説明

食事トレイ配布チェーンの自動化方法および装置

食事トレイ配布チェーンの自動化装置は、それぞれが識別手段を備えた複数のトレイ(115)と、複数のキャリッジ(200)と、食事構成要素をトレイに供給するためのトレイ搬送チェーン(150)と、各トレイがその受取人までキャリッジで搬送されるように、キャリッジにトレイを結合する情報処理システムとを含む。好適には、情報処理システムは、一連のトレイが同じ受取部局に送られるようにトレイの内容物を選択する。また、好適には、トレイの識別手段が、それぞれ、たとえばRFID無線周波数識別タイプの、または再書込み可能なメモリを備えた、電子ラベルを含む。
【代表図】図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食事トレイの配布および容器の回収を行うチェーンの自動化方法および装置に関する。本発明は、特に、公共団体、給食事業、特に病院現場での食事の配布に適用される。
【0002】
食事トレイとは、一つまたは複数の食事を受容可能なあらゆるタイプの入れ物を意味する。
【背景技術】
【0003】
食事トレイを構成するチェーン構造は、食事の構成要素をセットする技術区画の正面で、トレイ搬送ベルトの周囲に連結されている。各技術区画は、少なくとも一人の作業員を配置して所在を必要とする。たとえば、平均的な規模の組織の場合、トレイ組立チェーンは以下の部署からなる。
−トレイをセットする部署
−「野菜」部署
−「肉」部署
−「オードブル」部署
−デザート部署
−積み込み部署
【0004】
このため、1日2回1時間から2時間の間、7人の作業員を動員する可能性があり、これは、この組織にとって大きな経済的負担となる。さらに、多数の間違いや失念が発生するために追加コストが生じたり労働負担が増したりし、トレイの受取人に不快な思いをさせ、病気に関連する食事の構成要素が遵守されなくなる。しかも、多人数分の単位に対する食事の組み分け(1つの容器は複数の患者用の複数人数分を含むことがある)によって、さらにコストが上がり、労働負担が増す。
【0005】
下記特許文献1(米国特許発明明細書第4323110号(RUBBRIGHT))から、病院の患者用の食事トレイの準備装置が知られている。これらのトレイは手動で準備される。
【特許文献1】米国特許発明明細書第4323110号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一つまたは複数の部署の自動化機能を確保する複数モジュールの設置によって、上記の不都合を解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、第1の態様によれば、食事トレイの配布チェーンの自動化装置を目的とし、この装置は、
−それぞれが識別手段を備えた複数のトレイと、
−複数のキャリッジと、
−食事構成要素をトレイに供給するためのトレイ搬送チェーンと、
−各トレイがその受取人までキャリッジで搬送されるようにキャリッジにトレイを結合する情報処理システムとを含むことを特徴とする。
【0008】
個別の特徴によれば、情報処理システムは、各キャリッジの受取先の数を最小にしながらキャリッジを充填するように構成されている。
【0009】
個別の特徴によれば、情報処理システムは、一連のトレイが同じ受取部局に送られるように、トレイの内容物を選択するように構成されている。
【0010】
個別の特徴によれば、トレイの識別手段が、それぞれ、1つの電子ラベルを含む。
【0011】
個別の特徴によれば、各電子ラベルが、再書込み可能なメモリを含む。
【0012】
こうした構成の各々によって、トレイを遠隔で識別して受取人に結合することができる。
【0013】
個別の特徴によれば、情報処理システムは、1人の受取人に各トレイを結合し、トレイに載せられる構成要素のリストに各受取人を結合するように構成されている。
【0014】
個別の特徴によれば、情報処理システムは、特に患者の姓名、部屋、ベッド、食事療法、および/または選択されるメニューを識別する患者カードを各トレイに結合するように構成されている。
【0015】
個別の特徴によれば、搬送チェーンは、少なくとも一つの自動装置との通信によりトレイ識別手段を読み取る少なくとも一つの読取装置を含む。
【0016】
個別の特徴によれば、搬送チェーンは、トレイに構成要素を配布する自動装置と、前記自動装置の正面への各トレイの到着を検知する手段とを備えており、構成要素の配布が、自動装置の正面へのトレイの到着に同期して行われる。
【0017】
個別の特徴によれば、搬送チェーンは、表示画面を含む少なくとも一つの調整部署を備えており、情報処理システムは、トレイの少なくとも一部について、前記調整部署に到着する次のトレイに載せられる構成要素の少なくとも一つの識別子を表示するように構成されている。
【0018】
個別の特徴によれば、簡潔に述べた上記の装置は、トレイの搬送キャリッジとの通信端子を含み、情報処理システムが、トレイの積み込みを示す情報を前記キャリッジに伝達するように構成されている。
