説明

食品廃棄物のリサイクル方法

【課題】食品廃棄物の回収を容易にし、食品廃棄物を再利用して廃棄物の減量化に貢献できる食品廃棄物のリサイクル方法を提供する。
【解決手段】生ごみ1が発生した飲食店4において、生ごみ1にボカシ肥用種菌7を加えて発酵させ、ボカシ肥3を生成する。農業法人6が、飲食店4において生成されたボカシ肥3をトラック等にて回収し、回収したボカシ肥3に乳酸菌2と放線菌5を加えて発酵させると二次発酵物が得られ、二次発酵物はボカシ肥用種菌7、発酵促進材8、土壌改良材10、そして約3ヶ月放置して有機肥料11として利用される。ボカシ肥用種菌7は袋詰めされて飲食店4に搬入され、飲食店4において生ごみ1と混ぜ合わされて、ボカシ肥3を生成するために利用される。発酵促進材8は家畜糞尿9と混ぜ合わされ、そして約4〜6ヶ月放置しておくことで堆肥12を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品廃棄物のリサイクル方法に関する。詳しくは、食品廃棄物を回収して再利用する食品廃棄物のリサイクル方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
焼却場は、地球温暖化及びダイオキシン汚染の原因であり、その中で、可燃ごみとされる食品廃棄物(生ごみ)は、焼却容器内で腐敗が進み、悪臭やウジの発生等により住民の生活環境を不快なものとする。また、食品廃棄物は、焼却するために新たな重油を必要とするので石油資源の消費となり、ごみそのものの熱量以上に重油の熱量も発生させる。
そこで、食品廃棄物の脱焼却化を目指し、リサイクル化する様々な技術が提案されており、例えば特許文献1には、生ごみが排出される各施設(又は店舗)を巡回し、生ごみを回収すると同時に、生ごみペーストと生ごみ残渣(例えば、ビニール、プラスチック、割り箸、キャップ、その他の異物)とに分別処理して回収する方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−310302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生ごみは一般廃棄物であり、その回収を行なうには自治体の許可が必要であるため、従来の方法では自治体が許可した回収業者しか生ごみを回収することができず、充分な回収が望めなかった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、食品廃棄物の回収を容易にし、食品廃棄物を再利用して廃棄物の減量化に貢献できる食品廃棄物のリサイクル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の食品廃棄物のリサイクル方法は、食品廃棄物を回収して再利用する食品廃棄物のリサイクル方法において、食品廃棄物が発生する廃棄物発生場所で食品廃棄物を発酵して一次発酵物を得る第1の発酵工程と、該一次発酵物を回収し、前記一次発酵物を更に発酵して二次発酵物を得る第2の発酵工程とを有する。
【0007】
ここで、廃棄物発生場所で食品廃棄物を発酵して一次発酵物を得る第1の発酵工程によって、食品廃棄物が一般廃棄物として取り扱われなくなり、幅広く食品廃棄物を回収でき、また、廃棄物発生場所において発生した食品廃棄物がその場で発酵されることになり、食品廃棄物の腐敗と腐敗による悪臭等の発生を抑制できる。また、第1の発酵工程によって、食品廃棄物の腐敗が抑制されるので食品廃棄物の発酵を効率よく確実に行なうことができる。
【0008】
また、本発明の食品廃棄物のリサイクル方法において、廃棄物発生場所で、二次発酵物と食品廃棄物とを混ぜる場合、温度が上がって発酵を促進させることができ、短期間で良質の一次発酵物を得ることができる。
【0009】
また、本発明の食品廃棄物のリサイクル方法において、二次発酵物と糞尿とを混ぜて堆肥を生成する場合、温度が上がって発酵を促進させることができ、短期間で良質の堆肥を生成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る食品廃棄物のリサイクル方法は、食品廃棄物の回収を容易にし、食品廃棄物を再利用して廃棄物の減量化に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した食品廃棄物のリサイクル方法の流れを示す概略図である。図1に示すように、生ごみ1(食品廃棄物)が発生した飲食店4(廃棄物発生場所の一例である。)において、生ごみ1にボカシ肥用種菌7を加えて発酵させ、ボカシ肥3(一次発酵物の一例である。)を生成する。
【0012】
