説明

食品加工容器、食品加工装置および食品の製造方法

【課題】 アニメーションキャラクター、動物、電車等の立体形状に形成したドーナツや揚げパンを製造することが出来る容器(型)、装置、方法等を提供すること。
【解決手段】 外周面を金網若しくは多数の小孔を穿設した金属板により形成した収容空間5内にドーナツ生地等の被加工食品を入れ、当該被加工食品を収容した収容部を所定温度に加熱した油38に略半分程度浸して被加工食品の片面を揚げ、所定時間経過後に前記収容部を回転させて被加工食品の反対面を揚げることにより、所定形状に形成したドーナツ等の食品を量産する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食品加工容器、食品加工装置および食品の製造方法に関するものである。特に、発酵させたパン生地を油で揚げて作るドーナツ若しくは揚げパンの製造に適した食品加工容器、食品加工装置および食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドーナツは、小麦粉を練り上げて形成した生地を型抜等により所定の大きさおよび形状に形成し、当該成形後の生地を発酵させた後に熱した油中に入れ、油で揚げて製造されていた。油中に入れられた生地は気泡を含んでいて油の表面に浮ぶので、油に面した側が揚げあがったところで油面上で反転させて他方も同様に揚げ、取り出すという調理方法がとられていた。また、外周に多数の小孔を穿設した金属板を用いて中空の金型を形成し、当該金型をパンの焼型とした技術が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開昭59−42836
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のドーナツの製造方法は、前記生地を所定の大きさおよび形状に成形した後に発酵させて膨張させ、その後に油で揚げるものである。従って、完成品としてのドーナツの形状は、一般的な円環状のものであったり、球状や棒状のものであったり、縄のような形状等であって、複雑な表面形状のドーナツを形成することは出来なかった。まして、テレビ等に登場するアニメーションキャラクターを表した形状であったり、動物、電車等の形状を正確に表したりすることは極めて難しいものであった。
また、前記従来の金型は、パンをオーブン等に入れて焼き上げるためのものであり油中に入れて揚げる型として使用することを考慮したものではなかった。すなわち、ドーナツや揚げパン等は、完全に油中に沈めて揚げたのでは、生地中の気泡が一気に膨らんで張り裂けたような状態になったり、油を吸いすぎて揚げ上がりが悪くなったりしてしまう。しかし、前記従来の金型には、このようなドーナツを製造する上で考慮すべき事項を実現するための構造は採用されていない。
【0004】
本願発明は、上記の課題に鑑み発明されたものであって、アニメーションキャラクター、動物、電車等の立体形状に形成したドーナツや揚げパンを製造することが出来る金型、装置、方法等を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明は下記の構成を有する。なすわち、
外周面を金網若しくは多数の小孔を穿設した金属板により形成した中空の収容部を有する食品加工容器であって、
前記収容部を表裏回転させるための被駆動軸若しくは被駆動部が設けられていることを特徴とする食品加工容器。
【0006】
また、本願請求項2記載の発明は下記の構成を有する。なすわち、
被加工食品を収容する収容部を有した食品加工容器を着脱可能に装着する装着部と、
当該装着した食品加工容器を水又は油中において回転させる回転手段とを有したことを特徴とする食品加工装置。
【0007】
また、本願請求項3記載の発明は下記の構成を有する。なすわち、
前記装着した食品加工容器の水面若しくは油面に対する高さを調節する調節手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の食品加工装置。
【0008】
また、本願請求項4記載の発明は下記の構成を有する。なすわち、
外周面を金網若しくは多数の小孔を穿設した金属板により形成した収容部内に被加工食品を入れ、