【0019】
個別の特徴によれば、各キャリッジは、積み込みを示す情報に応じてトレイの温度リセットを実施するように構成されている。
【0020】
個別の特徴によれば、簡潔に述べた上記の装置は、キャリッジの自動積み込み手段を含む。
【0021】
個別の特徴によれば、簡潔に述べた上記の装置は、キャリッジがいっぱいになったときに空のキャリッジを設置するように構成された、キャリッジの交換手段を含む。
【0022】
個別の特徴によれば、簡潔に述べた上記の装置は、各キャリッジにおける各トレイの記憶手段を含む。
【0023】
個別の特徴によれば、情報処理システムは、患者の割当変更の場合にキャリッジのトレイを回収するように構成されている。
【0024】
個別の特徴によれば、簡潔に述べた上記の装置は、容器を回収するとともに、回収された容器を洗浄する手段を含む。
[図面の簡単な説明]
【0025】
本発明の他の長所、目的、および特徴は、添付図面に関して少しも限定的ではなく説明のために例として示した、以下の記載から明らかになるであろう。
【0026】
図1は、本発明による食事トレイ構成チェーンの特定の実施形態を概略的に示す上面図である。
【0027】
図2は、図1に示した食事トレイ構成チェーンに組み込み可能な自動容器セット装置を概略的に示す断面図である。
【0028】
図3は、図1に示した食事トレイ構成チェーンに組み込み可能な、丸い果物または予めパッケージされた製品の自動セット装置を概略的に示す断面図である。
【0029】
図4は、食事トレイ構成チェーンのキャリッジ積み込み部署を概略的に示す断面図である。
【0030】
図5は、図4の食事トレイ構成チェーンのキャリッジ積み込み部署を概略的に示す上面図である。
【0031】
図6は、材料回収用の付加的モジュールを概略的に示す上面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図示されているように、食事トレイ115の配布チェーン100の自動化装置は、それぞれが識別手段を備えた複数のトレイ115と、食事構成要素をトレイに供給するように構成されたトレイ搬送チェーン150と、供給された食事トレイを受取人に搬送する複数のキャリッジ200と、各トレイがキャリッジで受取人まで運ばれるようにトレイをキャリッジに結合するための情報処理システムとを含む。
【0033】
限定的ではないが、搬送チェーン150は、従動ローラと、ステッピングモータとすることができる電動機部材によって駆動される駆動ローラとの間に張られた、トレイ受容用のエンドレス要素を有する直線状のコンベヤを含むことができる。エンドレス要素は、駆動ローラと従動ローラとの間で平行に引っ張って配置された複数のエンドレスベルトからなる継目のないベルトから構成可能である。このコンベヤは、供給すべき空トレイの積み込み領域から供給済みトレイを降ろす領域までトレイを搬送するように構成されている。このコンベヤに沿って、搬送チェーンは、トレイに供給される構成要素145の配布を行う一つまたは複数の自動装置からそれぞれが構成された、トレイ供給部署を装備される。これらの構成要素は食品であるが、しかしまた、食器、使い捨てのナプキン、コップ、および飲食に必要な他の道具としてもよい。
【0034】
各トレイ115は、トレイの上に取り付けられるか、トレイに結合されるか、トレイに埋め込まれるか、または嵌合された、たとえばRFID(RadioFrequence IDentification:「無線周波数識別手段」の略号)タイプの電子ラベル等の識別手段を備えることができる。そのため、各トレイ115は、公知のタイプの電子ラベル読取装置により識別可能である。変更された実施形態では、場合によっては再書込み可能なメモリを含む、たとえば無線周波数電子ラベル等の識別手段をトレイのカードが備えており、その場合には、このトレイのカードの電子ラベルが読み取られて、トレイ115を識別することができる。
【0035】
変更された実施形態によれば、搬送チェーンが含むコンベヤは、トレイを受容する専用の場所を備えており、トレイ115の識別手段は、トレイを受容する専用の場所に組み込まれた電子ラベルから構成可能である。他のあらゆる識別部材を使用可能であることはいうまでもない。電子ラベルは、それぞれが、再書込み可能なメモリを含むことができる。このような場合、トレイはまた識別手段を含むことができるが、この識別手段は上記のタイプであってもよいし、あるいは、もっと簡単に、識別に必要な記載と、トレイおよび受取人の患者の記載とを含む印刷券から構成してもよい。
【0036】
トレイは、供給されるとキャリッジ200で温度調節される。
【0037】
各キャリッジ200は、たとえば電子ラベルによって、または、たとえば遠隔で再書込み可能なメモリを介して、無線通信端子により(たとえばWIFIまたはブルートゥース)識別されるが、必要な電子手段については当業者によく知られているのでここでは説明を省く。この場合、中央情報処理システムは、キャリッジ200の再書込み可能なメモリに識別データおよび/または搬送データを書き込むように構成されている。キャリッジに組み込まれた表示システムにより、これらのデータを表示することができる。