そして、農業法人6が、飲食店4において生成されたボカシ肥3をトラック等にて回収し、回収したボカシ肥3に乳酸菌2と放線菌5を加えて発酵させると二次発酵物が得られ、二次発酵物はボカシ肥用種菌7、発酵促進材8、土壌改良材10、そして約3ヶ月放置して有機肥料11として利用される。
また、ボカシ肥用種菌7は袋詰めされて飲食店4に搬入され、飲食店4において生ごみ1と混ぜ合わされて、ボカシ肥3を生成するために利用される。
また、発酵促進材8は家畜糞尿9と混ぜ合わされ、そして約4〜6ヶ月放置しておくことで堆肥12を生成する。
【0013】
次に、得られた堆肥の利用について説明する。得られた堆肥12は、農業生産法人等において使用され、野菜等が生産される。ここで生産された有機野菜等は集荷され、流通業者等を通して再び食材として飲食店4等に販売される。また、堆肥12は、飲食店4等に野菜等を納入する農家においても使用される。
【0014】
ここで、食品廃棄物が発生する場所において食品廃棄物を発酵できるのであれば、必ずしも二次発酵物を使用する必要はなく、乳酸菌や放線菌等を使用してもよく、また、一次発酵物を更に発酵できるのであれば必ずしも乳酸菌や放線菌を使用しなくてもよい。また、二次発酵物をボカシ肥用種菌7、発酵促進材8、土壌改良材10、そして約3ヶ月放置して有機肥料11として利用しているが、必ずしも二次発酵物をこれら用途に利用しなくてもよい。
【0015】
このように、本発明を適用した食品廃棄物のリサイクル方法は、廃棄物発生場所で食品廃棄物を発酵して一次発酵物を得る第1の発酵工程によって、食品廃棄物が一般廃棄物として取り扱われなくなり、幅広く食品廃棄物を回収できるので、食品廃棄物の回収を容易にし、第2の発酵工程によって回収した一次発酵物を更に発酵して二次発酵物を生成するので、食品廃棄物を再利用して廃棄物の減量化に貢献でき、また、食品廃棄物の焼却を必要としないので二酸化炭素排出量の軽減にも貢献できる。
【0016】
また、第1の発酵工程によって、食品廃棄物が、発生したその場で発酵されることになり、食品廃棄物の腐敗と腐敗による悪臭等の発生を抑制でき、食品廃棄物の腐敗が抑制されるので食品廃棄物の発酵を効率よく確実に行なうことができる。
【0017】
また、廃棄物発生場所で、二次発酵物と食品廃棄物とを混ぜるので、温度が上がって発酵を促進させることができ、短期間で良質の一次発酵物を得ることができる。
【0018】
また、二次発酵物と糞尿とを混ぜて堆肥を生成するので、温度が上がって発酵を促進させることができ、短期間で良質の堆肥を生成できる。そのため、早期に堆肥を出荷できると共に、家畜糞尿を野積みにしておく機会が低減され、糞尿の土壌への浸透も抑制されて環境汚染防止に貢献できる。
【0019】
また、二次発酵物は、食品廃棄物に混ぜたり糞尿に混ぜたりというようにその用途が多岐にわたるので、余剰することがほとんどなく、生ごみのリサイクルが促進される。
【0020】
また、品質のよい堆肥が得られるので、このような堆肥を利用して品質のよい野菜等を生産できると共に、生産性も向上し野菜等をより安価に生産できて、リサイクル意識も高まる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した食品廃棄物のリサイクル方法の流れを示す概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1 生ごみ
2 乳酸菌
3 ボカシ肥
4 飲食店
5 放線菌
6 農業法人
7 ボカシ肥用種菌
8 発酵促進材
9 家畜糞尿
10 土壌改良材
11 有機肥料
12 堆肥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品廃棄物を回収して再利用する食品廃棄物のリサイクル方法において、
食品廃棄物が発生する廃棄物発生場所で食品廃棄物を発酵して一次発酵物を得る第1の発酵工程と、
該一次発酵物を回収し、前記一次発酵物を更に発酵して二次発酵物を得る第2の発酵工程とを有する
ことを特徴とする食品廃棄物のリサイクル方法。
【請求項2】
前記廃棄物発生場所で、前記二次発酵物と前記食品廃棄物とを混ぜる
請求項1に記載の食品廃棄物のリサイクル方法。
【請求項3】
前記二次発酵物と糞尿とを混ぜて堆肥を生成する
請求項1または請求項2に記載の食品廃棄物のリサイクル方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−289879(P2007−289879A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121747(P2006−121747)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(506144835)農業法人株式会社JOS−Knot (1)
【Fターム(参考)】