説明

食品処理装置

【課題】被処理食品を加圧加熱処理する工程と、ほぼ同時に処理された食品を固液分離する工程とを行い、簡単で短時間に食品処理が可能な食品処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一部は固体である食品を加圧、加熱し、微生物の増殖を抑制しながら該食品を処理する食品処理装置1であって、被処理食品を受入れ、該被処理食品の処理に伴い該被処理食品から排出される液体を該固体と分離して貯留する食品容器2と、該食品容器2、及び水を受入れ、該食品容器2内の該被処理食品を加圧、加熱処理する処理槽10と、該処理槽10内の水を加圧する加圧手段40と、該処理槽10を加熱する加熱手段50と、を含む

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を加圧し処理する食品処理装置に関し、特に食品を加圧、加熱し微生物の増殖を抑制しながら食品を処理する食品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を使用した天然調味料には、醤油、味噌などがあり、これらは発酵技術を利用して製造されている。この他、食品素材に酵素等を直接添加し、食品中の蛋白質を酵素で分解して調味料を製造方法もある。発酵技術を用いた製造方法、食品素材に酵素等を直接添加する製造方法とも、天然調味料の製造時には食塩が添加される。これは有害微生物の増殖を抑制、又は防止するためのものであるが、製造過程で添加された食塩は、調味料の中にそのまま残ってしまうことが多い。このため得られた天然調味料の汎用性が狭くなるという問題が指摘されていた。
【0003】
この問題を解決する方法として、蛋白質分解酵素を含有又は添加した蛋白質原料としての生の食品素材に対して、40℃〜60℃の温度域でかつ、50MPa〜100MPa範囲の圧力を負荷、保持して食品を処理する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法によれば、40℃〜60℃の温度域でかつ、50MPa〜100MPa範囲の圧力を負荷して保持することで、微生物の増殖を抑制しながら酵素の作用を促進し、かつ、熟成期間を短縮することができるとする。
【特許文献1】特開2001−120219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法は、次の要領で行われる。まず柔軟性を有する容器に食品素材である例えば生の鰯を入れ、容器を密封する。これを圧力容器に入れ、耐圧容器内を清水で満たす。耐圧容器に接続された加圧ポンプで清水を加圧し、耐圧容器内を50〜100MPaの圧力にする。加圧後、耐圧容器外面に設けられた加熱用ヒータで40℃〜60℃に加熱する。所定の時間経過後、耐圧容器内の圧力を開放し、容器を取り出す。その後、容器内の内容物をろ過し、固形分と液体とに分離する。回収された液体が天然調味料となる。
【0005】
上記のように特許文献1に記載の方法では、被処理食品を加圧加熱処理する工程と、その工程後、被処理食品を固液分離(ろ過)する工程が必要である。固液分離工程は、分離操作を注意して行わないと、雑菌が混入する場合がある。また、液体の粘度が高い場合は、ろ過に時間がかかる。これらのことを考えれば、被処理食品を加圧加熱処理する工程と、ほぼ同時に処理された食品を固液分離する工程とを行うことが、時間の短縮、又は雑菌の混入防止の観点から望ましい。
【0006】
本発明の目的は、被処理食品を加圧加熱処理する工程と、ほぼ同時に処理された食品を固液分離する工程とを行い、簡単で短時間に食品処理が可能な食品処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも一部は固体である食品を加圧、加熱し、微生物の増殖を抑制しながら該食品を処理する食品処理装置であって、
被処理食品を受入れ、該被処理食品の処理に伴い該被処理食品から排出される液体を該固体と分離して貯留する食品容器と、
該食品容器、及び水を受入れ、該食品容器内の該被処理食品を加熱、加圧処理する処理槽と、
該処理槽内の水を加圧する加圧手段と、
該処理槽を加熱する加熱手段と、
を含むことを特徴とする食品処理装置である。
【0008】
また本発明で、前記食品容器は、外側容器と内側容器とを備える2重構造の容器であり、
該内側容器は、該内側容器の上部が該外側容器の上部内壁に固定され、前記被処理食品を出入可能な開口部を備える多孔性の材料からなり、
該外側容器は、内側に該内側容器を有し、前記被処理食品から排出される前記液体を外部に漏洩させることなく貯留する液体貯留部を備えることを特徴とする請求項1に記載の食品処理装置である。