【0038】
キャリッジ200におけるトレイ115の位置決めは、その部局の部屋と廊下の分布とに応じてフォーマット化された論理プログラムにより、情報処理システムによって実施される。そのため、位置決め順序は、キャリッジを充填する論理を考慮して、トレイを配布するスタート地点で構成される。
【0039】
こうしたフォーマット化により、位置決め(キャリッジの高さ)と情報処理システムにより提供される順序によるキャリッジ制御とに関する情報の読み取りを行う制御手段だけを、積み込み自動装置195に搭載すればよい。
【0040】
キャリッジ200のそれぞれの高さ、すなわち棚は、たとえば電子ラベル式の読み取り目印を備えており、この目印が、加熱プレートまたは温度リセット素子を、それ自体が一つの料理に結合されたトレイ115に結合し、それによって、配布前の温度リセットプログラムを最適化することができる。キャリッジ内にトレイが置かれる高さを含めて、キャリッジ200内のトレイ115の位置を割り出すことによって、また、患者の再割当または一定の患者への食事療法の再割当の場合に、キャリッジ200、次いでトレイ115を回収し、その後、キャリッジ200に別のトレイ115を再び積み込むことができる。
【0041】
中央情報処理システムは、次の機能を果たす。
−患者のファイルと要望を管理する。
−患者カード(特に患者の姓名、部屋、ベッド、食事療法、選択されたメニューを識別する)とその要望とをトレイに結合し、キャリッジ200を選択する。
−トレイ構成チェーン100でトレイ115を識別する。
−搬送チェーン150の自動装置の食事構成要素積み込みローダと、その商品とを管理する。
−食事構成要素を配布する自動装置120、125、135、140を制御する。
−調整回路130でトレイ115を管理する。
−調整部署130、すなわち自動化されていない部署にトレイを積み込む必要性を表示する。
−センタリング地点205上で各キャリッジ200の位置を割り出し、搬送自動装置210に搬送命令を出す(この装置は、transport automatise lourd:「大型自動搬送装置」の略号で「tortue」または「tal」という名称で知られている)。
−各キャリッジ200の積み込みレベルを管理し、対応するトレイ115の識別子と結合する。
−たとえば温度リセットサイクルを最適化するための積み込み情報等のデータを無線通信端子を介して伝送する(たとえば患者が検査中である場合、トレイのプレートの再加熱を遅らせることができる)。
−キャリッジ200、トレイ115、および容器145を回収することにより、容器145を洗浄するとともに、各容器145またはたとえばポリプロピレン等のその構成材料を回収する。
【0042】
トレイの積み込みキャリッジ105に電子ラベルがないことが検知された場合、このキャリッジ105にはもはやトレイがないとみなされ、トレイ115の搬送チェーン150の自動装置120、125、135、140は、監視状態に置かれる。その反対に、トレイ115を積み込まれたキャリッジ105が提示されて動作再開が確定されると、自動装置120、125、135、140が再び作動される。
【0043】
搬送チェーン150の入口で、たとえば吸盤を備えた自動装置110が、一定の高さにあるキャリッジ105の積層トレイから1つのトレイ115を把持し、搬送チェーン150にこのトレイ115を置く。
【0044】
好適には、搬送チェーン150が、装置の情報処理システムの一部をなす専用の情報処理手段を備える。たとえば適切なマイクロコンピュータとソフトウェアとから構成されるこの情報処理手段には、準備すべき食事トレイの構成要素をプログラムすることができる。
【0045】
トレイ115が搬送チェーン150上で良好に揃えられるように、搬送チェーン150の入口に、二重の側面走査によるセンタリング手段(たとえば空気圧式の2個のアームが横からトレイを挟んでコンベヤ上にトレイを揃える)を設ける。たとえば、トレイのサイズ(好適にはトレイの幅)に較正された二重レールによって搬送チェーン150の縁にトレイの縁を揃える。
【0046】
このようにして、搬送チェーンとトレイの面とに対して垂直に動く2個のセンタリング装置は、トレイセット自動装置110によって制御される自動装置の制御下で、または、たとえば光学検知セル、機械的な検知セル、もしくは電子ラベル107の読み取り等によるトレイ到着識別手段によって制御される自動装置の制御下で、トレイをコンベヤの中心に向かって押す。好適な事例である電子ラベルによる読み取りの場合、搬送チェーン150の入口付近でたとえば下部に配置される電子ラベル読取装置107は、トレイの電子ラベルが読み取れるかどうか確かめる。読み取れない場合は、搬送チェーン150を停止し、アラームを始動させて、不良トレイ115を取り除くようにする。
