説明

風車ブレードの落雷保護装置

【課題】高所作業車を使用することなく雷受電部を修理又は交換するなどのメンテナンスが容易にできる風車ブレードを提供すること。
【解決手段】風車のブレード10に雷受電部12を設け、該雷受電部12に落雷した雷電流を避雷導線16、ブレードハブ11、タワー4を経由して地中に導くようにした風車ブレードの落雷保護装置であって、雷受電部12を複数個とし、避雷導線16の先端に取付け、該避雷導線16を押し出す(繰り出す)ことにより、ブレードハブ11からブレード10の表面の所定位置まで該ブレード10内に配置されたガイドパイプ13を通って案内移動され、ブレード10の表面の所定位置に露出固定され、且つ避雷導線16を引き抜くことにより所定位置からブレードハブ11までブレード10内をガイドパイプ13内を通って案内移動されブレードハブ11内に収容するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風車ブレードに雷受電部を設け、該雷受電部に落雷した雷電流を避雷導線を経由して地中に導く風車ブレードの落雷保護装置に関し、特に高所作業車を使用せずに簡単に雷受電部のメンテナンスができる風車ブレードの落雷保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備等で使用される風車のブレードはガラス繊維補強プラスチック等の非電導性の材料で作られているにも関わらず雷はブレードに落ち、落雷によるアークがブレードの中に形成されると深刻な被害を受ける。そこで、風車のブレードの落雷保護としては、ブレード内側に雷アークの形成が避けられるように落雷点からブレードハブまで雷電流を導き、更にタワーを経由して地中まで導くことが必要である。その為にはブレードの表面に金属製の雷受電部を設け、該雷受電部に落雷を集中させ、ブレード内部に雷受電部からブレードハブまで避雷導線を設置することになる。
【0003】
図1及び図2は従来の落雷保護装置の雷受電部の構成例を示す図である。図1に示す落雷保護装置は、風車のブレード101の先端部内に金属ブロック103を設け、該金属ブロック103に雷受電部となる金属製のボルト102、102を捩じ込んで装着している。そして金属ブロック103には避雷導線104を接続している。ボルト102、102に落雷した雷電流を避雷導線104を通して、ブレードハブ(図示せず)まで導き、更にタワーを経由して地中まで導いている。なお、図1(a)はブレード先端部の平面図、図1(b)はA−A断面図である。また、図2に示す落雷保護装置は、風車のブレード101の先端部105を金属で製作し、雷受電部の表面積を大きくしている。そして金属製の先端部105には避雷導線104を接続している。なお、図2(a)はブレード先端部の平面図、図2(b)はブレード先端部の側面図である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレードに設けられた金属製の雷受電部は、長期間使用していると、落雷によって溶けて変形する。特に冬季雷のような高エネルギーを有する雷が着雷すると雷受電部が溶けて変形し、ボルトタイプの雷受電部の場合は、ボルト頭部が消失してしまう程である。このように雷受電部が着雷により溶けて変形すると雷受電部として機能が低下したり、風車の回転中の異常音の発生の原因となる。そのため定期的に修理又は交換するなどのメンテナンスが不可欠である。しかし、風車のブレード101の金属製先端部105は、地上数十メートルの高さにあるため、高所作業車を使用した危険の伴う作業であり、且つ費用も高価になるという問題があった。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、高所作業車を使用することなく雷受電部を修理又は交換するなどのメンテナンスが容易にできる風車ブレードの落雷保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、風車のブレードに雷受電部を設け、該雷受電部に落雷した雷電流を避雷導線経由でブレードハブに導き、更にタワーを経由して地中に導くようにした風車ブレードの落雷保護装置であって、雷受電部は、避雷導線の先端に取り付け、該避雷導線を押し出すことによりブレードハブからブレードの表面の所定位置まで該ブレード内を案内手段で案内され移動し、ブレードの表面の所定位置に露出固定され、且つ避雷導線を引き出すことにより所定位置からブレードハブまでブレード内を案内手段で案内され移動するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
