説明

食品ゲル成形体の自動製造装置

【課題】レストラン等の厨房に設置でき、且つ食品ゲル成形体の製造を任意に停止できる食品ゲル成形体の自動製造装置を提供する。
【解決手段】溶解タンク10がシリンダ装置36に固定した寒天ゲル成形体の製造装置であって、シリンダ装置36を型42に沿って移動するスライダシリンダ装置38に設け、供給ノズル配管32の先端を所定の型42の供給口上方に位置したとき、自動弁34を開いて溶解タンク10内の寒天溶液を型42内に充填し、シリンダ装置36を所定の型42の供給口上方に移動し、型42内の寒天ゲル成形体を押し出すように、スライダシリンダ装置38、自動弁34及びシリンダ装置36を制御する制御部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は寒天ゲルの自動製造装置に関し、更に詳細にはみつ豆やところてんに用いられる寒天ゲル成形体等の食品ゲル成形体の自動製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品ゲルとして代表的な寒天ゲルは、従来からみつ豆やところてん等の食品に用いられており、近年では、健康志向の高まりに伴って種々の食品に用いられるようになり、その消費量が増大している。かかる寒天ゲルの消費量の増大に伴って、寒天ゲル成形体の自動製造装置が求められている。
寒天ゲル成形体の自動製造装置として、下記特許文献1には、図4に示す装置が提案されている。図4に示す装置では、仕込み釜100にて寒天を加熱・溶融して得た寒天溶液をプレートクーラ102で冷却した後、一対のローラ104a,104bに掛け渡された無端状のスチールベルト104上に寒天溶液を流す。このスチールベルト104の両側には、型枠108が添設されており、スチールベルト104と型枠108とから成る型内に寒天溶液が広がる。型内に広がった寒天溶液は、スチールベルト104と共に移動し、冷却装置110上を通過する。この冷却装置110を通過する間に、寒天溶液は固まって寒天ゲルとなる。この寒天ゲルは、切断テーブル112上に移動し、カッター114によって所望の形状、大きさに切断される。
【0003】
また、下記特許文献1には、図5に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置が提案されている。図5に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置では、矢印A方向に回転する回転テーブル200上に複数の型202,202・・が形成されており、型202,202・・の各々は、回転テーブル200と共に一回転する間に、冷却領域204中を通過する。このため、回転テーブル200上の型202に、図4に示すプレートクーラ102で冷却された寒天溶液を充填した後、この型202が冷却領域204を通過する間に、型202に充填された寒天溶液は冷却・固化されて寒天ゲル成形体となる。
次いで、型202が冷却領域204を通過したとき、型202から寒天ゲル成形体を図4に示す切断テーブル112上に取り出し、カッター114によって所望の形状、大きさに切断する。
【特許文献1】特許第2758084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4及び図5に示す装置によれば、所望の形状、大きさに切断された寒天ゲル成形体を自動的に製造できる。
かかる図4及び図5に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置は、大型であって、単一の形状・大きさの寒天ゲル成形体(以下、単に寒天ゲルと称することがある)を大量に製造するには適している。
しかし、大量に生産された単一の形状・大きさの寒天ゲルは、みつ豆やところてん等の食品に加工して消費者に食されるまでに長時間保存される。この保存中に、寒天ゲルは離水現象等によって味や歯触り等が低下するため、長期間保存した寒天ゲルから作ったみつ豆やところてん等の食品はおいしく食することができない。
寒天ゲルを最もおいしく食するには、得られた直後の新鮮な寒天ゲルを食することであるが、レストラン等では、みつ豆やところてん等の注文を受けてから寒天ゲルを作っていては、注文品を注文客に提供するまでの時間がかかり過ぎる。
このため、レストラン等でも、その厨房に寒天ゲル成形体の自動製造装置を設置できれば、注文に応じて新鮮な寒天ゲルを用いた食品を短時間で注文客に提供可能である。
【0005】
しかしながら、図4及び図5に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置は大型であって、レストラン等の厨房のように狭い場所に設置できない。
