説明

食品加熱装置

【課題】ハンバーガーパテ等の被加熱食品を自動で加熱することができ、生産効率を向上させることができる食品加熱装置を提供する。
【解決手段】食品加熱装置10は、被加熱食品11が載置される固定熱板12と、固定熱板12との間で被加熱食品11を加熱するとともに、上下方向移動可能に配置された可動熱板13とを備えている。駆動機構14は、可動熱板13を上下方向に移動させる。また駆動機構14は、固定熱板12と可動熱板13とにより被加熱食品11を圧縮加熱し、その後可動熱板13を上昇させて被加熱食品11から離れて待機するよう制御部19により制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンバーガーのハンバーガーパテ等からなる被加熱食品を加熱する食品加熱装置に係り、とりわけ飲食店等で多数の被加熱食品を自動で加熱することができ、被加熱食品の生産効率を向上させることができる食品加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハンバーガショップ等の飲食店において、ひき肉を薄い円形に固めたハンバーガーパテ(被加熱食品)を加熱し、次にこのハンバーガーパテや野菜等を2枚のパンの間に挟んでハンバーガーを製造することが行なわれている。
【0003】
このうちハンバーガーパテを加熱する作業は、従来から手作業で行なわれている。すなわち、まずハンバーガーパテをグリドルの鉄板上に載置して一定時間加熱し、次にハンバーガーパテを上方から一定時間押圧する。次に手作業でハンバーガーパテを反転し、この状態で一定時間加熱し、その後更にハンバーガーパテを上方から一定時間押圧する。このような作業を繰り返すことにより、味や質が良いハンバーガーパテを生成することができる。ハンバーガーパテの最適な加熱条件、すなわちハンバーガパテの加熱時間、ハンバーガパテを押圧する力、およびハンバーガパテを押圧する時間等は、オペレータの経験則上定められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハンバーガーパテを加熱する作業において、上述したようにハンバーガーパテを何回も手作業で反転したり押圧したりする必要がある。このため、作業を行なうオペレーターは作業中グリドルの前方から離れることができない。また、1人のオペレーターは一度に1枚のハンバーガーパテしか加熱することができないため、作業の効率は必ずしも良くない。
【0005】
また仮にオペレーターが作業の手順を誤った場合、ハンバーガーパテを焼き損じたり、生焼けのハンバーガーパテが生成されたりするおそれもある。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ハンバーガーパテ等からなる被加熱食品を自動で加熱することができ、被加熱食品の生産効率を向上させることができる食品加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被加熱食品が載置される固定熱板と、固定熱板との間で被加熱食品を加熱するとともに、上下方向移動可能に配置された可動熱板と、可動熱板を上下方向に移動させる駆動機構と、を備え、駆動機構は、固定熱板と可動熱板とにより被加熱食品を圧縮加熱し、その後可動熱板を上昇させて被加熱食品から離れて待機するよう制御部により制御されることを特徴とする食品加熱装置である。
【0008】
本発明は、駆動機構は制御部により制御されて、圧縮加熱と待機とを複数回繰り返すことを特徴とする食品加熱装置である。
【0009】
本発明は、駆動機構は制御部により制御されて、被加熱食品を圧縮加熱する際、固定熱板と可動熱板との間の距離を2段階以上変更させることを特徴とする食品加熱装置である。
【0010】
本発明は、固定熱板との間で被加熱食品を加熱するとともに、上下方向移動可能に配置された追加の可動熱板と、制御部により制御され追加の可動熱板を上下方向に移動させる追加の駆動機構と、を更に備えたことを特徴とする食品加熱装置である。
【0011】
本発明は、前記被加熱食品は、ハンバーガーパテからなることを特徴とする食品加熱装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ハンバーガーパテ等からなる被加熱食品を加熱する作業を自動で行なうことができ、その間オペレーターは他の作業を行なうことができるので、被加熱食品の生産効率を向上させることができる。
【0013】