前記被加工食品を収容した収容部の略半分程度を所定温度に加熱した油に浸して被加工食品の片面を揚げ、
所定時間経過後に、前記収容部を回転させて被加工食品の反対面を揚げることを特徴とする食品の製造方法。
【0009】
また、本願請求項5記載の発明は下記の構成を有する。なすわち、
前記被加工食品が、前記収容部内において発酵等により膨張させたドーナツ若しくは揚げパン用の生地であることを特徴とする請求項4記載の食品の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本願発明に係る食品加工容器は、当該食品加工容器に設けた収容部に被加工食品を入れた状態で油で揚げる等の加工をすることが出来る。食品加工容器に設けた被駆動軸は、所定の回転装置に装着することにより収容部に入れた被加工食品を油面付近若しくは油中において回転させることが出来るようになっている。また、多量の食品を形成する必要がある場合であっても、多数の食品加工容器を用意することにより、回転装置に装着した食品加工容器の取り外し、装着を順次繰り返しながら食品の加工を行うことが出来、安定した品質の加工食品を連続的に作ることが出来るという効果を有している。
また、本願発明に係る食品加工装置は、被加工食品を収容した食品加工容器を着脱可能に装着することが出来、加工食品を量産する場合であっても被加工食品を油に浸す際の深さを均一に保ち、食品の反転等も迅速に行うことが出来るようになっている。従って、品質の安定した加工食品を提供することが出来るという効果を有している。
また、本願発明に係る上記食品加工容器、食品加工装置、食品加工方法は、ドーナツや揚げパン等の製造に適しており、油面において一定時間片面を揚げ、反転させて一定時間反対面を揚げるという連続的に行われる食品加工に極めて有効な手段・方法を提供することが出来るという効果を有している。また、収容凹部内で膨張させるような食品である場合には、収容凹部の形状通りの食品を形成することが出来、動物やアニメーションキャラクター等を象った食品を工業的に量産することが出来るという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願発明に係る食品加工容器、食品加工装置および食品の製造方法の最良の実施の形態を説明する。
図1(a)は本願発明に係る食品加工装置1を表した平面図であり、図1(b)は食品加工装置1の側面図を表している。図2(a)は図1(a)に示した食品加工装置1のA−A線断面図であり、図2(b)は図2(a)に示した食品加工装置1のB−B線断面図を表している。図3(a)は、図2に示した食品加工装置1のC−C線断面図であり、図3(b)は図2(a)に示した食品加工装置1のD−D線断面図を表している。
食品加工装置1は、外周面を金網若しくは多数の小孔を穿設した金属板により形成した中空の食品加工容器2と、当該食品加工容器2を装着し回転させることが出来る装置本体3とから構成されている。
【0012】
食品加工容器(以下、「容器」という)2は、ドーナツ等の食品の外形を形成する金型として使用されるとともに、そのまま油中において食品を揚げる加工用の容器としても使用されるものである。本実施の形態においては、容器2にはパンチングメタル等の金属板に所定形状の小孔を複数穿設した板体をプレス成形した表裏2枚の型板4(4a、4b)
を設け、当該型板4a、4bを対向させて合わせることにより所定形状の収容空間5を形成したものを使用する。なお、容器2は、後述するドーナツ生地等の被加工食品を収容し、油や湯の中に入れたまま当該被加工食品の加熱を行えるものであればよく、素材や製造方法等本実施の形態に記載したものに限定されるものではない。本実施の形態では型板4a、4bとしてパンチングメタルを使用するが、細い番線(針金)を織って形成した目の細かい金網を使用しても構わない。
本実施の形態では、一つの容器2に5つの収容空間5が形成されており、各型板4a、4bには長手方向に沿って各収容空間を形成する5つの凹部(5a、5b)が等間隔に設けられている。容器2の長手方向に沿った一側縁には両型板4a、4bを回動可能に連結するヒンジ6が形成されており、各型板4a、4bは当該ヒンジ6を中心として開閉できるようになっている。各型板4a、4bをヒンジ6を中心として開くと前記収容空間5を形成する凹部(5a、5b)の内面が表出し、閉じると所定形状の収容空間5が形成されるようになっている。