避雷導線の先端に取り付けた雷受電部をブレードハブからブレードの表面の所定位置まで、該所定位置からブレードハブまで、ブレード内を案内手段で案内され移動するように構成されているので、高所作業車を使用することなく雷受電部を修理又は交換するなどのメンテナンスが容易にできる。
【0008】
また、本発明は、上記記載の風車ブレードの落雷保護装置において、雷受電部を、ブレードの表面の複数個所に設置できるように案内手段を複数設けたことを特徴とする。
【0009】
上記のように雷受電部をブレードの表面の複数個所に設置するので、その設置個所を選定することにより、ブレードの表面全体を落雷から保護することが可能となる。
【0010】
また、本発明は、風車のブレードに雷受電部を設け、該雷受電部に落雷した雷電流を避雷導線経由でブレードハブに導き、更にタワーを経由して地中に導くようにした風車ブレードの落雷保護装置であって、避雷導線の先端に雷受電部となるレセプターロッドを取り付け、ブレード内に避雷導線に取り付けられたレセプターロッドをブレードハブからブレードの所定位置まで導くガイドパイプを設け、ガイドパイプの先端部近傍には該ガイドパイプを通って導かれたレセプターロッドがその先端がブレードの表面に露出した状態で係止するレセプターロッド係止部を設けたことを特徴とする。
【0011】
上記のように避雷導線の先端に取り付けたレセプターロッドがガイドパイプを通ってブレードハブからブレードの所定位置まで導かれ、先端がブレードの表面に露出した状態でレセプターロッド係止部に係止して固定されるので、高所作業車を使用することなく雷受電部であるレセプターロッドの修理又は交換するなどのメンテナンスが容易にできる。
【0012】
また、本発明は、上記風車ブレードの落雷保護装置において、レセプターロッドを、ブレードの表面の複数個所に設置できるように、ガイドパイプを複数設けたことを特徴とする。
【0013】
上記のように雷受電部であるレセプターロッドをブレードの表面の複数個所に設置するので、その設置個所を選定することにより、ブレードの表面全体を落雷から保護することが可能となる。
【0014】
また、本発明は、上記風車ブレードの落雷保護装置において、レセプターロッドは円柱状で後端部が避雷導線の先端に取り付けられたストッパー兼用継手部材に着脱自在に構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記のようにレセプターロッドの後端部がストッパー兼用継手部材に着脱自在に構成されているので、雷受電部であるレセプターロッドの修理、交換が容易となる。
【0016】
また、本発明は、上記風車ブレードの落雷保護装置において、レセプターロッドの長さ寸法は、該レセプターロッドをストッパー兼用継手部材に装着された状態でガイドパイプ内を移動し、該ストッパー兼用継手部材がレセプターロッド係止部に当接して停止した状態でレセプターロッドの先端がブレード表面から所定寸法突出するように設定されていることを特徴とする。
【0017】
上記のようにレセプターロッドの長さ寸法をストッパー兼用継手部材がレセプターロッド係止部に当接して停止した状態でレセプターロッドの先端がブレード表面から所定寸法突出するように設定されているので、風車が回転すると遠心力でレセプターロッドはその先端がブレード表面から所定寸法突出した状態で固定されることとなり、安定して雷受電部としての作用を果たす。
【0018】
また、本発明は、上記風車ブレードの落雷保護装置において、レセプターロッドの先端は、該レセプターロッドをストッパー兼用継手部材に装着された状態でガイドパイプ内を移動し、該ストッパー兼用継手部材がレセプターロッド係止部に当接するまでスムーズに移動できるようにテーパー状に形成されていることを特徴とする。
【0019】