【0047】
トレイの識別情報は、この読取装置107によって情報処理システムに伝達される。情報処理システムは、この識別情報を患者カードに結合し、特に搬送チェーン150の自動装置120、125、135、140に向けて直ちに一連の命令または要求を発生する。搬送チェーン150で自動装置120、125、135、140の正面に当該トレイ115を検知すると、要求された行動を開始する。これらの要求は、当該自動装置により保存される。情報処理システムによるトレイ115の移動につれて、結合についても同様に管理することができる。この場合、それ自体が自動装置の上流で少なくとも一つの自動装置に接続されている搬送チェーン150の読み取り端子でトレイ115が検知されると、関与する自動装置に向けて別の要求を開始する。
【0048】
自動装置110の次の部署では、一定の自動装置が、トレイに対応する食事構成要素を文章として記載したトレイカードをこのトレイに印刷してセットする。このトレイカードは、システムに異常があった場合のチェック、部局内でトレイを配布するときのチェック、および食事の構成要素について患者に知らせるために使用される。前述のように、変更された実施形態では、このトレイカードが、再書込み可能なメモリを備えた電子ラベルを含む。その場合、各電子ラベルは、結合されるトレイ115にセットすべき食事の構成要素に関する情報を受け取ってこれを保存する。この場合、トレイカードの内容によって、読み取り端子による読み取り時に少なくとも一つの自動装置の上流でこの自動装置の動作が行われる。
【0049】
トレイカードをセットする自動装置の次の部署では、自動装置120、125、135、および140が、肉および野菜または食事の他のあらゆる構成要素の容器145をセットする。これらの自動装置120、125、135、140は、たとえばローダを備えた回転自動装置、直線状の自動装置、または、移動ラインを備えた、搬送チェーンに垂直な自動装置である。これらの自動装置は、その個々のローダに、同じ構成要素を含む複数の容器を保存し、情報処理システムは、ローダに収容される食事構成要素に結合される識別されたローダを自動的に管理する。
【0050】
好適には、電子ラベル読取装置が自動装置にトレイの識別情報を提供し、自動装置は、セットすべき容器145の内容物と当該トレイ115との対応を照合してからトレイ115に容器145を配置し、それによって、特に厳しい規定食の場合に割当てを誤るリスクを回避している。変更された実施形態では、トレイ115の参照符号に関する情報が情報処理システムに提供され、その場合、情報処理システムは、搬送チェーン150の検知地点に応じて自動装置120、125、135、または140向けに要求を開始する。変更された実施形態では、トレイの電子ラベルが再書込み可能なメモリを含む場合、この再書込み可能なメモリの内容が、関与する容器の選択およびセットを行うために関与する自動装置に向けて要求を開始する。
【0051】
変更された実施形態では、バーコード読取装置が、トレイ115に配置すべき容器145のバーコードラベルを読み取り、自動装置が容器145の内容と当該トレイ115との対応を照合してから、トレイ115に容器145を配置することによって、割当てを誤るリスクを回避している。この変更された実施形態は、第2の安全チェックレベルを提供する。
【0052】
図1に示された垂直な自動装置120、125、135、140は、モジュラリティに優れており、必要なだけローダを組み込むことができ、また、公知の手段を組み込み可能であるという長所を有する。
【0053】
これらの自動装置120、125、135、140は、それぞれが、製品の種類ごとの並進ラインと、直線状の固定ローダの集合とを組み合わせている。情報処理システムから伝達される要求または、トレイ115に結合される電子ラベルの再書込み可能なメモリの内容から発生する要求を起点として、製品を積み出すシーケンスが自動装置120、125、135、140によってプログラムされる。搬送チェーン150の大きさと、ローダの数とに応じて、プログラマブルシーケンスの数は6個が一般的である。図1に示した実施形態では、自動装置120、125、135、140が、セット前の3個のトレイの食事トレイ115に関する要求を探知し、ローダ全体をカバーするように構成された、すなわち搬送チェーンの両側にある2列のローダに沿うように構成された、広幅の第1のベルト上に関与する容器を取り出している。セット前のトレイは2個になる。次に、センタリング装置が、容器の標準幅に寸法決定された並進ベルトの入口に容器を位置決めし、容器はそこで、前の容器が食事トレイで搬送される間、待機する。セット前のトレイが1つになると、容器145が解放され、並進ベルトの出口の正面で、対応する食事トレイ115が到着するまで並進ベルトにブロックされ続ける(このトレイの検知は、好適には電子ラベル読取装置により実施される)。並進ベルトの出口の位置決めによって、食事トレイの専用領域に容器がセットされることが分かる。ベルトは、突出状態にすることも可能であって、すなわち、トレイ115の上で食事要素を運んでトレイ115の中央または反対側へのセットを実施するようにしてもよい。