【0009】
また本発明で、さらに前記食品容器は、吊り下げ可能な掛止部を有し、
前記処理槽は、内部に前記食品容器を吊り下げ可能な掛止部を備え、
吊り具を介して、前記被処理食品の入った前記食品容器を前記処理槽内に吊り下げ、前記被処理食品を加圧、加熱処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の食品処理装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の食品処理装置は、少なくとも一部は固体である食品を加圧、加熱し、微生物の増殖を抑制しながら食品を処理する食品処理装置であって、被処理食品を受入れ、被処理食品の処理に伴い被処理食品から排出される液体を固体と分離して貯留する食品容器と、食品容器、及び水を受入れ、食品容器内の被処理食品を加圧、加熱処理する処理槽と、処理槽内の水を加圧する加圧手段と、処理槽を加熱する加熱手段と、を含むので、被処理食品を加圧加熱処理する工程と、処理された食品から排出される液体を固体と分離する固液分離工程とをほぼ同時に行うことが可能で、簡単に、また短時間に食品を処理することができる。
【0011】
また本発明で、食品容器は、外側容器と内側容器とを備える2重構造の容器であり、内側容器は、内側容器の上部が外側容器の上部内壁に固定され、被処理食品を出入可能な開口部を備える多孔性の材料からなり、外側容器は、内側に内側容器を有し、被処理食品から排出される液体を外部に漏洩させることなく貯留する液体貯留部を備えるので、この容器を用いて被処理食品から排出される液体を固体と簡単に分離することができる。
【0012】
また本発明によれば、さらに食品容器は、吊り下げ可能な掛止部を有し、処理槽は、内部に食品容器を吊り下げ可能な掛止部を備え、吊り具を介して、被処理食品の入った食品容器を処理槽内に吊り下げ、被処理食品を加熱、加圧処理するので、重力を利用して容易に被処理食品から排出される液体を固体と分離し回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の一形態としての食品処理装置1の概略的構成を示す図である。また図2は、食品処理装置1で処理される食品を入れるための食品容器2の斜視図であって、右半分は外側容器70の一部を切り取って見た図である。食品処理装置1は、被処理食品を受入れる食品容器2と、食品容器2を受入れ、食品容器2内の被処理食品を加圧、加熱処理する処理槽10と、処理槽10内を加圧するための加圧装置40と、処理槽10を加熱する加熱装置50と、処理槽10内の圧力を一定に保持する圧力制御装置60を含み構成される。
【0014】
処理槽10は、金属製の耐圧容器11と耐圧容器11の上部にあって、耐圧容器11に着脱自在に取り付けられた耐圧性を有する蓋12を含み構成される。ここで言う耐圧性とは、100MPaの圧力に耐え得ることを言う。耐圧容器11は、中央から上部にかけて空間部13を有し、空間部13の底部近傍には、着脱自在に金網14が取り付けられている。さらに金網14の下の空間部13には、加熱用のヒータ51、及び空間部13の温度を検出する温度検出器52が取り付けられている。
【0015】
熱容量の大きい容器を加熱するときは、昇温に時間を要することは周知のところである。本耐圧容器11は、肉厚が大きく熱容量も大きいけれども、耐圧容器11の側面外壁に装着されたヒータ53のほか、空間部13を昇温可能なヒータ51を備えるため、昇温時間を短縮することができる。またヒータ51の上には金網14が取り付けられているので、食品容器2を耐圧容器11の空間部13に入れても、食品容器2が直接ヒータ51に接触することはないので、食品容器2の変形、破損等を防止することができる。
【0016】
また、耐圧容器11の側面には、空間部13に充填された水を加圧するための加圧管路21と連結する壁面を貫通する孔15、圧力調整用に空間部13に充填された水を排出するための圧力調整管路22と連結する壁面を貫通する孔16を有する。さらに耐圧容器11の底部には、空間部13に充填された水を排出するための水排出管路23と連結する貫通孔17、空間部13に水を充填するための水供給管路24と連結する貫通孔18が穿設されている。耐圧容器11の上部空間部の内壁にはネジが施され、蓋12に施されたネジと螺合する。
【0017】
