説明

食品添加物の製造方法

【課題】 ミネラル不足によって、種々の欠乏症やその他の重大な病気の可能性がある。例えば、免疫力の低下である。免疫力は、外敵を撃退する能力でありそこに種々の酵素が作用しているものを考えられている。この酵素には、通常ミネラル(金属元素)が必要である。よって、ミネラルが不足すると種々の酵素ができない場合があるのである。このため、清涼飲料においても、ミネラル追加やミネラル補給用等とうたっているものが市販されてきている。単に金属の塩を追加しただけでは、ミネラルの種類が少ないため、総合的なものが望まれている。
【解決手段】 バーミキュライトに対し、バーミキュライトに含まれる金属原子の当量以上に食品添加物用の硫酸を添加し、フィルターによって、固形分を除去したものに、アルカリを添加し中和し、不溶物があれば除去するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品添加物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品添加物は、種々の食品に添加されて、種々の効果を付加するものである。なかでも清涼飲料に添加するものとしては、種々のミネラルを添加するものが多い。
【0003】
現代社会の食生活では、数十年以前と比較すると、非常なミネラル不足と言って過言ではない。野菜はほとんどが化学肥料によって育成されているため、野菜自体にミネラルが少ないのである。極端なものになると、50年前の同じ野菜の5分の1程度のミネラルしか含まれていない。
【0004】
このようなミネラル不足によって、種々の欠乏症やその他の重大な病気の可能性がある。例えば、免疫力の低下である。免疫力は、外敵を撃退する能力でありそこに種々の酵素が作用しているものと考えられている。この酵素には、通常ミネラル(金属元素)が必要である。
【0005】
よって、ミネラルが不足すると種々の酵素ができない場合があるのである。
【0006】
このため、清涼飲料においても、ミネラル追加やミネラル補給用等とうたっているものが市販されてきている。
単に金属の塩を追加しただけでは、ミネラルの種類が少ないため、総合的なものが望まれている。
【0007】
特許文献1では、ミネラル含有物質として石灰岩、コーラルサンド等が挙げられている。電気分解によって生成した酸性水によって、このミネラル分を溶解しミネラルウォーターを製造している。
【0008】
しかし、この方法では、ミネラルの成分自体にはあまり注意されていない。また、その酸の残存程度も考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−29286
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、非常に多くのミネラルを含有し、食品添加物基準を満たす、食品添加物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような現状に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明食品添加物の製造方法を完成したものであり、その特徴とするところは、バーミキュライトに対し、バーミキュライトに含まれる金属原子の当量以上に食品添加物用の硫酸を添加し、フィルターによって、固形分を除去したものに、アルカリを添加し中和し、不溶物があれば除去する点にある。
【0012】
ここでバーミキュライトとは、蛭石を高温(700℃以上)で焼成し膨張させた後洗浄したものをいう。蛭石は、含水ケイ酸塩鉱物であり、産地によってわずかに構造の異なるものもあるが、本発明ではどれでも使用可能である。
焼成温度は700℃以上であるが、1000℃以上がより好ましい。高温で焼成した方が、後の工程での溶解等がより容易になるためである。
【0013】
これに、食品添加物用硫酸を加える。食品添加物用硫酸は、一定の基準を満たしたものであり、食品に添加することが許されるものである。しかしながら、食品添加物として使用する場合には、全量除去されているか、全量中和されている必要がある。
この食品添加物用硫酸は、市販されているものでよく特別な物である必要はない。使用する硫酸の濃度は自由であるが、清浄水で希釈した25重量%程度の水溶液が使いやすい。
【0014】
この硫酸の添加量は、バーミキュライトに含まれる金属原子の当量以上の量である。これは、硫酸に溶解するものをすべて溶解するためである。即ち、金属原子等を硫酸塩として溶解するのである。
少々硫酸が多くても後の工程で中和するため問題はない。経験からして、25重量%の希硫酸では、バーミキュライトと同重量混合すれば、わずかに過剰になることが分かっている。
【0015】
フィルターによって固形分を除去する。ゴミや灰分その他、硫酸に溶解しないものを除去するものである。目の粗いフィルターによって濾過した後、更にフィルタープレス機に細かいものを除去するのがよい。
この段階でほぼ完全に溶液になる。
【0016】
ついで、アルカリを添加する。アルカリとしては、食品添加物用のアルカリであり、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がある。硫酸塩を析出し除去できるため水酸化カルシウムが好ましい。勿論、析出して除去しなくても中和されているため、食品添加物としての要件には問題はない。固形分が析出した場合には、再度フィルターで濾過し固形分を除去する。
これで完成である。
【0017】
