、防潮堤が設けられるとともにその手前には沿岸道が通っている。設置基盤400は、コンクリート基礎が施される。401は鋼管などの基礎杭で、丸あるいは角パイプさらにアングルや溝形鋼、H形鋼などを広く使用可能である。ここでは丸パイプ製となっている。402は調整型ジョイントで、設置基盤400内に埋め込まれ支柱403の基部ジョイントになっている。
【0054】
Uは高床ユニットで、左右列と中央列および前面、後面列に並ぶ支柱403…を有する。前面列の支柱403は、中央1本とその両脇後寄り一対及び両サイド前端一対の複数本でもって船首状配置となっている。これは津波X並びに津波とともに流れ来る船舶・大木・油タンクなど隋流物が衝当してきても左右に振り分けて過大な負荷が構造体に加わらないようにするためである。これら支柱403の前端両サイドのものの前方には、津波Xや隋流物の対抗部材として緩衝杭404が立設され、同緩衝杭404と支柱403との間には補強部材405が組み付けられている。406はエレベータ装置、407はしぶき等防護プレートである。この防護プレート407は太陽光パネル装置としてもよい。
【0055】
支柱403のH1(10ないし13m)の高さには、階下ステージ410が面内床構築体(図示省略)を介して構築されるとともに、その上のH2の高さ(3m前後)には設置ステージ411が同様に面内床構築体(図示省略)を介して構築されている。階下ステージ410は、設置ステージ411よりも後側へ広く延びてそこが中継路412になっている。この中継路412は、共用路であって、1Fと階下ステージ410間を結ぶ下スロープ413に続く連絡路になっているとともに階下ステージ410と3Fステージ411とを結ぶ上スロープ414に至る連絡路にもなっている。2Fと3Fとは、車両415の通行・駐車の妨げにならない個所を介して階段が設けられている。両スロープ413,414は平面的にみて支柱403…の設置域内に位置するが、設置域外に配置してもよい。
【0056】
ユニットUの設置ステージ411上には住宅などの設置物416が固定して配備される。この設置物416は、事務所、店舗、工場、倉庫などを目的とする構築体でもよく、また、その構築形態は、木造、鉄骨、コンクリート造りなどでもよい。さらに、図示のように個人向け一戸建てである必要はなく連設タイプ、例えば、集合住宅、マンションなどでもよい。設置物416が住宅、集合住宅などの住居設備の場合、一般に設けられる床下換気口は省略されしかも出入り口やその他の窓口は水封式とされる。また、設置物416は、下周りの基礎台を金属製として設けて設置ステージ411に止め付け固定されるが、津波高さによっては設置ステージ416から離脱して浮遊可能にすることがある。浮上可能にする場合に備えて設置物416は重心を低くする。さらに、設置物416と設置ステージ416との間には、補脚(あるいは補助架台)417を介して設置物416を高く固定して津波に対し一層安全性を向上させるようにすることがある。
【0057】
図39は、2戸設置タイプを示し、図40は、3戸設置タイプを示す。
図41および図42は、4戸設置タイプ、図43は6戸設置タイプを示す。これらについては、図37および図38と同じ構成の部分について同じ符号を付して説明に代える。
【符号の説明】
【0058】
1…設置基盤 3…基礎ブロック 4…設置用構造体 5…支柱 6…横梁 7…避難部 28…風力発電設備。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤上に立設された支柱と、支柱の上部に設けられた避難部と、避難部へ避難させ得る登降手段とを備えた構造体であってその上部に風力発電設備を設置するようになっている風力発電設備の設置用構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2013−87767(P2013−87767A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245964(P2011−245964)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】