説明

食品構造体

【課題】災害時やレジャー等において手間がかかることなく衛生的に食することができる食品を提供する。
【解決手段】水分4を吸収することで復元して可食状態となる食材料2と、食材料2を内部に納める収納体3と、水分4を内部に納める水分収納体5とを備えてなる食品構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は災害時には非常食として、レジャー時等には携帯食として用いられる食品構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な災害時にはガス、電気、さらには、水道が止まり、その際には非常食が必要となる。このような非常食として、例えば、現在アルファ米と呼ばれるご飯粒を乾燥したものがあり、これは湯や水をかけるだけで復元して食することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のようなアルファ米が用意されている場合であっても、多量にまとめて復元した場合には食べる際に容器それぞれに分ける必要があり、また、多量にまとめて復元するのは全体への水分の吸収が不均衡となって良好なご飯が得られない問題がある。これに対して容器それぞれに少しづつアルファ米を分けていれて復元するのは、多数の容器が必要となるとともに、非常に手間がかかる問題があった。さらに、上記の場合はともに清潔な容器を使用することが肝要となるが、災害時等に清潔な容器を多数用意することは困難性を伴った。
【0004】
この発明は、災害時の非常食として、また、レジャー時等の携帯食として手間がかかることなく衛生的に食することができる食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明では、水分を吸収することで復元して可食状態となる食材料と、前記食材料を内部に納める収納体と、前記水分を内部に納める水分収納体とを備えてなることを特徴とする食品構造体を提供する。請求項2の発明では、水分を吸収することで復元して可食状態となる食材料と、前記食材料を内部に納めるとともに前記水分の注入用開口を備える収納体とを備えてなることを特徴とする食品構造体を提供する。
【0006】
上記請求項1の発明の構成によれば、水分収納体内の水分により食材料の復元が行なわれて可食状態となる。請求項2の発明の構成によれば注入用開口から注入される水分により食材料の復元が行なわれて可食状態となる。食材料としては復元して可食状態となるものであれば適宜のものが選択使用でき、水分としても水、湯の他に食材料に対応してだし汁等適宜のものを選択使用できる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、請求項2の発明によれば、食材料に水分を与えるだけで収納体内の食材料が可食状態となってそのまま食することができ、食べる際の容器の用意、容器への食材料の分配の手間等が省けるとともに、衛生的である点において、この食品構造体は災害時の非常食として、また、レジャー時等の携帯食としてきわめて好適に使用できる。
【0008】
とくに、請求項1の発明によれば、食材料の復元用の水分も備えているので、その使用に際して別途水分を用意する手間が省けるとともに、水の無いような環境においても支障なく使用でき、さらに、衛生的にもより優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はこの発明(請求項1の発明)の食品構造体の外観斜視図、図2は同断面図である。食品構造体1は食材料であるアルファ米2が収納体であるケース3内下部に納められるとともに、ケース3内上部にはアルファ米2上に載置されるようにして水分収納体である内部に水4が納められた袋体5が納められている。
【0010】
前記ケース3は全体が半透明のプラスチックス製で上側部6と下側部7とからなり、上側部6と下側部7とは背部側の連結部(図に表れない)で一体に連結され、上側部6の中央位置にはシール8より覆われる穴9が設けられ、その近傍側位置にはテープ15により楊枝16が貼り付けられている。袋体5はその周縁部10がケース3の上側部6の周縁部11にヒートシールにより一体に取り付けられ、さらに、上側部6の周縁部11と下側部7の周縁部12とがヒートシールにより一体に固定されることでケース3は閉じられている。上側部6の周縁部11と下側部7の周縁部12とのヒートシールは、周縁部11、12に形成された突片13それぞれを持って両側に拡開することで剥れる程度の固着強度を持つように行なわれている。
【0011】
上記ケース3のプラスチックス材料としてはポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、さらには、生分解樹脂等が用いられ、袋体5としてはポリエチレン製袋等が用いられる。また、この食品構造体1が一人用である場合には、45g程度のアルファ米2に対して70〜80cc程度の水4が用いられ、アルファ米2、水4がともに密封状態に保たれることで、この食品構造体1は5年間程度の保管使用が可能である。