また、少なくとも収容空間5の外周には複数の小孔が設けられており、詳細には後述するがドーナツ生地を収容空間5に閉じこめたままの状態で、揚げ油を通過させて生地に触れさせることが出来るようになっている。
【0013】
容器2の長手方向に沿った他側縁には、開閉する両型板4a、4bと係脱可能に結合するロック手段が形成されている。本実施の形態においては、ロック手段として型板4aの端縁に形成した複数の筒状部7aと、型板4bの端縁に形成した複数の筒状部7bとを同軸上で互い違いに配置し、各筒状部7a、7bに一本のピン8を差し込むことにより両型板4a、4bの開動作を防止する手段が用いられている。当該ロック手段は、ピン8を抜くことによりロックを解除し、両型板4a、4bを開くことが出来るようになっている。なお、両型板4a、4bのロックは上記構造に限ることなく、迅速にロックおよびロック解除が行われるものであれば、他の構造であっても差し支えない。
【0014】
容器2の長手方向の両端部には、容器2の回転中心となる軸体9、10が同軸上に設けられている。当該軸体9、10は、詳細には後述する装置本体3の駆動部11および軸受部12に支持される部分である。特に軸体9は、駆動部11の回転に伴って容器2を回転させる被駆動軸として機能するようになっている。
本実施の形態では、当該軸体9は円柱の周側面に長手方向に沿って表裏に平行面(二面幅21)が形成されており、当該平行面が駆動部11の装着部19と係合して回転力を伝達するようになっている。また、軸体10は円柱状の棒体であり、軸受部12に対して着脱可能に装着され、回転可能に支持されるようになっているものである。
また、軸体9は、装置本体3の構造に対応してその形状や構造が異なるものであるから、装置本体3によって着脱可能に保持され回転駆動されるようになっているのであればよく、棒状の軸を用いない被駆動部として形成されていてもよい。軸体10についても同様である。
【0015】
次に、装置本体3について説明する。本実施の形態では、装置本体3は油を入れて加熱した鍋若しくは槽(39)に着脱可能に装着されるものとして形成されており、鍋若しくは槽の形状に応じて適時構造が変更されるものである。
装置本体3は、前記容器2の軸体9の支持および軸体9を回転させる駆動部11を備えた駆動装置14と、前記容器2の軸体10を回転可能に支持する軸受部12を形成した軸受装置15によって構成される。
【0016】
駆動装置14は、油を入れて加熱する鍋若しくは油槽に取付けるために、当該鍋若しくは槽の開口縁と係合する取付部材16を有し、前記駆動部11を回転駆動する駆動機構17を有し、これら取付部材16および駆動機構17を一体に保持するフレーム18を有した構造になっている。
駆動部11は、フレーム18に回動可能に軸支された部材であり、当該駆動部11の回転中心と同軸位置に前記容器2の軸体9を装着して保持する装着部19を有している。
当該装着部19には、回転中心と同軸位置に前記軸体9の側面に形成した二面幅21と係合する平行面が形成され、当該平行面の上下には当該平行面に軸体9を誘い込むための広角の傾斜面20が設けられている。軸体9は、当該傾斜面20に誘導されて前記平行面が形成された装着部19に入り込み、フレーム18に設けた端縁27に当接するようになっている。すなわち、フレーム18に設けた端縁27は軸体9の周側面に当接して軸体9を下方から支えるようになっており、軸体9は端縁27に当接して支えられた状態で駆動部11によって回転駆動されるようになっている。
【0017】
駆動部11は、フレーム18を構成する隔壁を介して小歯車22と連結されており、小歯車22の回転に伴って回転するようになっている。また、小歯車22はハンドル23によって回転する大歯車24と歯合している。小歯車22と大歯車24の歯数の比は1:2となっており、大歯車24を90度回転させると小歯車22は180度回転するようになっている。すなわち、駆動部11に軸体9を装着しハンドル23によって大歯車24を90度回転させると、駆動部11に装着された軸体9が180度回転し、これに伴い容器2を表裏反転させることが出来るようになっている(図3(b))。