また、図4及び図5に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置では、寒天ゲルの製造を停止する場合には、停止前にプレートクーラ102や仕込み釜100〜プレートクーラ102に至る配管等を掃除することを要し、大変面倒である。これらに寒天溶液が充填された状態で停止すると、残存する寒天溶液がゲル化してプレートクーラ102や配管を閉塞し、容易に再開できなくなるからである。
このため、季節や時間によって寒天ゲルを用いた食品の注文がないことのあるレストラン等では、例え図4及び図5に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置が小型化されても、寒天ゲルの製造を任意に停止できないために用いることはできない。
そこで、本発明の課題は、レストラン等の厨房に設置でき、且つ食品ゲル成形体の製造を任意に停止できる食品ゲル成形体の自動製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は前記課題を解決すべく検討したところ、寒天溶液の調製手段、寒天溶液の冷却・ゲル化手段及び切断手段を、上方から下方に向けて順次設けることによって、重力を利用して寒天溶液を寒天溶液の冷却・ゲル化手段に送液でき、送液ポンプ等を用いることを要しないため、装置の小型化を図ることができることを知った。
更に、上方の寒天溶液の調製手段から下方の寒天溶液の冷却・ゲル化手段への送液配管内の寒天溶液も完全に排出でき、残留した寒天溶液のゲル化によって送液配管が閉塞することを防止できるため、寒天ゲルの製造装置の間欠運転を可能にできることも知った。
しかし、寒天溶液の冷却・ゲル化手段では、その小型化を図るべく、寒天溶液が充填され冷却される型として、寒天溶液の供給口と得られた寒天ゲルを排出する排出口とが上下方向に形成された縦型の型を用いた場合、排出口の開放のみでは、型内に寒天ゲルが残留するおそれがあることを知った。
このため、本発明者は、寒天溶液の供給口と得られた寒天ゲルを排出する排出口とが上下方向に形成された縦型の型を用い、寒天ゲルを確実に型内から排出するには、型内の寒天ゲルを押出手段によって排出口方向に押し出すことが有効であると考え検討した結果、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、所定量の食品用のゾル溶液が貯留される溶解タンクの下方に設けられ、前記ゾル溶液が供給される供給口と前記ゾル溶液が冷却されて得られた所定形状の食品ゲル成形体を排出する排出口とが上下方向に形成された、複数個の型から構成される型群と、前記排出口が開閉手段によって閉塞された型内に、前記供給口から供給されて充填されたゾル溶液を冷却して所定形状の食品ゲル成形体とする冷却手段と、前記溶解タンクから前記型の供給口方向に、ゾル溶液が液溜しないように延出された供給ノズル配管の途中に設けられ、前記供給ノズル配管を開閉する自動弁と、前記型内のゲル成形体を排出できるように、開放された前記型の排出口方向にゲル成形体を押し出す押出手段とを具備し、前記溶解タンク、供給ノズル配管及び押出手段が一体化されている食品ゲル成形体の製造装置であって、前記一体化された溶解タンク、供給ノズル配管及び押出手段を、前記型に沿って移動する移動手段が設けられ、前記型群の所定の型にゾル溶液を充填する際には、前記移動手段によって供給ノズル配管の先端が所定の型の供給口上方に位置したとき、前記自動弁を開いて溶解タンク内のゾル溶液を前記型内に充填し、且つ前記型群の所定の型から食品ゲル成形体を取り出す際には、前記移動手段によって押出手段が前記所定の型の供給口上方に位置したとき、前記押出手段によって開放された排出口方向に前記型内の食品ゲル成形体を押し出すように、前記移動手段、自動弁及び押出手段とを制御する制御部が設けられていることを特徴とする食品ゲル成形体の自動製造装置にある。
【0008】
かかる本発明において、溶解タンクには、攪拌機を設け、原料粉供給手段と熱湯供給手段とから所定量の原料粉と熱湯とが前記溶解タンクに供給されるように、前記原料粉供給手段と熱湯供給手段とを制御する制御手段を設けることによって、溶解タンクに空いた型に供給する量のゾル溶液を調整でき、溶解タンク内に余分なゾル溶液を残留させることを防止できる。
更に、型群を構成する型を同一容量とし、前記溶解タンクに貯留されるゾル溶液の全量が所定の型内に充填されるように、原料粉供給手段と熱湯供給手段とから供給される原料粉量と熱湯量とを制御する制御手段を設けることにより、確実に溶解タンク内に余分なゾル溶液を残留させることを防止できる。