また、本発明によれば、制御部により駆動機構を制御するので、被加熱食品の種類に応じて被加熱食品を加熱する工程を自在に変更することができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、被加熱食品を加熱する作業を自動で行なうので、オペレータが手作業で加熱する場合と異なり、人為的なミスにより手順を誤るおそれがない。
【0015】
さらにまた、本発明によれば、追加の可動熱板と、追加の可動熱板を上下方向に移動させる追加の駆動機構とが設けられているので、多数の被加熱食品を同時に効率良く加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明による食品加熱装置の一実施の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。ここで、図1は、本発明による食品加熱装置の一実施の形態を示す正面図であり、図2は、本発明による食品加熱装置の一実施の形態を示す上面図であり、図3は、本発明による食品加熱装置の一実施の形態を示す側面図である。また図4(a)〜(h)は、本発明の実施例1を示す図であり、図5(a)〜(g)は、本発明の実施例2を示す図である。
【0017】
まず、図1乃至図3により、本実施の形態によるハンバーガーパテ加熱装置(食品加熱装置)の概略について説明する。
図1乃至図3に示すように、ハンバーガーパテ加熱装置10は、ハンバーガーパテ(被加熱食品)11が載置される固定熱板12と、固定熱板12との間でハンバーガーパテ11を加熱するとともに上下方向移動可能に配置された可動熱板13と、可動熱板13を上下方向に移動させる駆動機構14とを備えている。このうち駆動機構14は、固定熱板12と可動熱板13とによりハンバーガーパテ11を圧縮加熱するものである。また固定熱板12と可動熱板13は、互いに独立して温度が設定されるようになっており、それぞれハンバーガーパテ11を加熱するのに適切な温度に設定されている。
【0018】
また駆動機構14は、アルミニウム材料からなるフレーム15に固定されたステッピングモータ18と、ステッピングモータ18に連結され、可動熱板13の上下方向の移動をガイドするLMガイドアクチュエータ17とを有している。また、LMガイドアクチュエータ17に、可動熱板13とともに上下方向に移動するアーム16が連結されている。
【0019】
さらに駆動機構14は、固定熱板12と可動熱板13との間の距離を2段階以上変更して圧縮加熱できるよう制御部19により制御される。また駆動機構14はその後可動熱板13を上昇させてハンバーガーパテ11から離れて待機するよう制御部19により制御されるようになっている。
【0020】
ところで、図1乃至図3において、ハンバーガーパテ加熱装置10は、互いに異なる制御パターンに基づいて、制御部19により独立して制御される3つの駆動機構14を有している。また各駆動機構14に、それぞれ正面方向から見て前後に2つの可動熱板13が取り付けられている。これら前後2つの可動熱板13は、それぞれ一体となって各駆動機構14により上下方向に移動可能となっている。すなわちハンバーガーパテ加熱装置10は、正面方向から見て横3列×縦2列からなる合計6つの可動熱板13を有している。また各可動熱板13は、固定熱板12との間でそれぞれ対応するハンバーガーパテ11を加熱する。したがってハンバーガーパテ加熱装置10は、最大3種類かつ合計6枚のハンバーガーパテ11を同時に加熱することができる。
【0021】
このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
まず、可動熱板13と固定熱板12とをそれぞれ所定の温度に加熱する。次に、可動熱板13を固定熱板12上方の十分高い位置に配置する(図3参照)。次に、この状態でオペレーターが固定熱板12上に加熱前のハンバーガーパテ11を載置する。その後オペレーターが制御部19を操作することにより、制御部19が駆動機構14の制御を開始する。
【0022】
まず制御部19は駆動機構14へ制御信号を出力し、この制御部19からの制御信号により、駆動機構14が可動熱板13を下降させる。これにより固定熱板12と可動熱板13との間でハンバーガーパテ11が圧縮加熱される。次に、制御部19からの制御信号により、駆動機構14が可動熱板13を上昇させ、可動熱板13をハンバーガーパテ11から離し、この状態で待機する。この間ハンバーガーパテ11は固定熱板12によってのみ加熱される。その後、制御部19からの制御信号に従い、駆動機構14がこのような圧縮加熱と待機とを複数回繰り返してハンバーガーパテ11を加熱する。