【0018】
また、フレーム18は油を入れて加熱した槽(39)等に装着するための取付部材16を有している。当該取付部材16には種々の方式が考えられるが、本実施の形態では鍋若しくは油槽の外周縁と係合する溝状部を有しており、当該溝状部を油槽の周縁に嵌合させるようになっている。なお、取付部材16には、装着した容器2の油面に対する高さを変えることが出来る高さ調整機構が設けられている。容器2の回転中心は油面と略同一高さであることが望ましく、当該高さ調整機構は、容器2を用いた生地の加工を行いながら、減少した油の分量に応じて、容器2の高さを変えることが出来るようになっている。
本実施の形態では、取付部材16を取り付けるビス26を回転させることにより、取付部材16が上下動し、鍋若しくは油槽に対する容器2の高さを変えることが出来るようになっている。
【0019】
軸受装置15について説明する。軸受装置15は、前述した駆動装置14と対を成すものであり、容器2の軸体10を回転可能に支持する軸受部12を形成したものである。軸受部12は、軸受装置15を構成するフレーム28の端縁29に形成したV字状の切欠として形成されている。当該V字状の切欠の頂点部分には、軸体10の外周と略同一経の内周面が形成されている。当該内周面が軸体10の軸受部となっている(図3(a))。
なお、軸受装置15にも、自由に高さを変えるための高さ調整機構が設けられている。本実施の形態では、取付部材30を取り付けるビス31を回転させることにより、取付部材30が上下動し、油槽等に対する容器2の高さを変えることが出来るようになっている。
【0020】
図4は、容器2を構成する一対の型板4a、4bをヒンジ6を中心に開いた状態を表している。各型板4a、4bは前述したパンチングメタル(小孔を複数穿設した薄板)若しくは金網等のシートを鍛造加工等によって形成したものであり、前記収容空間5を構成する各収容凹部(5a、5b)が設けられたものである。容器2は、筒状部7a、7bからピン8を抜き取ることで各型板4a、4bを開くことが出来、収容空間5に加工前の食品(被加工食品)を入れることが出来るようになっている。
また、本実施の形態では、各収容凹部5a、5bは略対称となるような形状に形成されているが、異なった形状にしてもよい。例えば、収容凹部5aは動物の顔、収容凹部5bは当該顔に対する後頭部を象った形状にする等、種々の形状にすることが出来る。
【0021】
以下、図4および図5を用いつつ、食品の加工例としてドーナツの製造方法を説明する

[ステップ1]ドーナツ生地を作成する工程。
はじめに、ドーナツの素材となるドーナツ生地(被加工材料)を作る。ドーナツ生地(パン用の生地も同様)は、所定分量の小麦粉・砂糖・塩を水・イースト菌等とともに混ぜ合わせて練り上げることにより生成される。なお、前記イースト菌に換えて、生地を膨張させるための材料としてベーキングパウダーやでん粉を使用してもよい。
[ステップ2]ドーナツ生地を容器2の収容凹部5に入れる工程。
当該工程は、前記ステップで作成されたドーナツ生地を計量し、所定量を容器2の収容凹部5に入れた後に各型板4a、4bが開かないようにピン8を差し込んでロックし、この状態のまま所定温度下で生地を発酵等により収容凹部5内で膨張させる工程である。発酵によってドーナツ生地が膨張すると、収容凹部5内の隅々にドーナツ生地が行き渡って内面に押しつけられ、収容凹部5の内面形状に合わせてドーナツ生地の成形が行われる。[ステップ3]ドーナツを加熱した油で揚げる工程。
前記収容凹部5内における発酵等による膨張が終了すると、ドーナツ生地を入れたままの容器2を加熱した油に浸し、ドーナツ生地を揚げる作業を行う。容器2を装着する装置本体3は、予め油38を満たした鍋等の槽39に装着されている。油38は、ガス焜炉40等によって所定温度に加熱されている。