また、押出手段として、シリンダー装置内に挿入された一端部にピストンが設けられたピストンロッドの他端部に、型内に挿入して食品ゲル成形体を排出口方向に押し出す鍔状部が設けられている押出手段を用い、このシリンダ装置を、溶解タンクが固着されていると共に、型群を構成する型に沿って移動可能となるように移動手段に接続することにより、溶解タンク、供給ノズル配管及び押出手段を容易に一体化し、移動装置に接続できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る食品ゲル成形体の自動製造装置では、溶解タンクの下方に設けられ、ゾル溶液の供給口と前記ゾル溶液が冷却されて得られた食品ゲル成形体を排出する排出口とが上下方向に形成された、複数個の型から構成された型群と、排出口が開閉手段によって閉塞された型内に、溶解タンクから供給口を経由して充填されたゾル溶液を冷却して食品ゲル成形体とする冷却手段と、溶解タンクから型の供給口方向に延出された供給ノズル配管の途中に設けられ、供給ノズル配管を開閉する自動弁とを具備する。
したがって、溶解タンク内のゾル溶液は、重力を利用して型内に充填でき、ゾル溶液を送液するポンプ等を省略できるため、縦型の型から成る型群を採用し、且つ溶解タンク及び供給ノズル配管と後述する押出手段とを一体化していることと相俟って、食品ゲル成形体の自動製造装置の小型化を図ることができる。
更に、供給ノズル配管は、溶解タンクから型の供給口方向に、ゾル溶液が残留しないように延出されているため、供給ノズル配管の途中に設けられた自動弁を閉じたとき、供給ノズル配管内のゾル溶液は排出され、供給ノズル配管内にゾル溶液が残留することを防止できる。
しかも、縦型の型から食品ゲル成形体を取り出す際には、押出手段によって開放された排出口方向に型内の食品ゲル成形体を押し出すため、確実に型内から食品ゲル成形体を取り出すことができる。
【0010】
したがって、型群を構成する全型に食品ゲル成形体が充填されており、食品ゲル成形体の製造を要せず、ゾル溶液の調製が停止されている状態でも、供給ノズル配管がゾル溶液のゲル化に因って閉塞する事態を防止できる。このため、型の一つが空となったとき、直ちに溶解タンクで調製したゾル溶液を空の型に充填できる。
また、型から食品ゲル成形体を取り出す際に、押出手段によって食品ゲル成形体を確実に取り出すことができ、型内に残留したゲルの掃除等の面倒な作業をなくすことができる。
この様に、本発明に係る食品ゲル成形体の自動製造装置では、その小型化を図ることができ、且つ食品ゲル成形体の製造を任意に停止できるため、レストラン等の厨房に設置でき、みつ豆やところてんに用いる寒天ゲル成形体等の食品ゲル成形体を用いた注文品の注文があったとき、新鮮な食品ゲル成形体を用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る食品ゲル成形体の自動製造装置の一例として、寒天ゲル成形体の自動製造装置を図1に示す。図1に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置では、攪拌機12が設けられた溶解タンク10に、寒天ゲル成形体の原料である寒天粉を所定量供給する原料供給手段としての寒天粉供給装置14と、所定量の熱湯を供給する熱湯供給手段としての熱湯供給装置16とが設けられている。
寒天粉供給装置14には、寒天粉が充填された箱体14aの底部近傍に、ギアモータ14bがスクリュ14cの一端部に設けられている。ギアモータ14bを駆動してスクリュ14cを回転し、箱体14a内の寒天粉を溶解タンク10に供給する。寒天粉の供給量は、ギアモータ14bの駆動時間によって調製する。
また、熱湯供給装置16には、ヒータ20やフロートスイッチ22が設けられ、80〜95℃の熱湯が一定量貯留される熱湯貯留槽18には、自動弁24を経由した水が浄化器26を通過して供給される。熱湯貯留槽18の熱湯は、自動弁28が途中に設けられた供給配管30を経由して溶解タンク10に供給される。
【0012】
溶解タンク10の底部からは、下方に向けて供給ノズル配管32が延出されており、供給ノズル配管32の途中には、自動弁34が設けられている。この供給ノズル配管32は、途中に寒天溶液の液溜ができないように、溶解タンク10の底部から略直線状に延出されている。
かかる溶解タンク10は、水平方向に設けられたスライダシリンダ装置38に垂直に設けられたシリンダ装置36の本体部に固着されている。このため、シリンダ装置36が、スライダシリンダ装置38によって左右方向に移動し、その際に、溶解タンク10及び供給ノズル配管32も左右方向に移動する。
