説明

食品用焼き型

【課題】 使用前、使用後の保管や取り扱いが容易になされ、かつ、ケーキ等を食する際の取り外しが容易に行える使い捨てタイプの食品用焼き型、さらには、容易に製作でき焼き性能に優れる使い捨てタイプの食品用焼き型を提供する。
【解決手段】帯状の周壁部用プレート5の両端が互いに係止され環状に構成される周壁部2の下部に、底部用プレート15が組み付けられ底部3が形成され構成されてなることを特徴とする食品用焼き型、および、環状の周壁部2の下部に底部3が装着されて構成される食品用焼き型において、周壁部2の下縁の一部が内方に変位配置されて脚部10とされ、底部3が脚部10上に位置するように設けられてなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーキやパン等を焼く際に用いる使い捨てタイプの食品用焼き型に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、家庭においてもケーキやパン等をオーブンで焼くことが行われ、その際には厚紙等よりなる使い捨てタイプの焼型が広く使用されている。この焼き型は、例えば環状の周壁部下部に円形の底部が接着剤により固着されて形成されている。この種の使い捨ての焼き型の場合、各種形態の焼き型を選択使用することで所望の形態のケーキやパンが得られ、使用後の焼き型の洗浄の手間が省け、また、焼いた後ケーキやパンを型に入れたまま保管できるとともに持ち運べる利便性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明では、使用前、使用後の保管や取り扱いが容易になされ、かつ、ケーキ等を食する際の取り外しが容易に行える使い捨てタイプの食品用焼き型、さらには、容易に製作でき焼き性能に優れる使い捨てタイプの食品用焼き型を提供することを目的とする。
【課題の解決手段】
【0004】
請求項1の発明では、帯状の周壁部用プレートの両端が互いに係止され環状に構成される周壁部の下部に、底部用プレートが組み付けられ底部が形成され構成されてなることを特徴とする食品用焼き型を提供する。請求項2の発明では、環状の周壁部の下部に底部が装着されて構成される食品用焼き型において、前記周壁部の下縁の一部が内方に変位配置されて脚部とされ、前記底部が前記脚部上に位置するように設けられてなることを特徴とする食品用焼き型を提供する。
【0005】
請求項1の発明によれば、食品用焼き型は周壁部用プレートによって構成される周壁部と底部用プレートとの組み付けに構成され、かつ、周壁部用プレートの両端が互いに係止され環状の周壁部とされるようになっているので、組み立てられるまでの段階においては周壁部用プレートと底部用プレートとのプレート形態で扱われ、その形態が立体とならないことで嵩張らず、その保管、取り扱いが容易になされる。また、食品の取り出しに際し、周壁部が係止構造により連結されているので引き離しが容易に行われ、また、周壁部と底部とが組み付け構造とされているので、周壁部の取り外しが容易になされる。また、取り外し後においても組み立て前の段階と同様にその保管、取り扱いが容易になされる。
【0006】
請求項2の発明によれば、下面が脚部それぞれで支持されていることで底部の下方への湾曲が抑制され、これにより底面に歪みのないケーキやパンが得られる。さらに、脚部があることで、食品用焼き型をオーブン内等に入れた際その載置面と底部との間に熱循環空間が形成され、そこに熱循環が行われることで加熱が効率良く行われて焼き性能が向上される。例えば、底部の下面に熱循環空間を形成するには別途脚部を底部に取り付けることが考えられるが、その場合その脚部を別途製作しなければならず、かつ、それを底部に取り付ける手間がかかる問題が生じる。請求項2の発明では周壁部を利用して脚部を設けるので、そのような問題が発生することなく容易に脚部が作成される利点がある。
【0007】
請求項1、2の発明の食品用焼き型は厚紙や耐熱性の樹脂シート等により構成され、周壁部と底部とを備える構成であれば、その平面形状は円形、方形、ハート形等の適宜の形状とされればよい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、使用前、使用後の保管や取り扱いが容易になされるとともに、ケーキ等を食する際にその取り外しが容易に行える使い捨てタイプの食品用焼き型が得られる。請求項2の発明によれば、焼き性能に優れる使い捨てタイプの食品用焼き型が容易に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1はこの発明の食品用焼き型の実施形態の外観斜視図、図2は同底面側の外観斜視図、図3は同分解状態斜視図、図4は同周壁部用プレートの斜視図である。
【0010】
食品用焼き型1は、環状で上部が若干開いた周壁部2と下部の円形の底部3とからなる。周壁部2は、0.4mm厚さ程度の厚紙よりなり内面に離形層が付された帯状の周壁部用プレート5によって構成され、一端側に設けられた3個の係止突起6それぞれが他端側に設けられた係止穴7それぞれに係止されてそれぞれの端部が互いに連結されることで環状に構成されている。周壁部用プレート5の周壁部2となった際に下縁となる縁部には3箇所に凹凸状に切り込み8が設けられ、それらの縁部のそれぞれが内側に湾曲変位されることで食品用焼き型1における脚部10のそれぞれが形成される。切り込み8それぞれの凸部分12それぞれには水平方向に係止穴13のそれぞれが設けられている。
【0011】