【0054】
自動装置120、125、135、140のローダは静止状態であるので、動作中の補給が簡素化される。
【0055】
図2から分かるように、容器の自動セット装置は、また、容器145の垂直移動を容器の重みの作用でブロック可能な2個のクランプアセンブリ160、165を備えた、垂直コンテナ170から構成してもよい。その場合、配布は次のように実施される。第1に、上部クランプ160および下部クランプ165が閉じて1列の容器145と1個の容器145とをそれぞれブロックする。第2に、下部クランプ165が開いて、下にある容器145を自動装置の正面にある食事トレイ115に解放する。第3に、下部クランプ165が再び閉じられる。第4に、上部クランプ160が開いて、1列の容器145は、下部容器が下部クランプ165で支持されるまで1個の容器145の厚み分だけ下降する。次いで、上部クランプ160が再び閉じられて最初に戻る。
【0056】
図3は、図1に示された食事トレイの構成チェーンに組み込み可能な、丸い果物180または予めパッケージされた製品をセットする自動装置を概略的に示す断面図である。上部クランプ185および下部クランプ190は、図2に関して説明したのと同様に制御される。端部クランプ175は、トレイ115が適切な位置に到着したときに制御される。
【0057】
上部クランプ160と下部クランプ165との間に配置される検知セルは、容器145がないことを知らせ、中継ローダが用意されている場合は、積み下ろしの開始命令を伝達する。
【0058】
続く部署では、オードブル、デザートの乳製品、予めパッケージされた製品および/または果物を配布する自動装置135、140が、肉または野菜容器を配布する自動装置120、125と同様に動作する。
【0059】
変更された実施形態では、構成要素145を配布する各自動装置が、一方では、垂直軸を中心として回転駆動される垂直タレット形のラックを含み、この垂直タレットは、パッケージに貼付されているコードにより識別される構成要素145を保管する、一つまたは複数の棚を含み、他方では、構成要素の識別コードを読み込み可能な読取装置と、端部捕捉手段とを備えた駆動多軸マニピュレータアームを含み、前記マニピュレータアームが、そこに装備されている捕捉手段により、結合されるラック内で構成要素の一つを把持し、搬送チェーンにより運ばれるトレイに前記構成要素をセットすることができる。読取装置はカメラまたは他のシステムとすることができる。
【0060】
必要な場合には、搬送チェーン150が少なくとも一つの調整部署130、すなわち自動化されていない部署を含み、作業員がトレイ115への食事構成要素のセットを実施する。各調整部署130は、情報処理システムにより表示制御される画面155を備えており、これからくる次のトレイ115に手動で設置すべき一つまたは複数の構成要素を指示する。オプションとして、バーコード読取装置により、表示された命令を遵守しているかどうかを確かめることができる。
【0061】
情報処理システムは、各部局ごとにトレイ115の構成を命令し、それによって、各キャリッジ200が異なる部局に対応することが最小限になるようにキャリッジ200の積み込みを可能にする。手動または自動でキャリッジ200の積み込みを中断しなければならない場合は、その都度、情報処理システムがこの積み込みを中断可能にする情報を提供する。たとえば、手動による積み込みの場合、搬送チェーン150を停止させ、搬送チェーン150の出口に空のキャリッジを配置することを要求するランプを点灯させ、作業員による照合後、再始動を行う。
【0062】
場合によって、出口部署は、キャリッジ200の各受取部局宛のトレイを識別する受取先情報をキャリッジに提供する。この情報は、積み込み済みのキャリッジ200にたとえば作業員によってまたは自動的に配られた印刷シートか、またはキャリッジ200の再書込み可能なメモリ内の記録の形をとる。
【0063】
キャリッジ200の積み込みが自動で行われる場合、情報処理システムは、各キャリッジ200の交換を制御し、積み込み済みのキャリッジ200に前述のように受取先情報を結合する。
【0064】
キャリッジ200の管理は好適には自動化される。このため、空のキャリッジ200は、「空キャリッジの保管庫」と呼ばれる特別な専用スペースに保管され、トレイを積み込まれたキャリッジ200は、受取部局に向って搬送する前に「キャリッジの出発ステーション」と呼ばれる特別な専用スペースに同様に保存される。
【0065】
搬送チェーン150は、好適には、この2つのスペースの間に配置される。各キャリッジ200は、情報処理システムの情報または要求を受けるように通信する。キャリッジ200は、たとえば液晶画面等の表示装置を備えることにより、受取部局を表示し、また、情報処理システムにより提供される情報を表示する。好適には、キャリッジ200が、また、再書込み可能なメモリを備えることにより、受取部局に応じて搬送先を提供し、搬送自動装置210が受取部局までキャリッジの搬送を行うようにする。この変更された実施形態では、このメモリが、また、料理および/または受取人までの搬送時間に応じたトレイの温度のリセット特性を記録する。