このシリンダ装置36は、後述する型42内で冷却された寒天ゲル成形体の押出手段を構成しており、その下端側には、シリンダ装置36内に挿入された一端部にピストンが設けられたロッドの先端側に鍔状部材33が設けられている。この鍔状部材33は、丸形状でも角形状であってもよく、シリンダ装置36によって昇降し、型42内に挿入されたとき、寒天ゲル成形体を排出口方向に押し出す。
尚、シリンダ装置36(溶解タンク10及び供給ノズル配管32)のホームポジションは、スライダシリンダ装置38の一端側に設定されている。
【0013】
かかる供給ノズル配管32の先端方向には、複数個の型42,42・・が一列に配列された型群が設けられており、型群を構成する型42,42・・の中途部が冷却槽40に貯留された冷媒に浸されている。この冷却槽40には、冷却機45で冷却された冷媒が循環使用されている。
型42,42・・の各々は、横断面形状が矩形の筒状部であって、冷却槽40の上端から露出する型42の先端には、ゾル溶液としての寒天溶液が供給される供給口としての開口部が形成されており、型42の後端には、型42内の寒天ゲル成形体を排出する排出口が形成されている。この排出口は、開閉手段としてのシャッター44によって閉塞されている。このシャッター44は、図2(a)に示す様に、シリンダ装置62によって水平方向に移動可能に設けられた移動板64上にバネ等の付勢部材によって型42の方向に付勢されて設けられている。かかるシリンダ装置62を駆動し、図2(b)に示す様に、シャッター44を後退することによって、型42の排出口を開放できる。
【0014】
かかる冷却槽40の下方には、シャッター44が開放され、重力及びシリンダ装置36の鍔状部材33による押し出しによって型42の排出口から押し出された所定形状の寒天ゲル成形体46を受けるすり鉢状のシュータ48が設けられている。このシュータ48の横断面形状は丸型であっても角型であってもよい。
かかるシュータ48には、シュータ48の内壁面を濡らして所定形状の寒天ゲル成形体46の滑りを向上すべく、シュータ48の内壁面に向けて水を噴射する噴射ノズル50,50・・が設けられている。かかる噴射ノズル50,50・・には、自動弁55を経由して水が供給される。
シュータ48で受けた所定形状の寒天ゲル成形体46は、シュータ48の中央部の出口から切断装置52に供給される。切断装置52では、シリンダ装置54によってサイコロ状カッタ56に寒天ゲル46を押し付けることによってサイコロ状に切断できる。また、シリンダ装置58によってところてんカッター60に寒天ゲル46を押し付けることによってところてん状に切断できる。
【0015】
図1及び図2に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置において、寒天粉供給装置14、溶解タンク10に熱湯を供給する自動弁28、攪拌機12、供給ノズル配管32の途中に設けられた自動弁34、押出手段を構成するシリンダ装置36及びスライダシリンダ装置38は、図3に示す様に、制御部によって制御されている。
すなわち、先ず、制御部からの信号によって自動弁28を開き、ホームポジションに位置する溶解タンク10に熱湯を注入し、溶解タンク10を暖めた後、自動弁34を開いて溶解タンク10内の熱湯を供給ノズル配管32から排出し、供給ノズル配管32も暖める。供給ノズル配管32から排出された熱湯は、配管31を経由して系外に排出される。
次いで、制御部からの信号によって、自動弁28を開いて所定量の熱湯を溶解タンク10に供給すると共に、溶解タンク10内の攪拌機12を駆動しつつ、寒天粉供給装置14のギアモータ14bを駆動し、スクリュ14cによって箱体14a内の所定量の寒天粉を溶解タンク10に供給する。寒天粉の供給量はギアモータ14bの駆動時間で調整し、熱湯の供給量は自動弁28の開放時間で調整する。
尚、溶解タンク10内で寒天粉と熱湯とを所定時間攪拌して、寒天粉を熱湯に充分溶解した後、制御部からの信号によって攪拌機12を停止する。
【0016】
所定量の熱湯と寒天粉とを溶解タンク10に供給した後、攪拌機12による攪拌をしつつ、制御部からの信号によってスライダシリンダ装置38内のシリンダ装置(図示せず)を駆動し、供給ノズル配管32の先端が寒天溶液を充填する型42の供給口に至るように、シリンダ装置36を移動する。図3には、スライダシリンダ装置38の他端部近傍の位置まで移動したシリンダ装置36′を示す。このシリンダ装置36′の位置ではスライダシリンダ装置38の他端部近傍に設けられた型42の上方に、供給ノズル配管32′の先端が位置する。