上記のようにレセプターロッドの先端をストッパー兼用継手部材がレセプターロッド係止部に当接するまでスムーズに移動できるようにテーパー状に形成しているため、雷受電部であるレセプターロッドの設置が容易となる。
【0020】
また、本発明は、上記風車ブレードの落雷保護装置において、ブレードハブにはブレード表面側からガイドパイプを通って浸入してくる雨水を外部に排水する排水手段を設けていることを特徴とする。
【0021】
上記のようにブレードハブに排水手段を設けることにより、ブレード表面側からガイドパイプを通って浸入してくる雨水がブレードハブ内に滞留することがない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば風車のブレード表面の所定の位置に設置された雷受電部又は雷受電部であるレセプターロッドの修理又は交換するなどのメンテナンスを行なうのに高所作業車等を使用することなく容易に、且つ安価な費用で実施できる。また、雷受電部又は雷受電部であるレセプターロッドをブレード表面の複数個所に設置することにより、ブレードの全表面を落雷から防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本願発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図3及び図4は本発明に係る落雷保護装置を備えた風車のブレードの構成例を示す図であり、図3(a)はブレードの側面図、図3(b)はブレードの正面図、図4は図3(a)のA部分の拡大図である。図示するブレード10はブレードハブ11に複数本(図では3本)取り付けている。ブレード10の前表面10a及び裏表面10bにはそれぞれ複数個(図では4個)、先端表面10cには1個、計5個の雷受電部12が設置されている。複数の雷受電部12は後に詳述するように、それぞれブレード10内に配置した複数本(図では5本)のガイドパイプ13を通してブレードハブ11の内側からブレード10の前表面10a、裏表面10bの所定位置、及びブレード10の先端表面10cに設置できるようになっている。また、雷受電部12を取り外すときは、それぞれ雷受電部12に接続している避雷導線(ここでは図示せず)の設置位置からガイドパイプ13内を通して引き抜くことにより、ブレードハブ11の内側に収容できるようになっている。
【0024】
雷受電部12の設置部は図4に示すように、ブレード10の前表面10aの所定個所には雷受電部設置穴10dが形成され、該雷受電部設置穴10dにガイドパイプ13の先端部がブレードハブ11からブレード10内を通って接近している。ガイドパイプ13の先端部には先端ガイドパイプ14が設けられ、該先端ガイドパイプ14を介してガイドパイプ13の内部と雷受電部設置穴10dが連通している。なお、雷受電部設置穴10dが形成されている部分のブレード10の内側面には、補強板15が取り付けられ、ブレード10の雷受電部設置穴10dが形成された部分の周辺を補強している。
【0025】
先端ガイドパイプ14は図5(a)に示すように、ガイドパイプ13の先端内部に挿入され、補強板15を貫通して雷受電部設置穴10dに挿入され、その先端面はブレード10の前表面10aと同一面になるように形成されている。16は雷受電部12に落雷した雷電流をブレードハブ11に流す避雷導線であり、該避雷導線16の先端を円柱状のストッパー兼用継手部材17に差込み溶接18等で取り付けている。ストッパー兼用継手部材17の避雷導線16取り付け側の反対側面には、ネジ溝を切った穴が形成されている。雷受電部12は円柱状のレセプターロッド19を有しており、該レセプターロッド19の後端部に切ったネジ溝19dを上記ストッパー兼用継手部材17のネジ穴に捩じ込みロックナット20で締め付けることにより、レセプターロッド19を避雷導線16が接続されているストッパー兼用継手部材17に固着できるようになっている。また、レセプターロッド19をストッパー兼用継手部材17から取り外すときは、ロックナット20を緩めることにより行なう。
【0026】