装置本体3は、装着された容器2の下側半分が油に浸り、上側半分が油に浸らないように前記取付部材30によって高さの調節が行われている(図5参照)。容器2は、軸体9が駆動部11の装着部19に保持され、軸体10が軸受部12に保持されることにより装置本体3に保持される。この際、装着部19の平行面に軸体9に二面幅21が挟持されることにより容器2の回転が制限されるようになっている。当該装置本体3に対する容器2の装着は、容器2を上方から降下させるだけで行うことが出来るようになっている。
前記容器2の片面を油に浸した状態でドーナツ生地の片面を揚げた後、容器2を表裏回転させて容器2の反対面を油に浸しドーナツ生地の反対面を揚げる作業を行う。容器2の表裏回転は、一方に傾いているハンドル23を反対方向に傾けるのみで行わせることが出来る。ハンドル23は、大歯車24を介して小歯車22および駆動部11を回転させ、装着部19に装着された軸体9を介して容器2を表裏反転させることが出来るようになっている。本実施の形態では、大歯車24と小歯車22の歯数比は2:1となっているので、大歯車24を略90度回転させることにより小歯車を180度回転させ、容器2を表裏反転させることが出来るようになっている。
[ステップ4]
ドーナツを容器2から取り出す工程。
前記工程においてドーナツ生地の揚げ加工が終了すると、装置本体3から容器2が取り外される。容器2は、上方に持ち上げるのみで装置本体3から取り外すことが出来る。
取り外した容器2は、型板4a、4bの開閉を規制しているピン8を抜き取ることによって開くことが出来る。型板4a、4bを開くと、収容凹部5a、5bの内面形状に沿って形成されたドーナツを取り出すことが出来る。
例えば、収容凹部5a、5bがアニメーションキャラクターを模した形状に形成されているのであれば、当該アニメーションキャラクターの外形を備えたドーナツを形成することが出来るようになっている。
【0022】
以上説明したように、本願発明に係る食品加工容器、食品加工装置を用いて所定の外形に形成したドーナツを取得することが出来る。次に、本願発明に係る食品加工容器、食品加工装置等の特徴等を説明する。
従来一般的なドーナツの調理(製造)方法は、平板状に伸延させた生地を円環状にくりぬいたものや、細棒状に伸ばした生地を複数本よりあわせて縄状に形成したものを形成し、当該各形状に形成した生地を油で揚げて所定形状のドーナツを製造していた。従って、当該製造方法では、アニメーションキャラクター、動物、自動車、電車等を象ったドーナツを量産することは困難であった。
これに対して、本願発明に係る食品加工容器(容器2)では、型板4a、4bに対して収容凹部5a、5bの形成が可能であれば、ほぼその収容凹部5a、5bの形状に則した外形のドーナツを製造することが出来る。生地は、発酵時に膨張するので当該膨張によって収容凹部5a、5bの内面に押しつられ所定形状に成形される。また、加熱時には内部に閉じこめられているガスや水蒸気化した水分によっても膨張するので、当該ガス等の膨張作用によっても生地が膨らみ収容凹部5a、5bの内面に押しつられ、ほぼ収容凹部5a、5bの内面形状通りに成形されたドーナツが形成されるようになっている。
【0023】
また、ドーナツは、油面に浮かせた状態で揚げる必要がある。すなわち、ドーナツは、膨張したガスや水蒸気を適度に放出しながら加熱されるが、油中に沈められた状態で加熱されると水蒸気の発生、放出が過剰になってドーナツ表面に亀裂を発生させたり、油が生地中に浸透しすぎたりして品質の悪化を招いてしまう。このような理由から、ドーナツは油面に浮かせた状態で加熱を行う必要がある。
このような理由から、本願本願発明に係る食品加工容器は、ドーナツ生地の加熱を油面に浮かせて行うのと同様の状態で行えるようになっている。容器2は、長手方向両端に設けた軸体9、10を中心として、表裏にそれぞれ成形型となる収容凹部5a、5bを有している。図5に示すように、容器2の軸体9、10を油表面と略同一位置に保持することにより、収容凹部5a、5bの一方のみを油に浸すことが出来、ドーナツ生地を油面に浮かせた場合と同様の状態で加熱を行うことが出来るようになっている。これにより、破裂や油の含みすぎ等の不具合を生じることなく、容器2を使用してドーナツを揚げることが出来るようになっている。
【0024】