寒天溶液を充填する型42の上端の供給口に供給ノズル配管32の先端が到達したとき、スライダシリンダ装置38内のシリンダ装置の駆動を停止し、攪拌機12の攪拌が終了した後、制御部からの信号によって自動弁34を開いて、溶解タンク10内の寒天溶液を型42内に充填する。
型42への寒天溶液の充填が完了したとき、制御部からの信号によって自動弁34を閉じる。このとき、溶解タンク10内の寒天溶液量の全量が型42に充填されるように、自動弁34を所定時間開くと、溶解タンク10及び供給ノズル配管32を空にでき、溶解タンク10や供給ノズル配管32に残留した寒天溶液のゲル化による閉塞を防止できる。
型42への寒天溶液の充填が完了し、自動弁34が閉じられたとき、制御部からの信号によってスライダシリンダ装置38内のシリンダ装置を駆動して、シリンダ装置36はホームポジションに戻す。
【0017】
また、型群を構成する型42,42・・のうち、所定の型42から寒天ゲル成形体を取り出す際には、シリンダ装置36の鍔状部33が所定の型42の上方に位置するように、制御部からの信号によってスライダシリンダ装置38内のシリンダ装置を駆動する。図3には、スライダシリンダ装置38の中途部の位置まで移動し、鍔状部33が所定の型42の上方に位置するシリンダ装置36″を示す。
更に、寒天ゲル成形体を取り出す型42の排出口を閉塞しているシャッター44を、シリンダ装置62(図2)を駆動して移動し、型42の排出口を開放する。
次いで、制御部からの信号によってシリンダ装置36を駆動し、図3の鍔状部33″に示す様に、型42内に挿入して寒天ゲル成形体を型42の排出口からシュート48に押し出す。
この様に、型42の排出口から寒天ゲル成形体を押し出した後、型42内の鍔状部33を抜き出したシリンダ装置36は、スライダシリンダ装置38によってホームポジションに戻る。
かかる制御部内には、シリンダ装置36がホームポジションに位置するとき、供給ノズル配管32の先端位置及びホームポジションからの型42,42・・の各距離が記憶されている。このため、制御部では、スライダシリンダ装置38内のシリンダ装置から発信されている信号によって、寒天溶液を充填する型42の供給口に供給ノズル配管32の先端が到達したことが判断できる。
【0018】
ここで、型群を構成する型42,42・・を同一容量とし、溶解タンク10に貯留された寒天溶液の全量を、型42内に充填されるように、寒天粉供給装置14と熱湯供給装置16とから供給される寒天粉量と熱湯量とを制御部によって制御し、且つ溶解タンク10から型42に寒天溶液を充填する際に、自動弁34を所定時間開いて溶解タンク10内を空とするように制御弁34を制御部によって制御することが好ましい。溶解タンク10及び供給ノズル配管32内の寒天溶液を確実に残留することなく型42に充填できるからである。
この様に、溶解タンク10及び供給ノズル配管32内の寒天溶液を残留させることなく型42に充填することによって、型42,42・・の全てに寒天ゲル成形体が充填され、溶解タンク10での寒天溶液の調製が休止されても、溶解タンク10及び供給ノズル配管32内に寒天溶液が残留してゲル化し、供給ノズル配管32等が閉塞する事態を防止できる。
したがって、図1に示す寒天ゲルの自動製造装置では、寒天溶液の調製が必要に応じて休止されていても、寒天溶液の調製が必要となったとき、直ちに寒天溶液の調製ができる。
尚、図1に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置では、先に寒天溶液を充填して寒天ゲル成形体とした型42から取り出すため、先に寒天ゲル成形体を取り出した型42から順次寒天溶液を充填する。
【0019】
図1に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置では、装置上方に設けられた溶解タンク10で調製された寒天溶液を、溶解タンク10の下方に設けられた縦型の型42に充填してゲル化する。このため、寒天溶液の送液ポンプ等を用いることを要せず、装置の小型化を図ることができる。
更に、供給ノズル配管32は、途中に寒天溶液の液溜ができないように、溶解タンク10の底部から略直線状に延出されている。このため、寒天溶液の調製が不要で休止していても、供給ノズル配管32中に残留した寒天溶液がゲル化して、供給ノズル配管32を閉塞することを防止できる結果、寒天溶液の調製が必要となったとき、直ちに寒天溶液を調製できる。
しかも、型42を縦型としても、押出装置としてのシリンダ装置36を構成する鍔状部33によって寒天ゲル成形体を型42から確実に押し出すことができる。