【0023】
このようにしてハンバーガーパテ11が加熱された後、可動熱板13は固定熱板12上方の十分高い位置に移動する。その後オペレーターは、ハンバーガーパテ11を固定熱板12上から取り出し、次の調理工程へ移動する。なお、ハンバーガーパテ11は、一旦可動熱板13により加熱された後、他の可動熱板13下方に移動され、当該他の可動熱板13により再度加熱されても良い。
【0024】
ところで、ハンバーガーパテ11を圧縮加熱する際、上述したように、駆動機構14は、制御部19により制御され、固定熱板12と可動熱板13との距離を2段階以上に変更できるようになっている。したがって、ハンバーガーパテ11を圧縮加熱している間、予め制御部19に設定されたプログラムに従って、固定熱板12と可動熱板13との間隔を任意に変更してハンバーガーパテ11を加熱することもできる。
【0025】
なお、圧縮加熱や待機の順序は任意に設定されて良い。例えば、まず可動熱板13とハンバーガーパテ11とが離れた状態で一定時間待機し、その後、駆動機構14が可動熱板13を下降させてハンバーガーパテ11を圧縮加熱しても良い。
【0026】
このように、本実施の形態によれば、ハンバーガーパテ11を加熱する作業を自動で行なうことができ、その間オペレーターは他の作業を行なうことができるので、ハンバーガーの生産効率を向上させることができる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、制御部19により駆動機構14を制御するので、ハンバーガーパテ11の種類に応じてハンバーガーパテ11を加熱する工程を自在に変更することができる。
【0028】
さらに、本実施の形態によれば、ハンバーガパテ11を加熱する作業を自動で行なうので、オペレータが手作業で加熱する場合と異なり、人為的なミスにより手順を誤るおそれがない。
【0029】
さらにまた、本実施の形態によれば、複数の可動熱板13と、各可動熱板13を上下方向にそれぞれ移動させる駆動機構14とが設けられているので、多数のハンバーガーパテ11を同時に効率良く加熱することができる。
【0030】
なお、上述したように、ハンバーガーパテ加熱装置10は合計6つの可動熱板13を有しているが、これに限られず、ハンバーガーパテ加熱装置10は少なくとも1つの可動熱板13を有していれば良い。また被加熱食品はハンバーガーパテに限られず、両面を加熱調理される食品であれば良い。
【0031】
実施例
次に、本発明の具体的実施例を説明する。
【0032】
(実施例1)
初めに、図4(a)〜(h)を用いて実施例1について説明する。
【0033】
まず、可動熱板13を上昇させた状態で、重量Mgの大型のハンバーガーパテ(ミートパティ)11を固定熱板12上に載置した(図4(a))。
【0034】
次に、駆動機構14により可動熱板13を下降させ、可動熱板13と固定熱板12との間隔(以下クリアランスともいう)をCmmとして可動熱板13をハンバーガーパテ11に当接させた。この状態でハンバーガーパテ11を一定時間加熱した(図4(b))。
【0035】
次に、可動熱板13を更に下降させ、クリアランスをCmmとして、ハンバーガーパテ11を短時間圧縮加熱した(図4(c))。
【0036】
次に、可動熱板13を上昇させ、可動熱板13をハンバーガーパテ11から離してクリアランスをCmmとした。この状態で一定時間待機した(図4(d))。
【0037】
次に、可動熱板13を下降させ、クリアランスをCmmとして可動熱板13をハンバーガーパテ11に当接させた。この状態でハンバーガーパテ11を一定時間加熱した(図4(e))。
【0038】
次に、可動熱板13を上昇させ、可動熱板13をハンバーガーパテ11から離してクリアランスをCmmとした。この状態で一定時間待機した(図4(f))。
【0039】
次に、可動熱板13を下降させ、クリアランスをCmmとして可動熱板13をハンバーガーパテ11に当接させた。この状態でハンバーガーパテ11を短時間加熱した(図4(g))。
【0040】
最後に、可動熱板13を上昇させ、その後ハンバーガーパテ11を固定熱板12上から取り出した(図4(h))。
【0041】
これにより、手作業で同量(Mg)のハンバーガーパテ11を加熱する場合と比較して、短い時間で大型のハンバーガーパテ11を加熱することができた。また、この間オペレーターは他の作業を行なうことができ、作業を効率化することができた。