蓋12は、耐圧容器11の上部に装着され使用される。蓋12を耐圧容器11に装着することで、耐圧容器11内に密閉された空間が形成される。蓋12は、下部壁面に耐圧容器11とのシール性を確保するためのガスケット30を収納するガスケット溝31を有し、ガスケット溝31にガスケット30を嵌入した後、蓋12を耐圧容器11に装着することで、蓋12と耐圧容器11との連結部のシール性が確保される。また蓋12には、耐圧容器11内の空間部13と連通する空気抜き用の孔19が穿設され、この空気抜き孔19は、空気抜き弁25を有する空気抜き管路26と連結する。処理槽10内を加圧するときには、空間部13の空気を水で完全に置換する必要があることから、空間部13に空気溜が出来ない位置に空気抜き孔19が設けられている。
【0018】
また蓋12には、耐圧容器11内の空間部13の温度を検出するための温度検出器27を支持する、一端が閉止された管状の温度検出器支持体28が取り付けられている。さらに蓋12の外壁には、蓋12を耐圧容器11に装着する際、蓋12を回転容易ならしめるハンドル29が取り付けられている。さらに蓋12の外壁の底部中央には、食品容器2を掛止可能な掛止部33が設けられている。この掛止部33と食品容器2に設けられた掛止部74とを吊り具34で結ぶことで、食品容器2を処理槽10の空間部13に吊り下げることが可能となる。また蓋12の外壁の上部中央にも、蓋12を吊り上げ可能な掛止部35が設けられている。
【0019】
加圧装置40は、耐圧容器11の空間部13に充填された水を加圧する装置であり、手動式の加圧ポンプ41、及び処理槽10と連結する加圧管路21を含み構成される。加圧ポンプ41の吐出口は、加圧管路21を通じて耐圧容器11の側面に設けられた孔15と連通する。加圧ポンプ41を介して水を耐圧容器11の空間部13に送ることで、空間部13に充填された水を加圧することができる。加圧管路21の途中には、仕切弁42を有するので、この仕切弁42を閉じることで、空間部13に充填された水の圧力を保持することができる。
【0020】
加熱装置50は、処理槽10を加熱する。加熱装置50は、上記に示した耐圧容器11の空間部13の底部に取り付けられたヒータ51と、耐圧容器11の側面外壁に装着されたヒータ53とを含む。耐圧容器11の空間部13の底部に取り付けられたヒータ51は、棒状のヒータであり、一部は耐圧容器11の空間部13に配設されるため、耐圧性を有する。これに該当するヒータとしては、シースヒータ、カートリッジヒータが例示される。また耐圧容器11の側面外壁に装着し使用することが可能なヒータは、耐圧性が要求されないことから、バンドヒータ、リビンヒータなどが例示される。
【0021】
耐圧容器11の空間部13の底部に取り付けられたヒータ51は、温度調節器54と接続する。温度調節器54は、空間部13の温度を検出する温度検出器52の出力と設定温度とに基づき、ヒータ51の出力を制御する。同様に耐圧容器11の側面外壁に装着されたヒータ53も、温度調節器55と接続し、温度調節器55は、外壁面の温度を検出する温度検出器56の出力と設定温度とに基づき、ヒータ53の出力を制御する。なお、耐圧容器11の側面外壁に装着されたヒータに代わり、耐圧容器11の周囲にジャケットを設けて温水を供給して加熱してもよい。また、ウオターバスに耐圧容器11を漬け、加熱してもよい。
【0022】
圧力制御装置60は、処理槽10内の圧力を一定に保持するための装置であり、処理槽10内の圧力を検出する圧力検出器61、圧力調節器62、及び圧力調節弁63を備える。耐圧容器11の壁面を貫通する孔16と連結する圧力調整管路22は、流量調節弁64、及び圧力調節弁63と接続する。また圧力調整管路22の途中には、処理槽10内の圧力が異常に上昇した場合に、一気に空間部13の水を排出して圧力を低減させる安全弁65、圧力調整管路22の圧力を検知する圧力計66、及び圧力検出器61が設けられている。圧力検出器61は、圧力調節器62と接続し、圧力調節器62は、圧力調節弁63及び耐圧容器11の空間部13に取り付けられたヒータ51の出力を制御する温度調節器54と接続し、これらを介して処理槽10内の圧力を調節する。このとき温度調節器54は、処理槽10内の圧力が所定の圧力に達していないときには、ヒータ51がオンとならないように制御する。これにより処理槽10内の圧力が異常上昇することを防止することができる。
【0023】
被処理物である食品を入れる食品容器2は、外側容器70と内側容器71との2重構造となっており、内側容器71は容器の上部72が、外側容器70の内側上部に固着されている。内側容器71は、網目状の容器であり、上端は食品を出し入れ可能な開口部を有する。内側容器71としては、ティーパックのようなメッシュを有するチャック付の合成樹脂製の袋を使用することができる。外側容器70は、密閉可能な容器で液体を漏洩することなく貯留することができる。さらに内側容器71同様、上部に食品を出し入れ可能な開口部を有し、開口部には開閉可能な開閉手段73が設けられている。外側容器70としては、チャック付の合成樹脂製の袋を使用することができる。