先端ガイドパイプ14の後端部はレセプターロッド19がブレード10の表面側に飛び出る(移動する)のを阻止するレセプターロッド係止部となっている。即ち、避雷導線16の先端に取り付けられたストッパー兼用継手部材17に装着されたレセプターロッド19は避雷導線16を押し出すことにより、ブレードハブ11の内側からガイドパイプ13内を通って移動し、ストッパー兼用継手部材17のレセプターロッド19の装着側面が先端ガイドパイプ14の後端部に当接することで、その移動は阻止される。この状態でレセプターロッド19の先端がブレード10の前表面10aから若干突出した状態になるように、ストッパー兼用継手部材17の先端ガイドパイプ14の当接面からレセプターロッド19の先端までの寸法を設定する。また、先端ガイドパイプ14は風車が回転した場合、雷受電部12を構成するレセプターロッド19やロックナット20やストッパー兼用継手部材17に遠心力が加わり、雷受電部12がブレード10の外側に飛び出るのを阻止し、雷受電部12を固定する作用も奏する。
【0027】
また、ガイドパイプ13内に避雷導線16の先端に取り付けたレセプターロッド19を押し込んだ際、レセプターロッド19の先端ガイドパイプ14の後端部に引っ掛からないように構成している。つまり図5(b)に示すように、先端ガイドパイプ14の後端部内周面14aとレセプターロッド19の先端外周面19aはテーパー状に加工されている。そして、先端ガイドパイプ14の後端部内周面14aのテーパー寸法T1をレセプターロッド19の先端部19aの外周面のテーパー寸法T2より小さく(T2>T1)している。これによりレセプターロッド19の先端部が先端ガイドパイプ14の後端部に達した場合、レセプターロッド19の先端部が該先端ガイドパイプ14の後端部に阻止されることなく、スムーズに先端ガイドパイプ14内に案内される。なお、レセプターロッド19の先端部を円弧面又は楕円弧面状に形成してもよい。
【0028】
上記構成の落雷保護装置を風車に取り付ける場合は、避雷導線16の先端のストッパー兼用継手部材17にレセプターロッド19を装着し、レセプターロッド19をブレードハブ11の内側から先端ガイドパイプ14内に押し込み、避雷導線16を押し出す(繰り出す)ことにより、レセプターロッド19はガイドパイプ13内を進み、先端ガイドパイプ14内に挿入される。ストッパー兼用継手部材17が先端ガイドパイプ14の後端に当接された状態で、レセプターロッド19の先端部19aはブレード10の前表面10a、裏表面10b、先端表面に形成された雷受電部設置穴10dから若干突出した状態にセットされる。このときブレード10をブレードハブ11より下方に垂直にセットする方が、雷受電部12を構成するレセプターロッド19等が重力により、スムーズに落下するからレセプターロッド19のセットが容易となるが、必ずしも垂直に設置する必要はなく、場合によっては水平方向にセットしてもよい。なお、レセプターロッド19、ストッパー兼用継手部材17等よりなる雷受電部12はブレード10が回転することにより、遠心力を受け先端ガイドパイプ14の後端の所定位置に自動的にセットされ固定される。
【0029】
レセプターロッド19が落雷によって溶け、雷受電部12としての機能が低下したら、ブレードハブ11の内側から避雷導線16を引き抜き、レセプターロッド19をブレードハブ11内に取り込む。その後、レセプターロッド19をストッパー兼用継手部材17から取り外し、新しいレセプターロッド19を装着し、再度ガイドパイプ13を通して、先端ガイドパイプ14内に導き、先端ガイドパイプ14をセットする。なお、避雷導線16を含む雷受電部12を構成するレセプターロッド19等はガイドパイプ13内を落とし込むだけで固定する必要はない。即ち、ブレード10のブレードハブ11を中心とする回転により、遠心力が作用し、レセプターロッド19等は正しい位置に自動的にセットされ固定される点は上記と同様である。
【0030】
上記構成の落雷保護装置において、レセプターロッド19に高電流の雷が着雷して避雷導線16が万一溶断しても、ブレード10の回転により、レセプターロッド19に遠心力が作用してもストッパー兼用継手部材17が先端ガイドパイプ14の後端に当接しているので、レセプターロッド19がブレード10の外に飛び出ることが無く安全である。この場合、ガイドパイプ13内に残ったレセプターロッド19やストッパー兼用継手部材17等を取り出す方法としては、ブレード10を水平にセットし、ブレード10の表面に設けた雷受電部設置穴10dから別の避雷導線を挿入し、ガイドパイプ13内をブレードハブ11まで押し戻す必要がある。