したがって、図1に示す寒天ゲル成形体の自動製造装置は、レストラン等の厨房の片隅に載置できる程度に小型化でき、且つ寒天ゲル成形体を用いた料理の注文がない場合には、休止状態を維持しても、寒天ゲル成形体を用いた料理の注文があったとき、直ちに駆動状態とすることができ、新鮮な寒天ゲル成形体を確実に調理に提供できる。
以上、図1〜図3についての説明では、寒天ゲル成形体の自動製造装置ついて説明してきたが、ゼラチン等の他の食品ゲル成形体の自動製造装置にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る食品ゲル成形体の自動製造装置の一例とてして、寒天ゲル成形体の自動製造装置について説明する説明図である。
【図2】図1に示すシャッター44の開閉手段を説明するための概略図である。
【図3】図1に示す寒天粉供給装置14、溶解タンク10に熱湯を供給する自動弁28、攪拌機12、供給ノズル配管32の途中に設けられた自動弁34、シリンダ装置36及びスライダシリンダ装置38を制御する制御部について説明するための説明図である。
【図4】従来の寒天ゲル成形体の自動製造装置の一例を説明する説明図である。
【図5】従来の寒天ゲル成形体の自動製造装置の他の例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0021】
10 溶解タンク
12 攪拌機
14 寒天粉供給装置
16 熱湯供給装置
24 型
24,28,34 自動弁
32 供給ノズル配管
33 鍔状部材
36 シリンダ装置
38 スライダシリンダ装置
40 冷却槽
44 シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の食品用のゾル溶液が貯留される溶解タンクの下方に設けられ、前記ゾル溶液が供給される供給口と前記ゾル溶液が冷却されて得られた所定形状の食品ゲル成形体を排出する排出口とが上下方向に形成された、複数個の型から構成される型群と、
前記排出口が開閉手段によって閉塞された型内に、前記供給口から供給されて充填されたゾル溶液を冷却して所定形状の食品ゲル成形体とする冷却手段と、
前記溶解タンクから前記型の供給口方向に、ゾル溶液が液溜しないように延出された供給ノズル配管の途中に設けられ、前記供給ノズル配管を開閉する自動弁と、
前記型内のゲル成形体を排出できるように、開放された前記型の排出口方向にゲル成形体を押し出す押出手段とを具備し、
前記溶解タンク、供給ノズル配管及び押出手段が一体化されている食品ゲル成形体の製造装置であって、
前記一体化された溶解タンク、供給ノズル配管及び押出手段を、前記型に沿って移動する移動手段が設けられ、
前記型群の所定の型にゾル溶液を充填する際には、前記移動手段によって供給ノズル配管の先端が所定の型の供給口上方に位置したとき、前記自動弁を開いて溶解タンク内のゾル溶液を前記型内に充填し、且つ前記型群の所定の型から食品ゲル成形体を取り出す際には、前記移動手段によって押出手段が前記所定の型の供給口上方に位置したとき、前記押出手段によって開放された排出口方向に前記型内の食品ゲル成形体を押し出すように、前記移動手段、自動弁及び押出手段とを制御する制御部が設けられていることを特徴とする食品ゲル成形体の自動製造装置。
【請求項2】
溶解タンクには、攪拌機が設けられており、原料粉供給手段と熱湯供給手段とから所定量の原料粉と熱湯とが前記溶解タンクに供給されるように、前記原料粉供給手段と熱湯供給手段とを制御する制御手段が設けられている請求項1記載の食品ゲル成形体の自動製造装置。
【請求項3】
型群を構成する型が、同一容量の型であって、前記溶解タンクに貯留されるゾル溶液の全量が所定の型内に充填されるように、原料粉供給手段と熱湯供給手段とから供給される原料粉量と熱湯量とを制御する制御手段が設けられている請求項1又は請求項2記載の食品ゲル成形体の自動製造装置。
【請求項4】
押出手段が、シリンダー装置内に挿入された一端部にピストンが設けられたピストンロッドの他端部に、型内に挿入して食品ゲル成形体を排出口方向に押し出す鍔状部材が設けられている押出手段であって、
前記押出手段を構成するシリンダ装置は、溶解タンクが固着されていると共に、型群を構成する型に沿って移動可能となるように移動手段に接続されている請求項1〜3のいずれか一項記載の食品ゲル成形体の自動製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−319109(P2007−319109A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154457(P2006−154457)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】