【0012】
以下、食品構造体1の使用について説明する。食品構造体1は衛生処理された袋内に納められた状態で販売され、取り扱われる。まず、その袋内から食品構造体1を取り出し、テープ15を剥して取り出した楊枝16を、図3に示すように、ケース3の上側部6のシール8を剥すことで開いた穴9から差し込んで袋体5に上下方向に突き刺して抜く。これにより、袋体5には上下の相対する位置に穴17、18それぞれが形成され、下側の穴18から水4がアルファ米2側に漏れ出し、その水4を吸収することで、図4に示すように、アルファ米2はケース3内において膨らみ復元される。
【0013】
その際、袋体5の上側の穴17は空気抜き穴として機能することで下側の穴18から水の漏れ出しが促進されるとともに、徐々に膨らんでいくアルファ米2に袋体5の下面が押圧されることでも水4の漏れ出しが促進される。また、ケース3を少し振ることで水4がアルファ米2全体に均一に行き渡るようになる。
【0014】
そして、30〜40分経過後にアルファ米2の復元は完了し、そのままケース3を開くことで「ご飯」を食することができ、また、開く前にケース3を振り、ころがすことで内部の「ご飯」を固めて「おにぎり」として食することもできる。
【0015】
図5は上記実施形態の変形例を示し、このものではケース3の上側部6が用いられず上部に袋体5が露出している。袋体5はその上面側が厚いプラスチックスシートで形成されることで補強され、周縁部10が下側部7の周縁部12上にヒートシールされることで取り付けられている。また、楊枝16は下側部7の底面側に取り付けられ(図に現れない)、その楊枝16を差し込む穴9は下側部7の周縁部12の少し下部に2箇所設けられている。そして、穴9それぞれから楊枝16が差し込まれて袋体5の下側に穴があけられ、袋体5内の水4がアルファ米2内に漏れ出すことで上記の実施形態のものと同様にアルファ米2が可食状態に復元される。
【0016】
図6はこの発明(請求項2の発明)の実施形態の外観斜視図であり、ケース3は図1に示す実施形態のものとその基本構成は同様である。この実施形態のものではケース3内にはアルファ米2のみが納められ、その復元のための水は外部から供給されるようになっている。ケース3の上側部6の一部に切り込み線20が設けられ、その位置はシール21により覆われている。使用に際しては、図7に示すように、そのシール21が剥されて切り込み線20で囲まれる部分23が箸22等で押し込まれることでそこに水分の注入用開口24が形成され、この注入用開口24から水もしくは湯が注入される。注入用開口24はその下縁位置24aまで水や湯を入れることでその量がアルファ米2の復元に好適な量となるようにその位置が配置設計されている。湯を用いた場合には20分程度でアルファ米2の復元が完了する。その途中においてケース3を上下逆とすることでアルファ米の均一な状態の復元が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の食品構造体の実施形態の外観斜視図
【図2】 この発明の食品構造体の実施形態の断面図
【図3】 この発明の食品構造体の実施形態の使用時の断面図
【図4】 この発明の食品構造体の実施形態の使用時の断面図
【図5】 この発明の食品構造体の実施形態の変形例の断面図
【図6】 この発明の食品構造体の他の実施形態の斜視図
【図7】 この発明の食品構造体の他の実施形態の使用時の斜視図
【符号の説明】
1 食品構造体
2 アルファ米(食材料)
3 ケース(収納体)
4 水(水分)
5 袋体(水分収納体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を吸収することで復元して可食状態となる食材料と、
前記食材料を内部に納める収納体と、
前記水分を内部に納める水分収納体と、
を備えてなることを特徴とする食品構造体。
【請求項2】
水分を吸収することで復元して可食状態となる食材料と、
前記食材料を内部に納めるとともに前記水分の注入用開口を備える収納体と、
を備えてなることを特徴とする食品構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−109822(P2006−109822A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328219(P2004−328219)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(394010540)株式会社ユニックス (11)
【Fターム(参考)】