【0024】
このような構成の下、内側容器71に被処理物である食品、例えば鰯を入れる。その後、外側容器70の開口部を密閉して、この食品容器2を処理槽10で加圧、加熱処理すると、内側容器71内の被処理食品が加圧加熱処理され、食品から排出される液体は、外側容器70に貯留される。内側容器71が、固体と液体とを分離するろ過材として機能するため、簡単に液体のみを回収することができる。このように内側容器71は、被処理食品を外側容器70に漏らすことなく保持可能で、固体と液体とを分離する機能を発揮するものであれば特に形式は問われない。被処理食品のうち固形分が内側容器71から、外側容器70に漏れ出すことが予想される場合は、通水性を有する紙で被処理食品を包み、これを内側容器71に入れてもよい。
【0025】
外側容器70は、被処理食品から排出される液体を外部に漏らすことなく、貯留することが可能であると同時に、処理槽10で処理を行っている最中に処理槽10内の水が入り込まないことが必要である。よって、開口部に設けられる開閉手段73は、水が漏込まない程度の気密性が要求される。但し、開口部に設けられる開閉手段73は、必ずしも必要ではなく、開口部を紐で縛って使用することも可能である。
【0026】
また食品容器2は、上部に食品容器2を吊り下げ可能な掛止部74を有する。この係止部74と処理槽10の蓋12に設けられた係止部33とを吊り具34で連結し、蓋12を閉めると、食品容器2は、処理槽10内で吊り下げた状態となる。この状態で、加圧、加熱処理すると、食品容器2内の被処理食品から排出される液体は、外側容器70の貯留部75に貯留される。このように食品容器2を吊り下げた状態で使用すると、固液分離をより容易に行うことができる。なお、食品容器2は、吊り下げることなく、処理槽10の底部に取り付けられた金網14の上においてもよい。このように食品容器2を吊り下げて使用しない場合は、内側容器71と外側容器70とを固定する必要はなく、内側容器71を外側容器70内に入れて使用してもよい。
【0027】
次ぎに本発明の食品処理装置1を用いて、蛋白質原料としての生の食品素材を酵素分解して調味料を得る要領を説明する。なお、以下の説明は、食品処理の一例を示すに過ぎず、この処理要領に限定されないことは言うまでもない。まず、食品を食品容器2に入れる。ここで使用な可能な食品は、蛋白質と蛋白質分解酵母とが含まれていればよく、魚介類、畜産、養鶏などの動物性素材、大豆などの植物性素材、及びそれから抽出された蛋白質素材が例示される。なお、蛋白質分解酵母は、必要に応じて別途添加してもよい。
【0028】
食品を内側容器71に入れ、外側容器70内の空気を抜き、外側容器70の開口部を密閉する。外側容器70内の空気抜きは、完全に抜けている必要はなく、外側容器70が合成樹脂製の袋であれば、袋を押さえて容器70内の空気を抜く程度でよい。なお、食品は必要に応じて、紙で包み内側容器71に入れてもよい。次ぎに処理槽10の蓋12を外し、蓋12に設けられた掛止部33と食品を仕込んだ食品容器2の掛止部74とを吊り具34で連結し、容器2を吊り下げた状態とする。この状態で蓋12を耐圧容器11にセットする。
【0029】
次ぎに処理槽10内の空間部13に水を充填する。水の充填に水道水を使用する場合を例にとり説明する。耐圧容器11の蓋12に設けられた空気抜き弁25を開けた後、耐圧容器11の底部の貫通孔18に接続された水供給管路24を通じて、処理槽10内に水(水道水)を充填する。水の充填操作は、処理槽10内の空間部13の空気を水に置換するために行うものでるから、水の充填はゆっくりと行うことが望ましい。空気抜き弁25から水が安定的に排出されることが確認できたら、空気抜き弁25を閉じ、処理槽10内の圧力が水道圧まで上昇したことを確認した後、弁81を閉じ水の供給を停止する。
【0030】
処理槽10内への水の充填が終了すると、処理槽10内を加圧する。加圧ポンプ41を用いて処理槽10内を所定の圧力まで加圧し、圧力が所定の値に達した後は、加圧操作を終了する。加圧操作を行うに際しては、圧力制御装置60によって、処理槽10内の圧力を所定の圧力に制御可能な状態としておく。加圧操作とほぼ同時、又は加圧操作終了後、
処理槽10の加熱操作に移る。加熱操作は、加熱装置50を用いて行う。処理槽10内の温度が所定の温度に到達する途中、又は所定の温度に到達したとき、処理槽10内の圧力が所定圧力よりも低い場合は必要に応じて、加圧ポンプ41を介して加圧操作を行う。
【0031】