【0042】
(実施例2)
次に、図5(a)〜(g)を用いて実施例2について説明する。
まず、可動熱板13を上昇させた状態で、重量Mg(<Mg)の中型のハンバーガーパテ(ミートパティ)11を固定熱板12上に載置した(図5(a))。
【0043】
次に、駆動機構14により可動熱板13を下降させ、クリアランスをCmmとして可動熱板13をハンバーガーパテ11に当接させた。この状態でハンバーガーパテ11を一定時間加熱した(図5(b))。
【0044】
次に、可動熱板13を更に下降させ、クリアランスをCmmとして、ハンバーガーパテ11を短時間圧縮加熱した(図5(c))。
【0045】
次に、可動熱板13を上昇させ、可動熱板13をハンバーガーパテ11から離してクリアランスをCmmとした。この状態で一定時間待機した(図5(d))。
【0046】
次に、可動熱板13を下降させ、クリアランスをCmmとして可動熱板13をハンバーガーパテ11に当接させた。この状態でハンバーガーパテ11を一定時間加熱した(図5(e))。
【0047】
次に、可動熱板13を上昇させ、可動熱板13をハンバーガーパテ11から離してクリアランスをCmmとした。この状態で一定時間待機した(図5(f))。
【0048】
最後に、可動熱板13を上昇させ、その後ハンバーガーパテ11を固定熱板12上から取り出した(図5(h))。
【0049】
これにより、手作業で同量(Mg)のハンバーガーパテ11を加熱する場合と比較して、短い時間で中型のハンバーガーパテ11を加熱することができた。また、この間オペレーターは他の作業を行なうことができ、作業を効率化することができた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による食品加熱装置の一実施の形態を示す正面図。
【図2】本発明による食品加熱装置の一実施の形態を示す上面図。
【図3】本発明による食品加熱装置の一実施の形態を示す側面図。
【図4】本発明の実施例1を示す図。
【図5】本発明の実施例2を示す図。
【符号の説明】
【0051】
10 ハンバーガーパテ加熱装置(食品加熱装置)
11 ハンバーガーパテ(被加熱食品)
12 固定熱板
13 可動熱板
14 駆動機構
15 フレーム
16 アーム
17 LMガイドアクチュエータ
18 ステッピングモータ
19 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱食品が載置される固定熱板と、
固定熱板との間で被加熱食品を加熱するとともに、上下方向移動可能に配置された可動熱板と、
可動熱板を上下方向に移動させる駆動機構と、を備え、
駆動機構は、固定熱板と可動熱板とにより被加熱食品を圧縮加熱し、その後可動熱板を上昇させて被加熱食品から離れて待機するよう制御部により制御されることを特徴とする食品加熱装置。
【請求項2】
駆動機構は制御部により制御されて、圧縮加熱と待機とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の食品加熱装置。
【請求項3】
駆動機構は制御部により制御されて、被加熱食品を圧縮加熱する際、固定熱板と可動熱板との間の距離を2段階以上変更させることを特徴とする請求項1または2に記載の食品加熱装置。
【請求項4】
固定熱板との間で被加熱食品を加熱するとともに、上下方向移動可能に配置された追加の可動熱板と、制御部により制御され追加の可動熱板を上下方向に移動させる追加の駆動機構と、を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の食品加熱装置。
【請求項5】
前記被加熱食品は、ハンバーガーパテからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の食品加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−142129(P2008−142129A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329583(P2006−329583)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(591186176)株式会社ゼンショー (16)
【Fターム(参考)】