【0066】
各キャリッジ200は、高温チェーンおよび低温チェーンと、場合によっては確認される不具合とに関する情報を情報処理システムに提供する。
【0067】
好適には、キャリッジ200の各高さが電子的に識別され、このキャリッジが支持しているトレイ115に結合され、トレイの積み込み時に情報処理システムがこれらの情報を受け取って、トレイ115の温度リセット命令を決定し、関与するキャリッジ200にこの命令を伝達する。
【0068】
容器本体の材料回収に関して、変更された実施形態では、この材料を回収するために、図6に示したような容器の選別洗浄用の自動モジュール300を設けている。改めて述べると、容器145は、2個の要素、すなわち回収不能なフィルムと回収可能なたとえばポリプロピレンからなる容器本体とから構成されている。この追加モジュール300では、キャリッジ200をコンベヤベルト355に移し、クランプまたは吸入手段により容器335をつかみ、容器をひっくり返して中に入っているものをゴミ箱にあけ、水洗いし、汚れた水を遠心分離機に移して固形のごみを回収し、洗剤で容器を洗い、容器を蒸気滅菌器に移して殺菌し、高温空気で乾燥させてから解放する。
【0069】
このような追加モジュールの場合、システムは以下に基づいている。
1.食事配布キャリッジ200内のトレイ115の回収の自動化
2.容器145の回収の半自動化
3.容器の予備洗い、洗浄、乾燥、カット、および温度調整処理の自動化
4.トレイの予備洗い(derochage)(皿またはトレイから残っているごみを排除することを意味する技術用語)の自動化
5.トレイの洗浄と殺菌、ならびに回収処理の自動化
【0070】
トレイの回収の自動化に関して、その原理は、キャリッジの積み込みモジュールと同じ設備を拠り所としており、キャリッジの運搬は手動で行ってもよいし、またはタレットと搬送自動装置とを介して行ってもよい。
【0071】
たとえば光学的な検知システムは、キャリッジの段でトレイの存在を検知し、2つの帯を有する搬送ベルトにセットされるトレイの回収手順を連動させる。
キャリッジの段の走査は、場合によっては別の区画を処理するためにキャリッジの回転を制御する積み下ろし自動装置で増加される。キャリッジは、空にされた後、手動または自動でキャリッジ洗浄トンネルに送られる。
【0072】
容器の半自動的な回収に関して、使い捨て容器の本体を構成するポリプロピレンは、まさに価格が高騰中の原料であることに改めて言及する。この物質は、鋳直し後のリサイクルか、または燃料の2つの形態で回収可能である。
【0073】
回収の利点は、必要な要員を少なくしてHQE回収原理(Haute Qualite Environnementale:「高品質環境」の略称、水と洗剤の消費が少ないことを意味する)を実施することにある。
【0074】
この原理は、第1に、以下からなる人的操作によって保持される。
−容器のフィルム(キャップ)を分ける。フィルムは回収できない。
−洗浄レールに容器をセットする。
【0075】
予備洗い操作は自動的に処理される。1分間に6個のトレイ(すなわち容器12個)という速度は手動操作を考慮したものであり、第2の回収部署と多軌道洗浄装置とを付加すれば高速化が可能である。
【0076】
第1のステップの間に行われる容器の自動処理とポリプロピレンの回収とに関して、容器は、作業員によりセットされ、並進レール上でひっくり返される。第2のステップでは、容器が進んでいるときに、一定の機構によって二重クランプを連動させ、このクランプが容器の縁を保持することにより後段での加圧洗浄が可能になる。
【0077】
並進レールは、クランプされた容器をケーソン群に進ませる。その特徴は次の通りである。
−ケーソン1 圧縮空気と混合した加圧水噴射による容器の予備洗い、または高圧水噴射による容器の予備洗い。水は回収され、固形物質は遠心分離機により回収される。水はリサイクルされ、サイクル終了に際して殺菌後に排出される。
−ケーソン2 適切な物質を水に加えて容器を殺菌および脱脂する。水は濾過されて閉回路で回収され、水の一部だけが回収されてケーソン1に移される。
−ケーソン3−高圧蒸気噴射による容器の熱気消毒および殺菌
−ケーソン4−高温空気タービンによる乾燥
【0078】
ケーソン2および4の設備は、洗浄トンネルとして知られている。
【0079】
ケーソン4の出口で容器は乾燥される。容器は圧延機に入れられる。この段階で、容器を固定していたクランプが解放されて製品は押しつぶされ、側面カットおよび水平カット原理によりポリプロピレンをカットする。細分化された清浄なポリプロピレンは保管コンテナ内に回収され、場合によっては容積を減らすためにプレスされる。
【0080】