1.2mm厚さ程度の厚紙よりなる円形の底部用プレート15が、周壁部2内の下部にはめ込まれて上記脚部10それぞれの上に載置され、さらに、周囲3箇所に設けられた係止突起16のそれぞれが上記係止穴13それぞれに係止されて位置決め固定され、このように底部用プレート15が設けられることで底部3が形成されている。
【0012】
その際、底部用プレート15として厚みのあるものを使用していることでその周縁と周壁部2内面との接触幅が大きくなって両者間の隙間が密閉され、食品用焼き型1に充填される生地(パンやケーキの焼成前材料)の漏れ出しが防止される。また、底部3は厚みがあることで生地が充填された際の下方への湾曲が抑えられ、くわえて、底部3の下面が脚部10それぞれで支持されていることでその湾曲がさらに抑えられる。このようにして底部3の下方への湾曲が回避されることで、底面に歪みのないケーキやパンが得られる。
【0013】
また、脚部10のそれぞれがあることで、この食品用焼き型1をオーブン内等に入れた際その載置面と底部3の下面との間に熱循環空間が形成され、これにより通常は熱が加えられにくい生地の下部が有効に加熱され、その結果、焼きムラの無いケーキやパンが得られる。
【0014】
上記食品用焼き型1は、例えば、周壁部用プレート5と底部用プレート15とに分離された状態で提供されたものを、家庭で使用に先立って上記のように組み立てることで用いられる。これにより、組み立てられるまでの段階、すなわち、製品の流通段階においては周壁部用プレート5と底部用プレート15との2枚のプレート形態において扱われ、その形態が立体とならないことで嵩張らず、したがって、その保管や取り扱いが製造者、販売者、使用者の全てにおいて容易になされる。
【0015】
焼かれたケーキやパンの食品用焼き型1内からの取り出しは、周壁部2をその端部それぞれを持って両側に引き離して取り外し、次に底部3を取り外すことにより行う。その際、周壁部2が貼り合わせ固定よらず係止構造により連結されているので引き離しが容易に行われ、また、周壁部2が底部3と貼り合わせ固定されていないのでの取り外しが容易になされる。また、取り外した際には、周壁部2、底部3ともプレート形態となるので、嵩高くなくてその取り扱いが容易で、また、見栄えも良い。従来の場合、焼き型は破られることで取り外されるので、嵩張り、また、見栄えの悪いものとなる場合が多かった。
【0016】
図5は他の実施形態の外観斜視図、図6は同分解斜視図である。この実施形態の食品用焼き型1はシフォンケーキ用の焼き型であり、底部3中央に中抜き用の筒部30が立設されているもので、その他の構成は上記の実施形態のものと同様である。
【0017】
上記筒部30は筒部用プレート32から構成され、その互いに連結される端部の一方側に設けられた3個の係止突起33のそれぞれが他方側に設けられた係止穴34のそれぞれに係止され連結されることで筒状に構成されている。また、筒部用プレート32の筒部30となった際に下縁となる部分には4個の係止穴35のそれぞれが設けられている。これに対し底部3の中央には周縁に4個の係止突起37のそれぞれが設けられた円穴38が設けられおり、この円穴38に筒部30の下端がはめ込まれ、かつ、その係止穴35のそれぞれに係止突起37のそれぞれが係止されることで筒部30は底板3上に立設されている。
【0018】
この食品用焼き型1においても、筒部30が筒部用プレート32が組み立てられることで形成されるので、組み立てられるまでの段階、すなわち、製品の流通段階においては周壁部用プレート5と底部用プレート15と筒部用プレート32との3枚のプレート形態で扱われ、上記実施形態のものと同様にその形態が立体とならないことで嵩張らず、その保管、取り扱いが製造者、販売者、使用者の全てにおいて容易になされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 この発明の食品用焼き型の実施形態の外観斜視図
【図2】 この発明の食品用焼き型の実施形態の底面側の外観斜視図
【図3】 この発明の食品用焼き型の実施形態の分解状態斜視図
【図4】 この発明の食品用焼き型の実施形態において用いる周壁部用プレートの斜視図
【図5】 この発明の食品用焼き型の他の実施形態の外観斜視図
【図6】 この発明の食品用焼き型の他の実施形態の分解状態斜視図
【符号の説明】
【0020】
1 食品用焼き型
2 周壁部
3 底部
5 周壁部用プレート
10 脚部
15 底部用プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の周壁部用プレートの両端が互いに係止され環状に構成される周壁部の下部に、底部用プレートが組み付けられ底部が形成され構成されてなることを特徴とする食品用焼き型。
【請求項2】
環状の周壁部の下部に底部が装着されて構成される食品用焼き型において、前記周壁部の下縁の一部が内方に変位配置されて脚部とされ、前記底部が前記脚部の上に位置するように設けられてなることを特徴とする食品用焼き型。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−254337(P2009−254337A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132490(P2008−132490)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(501371779)有限会社住友 (3)
【Fターム(参考)】