【0031】
また、風車の停止時には、ブレード10の表面に形成された雷受電部設置穴10dからガイドパイプ13を通して雨水がブレードハブ11に浸入してくることがある。その対策としては、図6に示すようにブレード10内のブレードハブ11取り付け部分にガイドパイプ13内に連通するドレンボックス22を設けると共に、該ドレンボックス22に連通するドレンパイプ23を設ける。そしてドレンパイプ23の先端をブレードハブ11の外側に配置することにより、ガイドパイプ13を通ってドレンボックス22内に浸入した雨水はブレードハブ11の外側に排出される。
【0032】
雷受電部12のレセプターロッド19の材質としては、防錆を考慮したステンレススティールや軽量化を考慮したアルミニウム鋳物など採用されるが、雷の着雷性能を考えて銅合金とするのがよい。しかし、冬季雷の様な高エネルギーの場合はレセプターロッド19の早期変形が予想されるので、レセプターロッド19の耐久性向上の為に白金又はイリジウム等の溶融温度が高い金属をレセプターロッド19の金属母材(銅合金)の表面にメッキ又は溶接による盛金処理を施すことにより、着雷時にレセプターロッド19の表面を高温のアークに溶け難くするのがよい。
【0033】
一方、ストッパー兼用継手部材17と避雷導線16はステンレススティール製として、ストッパー兼用継手部材17と避雷導線16を接続する溶接18はステンレススティール用の溶接棒を使用した溶接としている。
【0034】
高電流が避雷導線16に流れると、避雷導線16の温度上昇により該避雷導線16をカバーするガイドパイプ13やブレード10の内部がダメージを受ける場合がある。そこで,温度上昇を低減するためにIEC規格で推奨されている避雷導線のサイズ(50mm2)よりも太い75mm2の避雷導線を用いる。なお、導線のタイプは錆びの発生防止と取扱いの容易さを考慮してステンレススティール製の縒線とするとよい。また、ガイドパイプ13にはPVC等の樹脂パイプを用いる。
【0035】
図7は本発明に係る落雷保護装置を備えた風車設備の構成例を示す図である。図示するように、風車1はブレードハブ11に複数本(例えば3本)のブレード10を放射状に取り付けた構成である。ブレードハブ11はナセル4内に収容された変速機(図示せず)の回転軸に支持され、風車1が回転すると該変速機を介して発電機(図示せず)が回転するようになっている。また、ナセル3はタワー4の頂部に水平方向に回転自在に支持されている。
【0036】
上記構成の風車設備において、風車1のブレード10の複数個所に設けられた雷受電部12のレセプターロッド19に着雷した雷電流を、避雷導線16を経由してブレードハブ11に導かれ、更にタワー4を経由して地中5に導く。このように風車1のブレード10の表面の複数個所に雷受電部12を設けたことにより、この雷受電部12の設置位置と設置個数をブレード10の形状大きさ等に応じて選択設置することにより、ブレード10の全表面を着雷から保護することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態例では、雷受電部12を構成するレセプターロッド19やストッパー兼用継手部材17等をガイドパイプ13内を通して案内するようになっているが、案内手段はガイドパイプに限定されるものではない。また、雷受電部12もレセプターロッドやストッパー兼用継手部材で構成されるものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の落雷保護装置の雷受電部の構成例を示す図である。
【図2】従来の落雷保護装置の雷受電部の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る落雷保護装置を備えた風車のブレードの構成例を示す図である。
【図4】図3(a)のA部分の拡大図である。
【図5】本発明に係る落雷保護装置の雷受電部の構成例を示す図である。
