説明

食品原料の製造方法

【課題】 本発明は残渣茶葉を食品原料に加工して有効利用を図るとともに、茶葉に含まれている不溶性食物繊維を効率よく取り出し、これを食品中に加えることにより、食品の脂質の吸収を抑制し、胃や腸の働きを良くし、生活習慣病の改善やダイエット効果が得られる食品原料の製造方法を得るにある。
【解決手段】 茶葉に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出する抽出工程と、この抽出工程を経た残渣茶葉を水分量が7パーセント以下になるように乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程で乾燥された残渣茶葉を粉砕して不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料に加工する加工工程とで食品原料の製造方法を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主にお茶の製造時に発生する残渣茶葉より不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料を製造する食品原料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、お茶の製造時に発生する残渣茶葉は食品廃棄物として廃棄物業者に渡り、埋め立て処分か焼却処分されていた。このため、処分費用がかかり、コスト高になるという欠点があった。
また、最近は農家等の作物生産方法に有機栽培が採り入れられるようになり、残渣茶葉を堆肥原料や家畜の飼料として使用されるようになってきているが、この使用量はごく一部で、十分な残渣茶葉の有効利用が図られていないのが現状である。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、残渣茶葉を食品原料に加工して有効利用を図るとともに、茶葉に含まれている不溶性食物繊維を効率よく取り出し、これを食品中に加えることにより、食品の脂質の吸収を抑制し、胃や腸の働きを良くし、生活習慣病の改善やダイエット効果が得られる食品原料の製造方法を提供することを目的としている。
【0004】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は茶葉に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出する抽出工程と、この抽出工程を経た残渣茶葉を水分量が7パーセント以下になるように乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程で乾燥された残渣茶葉を粉砕して不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料に加工する加工工程とで食品原料の製造方法を構成している。
【0006】
本発明は茶葉に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出する抽出工程と、この抽出工程を経た濡れたままの残渣茶葉に酵母や乳酸菌等の有用微生物培養液を加えて醗酵させる醗酵処理工程と、この発酵処理工程を経た後、所定量の水を加えて粉砕する粉砕工程と、この粉砕工程後に水溶性の食物繊維を含む液と不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料とに分別する分別処理工程とで食品原料の製造方法を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)茶葉に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出する抽出工程と、この抽出工程を経た残渣茶葉を水分量が7パーセント以下になるように乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程で乾燥された残渣茶葉を粉砕して不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料に加工する加工工程とからなるので、お茶を製造した残渣茶葉を用いると、乾燥と粉砕して、不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料に加工する作業でよく、製造が容易で、安価に製造することができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、茶葉に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出した残渣茶葉を使用するので、カテキンやテアニン等の成分が非常に少ない状態となるため、どんな食品に加えても、食品の味に悪影響を与えることなく使用することができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料になるので、食品に加えて使用することにより、食品の脂質の吸収を抑制し、胃や腸の働きを良くし、生活習慣病の改善やダイエット効果が得られる。
【0011】
(4)請求項2、3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、醗酵処理工程で使用する有用微生物培養液で旨味成分を含む不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料にできるとともに、旨味成分と水溶性食物繊維を含む液状の食品原料にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態より、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図5に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は本発明の不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料2と、旨味成分と水溶性食物繊維を含む液状の食品原料3を製造する食品原料の製造方法で、この食品原料の製造方法1は緑茶、紅茶、ウーロン茶に加工された茶葉4に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出する抽出工程5と、この抽出工程5を経た濡れたままの残渣茶葉6に酵母や乳酸菌等の有用微生物培養液7を加えて醗酵させる醗酵処理工程8と、この醗酵処理工程8を経た残渣茶葉6Aに所定量の水9を加えて粉砕する粉砕工程10と、この粉砕工程10後に残渣茶葉100グラム中6〜7グラムの水溶性の食物繊維と旨味成分を含む液状の食品原料3と、残渣茶葉100グラム中37〜55グラムの不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料2とに分別する分別処理工程11とで構成されている。