他方で、トレイの自動予備洗いに関して、並進ベルトは毎分6個のトレイという可変速度でトレイを進ませる。吸盤を備えた2個の突出アームがトレイを放出し、コンテナの上に残っている凹凸汚れを予備洗い可能にする。さらによく洗浄するために、この装置に小型のブラシを装備してもよい。その後、トレイは公知のタイプのトレイ洗浄機に入り、洗浄終了時に一定の高さのキャリッジに回収される。
【0081】
この追加モジュールにより、病院環境で必要不可欠な回収、選別、および洗浄という機能全体を最適化しながら、高価な原料を回収することができる。一体型の病院組織またはサテライト型の用地では80%の容器回収率を想定することができる。
【0082】
図6は、容器の予備洗いおよび回収チェーン300を示す上面図である。この図6では、解放位置にある容器クランプ305と、容器の前進時にクランプの閉鎖を自動的に作動してクランプを閉じるつめ310と、圧延機に入れるときに容器を解放する同様のつめと、閉鎖位置にある容器クランプ315と、容器のサイズに合わせた洗浄トンネル320と、容器のセットおよびクランプを行う機構の並進レール325と、2本の帯を備えた並進ベルト355の上にあるトレイ115と、トレイの上のごみ335と、予備洗いしたトレイ350と、ゴミ回収コンテナ345と、吸盤付きアームにより放出されたトレイ340とを示しており、予備洗いは重力により実施されるが、トレイの自動走査手段と洗浄トンネル360とによって予備洗いを補ってもよい。
【0083】
以上、個々の食事トレイの準備について説明したが、本発明が、また、多人数分、すなわち複数の人々のための食事トレイの準備にも関与することは自明である。この場合には、ロボットおよびマニピュレータが多人数分のサイズを受け入れることはいうまでもない。
【0084】
また、病院または他のケアセンターの患者用の食事トレイの実施例について上記に説明したが、本発明が、また、食堂、学校給食、その他の食事トレイの実施例にも関与することは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明による食事トレイ構成チェーンの特定の実施形態を概略的に示す上面図である。
【図2】図2は、図1に示した食事トレイ構成チェーンに組み込み可能な自動容器セット装置を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示した食事トレイ構成チェーンに組み込み可能な、丸い果物または予めパッケージされた製品の自動セット装置を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、食事トレイ構成チェーンのキャリッジ積み込み部署を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、図4の食事トレイ構成チェーンのキャリッジ積み込み部署を概略的に示す上面図である。
【図6】図6は、材料回収用の付加的モジュールを概略的に示す上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食事トレイ(115)の配布チェーン(100)の自動化装置であって
−それぞれが識別手段を備えた複数のトレイ(115)と、
−複数のキャリッジ(200)と、
−食事構成要素をトレイに供給するように構成されたトレイ搬送チェーン(150)と、
−各トレイがその受取人までキャリッジで搬送されるように、キャリッジにトレイを結合する情報処理システムとを含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
情報処理システムは、各キャリッジの受取先の数を最小にしながらキャリッジ(200)を充填するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
情報処理システムは、トレイ(115)の内容物(145)を選択して、一連のトレイが同じ受取部局に送られるように構成されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
トレイ(115)の識別手段が、それぞれ1つの電子ラベルを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
各電子ラベルが、再書込み可能なメモリを含むことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
搬送チェーンが、トレイを受容するための専用の場所を備えたコンベヤを含み、トレイ(115)の識別手段が、トレイを受容するための専用の場所に組み込まれていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
識別手段が電子ラベルから構成されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
電子ラベルが、再書込み可能なメモリをそれぞれ含むことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