また、前記容器2を用いてドーナツを揚げるために、本願食品加工装置は、容器2を油の表面において回転可能に保持する装置本体3を有している。当該装置本体3を用いることにより、油中に埋没させることなくドーナツ生地を揚げることが出来、容器2を用いないで加熱するのと同様に仕上がりのよいドーナツを作成することが出来るようになっている。
また、装置本体3に対する容器2の装着は、上方から載置するだけで行うことが出来、取り出しも上方に持ち上げるだけで行うことが出来るようになっている。また、本実施の形態における装置本体3は、容器2を上方から載置して装着し、生地の片面を揚げた時点で表裏回転させ、生地の他面を揚げた時点で回転させた容器2を逆転させて元に戻すことなくそのまま取り出すことが出来るようになっている。このように、容器2を装着してから取り出すまでの工程を、工数を少なく迅速に行うことが出来るようになっている。
【0025】
また、本願発明は、油を用いたドーナツの製造に限るものではなく、他の食品の加工にも適用できるものである。また、油に変えてお湯を使用するような食品加工にも用いることが出来、お湯の表面に浮かせながら加熱を行わせるような食品加工に適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明に係る食品加工装置を表した平面図および側面図である。
【図2】図1(a)に示した食品加工装置のA−A線断面図および図2(a)に示した食品加工装置のB−B線断面図である。
【図3】図2に示した食品加工装置のC−C線断面図および図2(a)に示した食品加工装置のD−D線断面図である。
【図4】本願発明に係る食品加工容器の使用状態を表す説明図である。
【図5】本願発明に係る食品加工容器および食品加工装置の使用状態を表す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 食品加工装置
2 食品加工容器(容器)
3 装置本体
4a、4b 型板
5 収容空間
5a、5b 収容凹部
6 ヒンジ
7a、7b 筒状部
8 ピン
9 軸体
10 軸体
11 駆動部
12 軸受部
14 駆動装置
15 軸受装置
16 取付部材
17 駆動機構
18 フレーム
19 装着部
21 二面幅
20 傾斜面
22 小歯車
23 ハンドル
24 大歯車
26 ビス
27 端縁
28 フレーム
29 端縁
30 取付部材
31 ビス
38 油
39 槽
40 ガス焜炉


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面を金網若しくは多数の小孔を穿設した金属板により形成した中空の収容部を有する食品加工容器であって、
前記収容部を表裏回転させるための被駆動軸若しくは被駆動部が設けられていることを特徴とする食品加工容器。
【請求項2】
被加工食品を収容する収容部を有した食品加工容器を着脱可能に装着する装着部と、
当該装着した食品加工容器を水又は油中において回転させる回転手段とを有したことを特徴とする食品加工装置。
【請求項3】
前記装着した食品加工容器の水面若しくは油面に対する高さを調節する調節手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の食品加工装置。
【請求項4】
外周面を金網若しくは多数の小孔を穿設した金属板により形成した収容部内に被加工食品を入れ、
前記被加工食品を収容した収容部の略半分程度を所定温度に加熱した油に浸して被加工食品の片面を揚げ、
所定時間経過後に、前記収容部を回転させて被加工食品の反対面を揚げることを特徴とする食品の製造方法。
【請求項5】
前記被加工食品が、前記収容部内において発酵等により膨張させたドーナツ若しくは揚げパン用の生地であることを特徴とする請求項4記載の食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−192053(P2006−192053A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6120(P2005−6120)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(591072787)株式会社フジト−イ (4)
【Fターム(参考)】