【0014】
前記抽出工程5は図2に示すように、緑茶や紅茶、ウーロン茶等の製造で行なうのが経済的で効率がよいが、これに限ることなく、生茶から直接カテキンやテアニン等の成分を抽出したものを用いてもよい。
【0015】
前記醗酵処理工程8は図3に示すようにタンク12に、例えば2トンの残渣茶葉6を入れるとともに、500リットルの有用微生物培養液7を加えて攪拌した後、2日に1回程度の攪拌を行ない、水分が表面からなくなった状態で醗酵処理が完了となる。
【0016】
前記粉砕工程10は図4に示すように、醗酵処理された残渣茶葉6Aをミキサー13に水9とともに入れ、数ミリメートル〜数100ミクロンの大きさに粉砕する。
【0017】
前記分別処理工程11は図5に示すように、前記粉砕工程10で粉砕されたものを遠心分離機等の分離機14にかけ、旨味成分が加えられた水溶性の食物繊維を含む液状の食品原料3と、不溶性の食物繊維を多量に含む粉状物2Aとに分離した後、粉状物2Aは乾燥機15で乾燥して、乾燥した粉状の食品原料2に加工される。
【0018】
このような方法で製造された旨味成分と水溶性の食物繊維を含む液状の食品原料3は、水を使用する食品加工時の水代わりに使用したり、飲料に加えて使用することにより、これらを食したり、飲用することにより、酵母や乳酸菌等の有用微生物と水溶性食物繊維の作用で胆汁酸の排泄を促進するとともに、血中コレステロールの上昇抑制効果が得られる。
また、粉状の食品原料2は揚げ物のコロモ、卵料理、お菓子、パン、ピザ、麺類、乳製品、味噌やドレッシング等に混ぜて使用することにより、不溶性食物繊維の作用で排泄促進作用、胃腸内容物の移動促進(便秘解消)、腸内で脂質吸収抑制効果(肥満解消)、生活習慣病の予防因子等の効果が得られる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0019】
次に、図6ないし図10に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
図6および図7に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、醗酵処理工程8を経た醗酵処理された残渣茶葉6Aを粉砕する粉砕工程10Aを行ない、酵母や乳酸菌等の有用微生物、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維を含む食品原料16に加工した点で、このような食品原料の製造方法1Aで製造された食品原料16は、主に乳製品や調味料に使用することができる。
【0021】
図8ないし図10に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、抽出工程5後に残渣茶葉6の水分量が7パーセント以下になるように乾燥機15を用いて乾燥させる乾燥工程17を行ない、しかる後、乾燥された残渣茶葉6Bを粉砕して不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料2に加工する加工工程18を行なった点で、このような食品原料の製造方法1Bで製造された粉状の食品原料2も、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料を製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の工程図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態の抽出工程の説明図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の醗酵処理工程の説明図。
【図4】本発明を実施するための最良の第1の形態の粉砕工程の説明図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の分別処理工程の説明図。
【図6】本発明を実施するための第2の形態の工程図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の粉砕工程の説明図。
【図8】本発明を実施するための第3の形態の工程図。
【図9】本発明を実施するための第3の形態の乾燥工程の説明図。
【図10】本発明を実施するための第3の形態の加工工程の説明図。
【符号の説明】
【0024】
1、1A、1B:食品原料の製造方法、
2:粉状の食品原料、 3:液状の食品原料、
4:茶葉、 5:抽出工程、
6、6A、6B:残渣茶葉、 7:有用微生物培養液、
8:醗酵処理工程、 9:水、
10、10A:粉砕工程、 11:分別処理工程、
12:タンク、 13:ミキサー、
14:分離機、 15:乾燥機、
16:食品原料、 17:乾燥工程、
18: 加工工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出する抽出工程と、この抽出工程を経た残渣茶葉を水分量が7パーセント以下になるように乾燥させる乾燥工程と、この乾燥工程で乾燥された残渣茶葉を粉砕して不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料に加工する加工工程とを含むことを特徴とする食品原料の製造方法。
【請求項2】
茶葉に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出する抽出工程と、この抽出工程を経た濡れたままの残渣茶葉に酵母や乳酸菌等の有用微生物培養液を加えて醗酵させる醗酵処理工程と、この発酵処理工程を経た後、所定量の水を加えて粉砕する粉砕工程と、この粉砕工程後に水溶性の食物繊維を含む液と不溶性食物繊維を多量に含む粉状の食品原料とに分別する分別処理工程とを含むことを特徴とする食品原料の製造方法。
【請求項3】
茶葉に含まれているカテキンやテアニン等の成分を抽出する抽出工程と、この抽出工程を経た濡れたままの残渣茶葉に酵母や乳酸菌等の有用微生物培養液を加えて醗酵させる醗酵処理工程と、この発酵処理工程を経た後、粉砕
して酵母や乳酸菌等の有用微生物、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維を含む食品原料に加工する粉砕工程とを含むことを特徴とする食品原料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−204149(P2006−204149A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18792(P2005−18792)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000217620)
【Fターム(参考)】