情報処理システムが、1人の受取人に各トレイ(115)を結合し、また、トレイに載せられる構成要素(145)のリストに各受取人を結合するように構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
情報処理システムは、特に患者の姓名、部屋、ベッド、食事療法、および/または選択されるメニューを識別する患者カードを各トレイに結合するように構成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
搬送チェーン(150)が、トレイ(115)の識別手段を読み取る少なくとも一つの読取装置(107)を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
搬送チェーン(150)が、トレイ(115)に構成要素(145)を配布する自動装置(120、125、135、140)と、前記自動装置の正面への各トレイの到着を検知する手段とを備えており、構成要素の配布が、自動装置の正面へのトレイの到着に同期して行われることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
構成要素(145)を配布する各自動装置が、一方では、垂直軸を中心として回転駆動される垂直タレット形のラックを含み、この垂直タレットが、パッケージに貼付されているコードにより識別される構成要素(145)を保管する、一つまたは複数の保管棚を含み、他方では、構成要素の識別コードを読み込み可能な読取装置と、端部捕捉手段とを備えた駆動多軸マニピュレータアームを含み、前記マニピュレータアームが、このアームに装備されている捕捉手段により、結合されるラック内で構成要素の一つを把持し、搬送チェーンにより運ばれるトレイに前記構成要素をセット可能であることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
構成要素(145)を配布する各自動装置が、製品の種類ごとの並進ラインと、直線状の固定ローダ群とを含むことを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
搬送チェーン(150)が、表示画面(155)を含む少なくとも一つの調整部署(130)を備えており、情報処理システムは、トレイの少なくとも一部に対して、前記調整部署に到着する次のトレイに載せられる構成要素の少なくとも一つの識別子を表示するように構成されていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
トレイの搬送キャリッジ(200)との通信端子を含み、情報処理システムが、トレイの積み込みを示す情報を前記キャリッジに伝達するように構成されていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
各キャリッジ(200)が、積み込みを示す情報に応じてトレイ(115)の温度リセットを実施することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
キャリッジ(200)の自動積み込み手段(195)を含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
キャリッジがいっぱいになったときに空のキャリッジを設置するように構成された、キャリッジ(200)の交換手段(210)を含むことを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
各キャリッジ(200)における各トレイ(115)の記憶手段を含むことを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
情報処理システムが、患者の割当変更の場合にキャリッジ(200)のトレイ(115)を回収するように構成されていることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
容器(145)を回収するとともに、回収された容器を洗浄する手段(300)を含むことを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−512604(P2009−512604A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536059(P2008−536059)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067617
【国際公開番号】WO2007/045687
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508119703)ソシエテ デグズプロワタシヨン オピ カー (エスウーアッシュセ)エスアーエールエル (1)
【Fターム(参考)】