処理槽10内を所定の圧力、温度に保持し、所定の時間食品の処理を行う。処理槽10内の食品には、圧力と温度が加えられるため、微生物の増殖を抑制しながら酵素を効率よく食品素材に作用させて調味料を得ることができる。この際、食品は2重構造の食品容器2の内側の網目状の容器71に入れられ、吊り下げられているので、食品が処理され食品から排出される調味料(液体)は、外側容器70に溜まる。このように本食品処理装置1を使用すれば、食品の加圧加熱処理操作と、固液分離操作をほぼ同時に行うことができる。特に食品から排出される液体の粘度が高い場合は、固液分離に時間を要するが、本発明では食品の加圧加熱処理と固液分離処理を同時並行で行うことができるので、調味料を短時間で得ることができる。
【0032】
所定の時間、加圧加熱処理を行った後、食品容器2の取り出し操作を行う。ヒータ51、及びヒータ53をオフとした後、耐圧容器11底部の水排出管路23に配設される弁80を開け、処理槽10内の水を排出する。処理槽10内の圧力が低下したことを確認した後、空気抜き弁25を開け、必要に応じて処理槽10内を冷却するために水供給管路24から水を供給し処理槽10内を冷却する。蓋12を開け、食品容器2を取り出す。上記のように食品容器2の貯留部75には、液体調味料が固体と分離された状態で貯留されているため、簡単に調味料を回収することができる。
【0033】
本発明では、調味料を回収するための固液分離操作を別途必要としないことから、固液分離の際に懸念される雑菌の混入もない。また、被処理食品を紙で包み食品容器に入れていたような場合は、仮に被処理食品が残っていても、被処理食品は脱液状態となっており、簡単に回収することができる。上記の例では、食品容器2を蓋12に吊り下げる方法を説明したけれども、食品容器2を吊り下げることなく、処理槽10内の底部に取り付けられた金網14の上に載せておいもよいことは言うまでもない。例えば、液体と固体とを含む被処理食品にあっては、食品容器2を吊り下げ状態とすると液体と固体が分離し、加圧加熱処理時に不都合を生じる場合もあるが、このような場合にあっては、食品容器2を横にして金網14の上に載せて処理すればよい。この方法では処理中に固液分離を行うことはできないけれども、食品容器2が2重構造となっているので、処理後新たに固液分離装置を用意する必要がなく、簡単に固液分離を容易に行うことができる。
【0034】
また、上記実施形態では、加圧と加熱操作を併用する食品処理の例を示したけれども、食品を処理するに際し、加圧操作のみとすることも可能なことは言うまでもない。食品の種類、食品の処理方法に応じて適宜選択すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の一形態としての食品処理装置1の概略的構成を示す図である。
【図2】図1の食品処理装置1で処理される食品を入れるための容器2の斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 食品処理装置
2 食品容器
10 処理槽
33 掛止部
34 吊り具
40 加圧装置
50 加熱装置
60 圧力制御装置
70 外側容器
71 内側容器
72 内側容器上部
74 掛止部
75 液体貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部は固体である食品を加圧、加熱し、微生物の増殖を抑制しながら該食品を処理する食品処理装置であって、
被処理食品を受入れ、該被処理食品の処理に伴い該被処理食品から排出される液体を該固体と分離して貯留する食品容器と、
該食品容器、及び水を受入れ、該食品容器内の該被処理食品を加圧、加熱処理する処理槽と、
該処理槽内の水を加圧する加圧手段と、
該処理槽を加熱する加熱手段と、
を含むことを特徴とする食品処理装置。
【請求項2】
前記食品容器は、外側容器と内側容器とを備える2重構造の容器であり、
該内側容器は、該内側容器の上部が該外側容器の上部内壁に固定され、前記被処理食品を出入可能な開口部を備える多孔性の材料からなり、
該外側容器は、内側に該内側容器を有し、前記被処理食品から排出される前記液体を外部に漏洩させることなく貯留する液体貯留部を備えることを特徴とする請求項1に記載の食品処理装置。
【請求項3】
さらに前記食品容器は、吊り下げ可能な掛止部を有し、
前記処理槽は、内部に前記食品容器を吊り下げ可能な掛止部を備え、
吊り具を介して、前記被処理食品の入った前記食品容器を前記処理槽内に吊り下げ、前記被処理食品を加圧、加熱処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の食品処理装置。

【図1】
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【図2】
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