アルカリを添加して余分な硫酸基を中和する場合のアルカリの添加量について説明する。
理論的には、原料バーミキュライトを分析し、その金属の当量を計算し、加えた硫酸の当量を計算し、過剰の硫酸の当量分だけアルカリを加えればよい。
しかし、このような方法は手間が掛かるため、簡単な方法を説明する。
硫酸過剰な液体に、水酸化カルシウムを添加すると、過剰硫酸はカルシウムと反応し水にほとんど溶解しない硫酸カルシウムになり沈殿する。このため、液中の過剰硫酸は減少する。そして、過剰硫酸がすべて硫酸カルシウムになると、それ以上に水酸化カルシウムを添加すると、バーミキュライトの硫酸塩となっているミネラルが水酸化物となり沈殿する。通常硫酸塩よりも水酸化物の方が水に対する溶解度が小さいためである。
【0018】
この現象を利用し、特定の金属の濃度を測定し、それが一定以上減少したときに中和が完了としてもよい。特定の金属としては鉄が好適であり、一定以上とは、10%や20%とするのが好適である。
本出願の請求項1でいう中和工程は、過剰硫酸を中和することであり、それ以上にアルカリを加えてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明には、次のような大きな利点がある。
(1) 蛭石を高温で焼成しているため、雑菌その他の心配はまったくない。
(2) 過剰硫酸はすべて中和又は除去されているため食品添加物として問題はない。
(3) さらに、硫酸やアルカリも食品添加物用を用いているため、食品添加物としての要件を満たすものである。
(4) バーミキュライトをそのまま使用しているため、非常に多くのミネラル分(金属原子)が含まれている。
(5) ミネラル分の含有割合が、人体が必要とする割合に比較的近いため、そのままの、即ち、成分調整する必要なく、単に希釈する又は添加するだけで食することができる。
(6) 本発明により製造された食品添加物は、どのようなものにも添加できるが、清涼飲料として使用するのが最も簡単である。
【実施例1】
【0020】
以下実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
まず、原料として、福島県田村郡小野町大字谷津作地内の採石所から採石した蛭石を用いた。
この蛭石を1000℃で焼成した。篩い分けし、大きなものを除いた。これがバーミキュライトである。
【0021】
このバーミキュライト2.5トンを抽出槽に入れ、洗浄のため洗浄水を加え、攪拌した後排水した。この洗浄工程は1度でも複数回でもよい。
次に、ここに25重量%の食品添加物用硫酸を2.5トン加えた。この状態で約10時間放置した。攪拌したり、加熱(60℃以上に)してもよい。
【0022】
硫酸に溶解するものが十分溶解したと考えられれば、フィルターによって固形分を除去する。とくにフィルタープレスのようなもので濾過するのが好適である。この例では、この時点でのpHは、約0.3程度であった。
【0023】
この状態では、過剰(余剰)の硫酸が存在する。よって、中和を行なう。
中和に先だって鉄イオン濃度を測定しておく。この例では、8060mg/Lであった。
ここに食品添加物用水酸化カルシウムを徐々に加えていく。そして、再度鉄イオン濃度を測定し、最初の濃度から10%減少した時を中和完了とした。この時のpHは2.7であった。
【0024】
この例の含有成分は次の通りであった。
イオウ :32110mg/L(溶解している硫酸塩として)
鉄 : 8060mg/L
アルミニウム :10470mg/L
リン : 270mg/L
カルシウム : 850mg/L
チタン : 700mg/L
マンガン : 200mg/L
マグネシウム : 4330mg/L
ナトリウム : 54mg/L
カリウム : 1880mg/L
バナジウム : 5.5mg/L
ケイ素 : 18mg/L
銅 : 3.3mg/L
バリウム : 0.1mg/L
リチウム : 3.6mg/L
クロム : 3.8mg/L
コバルト : 2.6mg/L
ニッケル : 1.7mg/L
亜鉛 : 10mg/L
ストロンチウム: 0.1mg/L
イットリウム : 0.9mg/L
ジルコニウム : 0.3mg/L
【0025】
このように多種のミネラルが含有されている。
この溶液を食品添加物として、飲料に使用する場合、これを100倍に希釈する等でよい。勿論、他の飲料に添加する方法でもよい。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーミキュライトに対し、バーミキュライトに含まれる金属原子の当量以上に食品添加物用の硫酸を添加し、フィルターによって、固形分を除去したものに、アルカリを添加し中和し、不溶物があれば除去することを特徴とする食品添加物の製造方法。
【請求項2】
該中和は、中和塩が水に不溶又はほとんど不溶になるアルカリを使用するものである請求項1記載の食品添加物の製造方法。
【請求項3】
該中和は、中和工程前の特定金属濃度を測定しておき、その金属濃度が一定以下になったときに完了とするものである請求項1又は2記載の食品添加物の製造方法。



【公開番号】特開2011−41542(P2011−41542A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193085(P2009−193085)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(506228733)株式会社シマニシ科研 (1)
【Fターム(参考)】