【図6】本発明に係る落雷保護装置を雨水排出部の構成例を示す図である。
【図7】本発明に係る落雷保護装置を備えた風車設備の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 風車
3 ナセル
4 タワー
5 地中
10 ブレード
11 ブレードハブ
12 雷受電部
13 ガイドパイプ
14 先端ガイドパイプ
15 補強板
16 避雷導線
17 ストッパー兼用継手部材
18 溶接
19 レセプターロッド
20 ロックナット
22 ドレンボックス
23 ドレンパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車のブレードに雷受電部を設け、該雷受電部に落雷した雷電流を避雷導線経由でブレードハブに導き、更にタワーを経由して地中に導くようにした風車ブレードの落雷保護装置であって、
前記雷受電部は、前記避雷導線の先端に取り付け、該避雷導線を押し出すことにより前記ブレードハブから前記ブレードの表面の所定位置まで該ブレード内を案内手段で案内され移動し、前記ブレードの表面の所定位置に露出固定され、且つ前記避雷導線を引き出すことにより前記所定位置から前記ブレードハブまで前記ブレード内を前記案内手段で案内され移動するように構成されていることを特徴とする風車ブレードの落雷保護装置。
【請求項2】
請求項1に記載の風車ブレードの落雷保護装置において、
前記雷受電部を、前記ブレードの表面の複数個所に設置できるように前記案内手段を複数設けたことを特徴とする風車ブレードの落雷保護装置。
【請求項3】
風車のブレードに雷受電部を設け、該雷受電部に落雷した雷電流を避雷導線経由でブレードハブに導き、更にタワーを経由して地中に導くようにした風車ブレードの落雷保護装置であって、
前記避雷導線の先端に雷受電部となるレセプターロッドを取り付け、
前記ブレード内に前記避雷導線に取り付けられたレセプターロッドを前記ブレードハブから前記ブレードの所定位置まで導くガイドパイプを設け、
前記ガイドパイプの先端部近傍には該ガイドパイプを通って導かれた前記レセプターロッドがその先端が前記ブレードの表面に露出した状態で係止するレセプターロッド係止部を設けたことを特徴とする風車ブレードの落雷保護装置。
【請求項4】
請求項3に記載の風車ブレードの落雷保護装置において、
前記レセプターロッドを、前記ブレードの表面の複数個所に設置できるように、前記ガイドパイプを複数設けたことを特徴とする風車ブレードの落雷保護装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の風車ブレードの落雷保護装置において、
前記レセプターロッドは円柱状で後端部が前記避雷導線の先端に取り付けられたストッパー兼用継手部材に着脱自在に構成されていることを特徴とする風車ブレードの落雷保護装置。
【請求項6】
請求項5に記載の風車ブレードの落雷保護装置において、
前記レセプターロッドの長さ寸法は、該レセプターロッドを前記ストッパー兼用継手部材に装着された状態で前記ガイドパイプ内を移動し、該ストッパー兼用継手部材が前記レセプターロッド係止部に当接して停止した状態で前記レセプターロッドの先端が前記ブレード表面から所定寸法突出するように設定されていることを特徴とする風車ブレードの落雷保護装置。
【請求項7】
請求項5に記載の風車ブレードの落雷保護装置において、
前記レセプターロッドの先端は、該レセプターロッドを前記ストッパー兼用継手部材に装着された状態で前記ガイドパイプ内を移動し、該ストッパー兼用継手部材が前記レセプターロッド係止部に当接するまでスムーズに移動できるようにテーパー状に形成されていることを特徴とする風車ブレードの落雷保護装置。
【請求項8】
請求項3乃至7のいずれか1項に記載の風車ブレードの落雷保護装置において、
前記ブレードハブには前記ブレード表面側から前記ガイドパイプを通って浸入してくる雨水を外部に排水する排水手段を設けていることを特徴とする風車ブレードの落雷保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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